説明

運動補助具

【課題】下半身の筋肉が極端に衰えた人でも膝や腰に負担をかけることなく立ち上がることが可能な運動補助具を提供する。
【解決手段】運動補助具1は、支柱20a,20bの両側に配設されたハンドレバー40a,40bを手で持ちながら屈伸運動を行う使用者をアシストするための椅子50を常に使用者の動作に合わせて臀部近傍に位置させるように上下移動させる昇降手段30を備える。昇降手段30は、椅子50を昇降させる移動部材25を上昇方向へ付勢する弾性部材39a〜39dと、ハンドレバー40a,40bの支点と移動部材25及び基台10との間に組み付けられてリンク機構を構成する第1〜第4のリンクとを備え、これらのリンクは、ハンドレバー40a,40bの上下方向の動きとは逆方向に椅子50を動かすように変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動補助具に関し、さらに詳しくは、使用者の屈伸運動をアシストするための椅子を常に使用者の動作に合わせて腰及び膝への負担をかけることなく臀部近傍に位置させるように上下移動できるようにした運動補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国の高齢化は急速に進展しており、現在、6人に1人が65歳以上の高齢者であるといわれている。一般に、高齢者の多くは足腰の衰えや関節痛に悩まされている。そのため、次第に日常生活に不自由をきたすようになり、そして、その不自由さが原因でますます運動から遠ざかり一層の運動機能の低下が進むという悪循環が生じている。そのため、そのような問題を解消するために従来から様々な運動器具が開発され、提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示す運動補助具がある。この運動補助具は、屈伸運動を行う使用者をアシストするための椅子を常に当該使用者の動作に合わせて臀部近傍に位置させるように上下移動させる昇降手段を備えている。そして、この昇降手段は、その一端が支柱に沿って上下移動可能に配設された移動部材に取り付けられたワイヤ部材、このワイヤ部材が巻き付けられる巻取部材、及び下端側が固定され上端側が巻取部材に巻き付けられたワイヤ部材の他端に連結された一又は複数の弾性部材を備えて構成されている。このように構成された運動補助具は小型化及びコンパクト化を図りながら安全性を向上させ、更に使用者の体力に合った屈伸運動を容易に行うことができる。
【0004】
また、特許文献2に示される運動補助具は、屈伸運動中の使用者がいつでも腰掛けることができるように屈伸運動によって上下移動する使用者の臀部近傍に使用者の身体を支えるための椅子を常に位置させる昇降手段を設け、それによって安全に屈伸運動を行うことができるようにしたものである。この昇降手段は、使用者が運動補助具を利用して立ち上がると共に腕を引くと、その腕を引く動作に連動して椅子を上昇させるようになっている。
尚、上述した2つの運動補助具は、使用者がアームを手で下から上へ引き上げる動作によって起立運動が行え、かつ、手でアームを上から下へ下げる動作によって膝を曲げる運動が行えることにより、アームの往復操作によって屈伸運動が行えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−340764号公報
【特許文献2】特許3830486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の運動補助具は、脚力が落ちたとはいえ少なくとも自分で屈伸運動が行える高齢者や健常者が使用するに効果があるが、自力歩行が困難であるような脚の筋力が低下した、例えば、車椅子の利用者等のように、自ら立ち上がることに著しい困難を伴う者はうまく使用することができないという問題があった。これは、この運動補助具はレバーを引き上げる動作と共に立ち上がる動作を行うように構成されているため、レバーを引き上げる動作をすると重心が後側になるので、脚力の衰えた使用者の場合には完全に椅子に座った状態となって使用者自身の体重によって椅子を押し下げてしまい、自ら立ち上がることができる程度の脚力を有していなければ立ち上がることが困難となるためである。
【0007】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、レバーの引き上げ操作によって椅子が上昇し、レバーの引き下げ操作によって椅子が下降するという機構としないことで、下半身の筋肉が極端に衰えた人でも膝や腰に負担をかけることなく立ち上がることが可能な運動補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、両側に水平状態に配設された一対のハンドレバーを手で持ちながら屈伸運動を行う使用者をアシストするための椅子を常に当該使用者の動作に合わせて臀部近傍に位置させるように上下移動させる昇降手段を備えた運動補助具において、昇降手段は、椅子を昇降させる移動部材を上昇方向へ付勢する弾性部材と、ハンドレバー支軸と移動部材及び基台との間に組み付けられた複数のリンクによるリンク機構とを備え、このリンク機構は、使用者の操作による一対のハンドレバーの上下方向の動きに対して逆方向に椅子が動くようにリンク結合の状態が変化することを特徴とする運動補助具を提供する。
【0009】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の運動補助具において、弾性部材は、圧力調節ハンドルによって張力を調整可能な複数の平行に配設された弾性部材からなることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の運動補助具において、リンク機構は、基台と移動部材との間に開脚可能に連結させて配置された第1及び第2のリンクと、第1のリンクと第2のリンクの連結部とハンドレバーとの間に開脚可能に連結させて配設された第3及び第4のリンクとを備え、第4のリンクは、その一端がハンドレバーの支軸に固定結合されていることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の運動補助具において、一対のハンドレバーは、その内側に伸びるグリップを備え、該グリップは使用者の体型等に合わせてハンドレバーの長手方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る運動補助具によれば、ハンドレバーを下に押し下げるのに伴って立ち上がる動作を行わせるようにしたので、腕の振りの反動を利用しつつ、上半身の体重を椅子の上昇力として利用する構成としたので、下半身の筋肉が極端に衰えて自力歩行が困難な人でも膝や腰に負担をかけることなく無理なく立ち上がることができ、屈伸運動を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る運動補助具の好ましい一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す運動補助具の背面図である。
【図3】図1に示す運動補助具の使用者の座り位置における側面図である。
【図4】図1に示す運動補助具の使用者の立ち位置における側面図である。
【図5】図1に示す運動補助具のグリップの構成(運動時)を示す断面図である。
【図6】ハンドレバーのグリップが装着される部位の構成を示す正面図である。
【図7】図5に示すグリップのロック解除時の状態を示す断面図である。
【図8】図5に示すグリップの移動時の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る運動補助具について、好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る運動補助具の一実施形態を示す斜視図、図2はその背面図、図3は使用者の座り位置における側面図、図4は使用者の立ち位置における側面図である。尚、図3及び図4においては背もたれの図示を省略している。
図示された運動補助具1は、概略として、床等に設置される基台10と、基台10の後部の両側に立設された一対の支柱20a,20bと、椅子50を昇降させる昇降手段30と、回動可能にして支柱20a,20bに延設された一対のハンドレバー40a,40bと、後方に背もたれ51が立設された椅子50と、を備えて構成されている。
【0015】
基台10は、長方形を成した板状体であり、その後部の両側には一対の支柱20a,20bが立設されている。そして、使用者はこの基台10上に乗り屈伸運動を行う。尚、基台10表面の使用者の立ち位置には足型等の所定の形状にした滑り止め11が設けられている。この滑り止め11は、ゴム等の摩擦の高い材料を基台10上に取り付けるタイプのものや基台10の表面にグレーティング様の溝を形成したタイプのもの等、摩擦効果が発揮されるものであれば特にその形式が限定されるものではない。
【0016】
図3及び図4に示すように、一対の支柱(側板)20a,20bの内側には屈伸運動を行う使用者100の動作をアシストするための椅子50を常に使用者100の臀部近傍に位置させるように上下移動させる昇降手段30が設けられている。この昇降手段30は、概略として、椅子50及び背もたれ51を昇降させる移動部材25と、リンク機構を構成している第1〜第4のリンク31,32,34,35と、支柱20a,20bの上部に設けられた運動条件設定盤36と、運動条件設定盤36に設けられて必要に応じて使用者等により回転操作される圧力調節ハンドル37と、移動部材25の背面に取り付けられた係着具38と、この係着具38と圧力調節ハンドル37との間に張架されたコイルバネ等による4本の弾性部材39a〜39dとを備えて構成されている。圧力調節ハンドル37は、その回転軸370の側部に設けられた支軸371を備え、この支軸371に弾性部材39a〜39dの上端が係着している。
【0017】
第1のリンク31は回動自在にして一端が基台10に取り付けられ、第2のリンク32は、一端が第1のリンク31の他端に回動自在かつV字形を成すように結合され且つ他端が移動部材25に回動自在に結合されている。さらに、第3のリンク34は、一端が第1,第2のリンク31,32の各端部間の相互間の連結部33に回動自在に結合され、第4のリンク35は一端が第3のリンク34の他端に回動自在に結合され且つ他端がハンドレバー40a,40bの支点側に結合されている。このような構成のリンク機構は、図2に示すように両側に設けられている。
【0018】
ハンドレバー40a,40bは金属パイプ等により形成されており、使用者100が屈伸運動中に身体を両側から支えることができるように支柱20a,20bの上部の両側から前方へ延設されている。そして、ハンドレバー40a,40bは使用者100の両側を支え且つ座った状態のときに腕に当たらないように“く”字形状等をなしている。さらに、ハンドレバー40a,40bの先端部には、使用者100が手で把持するためのグリップ41a,41bが内側に向けて取り付けられている。このグリップ41a,41bは使用者100の腕の長さ、握りたい位置等に応じてハンドレバー40a,40bの長さ方向に移動でき、予め設定した4カ所のグリップ位置43の1つを選択して固定できるようになっている。
【0019】
グリップ41a,41bは図5に示すように構成されている。グリップ41a,41bは同一構成であるので、ここではグリップ41aについて説明する。グリップ41aは、概略として、ハンドレバー40aに沿って移動可能に外嵌されたパイプ形状の位置決め部材410と、先端がハンドレバー40aの側壁に出入可能にして位置決め部材410内に配設されたロックピン411と、ハンドレバー40a内を移動可能にしてロックピン411を保持する保持部材412と、位置決め部材410の側部より膨出するパイプ状の取付片413と、取付片413に取り付けられたグリップ支持体414と、グリップ支持体414に外嵌された合成樹脂、ゴム等によるグリップ部材415と、ロックピン411に連結させてグリップ支持体414の中心に配設された連結ボルト416と、連結ボルト416を移動可能に保持する保持パイプ417と、ロック時に一部がグリップ部材415から露出するように連結ボルト416の先端に設けられると共に使用者100によって操作されるロックボタン418と、保持パイプ417とロックボタン418との間に配設されたコイルバネ419とを備えて構成されている。このグリップ41a,41bの操作及び動作については後述する。
【0020】
尚、ハンドレバー40a,40bにはグリップ41a,41bを移動させるために図6に示すように内側に長溝401が設けられており、その所定の複数箇所(例えば4箇所)にグリップ位置43に対応したロックピン411の先端部が嵌入する円形の開口402が設けられている。開口402に比べて長溝401の幅は小さく、その幅はロックピン411のピン部が嵌入できる程度となっている。尚、開口402(即ち、グリップ位置43)は4箇所に限定されるものではなく、任意の数を設けることができる。
【0021】
移動部材25は、支柱20a,20bに沿って上下移動が可能に配設されている。そして、移動部材25の中央部の前面には片持ち張り状に支持板25aが固定されており、この支持板25aに椅子50が取り付けられている。また、移動部材25には、弾性部材39a〜39dによって常に上方へ引き上げられる力が付勢されている。この移動部材25には支持板25aを介して椅子50が取り付けられているため、移動部材25及び弾性部材39a〜39dによって使用者100の屈伸運動がアシストされると共に、ハンドレバー40a,40bの引き下げ動作に伴う姿勢によって使用者の上半身の体重を椅子50の上昇力として利用することができるようになっている。
【0022】
椅子50は、その高さ位置に応じて水平位置と斜め位置との間で角度が連続的に変化するように配設されている。ここで、図3は、屈伸運動中の使用者100が膝を曲げて椅子50にしゃがみこんだときの運動補助具1の状態を示しており、この状態では椅子50は基台10に対して座部(座面)が水平に近い状態となっている。これに対して、図4は使用者100が立ち上がったときの運動補助具1の状態を示しており、この状態では椅子50は基台10に対して座部が尻から足にかけてのラインに沿う角度となっている。すなわち、椅子50はその高さ位置によって座部の角度が連続的に変化するようになっており、それにより椅子50は常に使用者100の臀部近傍に密着するようになると共に、使用者100はいつでも椅子50に座ることができるようになっている。
【0023】
運動条件設定盤36は使用者100の運動回数等の運動条件の設定、設定した運動回数をカウント及び表示等を行うものである。また、圧力調節ハンドル37は、これを左右に回転させるとそれに応じて支軸371が昇降し、これにより弾性部材39a〜39dの張力状態が変化しハンドレバー40a,40bの使用者100に対する負荷状態を調節できるようになっている。
【0024】
[運動補助具の動作]
次に、上述した運動補助具1の動作について図5、図7及び図8を参照して説明する。まず、使用者100または補助員は運動条件設定盤36を操作して運動回数等を設定する。次に、使用者100はハンドレバー40a,40bの間を通って、図3に示すように椅子50に着座する。次に、使用者100は手を伸ばし、掌がグリップ41a,41bを容易に握れるか否かを確認する。ここで、現状の取付位置のグリップ41a,41bに掌が届きにくかったり、高さが合わなかったりした場合、グリップ41a,41bの取り付け位置を変更する。この変更についてグリップ41aを例に図5、図7及び図8を参照して説明する。
【0025】
グリップ41aの取り付け位置を変更したいときは、使用者100は、グリップ41a(41b)のロックボタン418を手101で押す。この操作によって連結ボルト416がロックピン411によって押されて図5の左側へ移動し、これによりロックピン411の先端(図5の右側端)がハンドレバー40a内に引っ込み、図7の状態になってロックが解除される。このまま、例えばハンドレバー40aの先端方向(図7の上方向)へ位置決め部材410を手101で移動させると連結ボルト416の先端が開口402から長溝401へ進入する。すると、ロックピン411の先端は長溝401を通過できないため、連結ボルト416はコイルバネ419によって戻されることなく図8の状態を維持する。このまま隣接するグリップ位置43に到達すると、その開口402にロックピン411の先端が嵌入し、同時に連結ボルト416が連結ボルト416の付勢力によって図5の右方向へ移動することによりグリップ41aがロックされる。尚、このグリップ位置43が所望の位置でなかった場合、再度ロックボタン418を手101で押して図7及び図8の状態にし、位置決め部材410を移動させればよい。同様にしてグリップ41bの位置調整も実施する。
【0026】
使用者100によるグリップ41a,41bの位置調整が終了したら、次に、使用者100は両手でグリップ41a,41bを握り、図3に示す状態から、グリップ41a,41bを押し下げるようにして立ち上る動作を行う。すると、使用者100の上半身がやや前のめりの状態となり、上半身が前へ傾いた際の重みがグリップ41a,41bを介してハンドレバー40a,40bに伝わって、ハンドレバー40a,40bを押し下げる力となる。そして、この力がハンドレバー40a,40bから第1〜第4のリンク31,32,34,35に伝わって弾性部材39a〜39dによる移動部材25の引き上げ力が補助されて椅子50が使用者100の身体を支えながら上昇する。その結果、椅子50の座部は使用者100の立ち上がり姿勢に追従しながら、しかも使用者100の臀部に密着するようにして上昇、即ち臀部を持ち上げるように作用することになる。従って、使用者100が車椅子常用者などのように下半身の筋肉が極端に衰えた人であったとしても、膝と腰に加わる負荷は椅子50の昇降圧力によって軽減されるので脚力に衰えがあっても無理なく立ち上がる動作を行うことが可能となる。
【0027】
上述したようにグリップ41a,41b及びハンドレバー40a,40bの先端部が使用者100の手で押し下げられると、ハンドレバー40a,40bは支軸(支点)42を中心にして図3に示す反時計方向へ回動する。支軸42が回動すると第4のリンク35が時計方向へ回動し、これに伴って第3のリンク34及び第1のリンク31が上方へ引き上げられ、さらに、第2のリンク32が上昇と同時に下端が前方へ回動することで、移動部材25が押し上げられる。使用者100が完全に立ち上がると、第1のリンク31及び第3のリンク34が図4に示すように一直線状に並び、この状態のときのハンドレバー40a,40bの高さが最下位置になる。したがって、ハンドレバー40a,40bは図3の高さ位置から図4の高さ位置までの範囲を往復動することになる。
【0028】
次に、使用者100が図4に示す立ち位置からしゃがむ動作を行う場合、使用者100はグリップ41a,41bを手で握ってハンドレバー40a,40bを持ち上げるようにすると同時に臀部を椅子50の座部に押し当てるようにする。この動作によって、第2のリンク32に対して第1のリンク31及び第3のリンク34が共にV字形状を成すように連結部33を後方へ押し出す力が生じる。すると、移動部材25が押し下げられ、これに伴って椅子50が下降し始め、最終的には予め設定した下限位置にまで下降し、図3の状態になる。上述した如くにして図3の状態と図4の状態とが交互に形成されることにより、使用者100は屈伸運動を連続的に行うことができる。尚、椅子50は弾性部材39a〜39dによって支持されているので椅子50は使用者100を支えながらゆっくりと下降する。運動条件設定盤36で設定した回数が終了すると運動条件設定盤36は効果音、ブザー等、或いは音声メッセージをスピーカから流すなどして使用者100に通知する。
【0029】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る運動補助具によれば、グリップ41a,41bを持ってハンドレバー40a,40bを押し下げる動作に対応して移動部材25及び椅子50が上昇することにより臀部が押し上げられて使用者100の起立運動がアシストされ、且つ、ハンドレバー40a,40bを持ち上げるようにして臀部を椅子50の座部に乗せるようにすると椅子50が下降して膝が曲がるようにアシストされるため、下半身の筋肉が極端に衰えた人でも膝や腰に負担をかけることなく屈伸運動が行えるという効果がある。
因みに、従来の運動補助具は、本実施形態とは逆に、使用者100がアームを手で下から上へ引き上げる動作によって起立運動、アームを上から下へ下げる動作によって膝を曲げる運動が行われることで屈伸運動が行われているため、下半身の筋肉が衰えた人の膝や腰に大きな負担がかかっていた。
【0030】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0031】
1 運動補助具
10 基台
11 滑り止め
20a 支柱
20b 支柱
21 カバー
25 移動部材
25a 支持板
30 昇降手段
31 第1のリンク
32 第2のリンク
33 連結部
34 第3のリンク
35 第4のリンク
36 運動条件設定盤
37 圧力調節ハンドル
38 係着具
39a 弾性部材
39b 弾性部材
39c 弾性部材
39d 弾性部材
40a ハンドレバー
40b ハンドレバー
41a グリップ
41b グリップ
42 支軸
43 グリップ位置
50 椅子
100 使用者
101 手
370 回転軸
371 支軸
401 長溝
402 開口
410 位置決め部材
411 ロックピン
412 保持部材
413 取付片
414 グリップ支持体
415 グリップ部材
416 連結ボルト
417 保持パイプ
418 ロックボタン
419 コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に水平状態に配設された一対のハンドレバーを手で持ちながら屈伸運動を行う使用者をアシストするための椅子を常に当該使用者の動作に合わせて臀部近傍に位置させるように上下移動させる昇降手段を備えた運動補助具において、
前記昇降手段は、前記椅子を昇降させる移動部材を上昇方向へ付勢する弾性部材と、
前記ハンドレバーの支軸と前記移動部材及び基台との間に組み付けられた複数のリンクによるリンク機構とを備え、このリンク機構は、前記使用者の操作による前記一対のハンドレバーの上下方向の動きに対して逆方向に前記椅子が動くようにリンク結合の状態が変化することを特徴とする運動補助具。
【請求項2】
請求項1に記載の運動補助具において、
前記弾性部材は、圧力調節ハンドルによって張力を調整可能な複数の平行に配設された弾性部材からなることを特徴とする運動補助具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運動補助具において、
前記リンク機構は、前記基台と前記移動部材との間に開脚可能に連結させて配置された第1及び第2のリンクと、
前記第1のリンクと前記第2のリンクの連結部と前記ハンドレバーとの間に開脚可能に連結させて配設された第3及び第4のリンクとを備え、
前記第4のリンクは、その一端がハンドレバーの支軸に固定結合されていることを特徴とする運動補助具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の運動補助具において、
前記一対のハンドレバーは、その内側に伸びるグリップを備え、該グリップは使用者の体型等に合わせて前記ハンドレバーの長手方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とする運動補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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