説明

遮蔽膜構造

【課題】平面上のアスベスト等の有害物質等を除去するための、低廉で且つ作業性の良い遮蔽膜を提供すること。
【解決手段】第1遮蔽膜10と、第1遮蔽膜10と所定幅に平行且つ離間して対向させた第2遮蔽膜20と、第1遮蔽膜10の噛合部11に噛合した第3噛合部31と、第2遮蔽膜20に噛合した第4噛合部32を両端辺に有する第3遮蔽膜30と、第1噛合部にスライド可能な第5噛合部42と、第3噛合部31にスライド可能な第6噛合部43とを有する第1袋状部材40と、第2遮蔽膜20にスライド可能な第7噛合部52と、第4噛合部32にスライド可能な第8噛合部53スライド部材とを有する第2袋状部材50とからなり、上記第1袋状部材40と第2袋状部材50は、互いに対向して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平面上にアスベスト等の有害物質の存在する面から有害物質を除去する際等に使用して好適な有害物質等を遮蔽する遮蔽膜構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスベスト等の有害物質等の存在する空間を遮蔽する遮蔽膜に関する提案がある(特開2007−231705号公報)。
上記公報における遮蔽膜は、外部空間と連通する人形に形成したもので、人形の中に作業員が入った状態で、有害物質除去空間内を移動して有害物質を除去する。
しかしながら、上記遮蔽膜は、有害物質除去空間内を移動するだけの多量の遮蔽膜を必要とし、人形に形成するので高価になるという問題がある。
また、上記外部空間と連通する人形に形成した遮蔽膜のほかに、有害物質を含まない天井、壁面等を遮蔽する必要があり、遮蔽膜材料が多量に必要であり、除去碑が高額になるという問題がある。
【特許文献1】特開2007−231705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、この発明の課題は、平面上のアスベスト等の有害物質等を除去するための、低廉で且つ作業性の良い遮蔽膜構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、この発明の遮蔽膜構造は、平面上に貼付し、第1噛合部を有する第1遮蔽膜と、平面上に貼付し、上記第1噛合部と所定幅に平行且つ離間して対向させて、第2噛合部を有する第2遮蔽膜と、上記第1噛合部に噛合した第3噛合部と、上記第2噛合部に噛合した第4噛合部を両端辺に有する第3遮蔽膜と、上記第1噛合部の長さ方向一部に噛合または係合すると共にスライド可能な第1スライド部材と、上記第3噛合部の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第2スライド部材とを有する第1袋状部材と、上記第2噛合部の長さ方向一部に噛合または係合すると共にスライド可能な第3スライド部材と、上記第4噛合部の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第4スライド部材とを有する第2袋状部材とからなり、上記第1袋状部材と第2袋状部材は、互いに対向して設けられていることを特徴としている。
【0005】
1実施形態の遮蔽膜構造は、請求項2記載するように、上記第2スライド部材を第1スライド部材よりも長くして、上記第2スライド部材を第1スライド部材から離間させ、第4スライド部材を第3スライド部材よりも長くして、第4スライド部材を第3スライド部材から離間させ、上記遮蔽膜を平面から離間させるようにしていることを特徴としている。
また、1実施形態の遮蔽膜構造は、請求項3記載するように、上記第2スライド部材および第4スライド部材は、硬質材料からなり、上記第1スライド部材および上記第3スライド部材に向って開口する弓型に湾曲していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
この発明の遮蔽膜構造によれば、上記第1噛合部と上記第2噛合部と上記遮蔽膜で有害物質を含む平面を直接覆うので、遮蔽膜は必要最小限であり、遮蔽膜の費用が少なくなる。
また、第1噛合部と第3噛合部とは、気密的に噛合し、第2噛合部と第4噛合部とは、気密的に噛合しているので、上記遮蔽幕で覆われた平面上の有害物質を除去する作業をしても有害物質が遮蔽膜の外(清澄空間)に飛散することはない。
また、上記第1噛合部の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第1スライド部材と、上記第3噛合部の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第2スライド部材とを有する第1袋状部材と、上記第2噛合部の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第3スライド部材と上記第4噛合部の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第4スライド部材とを有する第2袋状部材とを設けているので、これら袋状部材を利用して、除去した除去物質を収納したり、除去作業を行ったり、資器材を作業空間に持ち込んだりできる。
【0007】
また、上記第1袋状部材と第2袋状部材は、互いに対向して設けられ、上記第1噛合部および上記第3噛合部、上記第2噛合部および上記第4噛合部に対してスライド可能であるので、上記袋状部材をスライドさせながら除去作業ができ、作業効率を向上させることができる。
上記実施形態の遮蔽構造によれば、上記遮蔽膜を平面から離間させるようにしているので、上記遮蔽膜と上記平面との間に作業空間が形成され、除去作業が容易になり、作業効率の向上が図れる。
また、上記実施形態の遮蔽膜構造によれば、上記第2スライド部材および第4スライド部材は、硬質材料からなり、上記第1スライド部材および上記第3スライド部材に向って開口する弓型に湾曲しているので、袋状部材の開口を確実に確保できると共に確実に上記遮蔽膜を平面から離間させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、この発明の遮蔽膜構造の一実施形態の斜視図である。
図2は、図1におけるII−II方向断面の断面図である。
図3は、図1におけるIII−III方向断面の断面図である。
この遮蔽膜構造は、アスベスト等の有害物質等の付着した廊下等の平面上1に貼付する第1遮蔽幕10および第2遮蔽膜20と、上記第1遮蔽幕10と第2遮蔽膜20間に亘って張設する第3遮蔽膜30と、上記第1遮蔽幕10と上記第3遮蔽膜30の中間に設け、上記第3遮蔽膜30と平面1の間に出没できる第1袋状部材40および第2袋状部材50とからなる。
【0009】
上記第1遮蔽幕10は、長尺の噛合部11と上記噛合部の片側に取付けた長尺のテープ状膜12からなる。上記テープ状膜12をアスベスト等の有害物質等の付着した廊下、天井等の平面上1に貼付する。
上記第2遮蔽膜20は、長尺の噛合部21と上記噛合部の片側に取付けた長尺のテープ状膜22からなる。上記テープ状膜22をアスベスト等の有害物質等の付着した廊下等の平面上1に貼付する。上記第2遮蔽膜20は、上記第1遮蔽幕10と互いに噛合部11、21を対向させ、且つ平行に設けてある。
上記第1遮蔽膜10と上記第3遮蔽膜30の中間には、上記第3遮蔽膜30と平面1の間に(図3の矢印)出没できる第1袋状部材40および第2袋状部材50が設けてある。
【0010】
上記第3遮蔽膜30は、上記第1遮蔽膜10と第2遮蔽膜20との離間間隔より広い幅を有する長尺のシート状部材であり、その両端縁に長尺の第3噛合部31と第4噛合部32を取付けてある。上記第3噛合部31は、上記第1遮蔽膜10の噛合部11に気密状に噛合する。上記第4噛合部32は、第2遮蔽膜20の噛合部21に気密状に噛合する。上記第3遮蔽膜30は、上記第3噛合部31を上記噛合部11に噛合させ、上記第4噛合部32を上記噛合部21に噛合させることによって、上記第1遮蔽膜10と第2遮蔽膜20との間に亘って張設され、平面1上のアスベスト等有害物質の飛散を防止する。
【0011】
上記第1袋状部材40は、資器材の出し入れや除去物の搬出をする柔軟性ビニールでできた袋、作業員が少なくとも手を入れて除去作業を行あう防護服などに使用する袋状部41と、その開口縁周囲に取り付けた第1スライド部材である第5噛合部42と第2スライド部材である第6噛合部43とからなる。上記第1袋状部材40は、上記第1遮蔽膜10と上記第3噛合部31の長さ方向適所の一部を噛合解除して設けられる。
【0012】
上記第5噛合部42は、上記第1遮蔽膜10の噛合部11と噛合すると共に長さ方向にスライド可能に取付けられる。上記第6噛合部43は、上記第3噛合部31と噛合すると共に長さ方向にスライド可能に取付けられる。
上記第6噛合部43は、上記第5噛合部42よりも長い。すなわち、上記第6噛合部43と上記第5噛合部42端部同士を近接すると、上記第6噛合部43は、上記第6噛合部43を弦とした弓型に湾曲し弓形の開口44を形成する。この弓形の開口44によって、上記袋状部41は、上記第3遮蔽膜30の内側と外側に(図3の矢印)出没できる。そして、この第1袋状部41を介して除去作業等を行う。
【0013】
上記第2袋状部材50は、資器材の出し入れや除去物の搬出をする柔軟性ビニールでできた袋、作業員が少なくとも手を入れて除去作業を行あう防護服などに使用する袋状部51と、その開口縁周囲に取り付けた第3スライド部材である第7噛合部52と第4スライド部材である第8噛合部53とからなる。上記第1袋状部材50は、上記第2遮蔽膜20と上記第4噛合部32の長さ方向適所の一部を噛合解除して設けられる。
【0014】
上記第7噛合部52は、上記第2遮蔽膜20の噛合部21と噛合すると共に長さ方向にスライド可能に取付けられる。上記第8噛合部53は、上記第4噛合部32と噛合すると共に長さ方向にスライド可能に取付けられる。
上記第8噛合部53は、上記第7噛合部52よりも長い。すなわち、上記第8噛合部53と上記第7噛合部52端部同士を近接すると、上記第8噛合部53は、上記第7噛合部52を弦とした弓型に湾曲し弓形の開口54を形成する。この弓形の開口54によって、上記袋状部51は、上記第3遮蔽膜30の内側と外側に(図3の矢印)出没できる。そして、この第2袋状部51を介して除去作業等を行う。
【0015】
符号60a、60b、60c、60d、は、上記第1袋状部材40および上記第2袋状部材50を取り付けるために、上記第1遮蔽膜10の第1噛合部11と上記第3噛合部31、さらに、上記第2遮蔽膜20の第2噛合部と上記第4噛合部32を噛合または解除するために設けられるスライダーである。
上記スライダー60aは、上記噛合部11と上記噛合部31を噛合する機能を有する合流口61aと上記噛合部11と上記噛合部31の噛合を解除する機能を有する分岐口62aとを前後に配置したものである。このスライダー60aと同一の機能を有するスライダー60bが、その分岐口62bと上記スライダー60aの分岐口62aとを対向させて、上記第1遮蔽膜10の第1噛合部11と上記第3噛合部31を挟むように設けている。そして、2箇所の上記スライダー60a、60bの分岐口62a、62bには、上記噛合部42、43のそれぞれの端部が近接または固定してある。
【0016】
さらに、上記スライダー60cは、上記噛合部21と上記噛合部32を噛合する機能を有する合流口61cと上記噛合部21と上記噛合部32の噛合を解除する機能を有する分岐口62cとを前後に配置したものである。このスライダー60cと同一の機能を有するスライダー60dが、その分岐口62dと上記スライダー60cの分岐口62cとを対向させて、上記第1遮蔽膜20の第2噛合部21と上記第3噛合部32を挟むように設けている。そして、2箇所の上記スライダー60c、60dの分岐口62c、62dには、上記噛合部52、53のそれぞれの端部が近接または固定してある。
【0017】
上記第1袋状部材40と第2袋状部材50は、互いに対向して設けられている。すなわち、上記噛合部42と上記噛合部52が対向し、上記噛合部43と上記噛合部53が対向している。この互いに対向していることおよび上記噛合部43と上記噛合部53が湾曲していることから、上記第3遮蔽膜30は、他の部分に対して盛り上がった状態になり、波型を形成する。この波型を形成した第3遮蔽膜30と平面1との空間が除去作業を行う空間である。
そして、上記第1袋状部材40と第2袋状部材50は、第1スライド部材である第5噛合部42、第2スライド部材である第6噛合部4、第3スライド部材である第7噛合部52および第4スライド部材である第8噛合部53を有するので、噛合部に沿って移動させることができ、除去作業に応じてその位置をスライド変更でき、除去作業を効率的に行うことができる。この場合、上記スライダー60a、60b、60c、60dを同時に移動させると、上記第1袋状部材40と第2袋状部材50が移動すると同時に、上記第1噛合部と第3噛合部が噛合し、上記第2噛合部と第4噛合部が噛合する。
【0018】
上記説明では、各噛合部を通称ジップロック(商標名)やビニールチャック(ビニチャック)称されるものを使用した場合について説明したが、噛合部は、それに限定されない。噛合部として、テープに務歯を取付け、務歯を噛合させるファスナを用いることができる。この場合、ファスナの務歯は、噛合するがスライドしないので、袋状部材のスライド部材すなわち第5〜8噛合部は、断面C字型の棒体を使用することができる。断面C字型の棒体の開口部にファスナのテープを挿入して、務歯を開口部に係止するようにする。
この発明の遮蔽膜構造によれば、上記第1遮蔽膜10と上記第2遮蔽膜20と上記第3遮蔽膜30で有害物質を含む平面1を直接覆うので、遮蔽膜は必要最小限であり、遮蔽膜等の費用が少なくなる。
【0019】
また、第1遮蔽膜10と第3噛合部31とは、気密的に噛合し、第2遮蔽膜20と第4噛合部32とは、気密的に噛合しているので、上記遮蔽幕で覆われた平面1上の有害物質を除去する作業をしても有害物質が遮蔽膜の外(清澄空間)に飛散することはない。
また、上記第1遮蔽膜10の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第1スライド部材42と、上記第3噛合部31の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第2スライド部材43とを有する第1袋状部材40と、上記第2遮蔽膜20の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第3スライド部材52と上記第4噛合部32の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第4スライド部材53とを有する第2袋状部材50とを設けているので、これら袋状部材を利用して、除去した除去物質を収納したり、除去作業を行ったり、資器材を作業空間に持ち込んだりできる。
【0020】
また、上記第1袋状部材40と第2袋状部材50は、互いに対向して設けられ、上記第1遮蔽膜10および上記第3噛合部31、上記第2遮蔽膜20および上記第4噛合部32に対してスライド可能であるので、上記袋状部材40、50をスライドさせながら除去作業ができ、作業効率を向上させることができる。
また、上記第3遮蔽膜30を平面1から離間させるようにしているので、上記第3遮蔽膜30と上記平面1との間に作業空間が形成され、除去作業が容易になり、作業効率の向上が図れる。
また、上記第2スライド部材43および第4スライド部材53は、硬質材料からなり、上記第1スライド部材42および上記第3スライド部材52に向って開口する弓型に湾曲しているので、袋状部材の開口を確実に確保できると共に確実に上記第3遮蔽膜30を平面から離間させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の遮蔽膜構造の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1におけるII−II方向断面の断面図である。
【図3】図1におけるIII−III方向断面の断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 第1遮蔽膜
11 噛合部
20 第2遮蔽膜
21 噛合部
30 第3遮蔽膜
31 第3噛合部
32 第4噛合部
40 第1袋状部材
41 袋状部
42 第5噛合部
43 第6噛合部
50 第2袋状部材
51 袋状部
52 第7噛合部
53 第6噛合部
60a、60b、60c、60d スライダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上に貼付し、第1噛合部を有する第1遮蔽膜と、
平面上に貼付し、上記第1噛合部と所定幅に平行且つ離間して対向させて、第2噛合部を有する第2遮蔽膜と、
上記第1噛合部に噛合した第3噛合部と、上記第2噛合部に噛合した第4噛合部を両端辺に有する第3遮蔽膜と、
上記第1噛合部の長さ方向一部に噛合または係合すると共にスライド可能な第1スライド部材と、上記第3噛合部の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第2スライド部材とを有する第1袋状部材と、
上記第2噛合部の長さ方向一部に噛合または係合すると共にスライド可能な第3スライド部材と、上記第4噛合部の長さ方向一部に噛合すると共にスライド可能な第4スライド部材とを有する第2袋状部材とからなり、
上記第1袋状部材と第2袋状部材は、互いに対向して設けられていることを特徴とする遮蔽膜構造。
【請求項2】
請求項1に記載の遮蔽膜構造において、
上記第2スライド部材を第1スライド部材よりも長くして、上記第2スライド部材を第1スライド部材から離間させ、第4スライド部材を第3スライド部材よりも長くして、第4スライド部材を第3スライド部材から離間させ、上記遮蔽膜を平面から離間させるようにしていることを特徴とする遮蔽膜構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遮蔽膜構造において、
上記第2スライド部材および第4スライド部材は、硬質材料からなり、上記第1スライド部材および上記第3スライド部材に向って開口する弓型に湾曲していることを特徴とする遮蔽膜構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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