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遮光膜、その製造方法、遮光材料および光学素子
説明

遮光膜、その製造方法、遮光材料および光学素子

【課題】 残留溶媒を低減し、内面反射を防止した光学素子の遮光膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 熱硬化性樹脂、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の残留溶媒を含有する遮光膜からなり、前記残留溶媒の含有量が1重量%以下である光学素子の遮光膜。熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有する遮光材料を誘電加熱した後、加熱して硬化させる工程を有する遮光膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光膜、その製造方法、遮光材料および光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラや望遠鏡等の光学機器に使用されるレンズやプリズム等の光学部材においては、光学部材への入射光が内面反射等を起こすことでフレアやゴーストが発生する。一般に内面反射等を低減することを目的として、光学部材の側面に黒色の反射防止塗料を塗布して、反射防止塗布膜を形成することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、溶媒としてトルエンと2−メトキシエタノールの混合溶媒、バインダーとして屈折率が1.67以上のエポキシ樹脂、色素材としてカーボンブラックやグラファイト等の黒色顔料が含まれている反射防止塗布膜を用いて、内面反射を低減する手法が提案されている。この際の黒色の反射防止塗料の乾燥条件としては、恒温乾燥器で加熱温度は120℃で1時間である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2009−282488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1にて提案されている乾燥方法では、乾燥後の(120℃、1時間)塗布膜中にトルエン(沸点/110℃)や2−メトキシエタノール(沸点/125℃)の残留溶媒が3.0重量%以上含まれている。一般に有機溶媒の屈折率は低く、1.40から1.50である。ここで、トルエンや2−メトキシエタノールの屈折率は1.49および1.42であり、残留溶媒が多いほど、遮光膜の屈折率は低下するといった課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を考慮してなされたものであり、残留溶媒を低減し、内面反射を防止した遮光膜、その製造方法および前記遮光膜を用いた光学素子を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、残留溶媒を低減し、内面反射を防止した遮光膜を作製するための遮光材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する遮光膜は、熱硬化性樹脂、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の残留溶媒を含有する遮光膜からなり、前記残留溶媒の含有量が1重量%以下であることを特徴とする。
【0009】
上記の課題を解決する遮光膜の製造方法は、熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有する遮光材料を誘電加熱した後、加熱して硬化させる工程を有することを特徴とする。
【0010】
上記の課題を解決する遮光材料は、熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有することを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決する光学素子は、上記の遮光膜が非光学有効面に形成されていることを特徴とする光学素子である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、残留溶媒を低減し、内面反射を防止した遮光膜、その製造方法および前記遮光膜を用いた光学素子を提供することができる。
【0013】
また、本発明によれば、残留溶媒を低減し、内面反射を防止した遮光膜を作製するための遮光材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の遮光膜の一実施態様を示す概略図である。
【図2】本発明の遮光膜の製造方法の一実施態様を示す説明図である。
【図3】遮光膜の評価用サンプルを示す概略図である。
【図4】内面反射率の測定装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る遮光膜は、熱硬化性樹脂、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の残留溶媒を含有する遮光膜からなり、前記残留溶媒の含有量が1重量%以下であることを特徴とする。
【0016】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の遮光膜の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の遮光膜の一実施態様を示す概略図である。図1に示すように、本発明の遮光膜1は、例えば光学素子用の光学レンズ2の縁にある平らな面からなるコバ面2aに形成される。本発明の遮光膜1をコバ面2aに形成することにより、光学レンズ2における内面反射の発生を防止することができる。
【0018】
本発明に係る遮光膜の製造方法は、熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有する遮光材料を誘電加熱した後、加熱して硬化させる工程を有することを特徴とする。
【0019】
本発明の遮光膜の製造方法は、誘電損失が0.1以上の高い溶媒を含む遮光材料で塗布膜を形成し、誘電加熱により選択的に前記塗布膜の誘電損失が高い溶媒を加熱することにより、残留溶媒の含有量が1重量%以下の少ないで遮光膜を得ることができる。
【0020】
図2は、本発明の遮光膜の製造方法の一実施態様を示す説明図である。図2に示すように、本発明の遮光膜の製造方法は、光学レンズ2の縁にある平らな面からなるコバ面2aに、熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有する遮光材料を塗布して塗布膜を形成する。次いで、前記塗布膜を誘電加熱した後、加熱して硬化させる。塗布膜にマイクロ波4(2.45GHz、100W、5分)を照射して誘電加熱すると、塗布膜中の誘電損失の大きな溶媒3は誘電加熱により選択的に加熱される。溶媒3の温度が沸点以上に加熱されることから、塗布膜に含まれる溶媒は蒸発し、塗布膜中の溶媒は減少し、残留溶媒の含有量が1重量%以下の残留溶媒の少ない遮光膜1を得ることができる。その結果、遮光膜1の屈折率が高くなり、光学レンズ2の内面反射率は低減する。以上の様に、本発明の製造方法は、残留溶媒の少ない、屈折率の高い遮光膜を得ることができる。
【0021】
次に、本発明の遮光膜の構成部材について説明する。
本発明の遮光膜に含有される熱硬化性樹脂は、塗布膜のマトリックスとなる部材であり、また光学部材の塗工面(例えば、図1中のコバ2a)と無機微粒子とのバインダーとなる樹脂でもある。具体的にはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる樹脂である。これらの樹脂は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
【0022】
本発明の遮光膜に含有される熱硬化性樹脂の含有量は、45重量%以上50重量%以下、好ましくは46重量%以上48重量%以下が望ましい。
【0023】
本発明の遮光膜に含有される色素材としては、有機染料が用いられる。有機染料としては、波長400nmから700nmの可視光を吸収し、溶媒に溶解可能な材料であればよく、また染料に区分されない有機物も含む。波長400nmから700nmにおける最大吸収率と最小吸収率の比を0.7以上にするために、染料は1種類であっても良いし、黒色、赤色、黄色、青色など数種類の染料を混合して吸収波長を調整しても構わない。
【0024】
染料の種類としては、色の種類が豊富なアゾ染料が好ましいが、アントラキノ染料、フタロシアニン染料、スチルベンゼン染料、ピラゾロン染料、チアゾール染料、カルボニウム染料、アジン染料であってもよい。また、クロムなどの金属を含む染料は、耐光性、耐水性、耐熱性などの堅牢性が増すので好ましい。
【0025】
本発明の遮光膜に含有される色素材の含有量は、38重量%以上42重量%以下、好ましくは39重量%以上41重量%以下が望ましい。
【0026】
本発明の遮光膜に含有される無機微粒子は、屈折率が2.00以上2.71以下、好ましくは2.20以上2.71以下の無機微粒子が用いられる。屈折率が2.00以上2.71以下であると遮光膜の屈折率が向上する。
【0027】
本発明の遮光膜に含有される無機微粒子としては、例えば酸化チタン(TiO、屈折率:2.71、比重:4.2から4.3)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10、比重:5.5)、酸化セリウム(CeO、屈折率:2.20、比重:7.1)、酸化錫(SnO、屈折率:2.00、比重:7.0)等を用いることができる。
【0028】
本発明の遮光膜に含有される無機微粒子の含有量は、10.0重量%以上13.0重量%以下、好ましくは8.0重量%以上10.0重量%以下が望ましい。
【0029】
本発明の遮光膜は、主要構成部材である熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.0以上2.71以下の無機微粒子を、誘電損失(ε’’)が0.1以上の溶媒で混合してなる組成物からなる遮光材料を用いることにより形成される。
【0030】
ここで、誘電損失が0.1以上の溶媒を用いる理由は、熱硬化性樹脂の誘電損失が0.1以上であるため、それ以下の誘電損失の溶媒では樹脂自体が誘電加熱により加熱され、溶媒が塗布膜中に多く残留するためである。
【0031】
なお、誘電損失(ε’’)が0.1以上、好ましくは0.1以上49.95以下の溶媒を用いるのが望ましい。誘電損失が49.95以下である理由は溶媒としてそれ以上のものが存在しないためである。
【0032】
次に、上記遮光材料を調製する際に用いられる溶媒としては、トルエン(ε’’=0.10)、酢酸ブチル(ε’’=0.14)、酢酸エチル(ε’’=0.18)、メチルイソブチルケトン(MIBK)(ε’’=0.65)、アセトン(ε’’=1.12)、メチルエチルケトン(MEK)(ε’’=1.46)、1−ブタノール(ε’’=9.75)、イソプロピルアルコール(IPA)(ε’’=14.62)、メタノール(ε’’=21.48)、エタノール(ε’’=22.87)、エチレングリコール(ε’’=49.95)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)(ε’’=39.5)、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテ−ト(PGMEA)(ε’’=37.5)、及び上記2種以上の混合溶媒が挙げられる。
【0033】
上記誘電損失が0.1以上の溶媒を含む遮光材料からなる塗料をレンズコバ2aに塗布して塗布膜を形成し、一例として電子レンジと同じ周波数である2.45GHzの誘電加熱装置の中に入れる。周波数2.45GHzのマイクロ波により、塗布膜中の誘電損失の高い溶媒が選択的に摩擦熱により加熱され、塗布膜の温度は上昇する。塗布膜中の溶媒が沸点以上に加熱され、溶媒は蒸発し、塗布膜中に残留する残留溶媒は減少する。その結果、屈折率の低い残留溶媒が減少し、塗布膜自体の屈折率は向上した遮光膜を得ることができる。
【0034】
本発明の誘電加熱により形成された遮光膜に含有される残留溶媒の含有量は1重量%以下、好ましくは0.45重量%以上0.85重量%以下が望ましい。残留溶媒の含有量が1重量%を超えると屈折率が残留溶媒の影響を受け、内面反射率が0.4%を超えるため好ましくない。残留溶媒の測定は熱分析(TGA)方式により測定される。
【0035】
次に、本発明の遮光膜の製造方法の一実施態様について説明する。
本発明に係る遮光膜の製造方法は、熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.0以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有する遮光材料を誘電加熱した後、加熱して硬化させる工程を有することを特徴とする。
【0036】
(1)遮光材料の調製方法
本発明の遮光膜は、熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.0以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有する遮光材料を用いて形成される。溶媒は誘電損失が0.1以上49.95以下のものを用いるのが好ましい。
【0037】
熱硬化性樹脂の前駆体には、前述の遮光膜に用いられる熱硬化性樹脂の単量体又はオリゴマーが用いられる。色素材、無機微粒子および溶媒は、前述の遮光膜に用いられるものと同様のものが用いられる。
【0038】
遮光材料に含有される熱硬化性樹脂の前駆体の含有量は、35重量%以上40重量%以下、好ましくは36重量%以上38重量%以下が望ましい。
遮光材料に含有される色素材の含有量は、30重量%以上35重量%以下、好ましくは31重量%以上33重量%以下が望ましい。
遮光材料に含有される無機微粒子の含有量は、7.0重量%以上11.0重量%以下、好ましくは8.0重量%以上10.0重量%以下が望ましい。
遮光材料に含有される溶媒の含有量は、18.0重量%以上24.0重量%以下、好ましくは20.0重量%以上22.0重量%以下が望ましい。
【0039】
本発明の遮光膜の作製に用いられる遮光材料の調製方法の一例を示す。まず、熱硬化性樹脂の前駆体としてエポキシ樹脂モノマー(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)(製品名:jER828/三菱化学製)、及び弾性エポキシ樹脂モノマー(変性エポキシ樹脂)(EXA−4850−150/DIC製)を各々6.1g、24.5g、色素材として染料(製品名:VALIFAST/オリエント化学製)を26.3g、無機微粒子としてTiOが25%含有したチタニアスラリー(製品名:ND139/テイカ製)29.4g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を10g秤量する。
これら秤量した原料を遊星回転方式の混合・分散装置(商品名:泡とり練太郎/シンキー製)の250ml専用容器中で分散させる。混合及び分散時間は20分間である。
【0040】
(2)塗布膜の形成方法
調製した遮光材料を光学素子(プリズム)の表面に塗布して塗布膜を形成する。図3は、遮光膜の評価用サンプルを示す概略図である。図3のサンプル(内面反射測定用サンプル7)は、遮光材料の染み出す連続気孔が形成されたウレタン製スポンジ(商品名:フソラス、富士ケミカル製)に遮光材料を含浸させ、図3中のプリズム6等の光学素子の表面に倣って50mm/秒の速さで移動させながら遮光材料を塗布して塗布膜を形成する。
【0041】
(3)遮光膜の形成方法
遮光材料の塗布膜を誘電加熱した後、加熱して硬化させる工程を行う。不図示の誘電加熱装置(周波数:2.45GHz)を用いて、出力100Wで5分間塗布膜の乾燥(硬化)を行い、その後に恒温槽を用いて80℃で120分間塗布膜の焼成を行うことで、遮光膜の評価用サンプル(内面反射測定用サンプル)を得た。この遮光膜の膜厚は10μmであった。得られた遮光膜について膜の特性を測定・評価した。
【0042】
本発明の光学素子は、遮光膜が非光学有効面に形成されていることを特徴とする。本発明の遮光膜を用いた光学素子の具体例としては、一眼レフカメラ用望遠レンズやデジタルカメラ用レンズが挙げられる。
【0043】
本発明の光学素子は、上記の光学部材のフレアやゴーストの発生原因となる迷光を吸収するための遮光膜を用いているので、光学性能が良好である。本発明の遮光膜を有する光学素子は、内面反射率が0.2%以上0.38%以下であることが好ましい。
【0044】
レンズ等の光学素子において、内面反射は、当該光学素子の界面(遮光膜が設けられている場合は、当該光学素子と遮光膜との界面)における屈折率差によって発生する。このため光学素子の表面に遮光膜が設けられている場合は、当該光学素子と遮光膜との屈折率差を小さくする必要がある。例えば、エポキシ樹脂の屈折率は1.55から1.61であり、光学素子(例えば、レンズ)の屈折率が1.85である場合は、エポキシ樹脂に屈折率の高い材料を混合させることで遮光膜の屈折率を1.80程度までに高くする必要がある。このようにして遮光膜の屈折率を光学素子の屈折率に近づけることにより、遮光膜とレンズとの界面において内面反射が起こりにくくなる。
【0045】
次に、遮光膜の光学性能の評価方法について説明する。
ASP分光計(ASP−32/自動光学測定装置;分光計器)を用いて内面反射率の測定を行う。図4は、内面反射率の測定装置(ASP−32)を示す模式図である。図4の測定装置は、測定サンプルとして反射面に遮光膜1を形成した三角プリズム(プリズム6)が用いられている。尚、プリズム6の寸法は、直角を挟む1辺の長さは30mmであり厚みは10mmである。またプリズム6の材質は、S−LaH53(nd=1.805)である。
【0046】
図4の測定装置は、ASP分光計を用いた測定装置である。ASP分光計は、サンプルと検出器の角度を任意に移動可能であるので、入射角毎の内面反射率を測定できる。例えば、図4(a)は、プリズム6に対する入射角bが90°の場合の内面反射率を測定することができる。また、図4(b)は、プリズム6に対する入射角bが45°の場合の内面反射率を測定することができる。さらに、図4(c)は、プリズム6に対する入射角bが30°の場合の内面反射率を測定することができる。
【0047】
以下、図4(a)に基づいてさらに説明する。ASP分光計より出た光はプリズム6に対して、入射角b=90°で入射する。このとき、空気の屈折率とプリズム6の屈折率との差により、光の屈折が起こる。ここで下記式[1]より、入射角dに対する屈折後の角度eを算出した。また算出したeより入射角cを算出した。
n=sind/sine 式[1]
(n:三角プリズム(プリズム6)の屈折率)
【0048】
上述した方法でcを算出した場合、図4(a)の系においては、屈折後の入射角cは68.13°である。図4(b)の系においては、屈折後の入射角cは45°(=b)である。図4(c)の系においては、屈折後の入射角cは36.73°である。
【0049】
続いて、プリズム5内で屈折した光は、プリズム6の底面に当たり、反射してプリズム6の外に出る。ここで外に出た光(反射光)の強度を検出器で検出した。このとき検出する光の波長領域を波長400nm乃至700nmの可視光領域とした。
【0050】
尚、内面反射率の測定に先立ってバックグラウンドの測定を行った。このバックグラウンド測定の際には、底面、入射面、反射面の3面が鏡面であって底面には何も塗布しないプリズムをサンプルとした。
【0051】
以上の方法で図4(a)の入射角68.13°において内面反射率を測定した結果を表3に示す。尚、表中の内面反射率は、波長400nm乃至700nmの波長領域(可視光領域)の内面反射率を1nm間隔で測定し、その測定結果の平均値を示す。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により遮光材料および遮光膜の製造方法の具体例について説明する。
【0053】
(実施例1)
光学素子用遮光材料の調製方法の実施例を説明する。
【0054】
まず、表1に示すように、熱硬化性樹脂の前駆体としてエポキシ樹脂モノマー(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)(製品名:jER828/三菱化学製)6.1g、及び弾性エポキシ樹脂モノマー(変性エポキシ樹脂)(EXA−4850−150/DIC製)24.5gと、色素材として染料(製品名:VALIFAST/オリエント化学製)を26.3g、無機微粒子としてTiOを25wt%含有したチタニアスラリー(製品名:ND139/テイカ製、分散溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME))29.4g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)(ε’’=39.5)10gを秤量する。これらの原料を遊星回転方式の混合・分散装置(商品名:泡とり練太郎/シンキー製)の250ml専用容器中で分散させる。混合及び分散時間は20分間である。
【0055】
混合・分散により得られた遮光材料を、図3に示す様に、三角プリズム6の底面に塗布して塗布膜を形成し、誘電加熱装置(周波数:2.45GHz)を用いて、出力100Wで300秒塗布膜の乾燥を行った。その後、恒温槽を用いて80℃で120分間塗布膜の焼成を行うことで、遮光膜の評価用サンプル(内面反射測定用サンプル)を得た。この遮光膜の膜厚は4.0μmであった。
【0056】
ASP分光光度計により、遮光膜の反射率を測定した結果、表2に示すように、内面反射率は波長400から700nmの平均値で0.25%であり、良好な値を示した。また、遮光膜の残留溶媒を熱分析(TGA)方式により測定した結果、0.65重量%であった。
【0057】
(実施例2)
遮光材料の溶媒として誘電損失が0.1のトルエンを用いた以外は、実施例1と同様に遮光材料を調製した。
【0058】
得られた遮光材料を、実施例1と同様に三角プリズムの平滑面に塗布し、硬化させ、遮光膜を得た。遮光膜の膜厚は、4.0μmであった。
ASP分光光度計により、遮光膜の反射率を測定した結果、表2に示すように、内面反射率は波長400から700nmの平均値で0.35%であった。
【0059】
(実施例3)
遮光材料の溶媒として誘電損失が49.95のエチレングリコールを用いた以外は、実施例1と同様に遮光材料を調製した。
【0060】
得られた遮光材料を、実施例1と同様に三角プリズムの平滑面に塗布し、硬化させ、遮光膜を得た。遮光膜の膜厚は、4.0μmであった。
ASP分光光度計により、遮光膜の反射率を測定した結果、表2に示すように、内面反射率は波長400から700nmの平均値で0.20%であった。
【0061】
(実施例4)
無機微粒子として屈折率が2.10の酸化ジルコニウムのスラリー(製品名:TECNAPOW/TECNAN製、分散溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、固形分25wt%)を用いた場合以外は、実施例1と同様に遮光材料を調製した。
【0062】
得られた遮光材料を、実施例1と同様に三角プリズムの平滑面に塗布し、硬化させ、遮光膜を得た。遮光膜の膜厚は4.0μmであった。
【0063】
ASP分光光度計により、遮光膜の反射率を測定した結果、表2に示すように、内面反射率は波長400から700nmの平均値で0.38%であった。
【0064】
(実施例5)
溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)(ε’’=39.5)の添加量を1gに減量した以外は、実施例1と同様に遮光材料を調製した。
【0065】
得られた遮光材料を、実施例1と同様に三角プリズムの平滑面に塗布し、硬化させ、遮光膜を得た。遮光膜の膜厚は4.0μmであった。
ASP分光光度計により、遮光膜の反射率を測定した結果、表2に示すように、内面反射率は波長400から700nmの平均値で0.23%であった。
【0066】
(実施例6)
溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)(ε’’=39.5)の添加量を20gに増量した以外は、実施例1と同様に遮光材料を調製した。
【0067】
得られた遮光材料を、実施例1と同様に三角プリズムの平滑面に塗布し、硬化させ、遮光膜を得た。遮光膜の膜厚は4.0μmであった。
【0068】
ASP分光光度計により、遮光膜の反射率を測定した結果、表2に示すように、内面反射率は波長400から700nmの平均値で0.28%であった。
【0069】
(比較例1)
遮光材料の溶媒として誘電損失が0.05のキシレンを用いた以外は、実施例1と同様に遮光材料を調製した。
【0070】
得られた遮光材料を、実施例1と同様に三角プリズムの平滑面に塗布し、硬化させ、遮光膜を得た。遮光膜の膜厚は、4.0μmであった。
ASP分光光度計により、遮光膜の反射率を測定した結果、表2に示すように、内面反射率は波長400から700nmの平均値で0.65%であった。
【0071】
下記の表1から2に、実施例および比較例の結果をまとめて示す。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】


(注)
○:内面反射率<0.40%で外観変化無しである場合を示す。
×:内面反射率>0.40%で外観変化有りである場合を示す。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の遮光膜は、内面反射防止を兼ね備えているので、一眼レフカメラ用望遠レンズやデジタルカメラ用レンズの光学素子に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 遮光膜
2 光学レンズ
2a コバ面
3 残留溶媒
4 マイクロ波
6 三角プリズム、
7 内面反射測定用サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の残留溶媒を含有する遮光膜からなり、前記残留溶媒の含有量が1重量%以下であることを特徴とする遮光膜。
【請求項2】
熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有する遮光材料を誘電加熱した後、加熱して硬化させる工程を有することを特徴とする遮光膜の製造方法。
【請求項3】
熱硬化性樹脂の前駆体、色素材、屈折率が2.00以上2.71以下の無機微粒子および誘電損失が0.1以上の溶媒を含有することを特徴とする遮光材料。
【請求項4】
請求項1記載の遮光膜が非光学有効面に形成されていることを特徴とする光学素子。
【請求項5】
前記光学素子の内面反射率が0.2%以上0.38%以下であることを特徴とする請求項4記載の光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−88621(P2013−88621A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229104(P2011−229104)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】