説明

遠心分離機

【課題】 遠心分離機を使用する場合には、レベリングボルトや固定具を使って遠心分離機を固定してから使用しなくてはならない。そのため従来は遠心分離機を頻繁に動かす必要が有る場合には、大変であった。場合によっては、遠心分離機メーカーのサービスマンによて、移動させる必要が有るので、レイアウト変更や、遠心分離機の設置場所の変更が簡単にできないという問題があった。また、遠心機分離機のキャスタのロックの解除及び移動時は、通電状態で行なわないほうが、良い。
【解決手段】 キャスターにより移動可能で、運転する時には前記キャスターを固定、または筐体を床に固定する遠心機において、前記キャスターを固定したとき、または筐体を床に固定したときにのみ運転可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に実験室等で使われる床置き式の遠心分離機は、移動用のキャスターを備えている。そのため、遠心分離機を使用する場合には、特許文献1の第4図に示すようにレベリングボルトと呼ばれる、ボルトを使って、キャスターを床面から離してから使用したり、特許文献1の第1図乃至第5図に示すようにキャスターに固定具を取り付けて、使用している。
こうすることにより、サンプル(試料)の入った試験管などの試料容器のセットミスによる、過大なインバランスによる振動等によって、本体が移動しないようにするためである。
なお、移動させる場合には、前記レベリングボルトを操作してキャスターを床面に下ろしてから移動させるか、キャスターに取り付けた固定具を取り外してから移動させていた。
【0003】
【特許文献1】実開平4−87750
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、床置き式の遠心分離機は、その質量が大きいため移動用にキャスター付のものがほとんどである。そのため、遠心分離機を使用する場合には、背景技術で説明したように、レベリングボルトや固定具を使って遠心分離機を固定してから使用しなくてはならない。そのため従来は遠心分離機を頻繁に動かす必要が有る場合には、大変であった。場合によっては、遠心分離機メーカーのサービスマンによて、移動させる必要が有るので、レイアウト変更や、遠心分離機の設置場所の変更が簡単にできないという問題があった。なお、遠心分離機のキャスターのロックの解除時及び移動させる場合は、通電状態で行なわないほうが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題は、遠心分離機のキャスターの固定、及び遠心分離機を固定をする固定機構を設け、固定する部材が本体下側にあるレバーと連動して、ワンタッチで固定できるようにリンク等を使用して連結することで、足での操作で固定・解除を行うことができ、遠心分離機の設置・移動を容易にすることが可能となる。
【0006】
さらに、前記固定機構に連動して遠心分離機の電源をOFFできるようにしても良い。連動の方策としては、連動する部材が電源スイッチ全部の開口部を覆うことの出来るカバを開閉して動作を制限し、カバが閉まっている時にはカバに設けた突起によって、電源スイッチのレバーを電源OFFの位置に移動させる構造とすることで実現できる。または、連動する部材が電源スイッチの接点部分に連結して、キャスタ固定や本体固定が完了した位置でのみ接点が動通するように配置することでも可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体の固定・解除を容易にできる遠心分離機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例となる遠心分離機の概略構造を示す断面図を図1から図3に示す。遠心分離機本体1にはロータ100の回転するロータ回転室101があり、ロータ回転室101はボウル101bによって、形成されている。ロータ回転室101の上部には、ロータ100を出し入れするための開口部101aを有し、開口部101aを開閉するためのドア1aが設けられている。更に、ボウル101bの下側にはロータ100を回転駆動するモータ(駆動部)102が配置されており、駆動部102の回転駆動力は回転軸102aによって、ロータ100に伝達される。なお、駆動部102の回転速度は図示されていない入力部によって、操作者(オペレータ)によって入力されて設定回転速度になるよう信号線103aを介してコントローラ103で制御される。コントローラ103への電源は、電源スイッチ8のレバー部8aを操作(上下動)することによりON/OFFされる。遠心分離機1底面にはキャスタ4が複数個(通常4個)取り付けられており、本体を移動するときに使用される。
【0009】
電源スイッチ8の前には上下に可動なシャッタ6があり、シャッタリンク10を介してレバーリンク2の一端に軸接続されている。レバーリンク2は筐体に固定されたリンクの支点5を回転中心として、回転するので、レバーリンク2の両端は円状の軌跡をたどりながら、上下に移動することができる。レバーリンク2の一端2aは手動で動作可能である。通常足で操作される。
【0010】
レバーリンク2には、レバーリンク2の一端2aと、支点5との間にストッパリンク11の一端11aが軸接続されており、ストッパリンク11の他端11bは上下に移動可能なキャスタストッパ3に接続されている。更に、レバーリンク2の他端2bには、シャッターリンク10が軸接続されており、ロックレバー2を下げることで遠心分離機1に設けられたガイド1bにガイドされたシャッタ6は、シャッターリンク10によって上方に押し上げられ、キャスタストッパ3は、ストッパリンク11によって押し下げられる構造である。
【0011】
キャスタストッパ3は最下端に下がると全キャスター4の回転をロックし、遠心分離機1が移動できないようロックする機能を有している。図1はキャスター4がフリーの状態であり、遠心分離機1を移動可能である。また図3はロックレバー2を下げ、キャスター4をロックした状態を示している。更に、レバーストッパ12によりロックレバー2の動きを固定することによって、キャスタ4の固定を維持することが出来る。
【0012】
シャッタ6の電源スイッチ8側の面には凸部7があり、シャッタ6が下側にあるときには電源スイッチ8のレバー部8aを凸部7が下方に押し下げるため電源を強制的にOFFするように配置されれている。図2は図1のA方向からみたシャッタ6の図である。凸部7の下方には電源スイッチ8にアクセス可能な開口部20があり、シャッタ6が上の位置にあるときにのみ電源スイッチ8のレバー8aにアクセス可能となり、従来の遠心分離機のように、遠心分離機の使用者によって、電源スイッチ8のレバー8aを操作することが出来るようになり、電源をON又はOFFすることができる。なお、電源がONしている状態でロックレバー2を操作してキャスターストッパ3によるキャスター4のロックが解除されると、シャッタ6が下がり、凸部7が電源スイッチ8のレバー部8aを押し下げて遠心分離機の電源をOFFする。
【0013】
図4は、遠心分離機1の固定をアジャスタフット22で固定する実施例である。先に述べた実施例と、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
ストッパリンク11の他端11bが複数のアジャスタフット22が固定された上下動可能なアジャスタベース21に軸接続され、ロックレバー2と連動している。本図は遠心分離機1が固定された状態を示している。アジャスベース21が下方に下がることで、遠心分離機1を持ち上げ、キャスター4を床から離し、アジャストフック22によって、遠心分離機が床に固定される。各アジャスタフット22は遠心分離機1の水平を出すために高さ調整が可能であり、図示されていないが、シャフト部22aにはネジ部になっており、また、アジャスベース21にも、シャフト部22aのネジ部と同サイズの不図示のネジ穴が設けられている。そのため、アジャスタフット22はアジャスタフット22を回転させることによりアジャスベース21に対して、上下動することが出来きるにので、アジャスタフット22の高さ調整することが出来る。よって、遠心分離機の固定と同時に水平にすることが可能である。
【0014】
図5は、最初の実施例においてシャッタ6の代わりに接点レバー32と接点部31を用いた実施例であり、先に述べた実施例と、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
【0015】
接点部31を操作することで、電源をON/OFFすることが可能である。ロックレバー2と連動した接点レバー32が、ロックレバー2によってキャスターストッパ3を下方に下げるように操作したときに、ガイド1bに沿って、上方に移動することによって、電源スイッチ8と直列に接続されている接点部31のコンタクトアーム31bをもうひとつのコンタクトアーム31aに接触(接続)するまで動かすことで、遠心分離機1に電力を供給することが出来、また、逆に、ロックレバー2によってキャスターストッパ3を上方に上げるように操作したときに、接点レバー32はガイド1bに沿って、下方に移動することによって、コンタクトアーム31とコンタクトアーム31aの接続が切れることで、電源スイッチ8がONの状であっても、電源回路を切断し遠心分離機1への電力供給を遮断することが出来る。図はキャスタ4を固定した状態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例となる遠心分離機の概略断面図。
【図2】図1のA方向から見たシャッタ形状。
【図3】本発明の実施例となる遠心分離機のキャスタロック時の概略断面図
【図4】本発明の実施例となる遠心分離機のフロア固定時の概略断面図
【図5】本発明の実施例となる遠心分離機のキャスタロック時の概略断面図
【符号の説明】
【0017】
1は遠心機本体、2はロックレバー、3はキャスタストッパ、4はキャスタ、5はリンクの支点、6はシャッタ、7は凸部、8は電源スイッチ、10はシャッタリンク、11はストッパリンク、12はレバーストッパ、20は開口部、21はアジャアスタベース、22はアジャスタフット、31は接点、32は接点レバー、33はレバーリンク、100はロータ、101は回転室、102はモータ、103はコントローラ、104は電源プラグである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスターにより移動可能で、運転する時には前記キャスターを固定、または筐体を床に固定する遠心機において、前記キャスターを固定したとき、または筐体を床に固定したときにのみ運転可能なことを特徴とした遠心分離機。
【請求項2】
キャスターを固定、または筐体を床固定したときのみ電源を入れられることを特徴とした請求項1記載の遠心分離機。
【請求項3】
キャスター固定部材または筐体床固定部材と電源スイッチカバー部材が連動しており、キャスターが固定または筐体が床固定されているときにのみ、電源スイッチにアクセスできる構造であることを特徴とした、請求項1から2記載の遠心分離機。
【請求項4】
キャスターの固定を解除したとき、または筐体の床固定を解除した時には、電源スイッチを切断することを特徴とした請求項3記載の遠心分離機。
【請求項5】
キャスター固定部材または筐体固定部材が電源の電気接点と連動しており、キャスターを固定したとき、または筐体固定したときのみ、電気接点が接続されていることを特徴とした請求項1から4記載の遠心分離機。
【請求項6】
電気接点は、電源スイッチと直列に配線されていることを特徴とした請求項5記載の遠心分離機。
【請求項7】
キャスター固定・解除または筐体の床固定・解除が、足で動作可能位置に配置した構造であることを特徴とした請求項1から6記載の遠心分離機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−36051(P2010−36051A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198030(P2008−198030)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】