説明

運動の自己学習装置

【課題】 簡易な手段で運動時やリハビリテーション時の身体の所定部位の適正な動作を自己学習する。
【解決手段】 巻き取り・繰り出し軸4に巻き付けられた紐体8A、紐体8Bと、本体2を身体の所定の位置にそれぞれ取り付ける。巻き取り・繰り出し軸4に対してはラチェット軸5を介して当該巻き取り・繰り出し軸4の回転の一定方向に回動する信号発信ディスク6が取り付けられ、身体が適正な動作をしたとき紐体8A、8Bが繰り出され、この繰り出しに対応して信号発信ディスク6が回動し、係合しているバネ板7が切れ込み6aと順次係合することによりバネ板7は振動し、例えば「ジジジ」という音と振動を発信する。学習者はこの音と振動を感知して自己の動作が適正であることを知り、運動の自己学習を効果的に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種運動を行う時に運動を行う者に対して適正な動作が行えるよう訓練し、或いは病気や事故後の機能回復のためのリハビリテーションを適切且つ意欲的に行えるよう構成した動作の自己学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水泳の際の手足の動作、ゴルフのスイングの際の手足の状態、野球におけるバッターのスイング時の手足の状態、腰の回り方等それぞれの運動の分野においては、その分野毎に動作の基本形がある。このような動作の基本形を確実に習得することがそれぞれの運動分野において技能上達の前提となるのは我々の良く知るところである。
【0003】
このような基本動作、或いは正しい動作の習得に当たっては、通常その運動分野におけるこれらの動作を知得した者の指導によって対象者の動作を直接あるいは録画画像等により間接的に観察してもらい、この観察結果に基づいて言語によるアドバイスを受けて自己の動作を修正したり、或いは前記動作を習熟した者に適正な動作をしてもらい、この動作を真似たりするなどして自己の動作を修正、学習することになる。以下実施例も含めて動作を知得しており、かつ未熟者に対してその動作を指導する者を「指導者」の語で説明する。
【0004】
しかし、このような方法は基本的には指導者のアドバイス等の言語的フィードバックや視覚情報を学習者がもっぱら頭脳的情報処理により理解し、かつこの理解に基づいて自己の動作を修正するという間接的な作業である。このため、指導者が適切に言語フィードバックできなかったり、或いはこのフィードバックを学習者が誤解したりすることにより正しい動作を習得するのに時間がかかったり、場合によっては誤った動作を正しいものとして理解してしまう等の問題があり、中々適正な動作を習得することができないというのが実情である。この点は運動の分野だけでなくリハビリテーションの分野でも同様である。
【0005】
このような点も含めた観点から以下に示すような発明が提案されている。
【特許文献1】特開2006−20780
【特許文献2】特表平08−509890
【特許文献3】特開2001−29409
【特許文献4】特開平09−140847
【0006】
このうち特許文献1に示される発明は加速度、方位、傾斜等を検出する各種センサを設けたユニットを腕、足等の所定の部分に装着し、この所定の部分の動作を前記センサで検出し、この検出結果をコンピュータで演算することにより対象者の動作を解析し、解析結果に対応して適正な動作を行うようにしたものである。この構成では適正な動作の解析が期待される反面、装置が複雑高価となり、然もコンピュータから出力された解析結果に基づいて対象者が適正な動作を行うように訓練するものであるため、前述の指導者のアドバイスによる学習と基本的には同じ間接的な学習となる。
【0007】
特許文献2の発明は対象者に対して適正な動作を行わせるための部材を対象者の身体に密着配置し、この部材により対象者に対して適正な動作を強制的に行わせるよう構成されており、この強制的な動作に関しては特許文献4の発明も同様な構成となっている。なお、特許文献4の発明は、動作の対象を水泳の平泳ぎにおけるあおり足動作に特定している。また特許文献3は足の関節訓練を行う装置であって、対象も足に限定され、かつ特許文献2と同様に強制的に適正動作を行わせるよう構成している。
【0008】
以上各特許文献に示されている発明は、特定の動作の矯正のみを目的としていたり、機構が複雑であったり、或いは適正動作を強制するよう構成されていたりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の特許文献に記載の各発明も含めて、運動或いはリハビリテーションにおける動作或いは運動の学習においては、動作が機械的に強制されるよう構成されていたり、或いは対象者が適正動作に基づいて自己の動作をその理解に基づき修正する等の間接的な方法で適正動作を学習するものであったりして必ずしも所期の成果が得られていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の従来技術の問題点に鑑み構成されたものであり、動作を学習する者(以下実施例も含めて「学習者」とする)が、適正な動作を自己学習できるよう構成したものである。
【0011】
即ち本発明は手足等、適正な動作を学習する部位に装着し、かつ適正動作をしたとき、或いは不適正な動作をした時に学習者に対して直接その動作の適不適を知らせる手段を有する装置であって、具体的には装置本体と、装置本体から繰り出し或いは巻き込まれる紐体と、この紐体の繰り出し或いは巻き取りに対応して振動、音声、電気信号等学習者に対してこの信号を直接伝達する信号発信手段とを有する運動の自己学習装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は動作の学習を行う者の足、腕等の適正な部位に装着した本体と、この本体に巻き取り・繰り出し可能に設けられた紐体とを有し、指、手首等この本体から一定距離にある部分に紐体の端部を取り付け、運動時の動作の変化を紐体の繰り出し或いは巻き取り量を介してこの紐体端部と本体との距離の変位として検知し、適正動作時の紐体の繰り出し或いは巻き取りの有無を予め信号発信手段の信号と対応するよう設定しておくことにより、この信号発信手段からの信号の発信、当該信号発信手段からの信号の発信が無いこと、或いは発信された信号の強弱、更には信号音の音質の変化等のような信号の質の変化によって学習者は自己の動作の適不適を直接かつ即時に検知することにより、指導者や指導システムからからのアドバイスが無くとも適正な動作を容易に自己学習することができる。
【0013】
また、本装置は紐体の繰り出し・巻き取り機構と、この繰り出し・巻き取りに対応して作動する信号発信手段とからなる極めてシンプルな構成であるため装置を安価に提供することができる。
【0014】
更に、適正動作が紐体の巻き取り・繰り出しを必要とする部位、或いは巻き取り・繰り出しがあってはならない部位の何れに対しても装置の利用が可能であるため、信号の発信が適正動作の時か、不適正動作の時かを設定し、かつ信号発信を紐体の巻き取り時とするか繰り出し時とするかを設定しておけば学習者の体の殆ど全ての動作に関して適正動作の自己学習が可能となり従来技術にない極めて幅広い分野での利用が可能となり、装置として非常に高い汎用性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本体部にラチェット軸を装着し、このラチェット軸の回動により信号を発信する信号発信手段を設け、本体には紐体の繰り出し・巻き取りを行う軸を設け、紐体の端部には動作を行う部位の所定部分に係止する係止リングを形成する構成とする。
【実施例1】
【0016】
図1及び図2は本発明の第1の実施例である運動の自己学習装置(以下単に「自己学習装置」とする)を示す。
矢印1は自己学習装置全体を示す。符号2はこの自己学習装置1の中心的機能を果たす本体であり、符号3はこの本体2の一部を成す基台である。また符号3aはこの基台3に突設された装着具取り付け部であって、自己学習装置1の取り付け位置に対応し、必要に応じてゴムリング等の装着具を適宜取り付けるためのものである。なお、図示の構成では装着具取り付け部3aは基台3に対して一か所取り付けられているだけであるが、必要に応じて複数個形成することはもとより可能である。
【0017】
このように構成された基台3に対して支持枠10が固定され、この支持枠10と基台3とにより軸支さるようにして巻き取り・繰り出し軸4(図2参照)が回動可能に設けられている。この巻き取り・繰り出し軸4の内部にはゼンマイ等の弾性体(図示せず)が内装され、この弾性体によって巻き取り・繰り出し軸4は後述する紐体を巻き取る方向に回動するよう付勢されている。
【0018】
符号5は巻き取り・繰り出し軸4と同軸に設けられた軸体であり、かつラチェット機構等、ワンウェイクラッチ機構を有する軸(以下「ラチェット軸」とする)であって、巻き取り・繰り出し軸4の巻き取り方向或いは繰り出し方向の何れかの方向の回転においてこの巻き取り・繰り出し軸4と同調して回転するよう構成されている。なお、後述の利用例も含めてこの実施例では巻き取り・繰り出し軸4が紐体の繰り出し方向に回転する場合においてラチェット軸5が巻き取り・繰り出し軸4と同調して回転するようにセットされている場合を例に説明する。
【0019】
また、工具のラチェットレンチ等に設けられている機構と同様のラチェット切替え機構をこのラチェット軸5に設けることにより巻き取り・繰り出し軸4との回転の同調を当該軸4の巻き取り方向、或いは繰り出し方向の回転のいずれに対しても容易に切り換えることできるようにすることも可能である。
【0020】
符号6はラチェット軸5に対して固定された信号発信用の円板(以下「信号発信ディスク」と称する)であって、信号発信ディスク6の周縁には歯車状の切れ込み6aが多数形成されている。7はこの切れ込み6aの一つに上端部が係合しているバネ板であり、信号発信ディスク6が回動する時にその回動に伴って順次後続の切れ込みと係合することによって、信号発信ディスク6の回転に伴って「ジジジジジ・・・」と言う比較的高い音と、この音の発生に対応する振動とを生じる。因みに、ラチェット軸5と信号発信ディスク6は前述のとおり固定されているため、図1に示す信号発信ディスク6の回転方向を示す符号X1はラチェット軸5の回転方向をも示すことにもなる。
【0021】
符号8A、8Bは紐体である。
これらの紐体8A、8Bは別個のものであり、巻き取り・繰り出し軸4が信号発信ディスク6の回転方向X1となる方向に回転するときに両紐体8A、8Bが繰り出され、逆方向に回転するときに両紐体8A、8Bが巻き取られるようそれぞれ巻き取り・繰り出し軸4に対して取り付けられている。
【0022】
紐体8A、8Bは身体における自己学習装置の取り付け部位に対応して、その端部の取り付け構造が適宜選択可能であるが、図示の構成では紐体8Aの端部には指等が挿通されるリング8Aaが設けられ、紐体8Bに対してはバックル9aとこのバックル9aに係合する面接続具(登録商標「マジックテープ」)等を装着したベルト9bが設けられた構成となっている。なお、このような構成の他に例えばリング8Aaに対応する部分を粘着面を有する粘着部としてこの部分を学習者の皮膚に直接粘着させる等適宜の方法が採用可能である。また、紐体8A、8Bは前記支持枠10に突設された巻き取り・繰り出しガイド部(以下単に「ガイド部」と称する)10A、10Bに案内されて円滑に巻き取り・繰り出しを行うことができる。
【0023】
符号11はこのように構成された本体2に対して装着するカバーであり、図示しないが、紐体8A、8Bの繰り出し、巻き取りを行うための切れ込みが形成され、かつカバー11の下部端縁を本体2の基台3に嵌挿することにより本体に対して着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0024】
図3は以上説明した自己学習装置1を水泳の平泳ぎの際の足の運動、特にキックを適正に行う動作を学習するために装着する状態を示している。この場合両足にそれぞれ自己学習装置1を装着するが、図3は右足に装着する場合を示している。
【0025】
この取り付けにおいては基台3の装着具取り付け部3aに対しては予め接続部12aにより開放、接続が可能なリング12が装着されている。
この状態で先ず紐体8Aのリング8Aaを右足の小指に嵌挿し、この状態で自己学習装置1の本体がくるぶしの位置に至るよう紐体8Aと8Bを繰り出し移動させる。この移動に対応して紐体8Aは移動距離に対応する長さだけ本体2から繰り出される。この状態で接続部12aを接続することにより開放されているリング12を閉めて足首部分に固定する。なお、このリング12に加えて図示のように補助コード12´、12´´を用いて踵部分を挟むようにしてより確実に装置を固定するようにしてもよい。
【0026】
一方紐体8Bも繰り出し・巻き取り軸4に装着されているため紐体8Aの繰り出し長さと等しい長さで繰り出されている。この繰り出し量に対応する位置(ふくらはぎの下部あたり)でバックル9aを介してベルト9bを固定する。これによって本体部2は巻き取り方向にテンションが加わっている二つの紐体8A、8B及びリング12、補助コード12´、12´´により所定の位置に固定される。同様の手順で左足にも自己学習装置1を取り付けることにより平泳ぎにおける適正な足の動作を学習する準備が整う。
【0027】
図4は図3に示した平泳ぎの際の足(図示の場合は右足)の動作、特にキックを適正に行うための足首の動作を学習するために装置を装着した状態での足首の動作と装置の作動状態との関係を示している。
【0028】
先ず図(A)は足(フット)を下腿部(レッグ)に対して伸展させた状態、即ち図3に示す状態にほぼ近い状態を示す。この状態では紐体8A、8Bの繰り出しが行なわれないため、自己学習装置1は何ら音を発生しない。
【0029】
次に図(A)の矢印X方向で示すように足(フット)を足首を中心として下腿部(レッグ)に向かって屈曲させることにより足(フット)と下腿部(レッグ)の成す角を小さくし、図(B)の状態とする。この屈曲動作により各紐体8A、8Bが繰り出され、この繰り出し動作に対応して自己学習装置1は「ジジジジ・・」という音を発し、学習者は先ず最初の動作が正しいことを感知する。またこの動作に対応させて膝を曲げて蹴りだしに備える。
【0030】
続いて図(B)において、蹴りだしの開始とほぼ同時に矢印Y方向で示すように、この屈曲状態を保ったまま足先を外側に旋回させて図(C)の状態とする。この外旋動作により各紐体8A、8Bは更に繰り出され、図(B)の屈曲動作の場合と同じように自己学習装置1は「ジジジジ・・」という音を発し、学習者は次の段階の動作も正しいことを感知する。このような足首の動作を加えて水をとらえながら蹴り、下腿部及び足部で水を後方に押し出すことにより高い推進力を得ることができる。
【0031】
上記の運動における自己学習装置1の作動状態をより具体的に説明すると、主として図1においてこの紐体8A、8Bの繰り出しの際、信号発信ディスク6とラチェット軸5は巻き取り・繰り出し軸4の繰り出し方向(X1方向)に同調して回転する。このためバネ板7と信号発信ディスク6との係合により「ジジジジ・・」という比較的大きな連続音と、学習者の足に対する振動が直接伝達される。即ち学習者はこの「ジジジジ・・」音と振動とにより自己の足の動作(直接的には足首を中心とした足の動作)が適正に行われたことを直接感知する。これに対して足首の屈曲や足先の開きが不十分であったり、誤った技術であるあおり足となると紐体8A、8Bの繰り出しが殆ど行われないため前記の音や振動が出ず、学習者は自己の動作が正しくないことを直接感知する。因みに足の繰り出しが比較的ゆっくりのときは前記バネ板7と信号発信ディスク6との係合速度も遅くなるため「ジジジジジ」という連続音となり、早ければ「ジャッ」というような瞬間的な音となる。
【0032】
上記動作において紐体8A、8Bが繰り出され、かつ図4(A)の状態に足首がもどると紐体8Aは巻き取り・繰り出し軸4の巻き取り動作により図3に示す状態まで巻き取られ、これに対応して同量繰り出されていた紐体8Bももとの位置まで巻き取られる。なお、本体2と小指との距離の変化だけで適正動作を学習することも不可能ではない。このため、紐体8Bを廃して紐体8Aの伸縮だけで適正動作を学習することも基本的には可能である。
【0033】
またラチェット軸5を切り換えて回転の同調方向を逆転させ、巻き取り・繰り出し軸4の巻き取り動作時に音や振動を発生させるよう構成することも可能である。この場合はフットを適正位置に曲げるとき、即ち紐体8Aの繰り出し時には音や振動は発せず、フットを元の位置に戻す時に音や振動が発生することになる。つまり、足首を適切に屈曲させようとした時に意に反して足首が元の状態に戻ってしまったときには音と振動が発生し、即時に足首の動作が適切でないことを感知できる。
【0034】
以上、平泳ぎの際の足の適正な動作学習を例に本発明を説明したが、要するに適正な動作において、足首と下腿部等個々の動作を行なうことが可能な人体各部の少なくとも2点間、或いは手等の特定部位における人体の表皮上の少なくとも2点間が変位し、又は変位しないことがその適正動作と対応していれば、本発明の装置を幅広く利用することが可能である。また当然のことながら、その目的に応じて複数の自己学習装置を人体の所定の場所に装着することはもとより問題ない。
【0035】
上記実施例では信号発信ディスク6と振動板たるバネ板7との係合により振動及び振動音を学習者に対する信号として発信する構成となっているが信号の発生ももとよりこれに限定するものではなく、ベル等その他の機械的動作による音声の他、後述する第2の実施例のように電磁気的信号であってもよい。
【実施例2】
【0036】
図5は本発明の第2の実施例を示す。
符号13は巻き取り・繰り出し部であって前記実施例の巻き取り・繰り出し軸4に相当し、その構成も巻き取り・繰り出し軸4と同様にすることも可能である。
巻き取り・繰り出し部13にはラチェット軸14が接続し、前記巻き取り・繰り出し部13の繰り出し方向の回転或いは巻き取り方向の回転に対応して回転するよう構成されている。14Aはこのラチェット軸14の同調回転の方向を切り換えるための切り換え器である。
【0037】
15は減速機構であり、この減速機構15を介してラチェット軸14に対して摺動抵抗装置16が間接的に接続している。減速機構15はラチェット軸14の回転をウォームギヤ等で減速すると共に減速された回転運動を直線運動に変換する機能も有しており、これによってラチェット軸14の回転を直線運動に変換し、摺動抵抗装置16を作動させるよう構成されている。
【0038】
符号17は信号発信器であって、電気的音声、光、電磁気による振動或いは電気的な刺激等を学習者に発信する装置である。この信号発信器17には調整器17A、ON/OFF切替器17Bが接続している。調整器17Aは摺動抵抗装置16の抵抗値の変化に対応して信号発信するための抵抗値たる敷居値を調整する装置であり、ON/OFF切替器17Bは、信号発信器17が前記敷居値を越えた際に信号を発信するのか、いままで発信していた信号を停止するのかを選択するための装置である。これら巻き取り・繰り出し部13乃至信号発信器17が本実施例の自己学習装置本体を構成する。
なお、調整器17A自体をOFFとして摺動抵抗装置16と信号発信器17とを直接接続し、摺動抵抗装置16の抵抗値の変化に対応して信号発信器17から信号を発信するよう構成すれば、抵抗値の変化に応じて信号発信器17からの信号に強弱を生じさせたり、例えば信号が音である場合に、その音質を変化させる等、信号の質を変化させることにより、学習者はこの信号の強弱或いは信号の質の変化により自己の動作の適否を感知することも可能である。
【0039】
上記の装置において、紐体8の端部を身体の所定の部分に取り付け、かつ自己学習装置本体を身体の他の部分に固定する。切替器14Aによりラチェット軸14が巻き取り・繰り出し部13の何れの回転方向に対して同調回転するかを設定し、かつ調整器17Aにより信号発信の抵抗値の変化量を設定する。即ち微細な動作に対しても反応するように設定する場合には信号発信に至る敷居値を基準抵抗値に対して小さく設定し、反対に大まかな運動量に対応する場合には前記敷居値を基準抵抗値に対して大きく設定する。また信号の強弱で学習するときは前述のとおり調整器17AはOFFとする。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明を運動或いはリハビリテーション等における適正な身体運動を自己学習する装置として説明したが、一定間の距離の変化を告知或いは警告する装置として、人体以外に所定の機械等に設置して、警報装置等として利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施例を示す運動の自己学習装置の斜視図である。
【図2】図1に示す運動の自己学習装置の側面図である。
【図3】図1及び図2に示す運動の自己学習装置を足首部分に装着した状態を示す図である。
【図4】図3における装着状態による本装置の適正運動の自己学習対象である平泳ぎの際の右足部分の運動状態を示す図である。
【図5】本発明の別の実施例を示す自己学習装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
1 運動の自己学習装置
2 (自己学習装置の)本体
3 基台
4 巻き取り・繰り出し軸
5 ラチェット軸
6 信号発信ディスク
6a(信号発信ディスクの)切れ込み
7 バネ板
8、8A、8B 紐体
9a バックル
9b ベルト
10 支持枠
10a、10b ガイド部
11 カバー
12 リング
12´、12´´ 補助コード
13 巻き取り・繰り出し部
14 ラチェット軸
14A 切換器
15 減速機構
16 摺動抵抗装置
17 信号発信器
17A 調整器
17B ON/OFF切替器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動或いはリハビリテーション等における体の特定部位の適正動作を自己学習する装置であって、本体と、この本体に対して巻き取り或いは繰り出される紐体とを有し、本体には紐体の巻き取り或いは繰り出しにより信号を発する信号発信手段が設けられ、本体と紐体の端部は身体の特定部位の所定の位置にそれぞれ取り付けられるための手段が設けられ、当該身体の特定部位の動作を行う時に信号の発信、信号の発信が無いこと、信号の強弱、或いは信号の質の変化のうち少なくも一つを運動学習者が感知することにより当該運動学習者が適正動作を自己学習するよう構成したことを特徴とする運動の自己学習装置。
【請求項2】
本体には紐体の巻き取り及び繰り出しを行う巻き取り・繰り出し軸と、ワンウェイクラッチ機構を有するラチェット軸と、ラチェット軸に固定された信号発信ディスクとが同軸に接続され、信号発信ディスクはラチェット軸を介して紐体の巻き取り時又は繰り出し時に回動し、かつバネ板、ベル等と係合することにより、この回動時に振動や音を学習者に対する信号として発信するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の運動の自己学習装置。
【請求項3】
巻き取り・繰り出し軸に対しては複数の紐体が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の運動の自己学習装置。
【請求項4】
ラチェット軸に対しては、巻き取り・繰り出し軸と同調して回動する回動方向を切り換える手段が設けられていることを特徴とする請求項2又は3の何れかに記載の運動の自己学習装置。
【請求項5】
信号発信手段は電磁気的に作動する信号発信器であって、当該信号発信器に対しては紐体の繰り出し又は巻き取り量に対応して、発信していた信号の停止或いは停止していた信号の発信を行う手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の運動の自己学習装置。
【請求項6】
信号発信器に対して信号の発信或いは信号の停止を行う手段はラチェット軸の回動に対応して抵抗値を変化させる摺動抵抗装置であることを特徴とする請求項5記載の運動の自己学習装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−86334(P2008−86334A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266854(P2006−266854)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(506330265)