説明

遊星歯車減速機

【課題】入力回転軸に設けられた偏心軸とその外側の軸受を介して設けられた外歯歯車と内接する内歯歯車からなる遊星歯車減速機において、外歯歯車の左右及び上下方向移動させる機構を簡素化にする。
【解決手段】遊星歯車減速機10は、ハウジング11に軸受12が軸心方向に嵌挿されている。軸受12には内歯歯車13が回転自在に支持されている。入力軸14は偏心部分の外方に軸受15を介して内歯歯車13と内接若しくは噛合う外歯歯車16が設けられ、該内歯歯車13は出力部17に連結されている。ハウジング11及び外歯歯車16の側面には、直径方向に該外歯歯車16の回転を防止する一対の回転防止案内板18が接するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減速機に関し、さらに詳細には遊星歯車減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊星歯車減速機は、外歯歯車の回転を止めて、左右方向と上下方向への移動を与えるために偏心方向が異なる二枚以上の外歯歯車と、出力側に内ローラを数箇所設けることにより、該内ローラを介して出力部を減速させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開63−214541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示された遊星歯車減速機は、少なくとも入力回転軸に設けられた偏心方向が異なる二枚以上の外歯歯車及び出力側への回転を伝える数箇所の内ローラ穴及び内ローラが必要となり、前記内ローラの精度が均一でないと一部のローラに荷重が集中してトルク伝達が安定しない恐れがあり、また機構の複雑さも増してコストアップになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、入力回転軸に設けられた偏心軸と、前記偏心軸の外側の軸受を介して設けられた外歯歯車と、前記外歯歯車に内接する内歯歯車と、を備える遊星歯車減速機において、前記外歯歯車の一側面に回転防止案内板を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、構造を簡潔にすることができ、組立ても容易でコストダウンを図ることができる。
請求項2記載の発明は、前記回転防止案内板は前記外歯歯車とハウジングとの間で該ハウジングに対して該外歯歯車が上下方向及び左右方向に移動可能とし、回転方向に回動不能にするように前記外歯歯車側面に少なくとも2箇所に設けたことを特徴とするので、
前記外歯歯車の回転を止め、上下,左右方向の移動によりトルクは内歯歯車に伝達され、
該内歯歯車が減速しながら回転するので、内歯歯車部分に出力部若しくは減速部を設けることにより安定した伝達を行うことができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、構造を簡潔にすることができ、組立ても容易でコストダウンを図ることができる。さらに、前記外歯歯車の回転を止め、上下,左右方向の移動によりトルクは内歯歯車に伝達され、該内歯歯車が減速しながら回転し、内歯歯車部分に出力部もしくは減速部を設けることにより安定した伝達を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に係る遊星歯車減速機について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら、以下,詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る遊星歯車減速機10の概略構造を示す要部断面図を示し、図2は図1の側面図を示す。
図1及び図2において、遊星歯車減速機10は、ハウジング11に一組の軸受12が軸心方向に嵌挿されている。軸受12には内歯歯車13が回転自在に支持されている。参照符号14は中央部が偏心した入力軸を示すもので、前記入力軸14は偏心部分の外方に軸受15を介して内歯歯車13と内接若しくは噛合う外歯歯車16が設けられている。前記内歯歯車13は出力部17に連結されている。前記ハウジング11及び外歯歯車16の内側面(図1で右内側面)には、直径方向に該外歯歯車16の回転を防止する一対の回転防止案内板18が接するように設けられており、図3に示すように略直交する二枚の板18a及び18bを接着したような形状に一体で作られている。
【0007】
前記回転防止案内板18は、図4(A)及び(B)に示すように板18aがハウジング11の内側面11aに設けた溝19に摺動自在に嵌挿され,板18bが図5(A)及び(B)に示すように外歯歯車16の一側面に設けた溝20に摺動自在に嵌挿されている。
よって、入力軸14が回転して該入力軸14の偏心部分が軸受15を介して外歯歯車16を図1で上下方向へ移動させると、回転防止案内板18は板18aによるハウジング11との接触により該ハウジング11の溝19に沿って上下方向にスライドする。
入力軸14が回転して偏心部分が軸受15を介して外歯歯車16を図1で左右方向へ動かすときは、回転防止案内板18は板18bによる外歯歯車16との接触により該外歯歯車16の溝20に沿って左右方向にスライドする。この相互作用により外歯歯車16は回転することなく上下左右方向に動き、内接する内歯歯車13に力を伝達し、出力部17より減速して出力される。
【0008】
図6乃至図8は、本発明の他の実施の形態に係る遊星歯車減速機30を示し、図6乃至図9中、図1乃至図5の構成要素と同一の構成要素については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この遊星歯車減速機30の特徴は回転防止案内板18及び31をハウジング11及び外歯歯車16に対して上下方向及び左右方向に各2箇所に設けたことを特徴とする。
図7に示すようにハウジング11及び外歯歯車16には,上下方向に設けた回転防止案内板18に対して、左右方向に回転防止案内板31が設けられている。このため、図8に示すようにハウジング11は上下方向の溝19の他に左右方向に溝32を設け、外歯歯車16は左右方向の溝20に対して上下方向の溝33を設けている。これにより、外歯歯車16は円滑に上下方向及び左右方向に移動することができる。なお、回転防止案内板31は、回転防止案内板18と同じ形状であるの詳細な説明は省略する。
本発明においては、回転防止案内板を少なくとも二箇所設けることにより容易に外歯歯車から内歯歯車へトルクを伝達することができ、構造も簡易なものになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊星歯車減速機の略縦断面図である。
【図2】図1の遊星歯車減速機の側面図である。
【図3】図1の回転防止案内板の概略斜視図である。
【図4】(A)は図1のハウジングの略縦断面図、(B)は(A)の側面図である。
【図5】(A)は図1の外歯歯車の略縦断面図、(B)は(A)の側面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る遊星歯車減速機の略縦断面図である。
【図7】図6の遊星歯車減速機の側面図である。
【図8】(A)は図6のハウジングの略縦断面図、(B)は(A)の側面図である。
【図9】(A)は図6の外歯歯車の略縦断面図、(B)は(A)の側面図である。
【符号の説明】
【0010】
10、30 遊星歯車減速機 11 ハウジング
12、15 軸受 13 内歯歯車
14 入力軸 16 外歯歯車
18、31 回転防止案内板 19、20、32、33 溝



【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力回転軸に設けられた偏心軸と、前記偏心軸の外側の軸受を介して設けられた外歯歯車と、前記外歯歯車に内接する内歯歯車と、を備える遊星歯車減速機において、前記外歯歯車の一側面に回転防止案内板を設けたことを特徴とする遊星歯車減速機。
【請求項2】
請求項1記載の遊星歯車減速機において、前記回転防止案内板は前記外歯歯車とハウジングとの間で該ハウジングに対して該外歯歯車が上下方向及び左右方向に移動可能とし、回転方向に回動不能にするように前記外歯歯車側面に少なくとも2箇所設けたことを特徴とする遊星歯車減速機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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