説明

遠隔プレゼンテーションシステムおよび送信装置

【課題】ネットワーク通信におけるセキュリティを確保しつつ、データ送信速度を向上させることが可能な遠隔プレゼンテーション技術を提供する。
【解決手段】遠隔プレゼンテーションシステムにおけるMFP10a(送信装置)は、MFP10b(受信装置)に対するデータ送信を互いに異なる手法で行うことが可能な複数の通信手段(例えば電子メール送信部およびファクシミリ送信部)を備える。また、MFP10aは、当該複数の通信手段のうち最速通信可能な最速通信手段を判別する判別部95と、当該最速通信手段を用いてMFP10bに対してデータ送信を行う通信制御部94とを備える。複数の通信手段は、それぞれ、MFP10aとMFP10bとの間に設けられたファイアウォールFWの例外設定を伴うことなく通信可能な手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔プレゼンテーションシステムおよびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地に配置された2つの通信装置の相互間でプレゼンテーション用のデータを送受信し、当該2つの通信装置に接続された表示装置によりプレゼンテーション用の画像を表示する遠隔プレゼンテーションシステムが提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、遠隔地に配置された2つのプレゼンテーション装置の相互間において電話回線を用いて静止画を伝送し、伝送された画像を表示装置に表示させる遠隔プレゼンテーションシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−38688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、2つの通信装置の相互間において所謂ネットワーク通信を用いてデータを伝送することも考えられる。ただし、2つの通信装置がそれぞれ遠隔地に配置されている場合には、通常、当該2つの通信装置の相互間にファイアウォールが設けられている。当該ファイアウォールは、各通信装置が接続される各LAN内の通信装置を、第三者による不正アクセス等から保護するために設けられる。そして、このようなファイアウォールは、遠隔地に配置された2つの通信装置の相互間における通信を制限することがある。
【0006】
これに対して、当該ファイアウォールの例外設定を行うことによって、2つの通信装置の相互間での通信を例外的に許可する技術が存在する。例えば、ファイアウォールにおけるパケットフィルタリングのルールを変更して、パケットを通過させることが考えられる。
【0007】
しかしながら、仮にこのようなファイアウォールの例外設定を伴って遠隔プレゼンテーションシステムを構成すると、(LAN内の通信装置に対する)外部からの不正侵入を招きかねず、セキュリティの低下を招来してしまう。
【0008】
一方、上記の特許文献1の技術のように、電話回線を用いて通信を行う場合には、ファイアウォールの例外設定を行うことを要しないため、ネットワークに関するセキュリティは確保される。
【0009】
しかしながら、電話回線による通信速度は、通常、ネットワーク通信による通信速度に比べて遅い。そのため、電話回線のみを用いて通信を行う場合には、通信速度は常に遅い。特に、プレゼンテーションシステムにおける画像変更指示(ページ変更指示)に対するレスポンスは良好ではない。
【0010】
そこで、この発明は、ネットワーク通信におけるセキュリティを確保しつつ、データ送信速度を向上させることが可能な遠隔プレゼンテーション技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、遠隔プレゼンテーションシステムにおける受信装置に対してデータ送信を行う送信装置であって、前記受信装置に対するデータ送信を互いに異なる手法で行うことが可能な複数の通信手段と、前記複数の通信手段のうち最速通信可能な最速通信手段を判別する判別手段と、前記最速通信手段を用いて前記受信装置に対してデータ送信を行う通信制御手段とを備え、前記複数の通信手段は、それぞれ、前記送信装置と前記受信装置との間に設けられたファイアウォールの例外設定を伴うことなく通信可能な手段であることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る送信装置において、前記判別手段は、前記複数の通信手段のそれぞれによるテストデータの通信時間に関する測定結果に基づいて、前記最速通信手段を判別することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る送信装置において、前記複数の通信手段は、前記電子メールを用いてデータ送信を行う第1の通信手段と、前記電話回線を用いてデータ送信を行う第2の通信手段とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る送信装置において、前記複数の通信手段は、前記電子メールを用いてデータ送信を行う第1の通信手段と、前記電話回線を用いてデータ送信を行う第2の通信手段と、WebDAVを用いてデータ送信を行う第3の通信手段と、SOAPを用いてデータ送信を行う第4の通信手段と、SIPを用いてデータ送信を行う第5の通信手段と、HTTPを用いてデータ送信を行う第6の通信手段と、のうちの少なくとも2つを有することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る送信装置において、前記通信制御手段は、プレゼンテーション開始前において、複数の画像に関する複数の画像データを前記受信装置に予め送信して前記複数の画像データを前記受信装置に蓄積させておくとともに、プレゼンテーション開始後において、表示対象画像の変更指示に応答して、前記複数の画像の中から表示対象画像を指示する表示制御用データを前記最速通信手段を用いて送信することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、遠隔プレゼンテーションシステムであって、第1の通信装置と、第2の通信装置とを備え、前記第1の通信装置は、データ送信を互いに異なる手法で行うことが可能な複数の送信手段と、前記複数の送信手段のうち最速通信可能な最速通信手段を判別する判別手段と、前記最速通信手段を用いてデータ送信を行う通信制御手段とを有し、前記第2の通信装置は、前記複数の送信手段から送信されたデータを受信することが可能な複数の受信手段、を有し、前記複数の送信手段は、それぞれ、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間に設けられたファイアウォールの例外設定を伴うことなく通信可能な手段であることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6の発明に係る遠隔プレゼンテーションシステムにおいて、前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置からデータ送信された画像を、前記第2の通信装置に接続された表示手段に表示させる表示制御手段、をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1ないし請求項7に記載の発明によれば、ファイアウォールの例外設定を伴うことなく通信可能な複数の通信手段のうちの最速通信手段を用いて、データ送信が行われるので、ネットワーク通信におけるセキュリティを確保しつつ、データ送信速度を向上させることが可能である。
【0019】
特に、請求項5に記載の発明によれば、プレゼンテーション開始後における表示対象画像の変更時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】遠隔プレゼンテーションシステムの概要を示すシステム構成図である。
【図2】MFPの概略構成を示すブロック図である。
【図3】MFPの一部の構成を詳細に示すロック図である。
【図4】本システムにおける動作を示す概念図である。
【図5】本システムにおける動作を示す概念図である。
【図6】本システムにおける動作を示す概念図である。
【図7】本システムにおける動作を示す概念図である。
【図8】本システムにおける動作を示すフローチャートである。
【図9】本システムにおける動作を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係るMFPの一部の構成を示す図である。
【図11】変形例に係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成概要>
図1は、この実施形態に係る遠隔プレゼンテーションシステム100(100A)の概要を示すシステム構成図である。当該システム100は、2つのマルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral)(以後、MFPとも略称する)10(10a,10b)と表示装置30(30a,30b)とコンピュータ50とを備えている。一方のMFP10aと他方のMFP10bとは、互いに離れた場所(遠隔地)に配置されている。例えば、一方のMFP10aは、大阪の会議室MRaに配置され、他方のMFP10bは、東京の会議室MRbに配置される。このシステム100は、遠隔地に配置された複数のMFP10等の相互間において画像を送受信し、MFP10に接続された表示装置30に当該画像を表示することによって、各種のプレゼンテーションを行う遠隔プレゼンテーションシステムである。各MFP10は、それぞれ、通信装置であるとも表現される。また、主に、MFP10aは、MFP10bに対してデータを送信する送信装置として機能し、MFP10bは、MFP10aからのデータを受信する受信装置として機能する。なお、状況によっては、逆に、MFP10bが、MFP10aに対してデータを送信する送信装置として機能し、MFP10aが、MFP10bからのデータを受信する受信装置として機能することもある。
【0023】
MFP10aは、所属するLAN(Local Area Network)内において他のコンピュータ(例えばコンピュータ50)等に接続され、当該コンピュータ等とネットワーク通信を行うことが可能である。MFP10bも同様に、所属するLAN(Local Area Network)内において他のコンピュータ等に接続され、当該コンピュータ等とネットワーク通信を行うことが可能である。
【0024】
また、2つのMFP10a,10bは、それぞれ、LAN外部の装置のうちWebサーバおよびメールサーバとの間で通信することが可能である。ただし、インターネット等への情報流出防止のため、各MFP10a,10bと対応LANの外部の装置との通信は制限されている。具体的には、2つのMFP10a,10bは、ネットワークNWを介して接続されてはいるが、2つのMFP10a,10bの相互間のネットワークNW上にはファイアウォールFWが構築されている。ファイアウォールFWは、LAN内の通信装置(MFP10を含む)を外部ネットワーク(インターネット等)側からの危険なアクセスから保護するように、構成されている。2つのMFP10a,10bの相互間における直接的なネットワーク通信は当該ファイアウォールFWにより制限され、2つのMFP10a,10bの相互間での直接的なデータ通信は、通常、ファイアウォールFWによって許可されない。
【0025】
このように、各MFP10は、ファイアウォールFWよりも手前側の他の通信装置(具体的には、LAN内のコンピュータ等)、換言すればファイアウォールFWによるアクセス制限が存在しない通信装置、に対しては比較的柔軟にアクセス可能である。しかしながら、各MFP10から、ファイアウォールFWの外部に存在する他の通信装置(MFP10等)へのアクセスは、セキュリティを確保するため当該ファイアウォールFWによって制限されている。
【0026】
ここにおいて、上記の2つのMFP10a,10bの相互間に存在するファイアウォールFWの例外設定を行うことによって、2つのMFP10a,10bの相互間での通信を例外的に許可する技術が存在する。例えば、ファイアウォールFWにおけるパケットフィルタリングのルールを変更して、パケットを通過させることが考えられる。具体的には、ファイアウォールFWにおいて特定のポート等を例外処理の対象として設定するポートフォワーディングを行うことが考えられる。詳細には、特定のTCPポート(例えば80番)宛のアクセスを、LAN内の特定のIPアドレスを有するMFP10に向けて転送するような、ポートフォワーディング設定を行えばよい。これによれば、通信パケットが特定のTCPポートを経由して特定のIPアドレスの装置に到達すること、換言すればパケットがファイアウォールFWを通過することが可能になる。すなわち、LAN外部のネットワークの通信装置からLAN内の特定の通信装置に対するアクセスが許容される。その結果、2つのMFP10a,10bはファイアウォールFWを越えて通信することが可能になる。
【0027】
しかしながら、仮にこのようなファイアウォールFWの例外設定を伴って遠隔プレゼンテーションシステムを構成すると、(LAN内の通信装置に対する)外部からの不正侵入を招きかねず、セキュリティの低下を招来してしまう。
【0028】
そこで、この実施形態においては、ファイアウォールFWの例外設定(例外設定処理)を伴うことなく、すなわちセキュリティを低下させることなく、2つのMFP10a,10bの相互間においてデータ通信を行う技術を用いる。
【0029】
具体的には、次の2つの通信手法(通信手段)を用いる。1つは、電話回線(ファクシミリ回線)を用いた通信手法であり、他の1つは、電子メールを用いた通信手法である。
【0030】
電話回線(ファクシミリ通信)を用いた通信は、上記のようなネットワーク通信とは全く異なる通信手法である。そのため、当該電話回線を用いれば、ファイアウォールFWの例外設定を伴うことなく、2つのMFP10a,10bの相互間においてデータ通信を行うことが可能である。
【0031】
電子メールを用いた通信は、ファイアウォールFWの通常の設定において許容されるものである。また、電子メールを用いた通信は、各MFP10とメールサーバとの間での通信を行うもの(端的に言えばメールサーバを介した通信)であり、2つのMFP10a,10bが直接的に相互に通信するものではない。したがって、電子メールを用いることによれば、ファイアウォールFWの例外設定を伴うことなく、2つのMFP10a,10bの相互間においてデータ通信を行うことが可能である。
【0032】
このように、これらの通信手法は、いずれも、ファイアウォールFWの例外設定を伴わず、セキュリティの低下を伴わない。換言すれば、これらの通信手法によれば、MFP10a,10bの相互間に設けられたファイアウォールFWを維持したまま(すなわちセキュリティを維持したまま)、データ通信を行うことが可能である。
【0033】
この実施形態に係る遠隔プレゼンテーションシステム100Aは、これら2つの通信手法から選択された一方の通信手法(最速通信手法(後述))を用いて、遠隔地に配置された2つのMFP10a,10bの相互間においてプレゼンテーション用の画像データ等を伝送する。このような通信動作については後に詳述する。なお、この実施形態においては、「最速通信手段」を画像データの転送等に用いる場合を例示する。音声データは、たとえば、適宜の通信手段(別途の電話回線等)によって送信されればよい。
【0034】
また、MFP10aは、表示装置30aにネットワーク接続されており、当該表示装置30aは、MFP10aから送信されるデータに基づいて画像を表示する。同様に、MFP10bは、表示装置30bにネットワーク接続されており、当該表示装置30bは、MFP10bから送信されるデータに基づいて画像を表示する。なお、これに限定されず、各表示装置30は、対応するMFP10に対して、専用の接続ケーブル等を介して接続されてもよい。
【0035】
さらに、MFP10aは、コンピュータ50にネットワーク接続されており、当該コンピュータ50との間でLANを介してFTP(File Transfer Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータファイルの送受信動作を実行することが可能である。コンピュータ50は、会議の発表者(プレゼンター)PAによって使用されるコンピュータである。MFP10aは、LANを介してコンピュータ50からの資料データ(発表資料データ)DPを受信することが可能である。
【0036】
図2および図3は、各MFP10(10a,10b)の概略構成を示すブロック図である。なお、以下では、MFP10aを中心に説明するが、MFP10bもMFP10aと同様の構成を有している。
【0037】
図2の機能ブロック図に示すように、MFP10aは、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、入出力部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0038】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像データ(原稿画像とも称する)を生成する処理部である。
【0039】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0040】
通信部4は、電話回線TL(図1参照)を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワークNW(図1参照)を介したネットワーク通信を行うことも可能である。ただし、上述したように、通信部4は、LAN内部の他の通信装置に対しては比較的自由な通信が可能である一方で、LAN外部の他の通信装置とは比較的制約された通信のみが可能である。具体的には、通信部4は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)を用いてWebサーバにアクセスすること、すなわちWebページを閲覧することが可能である。また、通信部4は、各種のメール用プロトコル(SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)およびPOP(Post Office Protocol)等)を用いてメールサーバにアクセスすること、すなわち電子メールの送受信を行うことが可能である。ただし、通信部4は、ファイアウォールFWの通常の設定においては、LAN外部の他の通信装置との間で直接的に(秘匿状態で)通信を行うことは許可されていない。すなわち、通常のファイアウォールFWの設定では、2つのMFP10a,10bの相互間において直接的に(秘匿状態で)通信を行うことは許可されていない。
【0041】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。この格納部5には、画像読取部2等で生成された原稿画像(画像データ)が格納される。また、格納部5においては、資料データDP(図3参照)等が格納される。
【0042】
入出力部6は、MFP10に対する入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。詳細には、MFP10には操作パネル63(図1参照)が設けられている。この操作パネル(タッチスクリーン)63は、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されており、表示部62の一部として機能するとともに、操作入力部61の一部としても機能する。
【0043】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。
【0044】
図3は、図2の一部の構成をさらに詳細に示す図である。
【0045】
図3にも示すように、図3に示すように、コントローラ9は、指示入力受信部91と画像データ作成部(画像変換部)92と制御用データ作成部93と通信制御部94と判別部95と表示制御部96とを含む各種の処理部を実現する。これらの各処理部の動作については、後に詳述する。
【0046】
また、通信部4は、ファクシミリ通信部41と電子メール通信部42とを有する。また、ファクシミリ通信部41はファクシミリ送信部41sとファクシミリ受信部41rとを有しており、電子メール通信部42は電子メール送信部42sと電子メール受信部42rとを有している。なお、これらの通信部41,42(通信部4)は、図3では便宜的にコントローラ9の外部に記載されているが、実際にはコントローラ9の一部をも用いて実現される。
【0047】
さらに、格納部(記憶部)5は、資料データ格納部(プレゼンボックスとも称する)51と画像データ格納部(画像格納部とも称する)52とテストデータ格納部53とを有する。
【0048】
資料データ格納部51は、会議の発表者(プレゼンター)PAの発表用の資料データDPを格納する。資料データDPは、例えば、適宜のプレゼンテーションソフトウエアなどを用いて作成された所定形式のデータファイルである。
【0049】
画像格納部52は、画像データ作成部92により生成された複数の画像データGDを格納する。複数の画像データGDは、プレゼンテーション用の画像データであり、資料データDPに基づいて生成される。
【0050】
テストデータ格納部53は、複数の通信手段(例えば41,42)のそれぞれによる通信に要する時間を測定するためのテスト用のデータ(以下、テストデータとも称する)TDを格納する。テストデータTDは、例えば、制御用データDD(後述)と同程度の大きさ(数百バイト程度)を有する、比較的小さなデータとして構成される。当該テストデータTDは、テストデータ格納部53に予め格納されている。
【0051】
<1−2.動作>
つぎに、本システム100における動作について、図4〜図9を参照しながら説明する。図4〜図7は、本システム100における動作を示す概念図であり、図8および図9は、本システム100における動作を示すフローチャートである。また、図9は、図8の一部の処理(ステップS13,S23)を示すフローチャートである。図8および図9においては、それぞれ、左側に一方のMFP10aの動作が示され、右側に他方のMFP10bの動作が示されている。
【0052】
本システム100においては、図4〜図6に示すように、大別すると次の3つの動作が主に実行される。具体的には、
(1)通信手段の判別動作(ステップS13,S23)(図4)、
(2)画像データGDの転送動作(ステップS14,S24)(図5)、
(3)制御用データDD等の転送動作(ステップS32,S33)(図6)、
が主に実行される。
【0053】
また、この実施形態においては、ページ切換動作をスムーズに行うため、次のような動作が実行される。
【0054】
具体的には、図5に示すように、複数の画像データGDが、プレゼンテーションの開始に先立って、MFP10aからMFP10bへと予め転送され、MFP10bの画像格納部52に格納される。
【0055】
その後、プレゼンテーション中において、図6に示すように、コンピュータ50を介したページ指示入力に応じて、MFP10aは、MFP10bに対して制御用データDD(詳細には、表示制御用データであるページ制御データDD1等)を送信する。ここで、制御用データDDは、MFP10bにおける各種の動作(表示動作等)を制御するためのデータであり、ページ制御データDD1は、複数の画像の中から表示対象画像を指示する表示制御用データである。
【0056】
一方、MFP10bは、受信した当該ページ制御データDD1に基づいてMFP10bの画像格納部52から対応ページの画像データを抽出する。そして、MFP10bは、抽出された画像データに基づいて、対応ページの画像を表示装置30(30b)に表示する。
【0057】
このような態様によれば、ページ変更指示ごとに対応ページの画像データがMFP10aからMFP10bへと転送されることを要しない。したがって、ページ変更指示ごとに対応ページの画像データ自体がMFP10aからMFP10bへと転送される場合に比べて、ページ変更時における通信負荷が低減され、比較的高速に表示対象ページを切り換えることが可能である。
【0058】
また、この実施形態においては、特に、図5および図6での通信動作における通信手段として最も適切な通信手段が、図4に示すようにして予め判別される。したがって、図5および図6での通信動作において、高速なデータ通信を行うことが可能である。特に、ページ切換動作(図6)において最速通信手段を用いることによれば、ページ切換動作において非常に良好なレスポンスを実現することが可能である。
【0059】
以下では、これらの動作等について図8および図9等を参照しながら順次に説明する。
【0060】
プレゼンテーションの開始準備指示がコンピュータ50からMFP10aに対して送信されると、MFP10aの指示入力受信部91は当該開始準備指示を受け付け、MFP10aは当該開始準備指示に応答してステップS11以後の処理を実行する。
【0061】
具体的には、まずステップS11において、MFP10aは、その資料データ格納部51に格納されている資料データDPに基づいて複数の画像データGDを生成する。詳細には、MFP10aの画像データ作成部92が、資料データDPにおける複数のページをそれぞれ表示するための複数の表示用データに対して適宜の画像変換処理を施し、所定形式(たとえばJPEG形式)による複数のプレゼンテーション用画像データGDを生成する。これにより、ページ単位の複数の画像データGD(詳細にはGDi)が生成される。なお、ここでは、ステップS11の処理よりも前の所定の時点において、資料データDPがFTP通信等によって資料データ格納部51に既に送信され、当該資料データ格納部51に既に格納されているものとする。
【0062】
そして、生成された複数の画像データGDは、ステップS12においてMFP10a内の画像格納部52に格納される。
【0063】
つぎに、ステップS13において、MFP10aは、MFP10bに対するデータ送信を互いに異なる手法で行うことが可能な複数の通信手段(通信手法)の中から、最速通信可能な通信手段(以下、「最速通信手段」ないし「最速通信手法」とも称する)を判別する動作を実行する。ここでは、(1)電話回線(ファクシミリ回線)を用いてデータ送信を行う通信手段(ファクシミリ通信部41)と、(2)電子メールを用いてデータ送信を行う通信手段(電子メール通信部42)と、の2つの通信手段の中から、最速通信手段が判別される場合を例示する。
【0064】
そのため、図4にも示すように、テストデータTDを実際に予備的に送信して2つの通信手段のそれぞれに要する通信時間を測定し、最も短い通信時間に対応する通信手段(換言すれば最速の通信手段)を選択する。
【0065】
具体的には、図9に示すように、MFP10aの通信制御部94および判別部95は、テストデータTDをテストデータ格納部53から抽出する(ステップS51)とともに、まず最初のテスト用の通信手段を選択する。たとえば、電話回線を用いた通信手段が、テスト用の通信手段として先ず選択される(ステップS52)。
【0066】
そして、MFP10aの通信制御部94は、選択されたテスト用通信手段(ここではファクシミリ通信部41(ファクシミリ送信部41s))を用いてテストデータTDを実際に送信する。一方、MFP10bの通信制御部94は、MFP10bのファクシミリ通信部41(ファクシミリ受信部41r)を用いて当該テストデータTDを受信する(ステップS63)と、当該MFP10bのファクシミリ通信部41(ファクシミリ送信部41s)を用いてMFP10aに対して完了信号を返信する(ステップS64)。その後、MFP10aのファクシミリ通信部41(ファクシミリ受信部41r)は、MFP10bから送信されてきた完了信号を受信する(ステップS54)。そして、MFP10aの判別部95等は、ステップS54での受信時刻とステップS53での送信時刻との差を、両MFP10相互間での通信に要した時間(通信時間)として算出する。これにより、電話回線を用いた通信手段によるテストデータTDの通信時間TM1が算出される。
【0067】
このようなテストデータを用いた通信動作が全ての通信手段について終了したか否かが判定され(ステップS55)、未終了の通信手段については同様の動作が実行される。
【0068】
たとえば、MFP10aは、次の通信手段、具体的には電子メールを用いた通信手段をテスト用通信手段として選択する(ステップS52)。そして、MFP10aは、選択されたテスト用通信手段(今度は電子メール通信部42)を用いて、テストデータTDを実際に送信(ステップS53)する。具体的には、テストデータTDを含むテストデータ送信用の電子メールが自動的に送信される。その後、MFP10bは、当該電子メールおよび当該電子メールに含まれるテストデータTDを受信(ステップS63)すると、当該受信動作の完了に応答して、MFP10aに対して完了データを含む電子メールを返信する(ステップS64)。また、MFP10aは、MFP10bから送信されてきた電子メールを受信(ステップS54)すると、ステップS54での受信時刻とステップS53での送信時刻との差を、通信時間として算出する。これにより、電子メールを用いた通信手段によるテストデータTDの通信時間TM2が算出される。なお、電子メールを用いた通信は、(ネットワークの通信状況等にも依存するが、)一般的には、電話回線を用いた通信よりも高速である可能性が高い。
【0069】
その後、ステップS56において、これら複数の通信手段のそれぞれによるテストデータTDの通信時間に関する測定結果(TM1,TM2)に基づいて、当該複数の通信手段の中から最速通信手段が決定される。具体的には、MFP10aの判別部95は、複数の測定時間TM1,TM2のうち最も短い時間に対応する通信手段を、「最速通信手段」として決定する。
【0070】
そして、MFP10aの判別部95は、ステップS56での決定内容(判別内容)を、MFP10a内の格納部5に記憶する(ステップS57)。たとえば、「電子メールを用いた通信手段」が最速通信手段である旨が記憶される。
【0071】
以上のようにして、(1)通信手段の判別動作(ステップS13,S23)(図4)が終了すると、次に(2)複数の画像データGDの転送動作(ステップS14,S24)(図8)が実行される(図8参照)。
【0072】
複数の画像データGDは、上記のステップS13(S56)で決定された「最速通信手段」を用いて、MFP10aからMFP10bへと送信される。具体的には、MFP10aの通信制御部94が、画像格納部52から画像表示用の全ての画像データGDを抽出し、当該全ての画像データGDを「最速通信手段」を用いてMFP10bへと送信する(ステップS14)。例えば、電子メール通信部42が最速通信手段として選択されている場合には、電子メール通信部42を用いて各画像データGDがMFP10aからMFP10bへと送信される。
【0073】
一方、MFP10bは、全ての画像データを受信する(ステップS24)と、当該全ての画像データGDを画像格納部52に格納する(ステップS25)。このような動作によって、プレゼンテーション開始前において、画像データGDは、MFP10b内の画像格納部52にも予め蓄積される。
【0074】
以上の動作によってプレゼンテーションの開始準備動作が終了する。
【0075】
その後、プレゼンテーション動作が開始されると、発表者(プレゼンター)PAによるプレゼンテーション資料の表示指示等がコンピュータ50を介して入力される(図6参照)。そして、当該表示指示等は、コンピュータ50からMFP10aへと転送される。たとえば、第1ページの表示指示がコンピュータ50からMFP10aへと転送される。
【0076】
このようなコンピュータ50からの転送動作に応答して、(3)制御用データDD(ページ制御データDD1等)(図6参照)をさらにMFP10bに転送する動作(ステップS32,S42)(図8参照)等が実行される。
【0077】
具体的には、MFP10aの指示入力受信部91が、コンピュータ50からの変更指示(表示指示等)を受信する(ステップS31)と、MFP10aの制御用データ作成部93は、当該変更指示に応答して制御用データDD(例えばページ制御データDD1)を生成する。そして、MFP10aの通信制御部94は、当該制御用データDDをMFP10bへと送信する(ステップS32)。制御用データDDは、たとえば、数バイトから数百バイト程度の大きさのデータとして構成される。制御用データDDは、画像データGD(例えば数百KB(キロバイト))に比べて非常に小さい。
【0078】
このステップS32においては、上記のステップS13(S56)で決定された「最速通信手段」を用いて、制御用データDDがMFP10aからMFP10bへと送信される。たとえば、MFP10aの通信制御部94が「最速通信手段」を用いてMFP10aに対して画像表示用のページ制御データDD1等を送信する。
【0079】
これに対して、MFP10bは、当該制御用データDDを受信する(ステップS42)と、当該制御用データDDがページ制御データDD1であるか否かを判定する(ステップS43)。
【0080】
当該制御用データDDがページ制御データDD1であるときには、MFP10bは当該ページ制御データDD1の内容に基づいて表示更新処理を行う(ステップS44)。たとえば、ページ制御データDD1が、第1ページを表示すべき旨のデータであるときには、MFP10bは、MFP10bの画像格納部52の中から第1ページの画像データGD1を抽出し、当該画像データGD1を用いて当該第1ページの画像を表示装置30bに表示させる(図6参照)。なお、以上のような表示制御動作(ステップS43〜S46)は、MFP10bの表示制御部96等を用いて実行される。
【0081】
また、MFP10aは、ステップS32にて制御用データDDをMFP10bへと送信した後、表示装置30aに関する表示更新動作等を実行する。
【0082】
具体的には、MFP10bに対して、制御用データDDとしてページ制御データDD1を送信したときには、MFP10aは当該ページ制御データDD1の内容に基づいて表示更新処理を行う(ステップS33,S34)。たとえば、ページ制御データDD1が、第1ページを表示すべき旨のデータであるときには、MFP10aは、MFP10aの画像格納部52の中から第1ページの画像データGD1を抽出し、当該画像データGD1を用いて当該第1ページの画像を表示装置30aに表示させる(図6参照)。これにより、表示装置30aと表示装置30bとの双方において、同一の内容(同一ページの画像)が表示される。なお、以上のような表示制御動作(ステップS33〜S36)は、MFP10aの表示制御部96等を用いて実行される。
【0083】
その後においても、発表者(プレゼンター)PAによるプレゼンテーション資料の表示指示等がコンピュータ50を介して入力されるごとに、同様の動作が繰り返される。
【0084】
例えば、図7に示すように、第2ページの表示指示入力に応答して、MFP10aからMFP10bへの表示指示転送動作(ステップS32,S42)が実行されるとともに、各MFP10a,10bにおいて、表示更新動作が実行される(ステップS33,S34,S43,S44)。
【0085】
また、同様にして、表示ページを変更する動作が随時に実行される。なお、ページ制御データDD1は、表示すべきページ番号を直接的に指定する内容(絶対指定方式による指定内容)を含むものでもよく、あるいは、表示すべきページ番号を現在ページとの相対値で指定する内容(相対指定方式による指定内容)を含むものでもよい。
【0086】
その後、発表者(プレゼンター)PAによりプレゼンテーション終了指示がコンピュータ50に入力されると、当該プレゼンテーション終了指示はコンピュータ50からMFP10aの指示入力受信部91に付与される。この指示に応答して、当該終了指示データDD9が、MFP10aの制御用データ作成部93によって作成され、MFP10aからMFP10bへと送信される(ステップS32,S42)。そして、MFP10bは、当該制御用データDDが終了指示データDD9であることを判定すると、MFP10bの画像格納部52内の画像データGDを消去する処理を行う(ステップS45,S46)。同様に、MFP10aは、当該制御用データDDが終了指示データDD9であることを判定すると、MFP10aの画像格納部52内の画像データGDを消去する処理を行う(ステップS35,S36)。
【0087】
以上のようにして、プレゼンテーション動作が実行される。
【0088】
このような態様によれば、ファイアウォールFWの例外設定を伴うことなく(当該ファイアウォールFWを越えて)通信可能な複数の通信手段のうちの「最速通信手段」を用いて、データ送信が行われるので、ネットワーク通信におけるセキュリティを確保しつつ、データ送信速度を向上させることが可能である。
【0089】
特に、プレゼンテーション開始前において画像データがMFP10aからMFP10bに予め送信され画像データがMFP10bに予め蓄積され、プレゼンテーション開始後において、表示対象画像の変更指示入力に応じてページ制御データDD1が最速通信手段を用いて送信される。したがって、プレゼンテーション開始後における表示対象画像の変更時間を短縮することができ、ページ切換動作において良好な応答性(レスポンス)を実現できる。
【0090】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0091】
図10は、第2実施形態に係る遠隔プレゼンテーションシステム100(100B)のMFP10B(10Ba,10Bb)の一部の構成を示す図である。
【0092】
図10に示すように、この第2実施形態においては、複数の通信手段として、上記の2つの通信手段に加えて、さらに別の2つの通信手段をも加えた4つの通信手段を備える場合を例示する。このような別の通信手段としては、WebDAV(Web Distributed Authoring and Versioning)およびSOAP(Simple Object Access Protocol)などの通信プロトコルを用いたネットワーク通信手段(通信手法)43,44が例示される。
【0093】
ここでは、WebDAVを用いたデータ通信手段をWebDAV通信部43と称し、SOAPを用いたデータ通信手段をSOAP通信部44と称する。なお、これらの通信部43,44は、図10では便宜的にコントローラ9の外部に記載されているが、実際にはコントローラ9の機能の一部をも用いて実現される。
【0094】
WebDAVおよびSOAPは、それぞれ、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)を拡張したプロトコルである。したがって、ネットワークNWにおいて2つのMFP10Ba,10Bbの相互間に設けられたファイアウォールFWのセキュリティ低下を伴わずに通信可能な手段である。また、WebDAVおよびSOAPは、それぞれ、比較的高いセキュリティを有する、ネットワーク通信用のプロトコルである。そのため、セキュリティを確保しつつ高速な通信を行うことが可能である。
【0095】
なお、WebDAV等の利用によるセキュリティ低下が懸念される場合には、社内のネットワークシステム内においてMFP10a,10bがファイアウォールFWを介して相互に接続されている状況等において、WebDAV等による通信を行うことが、より好ましい。特に、社外のネットワークとの間にはWebDAV等による通信を許容しないような非常に堅牢なファイアウォールFWを構築しつつ、社内のMFP10a,10bの相互間に設けられたファイアウォールFWではWebDAV等による通信を許容する場合において、本実施形態に係るMFP10Ba,10Bbは好適に利用され得る。
【0096】
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様の動作が実行される。ただし、ステップS13,S23において、4つの通信手段によるテストデータ送信等が実行されるとともに、4つの通信手段による4つの結果に基づいて、最速通信手段が決定される点いおいて相違する。そして、当該最速通信手段を利用して、複数の画像データGDおよび制御用データDD(ページ制御データDD1等)が送受信される。
【0097】
このような動作によっても上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。特に、比較的高速なネットワーク通信が可能な、WebDAV通信部43あるいはSOAP通信部44が最速通信手段として選択される場合には、通信速度を向上させることが可能である。また特に、MFP10BaからMFP10Bbへのページ制御データDD1が高速に転送されることによれば、ページ切換動作を非常に高速なレスポンスで実行することが可能である。
【0098】
<3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0099】
たとえば、上記第2実施形態においては、別の通信プロトコルとして、WebDAVおよびSOAPを例示したが、これに限定されない。例えば、SIP(Session Initiation Protocol)などの通信プロトコルを用いるようにしてもよい。あるいは、HTTPを用いてデータを転送するようにしてもよい。ただし、HTTPでデータを転送する場合には、転送対象データ自体の秘匿性を確保するため、当該転送対象データ自体を暗号化する暗号化技術を併用することが好ましい。
【0100】
また、上記各実施形態においては、2つあるいは4つの通信手段の中から最速通信手段を判別する場合を例示したが、これに限定されず、任意の数の通信手段の中から最速通信手段を判別するようにしてもよい。この場合には、上述した適宜の通信手段等から選択した複数の通信手段(少なくとも2つの通信手段)を通信装置(MFP等)に設けておき、当該複数の通信手段の中から最速通信手段を判別するようにすればよい。
【0101】
また、上記各実施形態においては、最速通信手段の判別動作(ステップS13,S23)を、画像データ送信処理(ステップS14,S24)の前にのみ行う場合(図8)を例示したが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、最速通信手段の判別動作(ステップS38,S48)を、制御用データ送信処理(ステップS32,S33)の直前に制御用データ送信処理ごとに毎回行うようにしてもよい。ステップS38,S48では、ステップS13,S23と同様の判別動作がそれぞれ実行される。これによれば、通信環境の変更等に起因して各通信部41,42等の通信速度が変動する場合においても、制御用データ送信時点での最速通信手段を適切に決定することが可能である。ただし、このような改変例に係る態様を採用する場合には通信負荷が増大する。そのため、通信負荷の増大と通信速度変動の程度とを考慮して、当該改変例に係る態様と上記実施形態に係る態様とのうち適宜の態様を採用することが好ましい。
【0102】
あるいは、最速通信手段の判別動作を適宜のタイミングで(定期的あるいは不定期に)実行するようにしてもよい。具体的には、制御用データ送信処理(ステップS32,S33)の直前において、所定回数の制御用データ送信処理を行うごとに最速通信手段の判別動作を実行するようにしてもよい。また、最速通信手段の判別動作を所定時間(例えば数分)間隔で実行するようにしてもよい。
【0103】
また、上記各実施形態においては、複数の画像データGDを予めMFP10b内の画像格納部52に転送して格納しておく場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、画像データを各ページの切換指示とともに転送するようにしてもよい。
【0104】
また、上記各実施形態においては、画像データの転送等において最速通信手段を用いる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、音声データの転送等において最速通信手段を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
100,100A,100B 遠隔プレゼンテーションシステム
10,10a,10b,10Ba,10Bb MFP(通信装置)
30,30a,30b 表示装置
50 コンピュータ
DD 制御用データ
DD1 ページ制御データ
DP 資料データ
FW ファイアウォール
GD プレゼンテーション用画像データ
NW 通信ネットワーク
TD テストデータ
TL 電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔プレゼンテーションシステムにおける受信装置に対してデータ送信を行う送信装置であって、
前記受信装置に対するデータ送信を互いに異なる手法で行うことが可能な複数の通信手段と、
前記複数の通信手段のうち最速通信可能な最速通信手段を判別する判別手段と、
前記最速通信手段を用いて前記受信装置に対してデータ送信を行う通信制御手段と、
を備え、
前記複数の通信手段は、それぞれ、前記送信装置と前記受信装置との間に設けられたファイアウォールの例外設定を伴うことなく通信可能な手段であることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置において、
前記判別手段は、前記複数の通信手段のそれぞれによるテストデータの通信時間に関する測定結果に基づいて、前記最速通信手段を判別することを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の送信装置において、
前記複数の通信手段は、
前記電子メールを用いてデータ送信を行う第1の通信手段と、
前記電話回線を用いてデータ送信を行う第2の通信手段と、
を有することを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の送信装置において、
前記複数の通信手段は、
前記電子メールを用いてデータ送信を行う第1の通信手段と、
前記電話回線を用いてデータ送信を行う第2の通信手段と、
WebDAVを用いてデータ送信を行う第3の通信手段と、
SOAPを用いてデータ送信を行う第4の通信手段と、
SIPを用いてデータ送信を行う第5の通信手段と、
HTTPを用いてデータ送信を行う第6の通信手段と、
のうちの少なくとも2つを有することを特徴とする送信装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の送信装置において、
前記通信制御手段は、
プレゼンテーション開始前において、複数の画像に関する複数の画像データを前記受信装置に予め送信して前記複数の画像データを前記受信装置に蓄積させておくとともに、
プレゼンテーション開始後において、表示対象画像の変更指示に応答して、前記複数の画像の中から表示対象画像を指示する表示制御用データを前記最速通信手段を用いて送信することを特徴とする送信装置。
【請求項6】
遠隔プレゼンテーションシステムであって、
第1の通信装置と、
第2の通信装置と、
を備え、
前記第1の通信装置は、
データ送信を互いに異なる手法で行うことが可能な複数の送信手段と、
前記複数の送信手段のうち最速通信可能な最速通信手段を判別する判別手段と、
前記最速通信手段を用いてデータ送信を行う通信制御手段と、
を有し、
前記第2の通信装置は、
前記複数の送信手段から送信されたデータを受信することが可能な複数の受信手段、
を有し、
前記複数の送信手段は、それぞれ、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間に設けられたファイアウォールの例外設定を伴うことなく通信可能な手段であることを特徴とする遠隔プレゼンテーションシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の遠隔プレゼンテーションシステムにおいて、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置からデータ送信された画像を、前記第2の通信装置に接続された表示手段に表示させる表示制御手段、
をさらに有することを特徴とする遠隔プレゼンテーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−44845(P2011−44845A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190847(P2009−190847)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】