説明

遊離のアリルアミン類重合体水溶液の製造方法および遊離のジアリルアミン類重合体水溶液

【課題】 ノンハロゲンであるので使用しやすい遊離のアリルアミン類重合体水溶液の製造方法、並びに安定性に優れる遊離のジアリルアミン類重合体水溶液の製造方法および該重合体水溶液を提供する。
【解決手段】 アリルアミン類の酸付加塩重合体水溶液を中和しながら脱塩処理する、遊離のアリルアミン類重合体水溶液の製造方法、並びに水性媒体中において、ラジカル重合開始剤の存在下、ジアリルアミン類の酸付加塩を、濃度5〜35質量%の状態で重合して、重量平均分子量400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体を製造し、次いでその水溶液を中和しながら脱塩処理する、一般式(II)
【化1】


(Rは水素原子またはメチル基)
で表される繰り返し単位を有する遊離のジアリルアミン類重合体水溶液の製造方法および該重合体水溶液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊離のアリルアミン類重合体水溶液の製造方法および遊離のジアリルアミン類重合体水溶液に関する。さらに詳しくは、本発明は、ファインケミカル分野などにおいて使用する際、ノンハロゲンであるので使用しやすい遊離のアリルアミン類重合体水溶液を効率よく製造する方法、および従来製造することができなかった安定性に優れる遊離のジアリルアミン類重合体水溶液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アリルアミン類塩酸塩重合体、例えば、ジアリルアミン類塩酸塩重合体は、近年、モノマーのアリルアミン類塩酸塩を、水溶液中、ラジカル重合触媒の存在下で重合させることにより簡単に製造でき、かつ、水溶性のカチオン系重合体であることから、工業的に製造され、金属保護処理剤、インクジェット記録関連、電子材料等の多様な分野に使用することが提案されている。
【0003】
しかしながら、アリルアミン類塩酸塩重合体は、塩素を含むので、セラミックバインダー向けや金属に接触する分野等では腐食性の原因となることが考えられ使いにくい場合もある。また、アリルアミン類塩酸塩重合体などがファインケミカル分野へ使用されることが検討されるに伴い、ノンハロゲンの重合体が要求され始めている。そこで、遊離のアリルアミン類重合体を得るため、アリルアミン類塩酸塩重合体をアルカリ水溶液で中和すると、不溶性物質として析出してきたり、水不溶性のゲル化が起こったりすることがあるため、遊離の重合体を水溶液としては得られないこともあった。その結果、特定のジアリルアミン類重合体のように、遊離型は水溶性でない、あるいは水不溶性のゲル化が起こると結論されていたものもあった。すなわち、あるアリルアミン類重合体は、塩の状態では水溶性で安定であるが、遊離の状態では、水に不溶であると結論付けられていたものも多かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情のもとで、ファインケミカル分野などにおいて使用する際、ノンハロゲンであるので使用しやすい遊離のアリルアミン類重合体水溶液を効率よく製造する方法、および従来製造することができなかった安定性に優れる遊離のジアリルアミン類重合体水溶液を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アリルアミン類の酸付加塩重合体水溶液を中和しながら脱塩処理することにより、遊離のアリルアミン類重合体水溶液を製造し得ること、特に水媒体中、ラジカル重合開始剤の存在下に、ジアリルアミン類の酸付加塩を、ある範囲の濃度で重合して、分子量が特定の範囲のジアリルアミン類の酸付加塩重合体を製造し、次いでその水溶液を中和しながら脱塩処理することにより、安定性に優れる遊離のジアリルアミン類重合体水溶液が、効率よく得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1) アリルアミン類の酸付加塩重合体水溶液を中和しながら脱塩処理することを特徴とする、遊離のアリルアミン類重合体水溶液の製造方法、
(2) アリルアミン類の酸付加塩重合体が、一般式(I)
【0007】
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは酸残基を示す。)
で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体であり、かつ遊離のアリルアミン類重合体が、一般式(II)
【0008】
【化2】

(式中のRは水素原子またはメチル基を示す。)
で表される繰り返し単位を有するジアリルアミン類重合体である上記(1)項に記載の方法、
(3) 水媒体中において、ラジカル重合開始剤の存在下、一般式(III)
【0009】
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Xは酸残基を示す。)
で表されるジアリルアミン類の酸付加塩を、濃度5〜35質量%の状態で重合し、一般式(I)
【0010】
【化4】

(式中、RおよびXは前記と同じである。)
で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体を製造し、次いでその水溶液を中和しながら脱塩処理することを特徴とする、一般式(II)
【0011】
【化5】

(式中、Rは前記と同じである。)
で表される繰り返し単位を有する遊離のジアリルアミン類重合体水溶液の製造方法、
(4) 中和処理と脱塩処理を同時に行う工程を含む上記(1)ないし(3)項のいずれか1項に記載の方法、
(5) 中和処理と脱塩処理を同時に行う工程が、アルカリ水溶液にて連続的に中和しながら、同時に生成する中和塩を連続的に脱塩処理する工程である上記(4)項に記載の方法、
(6) 脱塩処理をイオン交換膜電気透析法で行う上記(5)項に記載の方法、
(7) 一般式(I)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体の製造を、反応系にジアリルアミン類の酸付加塩とラジカル重合開始剤とを連続的にまたは分割して添加しながら重合させることにより行う上記(3)ないし(6)項のいずれか1項に記載の方法、
(8) ラジカル重合開始剤を、ジアリルアミン類の酸付加塩に対し、0.8〜30モル%の割合で用いる上記(3)ないし(7)項のいずれか1項に記載の方法、
(9) 一般式(II)
【0012】
【化6】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500の遊離のジアリルアミン類重合体水溶液、および
(10) 乾燥重合体中の灰分含有量が、5質量%以下である上記(9)項に記載の遊離のジアリルアミン類重合体水溶液、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ファインケミカル分野などにおいて使用する際、ノンハロゲンであるので使用しやすい遊離のアリルアミン類重合体水溶液を効率よく製造する方法、および従来製造することができなかった安定性に優れる遊離のジアリルアミン類重合体水溶液を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の遊離のアリルアミン類重合体水溶液の製造方法においては、アリルアミン類の酸付加塩重合体水溶液を中和しながら脱塩処理することにより、目的の遊離のアリルアミン類重合体水溶液を製造する。
【0015】
本発明で用いるアリルアミン類の酸付加塩重合体は、アリルアミノ基の付加塩をモノマーの一部として含むモノマーを構成単位として有する重合体であれば特に限定されない。このような重合体としては、モノアリルアミン類の酸付加塩やジアリルアミン類の酸付加塩をモノマーとして少なくとも1種類以上を含む重合体を例示できる。モノアリルアミン類の酸付加塩としては、N位に炭素数1〜4のアルキル基を1個又は2個含んでもよいモノアリルアミンの酸付加塩が好ましく、また、ジアリルアミン類の酸付加塩としては、N位に炭素数1〜4のアルキル基を含んでもよいジアリルアミンの酸付加塩が好ましい。酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などを例示することができる。
【0016】
本発明において好適なアリルアミン類の酸付加塩重合体は、モノアリルアミン類やジアリルアミン類などのアリルアミン類の酸付加塩を重合して得られるものであり、かつ、その付加塩の重合体の水溶液を、アルカリで中和したときに沈殿が発生したり、ゲル化が起こりやすいが、中和で生じた無機塩等の中和塩を除去して遊離のアリルアミン類重合体にしたときには水に溶けるものが好適である。
【0017】
なお、本発明において、遊離のアリルアミン類重合体とは、アリルアミン類の酸付加塩重合体から、酸付加塩が取れた重合体を指す。この遊離のアリルアミン類重合体は、酸付加塩が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上取れたものが望ましい。
【0018】
本発明において、中和しながら脱塩処理するとは、脱塩した遊離のアリルアミン類重合体を製造する際、中和を完全に行ってから脱塩をするのではなく、生成する中和塩の存在が少ない状態で脱塩操作を行う方法であれば特に限定しない。例えば、一部中和と脱塩の2つの操作を繰り返す方法や連続中和の状態で脱塩を連続的にを行う工程、すなわち、中和処理と脱塩処理を同時に行う工程を含む方法を例示することができる。通常は、アリルアミン類の酸付加塩重合体の水溶液にアルカリ等を加え、沈殿が生じない程度のpHまで、好ましくは沈殿が生じる手前のpHまで、より好ましくはpH8〜10まで、さらに好ましくはpH8.5〜9.8まで一気に中和し、次いで、脱塩した後、さらにそれらの中和と脱塩を同時に行う工程で脱塩することが好ましい。pH8〜10以下までは酸付加塩が十分に存在し、十分な水溶性を保ちやすいからである。
【0019】
中和処理と脱塩処理を同時に行う工程としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液にて連続的に中和しながら、同時に生成する中和塩を連続的に脱塩することが好ましい。このような状態で脱塩することにより、中和反応の系内では、無機塩等の中和塩が少なくなり遊離の重合体が析出したり、水不溶性のゲル化が起こったりすることを防止することができる。
【0020】
本発明において脱塩処理は膜透析で脱塩することが好ましく、イオン交換膜電気透析で脱塩することがさらに好ましい。イオン交換膜電気透析法は、カチオン系ポリマーに用いるイオン交換膜電気透析であれば特に限定しないが、特開昭63−286405号公報等に記載のイオン交換膜電気透析膜等を用いることができる。
【0021】
このイオン交換膜電気透析法の実施態様を添付図面に従って説明する。図1は、本発明の方法において用いられる電気透析装置の1例の概略図であって、電槽9は、陽イオン交換膜Cと陰イオン交換膜Aとが交互に並行に配列され、膜により区画された希釈室3、濃縮室4および電極室5より成立しており、電槽9の両端の電極室5には、それぞれ陽極と陰極の電極板6が設備されている。原液槽1に投入されたアリルアミン類の酸付加塩重合体水溶液は、ポンプPにより電槽9の希釈室3に送られる。本発明においてイオン交換膜電気透析法を用いてアルカリ水溶液にて連続的に中和しながら脱塩する場合は、通常、アルカリ水溶液をイオン交換膜電気透析装置の希釈室に加えるとよい。
【0022】
それにより、アリルアミン類の酸付加塩重合体、例えば、その塩酸塩重合体は、遊離のアリルアミン類重合体に変化するが、その際、中和塩、例えば、塩化ナトリウムは、陽イオン交換膜Cを通して濃縮室4へ移動する。この際、アリルアミン類の酸付加塩重合体および遊離のアリルアミン類重合体は陽イオン交換膜Cにより遮断され、希釈室3には中和塩等が除去された重合体がそのまま残留する。その際、遊離のアリルアミン類重合体は、中和塩等の無機物が少ないので、不溶化したりすることが妨げられる。一方、濃縮液槽2及び電極室5には、濃縮液たる電解液が投入され1〜2質量%程度のNaCl溶液または、NaSO溶液等が一般的に用いられるが、これらに限定されず電解質溶液であればいずれを用いてもよい。この濃縮液はポンプPにより濃縮室4へ送られる。
【0023】
この原液、濃縮液、および電極液をそれぞれ、希釈室、濃縮室、電極室へ循環させ、電極板6に直流電圧を印加することにより、原液槽1に投入された重合体水溶液からは、中和により生成する塩化ナトリウム等の中和塩等が透析除去され、濃縮液中に透析された中和塩は濃縮液槽2に濃縮されることにより、ついには、原液槽1には、中和が完了したアリルアミン類重合体水溶液が、濃縮液槽2には中和塩が濃縮貯蔵されることになる。かくして、中和塩等が除去された遊離のアリルアミン類重合体水溶液を得ることができる。なお、7は原液経路、8は濃縮液経路である。
【0024】
本発明に用いられる陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜は一般的なイオン交換膜(例えば旭硝子社製CMV,AMV等)でよく、特殊なイオン交換膜を用いる必要はあえてない。またこれらのイオン交換膜を装着させる電気透析槽も、市販されているものでよく、膜間隔、室数、室内透過等を特別に設定する必要はない。
【0025】
本発明の方法においては、アリルアミン類の酸付加塩重合体としては、例えば一般式(I)
【0026】
【化7】

(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは酸残基を示す。)
で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体が好ましく、特にN−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体が好適である。Xで示される酸残基としては、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
【0027】
したがって、本発明においては、製造される遊離のアリルアミン類重合体としては、一般式(II)
【0028】
【化8】

(式中のRは水素原子またはメチル基を示す。)
で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類重合体が好ましく挙げられ、特にN−メチルジアリルアミン重合体が好適である。
【0029】
なお、本発明における遊離のアリルアミン類重合体の分子量は、遊離のアリルアミン類重合体を塩酸塩にして、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量をいう。
【0030】
前記一般式(II)で表される遊離のジアリルアミン類重合体のうち、遊離のN−メチルジアリルアミン重合体は、本発明者らの検討によると、長い間、種々の方法でも、水溶液としては得られなかった。また、従来、一般式(II)で表される遊離の重合体のうち、遊離のジアリルアミン重合体を、本発明者らの検討によると、ジアリルアミン塩酸塩重合体をアルカリで中和して製造しようとすると不溶性のゲルが生成しやすく、水溶液で安定した遊離のジアリルアミン重合体を得ることはできにくかった。
【0031】
しかし、本発明の製造方法を用い、かつ、原料のジアリルアミン類の酸付加塩重合体、例えばN−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体の重量平均分子量を400〜4500、好ましくは500〜4200、さらに好ましくは600〜3800の範囲に限定し、中和の際、塩濃度を少なくしながら脱塩することにより、遊離のジアリルアミン類重合体水溶液を得ることができる。また、この製造方法は、重合反応から目的のジアリルアミン類重合体水溶液、例えば、N−メチルジアリルアミン重合体水溶液を得ることまで、全工程を、水溶液の状態で行えるので、工業的に有利に適用できる。
【0032】
遊離のN−メチルジアリルアミン重合体は、重量平均分子量が4500を超えると、水溶液として得ることができにくい。また、重量平均分子量400〜4500の遊離のN−メチルジアリルアミン重合体の水溶液は、塩化ナトリウムのような中和塩が存在すると水溶液として得にくいことがある。また、遊離のジアリルアミン重合体は、重量平均分子量が4500を超えると、水不溶性のゲルが発生し水溶液の状態で長時間保存しにくいことがある。
また、重量平均分子量400〜4500の遊離のジアリルアミン類重合体の水溶液は、塩化ナトリウムのような中和塩が存在すると水溶液として得にくいことがある。
【0033】
本発明はまた、前記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500の遊離のジアリルアミン類重合体水溶液をも提供する。
この重合体水溶液における遊離のジアリルアミン類重合体(乾燥重合体)中の中和塩、例えば、塩化ナトリウム等の灰分は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは実質的にゼロ、すなわち、0.5質量%以下がよい。
【0034】
次に、遊離のジアリルアミン類重合体水溶液の具体的な製造方法について説明する。
まず、水媒体中において、ラジカル重合開始剤の存在下、一般式(III)
【0035】
【化9】

(式中、RおよびXは前記と同じである。)
で表されるジアリルアミン類の酸付加塩を、濃度5〜35質量%の状態で重合し、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体を製造する。
【0036】
ジアリルアミン類の酸付加塩の濃度は、5〜35質量%、好ましくは8〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%である。モノマー濃度が高すぎると重量平均分子量は大きくなりやすく、モノマー濃度が低すぎると重合が進みにくい。
用いるラジカル重合開始剤は、N−メチルジアリルアミン酸付加塩重合体を得る場合、モノマーに対し、1.2〜30モル%が好ましく、1.8〜20モル%がさらに好ましく、2.5〜15モル%が特に好ましい。
また、ジアリルアミン酸付加塩重合体を得る場合、用いるラジカル重合開始剤は、モノマーに対し、0.8〜20モル%が好ましく、1.0〜12モル%がさらに好ましく、1.5〜8モル%が特に好ましい。
【0037】
ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、従来ジアリルアミン類の酸付加塩重合体の重合に使用される公知の重合開始剤の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このようなラジカル重合開始剤としては、過硫酸塩系ラジカル重合開始剤や、分子中にアゾ基を有するラジカル重合開始剤などを好ましく挙げることができる。前記過硫酸塩系ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
一方、分子中にアゾ基を有するラジカル重合開始剤としては、分子中にアゾ基とカチオン性窒素を有する化合物が好適である。このような化合物の例としては、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノブタン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノペンタン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノ−3−メチルブタン)、3,3’−アゾビス(3−アミジノペンタン)、3,3’−アゾビス(3−アミジノヘキサン)、3,3’−アゾビス(3−アミジノ−4−メチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−アミジノヘプタン)などの付加塩が挙げられる。ここで、付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、アルキル硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩などの無機酸付加塩または有機酸付加塩を挙げることができる。これらのアゾ系ラジカル重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
そのうち、分子量が多少大きくても水溶性の遊離のジアリルアミン類重合体を、水溶性で得ることができやすい点から2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等の分子中にアゾ基とカチオン性窒素を有する化合物が好ましい。
【0040】
ジアリルアミン類の酸付加塩をラジカル重合開始剤の存在下で重合させる場合は、水に対し、モノマーとラジカル重合開始剤を一括添加したり、そのいずれをも連続添加したり、分割添加したりして重合することができる。添加の方法は、水にモノマーとラジカル重合開始剤を連続添加したり分割添加したりすることが、用いるラジカル重合開始剤を少なくすることができるので好ましい。
【0041】
重合温度は、50〜95℃が好ましく、55〜90℃がさらに好ましく、60〜85℃が特に好ましい。重合時間は、重合スケール、モノマーとラジカル重合開始剤の添加方法、重合温度により適当に選択される。
【0042】
次いで、このようにして得られたジアリルアミン類の酸付加塩重合体水溶液を、前述の方法で中和しながら脱塩処理することにより、前記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する遊離のジアリルアミン類重合体水溶液が得られる。
【実施例】
【0043】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、得られた重合体の重量平均分子量および重合収率は、日立L−6000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、GPC法によって測定した。溶離液流路ポンプは日立L−6000、検出器はショーデクスRI SE−61示差屈折率検出器、カラムはアサヒパックの水系ゲル濾過タイプのGS−220HQ(排除限界分子量3,000)とGS−620HQ(排除限界分子量200万)とをダブルに接続したものを用いた。サンプルは溶離液で0.5g/100mlの濃度に調製し、20μlを用いた。溶離液には0.4モル/リットルの塩化ナトリウム水溶液を使用した。カラム温度は30℃で、流速は1.0ml/分で実施した。標準サンプルとして分子量106、194、440、600、1470、4100、7100、10300、12600、23000の10種のポリエチレングリコールを用いて較正曲線を求め、その較正曲線を基に、重合体の重量平均分子量を求めた。さらにクロマトグラムの各成分のピーク面積から、重合収率を算出した。
【0044】
実施例1 遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造I
ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩75.52g(0.28モル)を4回に分割して添加し、一方、モノマーとしてN−メチルジアリルアミン塩酸塩738.25g(5.0モル)を3回に分割して添加して重合した後、中和・脱塩して標記の重合体水溶液を製造した。以下に詳述する。
(1)N−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液の製造
まず、撹拌機、ジムロート冷却管、温度計を装備した10Lの4つ口セパラブルフラスコ中に蒸留水2582.20gを仕込み、70℃に加温し、濃度71.43質量%のN−メチルジアリルアミン塩酸塩水溶液344.51gとラジカル重合開始剤の2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩16.13gを添加し、重合を開始した。重合開始後、16.13gの2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を、2時間ごとに2回、反応液に添加した。また、重合開始後、濃度71.43質量%のN−メチルジアリルアミン塩酸塩水溶液344.51gを2時間ごとに2回、反応液に添加しながら、24時間重合反応を行った。次いで、反応液に2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩27.12gを一括で添加し、計48時間の重合を行ない、重量平均分子量3300のN−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液を得た。
(2)遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造
得られたN−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液に濃度25質量%水酸化ナトリウム水溶液241.50gを滴下し一部中和した(なお、この時点で塩酸塩重合体を遊離の重合体にするため、その重合体のモノマーと同じモル量の水酸化ナトリウム水溶液を加えると沈殿が発生し、水溶性の遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液を得ることはできなかった)。次いで、得られたpH9.5の水溶液を、撹拌機を装備したイオン交換膜電気透析機に仕込み、25質量%水酸化ナトリウム水溶液560.00gを連続的に滴下しながら中和と脱塩を少しずつ行いながら電気透析処理した。その結果、濃度13.43質量%の遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液3348.13g(収率81%)を得た。なお、得られた重合体の灰分は、乾燥重合体に対し0.16質量%であった。この水溶液は、室温で7日放置しておいても水溶液の状態であり、不溶性のゲル状物質は生成しなかった。
次いで、得られた遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の一部をとり、アセトン中に投入することにより白色沈殿をさせ、さらにアセトンで洗浄後、濾別して40℃で48時間加熱真空乾燥を行うことで重合体を固体として得た。固体重合体0.1gを、種々の溶媒2gに対し溶解するかどうか調査した。その結果、この重合体は、水、メタノール、エタノールに溶解した。しかし、イソプロピルアルコール、アセトン、ジメチルホルムアミドには溶解しなかった。また、この重合体のIRの結果を図2に、この重合体を塩酸塩にして測定したGPCの結果を図3に示す。
【0045】
実施例2 遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造II
2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩10.26g(0.04モル)とN−メチルジアリルアミン塩酸塩73.82g(0.5モル)を連続的に添加して重合した後、中和・脱塩し標記の重合体水溶液を製造した。以下に詳述する。
(1)N−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液の製造
撹拌機、ジムロート冷却管、温度計を装備した500mLの4つ口セパラブルフラスコ中に蒸留水375.57gを仕込み、70℃に加温し、濃度69.45質量%のN−メチルジアリルアミン塩酸塩水溶液106.30gと2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩10.26gとを6時間かけて連続的に添加し重合を行った。その後、さらに反応を行い、合計48時間重合反応を行ない、重量平均分子量2500のN−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液を得た。
(2)遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造
得られたN−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液に濃度25質量%水酸化ナトリウム水溶液28.40gを滴下し、一部中和した。次いで、得られたpH9.5の水溶液を、撹拌機を装備した電気透析機に仕込み、25質量%水酸化ナトリウム水溶液58.93gを連続的に滴下しながら中和と脱塩を少しずつ行いながらイオン交換膜電気透析処理した。なお、この際、水溶液のpHは9〜11に維持した。その結果、濃度12.11質量%の遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液349.96g(収率76%)を得た。なお、得られた重合体の灰分は、乾燥重合体に対し0.13質量%であった。
【0046】
実施例3 遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造III
ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩とN−メチルジアリルアミン塩酸塩とを、一括添加して重合した後、中和・脱塩して標記の重合体水溶液を製造した。以下、詳述する。
(1)N−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液の製造
撹拌機、ジムロート冷却管、温度計を装備した5Lの4つ口セパラブルフラスコ中に濃度68.66質量%のN−メチルジアリルアミン塩酸塩水溶液430.09gと蒸留水1908.18gを仕込んだ。このモノマー溶液を80℃に加温し、ラジカル重合開始剤として濃度15.02質量%の2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩水溶液723.19gを一括で添加し、24時間の重合を行った。この重合体の重量平均分子量は1300であった。
(2)遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造
得られたN−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液に、濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液110.87gを滴下し部分中和した。次いで、得られたpH9.5の水溶液を、撹拌機を装備したイオン交換膜電気透析機に仕込み、25質量%水酸化ナトリウム225.10gを連続的に滴下しながら中和と脱塩を少しずつ行いながらイオン交換膜電気透析処理した。なお、その結果、濃度11.93質量%の遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液1584.42g(収率85%)を得た。なお、得られた重合体の灰分は、乾燥重合体に対し0.15質量%であった。
【0047】
実施例4 遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造IV
ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩とN−メチルジアリルアミン塩酸塩とを、一括添加して、次亜リン酸ナトリウムの存在下で重合した後、中和・脱塩し標記の重合体水溶液を製造した。以下に詳述する。
(1)N−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液の製造
撹拌機、ジムロート冷却管、温度計を装備した1Lの4つ口セパラブルフラスコ中に濃度69.45質量%のN−メチルジアリルアミン塩酸塩水溶液425.20g、蒸留水313.05gと次亜リン酸ナトリウム4.24gを仕込んだ。そのモノマー溶液を70℃に加温し、ラジカル重合開始剤として2,2‘−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩18.98gを添加し、48時間の重合を行った。この重合体の重量平均分子量は3100であった。
(2)遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造
得られたN−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液に、濃度25質量%水酸化ナトリウム水溶液108.23gを滴下し部分中和した。次いで、得られたpH9.5の水溶液を、撹拌機を装備したイオン交換膜電気透析機に仕込み、25質量%水酸化ナトリウム水溶液219.75gを連続的に滴下しながら中和と脱塩を少しずつ行いながらイオン交換膜電気透析処理した。その結果、濃度11.85質量%の遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液1520.08g(収率81%)を得た。なお、得られた重合体の灰分は、乾燥重合体に対し0.20質量%であった。
【0048】
実施例5 遊離のジアリルアミン重合体水溶液の製造
ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩4.84g(0.02モル)を、3回に分割して添加し、モノマーとしてジアリルアミン塩酸塩66.81g(0.5モル)を3回に分割して添加し重合した後、中和・脱塩し標記の重合体水溶液を製造した。以下に詳述する。
(1)ジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液の製造
撹拌機、ジムロート冷却管、温度計を装備した500mLの4つ口セパラブルフラスコ中に蒸留水229.60gを仕込み、70℃に加温し、濃度67.07質量%のジアリルアミン塩酸塩水溶液33.20gとラジカル重合開始剤の2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1.61gを添加し、重合を開始した。重合開始後、1.61gの2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を、2時間ごとに2回、反応液に添加した。また、重合開始後、濃度67.07質量%のジアリルアミン塩酸塩水溶液33.20gを2時間ごとに2回、反応液に添加しながら、24時間重合反応を行った。その結果、重量平均分子量3300のジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液を得た。
(2)遊離のジアリルアミン重合体水溶液の製造
得られたジアリルアミン塩酸塩重合体水溶液に、濃度25質量%水酸化ナトリウム水溶液26.40gを滴下し中和した。次いで、得られたpH9.5の水溶液を、撹拌機を装備したイオン交換膜電気透析機に仕込み、25質量%水酸化ナトリウム53.60gを連続的に滴下しながら中和と脱塩を少しずつ行いながらイオン交換膜電気透析処理した。その結果、濃度14.92質量%の遊離のジアリルアミン重合体水溶液231.84g(収率72%)を得た。この水溶液は、50℃で7日放置しておいても水溶液の状態であり、不溶性のゲル状物質は生成しなかった。
また、遊離のジアリルアミン重合体水溶液の一部をとり、40℃で48時間加熱真空乾燥を行なうことで重合体を固体として得た。この重合体のIRを図4に示す。また、この重合体を塩酸塩にして測定したGPCの結果を図5に示す。なお、得られた重合体の灰分は、乾燥重合体に対し0.22質量%であった。
【0049】
比較例1 重量平均分子量15000の遊離のN−メチルジアリルアミン重合体水溶液の製造の試み
撹拌機、ジムロート冷却管、温度計を装備した500mLの4つ口セパラブルフラスコ中に濃度55.01質量%のN−メチルジアリルアミン塩酸塩水溶液324.93gと蒸留水37.43gを仕込んだ。そのモノマー水溶液を60℃に加温し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩21.24gを添加し、48時間の重合を行い、N−メチルジアリルアミン塩酸塩重合体を水溶液として収率94%で得た。この重合体の重量平均分子量は15000であった。この水溶液に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えたところ、沈殿が発生し、イオン交換膜電気透析等の処理をすることはできなかった。
【0050】
比較例2 重量平均分子量60000の遊離のジアリルアミン重合体水溶液の製造の試み
攪拌機、ジムロート冷却管、温度計を装備した500mLの4つ口セパラブルフラスコ中に濃度65.50質量%のジアリルアミン塩酸塩水溶液422.28gと蒸留水60.71gを仕込んだ。そのモノマー溶液を65℃加温し、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩34.61gを添加し、24時間の重合を行い、ジアリルアミン塩酸塩重合体を水溶液として収率95%で得た。この重合体の重量平均分子量は60000であった。
この水溶液に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えたところ、最初は、溶液状態であったが、数分後に水不溶性のゲル状の沈殿が発生し、イオン交換膜電気透析等の処理をすることはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の方法によれば、従来得られにくかった遊離のアリルアミン類重合体水溶液を、工程中全て水溶液の状態で工業的に効率よく製造することができる。得られた遊離のアリルアミン類重合体水溶液は、ノンハロゲンであるので、ファインケミカル分野などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の遊離のアリルアミン類重合体水溶液の製造において用いられる電気透析装置の1例の概略図である。
【図2】実施例1で得られた遊離のN−メチルジアリルアミン重合体のIRスペクトルチャートである。
【図3】実施例1で得られた遊離のN−メチルジアリルアミン重合体のGPCチャートである。
【図4】実施例5で得られた遊離のジアリルアミン重合体のIRスペクトルチャートである。
【図5】実施例5で得られた遊離のジアリルアミン重合体のGPCチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 原液槽
2 濃縮液槽
3 希釈室
4 濃縮室
5 電極室
6 電極板
7 原液経路
8 濃縮液経路
9 電槽
,P ポンプ
A 陰イオン交換膜
C 陽イオン交換膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリルアミン類の酸付加塩重合体水溶液を中和しながら脱塩処理することを特徴とする、遊離のアリルアミン類重合体水溶液の製造方法。
【請求項2】
アリルアミン類の酸付加塩重合体が、一般式(I)
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは酸残基を示す。)
で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体であり、かつ遊離のアリルアミン類重合体が、一般式(II)
【化2】

(式中のRは水素原子またはメチル基を示す。)
で表される繰り返し単位を有するジアリルアミン類重合体である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水媒体中において、ラジカル重合開始剤の存在下、一般式(III)
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Xは酸残基を示す。)
で表されるジアリルアミン類の酸付加塩を、濃度5〜35質量%の状態で重合し、一般式(I)
【化4】

(式中、RおよびXは前記と同じである。)
で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体を製造し、次いでその水溶液を中和しながら脱塩処理することを特徴とする、一般式(II)
【化5】

(式中、Rは前記と同じである。)
で表される繰り返し単位を有する遊離のジアリルアミン類重合体水溶液の製造方法。
【請求項4】
中和処理と脱塩処理を同時に行う工程を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
中和処理と脱塩処理を同時に行う工程が、アルカリ水溶液にて連続的に中和しながら、同時に生成する中和塩を連続的に脱塩処理する工程である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
脱塩処理をイオン交換膜電気透析法で行う請求項5に記載の方法。
【請求項7】
一般式(I)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が400〜4500のジアリルアミン類の酸付加塩重合体の製造を、反応系にジアリルアミン類の酸付加塩とラジカル重合開始剤とを連続的にまたは分割して添加しながら重合させることにより行う請求項3ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ラジカル重合開始剤を、ジアリルアミン類の酸付加塩に対し、0.8〜30モル%の割合で用いる請求項3ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
一般式(II)
【化6】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量が400〜4500の遊離のジアリルアミン類重合体水溶液。
【請求項10】
乾燥重合体中の灰分含有量が、5質量%以下である請求項9に記載の遊離のジアリルアミン類重合体水溶液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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