説明

運搬車

【課題】 バッテリを駆動源とする運搬車において、電線に負担がかかることなく操舵できるようにし、しかも、配線作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】 機器収納室3内で支持台14が車体1に対し旋回可能に設けられ、この支持台14に前輪8を駆動するモータ11と、モータ11を制御する制御装置40とが設置される。更に、バッテリ10と制御装置40とが第1の電線で接続され、モータ11と制御装置40とが第2の電線を接続される。第1の電線は、バッテリ10に接続され車体1に沿って前方ヘと導かれる沿導部と、機器収納室3に下方から導き入れられる導入部と、機器収納室3内のモータ11及び制御装置40より外方で立ち上げられる立上部と、モータ11及び制御装置40の上方で機器収納室3の中央に向けて導かれてから垂れ下げられて制御装置40に接続される渡り部とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市場や工場など構内で荷物を運搬する運搬車に関し、特に車体に搭載されたバッテリから電力を供給する電源配線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬車として、後掲する特許文献1などに記載されているように、車体の前部に設けられた機器収納室の下方に前輪を備え、車体の後部に設けられた荷台の下方に後輪を備えるものがあり、市場や工場などで荷物の運搬作業に用いられている。この種の運搬車では、前輪が駆動輪と操舵輪とを兼ねており、機器収納室内に設けられた原動機により前輪が駆動されることで走行がなされ、機器収納室に設けられたハンドルにより前輪が旋回されることで操舵がなされる。尚、原動機としては、特許文献1や特許文献2に開示されているように、モータ(電動機構)が採用される他、特許文献3や特許文献4に開示されているように、エンジンが採用されるものもある。
【0003】
さて、前輪を駆動する原動機としてモータを用いる運搬車では、機器収納室内にモータと共にこのモータを制御する制御装置が収納され、車体に搭載されたバッテリから制御装置を経由してモータへ電力が供給される。ここで、操舵時にモータが前輪と共に旋回するようにするには、モータに接続されている電線に無理な力が作用し、電線が損傷したり操舵に支障を来したりすることがないようにしなければならない。そこで、例えば特許文献1に開示されているように、ターレット(機器収納室)の底部に電線を通す切欠きを設け、この切欠きの分だけターレットが旋回するようにして、電線を保護することが行われている。又、特許文献1の技術では、ターレットの上部に制御装置を、下部にモータをそれぞれ設置し、バッテリと制御装置とを接続する電線、及びモータと制御装置とを接続する電線をターレットの中央を通すようにして、操舵に伴う電線のねじれを抑えるようにしている。
【0004】
【特許文献1】実公昭53−39929号公報
【特許文献2】実開平3−98152号公報
【特許文献3】実公平7−8284号公報
【特許文献4】特開2004−42865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常、モータや制御装置などを先に取り付けた上で配線作業が行われるため、特許文献1に記載の配線構造では、既に取り付けてある機器が邪魔になり作業を行い難いという問題がある。又、モータの上方に制御装置を配置しているため、バッテリからの電線を一旦上方にある制御装置に接続し、更に制御装置から電線を下ろしてモータに接続することになるため、配線経路が重複することになる。もちろん、機器収納室内に限らず、バッテリから機器収納室へ至るまでの配線についても容易に行えることが望ましい。
【0006】
本発明は、バッテリを駆動源とする運搬車において、モータや制御装置に接続される電線に無理がかかることなく、ハンドルを操作して前輪の操舵できるようにし、しかも、配線作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、車体の前部に機器収納室を、後部に荷台をそれぞれ備えており、上記機器収納室の下方に前輪が設けられ、更に、上記機器収納室に上記前輪の操舵をなすハンドルが設けられた運搬車において、上記荷台の下方で上記車体に搭載されるバッテリと、上記機器収納室内で上記車体に対し旋回可能に設けられ、上記前輪及び上記ハンドルとそれぞれ連結される支持台と、該支持台に設置され上記前輪を駆動するモータと、上記支持台に設置され上記モータを制御する制御装置とを備えると共に、上記バッテリと上記制御装置とを接続する第1の電線と、上記モータと上記制御装置とを接続する第2の電線とを備え、上記第1の電線が、上記バッテリに接続され、上記車体に沿って前方ヘと導かれる沿導部と、該沿導部に連続し、上記機器収納室の下方から該機器収納室内へ導き入れられる導入部と、該導入部に連続し、上記機器収納室内の上記モータ及び上記制御装置より外方で立ち上げられる立上部と、該立上部に連続し、上記モータ及び上記制御装置の上方で上記機器収納室の中央に向けて導かれてから垂れ下げられて上記制御装置に接続される渡り部とからなることを特徴とする構成としている。
【0008】
このような本発明によれば、ハンドルを操作すると、支持台と一体的にモータ及び制御装置が旋回することになるが、この旋回に際し機器収納室内で第1の電線の渡り部は、モータ及び制御装置の上方に基点(揺動中心)を持つ揺動をすることになる。そのため、渡り部に無理がかかることはなく、渡り部を保護しつつスムーズな旋回が実現される。又、立上部は、モータ及び制御装置よりも外方で立ち上げられ、モータ及び制御装置の上方へと導かれるので、旋回するモータや制御装置、支持台に接触したり引っ掛かったりするおそれがない。しかも、立上部はモータ及び制御装置よりも外方で立ち上げられ、これに連続する渡り部はモータ及び制御装置の上方から制御装置へと導かれるので、モータ及び制御装置を支持台に設置した後であっても問題なく配線作業を行うことができる。更に、導入部は、機器収納室に下方から導き入れられるので、機器収納室に上方から覆われる形となって保護され、その上、機器収納室内で立ち上げられる立上部へと円滑に連続させることができるので、作業を行い易いという利点がある。又更に、沿導部は、車体に沿って前方ヘ、つまり機器収納室がある車体の前部の方へと導かれるので、作業者は配線作業を容易に行うことができる。加えて、同じ支持台上に、モータと制御装置とが設置されるので、モータと制御装置との間の第2の電線を容易に接続することができ、しかも、旋回の際に第2の電線に無理がかかることがない。
【0009】
本発明においては、上記支持台が、上記機器収納室の略中央で縦軸心周りに旋回可能に設けられ、上記モータは上記支持台の中央部に設置され、上記制御装置は上記支持台の、上記モータよりも外側位置に設置されており、上記渡り部が、上記モータ及び上記制御装置よりも上方で上記機器収納室の略中央を経由し、上記モータより外方まで導かれた上で垂れ下げられて上記制御装置に接続されてなることを特徴とする構成とすることができる。これによれば、渡り部を無理なく揺動させることができ、又、モータが邪魔になることなく制御装置への接続を行うことができる。
【0010】
又、本発明において、上記ハンドルが、上記機器収納室の上方に配され、運転者が操作するホイールと、上記機器収納室内で上記モータ及び上記制御装置の上方に配されるベースと、該ベースと上記ホイールとを連結して設けられるスポークと、上記ベースから下方に向けて延設され、上記支持台に連結支持されるシャフトとを備えるものでは、上記シャフトが、上記支持台の、上記モータよりも外側位置に連結され、上記立上部が、上記モータを間に挟んで上記シャフトと対向して配され、これに連続する上記渡り部が、上記ベースと、上記モータ及び上記制御装置との間で上記機器収納室の中央に向けて導かれてから、上記モータと上記シャフトとの間で垂れ下げられて上記制御装置に接続されてなることを特徴とする構成とすることができる。これによれば、第1の電線の立上部及び渡り部がハンドルの操作を妨げることがなく、ハンドルのシャフトを支持台に連結することも妨げない。又、シャフトが支持台に連結されることによりハンドルと支持台とは一体的に旋回するようになるが、この旋回に際して渡り部とベース、或いは渡り部とシャフトが接触して渡り部が切断されるといったおそれがなく、渡り部を安全に揺動させることができる。更に、シャフトが支持台に連結されていない状態で、つまりハンドルが機器収納室に設けられておらず機器収納室から外された状態で配線作業を行うことができるので、作業を行い易いという利点がある。
【0011】
又、本発明において、上記機器収納室が、上記車体に支持され、上下方向に立設されるピラーと、該ピラーに着脱可能に取り付けられ、上記モータ及び上記制御装置を側方から覆うサイドカバーとを備えるものでは、上記立上部が、上記サイドカバーの内側面に沿うように立ち上げて固定されてなることを特徴とする構成とすることができる。これによれば、第1の電線のうち機器収納室内に配される部分は、ピラーに取り付けたサイドカバーにより側方から覆われるので、これを保護することができ、又、サイドカバーをピラーから取り外した状態で配線作業を行うことができるので、非常に作業性が良い。
【0012】
上記の構成においては、上記ピラーに、上記機器収納室の中央に向けて延設されたサポート部材が支持されており、該サポート部材に、上記渡り部のうち上記機器収納室の中央部よりも上記立上部側の部分が固定されてなるようにすることができる。これによれば、サポート部材に沿って機器収納室の略中央部にまで導かれるので、渡り部が下方に垂れ下がり、モータや制御装置に接触することを防止でき、しかも、サポート部材に渡り部を適宜固定するだけで良いので、簡単に作業を行うことができる。
【0013】
さて、本発明において、上記車体が、左右方向に離間して配され、前後方向に向けて設けられた左右一対のサイドフレームと、該サイドフレームの前部同士を連結して設けられ、上記機器収納室を支持するフロントフレームとを備えており、上記荷台が、上記両サイドフレームの後部にわたって支持されると共に、上記バッテリが、上記両サイドフレームの間で上記車体に搭載されるものでは、上記沿導部が、上記サイドフレームの内側に沿って固定され、前方へと導かれてなることを特徴とする構成とすることができる。これによれば、沿導部をサイドフレームにより外側から保護することができると共に、沿導部が下方に垂れ下がることを防止でき、しかも、サイドフレームに沿導部を適宜固定するだけで、簡単に作業を行うことができる。
【0014】
上記の構成において、上記車体が、上記フロントフレームと上記荷台との間で、上記両サイドフレームにわたって着脱可能に設けられる運転台と、該運転台の前端と上記フロントフレームの後端との境界部で、上記両サイドフレームを連結して設けられるクロスフレームとを備えるものでは、上記沿導部が、上記サイドフレームに沿って上記クロスフレームよりも前方にまで導かれた上で、上記フロントフレームに設けられた貫通孔を通して該フロントフレームの上面よりも上方へと導かれ、これに連続する上記導入部が、上記機器収納室の側部下方から該機器収納室内へ導き入れられてなるようにすることができる。これによれば、沿導部は、サイドフレームに沿わせて適宜固定するだけで良いので、作業者は簡単に配線することができ、特に運転台の下方における沿導部の配線は、運転台をサイドフレームから取り外して行うことができるので、非常に作業を行い易い。又、第1の電線はクロスフレームよりも前方で機器収納室に側部下方から導き入れられるので、導入部が運転台の前端よりも前方に位置し、導入部が運転台上の運転者にとって運転の妨げとなったり、運転台への乗降の妨げとなったりすることがなくなる。
【0015】
又、上記の構成において、上記車体が、上記フロントフレームと上記荷台との間で、上記両サイドフレームにわたって着脱可能に設けられる運転台と、該運転台の前端と上記フロントフレームの後端との境界部で、上記両サイドフレームを連結して設けられるクロスフレームとを備えるものでは、上記沿導部が、上記サイドフレームに沿って該サイドフレームと上記クロスフレームとの連結箇所にまで導かれた上で、上記クロスフレームに沿って上記車体の中央側へ導かれ、更に、上記運転台の前端に設けた切欠き部を通して該運転台の上面よりも上方へと導かれ、これに連続する上記導入部が、上記機器収納室の後部下方から該機器収納室内へ導き入れられてなるようにすることができる。これによれば、沿導部はサイドフレーム及びクロスフレームに沿わせて適宜固定するだけで良いので、作業者は簡単に配線することができる。又、運転台の前端に設けた切欠き部を通すようにすることで、運転台の上方における導入部の配線はそのまま行うことができ、運転台の下方における沿導部の配線は運転台をサイドフレームから取り外して行うことができるようになるので、作業を行い易く、作業者の負担が軽減される。
【0016】
更に、上記の構成において、上記フロントフレームの左右方向中央に、上下に開口された筒状のハウジングが立設され、該ハウジングに、上記前輪を回転可能に支持し、上記モータからの動力を上記前輪に伝達する動力伝達装置が縦軸心周りに旋回可能に設けられており、該動力伝達装置に上記支持台が固定支持されて上記車体に対し旋回可能とされたものでは、上記導入部が、上記ハウジングよりも外方で上記機器収納室内へ導き入れられてなるようにすることができる。これによれば、導入部が動力伝達装置や支持台の旋回を妨げることがなく、旋回の際に導入部に無理がかかることもない。又、外方から作業を行うことができ、しかも、モータ及び制御装置より外方で立ち上げられる立上部へと円滑に連続させることができるので、作業を行い易いという利点がある。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明によれば、バッテリと制御装置とをつなぐ第1の電線は、機器収納室内において、モータ及び制御装置の外方と上方とに配置されて制御装置へと導かれることになるので、支持台にモータや制御装置を設置した後でも配線作業を容易に行うことができる。又、操舵に伴い第1の電線に無理がかかるおそれがなく、第1の電線が操舵に支障を来すこともない。更に、モータと制御装置とは同じ支持台上に設置されるので、モータと制御装置とをつなぐ第2の電線を容易に接続することができ、しかも、操舵に伴い第2の電線に無理がかかるおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施例(以下、実施例1)に係る運搬車は、車体1の前部にフロントフレーム2を備えており、このフロントフレーム2に、各種機器が収納される機器収納室3が支持されて設けられている。車体1の後部には荷台4が支持されており、フロントフレーム2と荷台4との間に、運転者が搭乗する運転台5が設けられている。運転台5は左右に全面的に開放させてあり、荷台4とはバックレスト6により前後に仕切られている。
【0020】
図2に示すように、車体1の前端部、つまり、フロントフレーム2の前端部にはバンパ7が設けられ、車体1の前部で、機器収納室3の下方位置には前輪8が設けられている。又、車体1の後部には後輪9が設けられ、これら前輪8及び後輪9にてこの運搬車は走行する。そして、運転台5よりも後方で、後輪9の前方位置において、車体1にバッテリ10が搭載され、このバッテリ10から各部へ電力が供給される。尚、バッテリ10の上方で、荷台4には開閉式のカバーが設けられており、このカバーを開くことで、車体1に荷台4及びバッテリ10を支持させたまま、バッテリ10のメンテナンスを行うことができるようにしてある。
【0021】
車体1は、図2に示すように、主に、左右方向に離間して配置され、前後方向に向けて設けられる一対のサイドフレーム1L,1Rと、両サイドフレーム1L,1Rを連結して設けられるクロスフレーム1A,1B,1Cとからなっている。サイドフレーム1L,1Rは、それぞれ縦断面が内側に向けて開口されたコ字形に形成されており、前述のフロントフレーム2が、両サイドフレーム1L,1Rの前部にわたって支持されている。又、各クロスフレームは、前からクロスフレーム1A、クロスフレーム1B、クロスフレーム1Cの順に配置される。
【0022】
クロスフレーム1Aは、縦断面が車体1の後方に向けて開口されたコ字形に形成されており、運転台5の前端の直下位置に配置され、左右両端部をサイドフレーム1L,1Rにそれぞれ接合して設けられている。クロスフレーム1Bは、縦断面がL字形に形成されており、車体1の前後方向のほぼ中央の位置で、左右両端部をサイドフレーム1L,1Rにそれぞれ接合して設けられている。クロスフレーム1Cは、平面視コ字形に形成されており、左右両端部をサイドフレーム1L,1Rの後端部にそれぞれ嵌め込むことで、両サイドフレーム1L,1Rを連結して設けられている。尚、このクロスフレーム1Cに、後輪9を備えた懸架装置が支持される。
【0023】
バッテリ10は、図2に示すように、両サイドフレーム1L,1Rの間に配置された上で、その前部がクロスフレーム1Bに支持され、後部がクロスフレーム1Cに支持されて、車体1に搭載されている。又、バッテリ10は接続プラグを備えており、この接続プラグに、バッテリ10と後述する制御装置40とを接続するための電線50の一端に備えられた接続プラグが嵌め合わされることで、バッテリ10に電線50が接続される。
【0024】
フロントフレーム2には、図3に示すように、上下に開口された円筒状のハウジング20が立設されており、このハウジング20内に前輪8の上部が収容される。ハウジング20の外側面には、外方へ向けてピラーサポート21が突設され、このピラーサポート21に後述するピラー32が固定される。ここでは、ピラーサポート21は、図5に示すように、前側2箇所、後側1箇所の計3箇所に設けられ、前側2箇所は左右対称の位置とされ、各ピラーサポート21はハウジング20の周方向へ等間隔に配置されている。尚、フロントフレーム2のハウジング20の左端近傍位置には上下に貫通して貫通孔2aが形成されており、この貫通孔2aに、後述するように電線50を通して配線できるようになされている。
【0025】
機器収納室3は、図3に示すように、主に、上方を覆うトップカバー30と、側方を覆うサイドカバー31と、サイドカバー31を支持するピラー32とからなっている。トップカバー30は、後述するステアリングハンドル15と共に一体的に旋回するよう設けられ、同じく後述する支持台14、ドライブ装置12、及びドライブサポート13を介してハウジング20に支持されている。一方、サイドカバー31は、各ピラーサポート21に支持されたピラー32に取り付けられ、これにより、サイドカバー31及びピラー32がハウジング20に支持される。尚、サイドカバー31は、ピラー32にビスにて固定されるが、この固定用のビスを取り外すことで、ピラー32から取り外すことが可能である。
【0026】
図3に示すように、前側2箇所のピラーサポート21にそれぞれ支持された2本のピラー32は、その上部がブラケット33により連結され、その下部がブラケット34により連結されている。又、前側の各ピラー32と後側のピラー32とは、それぞれの上部がブラケット35により連結されている。ここで、ブラケット33とブラケット34とにかけては、ワイヤサポート36が立設されている。ワイヤサポート36は、その上端がブラケット33の下面に、下端がブラケット34の上面にそれぞれ接合されており、後述するモータ11や制御装置40よりもサイドカバー31に近い位置、つまり機器収納室3の外側寄りの位置で、機器収納室3の左右方向中央に配置されている。尚、この実施例1では、下側のブラケット34よりも上方はもちろんのこと、これよりも下方であっても、側方をサイドカバー31で覆われる範囲については機器収納室3内としている。
【0027】
機器収納室3内には、図3に示すように、前輪8を走行駆動するモータ11が配置され、このモータ11と前輪8とがドライブ装置12を介して接続されている。ドライブ装置12は、前輪8を回転可能に支持すると共にモータ11と連結され、これによりモータ11からの動力を前輪8へ伝達するようになっている。又、ドライブ装置12は、ドライブサポート13を介してハウジング20の上部に縦軸心周りに旋回可能に支持されており、ドライブ装置12の上端部には支持台14が固定されている。そして、この支持台14上に、モータ11が縦置き、すなわち回転軸を縦にして設置され、又、モータ11よりも外側位置でモータ11を制御する制御装置40が設置されている。尚、ドライブ装置12は、旋回軸を機器収納室3の前後方向中央で、且つ左右方向中央に位置させて設けてあり、支持台14及び支持台14に支持される他の機器もこの旋回軸周りに旋回する。
【0028】
又、図1と図2に示すように、ステアリングハンドル15と、アクセルレバー16とが、それぞれの操作部分を機器収納室3の上方、つまりトップカバー30の上方に位置させた状態で設けられている。図3に示すように、ステアリングハンドル15は、主に、運転者が手で把持して操作するホイール15Aと、スポーク15Bと、ベース15Cと、シャフト15Dと、ブラケット15Eとからなっている。ホイール15Aは円環状に形成されており、中心軸を幾分後傾させて設けられている。スポーク15Bは、その上端部がホイール15Aに連結され、下端部がベース15Cに連結されている。ベース15Cは円板状に形成され、図3に示すように、モータ11及び制御装置40の上方で、更にピラー32の上端よりも上方に配置されている。図4Bに示すように、ベース15Cの前部には切欠きが形成されており、この切欠きを横切るようにしてベース15Cにワイヤサポート15Fが設けられている。ワイヤサポート15Fは、ベース15Cの下面から下方に向けて突設されており、図3に示すように、その下端がピラー32を連結する上側のブラケット33よりも上方に位置するように形成されている。シャフト15Dはその上端部がベース15Cに連結され、下端部がブラケット15Eに連結されており、ブラケット15Eが支持台14上にボルト止めされることで、ステアリングハンドル15が支持台14に固定される。ここで、ブラケット15Eはモータ11よりも外側で支持台14に固定され、これにより、シャフト15Dは、ブラケット15Eを介してモータ11よりも外側位置で支持台14に連結されることとなり、シャフト15Dとモータ11との間には空隙が確保される。
【0029】
このように設けられるステアリングハンドル15にトップカバー30が固定され、トップカバー30にアクセルレバー16が固定される。これにより、ホイール15Aを手で持ってステアリングハンドル15を旋回操作することで、トップカバー30、アクセルレバー16も旋回する。尚、アクセルレバー16には、その操作量を検出するセンサが付設されており、このセンサからの信号が制御装置40に入力され、これに基づいて制御装置40はモータ11の制御を行う。
【0030】
運転台5は、図2と図4Aに示すように、サイドフレーム1L,1Rにわたって支持され、左右両側部が各サイドフレームにそれぞれビス止めにて固定されて設けられる。この運転台5の下方には後輪9に制動をかけるブレーキ装置(図示せず)に連動させたリンク機構が配置されており、このリンク機構に接続されているブレーキペダル17、及びブレーキレバー18が運転台5から上方に突出させて設けられている。そのため、運転台5にはこれらが通される切欠きを形成してある。又、運転台5は、固定用のビスを取り外すことで、サイドフレーム1L,1Rから取り外すことが可能とされている。
【0031】
図3に示すように、モータ11が設置される支持台14には、制御装置40が設けられている。制御装置40は、ブラケット41を介して支持台14に支持されており、このブラケット41は、上方水平部と、上方水平部の端部から下方に延設される垂直部と、上方水平部と平行で、垂直部に対し逆向きに設けられる下方水平部とからなるクランク状に形成されている。ブラケット41の上方水平部はモータ11の上面にボルト止めで固定され、下方水平部は支持台14の上面にボルト止めで固定され、そして、垂直部に制御装置40がボルト止めで固定される。又、ブラケット41の上方水平部から垂直部にかけてワイヤサポート42が設けられており、このワイヤサポート42に沿って導かれた電線50が、制御装置40が備える端子に接続される。尚、制御装置40は、アクセルレバー16のセンサとも信号線で接続される。
【0032】
制御装置40は、アクセルレバー16が操作されモータ11を力行制御する際には、バッテリ10から電線50を介して電力の供給を受け、モータ11にアクセルレバー16の操作量に応じた電圧を印加する。こうしてモータ11で発生した動力がドライブ装置13によって前輪8に伝達され、前輪8が回転駆動されて当該運搬車は走行する。又、走行中にモータ11を回生制御する際には、モータ11で回生された電力を受けて、電線50を介してバッテリ10に電力を供給し、バッテリ10を充電する。
【0033】
さて、図4Aと図4Bに示すように、バッテリ10に接続された電線50は、バッテリ10の右側からクロスフレーム1Bの前方を通してサイドフレーム1Lへ導かれ、サイドフレーム1Lに沿って前方へと導かれる。こうしてハウジング20の左側方にまで到達すると、電線50は、貫通孔2aを通してフロントフレーム2の上面よりも上方に立ち上げられ、更に、ハウジング20の左側を外周に沿って機器収納室3の前部へと導かれる。電線50は下側のブラケット34よりも下方でハウジング20に沿わされ、前側の各ピラー32の間の位置で、ブラケット34を貫通してワイヤサポート36に向けられ、機器収納室3内へと導かれる。そして、ワイヤサポート36に沿うようにして上側のブラケット33へ向かって立ち上げられる。尚、図示していないが、バッテリ10からワイヤサポート36の上部に至るまでの区間において、電線50は、サイドフレーム1L、ハウジング20、ワイヤサポート36に対し、固定用のバンドやクランプ部材により適宜固定されている。
【0034】
機器収納室3の前部で、モータ11及び制御装置40よりも上方で、且つ上側のブラケット33のよりも上方にまで立ち上げられた電線50は、機器収納室3の中央を経由してワイヤサポート42に向かって導かれる。ここで、電線50は、モータ11及び制御装置40と、ベース15Cとの間で機器収納室3の中央を経由し、図5に実線で示すように、前輪8を直進方向に向けた状態で、機器収納室3の中央から後方に位置するワイヤサポート42に向かって導かれ、そして、ワイヤサポート42に沿って垂れ下げられて制御装置40へ導かれ、制御装置40に接続される。ワイヤサポート42は、モータ11とシャフト15Dとの間に配置されており、電線50は両者の間で垂れ下げられ、ワイヤサポート42に図示しない固定用バンドにて固定される。又、制御装置40が備える端子とモータ11が備える端子とが図示しない電線により接続され、これによりバッテリ10とモータ11とが制御装置40を介して接続される。
【0035】
上記のように配線された電線50のうち、バッテリ10からフロントフレーム2上面の上方に至るまでの区間が本発明における第1の電線の沿導部に相当し、そこから機器収納室3の前部で機器収納室3内へ至るまでの区間が導入部に相当し、更にそこからモータ11及び制御装置40よりも上方に至るまでの区間が立上部に相当し、又更にそこから制御装置40に至るまでの区間が渡り部に相当する。一方、制御装置40とモータ11との間で接続される電線が、本発明における第2の電線に相当する。
【0036】
電線50を接続した上で、ステアリングハンドル15を平面視右回りに旋回操作すると、ドライブ装置12、支持台14、そして支持台14に支持されるモータ11、制御装置40は、機器収納室3の中央を中心に平面視右回りに旋回して左側へ移動し、これに伴って電線50は、図5に二点鎖線で示すように、機器収納室3のほぼ中央を中心に左側へ揺動する。逆にステアリングハンドル15を平面視左回りに旋回操作すると、ドライブ装置12などは機器収納室3の中央を中心に平面視左回りに旋回して右側へ移動し、これに伴って電線50は、機器収納室3のほぼ中央を中心に右側へ揺動する。ここで、電線50の揺動の中心となる部分は、ワイヤサポート42に固定されていないのはもちろん、他のサポート部材などにも固定されていない。
【0037】
このような実施例1によれば、ステアリングハンドル15を操作しても、電線50に無理な力が作用することがなく、電線50がモータ11や制御装置40に擦れたり、引っ掛かったりすることもないので、電線50を傷めず、操舵を円滑に行うことができる。又、電線50が、車体1においては、サイドフレーム1L及びフロントフレーム2により保護され、機器収納室3においては、トップカバー30及びサイドカバー31により保護されるので、機器収納室3内はもとよりその他の箇所においても電線50の垂れ下がりや損傷を防止して当該運搬車の耐久性を高めることができる。更に、モータ11と制御装置40とが同じ支持台14上に設置されているので、両者を容易に電線で接続することができ、しかも、この電線はモータ11及び制御装置40と一体的に旋回することになるので、ステアリングハンドル15を操作した際にこの電線にねじりや曲げの力が作用するようなことはなく、操舵に支障を来たすこともない。
【0038】
又、実施例1によれば、サイドフレーム1Lに沿わせた電線50をサイドフレーム1Lに適宜固定するだけで、サイドフレーム1Lに沿ってバッテリ10の搭載された位置から前方へと導くことができ、ハウジング20の外周に沿わせた電線50をハウジング20に適宜固定するだけで、ハウジング20に沿って機器収納室3の前部へと導くことができるので、作業者は簡単に作業を行うことができる。更に、ワイヤサポート36に沿わせた電線50をワイヤサポート36に適宜固定するだけで、ワイヤサポート36に沿って確実に立ち上げることができ、ワイヤサポート42に沿わせた電線50をワイヤサポート42に適宜固定するだけで、ワイヤサポート42に沿って制御装置40へ確実に導くことができるので、作業者は簡単に作業を行うことができる。又更に、サイドカバー31はピラー32から取り外すことができ、ステアリングハンドル15は支持台14から取り外すことができるので、これらを取り外した状態で配線を行うようにすることができ、非常に作業性が良い。加えて、電線50のうち、機器収納室3よりも後方で、且つバックレスト6よりも前方の部分については、運転台5を取り外すことでこの部分に対応するサイドフレーム1Lが暴露されるので、作業者は容易に配線を行うことができる。
【0039】
尚、実施例1では、フロントフレーム2に貫通孔2aを設け、この貫通孔2aに電線50を通すようにしたが、貫通孔2aの位置は上記のハウジング20の左端近傍位置に限られず、ハウジング20の左端近傍位置よりも前寄りの位置に設けたり、後寄りの位置に設けたりしても構わない。又、上記の構成とは左右を入れ替えて本発明を実施することも可能である。例えば、バッテリ10からサイドフレーム1Rに沿って前方へ電線50を導くようにすることができ、ハウジング20の右側でフロントフレーム2に貫通孔2aを設け、ハウジング20の右側を沿わせて電線50を機器収納室3の前部に導くようにすることができる。
【実施例2】
【0040】
上記の実施例1では、ハウジング20の側方から機器収納室3内へ電線50を導くようにしているが、これに代えて、図6に示すように、カバー22で電線50を案内して、ハウジング20の後方、つまりフロントフレーム2よりも後方位置から機器収納室3内へ電線50を導くようにすることができる。又、実施例1では、ワイヤサポート36に固定される部分と、ワイヤサポート42に固定される部分との間の区間において、電線50は、ベース15Cに設けたワイヤサポート15Eに当接させることで、モータ11及び制御装置40と、その上方のベース15Cとの間に位置させている。このように電線50を位置させる手段は実施例1のものに限らず、モータ11及び制御装置40と、その上方のベース15Cとの間に配置したワイヤサポートに電線50の少なくとも一部を固定することで、上記区間の電線50をモータ11及び制御装置40と、その上方のベース15Cとの間に位置させることができる。以下、このように構成した本発明の他の実施例(以下、実施例2)につき説明する。尚、実施例1と共通する構成、並びにその作用・効果については、説明を省略、或いは簡略化している。
【0041】
車体1の前部に備えられたフロントフレーム2には、図7に示すように、上下に開口された円筒状のハウジング20が立設されている。図9に示すように、ハウジング20の外側面には、外方へ向けて前側2箇所、後側1箇所の計3箇所にピラーサポート21が突設されている。又、後側のピラーサポート21の下方でハウジング20の外側面には、上下に開口されたカバー22が、後方、つまり運転台5側に向けて突設されており、このカバー22内を上下に電線50を通せるようになされている。
【0042】
機器収納室3は、上記の実施例1と同様に、主に、上方を覆うトップカバー30と、側方を覆うサイドカバー31と、サイドカバー31を支持するピラー32とからなっている。トップカバー30は、ステアリングハンドル15と共に一体的に旋回するよう設けられ、サイドカバー31は、各ピラーサポート21に支持されたピラー32に着脱可能に取り付けられる。図7に示すように、前側2箇所のピラーサポート21にそれぞれ支持された2本のピラー32は、その上部がブラケット33により連結され、その下部がブラケット34により連結されている。又、前側の各ピラー32と後側のピラー32とは、それぞれの上部がブラケット35により連結されている。ここで、ブラケット33とブラケット34とにかけてワイヤサポート36が立設されており、更にブラケット33には、機器収納室3の中央に向けてワイヤサポート37が延設されている。尚、この実施例2でも、上記実施例1と同様に、下側のブラケット34よりも下方であっても、側方をサイドカバー31で覆われる範囲については機器収納室3内としている。
【0043】
ワイヤサポート36は、その上端がブラケット33の下面に、下端がブラケット34の上面にそれぞれ接合されており、モータ11や制御装置40よりもサイドカバー31に近い位置、つまり機器収納室3の外側寄りの位置で、機器収納室3の左右方向中央に配置されている。一方、ワイヤサポート37は、図7と図8に示すように、ブラケット33よりも上方に配置され、図9に示すように、ワイヤサポート36と同様に機器収納室3の左右方向中央に配置されている。又、ワイヤサポート37は、前後方向のほぼ中央部に上向きに開放されたU字形の案内部材を備え、先端側、つまり機器収納室3の中央側の端部に下向きに開放されたU字形の案内部材を備えている。そして、図7ないし9に示すように、これら両案内部材を通して電線50が配される。
【0044】
機器収納室3内には、図7に示すように、ドライブ装置12がドライブサポート13を介してハウジング20の上部に縦軸心周りに旋回可能に支持されており、旋回軸を機器収納室3の前後方向中央で、且つ左右方向中央に位置させて設けてある。ドライブ装置12の上端部に固定された支持台14上には、モータ11が縦置きで設置され、又、モータ11よりも外側位置でモータ11を制御する制御装置40が設置されている。
【0045】
又、図6に示すように、ステアリングハンドル15と、アクセルレバー16とが、それぞれの操作部分を機器収納室3の上方、つまりトップカバー30の上方に位置させた状態で設けられている。図7に示すように、ステアリングハンドル15は、主に、運転者が手で把持して操作するホイール15Aと、スポーク15Bと、ベース15Cと、シャフト15Dと、ブラケット15Eとからなっている。ホイール15Aは円環状に形成されており、スポーク15Bは、その上端部がホイール15Aに連結され、下端部が円板状に形成されたベース15Cに連結されている。シャフト15Dはその上端部がベース15Cに連結され、下端部がブラケット15Eに連結されており、ブラケット15Eが支持台14上にボルト止めされることで、シャフト15Dはブラケット15Eを介して支持台14に連結され、ステアリングハンドル15が支持台14に固定される。ここで、図7に示すように、上記の実施例1と同様に、ベース15Cは、モータ11及び制御装置40の上方で、更にピラー32の上端よりも上方に配置され、又、シャフト15Dはモータ11よりも外側位置で支持台14に連結される。そして、このステアリングハンドル15にトップカバー30が固定されている。
【0046】
運転台5は、図8に示すように、サイドフレーム1L,1Rにわたって着脱可能に支持され、この運転台5の前端には、左右方向中央の位置に電線50を通す切欠き5aを形成してある。尚、クロスフレーム1Aには、左右方向中央の位置に切欠き1aが形成されており、電線50は上下に重なる両切欠き1a,5aを通して設けられる。又、上記の実施例1ではフロントフレーム2に貫通孔2aが形成されていたが、この実施例2では形成されていない。
【0047】
図7に示すように、支持台14には制御装置40がブラケット41を介して支持されており、このブラケット41は、上方水平部と、垂直部と、下方水平部とからなるクランク状に形成されている。ブラケット41の上方水平部はモータ11の上面にボルト止めで固定され、下方水平部は支持台14の上面にボルト止めで固定され、そして、垂直部に制御装置40がボルト止めで固定される。又、ブラケット41の上方水平部から垂直部にかけてワイヤサポート42が設けられており、このワイヤサポート42に沿って導かれた電線50が、制御装置40が備える端子に接続される。
【0048】
さて、図8に示すように、バッテリ10に接続された電線50は、バッテリ10の右側からクロスフレーム1Bの前方を通してサイドフレーム1Lへ導かれ、サイドフレーム1Lに沿って前方へと導かれる。こうしてサイドフレーム1Lとクロスフレーム1Aとの接合部にまで到達すると、電線50は、クロスフレーム1Aに沿って車体1の左右方向中央へと導かれ、そして、切欠き1aと切欠き5aとを通して運転台5の上面よりも上方に立ち上げられる。ここで、電線50は、カバー22を通して上方へ立ち上げられ、更に、ハウジング20の右側を外周に沿って機器収納室3の前部へと導かれる。電線50は下側のブラケット34よりも下方でハウジング20に沿わされ、前側の各ピラー32の間の位置で、ブラケット34を貫通してワイヤサポート36に向けられ、機器収納室3内へと導かれる。そして、ワイヤサポート36に沿うようにして上側のブラケット33へ向かって立ち上げられる。モータ11及び制御装置40よりも上方にまで立ち上げられた電線50は、ブラケット33に設けられたワイヤサポート37に沿って、機器収納室3の中央へと導かれる。尚、図示していないが、バッテリ10から機器収納室3の中央に至るまでの区間において、電線50は、サイドフレーム1L、クロスフレーム1A、ハウジング20、ワイヤサポート36、ワイヤサポート37に対し、固定用のバンドやクランプ部材により適宜固定されている。
【0049】
図9に実線で示すように、前輪8を直進方向に向けた状態で、電線50は、機器収納室3の中央から後方に位置するワイヤサポート42に向かって導かれ、そして、ワイヤサポート42に沿って垂れ下げられて制御装置40へ導かれ、制御装置40に接続される。ここで、電線50は、モータ11及び制御装置40と、ベース15Cとの間で機器収納室3の中央を経由し、ワイヤサポート42に向かって導かれる。ワイヤサポート42は、モータ11とシャフト15Dとの間に配置されており、電線50は両者の間で垂れ下げられ、ワイヤサポート42に図示しない固定用バンドにて固定される。又、制御装置40が備える端子とモータ11が備える端子とが図示しない電線により接続され、これによりバッテリ10とモータ11とが制御装置40を介して接続される。
【0050】
上記のように配線された電線50のうち、バッテリ10から運転台5上面の上方に至るまでの区間が本発明における第1の電線の沿導部に相当し、そこから機器収納室3の前部で機器収納室3内へと至るまでの区間が導入部に相当し、更にそこからモータ11及び制御装置40よりも上方に至るまでの区間が立上部に相当し、又更にそこから制御装置40に至るまでの区間が渡り部に相当する。一方、制御装置40とモータ11との間で接続される電線が、本発明における第2の電線に相当する。
【0051】
電線50を接続した上で、ステアリングハンドル15を平面視右回りに旋回操作すると、ドライブ装置12、支持台14、そして支持台14に支持されるモータ11、制御装置40は、機器収納室3の中央を中心に平面視右回りに旋回して左側へ移動し、これに伴って電線50は、図9に二点鎖線で示すように、機器収納室3のほぼ中央を中心に左側へ揺動する。逆にステアリングハンドル15を平面視左回りに旋回操作すると、ドライブ装置12などは機器収納室3の中央を中心に平面視左回りに旋回して右側へ移動し、これに伴って電線50は、機器収納室3のほぼ中央を中心に右側へ揺動する。
【0052】
このような実施例2によれば、ステアリングハンドル15を操作しても、電線50に無理な力が作用することがなく、電線50がモータ11や制御装置40に擦れたり、引っ掛かったりすることもないので、電線50を傷めず、操舵を円滑に行うことができる。又、電線50が、車体1においては、サイドフレーム1L及びクロスフレーム1Aにより保護され、機器収納室3においては、トップカバー30及びサイドカバー31により保護されるので、機器収納室3内はもとよりその他の箇所においても電線50の損傷を防止して当該運搬車の耐久性を高めることができる。更に、電線50の、運転台5の切欠き5aを通されてから機器収納室3内へ至るまでの区間をカバー22にて保護することができるので、運転台5上の運転者のつま先が接触するなどして電線50が損傷するようなことがない。加えて、モータ11と制御装置40とが同じ支持台14上に設置されているので、両者を容易に電線で接続することができ、この電線はモータ11及び制御装置40と一体的に旋回することになるので、ステアリングハンドル15を操作した際にこの電線にねじりや曲げの力が作用するようなことはなく、又、操舵に支障を来たすこともない。
【0053】
又、実施例2によれば、サイドフレーム1Lに沿わせた電線50をサイドフレーム1Lに適宜固定するだけで、サイドフレーム1Lに沿ってバッテリ10の搭載された位置から前方へと確実に導くことができ、クロスフレーム1Aに沿わせた電線50をクロスフレーム1Aに適宜固定するだけで、クロスフレーム1Aに沿って車体1の中央へと確実に導くことができ、ハウジング20の外周に沿わせた電線50をハウジング20に適宜固定するだけで、ハウジング20に沿って機器収納室3の前部へと確実に導くことができるので、作業者は簡単に作業を行うことができる。更に、ワイヤサポート36に沿わせた電線50をワイヤサポート36に適宜固定するだけで、ワイヤサポート36に沿って確実に立ち上げることができ、ワイヤサポート37に沿わせた電線50をワイヤサポート37に適宜固定するだけで、ワイヤサポート37に沿って機器収納室3の中央へ確実に導くことができ、ワイヤサポート42に沿わせた電線50をワイヤサポート42に適宜固定するだけで、ワイヤサポート42に沿って制御装置40へ確実に導くことができるので、作業者は簡単に作業を行うことができる。加えて、電線50のうち、機器収納室3よりも後方で、且つバックレスト6よりも前方の部分、つまり運転台5の下方に位置する部分については、運転台5を取り外すことでこの部分に対応するサイドフレーム1L及びクロスフレーム1Aが暴露されるので、作業者は容易に配線することができる。
【0054】
尚、上記の実施例2では、クロスフレーム1A及び運転台5の左右方向中央に切欠き1a,5aをそれぞれ設け、これらの切欠きに電線50を通すようにしたが、本発明はこのような構成に限られるものではない。例えば、クロスフレーム1Aの切欠き1a及び運転台5の切欠き5aの位置を左右方向中央よりも右寄りの位置に設けたり、左寄りの位置に設けたりしても構わない。又、上記の構成とは左右を入れ替えて本発明を実施することも可能である。例えば、バッテリ10からサイドフレーム1Rに沿って前方へ電線50を導くようにすることができ、ハウジング20の左側を沿わせて電線50を機器収納室3の前部に導くようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例1に係る側面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る平面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る側面図である。
【図4A】本発明の実施例1に係る後方から見た斜視図である。
【図4B】本発明の実施例1に係る前方から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施例1に係る平面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る側面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る側面図である。
【図8】本発明の実施例2に係る後方から見た斜視図である。
【図9】本発明の実施例2に係る平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 車体
1A クロスフレーム
1L サイドフレーム
1R サイドフレーム
1a 切欠き
2 フロントフレーム
2a 貫通孔
20 ハウジング
21 ピラーサポート
22 カバー
3 機器収納室
31 サイドカバー
32 ピラー
36 ワイヤサポート
37 ワイヤサポート
4 荷台
5 運転台
5a 切欠き
8 前輪
10 バッテリ
11 モータ
12 ドライブ装置
14 支持台
15 ステアリングハンドル
15C ベース
15F ワイヤサポート
40 制御装置
41 ブラケット
42 ワイヤサポート
50 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前部に機器収納室を、後部に荷台をそれぞれ備えており、上記機器収納室の下方に前輪が設けられ、更に、上記機器収納室に上記前輪の操舵をなすハンドルが設けられた運搬車において、
上記荷台の下方で上記車体に搭載されるバッテリと、上記機器収納室内で上記車体に対し旋回可能に設けられ、上記前輪及び上記ハンドルとそれぞれ連結される支持台と、該支持台に設置され上記前輪を駆動するモータと、上記支持台に設置され上記モータを制御する制御装置とを備えると共に、上記バッテリと上記制御装置とを接続する第1の電線と、上記モータと上記制御装置とを接続する第2の電線とを備え、
上記第1の電線が、上記バッテリに接続され、上記車体に沿って前方ヘと導かれる沿導部と、該沿導部に連続し、上記機器収納室の下方から該機器収納室内へ導き入れられる導入部と、該導入部に連続し、上記機器収納室内の上記モータ及び上記制御装置より外方で立ち上げられる立上部と、該立上部に連続し、上記モータ及び上記制御装置の上方で上記機器収納室の中央に向けて導かれてから垂れ下げられて上記制御装置に接続される渡り部とからなることを特徴とする運搬車。
【請求項2】
上記支持台は、上記機器収納室の略中央で縦軸心周りに旋回可能に設けられ、上記モータは上記支持台の中央部に設置され、上記制御装置は上記支持台の、上記モータよりも外側位置に設置されており、
上記渡り部が、上記モータ及び上記制御装置よりも上方で上記機器収納室の略中央を経由し、上記モータより外方まで導かれた上で垂れ下げられて上記制御装置に接続されてなることを特徴とする請求項1に記載された運搬車。
【請求項3】
上記ハンドルは、上記機器収納室の上方に配され、運転者が操作するホイールと、上記機器収納室内で上記モータ及び上記制御装置の上方に配されるベースと、該ベースと上記ホイールとを連結して設けられるスポークと、上記ベースから下方に向けて延設され、上記支持台に連結支持されるシャフトとを備えており、
上記シャフトは、上記支持台の、上記モータよりも外側位置に連結され、
上記立上部が、上記モータを間に挟んで上記シャフトと対向して配され、これに連続する上記渡り部が、上記ベースと、上記モータ及び上記制御装置との間で上記機器収納室の中央に向けて導かれてから、上記モータと上記シャフトとの間で垂れ下げられて上記制御装置に接続されてなることを特徴とする請求項2に記載された運搬車。
【請求項4】
上記機器収納室は、上記車体に支持され、上下方向に立設されるピラーと、該ピラーに着脱可能に取り付けられ、上記モータ及び上記制御装置を側方から覆うサイドカバーとを備えており、
上記立上部が、上記サイドカバーの内側面に沿うように立ち上げて固定されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載された運搬車。
【請求項5】
上記ピラーに、上記機器収納室の中央に向けて延設されたサポート部材が支持されており、該サポート部材に、上記渡り部のうち上記機器収納室の中央部よりも上記立上部側の部分が固定されてなることを特徴とする請求項4に記載された運搬車。
【請求項6】
上記車体は、左右方向に離間して配され、前後方向に向けて設けられた左右一対のサイドフレームと、該サイドフレームの前部同士を連結して設けられ、上記機器収納室を支持するフロントフレームとを備えており、
上記荷台が、上記両サイドフレームの後部にわたって支持されると共に、上記バッテリが、上記両サイドフレームの間で上記車体に搭載され、上記沿導部が、上記サイドフレームの内側に沿って固定され、前方へと導かれてなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載された運搬車。
【請求項7】
上記車体は、上記フロントフレームと上記荷台との間で、上記両サイドフレームにわたって着脱可能に設けられる運転台と、該運転台の前端と上記フロントフレームの後端との境界部で、上記両サイドフレームを連結して設けられるクロスフレームとを備えており、
上記沿導部が、上記サイドフレームに沿って上記クロスフレームよりも前方にまで導かれた上で、上記フロントフレームに設けられた貫通孔を通して該フロントフレームの上面よりも上方へと導かれ、これに連続する上記導入部が、上記機器収納室の側部下方から該機器収納室内へ導き入れられてなることを特徴とする請求項6に記載された運搬車。
【請求項8】
上記車体は、上記フロントフレームと上記荷台との間で、上記両サイドフレームにわたって着脱可能に設けられる運転台と、該運転台の前端と上記フロントフレームの後端との境界部で、上記両サイドフレームを連結して設けられるクロスフレームとを備えており、
上記沿導部が、上記サイドフレームに沿って該サイドフレームと上記クロスフレームとの連結箇所にまで導かれた上で、上記クロスフレームに沿って上記車体の中央側へ導かれ、更に、上記運転台の前端に設けた切欠き部を通して該運転台の上面よりも上方へと導かれ、これに連続する上記導入部が、上記機器収納室の後部下方から該機器収納室内へ導き入れられてなることを特徴とする請求項6に記載された運搬車。
【請求項9】
上記フロントフレームの左右方向中央に、上下に開口された筒状のハウジングが立設され、該ハウジングに、上記前輪を回転可能に支持し、上記モータからの動力を上記前輪に伝達する動力伝達装置が縦軸心周りに旋回可能に設けられており、該動力伝達装置に上記支持台が固定支持されて上記車体に対し旋回可能とされ、更に、上記導入部が、上記ハウジングよりも外方で上記機器収納室内へ導き入れられてなることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載された運搬車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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