遠隔操作式入力装置
【課題】表示装置に表示される各種選択ボタンを選択指定操作する際に、席位置に関係なくボタン選択操作の高い操作性を確保することができる遠隔操作式入力装置を提供する。
【解決手段】車両1に、ディスプレイ4に表示された項目ボタン5やアイコン6を選択決定操作する際に、席横位置からこれを行うことが可能な遠隔入力デバイス8が設ける。遠隔入力デバイス8は、操作レバー11を傾倒操作して画面座標位置選択を行い、操作レバー11の上面にある第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチを押下操作することで決定操作や戻り操作を行う。また、車両1に、遠隔入力デバイス8の操作者がどの座席に座る着座者かを判別す判別機能を設け、この判別結果に基づき、第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16に割り付けられるスイッチ機能をその時のデバイス操作者に応じて切り換える。
【解決手段】車両1に、ディスプレイ4に表示された項目ボタン5やアイコン6を選択決定操作する際に、席横位置からこれを行うことが可能な遠隔入力デバイス8が設ける。遠隔入力デバイス8は、操作レバー11を傾倒操作して画面座標位置選択を行い、操作レバー11の上面にある第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチを押下操作することで決定操作や戻り操作を行う。また、車両1に、遠隔入力デバイス8の操作者がどの座席に座る着座者かを判別す判別機能を設け、この判別結果に基づき、第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16に割り付けられるスイッチ機能をその時のデバイス操作者に応じて切り換える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置とは離れた位置にある入力デバイスで表示装置の画面の選択座標位置を移動させることにより、表示装置の画面に表示された各種選択ボタンの選択決定を行う遠隔操作式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、カーナビゲーション装置やエアーコンディショナー装置等の車載機器の操作入力装置の一種として、ディスプレイの画面上に表示された各種項目ボタンやアイコン等をその画面上でタッチ操作することで入力操作を行うタッチパネル式操作入力装置が広く使用されている。このようなタッチパネル式操作入力装置の一例は、例えば特許文献1等に開示されている。この種の車載用のタッチパネル式操作入力装置は、例えば車両のセンタークラスターの中央位置に配置され、この画面上に各種機能ごとに割り付け表示されている項目ボタンやアイコンを、その画面上で例えば指等によりタッチ操作することによって選択入力操作が行われる。
【特許文献1】特開2006−347478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、タッチパネルに割り付け表示された項目ボタンやアイコンは、運転席から見た場合と助手席から見た場合とで、画面上でのボタン配置(アイコン配置)が左右に逆位置をとる。この種のタッチパネルは、運手席に着座するドライバーと助手席に着座するパッセンジャーとの両方で操作されるものであることから、例えば仮に決定ボタンが運転席寄りの位置に割り付け表示されていた場合には、この決定ボタンは運転席側からは操作し易くても、逆に助手席側からは位置が遠くなることからタッチ操作がし難くなる。よって、ディスプレイに表示される各種項目ボタンやアイコンを選択指定操作する際に、運転席及び助手席に関係なくボタン選択操作の操作性を確保したい要望があった。
【0004】
本発明の目的は、表示装置に表示される各種選択ボタンを選択指定操作する際に、席位置に関係なくボタン選択操作の高い操作性を確保することができる遠隔操作式入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、本発明では、表示装置とは離れた位置にある入力デバイスを用いて当該表示装置の画面座標位置選択が行われ、前記入力デバイスに複数設けられた機械式の機能スイッチの1つをその座標位置選択後に操作することによって、前記表示装置の画面に表示された各種選択ボタンの決定操作が行われる遠隔操作式入力装置において、前記入力デバイスの操作者がどの座席の着座者かを判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果に基づき、複数存在する前記機能スイッチの各スイッチ機能を、前記入力デバイスを操作する前記着座者に応じた配列に割り付ける割付手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、一般的な入力デバイスには、例えば決定操作用等のスイッチとして機械式の機能スイッチが複数設けられているが、これら機能スイッチのスイッチ機能は、入力デバイスの操作者がどの座席の着座者であるかに応じて、そのスイッチ機能の配列が各々異なって割り付けられる。ところで、入力デバイスの操作者の着座位置が例えば左右で異なると、この時は入力デバイスを操作する際の手も左右逆になってしまうが、本構成においては、その時の着座位置に応じて入力デバイスのスイッチ機能の配列が割り付けられるので、例えば右座席に着座する操作者と左座席に着座する操作者とが両方ともに、最も操作の行い人差し指で操作頻度の高い機能スイッチを操作できるようにスイッチ機能を割り付けることも可能である。このため、表示装置に表示させる各種選択ボタンを入力デバイスで選択決定する際に、その時の席位置に関係なく高いボタン選択操作性を確保することが可能となる。
【0007】
本発明では、前記割付手段は、前記入力デバイスに設けられた2つの前記機能スイッチに割り付けられる各々のスイッチ機能を、選択状態にある前記選択ボタンを決定状態に移行させる決定機能と、前記入力デバイスによる動作状態を前の状態に戻す戻り機能との間で、前記操作者に応じて入れ替えて割り付けることを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、入力デバイスの操作者がその時々で着座位置が異なる場合であっても、この種の入力デバイスにおいて使用頻度の高い決定スイッチを、最も操作を行い易い人差し指で操作する機能スイッチにスイッチ機能を割り当てることが可能である。このため、人差し指で操作する機能スイッチに決定機能を割り付けるということは、その操作回数を考えると、このスイッチ機能割り当てが効果的に利くことになるので、これは非常に効果が高いといえる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示装置に表示される各種選択ボタンを選択指定操作する際に、席位置に関係なくボタン選択操作の高い操作性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した遠隔操作式入力装置の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、エアーコンディショナー装置、オーディオ装置、カーナビゲーション装置等の各種車載機器の操作系として操作スイッチ装置2が設けられている。本例の操作スイッチ装置2は、ボタン選択操作時における視認性や操作性の向上を目的としてグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)が使用されている。この種のGUI式の操作スイッチ装置2は、センタークラスター3に設けたディスプレイ4に項目ボタン5やアイコン6等をグラフィック表示し、このディスプレイ4から離れたセンターコンソール7に位置する遠隔入力デバイス8でディスプレイ4上のボタンフォーカス9やカーソル10を選択決定操作することで入力操作が行われる。
【0011】
遠隔入力デバイス8は、いわゆるポインティングデバイスとして機能する入力機器であって、ディスプレイ4に対して電気配線(図示略)を介して接続されている。遠隔入力デバイス8は、ディスプレイ4の選択座標位置Pxを位置変更することでディスプレイ4上のボタンフォーカス9(図1の点領域)やカーソル10の選択操作と、選択指定後の各種項目ボタン5(アイコン6も含む)を決定に移行させる決定操作とを行うことが可能であって、本例においては起立する操作レバー11をそのレバー基端を支点に傾倒させることでディスプレイ4上のボタンフォーカス9やカーソル10を移動させるジョイスティック式である。なお、ディスプレイ4が表示装置に相当し、項目ボタン5及びアイコン6が選択ボタンを構成し、遠隔入力デバイス8が入力デバイスに相当する。
【0012】
図2に示すように、遠隔入力デバイス8には、操作時に操作者が握る箇所である操作レバー11をそのレバー基端で支持する基部12が設けられている。この基部12には、車両前後方向(図2のX軸方向)に延設するX軸ガイド板13が、そのX軸回りに沿って回動可能に連結されている。X軸ガイド板13には、X軸方向に延びる長孔13aが板一帯に亘り貫設されている。基部12には、車両左右方向(図2のY軸方向)に延設されたY軸ガイド板14が、そのY軸回りに沿って回動可能でかつX軸ガイド板13と交差する配置状態で連結されている。Y軸ガイド板14には、Y軸方向に延びつつX軸ガイド板の長孔13aと交差する長孔14aが貫設されている。
【0013】
操作レバー11は、その基端から延びるレバー軸11aがX軸ガイド板13の長孔13aとY軸ガイド板14の長孔14aとの両孔に挿通した取り付け状態をとっている。このため、操作レバー11は、操作レバー11が操作者により傾倒操作された際、X軸ガイド板13及びY軸ガイド板14が各々回動する動きをとることにより、操作レバー11に対して交差する平面方向においてその360度を操作方向とするレバー傾倒操作が許容されている。
【0014】
図3に示すように、操作レバー11のノブ部11bの上面には、この操作レバー11を用いて選択したディスプレイ4上の項目ボタン5を決定操作する際や、或いはディスプレイ4の表示画面を前画面に戻す際に操作する第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16が設けられている。これら第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16は、操作時において押し操作(プッシュ操作)を伴う押下操作式スイッチであって、本例においては助手席側に位置するものを第1操作スイッチ15とし、運転席側に位置するものを第2操作スイッチ16とする。本例の第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16は、これらスイッチ機能が操作レバー11の操作者に応じて切り換わるスイッチであって、本例は操作者が運転席側か助手席側かでスイッチ機能が決定スイッチ及び戻りスイッチの何れか一方に切り換わる。なお、操作スイッチ15,16が機能スイッチに相当する。
【0015】
また、図4に示すように、車両1には、遠隔入力デバイス8(操作レバー11)がどの席に着座した座席着座者によって操作されたのかを判別するデバイス操作者判別回路17が設けられている。デバイス操作者判別回路17は、座席着座者の人体を信号通信経路として用いてレバー操作者を判別する生体通信式であって、本例においては運転席18に着座したドライバー19(図1参照)と、助手席20に着座したパッセンジャー21(図1参照)とのどちらが遠隔入力デバイス8を操作しているのかを判別する。デバイス操作者判別回路17が判別手段を構成する。
【0016】
デバイス操作者判別回路17には、車内の各シートに埋設された複数(本例は運転席18と助手席20の2つ)の電極22,23が設けられている。本例においては、運転席シート24に埋設した電極をD席シート電極22とし、助手席シート25に埋設した電極をP席シート電極23とする。D席シート電極22及びP席シート電極23は、例えば銅箔等を材質とした薄膜形状を成し、各々のシートにおいてそこに着座した着座者が接触可能となる位置に配置されている。また、各操作スイッチ15,16の操作表面には、これらシート電極22,23の対極電極として、各種電極材から成るスイッチ電極26a,26bが設けられている。
【0017】
デバイス操作者判別回路17には、D席シート電極22やP席シート電極23に高周波信号Fを出力可能な信号発生器27が設けられている。信号発生器27は、車両のイグニッションスイッチが例えばACC位置やIGオン位置に操作されてデバイス操作者判別回路17が稼働してから高周波信号Fを出力し続ける動作をとり、信号出力先を切り換える切換スイッチ28を介してD席シート電極22及びP席シート電極23に電気接続されている。本例のデバイス操作者判別回路17は、信号発生器27の高周波信号Fの出力先を、D席シート電極22とP席シート電極23との間で繰り返し切り換えてデバイス操作者判別を行うタイミング識別式が用いられている。
【0018】
切換スイッチ28は、D席シート電極22に繋がるD席側固定接点28aと、P席シート電極23に繋がるP席側固定接点28bと、これら固定接点28a,28bの間で位置状態が切り換わる可動接点28cとから成る。可動接点28cがD席側固定接点28aに接続して切換スイッチ28が第1スイッチ状態(図4の実線で示す状態)となると、信号発生器27はD席シート電極22と電気的に結線された状態となり、可動接点28cがP席側固定接点28bに接続して切換スイッチ28が第2スイッチ状態(図2の破線で示す状態)となると、信号発生器27はP席シート電極23と電気的に結線された状態となる。
【0019】
車両1には、遠隔入力デバイス8の操作状態を検出するコントロールユニットとしてスイッチコントローラ29が設けられている。スイッチコントローラ29は、このスイッチコントローラ29を統括制御するCPU30、各種制御プログラムやデータが格納されたROM31、データ処理時の作業領域であるRAM32等から成る。スイッチコントローラ29は、ROM31に格納された各種制御プログラムに基づき動作し、本例においては遠隔入力デバイス8の操作位置検出、遠隔入力デバイス8の操作者判別、遠隔入力デバイス8の第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16の操作有無検出等の各種処理を行う。なお、スイッチコントローラ29が判別手段及び割付手段を構成する。
【0020】
スイッチコントローラ29には、操作レバー11のX軸回りの傾倒角度θxを検出するX軸エンコーダ33が、第1A/D変換回路34を介して接続されている。また、スイッチコントローラ29には、操作レバー11のY軸回りの傾倒角度θyを検出するY軸エンコーダ35が、第2A/D変換回路36を介して接続されている。スイッチコントローラ29は、X軸エンコーダ33の検出信号からX軸ガイド板13の傾倒角度、即ち操作レバー11のX軸側への傾倒角度θxを演算するとともに、Y軸エンコーダ35の検出信号からY軸ガイド板14の傾倒角度、即ち操作レバー11のY軸側への傾倒角度θyを演算し、これら傾倒角度θx,θyの組み合わせを見ることにより、操作レバー11の操作位置(傾倒角度)を演算する。
【0021】
スイッチコントローラ29は、操作者が遠隔入力デバイス8を用いてディスプレイ4上の選択座標位置Pxを選択指定する際、この操作位置を絶対位置で検出する。絶対位置検出は、遠隔入力デバイス8における操作レバー11の操作位置と、ディスプレイ4の画面座標位置とが、ディスプレイ4上の選択位置指定の際において一義的に対応する位置検出手法である。スイッチコントローラ29は、傾倒角度θx,θyから操作レバー11の傾倒角度(操作位置)を演算し、この操作位置をディスプレイ4の画面にボタンフォーカス9やカーソル10として割り付ける際には、この表示を絶対位置で換算した表示位置に表示する。
【0022】
スイッチコントローラ29は、その出力系端子29aが切換スイッチ28に接続され、入力系端子29bが検出回路37を介してスイッチ電極26a,26bに接続されている。検出回路37は、スイッチ電極26a,26bから搬送されてきた高周波信号Fを増幅して出力するアンプ38と、そのアンプ38から得た入力信号をAM検波して出力する検波器39とから成る。
【0023】
スイッチコントローラ29は、切換スイッチ28に矩形波の切換信号Sswを出力して切換スイッチ28のスイッチ状態を切り換えるが、本例においてはHレベルの切換信号Sswを切換スイッチ28に加えることにより切換スイッチ28を第1スイッチ状態とし、Lレベルの切換信号Sswを切換スイッチ28に加えることにより切換スイッチ28を第2スイッチ状態とするスイッチ切り換えを行う。スイッチコントローラ29は、切換スイッチ28のスイッチ状態を切り換えるとき、切換信号SswのHLレベルを見ることにより、切換スイッチ28が第1スイッチ状態及び第2スイッチ状態のどちらにあるのかを認識する。
【0024】
車内のシートに着座した着座者が遠隔入力デバイス8を操作すべくノブ部11bを把持すると、人体を信号通信経路としてシート側電極(即ち、D席シート電極22又はP席シート電極23)とスイッチ電極26a,26bとが生体通信により電気的に繋がった状態となる。例えば、ドライバー19が遠隔入力デバイス8を操作した際は、D席シート電極22とスイッチ電極26bとがドライバー19を介して電気的に繋がった状態となり、D席シート電極22から発せられる高周波信号Fは、ドライバー19を介した生体通信により、スイッチ電極26bから所定の電圧レベルを持った検出信号Soutとしてスイッチコントローラ29に出力される。また、パッセンジャー21が遠隔入力デバイス8を操作した場合も同様である。
【0025】
スイッチコントローラ29は、検出回路37から出力される検出信号Soutの電圧値(電圧レベル)を逐次監視し、遠隔入力デバイス8の操作有無を判別する。ところで、電極22,23,26、信号発生器27及び検出回路37等から成る本例の遠隔入力デバイス8のデバイス操作者判別回路17では、D席シート電極22やP席シート電極23がスイッチ電極26a,26bと人体により生体結合した際、人体により第1容量C1が生じた状態となり、デバイス操作者判別回路17の容量結合が増加して、図5及び図6に示すように検出信号Soutの電圧値(電圧レベル)Vaが高くなる。スイッチコントローラ29は、検出信号Soutの電圧値Vaが最も低いポイントを基準にして電圧差(電圧レベル差)Vkを逐次算出し、その電圧差Vkが規定値Vx以上となったか否かを見ることにより、スイッチ操作者有無を判別する。
【0026】
スイッチコントローラ29は、検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上となってスイッチ操作者有りと判別した際、この時の切換信号SswのHLレベルを見ることにより、その時のスイッチ操作者がドライバー19及びパッセンジャー21のどちらであるかを判別する。本例においてスイッチコントローラ29は、検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の時に切換信号SswがHレベルであれば、その時のスイッチ操作者をドライバー19と判別し、検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の時に切換信号SswがLレベルであれば、その時のスイッチ操作者をパッセンジャー21と判別する。
【0027】
スイッチコントローラ29は、第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16の各々のスイッチ機能を、その時の遠隔入力デバイス8の操作者に応じた機能配列に割り付ける。本例の場合、スイッチコントローラ29は、遠隔入力デバイス8の操作者がパッセンジャー21の際、第1操作スイッチ15を決定スイッチとして認識し、第2操作スイッチ16を戻りスイッチとして認識する。よって、スイッチコントローラ29は、第1操作スイッチ15から得るスイッチ信号を決定指令として取り扱い、第2操作スイッチ16から得るスイッチ信号を戻り指令として取り扱う。
【0028】
また、スイッチコントローラ29は、遠隔入力デバイス8の操作者がドライバー19の際、第1操作スイッチ15を戻りスイッチとして認識し、第2操作スイッチ16を決定スイッチとして認識する。よって、スイッチコントローラ29は、第1操作スイッチ15から得るスイッチ信号を戻り指令として取り扱い、第2操作スイッチ16から得るスイッチ信号を決定指令として取り扱う。即ち、第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16のスイッチ機能は、その時のデバイス操作者がドライバー19かパッセンジャー21かによって配列が逆転して割り付け配置される。
【0029】
さて、例えばパッセンジャー21が遠隔入力デバイス8を操作すべくその操作レバー11を操作する場合を考えると、遠隔入力デバイス8の操作者は、ディスプレイ4の画面を見ながら遠隔入力デバイス8の操作レバー11を傾倒操作して、画面上のカーソル10を所望の項目ボタン5やアイコン6等に位置合わせする画面座標位置の選択操作を行う。このとき、スイッチコントローラ29は、X軸エンコーダ33及びY軸エンコーダ35から得る検出量を基に操作レバー11の操作位置(X−Y軸傾倒角度)を演算し、その演算位置に応じた画面位置に、ボタンフォーカス9やカーソル10を画像表示する。
【0030】
この位置決め後、パッセンジャー21は操作決定を行うべく遠隔入力デバイス8の第1操作スイッチ15を押下操作する動作をとるが、この時はP席シート電極23とスイッチ電極26aとがパッセンジャー21により人体結合し、デバイス操作者判別回路17はパッセンジャー21により容量結合が増加する。この時は、図5に示すように、切換信号SswがHレベルとなるタイミングで検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の値をとる状態となる。これにより、スイッチコントローラ29は、切換信号SswがLレベルの時に電圧差Vkが規定値Vx以上となる検出信号Soutを入力することから、この時の遠隔入力デバイス8の操作者がパッセンジャー21であると判別して第1操作スイッチ15を決定スイッチとして認識し、この時に第1操作スイッチ15から得るスイッチ信号を決定指令として取り込む。
【0031】
スイッチコントローラ29は、デバイス操作者がパッセンジャー21であるという認識下で第1操作スイッチ15からスイッチ信号を得てパッセンジャー21による第1操作スイッチ15の押下操作を認識すると、この操作を以て決定操作が行われたことを認識する。そして、スイッチコントローラ29は、第1操作スイッチ15の押下操作を認識すると、第1操作スイッチ15が押下操作される直前にボタンフォーカス9やカーソル10がその画面座標単位で重なっていた項目ボタン5やアイコン6を操作要求ボタンとして認識し、他のコントロールユニットに操作要求指令を出力して、その操作要求ボタンが有する機能に応じた各種処理を車両1に実施させる。
【0032】
パッセンジャー21は、ディスプレイ4の表示画面を一つ前の画面に戻す戻り操作を行うに際して、戻りスイッチとして割り付けられた第2操作スイッチ16を押下操作する。この時も、スイッチコントローラ29は、図5に示すような切換信号SswがHレベルとなるタイミングで検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の値をとる検出信号を入力することから、これを以てその時のデバイス操作者がパッセンジャー21であると判別する。スイッチコントローラ29は、デバイス操作者がパッセンジャー21であるという認識下では第2操作スイッチ16を戻りスイッチとして認識し、この際に第2操作スイッチ16から得るスイッチ信号を戻り指令として取り込む。
【0033】
スイッチコントローラ29は、デバイス操作者がパッセンジャー21であるという認識下で第2操作スイッチ16からスイッチ信号を得てパッセンジャー21による第2操作スイッチ16の押下操作を認識すると、この操作を以て戻り操作が行われたことを認識する。そして、スイッチコントローラ29は、第2操作スイッチ16の押下操作を認識すると、第2操作スイッチ16が押下操作される1つ前にディスプレイ4に表示されていた表示画面をディスプレイ4に再表示する。
【0034】
一方、ドライバー19が遠隔入力デバイス8で操作決定を行うべく第2操作スイッチ16を押下操作すると、この時はD席シート電極22とスイッチ電極26bとがドライバー19により人体結合し、デバイス操作者判別回路17はドライバー19により容量結合が増加する。この時は、図6に示すように、切換信号SswがLレベルとなるタイミングで検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の値をとる状態となる。これにより、スイッチコントローラ29は、切換信号SswがLレベルの時に電圧差Vkが規定値Vx以上となる検出信号Soutを入力することから、この時の遠隔入力デバイス8の操作者がドライバー19であると判別して第2操作スイッチ16を決定スイッチとして認識し、この時に第2操作スイッチ16から得るスイッチ信号を決定指令として取り込む。
【0035】
また、ドライバー19は、ディスプレイ4の表示画面を一つ前の画面に戻す戻り操作を行うに際して、戻りスイッチとして割り付けられた第1操作スイッチ15を押下操作する。この時も、スイッチコントローラ29は、図6に示すような切換信号SswがLレベルとなるタイミングで検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の値をとる検出信号を入力することから、これを以てその時のデバイス操作者がドライバー19であると判別する。スイッチコントローラ29は、デバイス操作者がドライバー19であるという認識下では第1操作スイッチ15を戻りスイッチとして認識し、この際に第1操作スイッチ15から得るスイッチ信号を戻り指令として取り込む。
【0036】
従って、本例においては、遠隔入力デバイス8が操作された際には、その操作者がドライバー19及びパッセンジャー21のどちらであるかを判別し、操作者がパッセンジャー21の場合は、第1操作スイッチ15を決定スイッチに割り付けるとともに第2操作スイッチ16を戻りスイッチに割り付け、操作者がドライバー19の場合はこれとは逆にスイッチ機能を割り付ける。このため、パッセンジャー21及びドライバー19の両方ともが、スイッチ操作を行い易い人差し指で、操作頻度の高い決定スイッチを操作することが可能となるので、これは遠隔入力デバイス8の操作性確保に非常に効果が高い。
【0037】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)遠隔入力デバイス8が操作された際、この時の操作者がどの座席の着座者であるかのデバイス操作者判別を行い、遠隔入力デバイス8の第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16のスイッチ機能を、その時のデバイス操作者に応じた配列に割り付ける。このため、どの着座位置に着座していても、スイッチ操作を行い易い人差し指で、操作頻度の高い決定スイッチを操作可能となるので、座席の着座位置に関係なく遠隔入力デバイス8の高い操作性を確保することができる。
【0038】
(2)遠隔入力デバイス8では、この種の決定スイッチは最も操作頻度の高いスイッチ機能であることから、最もスイッチ操作を行い易い人差し指で操作する機能スイッチに、この種の決定スイッチを割り付けることは、スイッチ操作回数の面から考えると、このスイッチ機能割り当てが効果的に利くことになるので、この点からも非常に効果が高いといえる。
【0039】
(3)信号発生器27で発生した高周波信号FがD席シート電極22とP席シート電極23とから交互に出力されるようにその信号出力先を切換スイッチ28で切り換え、運転席シート24や助手席シート25に着座した着座者が遠隔入力デバイス8を操作すると、信号発生器27で出力された高周波信号Fが生体通信によりスイッチコントローラ29に流れる。そして、この時にスイッチコントローラ29で検出される検出信号Soutの電圧値Vaは人体による容量結合増加に伴って上昇することから、その電圧差Vkが規定値Vx以上となった際に、その時の切換信号Sswのレベル状態を見てどちらのシート電極22,23から信号発信が行われたかを確認し、遠隔入力デバイス8の操作者がドライバー19及びパッセンジャー21のどちらであるかを判別する。従って、デバイス操作者判別処理は、信号発生器27からスイッチコントローラ29側に向かって高周波信号Fのみが流れる生体通信を用いた判別処理となるので、生体通信時に流れる信号は一方向のみに流れる通信をとることから、デバイス操作者判別処理が簡素なものとなる。
【0040】
なお、実施形態はこれまでの構成に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・ シート電極22,23は、図7に示すように通常の信号入力電極22aの他に、GNDに接地されたGNDパターン22bを設けた構造となっていてもよい。この場合のシート電極22,23は、円形薄膜状の信号入力電極22aの周囲に、半径方向に所定間隔をおいて例えば銅箔等から成るリング状のGNDパターン22bを配置させ、これら信号入力電極22aとGNDパターン22bとを透明な一対の薄膜状のラミネート41a,41bで挟み込んだ構造をとっている。ところで、図8に示すように、仮にデバイス操作者がボディアースに接近した際には、デバイス操作者判別回路17に人体による第2容量C2が生じることになるが、シート電極22,23にGNDパターン22bを設けた時は、デバイス操作者とボディアースとの間の結合は一定となることから、デバイス操作者が遠隔入力デバイス8を操作する際にデバイス操作者がボディアースに接近していても或いは接近していなくても、スイッチコントローラ29がスイッチ電極26a(26b)から得る検出信号Soutの電圧値Vaは大きく変化しない。従って、デバイス操作者がボディアースに接近している時とそうでない時との両方で同じ判別結果を得ることができ、これはデバイス操作者判別の精度向上に効果が高い。
【0041】
・ 信号発生器27は、その1つを2つのシート24,25で共用されることに限定されず、図9に示すように、各シート電極22,23ごとに個別の信号発生器27a,27bを設けてもよい。この場合においては、D席シート電極22に接続されたものを第1信号発生器27aとし、P席シート電極23に接続されたものを第2信号発生器27bとし、第1信号発生器27aが第1高周波信号F1をD席シート電極22に供給し、第2信号発生器27bがF1とは異なる周波数の第2高周波信号F2をP席シート電極23に供給する。
【0042】
また、検出回路37には、予め決められた周波数帯のみの信号を通すバンドパスフィルタ38a,38bが、シート電極22,23の数(本例は2つ)に合わせて設けられる。この場合は、第1信号発生器27aが出力した第1高周波信号F1を通し得るものを第1バンドパスフィルタ38aとし、第2信号発生器27bが出力した第2高周波信号F2を通し得るものを第2バンドパスフィルタ38bとする。D席シート電極22がスイッチ電極26a又はスイッチ電極26bと人体結合すると、検出回路37には第1高周波信号F1が入り、これは第1バンドパスフィルタ38aを通過してアンプ38及び検波器39を通り、これがD席タッチ検出信号Sout1としてスイッチコントローラ29に出力される。また、P席シート電極23がスイッチ電極26a又はスイッチ電極26bと人体結合すると、検出回路37には第2高周波信号F2が入り、これは第2バンドパスフィルタ38bを通過してアンプ38及び検波器39を通り、これがP席タッチ検出信号Sout2としてスイッチコントローラ29に出力される。
【0043】
スイッチコントローラ29は、検出回路37から入力する検出信号(D席タッチ検出信号Sout1、P席タッチ検出信号Sout2)の周波数を見てデバイス操作者判別を行う、いわゆる周波数識別式を用いてデバイス操作者判別を行う。スイッチコントローラ29は、検出回路37から得た入力信号がD席タッチ検出信号Sout1であれば、その時のデバイス操作者をドライバー19と判別し、検出回路37から得た入力信号がP席タッチ検出信号Sout2であれば、その時のデバイス操作者をパッセンジャー21と判別する。
【0044】
このように、デバイス操作者判別方法として周波数識別式を用いた場合には、デバイス操作者が遠隔入力デバイス8を把持したそのタイミングで、座席位置に応じた周波数を持つ高周波信号F1,F2がスイッチコントローラ29に送られることになり、遠隔入力デバイス8が操作された際は直ぐにデバイス操作者判別が開始されることになる。従って、例えば検出する座席数を増やすべくシート電極数が増加したとしても、デバイス操作者判別に必要な処理時間は不変であることから、デバイス操作者判別の処理時間を長く要してしまうような心配はない。
【0045】
・ デバイス操作者判別方法は、必ずしも操作者を信号経路として用いる生体通信式に限定されない。例えば、図10に示すように、デバイス操作者判別方法は赤外線センサ42を用いた赤外線検出式でもよい。この場合、運転席18には、赤外線を発光可能な赤外線発光部43aと、その赤外線を受光する赤外線受光部43bとが組みを成して設けられ、助手席20にも同様の赤外線発光部44a及び赤外線受光部44bが設けられる。そして、操作者が遠隔入力デバイス8を操作する際には、操作者が赤外線を遮断することから、赤外線受光部43b,44bが赤外線を受光できなくなる状態を見て操作者の着座位置を検出する。この場合は、赤外線センサ42という簡単な構造を用いてデバイス操作者を判別することができる。なお、赤外線センサ42が判別手段を構成する。
【0046】
・ デバイス操作者判別方法は、必ずしも生体通信式や赤外線検出式に限定されない。例えば、図11に示すように、車内にカメラ45を設置し、このカメラ45で取得する画像データを画像解析することによって、どの座席の着座者が遠隔入力デバイス8を操作しているのかを検出してもよい。この場合、各々の座席ごとにデバイス操作者検出用の部品を設置する必要がないので、デバイス操作者判別回路17に必要となる部品の設置工程数や、部品配置スペース確保等の懸念事項について考えずに済む。なお、カメラ45が判別手段を構成する。
【0047】
・ デバイス操作者判別は、これまでに述べた各種形式を組み合わせることも可能である。この場合、デバイス操作者の判別をできるだけ正確に行うことができ、操作者誤判別を発生し難くすることができる。
【0048】
・ 遠隔入力デバイス8の構造は、操作レバー11を傾倒操作することでディスプレイ4の画面座標位置を選択指定するジョイスティック式に限らず、例えば図12に示すようなスライド式でもよい。遠隔入力デバイス8がスライド式の場合、操作者が手にする操作ノブ46が第1ワイヤ47を介して一対のX軸スライダ48a,48bに取り付け固定され、第2ワイヤ49を介して一対のY軸スライダ50a,50bに取り付け固定されている。X軸スライダ48a,48bは一対のX軸ガイドレール51a,51bに沿ってX軸方向にスライド移動可能であり、Y軸スライダ50a,50bは一対のY軸ガイドレール52a,52bに沿ってY軸方向にスライド移動可能である。そして、X軸スライダ48a,48bの移動位置をX軸ポテンショメータ53で検出し、Y軸スライダ50a,50bの移動位置をY軸ポテンショメータ54で検出し、これらポテンショメータ53,54から取得する検出値を基に操作ノブ46の操作量を演算し、その演算値から操作者によるその時々のディスプレイ4上の選択座標位置Pxを求めることになる。
【0049】
・ 遠隔入力デバイス8の構造は、先に述べたジョイスティック式やスライド式に限らず、例えばノブ部11bを回動操作することにより画面座標選択位置を切り換えるダイヤル式でもよい。
【0050】
・ スイッチ電極26a,26bは、必ずしも操作スイッチ15,16に埋め込むことに限らず、例えばこれらを共用すべく操作レバー11のノブ部11bに設けてもよい。
・ 遠隔入力デバイス8のこの種の機能スイッチは、個数が必ずしも2つ(第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16)に限定されず、3つ以上でもよい。例えば、機能スイッチが3つの場合、スイッチ機能としては決定機能及び戻り機能の他に、例えばディスプレイ4の表示画面を初期画面に戻す初期画面戻し機能が挙げられる。
【0051】
・ ディスプレイ4がデュアルディスプレイの場合、運転席側画面と助手席側画面とで表示する画面を異ならせてもよい。
・ 操作スイッチ15,16に「決定」又は「戻り」の表示がある場合には、スイッチ操作者の判別結果を基にこれら操作スイッチ15,16のスイッチ機能を切り換えるとともに、この表示も入れ替えてもよい。
【0052】
・ 操作スイッチ15,16にその時のデバイス操作者に応じてスイッチ機能を割り付ける場合、例えば合計5種のスイッチ機能が存在し、デバイス操作者がドライバー19かパッセンジャー21かによって、2つの各操作スイッチ15,16に割り付けられる2機能が各々異なるものでもよい。
【0053】
・ 遠隔入力デバイス8の操作位置検出は、必ずしも絶対位置検出に限らず、これは相対位置検出を用いてもよい。
・ スイッチ操作者判別対象は、ドライバー19及びパッセンジャー21の二者に限定されない。例えば、後部座席シートにも電極を設け、ドライバーとパッセンジャーと後部シート着座者の三者以上の中で誰が遠隔入力デバイス8を操作したかのを判別してもよい。
【0054】
・ 本例の入力系操作者判別装置の搭載対象は、必ずしも車両1に限定されない。即ち、複数人の座席着座者が存在する場合に、この中の誰が入力系を操作したのかを判別する必要のある機器や装置であれば、この採用対象は特に限定されない。
【0055】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1又は2において、前記判別手段は、人体を経由可能な通知信号を発生する信号発生手段と、前記操作者が着座する座席ごとに各々設けられ、前記信号発生手段から前記通知信号の供給を各々受ける複数の座席電極と、前記入力デバイスに設けた操作電極と、着座者が前記入力デバイスに触れて前記座席電極と前記操作電極とが人体を介して通電された際、その時の生体通信によって前記操作電極に流れる前記通知信号を取り込み、当該通知信号を用いて操作者判別を行う実行手段とを備えた生体通信式である。この場合、座席に着座した操作者が入力デバイスを操作すると、座席電極と操作電極とが人体で繋がり、信号発生手段から発生される通知信号が生体通信によって実行手段に出力される。実行手段はその取得した通知信号を用い、その時に入力デバイスを操作したのはどこの座席の着座者であるかを判別する操作者判別を行う。従って、生体通信時にやり取りされる信号は座席側から機器側という一方向のみの流れとなるので、例えば座席と機器との間で信号を交互にやり取りをする判別処理を用いた場合に比べ、生体通信の判別処理が簡素となる。
【0056】
(2)前記技術的思想(1)において、前記信号発生手段は、前記通知信号を発信する1つの信号発生器と、当該信号発生器が発信した前記通知信号の出力先を複数の前記座席電極の間で選択的に切り換える切換回路とを備えるとともに、前記実行手段は、前記切換回路の接続状態を見て前記通知信号の前記出力先を逐次認識し、前記操作者による前記操作手段の操作有無で変化する前記通知信号の信号レベル変化を検出し、前記出力先と前記信号レベル変化とを用いて前記操作者判別を行う。この場合、複数の座席電極間で1つの信号発生器が共用されるので、装置サイズ(回路基板サイズ)が小さく済む。
【0057】
(3)前記技術的思想(1)において、前記信号発生手段は、周波数の異なる前記通知信号を各々発信する複数の信号発生器を備えるとともに、前記実行手段は、前記生体通信確立時に前記電極及び前記操作者を通じて得られる前記通知信号の周波数を識別することにより、前記操作者判別を行う。この場合、操作者が入力デバイスを操作したそのタイミングで、座席位置に応じた通知信号が実行手段に出力されることになり、入力デバイスが操作された際は直ぐに操作者判別の処理が開始されるので、仮に操作者検出対象が増えたとしても操作者判別を行う際に必要な処理時間が短時間で済む。
【0058】
(4)前記技術的思想(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記座席電極には、前記通知信号が印加される信号入力電極の他に、前記入力デバイスの基準電位点に繋がるグランド電極が設けられている。この場合、操作者とボディアースとの間の結合が一定になるので、操作者が電極に触れて生じる電気回路の結合容量は、操作者が入力デバイスを操作する際にボディアースに接触しても、それによって値は変化しない。このため、通知信号の信号レベル値は操作者のボディアース接触有無により変化しないので、操作者判別の精度を向上することが可能となる。
【0059】
(5)請求項1又は2において、前記判別手段は、検出対象となる前記操作者ごとに設けられ、赤外線を発信可能な赤外線発信手段と、同じく検出対象となる前記操作者ごとに設けられ、前記赤外線発信手段が発信した前記赤外線を受信可能な前記赤外線受信と、前記赤外線受信手段の前記赤外線受信状態を見ることにより、操作者判別を行う実行手段と
を備えた赤外線検出式である。この場合、赤外線発信手段が発信する赤外線を赤外線受光手段が受光できているか否かを見るといる簡単な判別方法で入力デバイスの操作者判別を行うことが可能となる。
【0060】
(6)請求項1又は2において、前記判別手段は、前記操作者を撮影可能な撮像手段と、前記撮像手段で得た画像データを基に、当該画像データを画像解析して操作者判別を行う実行手段とを備えた画像処理式である。この場合、各操作者用に操作者検出用の部品群を用意する必要がないので、操作者判別に必要な部品点数が少なく済む。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】一実施形態における車内の外観を表す斜視図。
【図2】遠隔入力デバイスの内部構成を示す平面図。
【図3】遠隔入力デバイスの外観を示す平面図。
【図4】操作スイッチ装置の概略構成を示すブロック図。
【図5】パッセンジャーが入力系を操作する際の切換信号及び検出信号の波形図。
【図6】ドライバーが入力系を操作する際の切換信号及び検出信号の波形図。
【図7】別例におけるシート電極の具体例を示す分解斜視図。
【図8】他の別例の操作スイッチ装置の概略構成を示すブロック図。
【図9】他の別例の操作スイッチ装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】他の別例の操作スイッチ装置の概略構成を示す車内斜視図。
【図11】他の別例の操作スイッチ装置の概略構成を示す車内斜視図。
【図12】他の別例の遠隔入力デバイスの概略構成を示す概念図。
【符号の説明】
【0062】
4…表示装置としてのディスプレイ、5…選択ボタンを構成する項目ボタン、6…選択ボタンを構成するアイコン、8…入力デバイスとしての遠隔入力デバイス、15…機能スイッチを構成する第1操作スイッチ、16…機能スイッチを構成する第2操作スイッチ、17…判別手段を構成するデバイス操作者判別回路、29…判別手段及び割付手段を構成するスイッチコントローラ、42…判別手段を構成する赤外線センサ、45…判別手段を構成するカメラ、Px…画面座標位置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置とは離れた位置にある入力デバイスで表示装置の画面の選択座標位置を移動させることにより、表示装置の画面に表示された各種選択ボタンの選択決定を行う遠隔操作式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、カーナビゲーション装置やエアーコンディショナー装置等の車載機器の操作入力装置の一種として、ディスプレイの画面上に表示された各種項目ボタンやアイコン等をその画面上でタッチ操作することで入力操作を行うタッチパネル式操作入力装置が広く使用されている。このようなタッチパネル式操作入力装置の一例は、例えば特許文献1等に開示されている。この種の車載用のタッチパネル式操作入力装置は、例えば車両のセンタークラスターの中央位置に配置され、この画面上に各種機能ごとに割り付け表示されている項目ボタンやアイコンを、その画面上で例えば指等によりタッチ操作することによって選択入力操作が行われる。
【特許文献1】特開2006−347478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、タッチパネルに割り付け表示された項目ボタンやアイコンは、運転席から見た場合と助手席から見た場合とで、画面上でのボタン配置(アイコン配置)が左右に逆位置をとる。この種のタッチパネルは、運手席に着座するドライバーと助手席に着座するパッセンジャーとの両方で操作されるものであることから、例えば仮に決定ボタンが運転席寄りの位置に割り付け表示されていた場合には、この決定ボタンは運転席側からは操作し易くても、逆に助手席側からは位置が遠くなることからタッチ操作がし難くなる。よって、ディスプレイに表示される各種項目ボタンやアイコンを選択指定操作する際に、運転席及び助手席に関係なくボタン選択操作の操作性を確保したい要望があった。
【0004】
本発明の目的は、表示装置に表示される各種選択ボタンを選択指定操作する際に、席位置に関係なくボタン選択操作の高い操作性を確保することができる遠隔操作式入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、本発明では、表示装置とは離れた位置にある入力デバイスを用いて当該表示装置の画面座標位置選択が行われ、前記入力デバイスに複数設けられた機械式の機能スイッチの1つをその座標位置選択後に操作することによって、前記表示装置の画面に表示された各種選択ボタンの決定操作が行われる遠隔操作式入力装置において、前記入力デバイスの操作者がどの座席の着座者かを判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果に基づき、複数存在する前記機能スイッチの各スイッチ機能を、前記入力デバイスを操作する前記着座者に応じた配列に割り付ける割付手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、一般的な入力デバイスには、例えば決定操作用等のスイッチとして機械式の機能スイッチが複数設けられているが、これら機能スイッチのスイッチ機能は、入力デバイスの操作者がどの座席の着座者であるかに応じて、そのスイッチ機能の配列が各々異なって割り付けられる。ところで、入力デバイスの操作者の着座位置が例えば左右で異なると、この時は入力デバイスを操作する際の手も左右逆になってしまうが、本構成においては、その時の着座位置に応じて入力デバイスのスイッチ機能の配列が割り付けられるので、例えば右座席に着座する操作者と左座席に着座する操作者とが両方ともに、最も操作の行い人差し指で操作頻度の高い機能スイッチを操作できるようにスイッチ機能を割り付けることも可能である。このため、表示装置に表示させる各種選択ボタンを入力デバイスで選択決定する際に、その時の席位置に関係なく高いボタン選択操作性を確保することが可能となる。
【0007】
本発明では、前記割付手段は、前記入力デバイスに設けられた2つの前記機能スイッチに割り付けられる各々のスイッチ機能を、選択状態にある前記選択ボタンを決定状態に移行させる決定機能と、前記入力デバイスによる動作状態を前の状態に戻す戻り機能との間で、前記操作者に応じて入れ替えて割り付けることを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、入力デバイスの操作者がその時々で着座位置が異なる場合であっても、この種の入力デバイスにおいて使用頻度の高い決定スイッチを、最も操作を行い易い人差し指で操作する機能スイッチにスイッチ機能を割り当てることが可能である。このため、人差し指で操作する機能スイッチに決定機能を割り付けるということは、その操作回数を考えると、このスイッチ機能割り当てが効果的に利くことになるので、これは非常に効果が高いといえる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示装置に表示される各種選択ボタンを選択指定操作する際に、席位置に関係なくボタン選択操作の高い操作性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した遠隔操作式入力装置の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、エアーコンディショナー装置、オーディオ装置、カーナビゲーション装置等の各種車載機器の操作系として操作スイッチ装置2が設けられている。本例の操作スイッチ装置2は、ボタン選択操作時における視認性や操作性の向上を目的としてグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)が使用されている。この種のGUI式の操作スイッチ装置2は、センタークラスター3に設けたディスプレイ4に項目ボタン5やアイコン6等をグラフィック表示し、このディスプレイ4から離れたセンターコンソール7に位置する遠隔入力デバイス8でディスプレイ4上のボタンフォーカス9やカーソル10を選択決定操作することで入力操作が行われる。
【0011】
遠隔入力デバイス8は、いわゆるポインティングデバイスとして機能する入力機器であって、ディスプレイ4に対して電気配線(図示略)を介して接続されている。遠隔入力デバイス8は、ディスプレイ4の選択座標位置Pxを位置変更することでディスプレイ4上のボタンフォーカス9(図1の点領域)やカーソル10の選択操作と、選択指定後の各種項目ボタン5(アイコン6も含む)を決定に移行させる決定操作とを行うことが可能であって、本例においては起立する操作レバー11をそのレバー基端を支点に傾倒させることでディスプレイ4上のボタンフォーカス9やカーソル10を移動させるジョイスティック式である。なお、ディスプレイ4が表示装置に相当し、項目ボタン5及びアイコン6が選択ボタンを構成し、遠隔入力デバイス8が入力デバイスに相当する。
【0012】
図2に示すように、遠隔入力デバイス8には、操作時に操作者が握る箇所である操作レバー11をそのレバー基端で支持する基部12が設けられている。この基部12には、車両前後方向(図2のX軸方向)に延設するX軸ガイド板13が、そのX軸回りに沿って回動可能に連結されている。X軸ガイド板13には、X軸方向に延びる長孔13aが板一帯に亘り貫設されている。基部12には、車両左右方向(図2のY軸方向)に延設されたY軸ガイド板14が、そのY軸回りに沿って回動可能でかつX軸ガイド板13と交差する配置状態で連結されている。Y軸ガイド板14には、Y軸方向に延びつつX軸ガイド板の長孔13aと交差する長孔14aが貫設されている。
【0013】
操作レバー11は、その基端から延びるレバー軸11aがX軸ガイド板13の長孔13aとY軸ガイド板14の長孔14aとの両孔に挿通した取り付け状態をとっている。このため、操作レバー11は、操作レバー11が操作者により傾倒操作された際、X軸ガイド板13及びY軸ガイド板14が各々回動する動きをとることにより、操作レバー11に対して交差する平面方向においてその360度を操作方向とするレバー傾倒操作が許容されている。
【0014】
図3に示すように、操作レバー11のノブ部11bの上面には、この操作レバー11を用いて選択したディスプレイ4上の項目ボタン5を決定操作する際や、或いはディスプレイ4の表示画面を前画面に戻す際に操作する第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16が設けられている。これら第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16は、操作時において押し操作(プッシュ操作)を伴う押下操作式スイッチであって、本例においては助手席側に位置するものを第1操作スイッチ15とし、運転席側に位置するものを第2操作スイッチ16とする。本例の第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16は、これらスイッチ機能が操作レバー11の操作者に応じて切り換わるスイッチであって、本例は操作者が運転席側か助手席側かでスイッチ機能が決定スイッチ及び戻りスイッチの何れか一方に切り換わる。なお、操作スイッチ15,16が機能スイッチに相当する。
【0015】
また、図4に示すように、車両1には、遠隔入力デバイス8(操作レバー11)がどの席に着座した座席着座者によって操作されたのかを判別するデバイス操作者判別回路17が設けられている。デバイス操作者判別回路17は、座席着座者の人体を信号通信経路として用いてレバー操作者を判別する生体通信式であって、本例においては運転席18に着座したドライバー19(図1参照)と、助手席20に着座したパッセンジャー21(図1参照)とのどちらが遠隔入力デバイス8を操作しているのかを判別する。デバイス操作者判別回路17が判別手段を構成する。
【0016】
デバイス操作者判別回路17には、車内の各シートに埋設された複数(本例は運転席18と助手席20の2つ)の電極22,23が設けられている。本例においては、運転席シート24に埋設した電極をD席シート電極22とし、助手席シート25に埋設した電極をP席シート電極23とする。D席シート電極22及びP席シート電極23は、例えば銅箔等を材質とした薄膜形状を成し、各々のシートにおいてそこに着座した着座者が接触可能となる位置に配置されている。また、各操作スイッチ15,16の操作表面には、これらシート電極22,23の対極電極として、各種電極材から成るスイッチ電極26a,26bが設けられている。
【0017】
デバイス操作者判別回路17には、D席シート電極22やP席シート電極23に高周波信号Fを出力可能な信号発生器27が設けられている。信号発生器27は、車両のイグニッションスイッチが例えばACC位置やIGオン位置に操作されてデバイス操作者判別回路17が稼働してから高周波信号Fを出力し続ける動作をとり、信号出力先を切り換える切換スイッチ28を介してD席シート電極22及びP席シート電極23に電気接続されている。本例のデバイス操作者判別回路17は、信号発生器27の高周波信号Fの出力先を、D席シート電極22とP席シート電極23との間で繰り返し切り換えてデバイス操作者判別を行うタイミング識別式が用いられている。
【0018】
切換スイッチ28は、D席シート電極22に繋がるD席側固定接点28aと、P席シート電極23に繋がるP席側固定接点28bと、これら固定接点28a,28bの間で位置状態が切り換わる可動接点28cとから成る。可動接点28cがD席側固定接点28aに接続して切換スイッチ28が第1スイッチ状態(図4の実線で示す状態)となると、信号発生器27はD席シート電極22と電気的に結線された状態となり、可動接点28cがP席側固定接点28bに接続して切換スイッチ28が第2スイッチ状態(図2の破線で示す状態)となると、信号発生器27はP席シート電極23と電気的に結線された状態となる。
【0019】
車両1には、遠隔入力デバイス8の操作状態を検出するコントロールユニットとしてスイッチコントローラ29が設けられている。スイッチコントローラ29は、このスイッチコントローラ29を統括制御するCPU30、各種制御プログラムやデータが格納されたROM31、データ処理時の作業領域であるRAM32等から成る。スイッチコントローラ29は、ROM31に格納された各種制御プログラムに基づき動作し、本例においては遠隔入力デバイス8の操作位置検出、遠隔入力デバイス8の操作者判別、遠隔入力デバイス8の第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16の操作有無検出等の各種処理を行う。なお、スイッチコントローラ29が判別手段及び割付手段を構成する。
【0020】
スイッチコントローラ29には、操作レバー11のX軸回りの傾倒角度θxを検出するX軸エンコーダ33が、第1A/D変換回路34を介して接続されている。また、スイッチコントローラ29には、操作レバー11のY軸回りの傾倒角度θyを検出するY軸エンコーダ35が、第2A/D変換回路36を介して接続されている。スイッチコントローラ29は、X軸エンコーダ33の検出信号からX軸ガイド板13の傾倒角度、即ち操作レバー11のX軸側への傾倒角度θxを演算するとともに、Y軸エンコーダ35の検出信号からY軸ガイド板14の傾倒角度、即ち操作レバー11のY軸側への傾倒角度θyを演算し、これら傾倒角度θx,θyの組み合わせを見ることにより、操作レバー11の操作位置(傾倒角度)を演算する。
【0021】
スイッチコントローラ29は、操作者が遠隔入力デバイス8を用いてディスプレイ4上の選択座標位置Pxを選択指定する際、この操作位置を絶対位置で検出する。絶対位置検出は、遠隔入力デバイス8における操作レバー11の操作位置と、ディスプレイ4の画面座標位置とが、ディスプレイ4上の選択位置指定の際において一義的に対応する位置検出手法である。スイッチコントローラ29は、傾倒角度θx,θyから操作レバー11の傾倒角度(操作位置)を演算し、この操作位置をディスプレイ4の画面にボタンフォーカス9やカーソル10として割り付ける際には、この表示を絶対位置で換算した表示位置に表示する。
【0022】
スイッチコントローラ29は、その出力系端子29aが切換スイッチ28に接続され、入力系端子29bが検出回路37を介してスイッチ電極26a,26bに接続されている。検出回路37は、スイッチ電極26a,26bから搬送されてきた高周波信号Fを増幅して出力するアンプ38と、そのアンプ38から得た入力信号をAM検波して出力する検波器39とから成る。
【0023】
スイッチコントローラ29は、切換スイッチ28に矩形波の切換信号Sswを出力して切換スイッチ28のスイッチ状態を切り換えるが、本例においてはHレベルの切換信号Sswを切換スイッチ28に加えることにより切換スイッチ28を第1スイッチ状態とし、Lレベルの切換信号Sswを切換スイッチ28に加えることにより切換スイッチ28を第2スイッチ状態とするスイッチ切り換えを行う。スイッチコントローラ29は、切換スイッチ28のスイッチ状態を切り換えるとき、切換信号SswのHLレベルを見ることにより、切換スイッチ28が第1スイッチ状態及び第2スイッチ状態のどちらにあるのかを認識する。
【0024】
車内のシートに着座した着座者が遠隔入力デバイス8を操作すべくノブ部11bを把持すると、人体を信号通信経路としてシート側電極(即ち、D席シート電極22又はP席シート電極23)とスイッチ電極26a,26bとが生体通信により電気的に繋がった状態となる。例えば、ドライバー19が遠隔入力デバイス8を操作した際は、D席シート電極22とスイッチ電極26bとがドライバー19を介して電気的に繋がった状態となり、D席シート電極22から発せられる高周波信号Fは、ドライバー19を介した生体通信により、スイッチ電極26bから所定の電圧レベルを持った検出信号Soutとしてスイッチコントローラ29に出力される。また、パッセンジャー21が遠隔入力デバイス8を操作した場合も同様である。
【0025】
スイッチコントローラ29は、検出回路37から出力される検出信号Soutの電圧値(電圧レベル)を逐次監視し、遠隔入力デバイス8の操作有無を判別する。ところで、電極22,23,26、信号発生器27及び検出回路37等から成る本例の遠隔入力デバイス8のデバイス操作者判別回路17では、D席シート電極22やP席シート電極23がスイッチ電極26a,26bと人体により生体結合した際、人体により第1容量C1が生じた状態となり、デバイス操作者判別回路17の容量結合が増加して、図5及び図6に示すように検出信号Soutの電圧値(電圧レベル)Vaが高くなる。スイッチコントローラ29は、検出信号Soutの電圧値Vaが最も低いポイントを基準にして電圧差(電圧レベル差)Vkを逐次算出し、その電圧差Vkが規定値Vx以上となったか否かを見ることにより、スイッチ操作者有無を判別する。
【0026】
スイッチコントローラ29は、検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上となってスイッチ操作者有りと判別した際、この時の切換信号SswのHLレベルを見ることにより、その時のスイッチ操作者がドライバー19及びパッセンジャー21のどちらであるかを判別する。本例においてスイッチコントローラ29は、検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の時に切換信号SswがHレベルであれば、その時のスイッチ操作者をドライバー19と判別し、検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の時に切換信号SswがLレベルであれば、その時のスイッチ操作者をパッセンジャー21と判別する。
【0027】
スイッチコントローラ29は、第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16の各々のスイッチ機能を、その時の遠隔入力デバイス8の操作者に応じた機能配列に割り付ける。本例の場合、スイッチコントローラ29は、遠隔入力デバイス8の操作者がパッセンジャー21の際、第1操作スイッチ15を決定スイッチとして認識し、第2操作スイッチ16を戻りスイッチとして認識する。よって、スイッチコントローラ29は、第1操作スイッチ15から得るスイッチ信号を決定指令として取り扱い、第2操作スイッチ16から得るスイッチ信号を戻り指令として取り扱う。
【0028】
また、スイッチコントローラ29は、遠隔入力デバイス8の操作者がドライバー19の際、第1操作スイッチ15を戻りスイッチとして認識し、第2操作スイッチ16を決定スイッチとして認識する。よって、スイッチコントローラ29は、第1操作スイッチ15から得るスイッチ信号を戻り指令として取り扱い、第2操作スイッチ16から得るスイッチ信号を決定指令として取り扱う。即ち、第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16のスイッチ機能は、その時のデバイス操作者がドライバー19かパッセンジャー21かによって配列が逆転して割り付け配置される。
【0029】
さて、例えばパッセンジャー21が遠隔入力デバイス8を操作すべくその操作レバー11を操作する場合を考えると、遠隔入力デバイス8の操作者は、ディスプレイ4の画面を見ながら遠隔入力デバイス8の操作レバー11を傾倒操作して、画面上のカーソル10を所望の項目ボタン5やアイコン6等に位置合わせする画面座標位置の選択操作を行う。このとき、スイッチコントローラ29は、X軸エンコーダ33及びY軸エンコーダ35から得る検出量を基に操作レバー11の操作位置(X−Y軸傾倒角度)を演算し、その演算位置に応じた画面位置に、ボタンフォーカス9やカーソル10を画像表示する。
【0030】
この位置決め後、パッセンジャー21は操作決定を行うべく遠隔入力デバイス8の第1操作スイッチ15を押下操作する動作をとるが、この時はP席シート電極23とスイッチ電極26aとがパッセンジャー21により人体結合し、デバイス操作者判別回路17はパッセンジャー21により容量結合が増加する。この時は、図5に示すように、切換信号SswがHレベルとなるタイミングで検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の値をとる状態となる。これにより、スイッチコントローラ29は、切換信号SswがLレベルの時に電圧差Vkが規定値Vx以上となる検出信号Soutを入力することから、この時の遠隔入力デバイス8の操作者がパッセンジャー21であると判別して第1操作スイッチ15を決定スイッチとして認識し、この時に第1操作スイッチ15から得るスイッチ信号を決定指令として取り込む。
【0031】
スイッチコントローラ29は、デバイス操作者がパッセンジャー21であるという認識下で第1操作スイッチ15からスイッチ信号を得てパッセンジャー21による第1操作スイッチ15の押下操作を認識すると、この操作を以て決定操作が行われたことを認識する。そして、スイッチコントローラ29は、第1操作スイッチ15の押下操作を認識すると、第1操作スイッチ15が押下操作される直前にボタンフォーカス9やカーソル10がその画面座標単位で重なっていた項目ボタン5やアイコン6を操作要求ボタンとして認識し、他のコントロールユニットに操作要求指令を出力して、その操作要求ボタンが有する機能に応じた各種処理を車両1に実施させる。
【0032】
パッセンジャー21は、ディスプレイ4の表示画面を一つ前の画面に戻す戻り操作を行うに際して、戻りスイッチとして割り付けられた第2操作スイッチ16を押下操作する。この時も、スイッチコントローラ29は、図5に示すような切換信号SswがHレベルとなるタイミングで検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の値をとる検出信号を入力することから、これを以てその時のデバイス操作者がパッセンジャー21であると判別する。スイッチコントローラ29は、デバイス操作者がパッセンジャー21であるという認識下では第2操作スイッチ16を戻りスイッチとして認識し、この際に第2操作スイッチ16から得るスイッチ信号を戻り指令として取り込む。
【0033】
スイッチコントローラ29は、デバイス操作者がパッセンジャー21であるという認識下で第2操作スイッチ16からスイッチ信号を得てパッセンジャー21による第2操作スイッチ16の押下操作を認識すると、この操作を以て戻り操作が行われたことを認識する。そして、スイッチコントローラ29は、第2操作スイッチ16の押下操作を認識すると、第2操作スイッチ16が押下操作される1つ前にディスプレイ4に表示されていた表示画面をディスプレイ4に再表示する。
【0034】
一方、ドライバー19が遠隔入力デバイス8で操作決定を行うべく第2操作スイッチ16を押下操作すると、この時はD席シート電極22とスイッチ電極26bとがドライバー19により人体結合し、デバイス操作者判別回路17はドライバー19により容量結合が増加する。この時は、図6に示すように、切換信号SswがLレベルとなるタイミングで検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の値をとる状態となる。これにより、スイッチコントローラ29は、切換信号SswがLレベルの時に電圧差Vkが規定値Vx以上となる検出信号Soutを入力することから、この時の遠隔入力デバイス8の操作者がドライバー19であると判別して第2操作スイッチ16を決定スイッチとして認識し、この時に第2操作スイッチ16から得るスイッチ信号を決定指令として取り込む。
【0035】
また、ドライバー19は、ディスプレイ4の表示画面を一つ前の画面に戻す戻り操作を行うに際して、戻りスイッチとして割り付けられた第1操作スイッチ15を押下操作する。この時も、スイッチコントローラ29は、図6に示すような切換信号SswがLレベルとなるタイミングで検出信号Soutの電圧差Vkが規定値Vx以上の値をとる検出信号を入力することから、これを以てその時のデバイス操作者がドライバー19であると判別する。スイッチコントローラ29は、デバイス操作者がドライバー19であるという認識下では第1操作スイッチ15を戻りスイッチとして認識し、この際に第1操作スイッチ15から得るスイッチ信号を戻り指令として取り込む。
【0036】
従って、本例においては、遠隔入力デバイス8が操作された際には、その操作者がドライバー19及びパッセンジャー21のどちらであるかを判別し、操作者がパッセンジャー21の場合は、第1操作スイッチ15を決定スイッチに割り付けるとともに第2操作スイッチ16を戻りスイッチに割り付け、操作者がドライバー19の場合はこれとは逆にスイッチ機能を割り付ける。このため、パッセンジャー21及びドライバー19の両方ともが、スイッチ操作を行い易い人差し指で、操作頻度の高い決定スイッチを操作することが可能となるので、これは遠隔入力デバイス8の操作性確保に非常に効果が高い。
【0037】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)遠隔入力デバイス8が操作された際、この時の操作者がどの座席の着座者であるかのデバイス操作者判別を行い、遠隔入力デバイス8の第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16のスイッチ機能を、その時のデバイス操作者に応じた配列に割り付ける。このため、どの着座位置に着座していても、スイッチ操作を行い易い人差し指で、操作頻度の高い決定スイッチを操作可能となるので、座席の着座位置に関係なく遠隔入力デバイス8の高い操作性を確保することができる。
【0038】
(2)遠隔入力デバイス8では、この種の決定スイッチは最も操作頻度の高いスイッチ機能であることから、最もスイッチ操作を行い易い人差し指で操作する機能スイッチに、この種の決定スイッチを割り付けることは、スイッチ操作回数の面から考えると、このスイッチ機能割り当てが効果的に利くことになるので、この点からも非常に効果が高いといえる。
【0039】
(3)信号発生器27で発生した高周波信号FがD席シート電極22とP席シート電極23とから交互に出力されるようにその信号出力先を切換スイッチ28で切り換え、運転席シート24や助手席シート25に着座した着座者が遠隔入力デバイス8を操作すると、信号発生器27で出力された高周波信号Fが生体通信によりスイッチコントローラ29に流れる。そして、この時にスイッチコントローラ29で検出される検出信号Soutの電圧値Vaは人体による容量結合増加に伴って上昇することから、その電圧差Vkが規定値Vx以上となった際に、その時の切換信号Sswのレベル状態を見てどちらのシート電極22,23から信号発信が行われたかを確認し、遠隔入力デバイス8の操作者がドライバー19及びパッセンジャー21のどちらであるかを判別する。従って、デバイス操作者判別処理は、信号発生器27からスイッチコントローラ29側に向かって高周波信号Fのみが流れる生体通信を用いた判別処理となるので、生体通信時に流れる信号は一方向のみに流れる通信をとることから、デバイス操作者判別処理が簡素なものとなる。
【0040】
なお、実施形態はこれまでの構成に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・ シート電極22,23は、図7に示すように通常の信号入力電極22aの他に、GNDに接地されたGNDパターン22bを設けた構造となっていてもよい。この場合のシート電極22,23は、円形薄膜状の信号入力電極22aの周囲に、半径方向に所定間隔をおいて例えば銅箔等から成るリング状のGNDパターン22bを配置させ、これら信号入力電極22aとGNDパターン22bとを透明な一対の薄膜状のラミネート41a,41bで挟み込んだ構造をとっている。ところで、図8に示すように、仮にデバイス操作者がボディアースに接近した際には、デバイス操作者判別回路17に人体による第2容量C2が生じることになるが、シート電極22,23にGNDパターン22bを設けた時は、デバイス操作者とボディアースとの間の結合は一定となることから、デバイス操作者が遠隔入力デバイス8を操作する際にデバイス操作者がボディアースに接近していても或いは接近していなくても、スイッチコントローラ29がスイッチ電極26a(26b)から得る検出信号Soutの電圧値Vaは大きく変化しない。従って、デバイス操作者がボディアースに接近している時とそうでない時との両方で同じ判別結果を得ることができ、これはデバイス操作者判別の精度向上に効果が高い。
【0041】
・ 信号発生器27は、その1つを2つのシート24,25で共用されることに限定されず、図9に示すように、各シート電極22,23ごとに個別の信号発生器27a,27bを設けてもよい。この場合においては、D席シート電極22に接続されたものを第1信号発生器27aとし、P席シート電極23に接続されたものを第2信号発生器27bとし、第1信号発生器27aが第1高周波信号F1をD席シート電極22に供給し、第2信号発生器27bがF1とは異なる周波数の第2高周波信号F2をP席シート電極23に供給する。
【0042】
また、検出回路37には、予め決められた周波数帯のみの信号を通すバンドパスフィルタ38a,38bが、シート電極22,23の数(本例は2つ)に合わせて設けられる。この場合は、第1信号発生器27aが出力した第1高周波信号F1を通し得るものを第1バンドパスフィルタ38aとし、第2信号発生器27bが出力した第2高周波信号F2を通し得るものを第2バンドパスフィルタ38bとする。D席シート電極22がスイッチ電極26a又はスイッチ電極26bと人体結合すると、検出回路37には第1高周波信号F1が入り、これは第1バンドパスフィルタ38aを通過してアンプ38及び検波器39を通り、これがD席タッチ検出信号Sout1としてスイッチコントローラ29に出力される。また、P席シート電極23がスイッチ電極26a又はスイッチ電極26bと人体結合すると、検出回路37には第2高周波信号F2が入り、これは第2バンドパスフィルタ38bを通過してアンプ38及び検波器39を通り、これがP席タッチ検出信号Sout2としてスイッチコントローラ29に出力される。
【0043】
スイッチコントローラ29は、検出回路37から入力する検出信号(D席タッチ検出信号Sout1、P席タッチ検出信号Sout2)の周波数を見てデバイス操作者判別を行う、いわゆる周波数識別式を用いてデバイス操作者判別を行う。スイッチコントローラ29は、検出回路37から得た入力信号がD席タッチ検出信号Sout1であれば、その時のデバイス操作者をドライバー19と判別し、検出回路37から得た入力信号がP席タッチ検出信号Sout2であれば、その時のデバイス操作者をパッセンジャー21と判別する。
【0044】
このように、デバイス操作者判別方法として周波数識別式を用いた場合には、デバイス操作者が遠隔入力デバイス8を把持したそのタイミングで、座席位置に応じた周波数を持つ高周波信号F1,F2がスイッチコントローラ29に送られることになり、遠隔入力デバイス8が操作された際は直ぐにデバイス操作者判別が開始されることになる。従って、例えば検出する座席数を増やすべくシート電極数が増加したとしても、デバイス操作者判別に必要な処理時間は不変であることから、デバイス操作者判別の処理時間を長く要してしまうような心配はない。
【0045】
・ デバイス操作者判別方法は、必ずしも操作者を信号経路として用いる生体通信式に限定されない。例えば、図10に示すように、デバイス操作者判別方法は赤外線センサ42を用いた赤外線検出式でもよい。この場合、運転席18には、赤外線を発光可能な赤外線発光部43aと、その赤外線を受光する赤外線受光部43bとが組みを成して設けられ、助手席20にも同様の赤外線発光部44a及び赤外線受光部44bが設けられる。そして、操作者が遠隔入力デバイス8を操作する際には、操作者が赤外線を遮断することから、赤外線受光部43b,44bが赤外線を受光できなくなる状態を見て操作者の着座位置を検出する。この場合は、赤外線センサ42という簡単な構造を用いてデバイス操作者を判別することができる。なお、赤外線センサ42が判別手段を構成する。
【0046】
・ デバイス操作者判別方法は、必ずしも生体通信式や赤外線検出式に限定されない。例えば、図11に示すように、車内にカメラ45を設置し、このカメラ45で取得する画像データを画像解析することによって、どの座席の着座者が遠隔入力デバイス8を操作しているのかを検出してもよい。この場合、各々の座席ごとにデバイス操作者検出用の部品を設置する必要がないので、デバイス操作者判別回路17に必要となる部品の設置工程数や、部品配置スペース確保等の懸念事項について考えずに済む。なお、カメラ45が判別手段を構成する。
【0047】
・ デバイス操作者判別は、これまでに述べた各種形式を組み合わせることも可能である。この場合、デバイス操作者の判別をできるだけ正確に行うことができ、操作者誤判別を発生し難くすることができる。
【0048】
・ 遠隔入力デバイス8の構造は、操作レバー11を傾倒操作することでディスプレイ4の画面座標位置を選択指定するジョイスティック式に限らず、例えば図12に示すようなスライド式でもよい。遠隔入力デバイス8がスライド式の場合、操作者が手にする操作ノブ46が第1ワイヤ47を介して一対のX軸スライダ48a,48bに取り付け固定され、第2ワイヤ49を介して一対のY軸スライダ50a,50bに取り付け固定されている。X軸スライダ48a,48bは一対のX軸ガイドレール51a,51bに沿ってX軸方向にスライド移動可能であり、Y軸スライダ50a,50bは一対のY軸ガイドレール52a,52bに沿ってY軸方向にスライド移動可能である。そして、X軸スライダ48a,48bの移動位置をX軸ポテンショメータ53で検出し、Y軸スライダ50a,50bの移動位置をY軸ポテンショメータ54で検出し、これらポテンショメータ53,54から取得する検出値を基に操作ノブ46の操作量を演算し、その演算値から操作者によるその時々のディスプレイ4上の選択座標位置Pxを求めることになる。
【0049】
・ 遠隔入力デバイス8の構造は、先に述べたジョイスティック式やスライド式に限らず、例えばノブ部11bを回動操作することにより画面座標選択位置を切り換えるダイヤル式でもよい。
【0050】
・ スイッチ電極26a,26bは、必ずしも操作スイッチ15,16に埋め込むことに限らず、例えばこれらを共用すべく操作レバー11のノブ部11bに設けてもよい。
・ 遠隔入力デバイス8のこの種の機能スイッチは、個数が必ずしも2つ(第1操作スイッチ15及び第2操作スイッチ16)に限定されず、3つ以上でもよい。例えば、機能スイッチが3つの場合、スイッチ機能としては決定機能及び戻り機能の他に、例えばディスプレイ4の表示画面を初期画面に戻す初期画面戻し機能が挙げられる。
【0051】
・ ディスプレイ4がデュアルディスプレイの場合、運転席側画面と助手席側画面とで表示する画面を異ならせてもよい。
・ 操作スイッチ15,16に「決定」又は「戻り」の表示がある場合には、スイッチ操作者の判別結果を基にこれら操作スイッチ15,16のスイッチ機能を切り換えるとともに、この表示も入れ替えてもよい。
【0052】
・ 操作スイッチ15,16にその時のデバイス操作者に応じてスイッチ機能を割り付ける場合、例えば合計5種のスイッチ機能が存在し、デバイス操作者がドライバー19かパッセンジャー21かによって、2つの各操作スイッチ15,16に割り付けられる2機能が各々異なるものでもよい。
【0053】
・ 遠隔入力デバイス8の操作位置検出は、必ずしも絶対位置検出に限らず、これは相対位置検出を用いてもよい。
・ スイッチ操作者判別対象は、ドライバー19及びパッセンジャー21の二者に限定されない。例えば、後部座席シートにも電極を設け、ドライバーとパッセンジャーと後部シート着座者の三者以上の中で誰が遠隔入力デバイス8を操作したかのを判別してもよい。
【0054】
・ 本例の入力系操作者判別装置の搭載対象は、必ずしも車両1に限定されない。即ち、複数人の座席着座者が存在する場合に、この中の誰が入力系を操作したのかを判別する必要のある機器や装置であれば、この採用対象は特に限定されない。
【0055】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1又は2において、前記判別手段は、人体を経由可能な通知信号を発生する信号発生手段と、前記操作者が着座する座席ごとに各々設けられ、前記信号発生手段から前記通知信号の供給を各々受ける複数の座席電極と、前記入力デバイスに設けた操作電極と、着座者が前記入力デバイスに触れて前記座席電極と前記操作電極とが人体を介して通電された際、その時の生体通信によって前記操作電極に流れる前記通知信号を取り込み、当該通知信号を用いて操作者判別を行う実行手段とを備えた生体通信式である。この場合、座席に着座した操作者が入力デバイスを操作すると、座席電極と操作電極とが人体で繋がり、信号発生手段から発生される通知信号が生体通信によって実行手段に出力される。実行手段はその取得した通知信号を用い、その時に入力デバイスを操作したのはどこの座席の着座者であるかを判別する操作者判別を行う。従って、生体通信時にやり取りされる信号は座席側から機器側という一方向のみの流れとなるので、例えば座席と機器との間で信号を交互にやり取りをする判別処理を用いた場合に比べ、生体通信の判別処理が簡素となる。
【0056】
(2)前記技術的思想(1)において、前記信号発生手段は、前記通知信号を発信する1つの信号発生器と、当該信号発生器が発信した前記通知信号の出力先を複数の前記座席電極の間で選択的に切り換える切換回路とを備えるとともに、前記実行手段は、前記切換回路の接続状態を見て前記通知信号の前記出力先を逐次認識し、前記操作者による前記操作手段の操作有無で変化する前記通知信号の信号レベル変化を検出し、前記出力先と前記信号レベル変化とを用いて前記操作者判別を行う。この場合、複数の座席電極間で1つの信号発生器が共用されるので、装置サイズ(回路基板サイズ)が小さく済む。
【0057】
(3)前記技術的思想(1)において、前記信号発生手段は、周波数の異なる前記通知信号を各々発信する複数の信号発生器を備えるとともに、前記実行手段は、前記生体通信確立時に前記電極及び前記操作者を通じて得られる前記通知信号の周波数を識別することにより、前記操作者判別を行う。この場合、操作者が入力デバイスを操作したそのタイミングで、座席位置に応じた通知信号が実行手段に出力されることになり、入力デバイスが操作された際は直ぐに操作者判別の処理が開始されるので、仮に操作者検出対象が増えたとしても操作者判別を行う際に必要な処理時間が短時間で済む。
【0058】
(4)前記技術的思想(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記座席電極には、前記通知信号が印加される信号入力電極の他に、前記入力デバイスの基準電位点に繋がるグランド電極が設けられている。この場合、操作者とボディアースとの間の結合が一定になるので、操作者が電極に触れて生じる電気回路の結合容量は、操作者が入力デバイスを操作する際にボディアースに接触しても、それによって値は変化しない。このため、通知信号の信号レベル値は操作者のボディアース接触有無により変化しないので、操作者判別の精度を向上することが可能となる。
【0059】
(5)請求項1又は2において、前記判別手段は、検出対象となる前記操作者ごとに設けられ、赤外線を発信可能な赤外線発信手段と、同じく検出対象となる前記操作者ごとに設けられ、前記赤外線発信手段が発信した前記赤外線を受信可能な前記赤外線受信と、前記赤外線受信手段の前記赤外線受信状態を見ることにより、操作者判別を行う実行手段と
を備えた赤外線検出式である。この場合、赤外線発信手段が発信する赤外線を赤外線受光手段が受光できているか否かを見るといる簡単な判別方法で入力デバイスの操作者判別を行うことが可能となる。
【0060】
(6)請求項1又は2において、前記判別手段は、前記操作者を撮影可能な撮像手段と、前記撮像手段で得た画像データを基に、当該画像データを画像解析して操作者判別を行う実行手段とを備えた画像処理式である。この場合、各操作者用に操作者検出用の部品群を用意する必要がないので、操作者判別に必要な部品点数が少なく済む。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】一実施形態における車内の外観を表す斜視図。
【図2】遠隔入力デバイスの内部構成を示す平面図。
【図3】遠隔入力デバイスの外観を示す平面図。
【図4】操作スイッチ装置の概略構成を示すブロック図。
【図5】パッセンジャーが入力系を操作する際の切換信号及び検出信号の波形図。
【図6】ドライバーが入力系を操作する際の切換信号及び検出信号の波形図。
【図7】別例におけるシート電極の具体例を示す分解斜視図。
【図8】他の別例の操作スイッチ装置の概略構成を示すブロック図。
【図9】他の別例の操作スイッチ装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】他の別例の操作スイッチ装置の概略構成を示す車内斜視図。
【図11】他の別例の操作スイッチ装置の概略構成を示す車内斜視図。
【図12】他の別例の遠隔入力デバイスの概略構成を示す概念図。
【符号の説明】
【0062】
4…表示装置としてのディスプレイ、5…選択ボタンを構成する項目ボタン、6…選択ボタンを構成するアイコン、8…入力デバイスとしての遠隔入力デバイス、15…機能スイッチを構成する第1操作スイッチ、16…機能スイッチを構成する第2操作スイッチ、17…判別手段を構成するデバイス操作者判別回路、29…判別手段及び割付手段を構成するスイッチコントローラ、42…判別手段を構成する赤外線センサ、45…判別手段を構成するカメラ、Px…画面座標位置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置とは離れた位置にある入力デバイスを用いて当該表示装置の画面座標位置選択が行われ、前記入力デバイスに複数設けられた機械式の機能スイッチの1つをその座標位置選択後に操作することによって、前記表示装置の画面に表示された各種選択ボタンの決定操作が行われる遠隔操作式入力装置において、
前記入力デバイスの操作者がどの座席の着座者かを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づき、複数存在する前記機能スイッチの各スイッチ機能を、前記入力デバイスを操作する前記着座者に応じた配列に割り付ける割付手段と
を備えたことを特徴とする遠隔操作式入力装置。
【請求項2】
前記割付手段は、前記入力デバイスに設けられた2つの前記機能スイッチに割り付けられる各々のスイッチ機能を、選択状態にある前記選択ボタンを決定状態に移行させる決定機能と、前記入力デバイスによる動作状態を前の状態に戻す戻り機能との間で、前記操作者に応じて入れ替えて割り付けることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作式入力装置。
【請求項1】
表示装置とは離れた位置にある入力デバイスを用いて当該表示装置の画面座標位置選択が行われ、前記入力デバイスに複数設けられた機械式の機能スイッチの1つをその座標位置選択後に操作することによって、前記表示装置の画面に表示された各種選択ボタンの決定操作が行われる遠隔操作式入力装置において、
前記入力デバイスの操作者がどの座席の着座者かを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づき、複数存在する前記機能スイッチの各スイッチ機能を、前記入力デバイスを操作する前記着座者に応じた配列に割り付ける割付手段と
を備えたことを特徴とする遠隔操作式入力装置。
【請求項2】
前記割付手段は、前記入力デバイスに設けられた2つの前記機能スイッチに割り付けられる各々のスイッチ機能を、選択状態にある前記選択ボタンを決定状態に移行させる決定機能と、前記入力デバイスによる動作状態を前の状態に戻す戻り機能との間で、前記操作者に応じて入れ替えて割り付けることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作式入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−201275(P2008−201275A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40008(P2007−40008)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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