説明

過加水分解活性を有する酵素を用いた過酸の生産

カルボン酸エステルからのペルオキシシカルボン酸の生産方法を提供する。より詳しくは、カルボン酸エステルを、過加水分解活性を有する酵素触媒の存在下で無機過酸化物(例えば過酸化水素)と反応させる。本発明のペルヒドロラーゼ触媒は、保存された構造的特徴に基づいて、炭水化物エステラーゼファミリー7(CE−7)に属するものに分類される。さらに、本明細書で説明される方法によって生産された過酸を含む殺菌製剤が提供される。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ぺルオキシカルボン酸を生産させる方法であって、該方法は
a)以下を含む反応成分一式を提供すること:
1)以下からなる群より選択される少なくとも1つの基質:
i)次式の構造を有するエステル:
[X]m5
[式中、X=式R6C(O)Oのエステル基であり、
6=C1〜C7の直鎖、分枝鎖または環状のヒドロカルビル部分(該ヒドロカルビル部分は、場合によりヒドロキシル基またはC1〜C4のアルコキシ基で置換されており、R6は場合によりR6=C2〜C7に関して1つまたはそれ以上のエーテル結合を含んでいる)であり;
5=C1〜C6の直鎖、分枝鎖または環状のヒドロカルビル部分(該ヒドロカルビル部分は、場合によりヒドロキシル基で置換されており;ここで、R5中の各炭素原子はただ1つのヒドロキシル基またはただ1つのエステル基を個々に含んでおり;R5は場合により1つまたはそれ以上のエーテル結合を含んでいる)であり;
m=1〜R5中の炭素原子数であり;かつ
該エステルは25℃において少なくとも5ppmの水溶解度を有している];および
ii)以下の構造を有するグリセリド:
【化1】

[式中、R1は、C1〜C7の直鎖または分枝鎖のアルキル(該アルキルは、場合により、ヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基で置換される)であり、R3およびR4はそれぞれ、HまたはR1C(O)である];
iii)アセチル化単糖、アセチル化二糖およびアセチル化多糖からなる群より選択されるアセチル化糖;
2)過酸素源;および
3)過加水分解活性を有する酵素触媒(該酵素触媒は配列番号82、配列番号90、配列番号98、および配列番号106からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたは該アミノ酸配列に1個またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失または付加することによって誘導されたペルヒドロラーゼ活性を有する実質的に類似した酵素である);ならびに
b)該反応成分を適切な水性反応条件下で組み合わせることによって、ぺルオキシカルボン酸を生産させること、
を含む、方法。
【請求項2】
ペルヒドロラーゼ活性を有する実質的に類似した酵素が、配列番号82、配列番号90、配列番号98、および配列番号106からなる群より選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸配列と少なくとも95%同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基質が、モノアセチン;ジアセチン;トリアセチン;モノプロピオニン;ジプロピオニン;トリプロピオニン;モノブチリン;ジブチリン;トリブチリン;グルコースペンタアセタート;キシローステトラアセタート;アセチル化キシラン;アセチル化キシランフラグメント;β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート;トリ−O−アセチル−D−ガラクタール;トリ−O−アセチル−グルカール;1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,5−ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールのモノエステルまたはジエステル;およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
酵素触媒が、ストリンジェントな条件下で配列番号77、配列番号80、配列番号81、配列番号85、配列番号88、配列番号89、配列番号93、配列番号96、配列番号97、配列番号101、配列番号104、および配列番号105にハイブリッド形成する核酸分子によってコードされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ぺルオキシカルボン酸が、反応成分を合わせて約5分〜約2時間以内に少なくとも20ppmの濃度で生産される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
生産されたペルオキシカルボン酸が、過酢酸、過プロピオン酸、過酪酸、過乳酸、過グリコール酸、過メトキシ酢酸、過β−ヒドロキシ酪酸、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
生産されたぺルオキシカルボン酸が過酢酸である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酵素触媒が、微生物細胞、透過性を上げた微生物細胞、微生物細胞抽出物、部分精製酵素、または精製した酵素の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酵素触媒はカタラーゼ活性を欠失している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酵素的に生産されたぺルオキシカルボン酸組成物を用いて硬い表面または無生物を消毒する方法であって、該方法は以下:
1)以下からなる群より選択される少なくとも1つの基質:
i)次式の構造を有するエステル:
[X]m5
[式中、X=式R6C(O)Oのエステル基であり、
6=C1〜C7の直鎖、分枝鎖または環状のヒドロカルビル部分(該ヒドロカルビル部分は、場合によりヒドロキシル基またはC1〜C4のアルコキシ基で置換されており、R6は場合によりR6=C2〜C7に関して1つまたはそれ以上のエーテル結合を含んでいる)であり;
5=C1〜C6の直鎖、分枝鎖または環状のヒドロカルビル部分(該ヒドロカルビル部分は、場合によりヒドロキシル基で置換されており;ここで、R5中の各炭素原子はただ1つのヒドロキシル基またはただ1つのエステル基を個々に含んでおり;R5は場合により1つまたはそれ以上のエーテル結合を含んでいる)であり;
m=1〜R5中の炭素原子数であり;かつ
該エステルは25℃において少なくとも5ppmの水溶解度を有している];
ii)以下の構造を有するグリセリド:
【化2】

[式中、R1は、C1〜C7の直鎖または分枝鎖のアルキル(該アルキルは、場合により、ヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基で置換されている)であり、R3およびR4はそれぞれ、HまたはR1C(O)である];および
iii)アセチル化単糖、アセチル化二糖およびアセチル化多糖からなる群より選択されるアセチル化糖;
2)過酸素源;および
3)過加水分解活性を有する酵素触媒(該酵素触媒は配列番号82、配列番号90、配列番号98、および配列番号106からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたは該アミノ酸配列に1個またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失または付加することによって誘導されたペルヒドロラーゼ活性を有する実質的に類似した酵素である);を含む一式の反応成分を提供すること、
該反応成分を適切な水性反応条件下で合わせることによってぺルオキシカルボン酸を生産させること;ならびに
該硬い表面または無生物を該ぺルオキシカルボン酸と接触させることによって該表面または該無生物を消毒すること
を含む、方法。
【請求項11】
反応成分を合わせることによって生産されたぺルオキシカルボン酸を希釈することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
酵素触媒が、ストリンジェントな条件下で配列番号77 配列番号80、配列番号81、配列番号85、配列番号88、配列番号89、配列番号93、配列番号96、配列番号97、配列番号101、配列番号104、および配列番号105からなる群より選択される配列を有する核酸分子にハイブリッド形成する核酸分子によってコードされる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ペルヒドロラーゼ活性を有する実質的に類似した酵素が、配列番号82、配列番号90、配列番号98、および配列番号106からなる群より選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸配列と少なくとも95%同一である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ぺルオキシカルボン酸が、反応成分を合わせて約5分〜約2時間以内に少なくとも20ppmの濃度で生産される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
基質が、モノアセチン;ジアセチン;トリアセチン;モノプロピオニン;ジプロピオニン;トリプロピオニン;モノブチリン;ジブチリン;トリブチリン;グルコースペンタアセタート;キシローステトラアセタート;アセチル化キシラン;アセチル化キシランフラグメント;β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート;トリ−O−アセチル−D−ガラクタール;トリ−O−アセチル−グルカール;1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,5−ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールのモノエステルもしくはジエステル;またはこれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
生産されたペルオキシカルボン酸が、過酢酸、過プロピオン酸、過酪酸、過乳酸、過グリコール酸、過メトキシ酢酸、過β−ヒドロキシ酪酸、またはそれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
生産されたぺルオキシカルボン酸が過酢酸である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
硬い表面または無生物を、反応成分を合わせてから約5分〜約168時間以内にぺルオキシカルボン酸と接触させる、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
硬い表面または無生物を、反応成分を合わせてから約5分〜約48時間以内にぺルオキシカルボン酸と接触させる、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
硬い表面または無生物を、反応成分を合わせてから約5分〜約2時間以内にぺルオキシカルボン酸と接触させる、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
硬い表面または無生物上において、生存可能な生物学的汚染物質の濃度の対数値が少なくとも3減少する、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
硬い表面または無生物上において、生存可能な生物学的汚染物質の濃度の対数値が少なくとも5減少する、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
酵素触媒が、微生物細胞、透過性微生物細胞、微生物細胞抽出物、部分精製酵素、または精製した酵素の形態である、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
酵素触媒はカタラーゼ活性を欠失している、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
酵素的に生産されたぺルオキシカルボン酸組成物を用いて硬い表面または無生物を消毒する方法であって、該方法は以下:
1)以下からなる群より選択される少なくとも1つの基質:
i)次式の構造を有するエステル:
[X]m5
[式中、X=式R6C(O)Oのエステル基であり、
6=C1〜C7の直鎖、分枝鎖または環状のヒドロカルビル部分(該ヒドロカルビル部分は、場合によりヒドロキシル基またはC1〜C4のアルコキシ基で置換されており、R6は場合によりR6=C2〜C7に関して1つまたはそれ以上のエーテル結合を含んでいる)であり;
5=C1〜C6の直鎖、分枝鎖または環状のヒドロカルビル部分(該ヒドロカルビル部分は、場合によりヒドロキシル基で置換されており;ここで、R5中の各炭素原子はただ1つのヒドロキシル基またはただ1つのエステル基を個々に含んでおり;R5は場合により1つまたはそれ以上のエーテル結合を含んでいる)であり;
m=1〜R5中の炭素原子数であり;かつ
該エステルは25℃において少なくとも5ppmの水溶解度を有している];
ii)以下の構造を有するグリセリド:
【化3】

[式中、R1は、C1〜C7の直鎖または分枝鎖のアルキル(該アルキルは、場合により、ヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基で置換されている)であり、R3およびR4はそれぞれ、HまたはR1C(O)である];および
iii)アセチル化単糖、アセチル化二糖およびアセチル化多糖からなる群より選択されるアセチル化糖;
2)過酸素源;および
3)過加水分解活性を有する酵素触媒(該酵素触媒は配列番号82、配列番号90、配列番号98、および配列番号106からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むかまたは前記アミノ酸配列に1個またはそれ以上のアミノ酸を置換、欠失または付加することによって誘導されたペルヒドロラーゼ活性を有する実質的に類似した酵素である);を含む一式の反応成分を適切な水性反応条件下で該硬い表面または無生物上で合わせ、
それによってぺルオキシカルボン酸を発生させることで該硬い表面または無生物を消毒することを含む、方法。
【請求項26】
ぺルオキシカルボン酸を希釈する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
酵素触媒が、ストリンジェントな条件下で配列番号77 配列番号80、配列番号81、配列番号85、配列番号88、配列番号89、配列番号93、配列番号96、配列番号97、配列番号101、配列番号104、および配列番号105からなる群より選択される配列を有する核酸分子にハイブリッド形成する核酸分子によってコードされる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
ペルヒドロラーゼ活性を有する実質的に類似した酵素が、配列番号82、配列番号90、配列番号98、および配列番号106からなる群より選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸配列と少なくとも95%同一である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
ぺルオキシカルボン酸が、反応成分を合わせて約5分〜約2時間以内に少なくとも20ppmの濃度で生産される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
基質が、モノアセチン;ジアセチン;トリアセチン;モノプロピオニン;ジプロピオニン;トリプロピオニン;モノブチリン;ジブチリン;トリブチリン;グルコースペンタアセタート;キシローステトラアセタート;アセチル化キシラン;アセチル化キシランフラグメント;β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート;トリ−O−アセチル−D−ガラクタール;トリ−O−アセチル−グルカール;1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,5−ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールのモノエステルもしくはジエステル;またはこれらの混合物である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
生産されたペルオキシカルボン酸が、過酢酸、過プロピオン酸、過酪酸、過乳酸、過グリコール酸、過メトキシ酢酸、過β−ヒドロキシ酪酸、またはそれらの混合物である、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
生産されたぺルオキシカルボン酸が過酢酸である、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
硬い表面または無生物上において、生存可能な生物学的汚染物質の濃度の対数値が少なくとも3減少する、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
硬い表面または無生物上において、生存可能な生物学的汚染物質の濃度の対数値が少なくとも5減少する、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
酵素触媒が、微生物細胞、透過性を上げた微生物細胞、微生物細胞抽出物、部分精製酵素、または精製した酵素の形態である、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
酵素触媒はカタラーゼ活性を欠失している、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
請求項1に記載の方法によって生産されたぺルオキシカルボン酸を含む、消毒剤または漂白組成物。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate


【公表番号】特表2011−504370(P2011−504370A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534983(P2010−534983)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/067712
【国際公開番号】WO2009/067279
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】