説明

運搬装置

【課題】重量のある荷物を小型のフォークリフトで、形状の制約が少なく、簡易かつ安価に運搬することができる運搬装置を提供する。
【解決手段】前端25を除く長手方向の一箇所で幅方向に一対の車輪22を備える運搬台車2と、運搬台車2の前端25に設けられた連結部材3と、フォークリフトFの昇降用フォークF1に着脱可能に取り付けられる連結部材4とを具備し、昇降用フォークF1の上昇時にこれが連結部材3を介して運搬台車2の一端25を押し上げるとともに、連結部材4が連結部材3に対し水平面内で相対回動可能で且つ水平方向への相対移動は規制された状態で係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運搬装置に関し、特にフォークリフトを利用して重量物を簡易に運搬できる運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金型や鋼材等の重量物を工場内で簡易に運搬移動させたいという要請がある。工場内での運送には小回りが利くフォークリフトが一般的に多用されているが、10t以上の重量物を運搬するには大型のフォークリフトが必要となってコスト高になるとともに、フォークリフトでは搬送できる荷物の形状的制約が大きいという問題がある。そこでトラックを使用することも考えられるが、10t以上の重量物を運搬できるトラックはやはりコスト高になる。
【0003】
なお、特許文献1には、トラックに牽引される台車上にフォークリフトを載せた構造の運搬装置が示されており、本装置では、牽引台車上から自走で降りたフォークリフトを使用してトラック上への荷物の積み下ろしを行い、荷物搬送時には牽引台車上に自走でフォークリフトが載って、トラックで移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−161953
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、重量のある荷物を小型のフォークリフトで、形状の制約が少なく、簡易かつ安価に運搬することができる運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、一端(25)を除く長手方向の一箇所で幅方向に一対の車輪(22)を備える運搬台車(2)と、運搬台車(2)の一端(25)に設けられた第1連結部材(3)と、フォークリフト(F)の昇降用フォーク(F1)に着脱可能に取り付けられる第2連結部材(4)とを具備し、昇降用フォーク(F1)の上昇時にこれが第1連結部材(3)を介して運搬台車(2)の一端(25)を押し上げるとともに、第2連結部材(4)が第1連結部材(3)に対し水平面内で相対回動可能で且つ水平方向への相対移動は規制された状態で係合することを特徴としている。
【0007】
本第1発明によれば、運搬台車上に荷物を載せるから、形状的な制約を受けることがなく、かつ重量のある荷物であっても小型のフォークリフトによる簡易な搬送が可能である。特に、中古トラックの荷台を使用してこれに連結部材を設けるだけで運搬台車を実現することができるから、運搬台車を既存のフォークリフトと連結することによって、搬送用トラック等を購入するのに比してコストの大幅な低減が可能となる。さらに、フォークリフトと運搬台車は互いに水平面内で相対回動可能で且つ水平方向への相対移動は規制された状態で連結されるから、フォークリフトの走行性能や転回性能を生かした自在な搬送が可能である。また、荷物を運搬台車の車輪近くへ載せるようにすれぱ、荷物が重量物であっても挺子の原理によって昇降用フォークヘの印加荷重を小さく抑えることができ、これによってもフォークリフトの大型化を避けることができる。
【0008】
本第2発明では、本第1発明において、第1連結部材(3)に対する第2連結部材(4)の係合を、軸体(33)とこれが相対進入する連結穴(41)によって行なう。本第2発明によれば、連結構造を簡易に実現することができる。
【0009】
本第3発明では、本第2発明において、上記軸体(33)と連結穴(41)を水平方向で位置合わせする位置合わせ手段(42,43)を設ける。本第3発明によれば、フォークリフトと運搬台車の連結を容易かつ確実に行なうことができる。
【0010】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の運搬装置によれば、比較的自由な形状の重量物を小型のフォークリフトで簡易かつ安価に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す、フォークリフトに連結された状態の運搬装置の全体側面図である。
【図2】連結部材の斜視図である。
【図3】荷物搬送時の運搬装置の全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1にはフォークリフトFに連結された状態の運搬装置1の全体側面図を示す。運搬装置1は運搬台車2を備えており、当該運搬台車2は上方から見た平面視が長方形状をなしている。運搬台車2の後端(他端)21は車輪22で支持されている。すなわち、運搬台車2の後端21下方には当該台車2の幅方向に一対の車輪22が配設されて、これら車輪22は同一の車軸23によって結合されている。そして車軸ハウジング(図示略)の両端部(図面の手前側と向こう側)に、それぞれ下方へ突出湾曲する板バネ24(手前側のみ示す)の頂部241が固定されるとともに、板バネ24の両端242,243が運搬台車2の後端21下面に固定されてこれを支持している。このような運搬台車2は、例えば廃車されたトラックの荷台を再利用すれば安価に実現することができる。
【0014】
運搬台車2の前端(一端)25下面には連結部材3が設けてある。連結部材3は側面視で逆L字形をなし、その垂直部31は幅方向の両端で下方へ延びる支持脚となって、運搬台車2の前端25を支持している。支持脚31の高さは運搬台車2の後端21よりもやや低くなっている。連結部材3の水平部32には下方へ向けて軸体33が突設してあり、また上記水平部32上面の軸体33に対応する位置には、位置合わせ用のピン体34が立設してある。
【0015】
一方、フォークリフトFの昇降用フォークF1には連結部材4が装着されている。連結部材4の斜視図を図2に示す。連結部材4は矩形の箱状板体に成形されており、その板面中央には上下方向へ貫通する円形の連結穴41が設けられている。また、連結部材4の上面には位置合わせ用のスタンド42が設置されている。スタンド42は棒材を略逆L字形に屈曲させたもので、その下方へ届血させた先端部421からは、連結穴41のほぼ中心に向けて鎖体43が垂下させてある。
【0016】
連結部材4の一辺には左右位置に、開口両側にガイド片441を突出させた挿入口44が開口させてある。そこで、これら挿入口44にフォークリフトFの昇降用フォークF1の水平部F11をそれぞれ挿入し(図2には一方の昇降用フォークのみを示す)、ストッパピン45をガイド片441先端の孔442内に挿入し当該ストッパピン45をガイド片441間に架け渡すことによって、挿入された昇降用フォークF1の下端背後にストッパピン45が当接して、挿入口44からの昇降用フォークF1の抜けが防止される。このようにして、連結部材4が昇降用フォークF1に装着される。なお、ストッパピン45は紛失を防止するために、連結部材4に収納部を設けてここに収納しておくようにすると良い。
【0017】
上記構造の運搬装置1で荷物を搬送する場合には、運搬台車2土に荷物Wを載せ(図1)、連結部材3の軸体33先端よりもやや低い位置に連結部材4が位置するように昇降用フォークF1を下げる。その後、フォークリフトFを移動させて連結部材4の鎖体43の下端が連結部材3のピン体34の直上付近に来るようにする。このようにすると、連結部材4の連結穴41と連結部材3の軸体33の位置が水平方向で合致させられるから、この状態で昇降用フォークF1を上昇させて軸体33を連結穴41内に相対進入させる(図1の状態)。これにより、連結部材3,4は水平面内で互いに相対回動可能で且つ水平方向への相対移動は規制された状態で係合させられ、フォークリフトFと運搬台車2が連結される。
【0018】
フォークリフトFの昇降用フォークF1をさらに上昇させると、図3に示すように、連結部材4によって連結部材3の水平部32が押し上げられ、これと一体に運搬台車2の前端25も押し上げられる。この過程で連結部材3の支持脚31下端が路面から上方へ離れるから、フォークリフトFを移動させると、荷物Wを載せた運搬台車2もフォークリフトFに連結されて移動する。
【0019】
以上のように、本実施形態の搬送装置1によれば、運搬台車2土に荷物Wを載せているから、形状的な制約を受けることなく小型のフォークリフトFによる簡易な搬送が可能である。特に、中古トラックの荷台を使用してこれに連結部材3を設けるだけで運搬台車2を実現できるから、運搬台車2を既存のフォークリフトFと連結することによって、搬送用トラック等を購入するのに比してコストの大幅な低減が可能となる。さらに、軸体33と連結穴41によって、フォークリフトFと運搬台車2は互いに水平面内で相対回動可能で且つ水平方向への相対移動は規制された状態で連結されているから、フォークリフトFの走行性能や転回性能を生かした自在な搬送が可能である。また、荷物Wを運搬台車2の車輪22近くへ載せるようにすれば、荷物Wが重量物であっても挺子の原理によって昇降用フォークF1への印加荷重を小さく抑えることができ、これによってもフォークリフトFの大型化を避けることができる。
【符号の説明】
【0020】
2…運搬台車、21…後端(他端)、22…車輪、25…前端(一端)、3…連結部材(第1連結部材)、33…軸体、4…連結部材(第2連結部材)、41…連結穴、42…スタンド(位置合わせ手段)、43…鎖体(位置合わせ手段)、F…フォークリフト、F1…昇降用フォーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端を除く長手方向の一箇所で幅方向に一対の車輪を備える運搬台車と、運搬台車の前記一端に設けられた第1連結部材と、フォークリフトの昇降用フォークに着脱可能に取り付けられる第2連結部材とを具備し、前記昇降用フォークの上昇時にこれが前記第1連結部材を介して前記運搬台車の一端を押し上げるとともに、前記第2連結部材が前記第1連結部材に対し水平面内で相対回動可能で且つ水平方向への相対移動は規制された状態で係合することを特徴とする運搬装置。
【請求項2】
前記第1連結部材に対する第2連結部材の係合を、軸体とこれが相対進入する連結穴によって行なう請求項1に記載の運搬装置。
【請求項3】
前記軸体と連結穴を水平方向で位置合わせする位置合わせ手段を設けた請求項2に記載の運搬装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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