説明

遮蔽装置及び無線電力送信装置

【課題】電力転送効率を向上させ、外部に漏出される磁場の量を最小化させる技術を提供する。
【解決手段】無線電力受信装置に無線で電力を転送する無線電力送信装置に含まれた遮蔽装置は、無線電力送信装置の送信コイル22で発生した磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更する第1遮蔽部、及び上記第1遮蔽部の上面に位置し、上記第1遮蔽部を貫通した磁場のうちの一部磁場を遮断するための第2遮蔽部を含み、上記第1遮蔽部の透磁率の実数成分値は虚数成分値より大きく、上記第2遮蔽部の透磁率の虚数成分値は実数成分値より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮蔽装置及び無線電力送信装置に関し、より詳しくは、電力転送効率を向上させ、外部に漏出される磁場の量を最小化させることができる無線電力転送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線で電気エネルギーを所望の機器に伝達する無線電力転送技術は、既に1800年代に電磁気誘導原理を用いた電気モータや変圧器が使われ始めて、その後にはラジオ波やレーザーのような電磁波を放射して電気エネルギーを転送する方法も試みられた。私達がしばしば使用する電動歯ブラシや一部無線カミソリも実際は電磁気誘導原理により充電される。現在まで無線方式によるエネルギー伝達方式は、磁気誘導、共振、及び短波長無線周波数を用いた遠距離送信技術などがある。
【0003】
最近にはこのような無線電力転送技術のうち、共振を用いたエネルギー伝達方式がたくさん使われている。
【0004】
共振を用いた無線電力転送システムは、送信側と受信側に形成された電気信号がコイルを通じて無線で伝えられるため、使用者は携帯用機器のような電子機器を難無く充電することができる。
【0005】
しかしながら、共振を用いたエネルギー伝達方式は、送信側で発生する電磁気波によって他機器の誤作動を起こすことがあり、電磁気波が人体に露出されれば健康に有害な影響を及ぼす問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、無線電力送信装置と無線電力受信装置との間の電力転送効率を向上させることができる遮蔽装置及び無線電力送信装置の提供を目的とする。
【0007】
本発明は他機器の誤作動を防止し、人体に有害な磁場が漏出される状況を防止するために外部に漏出される磁場の量を最小化させることができる遮蔽装置及び無線電力送信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に従う無線電力受信装置に無線で電力を転送する無線電力送信装置に含まれた遮蔽装置は、上記無線電力送信装置の送信コイルで発生した磁場のうち、一部磁場の転送経路を変更する第1遮蔽部、及び上記第1遮蔽部の上面に位置し、上記第1遮蔽部を貫通した磁場のうちの一部磁場を遮断するための第2遮蔽部を含み、上記第1遮蔽部の透磁率の実数成分値は虚数成分値より大きく、上記第2遮蔽部の透磁率の虚数成分値は実数成分値より大きいことを特徴とする。
【0009】
本発明の更に他の実施形態に従う無線電力受信装置に無線で電力を転送する無線電力送信装置は、電力ソースから電力の供給を受けて送信コイルで発生した磁場を非放射方式により上記無線電力受信装置の受信コイルに伝達する送信部、及び上記送信コイルで発生した磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更する第1遮蔽部と上記第1遮蔽部の上面に位置し、上記第1遮蔽部を貫通した磁場のうちの一部磁場を遮断するための第2遮蔽部を含む遮蔽装置を含み、上記第1遮蔽部の透磁率の実数成分値は虚数成分値より大きく、上記第2遮蔽部の透磁率の虚数成分値は実数成分値より大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明の更に他の実施形態に従う磁場を用いて受信装置と通信する送信装置に含まれた遮蔽装置は、上記送信装置で発生した磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更する第1遮蔽部、及び上記第1遮蔽部の上面に位置し、上記第1遮蔽部を貫通した磁場のうちの一部磁場を遮断するための第2遮蔽部を含み、上記第1遮蔽部の透磁率の実数成分値は虚数成分値より大きく、上記第2遮蔽部の透磁率の虚数成分値は実数成分値より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、次のような効果がある。
【0012】
第1に、無線電力転送過程で外部に漏出される電磁場の放射量を減少させて他機器の誤作動を防止し、人体に及ぼす有害性を最小化させることができる。
【0013】
第2に、遮蔽装置を通じて磁場の伝達経路を変更させて電力効率を極大化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に従う無線電力転送システムを示す。
【図2】本発明の一実施形態に従う送信誘導コイルの等価回路図である。
【図3】本発明の一実施形態に従う電力ソースと送信部の等価回路である。
【図4】本発明の一実施形態に従う受信用共振コイル、受信誘導コイル、平滑回路、及び負荷の等価回路を示す。
【図5】本発明の一実施形態に従う遮蔽装置のブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に従う無線電力送信装置を用いた無線電力転送システムの構成図である。
【図7】無線電力転送のための使用周波数によって遮蔽剤の透磁率の実数成分及び虚数成分の値が変わる状況を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的または辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最も最善の方法により説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に立脚して本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0016】
したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に図示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎないものであり、本実施形態の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点でこれらを代えることができる多様な均等物と変形例がありえることを理解すべきである。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に従う無線電力転送システムを示す。
【0018】
電力ソース10で生成された電力は送信部20に伝えられ、共振現象により送信部20と共振をなす、即ち共振周波数値が同一な受信部30に伝えられる。受信部30に伝えられた電力は整流回路40を経て負荷50に伝えられる。負荷50は充電池またはその他の電力を必要とする任意の装置でありうる。
【0019】
より具体的に説明すると、電力ソース10は所定周波数の交流電力を提供する交流電力ソースである。
【0020】
送信部20は、送信誘導コイル21と送信用共振コイル22とから構成される。送信誘導コイル21は電力ソース10と連結され、交流電流が流れる。送信誘導コイル21に交流電流が流れれば、電磁気誘導により物理的に離隔されている送信用共振コイル22にも交流電流が誘導される。送信用共振コイル22に伝えられた電力は共振により送信部20と共振回路をなす受信部30に伝えられる。
【0021】
インピーダンスがマッチングされた2つのLC回路の間は共振により電力が転送される。このような共振による電力転送は電磁気誘導による電力転送より遠い距離までより高い効率で電力伝達可能にする。
【0022】
受信部30は、受信用共振コイル31と受信誘導コイル32とから構成される。送信用共振コイル22により送信された電力は受信用共振コイル31により受信されて受信用共振コイル31に交流電流が流れるようになる。受信用共振コイル31に伝えられた電力は電磁気誘導により受信誘導コイル32に伝えられる。受信コイル32に伝えられた電力は整流回路40を通じて整流されて負荷50に伝えられる。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に従う送信誘導コイル21の等価回路図である。図2に示すように、送信誘導コイル21はインダクターL1とキャパシタC1とから構成され、これらにより適切なインダクタンスとキャパシタンス値を有する回路を構成するようになる。キャパシタC1は可変キャパシタであり、可変キャパシタを調節してインピーダンスマッチングを遂行することができる。送信用共振コイル22、受信用共振コイル31、及び受信誘導コイル32の等価回路も図2に図示したものと同一である。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に従う電力ソース10と送信部20の等価回路である。図3に示すように、送信誘導コイル21と送信用共振コイル22は、各々所定インダクタンス値とキャパシタンス値を有するインダクターL1、L2とキャパシタC1、C2とから構成される。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態に従う受信用共振コイル31、受信誘導コイル32、平滑回路40、及び負荷50の等価回路を示す。
【0026】
図4に示すように、受信用共振コイル31と受信誘導コイル32は、各々所定インダクタンス値とキャパシタンス値を有するインダクターL3、L4とキャパシタC3、C4とから構成される。平滑回路40は、ダイオードD1と平滑キャパシタC5とから構成され、交流電力を直流電力に変換して出力する。負荷50は1.3Vの直流電源で表示されているが、直流電力を必要とする任意の充電池または装置でありうる。
【0027】
図5は、本発明の一実施形態に従う遮蔽装置のブロック図である。
【0028】
図5を参照すると、遮蔽装置60は第1遮蔽部61と第2遮蔽部62とを含む。
【0029】
本発明の一実施形態に従う遮蔽装置60は、電磁気誘導または共振を用いた無線電力転送方式全てに利用できる。
【0030】
遮蔽装置60は無線電力送信装置100から無線電力受信装置200に伝えられる磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更したり、外部に漏出される磁場を遮断することができる。
【0031】
第1遮蔽部61は無線電力送信装置100の送信用共振コイル22で発生した磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更することができる。
【0032】
第1遮蔽部61は、送信用共振コイル22で発生した磁場のうち、一部磁場の転送経路を無線電力受信装置200の方に変更して無線電力受信装置200の方に多量の磁場を伝達することができる。即ち、第1遮蔽部61によって、無線電力送信装置100と無線電力受信装置200との間の電力転送効率が高まることができる。
【0033】
第2遮蔽部62は、送信用共振コイル22で発生した磁場のうち、第1遮蔽部61を貫通した磁場の外部への漏出を遮断することができる。即ち、第2遮蔽部62は第1遮蔽部61を貫通した磁場のうちの一部磁場を吸収して熱エネルギーに変換し、外部への磁場の漏出を防止することができる。外部に漏出される磁場の量を減少させれば、人体に有害な磁場が露出される状況が防止できる。
【0034】
第1遮蔽部61及び第2遮蔽部62は、異種タイプの磁性体を含む。
【0035】
第1遮蔽部61及び第2遮蔽部62の各々は、スピネル(spinel)タイプ、ヘキサ(hexz)タイプ、サンダスト(Sandust)タイプ、パーマロイ(Permalloy)タイプの磁性体を含むことができる。例えば、第1遮蔽部61はスピネル(spinel)タイプの磁性体を含むことができ、第2遮蔽部62はヘキサ(hexa)タイプの磁性体を含むことができる。しかしながら、第1遮蔽部61がスピネルタイプの磁性体に限定されるものではなく、ヘキサタイプの磁性体またはガーネット(garnet)タイプの磁性体を含むことができ、この際、第2遮蔽部62はスピネルタイプの磁性体を含むことができる。
【0036】
<表1>にスピネルタイプ、ガーネットタイプ、ヘキサタイプの磁性体の組成(Formula)を表した。
【0037】
【表1】

【0038】
ここで、Me*はCo、Ni、Zn、Cu、及びMnのうちから選択された1つ以上の元素をいい、R*はY(Yttrium)元素などをいう。
【0039】
サンダストタイプの磁性体組成は、鉄(Fe)、珪素(Si)、アルミニウム(Al)の組合からなり、各組成割合は84%、10%、6%である。
【0040】
パーマロイタイプの磁性体組成は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)の組合からなり、各割合は90%、10%である。
【0041】
第1遮蔽部61及び第2遮蔽部62は透磁率も互いに異なる値を有することができる。
【0042】
ここで、透磁率とは、物質の磁気的性質を示す量であって、磁場の影響を受けて磁化する時に生じる磁気力線束密度と磁場の真空中での強さの比をいう。第1遮蔽部61の透磁率(u1)は次の<数式1>のように実数成分と虚数成分を有する複素数で表現可能である。
【0043】
(数1)
u1=u11+ju12
【0044】
第1遮蔽部61の透磁率(u1)の実数成分(u11)は第1遮蔽部61に入る磁場の方向を変更(ガイディング)させることができる程度を表すことができる。即ち、実数成分(u11)の値が大きいほど第1遮蔽部61に入る磁場の方向がよりたくさん変更され、実数成分(u11)の値が小さいほど第1遮蔽部61に入る磁場の方向が少なく変更される。
【0045】
第1遮蔽部61の透磁率(u1)の虚数成分(u12)は第1遮蔽部61に入る磁場を吸収して熱エネルギーに変換できる程度を表すことができる。即ち、虚数成分(u12)の値が大きいほど第1遮蔽部61に入る磁場の量のうちの多い量を熱エネルギーに変換されて外部に放出され、虚数成分(u12)の値が小さくなるほど第1遮蔽部61に入る磁場の量のうちの少ない量だけが熱エネルギーに変換されて外部に放出される。
【0046】
一実施形態において、第1遮蔽部61の透磁率(u1)の実数成分(u11)は虚数成分(u12)より大きいことがある。即ち、第1遮蔽部61は外部に漏出される磁場の量を最小化させる役割より磁場の方向を変更させる役割が主なものであるので、透磁率(u1)の実数成分(u11)が虚数成分(u12)より大きいことがある。
【0047】
好ましくは、第1遮蔽部61の透磁率(u1)の実数成分(u11)と虚数成分(u12)との割合は10:1以上、1000:1以下でありうる。透磁率(u1)の実数成分(u11)と虚数成分(u12)との割合が10:1以上のものが好ましい理由は、第1遮蔽部61が磁場を吸収して熱で放出させることができる機能より磁場の転送経路を変更させることができる機能をさらに有するようにするためである。即ち、透磁率(u1)の実数成分(u11)と虚数成分(u12)との割合が10:1以下になれば、第1遮蔽部61は第1遮蔽部61に流入する磁場の転送経路を円滑に無線電力受信装置側に変更させることができない。
【0048】
また、透磁率(u1)の実数成分(u11)と虚数成分(u12)との割合は1000:1以下になることが好ましい理由は、透磁率(u1)の実数成分(u11)と虚数成分(u12)との割合が1000:1以上になれば、第1遮蔽部61を構成する磁性物質の透磁率が周波数によって変化する特性上、第1遮蔽部61が無線電力転送に使われる周波数帯域でその機能を発揮できないためである。
【0049】
一実施形態において、透磁率(u1)の実数成分(u11)及び虚数成分(u12)は遮蔽剤に用いられる物質の特性上、30乃至5000位の値を有することができる。後述する第2遮蔽部62の透磁率(u2)の実数成分(u21)及び虚数成分(u22)も同様である。
【0050】
また、第2遮蔽部62の透磁率(u2)は、次の<数式2>のように実数成分と虚数成分を有する複素数で表現可能である。
【0051】
(数2)
u2=u21+ju22
【0052】
第2遮蔽部62の透磁率(u2)の実数成分(u21)は、第2遮蔽部62に入る磁場の方向を変更(または、ガイディング)させることができる程度を表すことができる。即ち、実数成分(u21)の値が大きいほど第2遮蔽部62に入る磁場の方向がよりたくさん変更され、実数成分(u21)の値が小さいほど第2遮蔽部62に入る磁場の方向が少なく変更される。
【0053】
第2遮蔽部62の透磁率(u2)の虚数成分(u22)は、第2遮蔽部62に入る磁場を吸収して熱エネルギーに変換できる程度を表すことができる。即ち、虚数成分(u22)の値が大きいほど第2遮蔽部62に入る磁場の量のうちの多い量を熱エネルギーに変換されて外部に放出され、虚数成分(u22)の値が小さくなるほど第2遮蔽部62に入る磁場の量のうちの少ない量だけが熱エネルギーに変換されて外部に放出される。
【0054】
第2遮蔽部62の透磁率(u2)の虚数成分(u22)は実数成分(u21)より大きいことがある。好ましくは、第2遮蔽部62の透磁率(u2)の虚数成分(u22)と実数成分(u21)との割合は1:1以上、10:1以下である。第2遮蔽部62は磁場の方向を変更させる役割より外部に漏出される磁場の量を最小化させる役割が主なものであるので、透磁率(u2)の虚数成分(u22)が実数成分(u21)より大きくなければならず、第2遮蔽部62の透磁率(u2)の虚数成分(u22)と実数成分(u21)との割合が10:1を超過すれば、第2遮蔽部62を構成する磁性物質の透磁率が周波数によって変化する特性上、無線電力転送に使われる周波数帯域で第2遮蔽部62がその機能を発揮できないためである。
【0055】
第1遮蔽部61及び第2遮蔽部62は圧着または接着の機械的な方法により結合できる。
【0056】
圧着方法は第1遮蔽部61及び第2遮蔽部62の薄板を常温で圧着器等により型を作って結合する方法であり、接着方法は第1遮蔽部61と第2遮蔽部62との界面の結合力を用いて結合する方法である。
【0057】
第1遮蔽部61及び第2遮蔽部62は薄膜蒸着の方法により結合されることもできる。
【0058】
薄膜蒸着方法は真空状態で金属や化合物などを加熱、蒸発させて、その蒸気が物体の表面に薄い膜として張られる方式であって、物理的気相蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)または化学的気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)の方法が用いられる。
【0059】
物理的気相蒸着または化学的気相蒸着方法は公知技術であるので、詳細な説明は省略する。
上記のように、遮蔽装置60は無線電力転送と関連して使用できるが、RFID (Radio-Frequency Identification)、NFC(Near Field Communication)、キーレスエントリ(Keyless Entry)などの通信方式でも使用できる。
【0060】
この場合には、無線電力送信装置100でない、RFID(Radio-Frequency Identification)、NFC(Near Field Communication)、キーレスエントリ(Keyless Entry)などの通信方式を用いた送信装置が用いられる。
【0061】
図6は、本発明の一実施形態に従う無線電力送信装置を用いた無線電力転送システムの構成図である。
【0062】
無線電力転送システムは、無線電力送信装置100及び無線電力受信装置200を含むことができる。
【0063】
無線電力送信装置100は、送信部20及び遮蔽装置60を含むことができる。
【0064】
送信部20は、送信誘導コイル21、送信用共振コイル22、及びキャパシタを含むことができる。詳細な説明は、図1で説明したものと同一である。
【0065】
送信部20は、電力ソース10から電力の供給を受けて送信用共振コイル22で発生した磁場を非放射方式により無線電力受信装置200の受信用共振コイル31に伝達する。
【0066】
遮蔽装置60は第1遮蔽部61と第2遮蔽部62とを含み、第1遮蔽部61は無線電力送信装置100から無線電力受信装置200に伝えられる磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更することができ、第2遮蔽部62は第1遮蔽部61を貫通した磁場のうち、外部に漏出される一部磁場を遮断することができる。
【0067】
図6の磁束線を参照すると、送信用共振コイル22で発生した磁場のうち、一部磁場は第1遮蔽部61により第1遮蔽部61を完全に貫通できず、無線電力受信装置200の方に経路が変更される。このために、第1遮蔽部61に透磁率(u1)の実数成分値(u11)が虚数成分値(u12)より大きい材料が使用される。一実施形態において、実数成分(u11)と虚数成分(u12)との割合は100:1以上でありうる。
【0068】
図6の磁束線を参照すると、第1遮蔽部61を貫通した一部磁場は第2遮蔽部62に吸収されることが分かる。
【0069】
即ち、第2遮蔽部62、110は送信用共振コイル22で発生した磁場のうち、第1遮蔽部61を貫通した磁場を遮断することができる。具体的に、第2遮蔽部62は第1遮蔽部61を貫通した磁場のうちの一部磁場を吸収して熱エネルギーに変換し、外部に磁場が漏出されることを防止することができる。このために、第2遮蔽部62に透磁率(u2)の虚数成分値(u22)が実数成分値(u21)より大きい材料が使用される。
【0070】
このように、第1遮蔽部61は送信共振コイル22で発生した磁場の方向を変更させて無線電力受信装置200に一層多い電力転送を可能にすることができる。
【0071】
また、第2遮蔽部62は第1遮蔽部61を貫通した磁場のうちの一部磁場を吸収して熱エネルギーで放出することによって、外部に漏出される磁場の量を最小化することができる。外部に漏出される磁場の量が最小化されれば、他機器の誤作動が発生する状況及び人体に有害な磁場が露出される状況が防止できる効果がある。
【0072】
即ち、本発明の実施形態に従う複層構造の遮蔽装置60は、無線電力受信装置200への電力転送効率を増加させると共に、外部に漏出される磁場の量を最小化することができる。
【0073】
本発明の実施形態に従う遮蔽装置60は、無線電力転送技術の他にも磁場を用いて受信装置と通信する送信装置に取り付けられて、電力転送効率を増加させると共に、外部に漏出される磁場の量を最小化できる効果を有することができる。
【0074】
図7は、無線電力転送のための使用周波数によって遮蔽剤の透磁率の実数成分及び虚数成分の値が変わる状況を説明するための図である。
【0075】
図7は、一般的なフェライトの透磁率が無線電力転送のための使用周波数によって変わる特性を示す。
【0076】
図7を参照すると、無線電力転送のための使用周波数の変化によって遮蔽剤の透磁率(m)の実数成分(m1)及び虚数成分(m2)が可変することを確認することができる。即ち、使用周波数が決定されれば、それによって透磁率(m)の実数成分(m1)及び虚数成分(m2)が決まるので、遮蔽剤を図5で説明した第1遮蔽部61または第2遮蔽部62のうち、いずれか1つに使用できるかが決まる。
【0077】
例えば、無線電力転送で使用周波数が0.1MHzの場合、実数成分(m1)は略20であり、虚数成分(m2)は略2000位で、虚数成分(m2)が実数成分(m1)より100倍位大きい。この際、遮蔽剤は磁場を吸収して熱で放出できる第2遮蔽部62に使用できる。
【0078】
遮蔽剤として使われる材料によって、図7のグラフで実数成分(m1)と虚数成分(m2)のグラフは異なる形態を有することができるので、使用者は使用周波数によって適切な遮蔽剤を選択して、遮蔽装置60を設計することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力受信装置に無線で電力を転送する無線電力送信装置に含まれた遮蔽装置であって、
前記無線電力送信装置の送信コイルで発生した磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更する第1遮蔽部と、
前記第1遮蔽部の上面に位置し、前記第1遮蔽部を貫通した磁場のうちの一部磁場を遮断するための第2遮蔽部と、を含み、
前記第1遮蔽部の透磁率の実数成分値は虚数成分値より大きく、
前記第2遮蔽部の透磁率の虚数成分値は実数成分値より大きいことを特徴とする、遮蔽装置。
【請求項2】
前記第1遮蔽部は前記一部磁場の転送経路を変更して前記無線電力受信装置に伝達し、
前記第2遮蔽部は前記第1遮蔽部を貫通した磁場を吸収して、熱で放出することを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記各透磁率の実数成分値は前記磁場の転送経路を変更させることができる程度を表し、前記各透磁率の虚数成分値は前記第1遮蔽部を貫通した磁場を吸収して、熱で放出される程度を表すことを特徴とする、請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記第1遮蔽部の透磁率の実数成分値は虚数成分値より10倍以上、1000倍以下であり、前記第2遮蔽部の透磁率の虚数成分値は実数成分値より1倍以上、10倍以下であることを特徴とする、請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部は異種タイプの磁性体を含むことを特徴とする、請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記第1及び第2遮蔽部の各々は、スピネルタイプ、ヘキサタイプ、サンダストタイプ、パーマロイタイプの磁性体のうち、いずれか1つの磁性体を含むことを特徴とする、請求項5に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記第1及び第2遮蔽部は、圧着または接着の方法により結合されることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記第1及び第2遮蔽部は、薄膜蒸着の方法により結合されることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項9】
無線電力受信装置に無線で電力を転送する無線電力送信装置であって、
電力ソースから電力の供給を受けて送信コイルで発生した磁場を非放射方式により前記無線電力受信装置の受信コイルに伝達する送信部と、
前記送信コイルで発生した磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更する第1遮蔽部と、 前記第1遮蔽部の上面に位置し、前記第1遮蔽部を貫通した磁場のうちの一部磁場を遮断するための第2遮蔽部を含む遮蔽装置を含み、
前記第1遮蔽部の透磁率の実数成分値は虚数成分値より大きく、
前記第2遮蔽部の透磁率の虚数成分値は実数成分値より大きいことを特徴とする、無線電力送信装置。
【請求項10】
前記第1遮蔽部は前記一部磁場の転送経路を変更して前記無線電力受信装置に伝達し、
前記第2遮蔽部は前記第1遮蔽部を貫通した磁場を吸収して、熱で放出することを特徴とする、請求項9に記載の無線電力送信装置。
【請求項11】
前記各透磁率の実数成分値は前記送信コイルで発生した磁場の転送経路を変更させることができる程度を表し、前記各透磁率の虚数成分値は前記第1遮蔽部を貫通した磁場を吸収して、熱で放出される程度を表すことを特徴とする、請求項10に記載の無線電力送信装置。
【請求項12】
前記送信部は電磁気誘導を用いて前記無線電力受信装置に電力を転送することを特徴とする、請求項9に記載の無線電力送信装置。
【請求項13】
前記送信部は共振を用いて前記無線電力受信装置に電力を転送することを特徴とする、請求項9に記載の無線電力送信装置。
【請求項14】
磁場を用いて受信装置と通信する送信装置に含まれた遮蔽装置であって、
前記送信装置で発生した磁場のうちの一部磁場の転送経路を変更する第1遮蔽部と、
前記第1遮蔽部の上面に位置し、前記第1遮蔽部を貫通した磁場のうちの一部磁場を遮断するための第2遮蔽部とを含み、
前記第1遮蔽部の透磁率の実数成分値は虚数成分値より大きく、
前記第2遮蔽部の透磁率の虚数成分値は実数成分値より大きいことを特徴とする、遮蔽装置。
【請求項15】
前記送信装置は、RFID、NFC、キーレスエントリ(Keyless Entry)のうち、少なくともいずれか1つの方式を用いて前記受信装置と通信することを特徴とする、請求項14に記載の遮蔽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−94049(P2013−94049A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230481(P2012−230481)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】