説明

運動量計測装置及び運動量計測プログラム

【課題】 正しい角度で使用者に装着されていることを判定することができる運動量計測
装置及び運動量計測プログラムを提供する。
【解決手段】 本発明に係る運動量計測装置100は、人間などの計測対象物に着脱可能
に装着され、計測対象物の運動量を計測する運動量計測装置であって、x軸(左右)、y
軸(上下)及びz軸(前後)の加速度を検出可能な加速度センサと、加速度センサによっ
て出力される加速度の値が、所定範囲内である場合、運動量計測装置100が計測対象物
に正しい角度で装着されていると判定する判定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測対象物に着脱可能に装着され、前記計測対象物の運動量を計測する運動
量計測装置及び運動量計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体の所定の位置(例えば、胴部)に装着され、使用者が歩いて足を踏む回数(
歩数)や使用者の消費カロリーを計測する運動量計測装置が広く用いられている。
【0003】
このような運動量計測装置は、歩数や消費カロリーを正確に計測するため、身体の所定
の位置に正しく装着されることが重要となる。
【0004】
そこで、運動量計測装置を構成する回路基板の底面を、運動量計測装置を使用者の胴部
に巻き付けられるベルトの表面と正対させることによって、当該回路基板に設けられてい
る加速度センサを正しい角度に位置させ易くする方法が開示されている(例えば、特許文
献1)。
【特許文献1】特開2004−135920号公報(第9頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の運動量計測装置には、次のような問題があった。すなわ
ち、従来の運動量計測装置によれば、運動量計測装置を正しい角度に位置させ易くするこ
とはできるが、運動量計測装置が正しい角度で使用者に装着されているか否かを判定する
ことができないといった問題があった。
【0006】
例えば、仮に使用者の胴部に巻き付けられるベルトを用いても、使用者の体型や着用し
ている衣類などによって、必ずしも常に運動量計測装置が正しい角度で使用者に装着され
るとは限らない。
【0007】
運動量計測装置が正しい角度で使用者に装着されない場合、上述したように、計測され
る運動量(歩数や消費カロリー)の誤差が大きくなり、問題となる。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、正しい角度で使用者
に装着されていることを判定することができる運動量計測装置及び運動量計測プログラム
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明
の第1の特徴は、計測対象物(例えば、人間)に着脱可能に装着され、前記計測対象物の
運動量を計測する運動量計測装置であって、所定の方向(例えば、上下方向)の加速度を
検出可能な少なくともひとつの加速度センサ(加速度センサ部111)と、前記加速度セ
ンサによって出力される加速度の値が、第1の所定範囲(例えば、1G±0.1G)内で
ある場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていると判定す
る判定部(CPU103)とを備えることを要旨とする。
【0010】
かかる特徴によれば、所定の方向の加速度を検出可能な加速度センサによって出力され
る加速度の値が所定の範囲内であるか否かに基づいて、運動量計測装置が人間などの計測
対象物に正しい角度で装着されていることを、運動量計測装置自体に判定させることがで
きる。
【0011】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記運動量計測装置が前記計測対
象物に正しい角度で装着されていないことを意味する装着不良報知を行う報知部(ブザー
117)をさらに備え、前記判定部は、前記加速度センサによって出力される加速度の値
が、前記第1の所定範囲外である場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角
度で装着されていないと判定し、前記報知部は、前記運動量計測装置が前記計測対象物に
正しい角度で装着されていないことが前記判定部によって判定された場合、前記装着不良
報知を行うことを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1または第2の特徴に係り、前記加速度の値の移動
平均を算出する算出部(CPU103)をさらに備え、前記判定部は、前記移動平均が第
2の所定範囲(例えば、1.0G±0.2G)内である場合、前記運動量計測装置が前記
計測対象物に正しい角度で装着されていると判定することを要旨とする。
【0013】
本発明の第4の特徴は、本発明の第2の特徴に係り、前記判定部は、前記移動平均が、
前記第2の所定範囲外である場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で
装着されていないと判定し、前記報知部は、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正し
い角度で装着されていないことが前記判定部によって判定された場合、前記装着不良報知
を行うことを要旨とする。
【0014】
本発明の第5の特徴は、本発明の第3または第4の特徴に係り、前記第2の所定範囲は
、前記第1の所定範囲よりも広いことを要旨とする。
【0015】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第5の特徴に係り、前記加速度センサは、互
いに直交する3軸(左右、上下及び前後)の方向に沿って、それぞれ設けられていること
を要旨とする。
【0016】
本発明の第7の特徴は、計測対象物に着脱可能に装着され、前記計測対象物の運動量を
計測する運動量計測装置において動作する運動量計測プログラムであって、前記運動量計
測装置に設けられ、所定の方向の加速度を検出可能な加速度センサによって出力される加
速度の値が、第1の所定範囲内である場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正し
い角度で装着されていると判定する判定処理を前記運動量計測装置に実行させることを要
旨とする。
【0017】
本発明の第8の特徴は、本発明の第7の特徴に係り、前記運動量計測装置が前記計測対
象物に正しい角度で装着されていないことを意味する装着不良報知を行う報知処理をさら
に備え、前記判定処理では、前記加速度センサによって出力される加速度の値が、前記第
1の所定範囲外である場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着さ
れていないと判定し、前記報知処理では、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい
角度で装着されていないことが前記判定処理によって判定された場合、前記装着不良報知
を行うことを要旨とする。
【0018】
本発明の第9の特徴は、本発明の第7または第8の特徴に係り、前記加速度の値の移動
平均を算出する算出処理をさらに備え、前記判定処理では、前記移動平均が第2の所定範
囲内である場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていると
判定することを要旨とする。
【0019】
本発明の第10の特徴は、本発明の第9の特徴に係り、前記判定処理では、前記移動平
均が、前記第2の所定範囲外である場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい
角度で装着されていないと判定し、前記報知処理では、前記運動量計測装置が前記計測対
象物に正しい角度で装着されていないことが前記判定処理によって判定された場合、前記
装着不良報知を行うことを要旨とする。
【0020】
本発明の第11の特徴は、本発明の第9または第10の特徴に係り、前記第2の所定範
囲は、前記第1の所定範囲よりも広いことを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の特徴によれば、正しい角度で使用者に装着されていることを判定することがで
きる運動量計測装置及び運動量計測プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(運動量計測装置の外観)
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係
る運動量計測装置100の外観を示している。
【0023】
運動量計測装置100は、人間(計測対象物)に着脱可能に装着され、運動量計測装置
100を装着した人間(以下、適宜“使用者”という)の歩数や消費カロリーなどの運動
量を計測するものである。
【0024】
運動量計測装置100の前面には、運動量の計測開始・停止や、個人情報(例えば、性
別、年齢及び体重)などの入力に用いられる操作ボタン部113と、計測された歩数や消
費カロリーなどの運動量の値を表示する表示部115が設けられている。さらに、運動量
計測装置100の側面には、パーソナルコンピュータ(以下、PC)などと接続すること
ができる通信用ポート101a(USB)が設けられている。
【0025】
また、運動量計測装置100は、運動量の計測に用いられる加速度センサ部111(図
2参照)を内部に有している。さらに、加速度センサ部111は、使用者の胴部に正しい
角度で運動量計測装置100が装着されているか否かを判定するためにも用いられる。
【0026】
加速度センサ部111は、同図に示すように、互いに直交する3軸の方向、すなわち、
x軸(左右)、y軸(上下)及びz軸(前後)に沿ってそれぞれ設けられている3つの加
速度センサによって構成されている。
【0027】
(運動量計測装置の論理ブロック構成)
次に、図2を参照して、運動量計測装置100の論理ブロック構成について説明する。
同図に示すように、運動量計測装置100は、通信IF部101、CPU103、ROM
105、RAM107、ロジック回路109及び加速度センサ部111を有している。
【0028】
また、運動量計測装置100は、使用者とのインターフェースとして、操作ボタン部1
13、表示部115及びブザー117を有している。さらに、運動量計測装置100は、
上述した各論理ブロックを動作させるため、電源部119及びバッテリ121を有してい
る。
【0029】
通信IF部101は、PCなどと接続することができる通信インターフェースであり、
本実施形態では、USB(Universal Serial Bus)が用いられている。通信IF部101
は、USBコネクタが接続される通信用ポート101aを用いて、PCなどと接続される

【0030】
なお、通信IF部101を介して接続されたPCなどとは、RAM107に格納されて
いる運動量の計測データや、運動量計測装置100用の動作プログラムなどを送受するこ
とができる。
【0031】
CPU103は、ロジック回路109とともに、運動量計測装置100の動作を制御す
るものである。具体的には、CPU103は、加速度センサ部111によって出力される
加速度の値に基づいて、運動量を計測したり、計測した運動量の値を表示部115に表示
させたりするものである。
【0032】
また、CPU103は、加速度センサ部111を構成する加速度センサによって出力さ
れる加速度の値が、所定の範囲(第1の所定範囲)内である場合、運動量計測装置100
が使用者に正しい角度で装着されていると判定するものである。CPU103は、本実施
形態において、判定部を構成する。
【0033】
具体的には、かかる判定は、使用者が立位の状態であるときに行われ、CPU103は
、y軸(上下)方向の加速度センサによって出力される加速度の値が、1G±0.1G(
第1の所定範囲)内である場合、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着され
ていると判定する。
【0034】
また、CPU103は、x軸(左右)及びz軸(前後)方向の加速度センサによって出
力される加速度の値が、0G±0.1G(第1の所定範囲)内である場合、運動量計測装
置100が使用者に正しい角度で装着されていると判定する。
【0035】
より具体的には、CPU103は、各軸方向の加速度センサによって出力される加速度
の値について、操作ボタン部113(スタート・ストップボタン)の押下から1秒間分(
25点)を取得する。
【0036】
CPU103は、当該1秒間の加速度の値に含まれる重力成分に基づいて、運動量計測
装置100が使用者に正しい角度で装着されているか否かを判定する。すなわち、運動量
計測装置100が図1に示したような角度で使用者の胴部に装着された場合、重力の影響
により、y軸(上下)方向の加速度センサによって出力される加速度の値は、概ね1.0
Gとなる。
【0037】
一方、x軸(左右)及びz軸(前後)方向の加速度センサによって出力される加速度の
値は、概ね0.0Gとなる。
【0038】
なお、本実施形態では、x軸(左右)、y軸(上下)及びz軸(前後)のすべての加速
度の値が上述した範囲内である場合、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着
されていると判定するが、1軸(例えば、y軸(上下))または2軸(例えば、x軸(左
右)及びy軸(上下))の加速度の値が上述した範囲内にある場合、運動量計測装置10
0が使用者に正しい角度で装着されていると判定してもよい。
【0039】
CPU103は、各軸方向の加速度センサによって出力される加速度の値が、上述した
範囲(y軸(上下)=1G±0.1G、x軸(左右),z軸(前後)=0G±0.1G)
外である場合、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着されていないと判定す
る。
【0040】
また、CPU103は、加速度センサ部111によって出力される加速度の値の移動平
均を算出するものであり、本実施形態において、算出部を構成する。
【0041】
具体的には、CPU103は、y軸(上下)方向の加速度センサによって出力される加
速度の値について、移動平均(例えば、1秒間)を算出する。なお、CPU103は、y
軸(上下)方向に加え、x軸(左右)やz軸(前後)方向の加速度センサによって出力さ
れる加速度の値について、移動平均を算出してもよい。
【0042】
CPU103は、算出したy軸(上下)方向の当該移動平均が1G±0.2G(第2の
所定範囲)内である場合、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着されている
と判定する。
【0043】
また、CPU103は、y軸(上下)方向の当該移動平均が、1G±0.2G外である
場合、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着されていないと判定する。
【0044】
ROM105は、運動量計測装置100を動作させるための基本ソフトや、運動量計測
装置100用の動作プログラムなどを格納するものである。RAM107は、計測した運
動量のデータなどを格納するものである。
【0045】
ロジック回路109は、CPU103からの命令に基づいて、ROM105、RAM1
07及び加速度センサ部111などを制御するものである。
【0046】
加速度センサ部111は、上述したように、互いに直交する3軸の方向、すなわち、x
軸(左右)、y軸(上下)及びz軸(前後)に沿ってそれぞれ設けられている3つの加速
度センサによって構成されている。
【0047】
操作ボタン部113は、運動量計測装置100の電源を投入する電源ボタン、運動量の
計測を開始・停止するスタート・ストップボタン及び表示部115に表示される情報を切
替える切替ボタンなどによって構成されている。
【0048】
表示部115は、計測した運動量の値や、使用者によって入力された個人情報などを表
示するものである。表示部115は、小型の液晶表示器によって構成されている。また、
表示部115は、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着されていないことが
CPU103によって判定された場合、運動量計測装置100の装着状態の調整を促すメ
ッセージを表示すること(装着不良報知)もできる。
【0049】
ブザー117は、所定の場合、警報音を発生するものである。具体的には、ブザー11
7は、使用者が誤った操作を行った場合などに警報音(ビープ音)を発生する。
【0050】
また、ブザー117は、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着されていな
いことを意味する“装着不良報知”を行うものであり、本実施形態において、報知部を構
成する。
【0051】
具体的には、ブザー117は、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着され
ていないことがCPU103によって判定された場合、警報音(ビープ音)により、装着
不良報知を行う。
【0052】
なお、装着不良報知に用いられる警報音(ビープ音)は、使用者が誤った操作を行った
場合などに発生する警報音と異なるものとしてもよい。
【0053】
(運動量計測装置の動作)
次に、図3〜図6を参照して、運動量計測装置100の動作について説明する。図3は
、運動量計測装置100が使用者に正しく装着されているか否かの判定に関する動作フロ
ーを示している。
【0054】
同図に示すように、ステップS10において、運動量計測装置100は、スタート・ス
トップボタンが押下されたことを検知する。
【0055】
ステップS20において、運動量計測装置100は、各軸方向(x軸(左右)、y軸(
上下)及びz軸(前後))の加速度センサの値が、所定の範囲(第1の所定範囲)内か否
かを判定する。
【0056】
具体的には、運動量計測装置100は、y軸(上下)方向の加速度センサによって出力
される加速度の値(25点/1秒間)が、1G±0.1G(第1の所定範囲)内であるか
否かを判定する。
【0057】
また、運動量計測装置100は、x軸(左右)及びz軸(前後)方向の加速度センサに
よって出力される加速度の値(25点/1秒間)が、0G±0.1G(第1の所定範囲)
内であるか否かを併せて判定する。
【0058】
ここで、図4(a)及び図4(b1)〜(b4)を参照して、ステップS20における
判定処理について、さらに説明する。
【0059】
図4(a)は、運動量計測装置100の配置(装着)角度と、各軸方向の加速度センサ
によって出力される加速度の値との関係を示すグラフである。
【0060】
また、図4(b1)〜(b4)は、当該グラフの横軸上に示されている期間(b1)〜
(b4)とそれぞれ対応しており、当該期間における運動量計測装置100の配置(装着
)角度を示している。
【0061】
例えば、図4(b1)では、図1に示した運動量計測装置100の配置角度と比較して
、運動量計測装置100の前面(表示部115が設けられている面)が上方を向いている
。この場合、図4(a)の期間(b1)に示すように、z軸(前後)方向の加速度センサ
が、重力の影響を受けて、約1.0Gの値を出力する。なお、各軸方向については、図1
を参照されたい。
【0062】
図4(b2)では、図1に示した運動量計測装置100の配置角度と比較して、運動量
計測装置100が時計回りに約90度回転させられている。この場合、図4(a)の期間
(b2)に示すように、x軸(左右)方向の加速度センサが、重力の影響を受けて、約1
.0Gの値を出力する。
【0063】
図4(b3)では、図1に示した運動量計測装置100の配置角度と比較して、運動量
計測装置100の前面が下方を向いている。この場合、図4(a)の期間(b3)に示す
ように、z軸(前後)方向の加速度センサが、重力の影響を受けて、約−1.0Gの値を
出力する。
【0064】
図4(b4)では、図1に示した運動量計測装置100の配置角度と比較して、運動量
計測装置100が反時計回りに約90度回転させられている。この場合、図4(a)の期
間(b4)に示すように、x軸(左右)方向の加速度センサが、重力の影響を受けて、約
−1.0Gの値を出力する。
【0065】
したがって、y軸(上下)方向の加速度センサによって出力される加速度の値(25点
/1秒間)が、1G±0.1G内であり、かつx軸(左右)及びz軸(前後)方向の加速
度センサによって出力される加速度の値(25点/1秒間)が、0G±0.1G内である
場合、運動量計測装置100は、図1に示したような正しい角度で運動量計測装置100
が使用者に装着されていると判定する。
【0066】
次いで、図3に示すように、加速度の値が上述した範囲内でない場合(ステップS20
のNo)、ステップS30において、運動量計測装置100は、使用者に正しい角度で運
動量計測装置100が装着されていないことを意味する警報音(ビープ音)を発生し、装
着不良報知を行う。
【0067】
ステップS40において、使用者は、当該警報音に基づいて、運動量計測装置100の
装着状態を調整する。なお、運動量計測装置100は、この場合、ステップS20の処理
を再実行する。
【0068】
一方、加速度の値が上述した範囲内である場合(ステップS20のYes)、ステップ
S50において、運動量計測装置100は、各軸方向の加速度センサによって出力される
加速度の値のサンプリングを実行する。
【0069】
ステップS60において、運動量計測装置100は、サンプリングされた過去1秒間分
の加速度の値が格納されているか否かを判定する。具体的には、運動量計測装置100は
、y軸(上下)方向の加速度センサによって出力された加速度の値が格納されているか否
かを判定する。
【0070】
サンプリングされた過去1秒間分の加速度の値が格納されている場合(ステップS60
のYes)、ステップS70において、運動量計測装置100は、当該1秒間分の加速度
の値について、移動平均を算出する。
【0071】
一方、サンプリングされた過去1秒間分の加速度の値が格納されていない場合(ステッ
プS60のNo)、運動量計測装置100は、ステップS50の処理を繰り返す。
【0072】
ステップS80において、運動量計測装置100は、算出したy軸(上下)方向の移動
平均が1G±0.2G(第2の所定範囲)内であるか否かを判定する。
【0073】
ここで、図5は、運動量計測装置100を装着した使用者が、運動をした場合において
、各軸方向の加速度センサによって出力された加速度の値の変化状況(約30秒間)を示
したグラフである。
【0074】
図5において、期間(a)は、使用者が立位(停止)の状態である。期間(b)は、使
用者が早歩きをした状態である。また、期間(c)は、使用者がゆっくりと歩いた状態で
ある。なお、期間(b)の後半部分では、使用者が早歩きの状態から停止の状態、つまり
、立位の状態に戻るため、加速度の値が小さくなっている。
【0075】
また、図6は、図5に示した各軸方向の加速度の値を1秒間ごとに、約3秒分について
移動平均を算出した結果を示したグラフである。
【0076】
図6に示すように、y軸(上下)方向の加速度の移動平均は、概ね1G±0.2G内で
推移する。すなわち、y軸(上下)方向の加速度の移動平均が、1G±0.2G内であれ
ば、運動量計測装置100が正しい角度で使用者に装着されていると判定できる。
【0077】
次いで、図3に示すように、移動平均の値が上述した範囲内でない場合(ステップS8
0のNo)、ステップS90において、運動量計測装置100は、使用者に正しい角度で
運動量計測装置100が装着されていないことを意味する警報音(ビープ音)を発生し、
装着不良報知を行う。
【0078】
ステップS100において、使用者は、当該警報音に基づいて、運動量計測装置100
の装着状態を調整する。なお、運動量計測装置100は、この場合、ステップS50の処
理を再実行する。
【0079】
一方、移動平均の値が上述した範囲内である場合(ステップS80のYes)、ステッ
プS110において、運動量計測装置100は、サンプリングした加速度の値をRAM1
07に格納する。
【0080】
ステップS120において、運動量計測装置100は、スタート・ストップボタンが押
下されたことを検知したか否かを判定する。
【0081】
スタート・ストップボタンが押下されたことを検知した場合(ステップS120のYe
s)、運動量計測装置100は、運動量の計測を停止し、処理を終了する。
【0082】
一方、スタート・ストップボタンが押下されたことを検知しない場合(ステップS12
0のNo)、運動量計測装置100は、ステップS50以降の処理を繰り返す。
【0083】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態に係る運動量計測装置100によれば、x軸(左右)、y軸(
上下)及びz軸(前後)の加速度を検出可能な加速度センサによって出力される加速度の
値が所定の範囲(y軸(上下)=1G±0.1G、x軸(左右),z軸(前後)=0G±
0.1G、y軸(上下)の加速度の移動平均=1G±0.2G)内であるか否かに基づい
て、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着されていることを、運動量計測装
置100自体に判定させることができる。
【0084】
運動量計測装置100によれば、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着さ
れていないことが報知されるため、使用者は、速やかに運動量計測装置100が正しい角
度で装着されていないことを認識できる。
【0085】
さらに、使用者は、速やかに運動量計測装置100が正しい角度で装着されていないこ
とを認識できるため、運動量計測装置100が正しい角度で装着されていない状態で、使
用者が運動を継続してしまうことが防止される。
【0086】
運動量計測装置100によれば、使用者が運動中(例えば、歩行時)においても、加速
度の移動平均を用いて、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着されているか
否かが判定される。このため、使用者の運動中に運動量計測装置100の装着角度がずれ
た場合でも、使用者は、速やかに運動量計測装置100が正しく装着されていないことを
認識できる。
【0087】
運動量計測装置100によれば、y軸(上下)の加速度の移動平均の範囲(第2の所定
範囲)は、装着初期に用いられる加速度の値の範囲(第1の所定範囲)よりも広い。具体
的には、当該移動平均は、1G±0.2Gに設定されており、装着初期に用いられる加速
度の値の範囲は、1G±0.1Gまたは0G±0.1Gに設定されている。
【0088】
つまり、使用者が運動を開始した後においては、加速度の変動幅が大きいため、運動量
計測装置100が使用者に正しい角度で装着されていると判定される範囲を広げることに
よって、運動量計測装置100が正しい角度で装着されていないと誤って判定されること
が抑制される。
【0089】
また、運動量計測装置100によれば、互いに直交する3軸の方向、すなわち、x軸(
左右)、y軸(上下)及びz軸(前後)に沿ってそれぞれ設けられている3つの加速度セ
ンサによって出力される加速度の値に基づいて、運動量計測装置100が正しい角度で装
着されているか否かが判定されるため、より正確に運動量計測装置100の装着角度を判
定することができる。
【0090】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の
一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開
示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0091】
例えば、上述した本発明の実施形態では、使用者が運動中(例えば、歩行時)において
も、加速度の移動平均を用いて、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着され
ているか否かを判定する形態としたが、加速度の移動平均を用いず、装着初期の加速度の
値のみに基づいて、運動量計測装置100が使用者に正しい角度で装着されているか否か
を判定させるようにしてもよい。
【0092】
また、上述した本発明の実施形態では、1G±0.1Gなど、上限(1.1G)と下限
(0.9G)とによって所定の範囲を設定したが、当該所定の範囲は、0.7G以下など
、運動量計測装置100の構成などによって、適切な範囲とすることができる。
【0093】
さらに、上述した本発明の実施形態では、y軸(上下)の加速度の移動平均の範囲(第
2の所定範囲)が、装着初期に用いられる加速度の値の範囲(第1の所定範囲)よりも広
く設定されていたが、必ずしもこのような設定としなくても構わない。
【0094】
また、上述した運動量計測装置100が使用者に正しく装着されているか否かの判定に
関する処理については、運動量計測装置100に当該処理を実行させるプログラム(動作
プログラム)として提供することもできる。
【0095】
さらに、上述した本発明の実施形態では、計測対象物として人間を例として説明したが
、本発明に係る運動量計測装置は、人間以外の計測対象物(例えば、動物)にも勿論適用
することができる。
【0096】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿
論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に
係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施形態に係る運動量計測装置の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る運動量計測装置の論理ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る運動量計測装置の動作フロー図である。
【図4】本発明の実施形態に係る運動量計測装置の動作を説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る運動量計測装置によって計測された加速度の値を示すグラフである。
【図6】本発明の実施形態に係る運動量計測装置によって算出された加速度の移動平均を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
100…運動量計測装置、101…通信IF部、101a…通信用ポート、103…CP
U、105…ROM、107…RAM、109…ロジック回路、111…加速度センサ部
、113…操作ボタン部、115…表示部、117…ブザー、119…電源部、121…
バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物に着脱可能に装着され、前記計測対象物の運動量を計測する運動量計測装置
であって、
所定の方向の加速度を検出可能な少なくともひとつの加速度センサと、
前記加速度センサによって出力される加速度の値が、第1の所定範囲内である場合、前
記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていると判定する判定部と
を備えることを特徴とする運動量計測装置。
【請求項2】
前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていないことを意味する
装着不良報知を行う報知部をさらに備え、
前記判定部は、前記加速度センサによって出力される加速度の値が、前記第1の所定範
囲外である場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていない
と判定し、
前記報知部は、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていない
ことが前記判定部によって判定された場合、前記装着不良報知を行うことを特徴とする請
求項1に記載の運動量計測装置。
【請求項3】
前記加速度の値の移動平均を算出する算出部をさらに備え、
前記判定部は、前記移動平均が第2の所定範囲内である場合、前記運動量計測装置が前
記計測対象物に正しい角度で装着されていると判定することを特徴とする請求項1または
2に記載の運動量計測装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記移動平均が、前記第2の所定範囲外である場合、前記運動量計測装
置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていないと判定し、
前記報知部は、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていない
ことが前記判定部によって判定された場合、前記装着不良報知を行うことを特徴とする請
求項2に記載の運動量計測装置。
【請求項5】
前記第2の所定範囲は、前記第1の所定範囲よりも広いことを特徴とする請求項3また
は4に記載の運動量計測装置。
【請求項6】
前記加速度センサは、互いに直交する3軸の方向に沿って、それぞれ設けられているこ
とを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の運動量計測装置。
【請求項7】
計測対象物に着脱可能に装着され、前記計測対象物の運動量を計測する運動量計測装置
において動作する運動量計測プログラムであって、
前記運動量計測装置に設けられ、所定の方向の加速度を検出可能な加速度センサによっ
て出力される加速度の値が、第1の所定範囲内である場合、前記運動量計測装置が前記計
測対象物に正しい角度で装着されていると判定する判定処理を
前記運動量計測装置に実行させることを特徴とする運動量計測プログラム。
【請求項8】
前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていないことを意味する
装着不良報知を行う報知処理をさらに備え、
前記判定処理では、前記加速度センサによって出力される加速度の値が、前記第1の所
定範囲外である場合、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されてい
ないと判定し、
前記報知処理では、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されてい
ないことが前記判定処理によって判定された場合、前記装着不良報知を行うことを特徴と
する請求項7に記載の運動量計測プログラム。
【請求項9】
前記加速度の値の移動平均を算出する算出処理をさらに備え、
前記判定処理では、前記移動平均が第2の所定範囲内である場合、前記運動量計測装置
が前記計測対象物に正しい角度で装着されていると判定することを特徴とする請求項7ま
たは8に記載の運動量計測プログラム。
【請求項10】
前記判定処理では、前記移動平均が、前記第2の所定範囲外である場合、前記運動量計
測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されていないと判定し、
前記報知処理では、前記運動量計測装置が前記計測対象物に正しい角度で装着されてい
ないことが前記判定処理によって判定された場合、前記装着不良報知を行うことを特徴と
する請求項9に記載の運動量計測プログラム。
【請求項11】
前記第2の所定範囲は、前記第1の所定範囲よりも広いことを特徴とする請求項9また
は10に記載の運動量計測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−122376(P2006−122376A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315262(P2004−315262)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】