説明

運転支援装置

【課題】システムの大規模化を回避できコンパクトな構成でコストも安価にできる運転支援装置を提供する。
【解決手段】先行車両の車速変化率が予め定められた基準値(急激な加速あるいは減速を示す基準値)を超えないことを条件に設定される車速判定期間に検出された前記先行車両の走行速度の履歴を制御ECU2の記憶装置23に時系列に順次記憶し、前記走行速度の履歴から車速変動レベルΔtdを演算する。車速変動レベルΔtdが予め定められた基準値(燃費悪化を招来する基準値)kを超える場合、先行車両の走行速度の変動幅が大きいと判定し、前記車速判定期間における先行車両の車速から自車両の目標車速Voを算出し、警報音あるいは音声により前記算出力した目標車速Voを自車両の運転者へ報知し、さらに表示部4へ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行車両が車速変動の大きい走行をしている場合に、自車両における適切な車速を通知する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車速変動の大きい走行状態を示している先行車両に追従して走行すると燃費が悪化する。このため前方の車両との車間距離、相対速度を検出可能なセンサを備えた車両においては、先行車両の走行履歴から後続の自車両のドライバに対し、自車両の燃費の悪化を回避するように運転支援を行う運転支援装置がある。
このような車両用の運転支援装置としては、車両の走行に関する車両走行情報を車両走行情報取得手段により先行車両から順次取得し、前記先行車両から取得した車両走行情報と、後続車両から取得した車両走行情報との比較にもとづき、前記先行車両から取得した
車両走行情報を取捨選択し、前記後続車両に出力する先行車両走行履歴情報を先行車両走行履歴情報作成手段により作成し、前記作成した先行車両走行履歴情報を先行車両走行履歴情報出力手段により出力するようにし、各車両は前記先行車両走行履歴情報を先行車両走行履歴情報取得手段により取得して、前記取得した先行車両走行履歴情報をもとに走行支援情報作成出力手段により走行支援情報を作成し出力することで運転支援を行うものが提供されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−104415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、従来の運転支援装置では、先行車両走行履歴情報作成手段、先行車両走行履歴情報取得手段および走行支援情報作成出力手段などを実現する装置を各車両に搭載しなければならず、さらに路側無線装置などの外部装置の設置なども必要になり、システムとして大規模化しコストも高くなるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、システムの大規模化を回避できコンパクトな構成でコストも安価にできる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、先行車両に対する自車両の適切な目標速度を通知する運転支援装置であって、前記先行車両の走行速度を検知する車速判定期間を設定する車速判定期間設定手段と、前記車速判定期間内の前記先行車両の走行速度を検知する先行車両走行情報検出手段と、前記先行車両走行情報検出手段により検知された前記先行車両の走行速度の走行速度履歴を記憶する記憶手段と、前記走行速度履歴から前記先行車両の車速変動レベルを検出し該車速変動レベルが燃費悪化を招来する予め定められた基準値を超えているか否かを判定する車速変動レベル検出判定手段と、前記車速変動レベル検出判定手段により前記車速変動レベルが前記基準値を超えていると判定された場合、前記先行車両に対し、前記走行速度履歴から自車両の目標車速を演算する目標車速演算手段と、前記目標車速演算手段により演算した前記自車両の目標車速を通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先行車両の走行速度を検知する車速判定期間を車速判定期間設定手段により設定し、前記車速判定期間内の前記先行車両の走行速度を先行車両走行情報検出手段により検知し、前記先行車両走行情報検出手段により検知された前記先行車両の走行速度の走行速度履歴を記憶手段に記憶し、車速変動レベル検出判定手段により前記走行速度履歴から前記先行車両の車速変動レベルを検出し該車速変動レベルが燃費悪化を招来する予め定められた基準値を超えているか否かを判定し、前記車速変動レベル検出判定手段により前記車速変動レベルが前記基準値を超えていると判定された場合、前記先行車両に対し、前記走行速度履歴から自車両の目標車速を目標車速演算手段により演算し、前記目標車速演算手段により演算した前記自車両の目標車速を通知手段により通知するように構成したので、外部装置の設置なども不要であり、運転支援を受けようとする車両に搭載されていればよく、システムとして大規模化することなくコンパクトに構成できるなど、安価なコストで前記自車両の目標車速を通知する運転支援装置を提供できる効果がある。
【0008】
本発明によれば、車速判定期間が、先行車両の車速変化率の大きさが急激な加速あるいは減速を示す基準値を超えていないことを条件に車速判定期間設定手段により予め定められた期間に設定されるように構成したので、先行車両の急激な加速あるいは減速が行われない期間に設定された車速判定期間内の前記先行車両の走行速度履歴をもとに自車両の目標車速が通知されるので、外部装置を設置する必要もなく、運転支援を受けようとする車両に搭載されていればよく、システムとして大規模化することなくコンパクトに構成できるなど、安価なコストで前記自車両の目標車速を通知する運転支援装置を提供できる効果がある。
【0009】
また請求項3に記載の本発明によれば、先行車両の入れ替わりを先行車両入替判定手段により検出し判定し、車速判定期間が、前記先行車両の車速変化率の大きさが急激な加速あるいは減速を示す基準値を超えておらず、かつ前記先行車両入替判定手段により前記先行車両の入れ替わりが検出されないことを条件に、車速判定期間設定手段により予め定められた期間に設定されるように構成したので、先行車両の急激な加速あるいは減速が行われない期間であって、かつ前記先行車両の入れ替わりが生じない期間に設定された車速判定期間内の前記先行車両の走行速度履歴をもとに自車両の目標車速が通知されるので、前方の同一先行車に対して、かつ明確な意図を持った加減速区間を除いた先行車走行状態に対して目標車速設定が可能となり、ドライバーの違和感を招かない支援が可能となる。
【0010】
本発明によれば、先行車両入替判定手段により先行車両の入れ替わりを検出し判定し、前記先行車両の車速変化率の大きさが急激な加速あるいは減速を示す基準値を超えるか、あるいは前記先行車両入替判定手段により前記先行車両の入れ替わりが検出されると、前記車速判定期間設定手段が車速判定期間を、前記先行車両の車速変化率の大きさが急激な加速あるいは減速を示す基準値を超えておらず、かつ前記先行車両入替判定手段により前記先行車両の入れ替わりが検出されないことを条件に新たな予め定められた期間に設定するように構成したので、先行車両の急激な加速あるいは減速が行われるか、あるいは前記先行車両の入れ替わりが生じると、新たに設定された車速判定期間内の先行車両の走行速度履歴をもとに自車両の目標車速が通知されるので、前方の先行車が入れ替わる、または先行車が明確な意図を持った加減速を行った場合でも適切な目標車速設定が可能となり、ドライバーの違和感を招かない支援が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態である運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態の運転支援装置における先行車両の入れ替えが生じたときのレーダ装置の検知出力の変化を示す波形図である。
【図4】本発明の実施の形態の運転支援装置における車速判定期間の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の運転支援装置における目標車速を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態である運転支援装置の構成を示すブロック図である。
この実施の形態の運転支援装置は車両に搭載されており、レーダ装置1、制御ECU2、表示ECU3、表示部4および発音部5とを備えている。また、制御ECU2は、先行車車速変動レベル判定部21と制御部22と記憶装置23を備えている。
レーダ装置1は、先行車両の検出、先行車両と自車両との車間距離、先行車両と自車両との相対速度の検出を行う。
制御ECU2は、自車両の各部の制御の中核を成すとともに、この実施の形態の運転支援装置を実現するマイクロコンピュータにより構成されている。このマイクロコンピュータの記憶装置23は、RAMおよびROMを備え、前記RAMにはレーダ装置1により検知された前記先行車両の走行速度の走行速度履歴情報が記憶される。また前記ROMには自車両の各部の制御を行うためのプログラムおよび図2のフローチャートに示すこの実施の形態の運転支援装置を実現するプログラムが格納されている。
また制御ECU2は、表示ECU3との間で通信を行い、自車両の各部の制御に伴う各種情報およびこの実施の形態の運転支援装置により得られる目標車速を含む各種情報の送受信を行う。
表示ECU3は、車速、燃料残量、エンジン回転数、走行距離を含む自車両の走行データと、室外気温、室内温度、燃費などを含む各種情報を表示部4へ表示するための制御と、シードベルト非装着時の警報音などを発音部5から出力させるための制御などを行う。また、表示ECU3は、制御ECU2と例えばシリアルバス6により接続されており、制御ECU2から自車両の目標車速が通知されると、通知された自車両の目標車速を表示部4へ表示し、発音部から音声出力あるいは警報音を出力させる。
表示部4は、表示ECU3により前記走行データや前記自車両の目標車速を含む各種情報がアナログ表示あるいはディジタル表示される。
発音部5は、電気信号を音に変換するスピーカ装置により構成され、自車両の目標車速を音声出力あるいは警報音により出力する。
制御ECU2の先行車車速変動レベル判定部21は、自車両の前方を走行している先行車両の走行速度の変動レベルΔtdを演算し求め、前記変動レベルΔtdが予め定められた一定の基準値kを超えるか否かを判定する。この実施の形態では、変動レベルΔtdの演算は先行車車速変動レベル判定部21が備える演算回路24により実行され、検出した先行車両の車速データをもとに後述するアルゴリズムに従って変動レベルΔtdを演算する。
制御ECU2の制御部22はCPUにより構成されており、制御ECU2を構成するマイクロコンピュータの前記記憶装置23に格納されている図2のフローチャートに示すプログラムを実行することでこの実施の形態の運転支援装置を実現する。制御部22は、車速判定期間設定手段221、目標車速演算手段222、先行車両入替判定手段223および通知手段224を備えている。
車速判定期間設定手段221は、レーダ装置1により先行車両の走行速度が検知される車速判定期間を設定する。
目標車速演算手段222は、先行車車速変動レベル判定部21により前記変動レベルΔtdが前記基準値kを超えていると判定された場合、前記先行車両に対し、記憶装置23の前記RAMに記憶された走行速度履歴から算出した走行速度平均値と走行速度最小値とから自車両の目標車速を演算する。
先行車両入替判定手段223は、前記自車両の前方を走行する先行車両の入れ替わりを検出し判定する。
通知手段224は、前記自車両の目標車速を表示ECU3へ通知する。
【0013】
次に動作について説明する。
この運転支援装置は、自車両の前方を走行する先行車両と自車両との相対速度をレーダ装置1により検出し、前記検出した相対速度と自車両の走行速度から前記先行車両の走行速度を検出する。この先行車両の走行速度は、前記先行車両の車速変化率が予め定められた一定値(急激な加速あるいは減速を示す基準値)を超えないことを条件に設定される予め定められた期間である車速判定期間に検出され、検出された先行車両の走行速度の履歴が制御ECU2の記憶装置23に時系列に順次記憶される。そして、前記車速判定期間に検出された先行車両の走行速度履歴から車速変動レベルΔtdが演算され、車速変動レベルΔtdが予め定められた一定の基準値(燃費悪化を招来する基準値)kを超える場合、先行車両の走行速度の変動幅が大きいと判定し、例えば前記車速判定期間における先行車両の平均車速Vavと下限車速Vminとから自車両の目標車速Voを算出し、警報音により自車両の運転者へ報知しあるいは音声により目標車速Voを自車両の運転者へ報知し、さらに表示部4へ目標車速Voを表示する。
図2は、この運転支援装置の動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに従って動作について説明する。
先ず、制御ECU2の制御部22はレーダ装置1の検出出力をもとに先行車両を検出したか否かを判定する(ステップS1)。この結果、先行車両を検出したと判定すると、続いて前記検出した先行車両の車速を検出する(ステップS2)。この先行車両の車速の検出は、レーダ装置1により検出した車速は先行車両と自車両との相対速度であることから、相対速度から自車両の走行速度を減算することで求める。続いて、得られた先行車両の車速データを記憶装置23へ記憶する(ステップS3)。その後さらに車速判定期間中であるか否かを判定する(ステップS4)。この車速判定期間は、レーダ装置1により先行車両が検出されている期間であり、かつ検出された先行車両の車速変化率の絶対値が予め定められた一定の基準値(急激な加速あるいは減速を示す基準値)以下である期間であり、予め定められた一定の時間幅T1の車速を判定する期間として設定される。
【0014】
図4は、レーダ装置1により検出されている先行車両の車速を横軸を時間軸として表示した先行車両の車速データの一例を示す説明図である。制御ECU2の制御部22は先行車両の車速を図4に示すような車速データとして検出している。そして、レーダ装置1により検出されている先行車両の車速vの変化率Δvの絶対値が予め定められた一定の基準値cを超えず、かつ先行車両の入れ替わりがないことを条件に予め定められた一定の時間幅T1の車速判定期間を設定し、設定した車速判定期間内に検出した先行車両の車速v0、v1、v2、v3……vnを記憶装置23へ記憶する。この車速判定期間が経過すると、前記車速判定期間内に検出し記憶装置23へ記憶した先行車両の車速v0、v1、v2、v3……vnをもとに先行車車速変動レベル判定部21が備える演算回路24が演算を行い、前記車速判定期間内における車速変動レベルΔtdを算出する。
【0015】
レーダ装置1により検出されている先行車両の車速vの変化率Δvの絶対値が前記一定の基準値cを超えた場合には車速判定期間ではないと判定し、先行車両の車速vの変化率Δvの絶対値が前記一定の基準値cを超える直前まで記憶装置23に記憶していた先行車両の車速データをゼロリセットし(ステップS22)、ステップS1へ戻り、レーダ装置1により検出されている先行車両の車速vの変化率Δvの絶対値が一定の基準値cを超えず、かつ先行車両の入れ替わりがないことを条件に予め定められた一定の時間幅T1の新たな車速判定期間を再設定し、前記再設定した車速判定期間内に検出した先行車両の車速vを記憶装置23へ記憶する。
図4に示す先行車両の車速データの一例では、時刻t0から時刻t1の期間は先行車両の車速vの変化率Δvの絶対値が一定の基準値cを超えていない車速判定期間設定期間Aであり、予め定められた一定の時間幅T1の車速判定期間が車速判定期間設定手段221により設定される。また、時刻t1から時刻t2の期間は、先行車両の走行速度が急激に減速したことを示している。この時刻t1から時刻t2の期間では先行車両の車速vの変化率Δvの絶対値が予め定められた一定の基準値cを超える結果、時刻t0から時刻t1の期間内の先行車両の車速vの変化率Δvの絶対値が基準値cを超える直前の車速判定期間内に検出され記憶された先行車両の車速vはゼロリセットされ、時刻t2以降の車速判定期間設定期間Bに設定される新たな車速判定期間に検出された先行車両の車速vが記憶装置23へ記憶される。
【0016】
そして、車速判定期間が予め定められた一定の時間幅T1を経過するまで、レーダ装置1が先行車両を検出しており、先行車両の入れ替えが生じておらず、かつ先行車両の車速vの変化率Δvの絶対値が予め定められた一定の基準値cを超えていないことを条件に先行車両の車速データを検出し記憶装置23へ記憶する。車速判定期間が予め定められた一定の時間幅T1を経過すると、ステップS7からステップS11までの処理に進み車速変動レベルΔtdを演算する。
一方、前記車速判定期間中に先行車両の入れ替えが生じた場合、つまり自車両の前方を走行していた車両が進路変更し、自車両の前方から離脱し、他の車両が自車両の前方に割り混んできた場合、あるいは自車両の前方から離脱した車両のさらに前方を走行していた車両が自車両の先行車両となった場合には、レーダ装置1の先行車両を検出しているときの検知出力の変化をもとに先行車両入替判定手段223は先行車両の入れ替えの発生を判定し、先行車両の入れ替え発生の直前の車速判定期間内に検出され記憶された先行車両の車速データをゼロリセットし(ステップS21)、ステップS1へ戻る。
【0017】
図3は、先行車両の入れ替えが生じたときのレーダ装置1の検知出力の変化を示す波形図である。図3に示すように、自車両のレーダ装置1が先行車両を検出している状態で、その先行車両が自車両の前方から離脱すると、レーダ装置1の検知出力は先行車両非検知を示すが、他の車両が自車両のレーダ装置1の検知範囲に入ることによりレーダ装置1の検知出力は先行車両検知を示すことになる。先行車両入替判定手段223は、このレーダ装置1の検知出力の変化をもとに先行車両の入れ替えを判定することが可能である。
【0018】
次に先行車車速変動レベル判定部21が備える演算回路24により実行される車速変動レベルΔtdの演算について説明する。この車速変動レベルΔtdの演算は、図2のフローチャートではステップS7、ステップS8、ステップS9、ステップS10、ステップS11として示されている。
ステップS7では、設定した車速判定期間内の先行車両の車速vのうちの最大車速Vmaxを、記憶装置23に記憶されている先行車両の車速データから検出する。
ステップS8では、車速判定期間内の先行車両の車速vのうちの最小車速Vminを、記憶装置23に記憶されている先行車両の車速データから検出する。
ステップS9では、最大車速Vmaxと最小車速Vminとの差分、つまり前記車速判定期間内の先行車両の車速データの変動幅(Vmax−Vmin)を演算する。
ステップS10では、前記車速判定期間内の記憶装置23に記憶されている先行車両の車速データの平均値Vavを演算して求める。
ステップS11では、演算回路24が、ステップS9で演算した先行車両の車速データの変動幅(Vmax−Vmin)をステップS10で演算した車速データの平均値Vavで除算し、前記車速判定期間内の車速変動レベルΔtdを求める。
演算回路24は、このようにして車速判定期間に検出された先行車両の車速vから前記車速判定期間内の車速変動レベルΔtdを演算し所定のレジスタに保存する。
【0019】
続くステップS12では、制御部22は、前記レジスタに書き込まれている車速変動レベルΔtdを読み出して、車速変動レベルΔtdが予め定められた一定の基準値(燃費悪化を招来する基準値)kを超えるか否かを判定する。そして、車速変動レベルΔtdが前記一定の基準値kを超える場合、先行車両の走行速度の変動幅が大きいと判定し、前記車速判定期間における先行車両の平均車速Vavと下限車速Vminとから、目標車速演算手段222が自車両の目標車速Voを算出する(ステップS13)。
さらに、算出された目標車速Voは通知手段224により表示ECU3へ通知され、表示ECU3が警報音により自車両の運転者へ先行車両の車速変動幅が大きいことを報知し、あるいは先行車両の車速変動幅が大きいため目標車速Voを維持するように自車両の運転者へ報知し(ステップS14)、さらに表示部4へ自車両の目標車速Voを表示する(ステップS15)。その後、前記記憶装置23の前記RAMに記憶されている先行車両の車速データ、前記レジスタに書き込まれている車速変動レベルΔtdを制御部22がゼロリセットする(ステップS16)。
【0020】
ステップS13における目標車速演算手段222による自車両の目標車速Voは例えば次のように算出される。図5は、この目標車速Voを示す説明図である。図5に示すように、車速判定期間A中の先行車両の平均車速をVAav、下限車速をVAminとすると、目標車速VoはVAav−(VAav−VAmin)/2として演算し求める。この目標車速Voは、図5に示すように先行車両に対し自車両が近づきすぎず、また離れすぎない状態で走行可能になるような車速であり、この目標車速Voに従って走行することで、先行車両に追従した過度な加減速走行が回避されて自車両の燃費が向上することになる。
【0021】
以上、説明したようにこの実施の形態によれば、外部装置の設置なども不要であり、運転支援を受けようとする車両に搭載されていればよく、先行車両に追従した過度な加減速走行を避けて目標車速Voに従うことで自車両の燃費を向上できるという適切な運転支援の通知を、システムとして大規模化することなくコンパクトな構成で、かつ安価なコストで提供できる効果がある。
【符号の説明】
【0022】
1……レーダ装置(先行車両走行情報検出手段)、2……制御ECU、3……表示ECU(通知手段)、4……表示部、5……発音部、21……先行車車速変動レベル判定部(車速変動レベル検出判定手段)、22……制御部、23……記憶装置(記憶手段)、24……演算回路、221……車速判定期間設定手段、222……目標車速演算手段、223……先行車両入替判定手段、224……通知手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行車両に対する自車両の適切な目標速度を通知する運転支援装置であって、
前記先行車両の走行速度を検知する車速判定期間を設定する車速判定期間設定手段と、
前記車速判定期間内の前記先行車両の走行速度を検知する先行車両走行情報検出手段と、
前記先行車両走行情報検出手段により検知された前記先行車両の走行速度の走行速度履歴を記憶する記憶手段と、
前記走行速度履歴から前記先行車両の車速変動レベルを検出し該車速変動レベルが燃費悪化を招来する予め定められた基準値を超えているか否かを判定する車速変動レベル検出判定手段と、
前記車速変動レベル検出判定手段により前記車速変動レベルが前記基準値を超えていると判定された場合、前記先行車両に対し、前記走行速度履歴から自車両の目標車速を演算する目標車速演算手段と、
前記目標車速演算手段により演算した前記自車両の目標車速を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記車速判定期間は、前記車速判定期間設定手段により、前記先行車両の車速変化率の大きさが急激な加速あるいは減速を示す基準値を超えていないことを条件に予め定められた期間に設定されることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記先行車両の入れ替わりを検出し判定する先行車両入替判定手段を備え、
前記車速判定期間は、前記車速判定期間設定手段により、前記先行車両の車速変化率の大きさが急激な加速あるいは減速を示す基準値を超えておらず、かつ前記先行車両入替判定手段により前記先行車両の入れ替わりが検出されないことを条件に予め定められた期間に設定されることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記先行車両の入れ替わりを検出し判定する先行車両入替判定手段を備え、
前記車速判定期間は、前記先行車両の車速変化率の大きさが急激な加速あるいは減速を示す基準値を超えるか、あるいは前記先行車両入替判定手段により前記先行車両の入れ替わりが検出されると、前記車速判定期間設定手段により、前記先行車両の車速変化率の大きさが急激な加速あるいは減速を示す基準値を超えておらず、かつ前記先行車両入替判定手段により前記先行車両の入れ替わりが検出されないことを条件に新たな予め定められた期間に設定されることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−221018(P2012−221018A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83427(P2011−83427)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】