説明

遠隔支援装置、遠隔支援システム及び遠隔支援方法

【課題】複数の拠点におけるユーザ間の適切なコミュニケーションを可能とした遠隔支援装置、遠隔支援システム及び遠隔支援方法を提供する。
【解決手段】拠点Aにおけるサーバシステム110は、拠点Bのクライアントシステム240からのアノテーション画像の情報を受信し、当該画像情報に対応する画像をホワイトボード160に投影し、クライアントシステム140は、ビデオカメラ118によってホワイトボード160を撮影した画像に対応する画像情報を、拠点Bにおいて表示されるべき画像に対応する画像情報として当該拠点Bのサーバシステム210へ送信する。また、クライアントシステム140は、アノテーション画像の情報を拠点Bのサーバシステム210へ送信し、当該サーバシステム210からのホワイトボード260の撮影画像の情報を受信し、当該撮影画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の装置と協同して、所定の投影領域に表示される画像に関する処理を行う遠隔支援装置、当該遠隔支援装置によって構成される遠隔支援システム、及び、当該遠隔支援装置における遠隔支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレゼンテーションにおいては、パーソナルコンピュータ(PC)のプレゼンテーション用ソフトウェアを用いて作成された資料(スライド)画像を、プロジェクタによってスクリーンに投影する手法が用いられることが多い。
【0003】
このような画像処理において、特許文献1及び特許文献2では、遠隔地からの画像をプロジェクタでホワイトボードに投影し、更に、その画像が投影されたスクリーンをカメラで撮影し、撮影により得られた画像情報を遠隔地へ送信する技術が開示されている。また、特許文献3では、電子ホワイトボードが配置された各拠点において、ユーザによってペン等を用いて描画された描画データをそのまま自拠点の電子ホワイトボードに描画するとともに、通信制御部によって受信、変換された、他拠点の電子ホワイトボードにおいて描画された描画データを自拠点の電子ホワイトボードに描画する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−33756号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0070674号明細書
【特許文献3】特開2000−188655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1において開示された技術では、画像の投影領域としての実物体であるホワイトボードは、1つの拠点のみに存在しており、他拠点におけるユーザに対する作業エリアは、電子的な媒体に限定されてしまうため、ユーザ間のコミュニケーションがしにくいという問題があった。また、特許文献2に開示された技術では、作業エリアとして共有された描画画面がただ1つ存在するだけであり、各拠点において予め用いていた実物体の作業エリアを利用して協同作業を行うことはできず、同様にユーザ間のコミュニケーションがしにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、複数の拠点におけるユーザ間の適切なコミュニケーションを可能とした遠隔支援装置、遠隔支援システム及び遠隔支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遠隔支援装置は、他の装置と協同して、所定の投影領域に投影される画像に関する処理を行うものであって、前記他の装置からの第1のアノテーション画像の情報を受信する第1の受信手段と、前記投影領域に、前記第1の受信手段により受信された第1のアノテーション画像の情報に対応する画像を投影する投影手段と、前記投影領域を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影により得られる撮影画像に対応する画像情報を、前記他の装置において表示されるべき画像に対応する画像情報として、前記他の装置へ送信する第1の送信手段と、前記他の装置が設置された拠点における投影領域に投影されるべき第2のアノテーション画像の情報を前記他の装置へ送信する第2の送信手段と、前記他の装置からの該他の装置が設置された拠点における投影領域の撮影により得られる撮影画像の情報を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段により受信された撮影画像の情報に対応する画像を表示手段とを有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、自拠点では、ホワイトボード等の投影領域には、他の装置からの第1のアノテーション画像の情報に対応する画像が投影され、表示手段には他の装置からの他拠点の投影領域の撮影画像が表示される。一方、他拠点では、ホワイトボード等の投影領域には、遠隔支援装置が送信した、第2のアノテーション画像の情報に対応する画像が投影され、表示手段には遠隔支援装置からの自拠点の投影領域の撮影画像が表示される。このため、各拠点の投影領域を作業エリアとして利用することによって拠点間で協同作業を行うことができ、ユーザ間のコミュニケーションがしやすくなる。
【0008】
また、本発明の遠隔支援装置は、前記他の装置の撮像手段で撮像され、かつ、前記表示手段に表示された画像の少なくとも一部の領域を選択する選択手段を有し、前記投影手段は、前記選択手段により選択された領域の画像を前記所定の投影領域に投影するようにしてもよい。
【0009】
この構成によれば、他の装置において撮像した画像を選択して投影領域に投影させることが可能となる。すなわち、他の装置において撮像した撮像画像の一部をアノテーション画像として自らの投影領域に投影することができ、その結果、一層円滑なコミュニケーションが可能となる。
【0010】
また、本発明の遠隔支援装置は、前記撮影手段の撮影により得られる撮影画像に含まれる第1のアノテーション画像に対して、描画した前記第1のアノテーション画像を重ねた合成画像を生成する生成手段を有し、前記第1の送信手段は、前記生成手段により生成された前記合成画像に関する画像情報を前記他の装置へ送信するようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、撮影手段により撮影された投影領域の画像に含まれる第1のアノテーション画像は、投影された第1のアノテーション画像は明度が高いことから、たとえば、色飛びと呼ばれる現象等により、撮像画像中において第1のアノテーション画像の内容を識別しずらくなることがある。このため、撮像画像に含まれる第1のアノテーション画像に、コンピュータで描画した電子データからなる第1のアノテーション画像を重ね合わせた合成画像を生成し、これを他の装置へ送信することにより、他の装置において撮像画像に含まれる第1のアノテーション画像の内容を確実に識別できる。特に、上記したように、撮像した撮像画像を選択して投影領域に投影させる際に、その撮像画像に含まれる第1のアノテーション画像をコンピュータで描画した電子データで置き換えることにより、再び投影される第1のアノテーション画像の内容を容易に識別可能となる。尚、撮像画像中に含まれる第1のアノテーション画像は、例えば、第1のアノテーション画像を描画した際の各種情報(時刻、ユーザ名等)から特定することができる。
【0012】
また、本発明の遠隔支援装置は、前記第1の受信手段が、前記他の装置からの第1のアノテーション画像の情報とともに、該第1のアノテーション画像の情報に対応する画像の投影に関する第1の描画指示を受信し、前記投影手段が、前記第1の受信手段により受信された第1の描画指示に応じて、前記投影領域に前記第1の受信手段により受信された第1のアノテーション画像の情報に対応する画像を投影するようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、他拠点におけるユーザの要求等に応じた適切な画像投影が可能となる。
【0014】
また、本発明の遠隔支援装置は、前記第2の送信手段が、前記第2のアノテーション画像の情報とともに、該第2のアノテーション画像の情報に対応する画像の投影に関する第2の描画指示を送信するようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、他拠点における投影領域において、自拠点のユーザの要求等に応じた適切な画像投影が可能となる。
【0016】
また、本発明の遠隔支援装置は、ユーザの操作指示に応じて、前記第2の描画指示を生成する生成手段を有し、前記第1の送信手段が、前記生成手段により生成された第2の描画指示を送信するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の遠隔支援装置は、サーバ及びクライアントからなり、前記サーバは、前記他の装置におけるクライアントと通信可能に接続され、前記クライアントは、前記他の装置におけるサーバと通信可能に接続されるようにしてもよい。
【0018】
本発明の遠隔支援システムは、上述したいずれかの遠隔支援装置を複数組み合わせて構成されることを特徴とする。
【0019】
本発明の遠隔支援方法は、他の装置と協同して、所定の投影領域に投影される画像に関する処理を行う遠隔支援装置における方法であって、前記他の装置からの第1のアノテーション画像の情報を受信する第1の受信ステップと、前記投影領域に、前記第1の受信ステップにより受信された第1のアノテーション画像の情報に対応する画像を投影する投影ステップと、前記投影領域を撮影する撮影ステップと、前記撮影手段の撮影により得られる撮影画像に対応する画像情報を、前記他の装置において表示されるべき画像に対応する画像情報として、前記他の装置へ送信する第1の送信ステップと、前記他の装置が設置された拠点における投影領域に投影されるべき第2のアノテーション画像の情報を前記他の装置へ送信する第2の送信ステップと、前記他の装置からの該他の装置が設置された拠点における投影領域の撮影により得られる撮影画像の情報を受信する第2の受信ステップと、前記第2の受信ステップにより受信された撮影画像の情報に対応する画像を表示ステップとを有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の遠隔支援方法は、前記他の装置の撮像手段で撮像され、かつ、前記表示手段に表示された画像の一部の領域を選択する選択ステップを有し、前記投影ステップが、前記選択ステップにより選択された領域の画像を前記所定の投影領域に投影するようにしてもよい。
【0021】
また、本発明の遠隔支援方法は、前記撮影手段の撮影により得られる撮影画像に含まれる第1のアノテーション画像に描画した前記第1のアノテーション画像を重ねた合成画像を生成するステップと、生成された前記合成画像に関する画像情報を前記他の装置へ送信するステップとを有するようにしてもよい。
【0022】
また、本発明の遠隔支援方法は、前記第1の受信ステップが、前記他の装置からの第1のアノテーション画像の情報とともに、該第1のアノテーション画像の情報に対応する画像の投影に関する第1の描画指示を受信し、前記投影ステップが、前記第1の受信ステップにより受信された第1の描画指示に応じて、前記投影領域に前記第1の受信ステップにより受信された第1のアノテーション画像の情報に対応する画像を投影するようにしてもよい。
【0023】
また、本発明の遠隔支援方法は、前記第2の送信ステップが、前記第2のアノテーション画像の情報とともに、該第2のアノテーション画像の情報に対応する画像の投影に関する第2の描画指示を送信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、各拠点の投影領域を作業エリアとして利用することによって拠点間で協同作業を行うことができ、複数の拠点におけるユーザ間の適切なコミュニケーションが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態の遠隔支援システムについて、図面を用いて説明する。図1は、遠隔支援システムを構成する遠隔支援装置の基本構成を示す図である。図1において、拠点Aには、遠隔支援装置としてのサーバシステム110及びホワイトボード160が設置され、拠点Bには、遠隔支援装置としてのクライアントシステム200が設置されている。
【0026】
拠点Aのサーバシステム110は、描画サーバ112、ビデオサーバ114、プロジェクタ116、ビデオカメラ118及びハーフミラー120を有する。一方、拠点Bのクライアントシステム240は、モニタ242を有する。拠点Aのサーバシステム110内の描画サーバ112及びビデオサーバ114と、拠点Bのクライアントシステム240とは、インターネット400によって通信可能に接続されている。
【0027】
本実施形態では、拠点Aに、サーバシステム110とともに拠点Bのクライアントシステム240と同様のクライアントシステムを設けて遠隔支援装置を構成するとともに、拠点Bに、クライアントシステム240とともに、拠点Aのサーバシステム110と同様のサーバシステムを設けて遠隔支援装置を構成し、更に拠点Bにホワイトボードを設けて、遠隔支援システムが構成される。
【0028】
図2は、遠隔支援システムの構成を示す図である。図2に示す遠隔支援システムにおいて、拠点Aには、遠隔支援装置としてのサーバシステム110及びクライアントシステム140と、ホワイトボード160とが設置される。これらのうち、クライアントシステム140は、モニタ142を有する。一方、拠点Bには、遠隔支援装置としてのサーバシステム210及びクライアントシステム240と、ホワイトボード260とが設置される。これらのうち、サーバシステム210は、描画サーバ212、ビデオサーバ214、プロジェクタ216、ビデオカメラ218及びハーフミラー220によって構成されている。また、拠点Aのクライアントシステム140と、拠点Bのサーバシステム210内の描画サーバ212及びビデオサーバ214とは、インターネット400によって通信可能に接続されている。
【0029】
拠点Aのサーバシステム110は、拠点Bのクライアントシステム240の要求に応じて、拠点Aにおける画像投影のための処理を行う。同様に、拠点Bのサーバシステム210は、拠点Aのクライアントシステム140の要求に応じて、拠点Bにおける画像投影のための処理を行う。以下、具体的に説明する。
【0030】
拠点Bのクライアントシステム240は、拠点Bのユーザの操作指示に応じて、注釈等のアノテーション画像を投影させる指示である描画コマンドと、当該アノテーション画像の情報を生成し、インターネット400を介して、拠点Aのサーバシステム110内の描画サーバ112に対して送信する。
【0031】
描画サーバ112は、受信した描画コマンドに応じて、当該描画コマンドとともに受信したアノテーション画像の情報をプロジェクタ116へ出力する。また、描画サーバ112は、予め保持している画像情報が存在する場合には、その画像情報をプロジェクタ116へ出力する。プロジェクタ116は、入力した画像情報に対応する画像を、ハーフミラー120を介してホワイトボード160へ投影する。
【0032】
ホワイトボード160には、プロジェクタ116によって画像が投影され、拠点Aのユーザによって文字等が書き込まれる。ビデオカメラ118は、ハーフミラー120を介して、投影画像が投影されるとともに文字等が書き込まれたホワイトボード160を撮影する。このビデオカメラ118は、プロジェクタ116と画角及び光軸が一致するように、パン、チルト、ズーム等の各種設定がなされている。撮影により得られた画像情報は、ビデオサーバ114へ出力される。ビデオサーバ114は、入力した画像情報を、インターネット400を介して、拠点Bのクライアントシステム240に対して送信する。
【0033】
拠点Bのクライアントシステム240は、受信した画像情報をモニタ242に表示する。これにより、拠点Bのユーザは、拠点Aのホワイトボード160の画像を認識することができる。
【0034】
上述と同様の処理が、拠点Aのクライアントシステム140と拠点Bのサーバシステム210との間でも行われる。すなわち、拠点Aのクライアントシステム140は、拠点Aのユーザの操作指示に応じて、アノテーション画像を投影させる指示である描画コマンドと、当該アノテーション画像の情報を生成し、インターネット400を介して、拠点Bのサーバシステム210内の描画サーバ212に対して送信する。
【0035】
描画サーバ212は、受信した描画コマンドに応じて、当該描画コマンドとともに受信したアノテーション画像の情報をプロジェクタ216へ出力する。また、描画サーバ212は、予め保持している画像情報が存在する場合には、その画像情報をプロジェクタ216へ出力する。プロジェクタ216は、入力した画像情報に対応する画像を、ハーフミラー220を介してホワイトボード260へ投影する。
【0036】
ホワイトボード260には、プロジェクタ216によって画像が投影され、拠点Bのユーザによって文字等が書き込まれる。ビデオカメラ218は、ハーフミラー220を介して、投影画像が表示されるとともに文字等が書き込まれたホワイトボード260を撮影する。ビデオサーバ214は、ビデオカメラ218の撮影により得られた画像情報を、インターネット400を介して、拠点Aのクライアントシステム140に対して送信する。
【0037】
拠点Aのクライアントシステム140は、受信した画像情報をモニタ142に表示する。これにより、拠点Aのユーザは、拠点Bのホワイトボード260の画像を認識することができる。
【0038】
以下、拠点Aのサーバシステム110と拠点Bのクライアントシステム240の動作を、フローチャートを参照しつつ、説明する。
【0039】
図3は、拠点Aのサーバシステム110の動作を示すフローチャートである。拠点Aのサーバシステム110内の描画サーバ112は、予め保持している画像情報をプロジェクタ116へ出力する。プロジェクタ116は、入力した画像情報に対応する画像(初期画像)を、ハーフミラー120を介してホワイトボード160へ投影する(S101)。
【0040】
次に、ビデオカメラ118は、ホワイトボード160の撮影を開始する(S102)。撮影により得られた画像情報(撮影画像の情報)は、ビデオサーバ114へ出力され、当該ビデオサーバ118は、入力した画像情報の拠点Bのクライアントシステム240への送信を開始する(S103)。その後も、ビデオカメラ118は、ホワイトボード160の撮影を継続し、ビデオサーバ118は、随時、入力した画像情報を拠点Bのクライアントシステム240へ送信する。
【0041】
次に、描画サーバ112は、拠点Bのクライアントシステム240からの描画コマンドを受信したか否かを判定する(S104)。描画コマンドを受信した場合、描画サーバ112は、当該描画コマンドの指示に応じて、当該描画コマンドに付加されているアノテーション画像の情報をプロジェクタ116へ出力する。プロジェクタ116は、入力したアノテーション画像の情報に対応する画像を、ハーフミラー120を介してホワイトボード160へ投影する(S105)。これにより、ホワイトボード160には、初期画像とともに、拠点Bのクライアントシステム240からの描画コマンドに付加されているアノテーション画像の情報に対応する注釈等の画像が投影される。なお、ビデオカメラ118による撮影画像における、拠点Bのクライアントシステム240からのアノテーション画像の情報に対応する画像の部分が色飛び等の不都合を引き起こす場合があることを考慮して、ビデオサーバ114は、ビデオカメラ118による撮影画像における、拠点Bのクライアントシステム240からのアノテーション画像の情報に対応する画像の位置に、拠点Bのクライアントシステム240からのアノテーション画像の情報に対応する画像を重ねた合成画像に対応する画像情報を生成し、その生成した画像情報を拠点Bのクライアントシステム240へ送信するようにしてもよい。
【0042】
S105における画像投影の後、あるいは、S104において描画コマンドを受信していないと判定された後、サーバシステム110は、拠点Aのユーザによって終了指示がなされたか否かを判定する(S106)。終了指示がなされた場合には、一連の動作が終了する。一方、終了指示がなされていない場合には、描画サーバ112による描画コマンドを受信したか否かの判定(S104)以降の動作が繰り返される。
【0043】
図4は、拠点Bのクライアントシステム240の動作を示すフローチャートである。クライアントシステム240は、拠点Bのユーザの操作指示に応じて、注釈等のアノテーション画像を拠点Aのホワイトボード160あるいは拠点Bのホワイトボード260に投影させる指示である描画コマンドを生成する(S201)。
【0044】
次に、クライアントシステム240は、画像描画処理を行い、拠点Aのホワイトボード160あるいは拠点Bのホワイトボード260に投影させるアノテーション画像の情報を生成する(S202)。更に、クライアントシステム240は、描画コマンドの送信先が自拠点のサーバシステムであるサーバシステム210であるか否かを判定する(S203)。例えば、拠点Bのユーザは、描画コマンドの生成の操作指示において、送信先を指定する操作指示を行い、クライアントシステム240は、この操作指示により送信先を判別する。
【0045】
描画コマンドの送信先が自拠点のサーバシステムであるサーバシステム210でない場合、クライアントシステム240は、描画コマンドにS202で生成されたアノテーション画像の情報を付加して、拠点Aのサーバシステム110内の描画サーバ112へ送信する(S204)。これにより、拠点Aのサーバシステム110では、図3のS105の動作が行われる。
【0046】
一方、描画コマンドの送信先が自拠点のサーバシステムであるサーバシステム210の場合、クライアントシステム240は、描画コマンドにS202で生成されたアノテーション画像の情報を付加してサーバシステム210へ送信する(S205)。この場合、サーバシステム210内の描画サーバ212は、受信した描画コマンドに付加されているアノテーション画像の情報をプロジェクタ216へ出力し、当該プロジェクタ216は、アノテーション画像の情報に対応する画像をホワイトボード260へ投影する。
【0047】
S204あるいはS205における描画コマンドの送信後、クライアントシステム240は、拠点Bのユーザによって終了指示がなされたか否かを判定する(S206)。終了指示がなされた場合には、一連の動作が終了する。一方、終了指示がなされていない場合には、描画コマンドの生成(S201)以降の動作が繰り返される。
【0048】
なお、拠点Bのサーバシステム210においても図3と同様の動作が行われ、拠点Aのクライアントシステム140においても図4と同様の動作が行われる。
【0049】
このように遠隔支援システムでは、拠点Aにおけるホワイトボード160に、拠点Bのクライアントシステム240からのアノテーション画像の情報に対応する画像が表示され、同様に、拠点Bにおけるホワイトボード260に、拠点Aのクライアントシステム140からのアノテーション画像の情報に対応する画像が表示される。また、拠点Aのモニタ142には、拠点Bのホワイトボード260の撮影画像が表示され、拠点Bのモニタ242には、拠点Aのホワイトボード160の撮影画像が表示される。このため、各拠点の投影領域であるホワイトボードを作業エリアとして利用することによって拠点間で協同作業を行うことができ、ユーザ間のコミュニケーションがしやすくなる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形実施が可能である。図5は、拠点Aの遠隔支援装置の他の構成を示す図である。図5において、拠点Aには、遠隔支援装置としてのサーバシステム110、自拠点モニタ用クライアントシステム170及び他拠点用クライアントシステム180と、ホワイトボード160とが設置されている。なお、拠点Bにおいても同様の構成とすることができる。
【0051】
他拠点用クライアントシステム180は、モニタ182を有する。この他拠点用クライアントシステム180は、拠点Bのサーバシステム210内のビデオサーバ214から送信される、ホワイトボード260の撮影により得られた画像情報を受信して、当該画像情報に対応する画像をモニタ182に表示する。
【0052】
拠点Aのユーザは、モニタ182に表示された画像の一部の領域を、ホワイトボード160に表示すべき画像として設定する操作指示を行うことができる。この操作指示がなされた場合、他拠点用クライアントシステム180は、設定された画像領域をコピーエリア183として選択し、当該コピーエリア183に対応する画像情報を、自拠点モニタ用クライアントシステム170へ送信する。
【0053】
自拠点モニタ用クライアントシステム170は、コピーエリア183に対応する画像情報を受信すると、当該画像情報に対応する画像と、予め保持している画像情報に対応する画像とを合成した合成画像の画像情報を生成する。更に、自拠点モニタ用クライアントシステム170は、合成画像をモニタ172に表示するとともに、コピーエリア183に対応する画像情報をサーバシステム110へ送信する。
【0054】
サーバシステム110内の描画サーバ112は、受信したコピーエリア183に対応する画像情報をプロジェクタ116へ出力し、プロジェクタ116は、当該画像情報に対応する合成画像をホワイトボード160へ投影する。
【0055】
このように、拠点Aにおいては、当該拠点Aのユーザの操作指示に応じて、拠点Bにおけるホワイトボード260の撮影により得られた画像情報に対応する画像の一部が選択されて、その画像が拠点Aのホワイトボード160に投影される。
【0056】
なお、上述した実施形態では、2つの拠点A及びBに遠隔支援装置が設置される場合における遠隔支援システムについて説明したが、3つ以上の拠点に遠隔支援装置が設置される遠隔支援システムにおいても、本発明を適用することができる。図6は、拠点A、B、Cの3箇所に遠隔支援装置が設置される場合の例であり、拠点Aには、遠隔支援装置としてのサーバシステム110、クライアントシステム140−1及び140−2が設置され、拠点Bには、遠隔支援装置としてのサーバシステム210、クライアントシステム240−1及び240−2が設置され、拠点Cには、遠隔支援装置としてのサーバシステム310、クライアントシステム340−1及び340−2が設置される。
【0057】
この画像システムにおいて、拠点Aのサーバシステム110は、インターネット400を介して拠点Bのクライアントシステム240−1及び拠点Cのクライアントシステム340−2と通信可能に接続され、これらクライアントシステム240−1及び340−2の要求に応じて、拠点Aにおける画像投影のための処理を行う。同様に、拠点Bのサーバシステム210は、インターネット400を介して拠点Aのクライアントシステム140−1及び拠点Cのクライアントシステム340−1と通信可能に接続され、これらクライアントシステム140−1及び340−1の要求に応じて、拠点Bにおける画像投影のための処理を行う。また、拠点Cのサーバシステム310は、インターネット400を介して拠点Aのクライアントシステム140−2及び拠点Bのクライアントシステム240−2と通信可能に接続され、これらクライアントシステム140−2及び240−2の要求に応じて、拠点Cにおける画像投影のための処理を行う。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上、説明したように、本発明に係る遠隔支援装置、遠隔支援システム及び遠隔支援方法は、複数の拠点におけるユーザ間の適切なコミュニケーションを可能とし、遠隔支援装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】遠隔支援システムを構成する遠隔支援装置の基本構成を示す図である。
【図2】遠隔支援システムの構成を示す図である。
【図3】サーバシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】クライアントシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】遠隔支援装置の他の構成を示す図である。
【図6】遠隔支援システムの他の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
110、210 サーバシステム
112、212 描画サーバ
114、214 ビデオサーバ
116、216 プロジェクタ
118、218 ビデオカメラ
120、220 ハーフミラー
140、240 クライアントシステム
142、242 モニタ
160、260 ホワイトボード
400 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置と協同して、所定の投影領域に投影される画像に関する処理を行う遠隔支援装置であって、
前記他の装置からの第1のアノテーション画像の情報を受信する第1の受信手段と、
前記投影領域に、前記第1の受信手段により受信された第1のアノテーション画像の情報に対応する画像を投影する投影手段と、
前記投影領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の撮影により得られる撮影画像に対応する画像情報を、前記他の装置において表示されるべき画像に対応する画像情報として、前記他の装置へ送信する第1の送信手段と、
前記他の装置が設置された拠点における投影領域に投影されるべき第2のアノテーション画像の情報を前記他の装置へ送信する第2の送信手段と、
前記他の装置からの該他の装置が設置された拠点における投影領域の撮影により得られる撮影画像の情報を受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段により受信された撮影画像の情報に対応する画像を表示する表示手段とを有することを特徴とする遠隔支援装置。
【請求項2】
前記他の装置の撮像手段で撮像され、かつ、前記表示手段に表示された画像の少なくとも一部の領域を選択する選択手段を有し、
前記投影手段は、前記選択手段により選択された領域の画像を前記所定の投影領域に投影することを特徴とする請求項1に記載の遠隔支援装置。
【請求項3】
前記撮影手段の撮影により得られる撮影画像に含まれる第1のアノテーション画像に対して、描画した前記第1のアノテーション画像を重ねた合成画像を生成する生成手段を有し、
前記第1の送信手段は、前記生成手段により生成された前記合成画像に関する画像情報を前記他の装置へ送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の遠隔支援装置。
【請求項4】
前記第1の受信手段は、前記他の装置からの第1のアノテーション画像の情報とともに、該第1のアノテーション画像の情報に対応する画像の投影に関する第1の描画指示を受信し、
前記投影手段は、前記第1の受信手段により受信された第1の描画指示に応じて、前記投影領域に前記第1の受信手段により受信された第1のアノテーション画像の情報に対応する画像を投影することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遠隔支援装置。
【請求項5】
前記第2の送信手段は、前記第2のアノテーション画像の情報とともに、該第2のアノテーション画像の情報に対応する画像の投影に関する第2の描画指示を送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の遠隔支援装置。
【請求項6】
ユーザの操作指示に応じて、前記第2の描画指示を生成する生成手段を有し、
前記第1の送信手段は、前記生成手段により生成された第2の描画指示を送信することを特徴とする請求項5に記載の遠隔支援装置。
【請求項7】
前記遠隔支援装置は、サーバ及びクライアントからなり、
前記サーバは、前記他の装置におけるクライアントと通信可能に接続され、
前記クライアントは、前記他の装置におけるサーバと通信可能に接続されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の遠隔支援装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の遠隔支援装置を複数組み合わせて構成されて画像に基づくコミュニケーションを実行することを特徴とする遠隔支援システム。
【請求項9】
他の装置と協同して、所定の投影領域に投影される画像に関する処理を行う遠隔支援装置における遠隔支援方法であって、
前記他の装置からの第1のアノテーション画像の情報を受信する第1の受信ステップと、
前記投影領域に、前記第1の受信ステップにより受信された第1のアノテーション画像の情報に対応する画像を投影する投影ステップと、
前記投影領域を撮影する撮影ステップと、
前記撮影手段の撮影により得られる撮影画像に対応する画像情報を、前記他の装置において表示されるべき画像に対応する画像情報として、前記他の装置へ送信する第1の送信ステップと、
前記他の装置が設置された拠点における投影領域に投影されるべき第2のアノテーション画像の情報を前記他の装置へ送信する第2の送信ステップと、
前記他の装置からの該他の装置が設置された拠点における投影領域の撮影により得られる撮影画像の情報を受信する第2の受信ステップと、
前記第2の受信ステップにより受信された撮影画像の情報に対応する画像を表示ステップとを有することを特徴とする遠隔支援方法。
【請求項10】
前記他の装置の撮像手段で撮像され、かつ、前記表示手段に表示された画像の一部の領域を選択する選択ステップを有し、
前記投影ステップは、前記選択ステップにより選択された領域の画像を前記所定の投影領域に投影することを特徴とする請求項9に記載の遠隔支援方法。
【請求項11】
前記撮影手段の撮影により得られる撮影画像に含まれる第1のアノテーション画像に対して、描画した前記第1のアノテーション画像を重ねた合成画像を生成するステップと、
生成された前記合成画像に関する画像情報を前記他の装置へ送信するステップとを有することを特徴とする請求項9又は10に記載の遠隔支援方法。
【請求項12】
前記第1の受信ステップは、前記他の装置からの第1のアノテーション画像の情報とともに、該第1のアノテーション画像の情報に対応する画像の投影に関する第1の描画指示を受信し、
前記投影ステップは、前記第1の受信ステップにより受信された第1の描画指示に応じて、前記投影領域に前記第1の受信ステップにより受信された第1のアノテーション画像の情報に対応する画像を投影することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の遠隔支援方法。
【請求項13】
前記第2の送信ステップは、前記第2のアノテーション画像の情報とともに、該第2のアノテーション画像の情報に対応する画像の投影に関する第2の描画指示を送信することを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の遠隔支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−5358(P2008−5358A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174630(P2006−174630)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】