説明

運搬用容器

【課題】12個又は端数の紙パックを、搬送中の衝撃を紙パックに加えることなく安全に且つ手間をかけずに効率的に運搬することができるように運搬用容器を構成する。
【解決手段】横断面の縦横が寸法〔A〕である紙パック(P)を縦3列、横4列に立て並べて収納するための容器(1)において、底板(2)の上面をその縦寸法を略〔3×A〕、横寸法を略〔4×A〕の大きさに設けるとともに、横3列目と4列目に収納される紙パック(P)の隣接間隙に沿った位置にのみ縦仕切り片(5)を設け、縦1列目と2列目に収納される紙パック(P)の隣接間隙に沿った位置にのみ横仕切り片(6)を設けて構成し、縦横の仕切り片(5、6)で仕切られた領域に端数の紙パック(P)を収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳や乳飲料、ジュース、清涼飲料などが充填された紙パック、特に底面が約70mm角のレギュラータイプの紙パックを収納し運搬するのに好適な合成樹脂製の運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙パックは、ガラス瓶や缶などの容器と比べて製造コストが安く、軽くて輸送に便利であり、また、リサイクルがし易く環境に優しいという利点があることから、様々な飲料や調味料類を包装する容器として用いられている。このうち、牛乳パックには、500mlから1000mlまでの容量のサイズに対応した、底面が約70mm角のレギュラータイプの紙パックが最も多く利用されている。
【0003】
このような紙パックの運搬には、図6に示されるような、上面が矩形状に開口した紙パック専用の箱形の容器100が用いられており、容器100内に縦3列、横4列で隙間を開けずに計12個の紙パックPを立て並べて収納し、運搬に供するようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−86942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の通り、紙パックは軽量でリサイクルがし易いなどの利点があるものの、缶やプラスチックなどからなる容器と比較して内外圧に対する耐性が低く、例えば紙パックを運搬車両の積載棚に積んで搬送した際に車両が揺れて紙パックが倒れたり紙パック同士がぶつかったりすると、紙パックの側面にかかる横方向の内圧によってパックの底の重合シール部分に隙間ができ、内容液が漏れ出てしまうことがあった。
【0006】
前記図示した紙パック専用の容器100は、その内部に紙パックPが隙間なく収納されるので、搬送中に紙パックPが倒れてパックの底が破損するようなことはなく、紙パックPをまとめて安全に運搬することが可能である。
しかし、この容器100では、12個の紙パックPをまとめて運搬するのには都合が良いものの、紙パックPが12個に満たない場合は、それらを容器100に収納すると不足本数分の隙間ができ、搬送中の揺れで紙パックPが倒れて容器内面に衝突し、或いは紙パックP同士がぶつかり合うことを防止することができなかった。
そのため、紙パックPを運搬する際は、12個の紙パックPを一単位として容器100に収納し、端数の紙パックPは緩衝材を入れた別の容器の中に寝かせて収納するなどして、端数の紙パックPを安全に運搬するための手立てを講じなければならなかった。容器100の底板上面に12個分の紙パックPを仕切る仕切り片を設ければ、紙パックPが端数でもこれを倒さずに運搬することが可能となるが、12個分の仕切り片を設けたのでは容器100が大型化し、運搬車両への積載数は減少してしまう。
【0007】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、12個の紙パックを一単位として、或いは端数の紙パックであっても、一の運搬用容器に収納して、搬送中に衝撃を加えることなく安全に且つ手間をかけずに効率的に運搬することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明の運搬用容器は、仕切り片が縦横に交差させて突設された底板上面に、底面における縦寸法〔A〕と横寸法〔A〕が同じであるレギュラータイプの紙パックを縦3列、横4列に立て並べて収納し、運搬するための容器であって、前記底板上面がその縦寸法が略〔3×A〕、横寸法が略〔4×A〕の大きさに設けられているとともに、前記縦横に交差させて突設された仕切り片のうち、縦仕切り片は底板上面における横3列目と4列目に収納される紙パックの隣接間隙に沿った位置にのみ設けられ、横仕切り片は底板上面における縦1列目と2列目に収納される紙パックの隣接間隙に沿った位置にのみ設けられた構成を有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の運搬用容器は、底面における縦横が同寸法〔A〕であるレギュラータイプの紙パックを運搬する専用の容器として構成され、紙パックが載る底板上面はその縦寸法が略〔3×A〕、横寸法が略〔4×A〕の大きさに設けられる。レギュラータイプの紙パックは横断面が約70mm角の正方形であり、これに対応させて底板上面は縦が約210mm、横が約280mmの大きさで形成され、容器内部に紙パックを縦3列、横4列に立て並べて収納し得るように構成される。
【0010】
前記大きさの底板上面は、12個の紙パックを立て並べたときに隣接する紙パック間の隙間が殆どなく12個分の仕切りを設けることができない。そこで、本発明の運搬用容器では、底板上面における横3列目と4列目に収納される紙パックの隣接間隙に沿った位置と、縦1列目と2列目に収納される紙パックの隣接間隙に沿った位置にのみ仕切り片を設け、つまり底板上面に突設する仕切りは縦横にそれぞれ一つだけとして、容器を大型化せずとも端数の紙パックを立設状態に保持したまま収納し運搬できるようにした。
【0011】
上記構成において、縦仕切り片は、底板上面における横3列目と4列目に収納される紙パックの隣接間隙に沿った位置に突設される仕切りであり、底板の一側の短手辺から間隔〔A〕だけ開けて当該短手辺と平行に設置される。また、横仕切り片は、底板上面における縦1列目と2列目に収納される紙パックの隣接間隙に沿った位置に突設される仕切りであり、底板の一側の長手辺から間隔〔A〕だけ開けて当該長手辺と平行に設置される。両仕切り片は、2mm程度の厚みで薄肉に設けられ、また、紙パックが倒れるのを防止するのに十分な高さ、例えば底板上面から40〜50mm程度の高さに突出させて形成することができる。両仕切り片は、前記底板の長短両側辺からそれぞれ間隔〔A〕だけ開けた位置に沿って設けてあれば、底板の対向側辺間に帯状に連続して設けても適宜な隙間を開けて間歇的に設けても何れでもよく、また、適宜な外形状に形成することができる。要は、両仕切り片と長短両側辺に連なる側板との間に紙パックを収納して立設状態に保持できればよい。
【0012】
本発明の運搬用容器によれば、底板上面に設けた縦横の仕切り片により、底板上面は四つの領域に区画され、各々に1個、2個、3個及び6個の紙パックを立てて収納することが可能である。従って、運搬する紙パックが端数の場合に、その数に応じて各領域に紙パックを入れれば、紙パックは各領域内に隙間なく立ち並び、搬送中に倒れたり紙パック同士がぶつかったりして紙パックに衝撃が加わるようなことはなく、端数の紙パックを立設状態に保持したまま運搬することができる。12個の紙パックを運搬するときは、全ての領域に紙パックを収納すればよい。端数の紙パックを運搬するために別の容器や緩衝材を準備する必要はなく、手間かけずに効率的に紙パックを運搬することが可能となる。
【0013】
なお、本発明の運搬用容器は、ポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂材を用いて射出成形法により成形することができ、また、前記70mm角のレギュラータイプの紙パックの他に、横断面が正方形でサイズが異なる他の紙パックや、横断面が円形の瓶体容器を収納して運搬するための容器にも適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好適な一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の運搬用容器の一実施形態の斜視図と側板を破断した内部透視図、図2は図1の容器を上方から見たときの底板上の仕切り片の設置位置を示した図、図3は図1の容器における端数の紙パックを収納する態様を説明するための図、図4は他の実施形態の運搬用容器の側板を破断した内部透視図、図5は瓶体容器を収納する態様を示した図である。
【0015】
図1〜図3に示された運搬用容器1は、横断面が約70mm角〔A〕のレギュラータイプの紙パックPの運搬用容器として構成されたものであり、この容器1は、平面視矩形を呈する底板2の周囲に短手側板3、3と長手側板4、4を略垂直に立ち上げて上面を開口した有底箱型に形成され、底板2の上面には縦仕切り片5と横仕切り片6を一体に突設してある。
【0016】
より詳しくは、図2に示されるように、底板2の上面は、縦が約210mm〔A×3〕、横が約280mm〔A×4〕の大きさに形成されて、計12個の紙パックPを縦3列、横4列に隙間なく立て並べて載せることができるように構成してある。
縦仕切り片5は、底板2の上面における横3列目と4列目に収納される紙パックPの隣接間隙に沿った位置、つまり短手側板3から約70mm〔A〕だけ離間した位置に沿って短手側板3と平行に対向長手側板4、4間に帯状に設置されており、また、横仕切り片6は、底板2の上面における縦1列目と2列目に収納される紙パックPの隣接間隙に沿った位置、つまり長手側板4から約70mm〔A〕だけ離間した位置に沿って長手側板4と平行に対向短手側板3、3間に帯状に設けられている。
縦横の仕切り片5、6は、それぞれ2mm程度の厚みで底板2の上面から上方へ50mm程度の高さに突出させてある。
【0017】
このように構成された運搬用容器1によれば、底板2の上面が縦横の仕切り片5、6で四つの領域に区画され、各々の領域に1個、2個、3個及び6個の紙パックPを立てて収納することができる。
すなわち、図3に示されるように、底板2の上面は、1個の紙パックPを収納可能な領域(I)、2個の紙パックPを収納可能な領域(II)、3個の紙パックPを収納可能な領域(III)、6個の紙パックPを収納可能な領域(IV)に区画される。
従って、同図に示されるように、11個以下の端数の紙パックPを運搬する場合でも、その数に応じて各領域に紙パックPを収納することにより、各領域内で紙パックPを立てたまま運搬することが可能である。各領域に収納された紙パックPは、その外周面に、側板3、4の内面、縦横の仕切り片5、6の表面又は隣接する紙パックPの外周面がぴったりと隙間なく接合するため、搬送中に容器が揺れても、紙パックPが倒れたり紙パックP同士がぶつかったりするようなことはなく、立設状態に保持したままで紙パックPを破損させずに安全に運搬することが可能である。12個の紙パックPを運搬するときは、全ての領域に紙パックPを収納すればよい。
【0018】
前記縦横の仕切り片5、6は、仕切られた領域内に紙パックPを保持可能であれば、図4に示されるように、短手側板3、3又は長手側板4、4間に間歇的に設けてもよい。また、本発明の運搬用容器1は、図5に示されるように、横断面が円形の瓶体容器Cを収納し運搬するための容器としても用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の運搬用容器の一実施形態の外観斜視図(A)と側板を破断した内部透視図(B)である。
【図2】図1の容器を上方から見たときの底板上の仕切り片の設置位置を示した図である。
【図3】図1の容器における端数の紙パックを収納する態様を説明するための図である。
【図4】本発明の他の実施形態の運搬用容器の側板を破断した内部透視図である。
【図5】本発明の運搬用容器を瓶体容器の収納に用いた態様を示した図である。
【図6】従来の運搬用容器の外観図斜視図(A)と横断面図(B)である。
【符号の説明】
【0020】
1 運搬用容器、2 底板、3 短手側板、4 長手側板、5 縦仕切り片、6 横仕切り片、P 紙パック、C 瓶体容器





【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り片が縦横に突設された底板上面に、底面における縦寸法〔A〕と横寸法〔A〕が同じであるレギュラータイプの紙パックを縦3列、横4列に立て並べて収納し、運搬するための容器であって、
前記底板上面がその縦寸法が略〔3×A〕、横寸法が略〔4×A〕の大きさに設けられているとともに、
前記縦横に突設された仕切り片のうち、縦仕切り片は底板上面における横3列目と4列目に収納される紙パックの隣接間隙に沿った位置にのみ設けられ、横仕切り片は底板上面における縦1列目と2列目に収納される紙パックの隣接間隙に沿った位置にのみ設けられた構成を有することを特徴とする運搬用容器。
【請求項2】
紙パックに代えて外径寸法〔A〕の瓶体容器を収納し、運搬するための請求項1に記載の運搬用容器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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