説明

選択的α1拮抗薬を含有する眼科製剤

【課題】眼科製剤を提供する。
【解決手段】この眼科製剤は、その適用に応じて任意の望ましくない眼充血を最小にしながら、又は効果的に排除しながら、瞳孔の対光反射を最適化するように作用する1種又は複数の有効薬剤を含む。この有効薬剤は、例えば、α1a選択的拮抗薬などのα1拮抗薬を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼に投与するために製剤化された組成物に関する。より詳細には、本発明は、照明不在の条件を含む減光下における過度の瞳孔散大を低減するためなど、視覚を改善するために製剤化されヒトの眼に投与される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
瞳孔サイズは、その直径が、減光下で人によって3mm〜9mmの間で変化することが一般に知られているが、この相違が夜間視、薄明視などの視覚に与える影響についてはほとんど考慮されてこなかった。しかし、米国特許第6,515,006号に開示されているように、瞳孔の大きい人は、より大きな光散乱、グレア、ハロー、及び特定の照明条件下で機能することを極めて困難にする可能性のある関連する光線の異常焦点に苦しむ。これは、眼は、薄明下で、角膜表面領域を明光下と比較して9倍以上も多く通過して焦点を合わせなければならないためである。
【0003】
角膜の湾曲が角膜中心からの距離の関数として次第に不完全になるのにつれて、より大きな度合いの望ましくない光散乱が、それを通して光が焦点を結ぶことを可能にするより大きな角膜表面積を生じさせる。このことは、多くの人々に共通の対光反射に関連した遺伝的要因のため、十分な採光のために要求される理想的な表面積をはるかに超えている場合に、夜間視及び薄明照明環境下での視覚に特に関連がある。したがって、このような人々における減光に対するこの過大な瞳孔反応を最小にすることが望ましい。
【0004】
完全暗黒を含む減光下で起こる瞳孔散大によって、眼に入る光を増加させることが可能になる。しかし、約3mm〜約4mmの瞳孔サイズが、この目的に対して必要とされる最大サイズであり、このサイズによって、明照明下での1mmの瞳孔に比較して9〜16倍以上の光が入ることが可能になる。正常集団についてのいくつかの研究での平均瞳孔サイズは、より大きいこと、すなわち約6.1mmであることが判った。高次収差(球面収差、コマ、二次乱視、トレフォイルなどのHOA)として知られる光学的不完全性を調べるために利用可能な最近の技術を使用するより最近の研究は、暗黒で4mmを超える瞳孔サイズの増大と眼が曝されるHOAの度合いとの間の強い相関を立証している。
【0005】
さらに、強度の光屈折異常を有する人々、非修正乱視を有するソフトコンタクトレンズ着用者などの屈折異常を部分的に矯正しただけの人々、過大な高次収差を有する人々、及び、薄明視又は暗所視瞳孔よりはるかに小さい光学ゾーンを伴う以前の屈折手術やその他の高次収差を伴う屈折手術を受けた人々などは、視覚及び/又はコントラスト感度(例えば、減光下での視力)の質が未だ大きく低下しており、照度低下に反応して低減する瞳孔の対光反射をより劇的に必要としている。レーザー視覚矯正は、特にこれらの人々の多くに対して新たな性質の視力障害を追加した。本質的に必要であるよりも9倍も広い表面領域から焦点を合わせる光に網膜を曝露することは、理想からの各湾曲変動を拡大する。例えば、最近のレーザー視覚矯正機の承認に関してFDAが典拠を示したように、近視及び/又は乱視のためだけに選択された人々の健常集団は、夜間視及び夜間運転に伴う困難の20%を超える発生率を立証している。
【0006】
一般に、瞳孔サイズを縮小させる取り組みでは、ピロカルピンなどの直接作用性縮瞳剤が使用されている。しかし、ピロカルピンは、眼窩上縁痛、毛様体筋収縮及び偽近視、最初に適用した場合に瞳孔径が通常2mm未満まで縮小することによる過度の薄明、ならびに充血、を引き起こす。その縮瞳効果が持続するのは、数時間だけと思われ、わずかではあるが網膜剥離の危険が知られている。これは、多分、刺激された毛様体筋の収縮による網膜の引っ張りに関連している。ピロカルピンの他に、特定のスルファモイル置換フェネチルアミン誘導体を使用して薬剤誘発性瞳孔散大(例えば、薬剤の投与によって惹起される瞳孔散大)を逆行させることが、米国特許第5,288,759号に開示されている。
【0007】
一般に、α1拮抗薬は、毛様体筋麻痺剤による瞳孔散大を逆行させる傾向を有することが知られており、それゆえ、瞳孔の対光反射を低減すると考えられる。しかし、同時に、α1拮抗薬は、それらの固有の性質により、結膜及び/又は強膜血管の拡張を惹起することが知られている。このことが眼に望ましくない充血を惹起する場合がある。これらの中で、フェントールアミンは、瞳孔の対光反射低減及び血管拡張の最小誘発に関する最良プロフィールの1つを有することが立証されており、それ故、米国特許第6,515,006号に開示の局所眼用薬剤として適用した場合、瞳孔の対光反射を低減する目的に役立つ。
【0008】
瞳孔散大を逆行させるのに使用され、瞳孔サイズに対するその影響について研究されたもう1つの薬剤は、α1アドレナリン受容体遮断剤であるダピプラゾールである。ダピプラゾールは、5,6,7,8テトラヒドロ−3−[2−(4−o,トリル−1−ピペラジニル)エチル]−8−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン塩酸塩である。一般に、これは、アドレナリン作用性散大剤であるフェニレフリンの散大効果及びトロピカミドにより惹起される散瞳及び調節麻痺を部分的に中和、又は逆行させるための0.5%溶液として入手できる。しかし、ダピプラゾールは、点眼による充血及び結膜水腫(例えば、膨大)の実質的な増大を起こすことが知られている。さらに、ダピプラゾールは、米国特許第6,515,006号に開示されているように、臨床応用において、この目的のために局所で使用した場合、薄明光下で瞳孔サイズを縮小させることに関して、例えばフェントールアミン及びフェノキシベンズアミンほど効果的でないことが立証されている。その副作用のため、ダピプラゾールの商業的使用は、反復的、規則的、又は長期にわたる使用に対してではなく、医原性瞳孔散大の逆転などの散発的使用に対しての使用が指示されている。
【0009】
一般に、瞳孔散大を仲介する受容体は、虹彩の平滑筋内に配置され、アドレナリン受容体とみなされるのが通常である。アドレナリン受容体は、さらに、α1又はα2受容体としてさらに分類される。虹彩散大筋中で、瞳孔散大を仲介するアドレナリン受容体は、α1受容体である。この分類は、平滑筋に特異的なα1受容体型(様々な器官系で異なってもよい)にさらに再分類され、しばしば、血管のα1アドレナリン受容体とは異なるα1受容体のサブ分類に再分類される。
【0010】
ヒトの膀胱において、例えば、α1a受容体は膀胱収縮を仲介し、一方、α1b受容体は血管組織に存在する。タムスロシンは、経口で投与した場合、非選択的α拮抗薬を含む既知薬剤と比較して血圧に対する影響が低減されており、これに伴って膀胱の痙攣を低減するので、やや優先的なα1a選択的拮抗薬とされる。タムスロシンに加え、KMD3213、WB−4101、及び5−メチルウラピジルなどのその他の化合物又は薬剤は、α1a選択性に関してさらに大きな特異性を有する。例えば、KMD3213は、使用されている非選択的α1a拮抗薬(ドキサゾシンなど)で見出されるよりも、血管組織に対する影響が低減され、緊張低下症(低血圧)の発生率が低いため、膀胱痙直を治療する目的で臨床的に研究されている。
【0011】
したがって、減光下での瞳孔の対光反射を、より最適な、散大の領域範囲限界に効果的に調節し、外来光を排除し、このような光での高次収差を排除し、それによって視覚を高め、かつ、充血のような目の血管効果を誘発することなく、そのようにできる、改善された眼科組成物を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、眼科製剤に関する。一般に、眼科製剤は、特に無照明を含む減光下での過度の瞳孔散大を低減するように作用できる。一実施形態において、組成物はα1拮抗薬を含む。好ましくは、組成物は、選択的α1拮抗薬を含むα1拮抗薬のサブクラスを含む。このクラスの化合物は、血管のαアドレナリン受容体に優先し、虹彩のαアドレナリン受容体に対して選択的に影響を及ぼすことができる。これに関して、選択的α1拮抗薬は、結膜及び/又は強膜血管の拡張を最小にしながら、減光下における眼の瞳孔の対光反射を低減するように効果的に作用することができる。したがって、選択的α1拮抗薬を局所方式などで眼に適用した場合には、望ましくない充血反応及び/又は結膜水腫を効果的に排除できる。α1虹彩の散大平滑筋を選択的に拮抗し、眼の血管組織とは拮抗しない化合物は、減光視覚を高める目的に関して理想的である。
【0013】
本発明は、一実施形態において、この目的のための眼科製剤を提供する。この眼科製剤は、血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリン受容体に選択的に効果を及ぼして、眼の充血を最小にしながら減光下での瞳孔直径を最適化する治療有効量の化合物を含む。
【0014】
一実施形態において、この化合物は、瞳孔散大平滑筋のαアドレナリン受容体に対して選択的である。
【0015】
一実施形態において、この化合物は、虹彩の散大平滑筋の活性を効果的に低減する。
【0016】
一実施形態において、この化合物は、虹彩括約筋に影響を与えないで、虹彩散大筋の活性を有効に低減する。
【0017】
一実施形態において、この化合物は、α1拮抗薬を含む。
【0018】
一実施形態において、このα1拮抗薬は、α1bアドレナリン受容体に優先してα1aアドレナリン受容体に対して選択的である。
【0019】
一実施形態において、このα1拮抗薬には、タムスロシンを含むスルホンアミド類、A−131701、フィデュロキシン(fiduloxasin)、Ro−70−004、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むウラシル類、4−オキソスピロベンゾピラン−2,4−ピペリジンを含むピペリジン類、RWJ−38063、RWJ−68141、RWJ−68157、RWJ−69736、Ro−70−004、REC15/2739、SB216469、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むアリールピペラジン類、SNAP5089及びニグルジピンを含むジヒドロピリジン類、WB4101を含むアミノベンゾジオキサン類、RS17053及びKMD−3213を含むジヒドロインドール類、n−アルキル化サッカリン類、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0020】
一実施形態において、この眼科製剤は経口的に投与される。
【0021】
一実施形態において、この眼科製剤は局所方式で投与される。
【0022】
一実施形態において、この眼科製剤は、該眼科製剤を含む点眼器から投与される。
【0023】
一実施形態において、この眼科製剤は、コンタクトレンズの上から眼科製剤を適用することによって投与される。
【0024】
一実施形態において、結果として生じる瞳孔直径は約6mm以下の範囲である。
【0025】
一実施形態において、結果として生じる瞳孔直径は約3mm〜約5mmの範囲である。
【0026】
一実施形態において、結果として生じる瞳孔直径は約2.75mm〜約4.0mmの範囲である。
【0027】
一実施形態において、明光下で約2mm以下の瞳孔直径は影響を受けない。
【0028】
一実施形態において、瞳孔直径は、約1mm以上縮小される。
【0029】
一実施形態において、瞳孔面積は、約20%以上縮小される。
【0030】
一実施形態において、この化合物は、さらに、血管組織の化学調節による血管効果に優先して角膜吸収を促進する。
【0031】
他の実施形態において、本発明は、瞳孔散大を調節する方法を提供する。この方法には、血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリン受容体に選択的に効果を及ぼす化合物の治療有効量を含有する製剤を眼に投与すること、及び眼の散大筋がこの製剤の不存在下でより大きな刺激を受ける減光下において、この製剤が眼と一定時間接触を維持させることが含まれる。
【0032】
一実施形態において、この製剤は、約6mm以下の最適化された瞳孔直径を提供するような量で投与される。
【0033】
一実施形態において、最適化された瞳孔直径は約3mm〜約5mmである。
【0034】
一実施形態において、最適化された瞳孔直径は約2.75mm〜約4mmである。
【0035】
一実施形態において、明光下、約2mm以下で最適化された瞳孔直径は影響を受けない。
【0036】
一実施形態において、瞳孔直径は、瞳孔直径を最適化するために約1mm以上縮小される。
【0037】
一実施形態において、瞳孔面積は、瞳孔直径を最適化するために約20%縮小される。
【0038】
一実施形態において、この製剤は、有害な視覚効果を低減するような量で投与される。
【0039】
一実施形態において、有害な視覚効果は、知覚される光散乱、コントラスト感度低下、及び視力低下の中の少なくとも1つによる。
【0040】
一実施形態において、有害な視覚効果は、不完全な非球面周縁角膜湾曲による。
【0041】
一実施形態において、有害な視覚効果は、コマ、二次乱視、球形収差、トリフォイル(trifoil)、クアドラフォイル(quadrafoil)、及びテトラフォイル(tetrafoil)などの、眼の高次収差による。
【0042】
一実施形態において、有害な視覚効果は、角膜の周辺域が一因となる未補正円柱矯正による。
【0043】
一実施形態において、この化合物は、α1a選択的拮抗薬を含む。
【0044】
一実施形態において、α1a選択的拮抗薬には、タムスロシンを含むスルホンアミド類、A−131701、フィデュロキシン、Ro−70−004、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むウラシル類、4−オキソスピロベンゾピラン−2,4−ピペリジンを含むピペリジン類、RWJ−38063、RWJ−68141、RWJ−68157、RWJ−69736、Ro−70−004、REC15/2739、SB216469、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むアリールピペラジン類、SNAP5089及びニグルジピンを含むジヒドロピリジン類、WB4101を含むアミノベンゾジオキサン類、RS17053及びKMD−3213を含むジヒドロインドール類、n−アルキル化サッカリン類、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0045】
さらに他の実施形態において、本発明は、製剤を眼に投与する方法を提供する。この方法は、血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリン受容体に選択的に効果を及ぼす製剤内化合物の治療有効量を投与することを含み、この化合物は、眼の充血を効果的に最小にしながら瞳孔直径を最適化する。
【0046】
一実施形態において、この製剤はさらに、血管組織の化学調節による血管効果に優先して角膜吸収を促進する。
【0047】
一実施形態において、この化学調節には、眼の結膜に対する一時的遮蔽又は結合が含まれる。
【0048】
一実施形態において、この化学調節は、血管吸収に影響を与えないで角膜吸収を高める。
【0049】
一実施形態において、この化学調節は、血管吸収を減らしながら角膜吸収を高める。
【0050】
一実施形態において、この化学調節は、天然フラボノイド、ビタミンA、ならびにアエシン(aescin)を含むハーブエキスを含め、果実及び野菜に由来する毛細管透過性を低下させる物質からなる群から選択される1つ又は複数の物質に対する曝露により生じる。
【0051】
一実施形態において、この化学調節は、粘滑剤、ハーブエキス、トチノキエキス、及び粘液を含む物質からなる群から選択される1つ又は複数の物質の使用により生じる。
【0052】
一実施形態において、眼及び結膜の粘膜に保護層を結合することによって、眼の粘膜を化学刺激物から保護して、眼を楽にし、及び/又は充血、灼熱感、刺痛感(stinging)、又は乾燥を低減する。
【0053】
一実施形態において、眼の毛細管透過性を低減すること及び天然フラボノイドを使用して静脈トーンを増すことによって、眼の粘膜を化学刺激物から保護し、眼を楽にし、及び/又は充血、灼熱感、刺痛感、又は乾燥を弱める。
【0054】
一実施形態において、化学調節は、アゾン(azone)、コラーゲン角膜シールド、帯電シクロデキストリン及び硫酸化シクロデキストリンを始めとするシクロデキストリン、天然接着性ポリマー、ミクロスフェア、キトサン、カプチソル(captisol)及びそれらの誘導体からなる群から選択される化学調節剤により生じる。
【0055】
一実施形態において、化学吸収は、リポソーム及びエマルジョン、デンドリマー、ならびにバッキーボールを始めとするナノ粒子からなる群から選択される1種又は複数の担体粒子を媒介として増加する。
【0056】
一実施形態において、瞳孔直径は、約6mm以下に最適化される。
【0057】
一実施形態において、瞳孔直径は、約3.0mm〜約5.0mmの大きさに最適化される。
【0058】
一実施形態において、瞳孔直径は、約2.75mm〜約4.0mmに最適化される。
【0059】
一実施形態において、明光下で約2mm以下の瞳孔直径は、影響を受けない。
【0060】
一実施形態において、瞳孔直径は、瞳孔直径を最適化するために約1mm以上縮小される。
【0061】
一実施形態において、瞳孔直径は、瞳孔面積を約20%縮小することによって最適化される。
【0062】
一実施形態において、化合物は、瞳孔直径を最適化するための唯一の有効成分として作用するα1a選択的拮抗薬が含まれる。
【0063】
本発明の眼科製剤は、一実施形態において、好ましくは、同時に存在する2つの効果、すなわち(a)眼が減光下で通常受ける散大量を低減する効果、及び(b)眼の充血を低減する効果を得る。正常な散大を低減することは、散大を惹起する筋肉の正常刺激を妨げる化合物を投与することによって得ることができる。このことは、例えば、充血を惹起する可能性もあるα1拮抗薬を用いてなされるが、α1拮抗薬が虹彩平滑筋に対して優先して選択的であるため、この充血は低減される。しかし、充血は、α1作動薬を使用して低減できる。拮抗薬及び作動薬は、一般に、互いに打ち消しあう。本発明は、(a)イミダゾリン、好ましくはフェントールアミンであるα1拮抗薬、及び(b)テトラヒドロゾリン、具体的にはテトラヒドロゾリン塩酸塩であるα1作動薬、又はその他のα作動薬(オキシメタゾリン、ナファゾリンなど)からなる特に好ましい製剤を提供する。これらの化合物のいくつかは、α拮抗薬の不存在下で使用した場合に瞳孔サイズをわずかに増大させる場合があるが、この効果は、α拮抗薬の存在下で防止できる。本発明の製剤は、散大及び充血の双方を低減する、α1拮抗薬及びα1作動薬の好ましい組合せ、を提供する。前に考察したように、本発明の他の好ましい実施形態により、タムスロシン又はKMD3213などの選択的α1拮抗薬を単独で使用して、充血があったとしても最小限にしながら瞳孔反射を低減することができる。
【0064】
薄明照明下での瞳孔サイズを最適化するための製剤を、本発明の実施形態により開示する。この製剤は、好ましくは、眼の散大を特に薄明光下で低減する能力によって特徴付けられる化合物の治療有効量をその中に溶かし込んだ人工涙製剤の状態で使用されるタイプの溶液である。この化合物は、一般に、眼散大筋の刺激を生じさせる自然の生化学的反応を妨害する。一実施形態において、この製剤は、好ましくは、眼充血を低減する化合物、例えば、テトラヒドラゾリン、オキシメタゾリン、ナファゾリンなどを含む。眼散大筋を刺激する内因性化合物を妨害する能力を有する化合物は、フェントールアミンなどのイミダゾリン類及びトラミン(tolamine)を含む化合物部類に属するα1拮抗薬でよい。前に考察したように、本発明は、局所投薬などでそれを適用すると、眼の充血を最小にしながら、あるいは効果的に排除しながら、瞳孔の対光反射を効果的に低減して視覚を最適化できる単一有効成分も提供する。一実施形態において、この単一有効成分には、選択的α1a拮抗薬などの選択的α1拮抗薬が含まれる。
【0065】
減光下での瞳孔直径が約4mm〜約5mmを超えず、あるいは昼光下でのその直径の約2〜5倍であるようにする、瞳孔直径を最適化する方法を開示する。この方法は、それを必要とする人に治療有効量のα1拮抗薬、例えば、選択的α1拮抗薬など、を投与することを包含する。減光下の最適瞳孔直径は、わずか約5mmでよく、明光下の瞳孔直径はわずか約2mmに縮小されてよく、あるいは約1mm程度の小ささでもよい。さらに、減光下の最適瞳孔直径は、両端の数字を含んで約3mm〜約5mm、好ましくは約3mm〜約4mmでよく、かつ、それぞれの患者によって異なってもよい。後述する実施例に、患者(ヒト)での実際の結果を示す。しかし、減光下での瞳孔の大きさを個々人の瞳孔の正常な大きさと比較して1mm以上低減すれば、実施形態による臨床上有用な効果を確立するために十分である。
【0066】
その結果から、α1拮抗薬は散大を低減できるが、若干のα1拮抗薬はかなりの眼充血も引き起こすことがわかる。一実施形態において、散大の低減は約1.0mm以上である。本発明の製剤及び方法論は、実際上、充血を伴わないで、又は許容できる程度の充血を伴って、低減された瞳孔直径を提供する。これは、本発明の実施形態において唯一の有効成分として作用するα1選択的拮抗薬を使用して達成できる。一実施形態において、瞳孔面積の大きさを、約20%以上効果的に低減し、それによって視覚を高めることができる。
【0067】
本発明の方法によれば、一実施形態において、好ましくはヒト患者の眼、より好ましくは実質的に薬物を投与されていないヒトの眼である患者の眼に治療有効量のα1拮抗薬を適用するために、点眼器などの適用装置を利用できる。その後、この製剤は、眼の瞳孔に効果を及ぼして、この瞳孔が、患者の眼が実施形態の明光下に存在する場合の散大直径の2〜5倍以上のレベルには拡大しないように瞳孔を縮小することを可能にする。したがって、本発明の他の態様は、α1選択的拮抗薬であるイミダゾリンなどのα1拮抗薬を有する水溶液からなる製剤であり、この製剤は点眼器中に存在する。本明細書中で使用する場合、用語「点眼器」には、例えば、押し出して滴を作り出すプラスチック製の形成/充填/密封容器を始めとする任意の適切なタイプの点眼器が含まれる。
【0068】
本発明は、一実施形態において、それを必要とする眼にα1選択的拮抗薬などのα1拮抗薬の治療有効量を投与することを含む、より弱い光に反応した瞳孔の拡大を最小にすることによって減光下での瞳孔直径を最適化する方法、も対象とする。この方法では、減光下での瞳孔直径の拡大を、明光下と比較してより弱い光に反応して最小にすることができ、この方法は、毛様筋の収縮を誘発しない。
【0069】
本発明の方法では、一実施形態において、患者は、減光下での過度に大きな瞳孔に苦しみ、不十分な質の視覚に苦しみ、瞳孔直径の拡大をもたらす薬物治療を経験している可能性がある。あるいは、患者の瞳孔直径は、光の減光に対する遺伝的にプログラムされた過度の反応の結果として、自然に過度に拡大する場合もある。さらに、患者は、栄養補助食品又は興奮剤を使用し、あるいは、カフェイン、抗ヒスタミン剤ならびにエフェドラ又はその他のエピネフリン様化合物などの興奮剤を含む生成物など、副作用として減光下で瞳孔直径を増大させる経口薬物の使用を必要とする場合もある。
【0070】
本発明は、一実施形態において、本発明の点眼製剤を毎夜就寝前にヒト患者の眼に投与する治療方法を含む。この製剤は、約20時間有効であり、かくして、毎朝投与の場合のように、本発明の実施形態による1日に1回の投与が必要である。
【0071】
本発明の方法は、一実施形態において、実施形態による本発明の点眼製剤を眼に直接たらすことによって実施できる。場合によっては、α1拮抗薬を、コンタクトレンズに接触させ、実施形態に準じて、コンタクトレンズを眼に装着することによって投与できる。ソフトコンタクトレンズの多くは約40%〜70%の範囲である様々な水分含有量を有するので、この貯蔵器中の場合、角膜吸収における長期曝露の利点を伴って水溶性化合物を容易に適用できる。本発明の方法において、使用されるα1拮抗薬は、好ましくは、イミダゾリン類と呼ばれる化合物の部類に、特に、実施形態によるフェントールアミンに属するものでよい。前に考察したように、タムスロシン、KMD−3213などのα1選択的拮抗薬を、実施形態による眼科製剤の単一有効成分として使用できる。
【0072】
本発明は、一実施形態において、瞳孔散大が過度、例えば、約6mm又はそれ以上である場合における、減光下での瞳孔直径を低減する方法、を対象とする。しかし、散大を約8mmから約7mm未満に低減するだけでも、減光下で約8mmの瞳孔を有する人の視覚機能を改善できる。結果として、瞳孔面積を効果的に低減して視覚を高めることができる。一実施形態では、瞳孔面積を約20%又はそれ以上低減する。本発明の製剤を投与しても、ピロカルピンのようなある種の薬剤の摂取で生じる場合がある毛様体収縮又は望ましくない偽近視を誘発しない。本明細書に開示する製剤は、副交感神経遮断剤の投与後に生じる散瞳(すなわち、拡張)を後進する。本発明の製剤は、より完全な毛様体筋麻痺及び精密プレレーザー屈折測定に使用でき、1%サイクロジル(cyclogyl)のような調節を麻痺させる薬剤に対して有効でもある。
【0073】
本発明は、高血圧の治療、クロム親和性細胞腫、片頭痛、膀胱痙攣、前立腺膨大、性機能不全などの治療に対して典型的に使用されるα1拮抗薬が、減光下での瞳孔直径を低減するために製剤され、使用され、それによって瞳孔の対光反射を高めることができることを認めている。
【0074】
本発明は、充血の低減及び瞳孔直径の最適化を兼ねた要求を達成する眼科組成物を提供する。
【0075】
αアドレナリン受容体拮抗薬は、動脈及び静脈平滑筋の収縮を媒介するα1受容体を遮断するように機能する。α2アドレナリン受容体は、交感神経出力の抑制、迷走神経トーンの増加、血小板凝集の促進、ノルエピネフリン放出の阻害、及び代謝効果の調節に関与する。αアドレナリン拮抗薬は、広範なスペクトルの薬理学的特異性を有し、化学的に異成分からなる。例えば、特に、Goodman及びGillmanの「ThePharmacological Basis ofTherapeutics」第9版、225〜232頁を参照されたい。
【0076】
α1拮抗薬の化学部類には、例えば、アルキル化剤、イミダゾリン類、ピペラジニルキナゾリン類、インドール類などが含まれる。多くは、α1及びα2受容体拮抗薬の活性の双方を有する。インドール類は、α2活性を備え、瞳孔散大を低減するためには臨床上有用であるとは思われない。
【0077】
アルキル化剤は、薬理学的散瞳を後進するのに有効ではあるが、瞳孔拡大の最小化については少しだけ有効である。しかし、これらの化合物は、結膜水腫として知られる体液漏洩及び結膜の膨大を引き起こす重篤な血管拡張を伴う許容できない高いレベルの眼充血を引き起こす。最良の使用は、動物の眼における毛様体筋麻痺を後進するための獣医薬である。
【0078】
プラゾシン及びダピプラゾールなどのピペラジニルキナゾリン類は、薄明光下での瞳孔直径に対してある程度の効果を有する。しかし、それらは、イミダゾリン類に比較して臨床で有効性がより少ないと思われ、プラゾシンは、臨床上何らかの有意な効果があるとしても最小であると思われるダピプラゾールよりも効果的である。ダピプラゾールも、重篤な血管拡張を伴う許容できない高レベルの眼充血を惹起し、それによって結膜の体液漏洩及び膨大(結膜水腫)を引き起こす。より長く持続し、より強力であるピペラジニルキナゾリンは、臨床上有効であり得るが、この副作用の欠点を克服しなればならない。
【0079】
フェントールアミンは、プラゾシンのように強力なα1受容体拮抗薬ではない。しかし、フェントールアミンなどのイミダゾリン類は、α1拮抗薬の範囲を超えるその他の関連特性を有する。さらに、その構造によって虹彩平滑筋により多く、又は血管組織により少なく選択的に影響を与える任意のα拮抗薬は、虹彩及び血管のα1アドレナリン受容体が人によって異なるといった程度にまで、改善された臨床効果を有する。この相違は、心血管効果に結び付けられることの多い、効力についての従来からの理解と本発明の眼異常との間の多様な関係を説明している。
【0080】
その他の特性には、5−HT受容体の遮断、マスト細胞からのヒスタミン放出、及びKチャネルの遮断が含まれる。イミダゾリン類は、許容できない高レベルの充血を引き起こさず、長期間持続する瞳孔散大の低減を提供する。就寝前の夜に使用すると約20時間の効果が生じ、目覚め時に使用すると、患者は一般に数時間続けて眠っている、すなわち本発明の実施形態では投与後20〜24時間の間眠っていることになるので、それらは、一般に約24時間有効である。
【0081】
前に考察したように、本発明は、血管のα受容体に比較して虹彩のα受容体に対して選択的である単一の有効成分を含む眼科製剤を提供する。これは、局所方式などで眼に対する適用に反応した充血があったとしても最小にしながら、減光下での瞳孔サイズを効果的に低減する。一実施形態において、該単一有効成分には選択的α1拮抗薬が含まれる。
【0082】
血管のα受容体に比較して虹彩のα受容体に対して選択的である化合物としては、各種の異なる適切な化合物を挙げることができる。例えば、化合物の部類及び化合物の具体的タイプとしては、タムスロシンを含むスルホンアミド類、A−131701、フィデュロキサシン(fiduloxasin)、Ro−70−004、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むウラシル類、4−オキソスピロベンゾピラン−2,4−ピペリジンを含むピペリジン類、RWJ−38063、RWJ−68141、RWJ−68157、RWJ−69736、Ro−70−004、REC15/2739、SB216469、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むアリールピペラジン類、SNAP5089及びニグルジピンを含むジヒドロピリジン類、WB4101を含むアミノベンゾジオキサン類、RS17053及びKMD−3213を含むジヒドロインドール類、n−アリキル化サッカリン類、ならびにそれらの誘導体などを挙げることができる。
【0083】
本発明の一態様は、一実施形態において、水性溶媒、及びα1拮抗薬(イミダゾリン類又はα1選択的拮抗薬など)からなる眼科製剤である。水性溶媒は、その最も単純な形態では水でよいが、好ましくは、眼の人工涙溶液を含む溶媒である。α1拮抗薬は、一実施形態において、好ましくは、約1%未満の濃度などの比較的低濃度で存在する。例えば、α1拮抗薬は、水性溶媒1立方cm当たり約0.01mg〜約50mgの範囲の量で存在できる。本発明の他の態様は、一実施形態において、従来からの又は本明細書に記載の改善された点眼器などの適用装置、の内部に含まれる製剤である。あるいは、ムチン又はムチン系薬剤を、結膜表面に優先的に結合し、血管吸収を最小にするように使用し、それによってほとんどの有害な効果無く、有効成分の角膜吸収を起こすことができる。同様にこの保護目的のために粘滑剤を使用できる。粘滑剤ハーブは、刺激された、又は炎症を起こした組織、に対する保護バリアとして作用する効果を有する。それらが皮膚上で使用される場合、粘滑剤は、皮膚軟化剤と呼ばれる。粘滑の経験的知識は、必ずしも薬理学的に説明できない。それらは、水と接触した場合に粘液性及びゴム質になる特性を有する粘液からなる複雑な多糖分子を含む。これは、局所的に適用した場合、眼の結膜を保護し、有効成分であるα1拮抗薬の結膜による吸収を最小にする。
【0084】
本発明の態様は、一実施形態において、人工涙担体中にイミダゾリン類を含む眼科製剤である。
【0085】
本発明の他の態様は、一実施形態において、瞳孔散大を低減するのに十分な量でイミダゾリン類をヒトの眼に適用する治療方法である。
【0086】
本発明のさらに他の態様は、一実施形態において、α1拮抗薬(例えばフェントールアミン)及びα1作動薬(例えば、テトラヒドラゾリン)を含む製剤である。
【0087】
本発明の利点は、レーザー手術を受け、レーザー手術で引き起こされた、光学ゾーンの有効サイズに対する過度の瞳孔散大の結果として、一連の様々な視覚問題を発現した患者を治療することである。
【0088】
本発明の他の利点は、眼に直ちに投与して所望の効果を得る方式で、この眼科製剤を製剤できることである。
【0089】
本発明のさらなる他の利点は、その適用により眼に対して充血があったとしても最小にしながらも瞳孔の対光反射を効果的に最適化して視野を改善できる単一の有効成分を用いた眼科製剤を提供することである。
【0090】
本発明のさらなる特徴及び利点は、次の本発明の詳細な説明及び図面に記載されており、それらから明らかにされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態による点眼器具を概略的に示す図である。
【図2】本発明の別の実施形態による点眼器具を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
本発明は、眼科製剤に関する。一般に、この眼科製剤は、効果的に作用して、特に、無照明を含む減光下での過度の瞳孔散大を低減できる。
【0093】
一実施形態において、本発明の眼科製剤は、結膜の血管に優先して虹彩のα1アドレナリン受容体に拮抗的に効果を及ぼす。光照明を弱めた場合、結果として、治療対象の遺伝的素因に相応した瞳孔散大の低下が生じる。明光下での約1mm〜約2mmの瞳孔散大と比較した場合、減光下での約3mm〜約5mmの瞳孔散大は好ましい。これは、明光下の瞳孔表面積に比べた場合、減光下で約2〜約16倍大きな瞳孔表面積を提供することができる。減光下での平均瞳孔は、約3mm〜約9mmの範囲内の約6mmであるので、多くの人は、本発明の実施形態による眼科製剤中の選択的α拮抗薬を使用して、薄明又は暗所条件などの減光下で、約3mm〜約4mmに近いより理想的な瞳孔サイズを得ることができる。
【0094】
対象者の眼の光学的不完全度は、改善された夜間視の品質の程度を決定する。しかし、このような不完全性は極めて一般的である。例えば、FDAが監視し統制した研究でレーザー視力矯正を受ける前に、夜間視の質について質問された対象の約25%〜約40%の範囲が、レーザー視力矯正を受ける前に、貧弱な夜間視及び/又はグレア、ハロー及び夜間運転の困難を示している。
【0095】
一実施形態において、この眼科組成物はα1拮抗薬を含む。好ましくは、この組成物は、本明細書でα1選択的拮抗薬などとも呼ばれる選択的α1拮抗薬を含むα1拮抗薬のサブクラスを含む。このクラスの化合物は、前に考察したように、減光下で血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリン受容体に選択的に効果を及ぼすことができる。この点に関して、選択的α1拮抗薬は、結膜及び/又は強膜血管の拡張を最小にし、それ故に、局所方式などで眼に適用された治療量の選択的α1拮抗薬に対する望ましくない充血反応を効果的に排除しながら、減光下における瞳孔の対光反射を低減するように効果的に作用を発揮できる。
【0096】
眼の特性
減光下での瞳孔散大は、より多くの光を我々の眼に取り入れることを可能にする目的論的適応であることが広く知られている。暗所又は夜間視に対する網膜上の適応に加えて、この適応は、極めて大きな範囲の薄明光状態にわたり、改善された有用な視力を可能にする。極めて小さな瞳孔開口部のみが、例えば明るい日光下で約1mmの瞳孔開口部で生じるような大きな視野と一致することも広く知られている。完全暗黒下における若干の人の約3mm程度の小さな最大散大からその他での約9mm程度の大きな散大に及ぶ範囲の、人々の間に存在する減光下で瞳孔が散大する度合いの劇的な範囲ついては、あまり知られていない。この相違は、個人の遺伝構成の一部である。この点に関して、大きさが約3mmの瞳孔は、減光下で、昼光下での約1mm〜約2mmの瞳孔サイズに相当する十分なさらなる光を提供する。暗状態での瞳孔が約3mmより小さくなると、暗状態の知覚が増加しないことはあまり知られていない。したがって、本発明の実施形態による暗状態での理想的瞳孔サイズは、約3〜約4mmの範囲の瞳孔サイズである。減光下での瞳孔がより大きいと、より多くの外来光が光散乱を増加させることが可能になる。このことが、コントラストを低下させ、視力を低下させ、場合によっては臨床上の利益をほとんど又はまったく有さないグレア及びハロー効果を引き起こすのである。
【0097】
文字通りの完全暗黒中で生活する場合、我々の進化上の祖先にとって、減光下でより大きな瞳孔直径を有することは極わずかな利点であったかもしれない。しかし、一旦、いくつかの文明の進歩が、例えば、人工的背景照明手段、記号をより容易に読めるようにするネオン光、青に重きを置いたより多く散乱する成分を有する蛍光、自動車ヘッドライト、交通信号灯など、で生じる点光源を含む照明をもたらすと、付与されたいかなる利点も失われた。これらの光源は、例えば、約3mmの瞳孔サイズのような十分な角膜直径が存在して光が入るのを可能にする場合に最適な品質で可視化できるが、より小さな角膜直径を使用して光を屈折させるような過度な瞳孔サイズでは、約5mm〜約6mm以上の大きさの瞳孔よりも光散乱の誘発が少ないので最適な品質では可視化できない。本発明の実施形態による減光下での最適化された瞳孔サイズは、約2mm〜約6mm、好ましくは約3mm〜約5mm、より好ましくは約3mm〜約4mmの範囲である。
【0098】
一実施形態において、本発明の製剤は、瞳孔サイズを約1mm以上選択的に縮小できる。これは、実際上、約20%以上の瞳孔面積の縮小に等しい。前に考察したように、本発明は、充血を排除しないにしても最小にしながら瞳孔の対光反射を最適化できる、単一の有効薬剤、好ましくはα1a選択的拮抗薬を使用することを考慮している。
【0099】
周縁角膜湾曲は、多くの人々において、中央角膜のそれとは完全な湾曲整合状態にはない。減光下で小から中程度の瞳孔を有する人々おいて、この瞳孔は、これらの場合に周縁角膜を要因から除外するためのフィルターとして作用する。しかし、減光下で瞳孔がより大きい場合には、周縁角膜は、中央の湾曲に対して、多くの場合あまりにも急勾配又は平坦であり、球面収差を引き起こす可能性がある。これらの角膜は、不完全である場合に、技術的には扁長又は扁平と呼ばれる。本発明の点眼薬は、一実施形態において、大きさが約4mm〜約5mmの中央視覚ゾーンの外側の周縁角膜湾曲が減光下において治療されたより小さな瞳孔によって濾過され、球面収差により焦点に集められた外来光が排除されるので、実質上すべてこのような球面収差の有害効果を臨床的に排除する。
【0100】
大きさが3mmの瞳孔は、暗状態又は他の減光環境で眼に十分な光が入ることを可能にするために十分な大きさであり、しかも、外界の人工光及び/又は点光源の散乱光を最小化するのに十分である優れたフィルターを提供する。一方、大きさが9mmの瞳孔は、3mmの瞳孔よりも9倍大きい角膜表面積を利用して、点光源、ネオン光、及び蛍光青色光の著しい散乱を誘発できる。眼科及び検眼専門家の範囲内での当該技術分野の現状では、この相違を一般には認識しておらず、屈折手術のケアー標準は、薄明光下での瞳孔直径の相違をその結果の前兆となる要因としては一般的に認識しておらず、本発明の新規な薬理学的方法の使用は、臨床的使用においてそうであることを立証した。
【0101】
以下で示すように、表1及び2は、異なるパラメーターで測定された、数名の患者に対するいくつかの異なるαアドレナリン拮抗薬の研究結果を立証している。結果は、いくつかのαアドレナリン拮抗薬が、ヒトの眼に適用すると散大を低減したことを示している。しかし、イミダゾリン類のみが、過度の眼充血を引き起こすことなく所望の散大低減を達成している。さらに、本発明は、一実施形態において、眼科薬剤中で唯一の有効成分として作用し、眼への適用による充血反応があったとしても最小にしながら瞳孔の対光反射を効果的に低減できるα拮抗薬のサブクラスを提供する。一実施形態において、α拮抗薬のサブクラスには、タムスロシンなどのα1a拮抗薬を含むα1選択的拮抗薬が含まれる。
【0102】
眼鏡又はコンタクトレンズなどの屈折視覚補助具は、光を散乱させる表面を有することにおいて不完全である光学的要素を付加することによって、暗状態における光の散乱度を増加させる。切開(RK)、レーザー切除(lasik、PRK)又はプロテーゼ(例えば、角膜中に挿入されたプラスチック片)を含めることのできる外科手段によって輪郭の変化を誘発する角膜上での屈折手術は、暗状態で光散乱度を増加させる不完全性を付加する。減光下での瞳孔サイズ及び光散乱に付加する屈折諸特性の変化は、夜間又は薄明的に照明された何らかの種類の環境でのグレア、ハロー、及び関連する歪みの結果として、個々人が暗状態を通過する視覚困難の質を有する状況を創り出した。
【0103】
本発明は、一実施形態において、前述のような様々なタイプの屈折手術を経験した患者を治療するのに特に有用である。このような手術は、光散乱の度合いを強めるので、本発明製剤の投与は、瞳孔を縮小することによってこの影響を調節できる。したがって、本発明は、患者に屈折手術を実施すること、及びその後に瞳孔サイズを約2mm〜約5mm、好ましくは約3mm〜約5mm、より好ましくは約3mm〜約4mmに維持するためなどに、必要な期間患者に実施形態による製剤を投与することを含む。本発明の製剤は、一実施形態において、定期的に1日基準で、例えば、1日に1回、1日に2回、又は必要とされるときに、特に、患者が減光に曝される状況下で投与できる。
【0104】
用語「減光」又は「薄明光」のようなその他類似の用語は、本明細書中で使用する場合、患者の瞳孔が実質的に最大量まで散大する光環境を指す。これには、光のない環境が含まれる。あるいは、用語「明光」又はその他類似の用語は、患者の瞳孔が最大に縮小する(最小量まで散大するなど)、周囲の光環境を説明するために本明細書で使用される。用語「明光」は、例えば、屋内照明、屋外照明、真昼の照明、雲のない照明などに由来する照明を示唆する。本発明の一態様は、製剤が、一実施形態において、瞳孔散大を、明光下で現われる瞳孔面積に較べた場合、弱光下での瞳孔面積を約2〜約25倍まで制限できることである。
【0105】
一実施形態において、本発明の方法は、薄明光下での瞳孔サイズを縮小することによって瞳孔サイズを最適化する新規な薬理学的機序を利用する。眼専門家の従来からの教示は、瞳孔サイズを縮小するために、アセチルコリン又はコリンエステラーゼ阻害剤などの瞳孔縮小剤を使用することであった。希薄濃度のこのような薬剤を使用して、瞳孔を縮小させ、暗環境下におかれた個々人に対して改善された視界を創り出すことが可能である。しかし、初期に厳しい目のかすみ、眼窩上縁痛、全身性疼痛、充血、及び毛様体適応に対するぼやけた二次副作用を引き起こす過度の縮小を含む、これらの薬剤の望ましくない副作用は、これらの部類の薬理学的薬剤の価値を厳しく制約する。網膜剥離は、その使用に関する周知で稀な合併症である。
【0106】
薬学上有効な成分
本発明の薬理学的方法は、一実施形態において、瞳孔の縮小に優先して暗条件下などの弱光下での瞳孔散大を選択的に阻害し、かくして虹彩の散大筋に優先的に影響を及ぼすα1拮抗薬として知られ、調節に責任を持つ毛様筋に対して臨床上実質的に重大な影響を有さない化合物の部類を利用する。この部類の化合物は、高血圧の治療、膀胱の痙攣性収縮の防止、尿流出の改善、及び前立腺膨大の治療に使用されている。
【0107】
本発明の重要な特徴は、一実施形態において、通常の照明条件下で過度の充血又は否定的臨床効果を引き起こさないで減光下での視覚品質を効果的に改善することを可能にする特定の部類のα拮抗薬、特にイミダゾリン類を採用することである。さらに、本発明の他の特徴は、副交感神経遮断薬の効果を、ダピプラゾールよりもより効果的に後進することである。
【0108】
イミダゾリン類に加え、本発明は、一実施形態において、α1拮抗薬、好ましくは、α1a選択的拮抗薬などのα1選択的拮抗薬に由来する唯一の有効成分を含む眼科製剤を提供する。α1拮抗薬のこのサブクラスは、血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリン受容体に対して優先的に作用することができる。このことが、その適用による充血反応を、あったとしても最小にしながら、視覚を改善するために瞳孔の対光反射を効果的に低減する。本発明は、タムスロシンを含むスルホンアミド類、A−131701(ABBOTT)、フィデュロキサシン(ABBOTT)、Ro−70−004、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むウラシル類、4−オキソスピロベンゾピラン−2,4−ピペリジンを含むピペリジン類、RWJ−38063(R.W.JohnsonResearch Institute)、RWJ−68141(R.W.Johnson ResearchInstitute)、RWJ−68157(R.W.Johnson Research Institute)、RWJ−69736(R.W.JohnsonResearch Institute)、Ro−70−004、REC 15/2739、SB216469、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むアリールピペラジン類、SNAP5089及びニグルジピンを含むジヒドロピリジン類、WB4101を含むアミノベンゾジオキサン類、RS17053及びKMD−3213(KISSEIPHARMACEUTICAL)を含むジヒドロインドール類、及びn−アルキル化サッカリン類、ならびにこれら誘導体など、α1選択的拮抗薬の任意の適切なタイプ及び量の使用を考慮している。
【0109】
本発明の製剤は、一実施形態において、特に瞳孔サイズを減光下で要求されるような程度にまで縮小する必要のない場合に、明光下で瞳孔サイズの臨床上重要な縮小を引き起こさないで、瞳孔サイズを最適化し、瞳孔直径を効果的に縮小することによって減光下で高められた視力を得るために使用できる。
【0110】
本発明の製剤は、一実施形態において、2つの有効化合物を含む。第1の有効化合物は、ヒトの眼の散大筋を刺激する内因性化合物の影響を遮断する拮抗薬である。一実施形態において、拮抗薬はフェノキシベンズアミド及びフェントールアミンを始めとする非選択的α1拮抗薬などのα1拮抗薬である。第2の有効化合物は、(a)実質的に拮抗薬を妨害せず、したがって虹彩の散大を遮断することを可能にし、(b)充血を防止又は低減する拮抗薬である。第1の有効化合物は、好ましくはイミダゾリン、より好ましくはフェントールアミンである。第2の有効化合物は、好ましくはテトラヒドラゾレン、より好ましくはテトラヒドラゾレン塩酸塩、オキシメタゾリン、ナファゾリン又はその他の充血低減剤である。
【0111】
他の実施形態において、本発明の製剤は、局所方式などでのその適用に対する望ましくない充血反応を最小にし、又は効果的に排除しながら、減光下での瞳孔サイズを縮小するように作用できる単一の有効成分を含む。好ましくは、この単一有効成分は、前に考察したようにタムスロシンなどのα1a拮抗薬を始めとするα1選択的拮抗薬などのα選択的拮抗薬を含む。
【0112】
本発明によれば、一実施形態において、減光下での最適化された瞳孔直径は、明光下におけるそれよりもせいぜい約2〜5倍大きいだけである。
【0113】
したがって、本開示を読んでいる当業者は、本発明の製剤が、一実施形態において、減光下での瞳孔散大直径と明光下での瞳孔散大直径との間の差異を縮小することを理解するであろう。これは、減光下に曝された場合にヒトの眼が受ける散大の量を減らすことによって行われる。
【0114】
本発明の眼科組成物は、一実施形態において、任意の状況下で瞳孔サイズを最適化するために使用できると同時に、本発明の組成物は、減光下で自然に起こる瞳孔散大を縮小するために、特に、視力に対して測定可能な影響を有するほど散大が十分に過度である状況において、眼に投与される。本発明の組成物は、一実施形態による薬物によって引き起こされる瞳孔散大を打ち消すためにも使用できる。
【0115】
本明細書中で使用する場合、用語「有効薬剤」又は例えば有効成分を始めとするその他類似の用語は、眼に適用した場合に虹彩平滑散大筋に対して作用する薬学上許容される化合物である。より好ましくは、有効薬剤は、フェントールアミンを始めとするイミダゾリン類などのα1拮抗薬、タムスロシンなどを始めとするα1選択的拮抗薬などの特定部類のα1拮抗薬に属する。
【0116】
イミダゾリン類は、次の一般構造式:
【化1】




を有する化合物であり、式中、Xは、任意の正に帯電した部分であり、好ましくは、H、Ca、Na、Mg又はアミン、特に好ましくはHであり、Rは、1〜18個の炭素を含むアルキル又は置換されているアルキルであり、ここでこの置換は、好ましくは、OH及びNであり、Rは、好ましくは、
【化2】






であり、式中、Rは、1〜6個の炭素を含む低級アルキルであり、直鎖、分枝鎖又は環状のアルキルでよく、好ましくは−CH3であり、Xは、正に帯電した部分であり、好ましくは−Hであり、Rは、1〜6個の炭素を含むアルキルであり、好ましくは−CH−である。
【0117】
α1拮抗薬は、現在、クロム親和性細胞腫、すなわち、エピネフリン及びノルエピネフリンなどのα受容体刺激物が極端に高い濃度で体中に放出される状態を治療するのに使用される。
【0118】
α1拮抗薬の例は、2000年4月4日刊行の米国特許第6,046,207号に開示されている。その他の例が、米国特許第5,891,882号及び第5,792,767号に開示されている。α1拮抗薬を開示するために、上に挙げた3つの米国特許を参照により本明細書に組み込む。さらに、適切な眼科製剤中で使用され、瞳孔散大に効果を及ぼすために患者の眼に直接適用される場合に、本発明と関連して製剤化して使用できる治療上有効な化合物を開示し、記述するために、これらの特許中で引用されている刊行物を参照により本明細書に組み込む。
【0119】
本開示を読んでいる当業者は、この有効成分が、ヒトの眼の散大筋を刺激する内因性化合物を妨害(すなわち、生化学的相互作用又は反応を遮断)できる任意の薬学上許容される化合物でよいことを認めるであろう。α1拮抗薬以外の化合物は、本明細書に記載されたように試験することが可能であり、ヒトの眼の散大筋を刺激する内因性化合物が遮断され、散大が縮小される場合でさえ、すべてのα1拮抗薬が薬学上許容される結果(単独で投与された場合)を提供するものではないことに留意されたい(表1の結果で示されるように)。例えば、フェノキシベンズアミン(α1拮抗薬)は、唯一の有効化合物として適用された場合、散大を縮小するが、治療された眼に受け入れ難い高レベルの充血を引き起こす。前に考察したように、本発明は、一実施形態において、血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリン受容体に対して優先的に作用することができ、それ故、本発明の実施形態により視覚を改善するための唯一の有効薬剤として効果的に利用できるα1選択的拮抗薬などのα1拮抗薬のサブクラスを含む。
【0120】
本発明によれば、一実施形態において、イミダゾリン、α1選択的拮抗薬などの有効薬剤を含む眼科組成物は、眼に局所的に、特に溶液、懸濁液、軟膏、ゲルの形態で、あるいは固体挿入物又はコンタクトレンズに被覆又は吸収させて適用するのが有利である。このような組成物には、例えば、全製剤1立方センチメートル(cc)当たりで、約0.01mg〜約50mg、好ましくは約0.05mg〜約20mg、より好ましくは約0.1mg〜約10mg、最も好ましくは1mg〜5mgの範囲の有効成分を含む。有効成分の投与量は、投与方式、年齢及び/又は治療される眼の状態などの様々な要因に応じて決めることができる。
【0121】
全製剤容積1cc当たり約1〜約5mgの好ましい濃度の有効薬剤は、一実施形態において、湿潤ソフトコンタクトレンズ上に1滴をたらすこと、及び1日に1回約15分〜約45分間そのレンズを挿入することによって投与できる。この手法で投与すると、フェントールアミンを始めとするイミダゾリン類などの有効薬剤は、20〜24時間の臨床的有効性を有する。フェントールアミンは、累積作用を有すると思われ、その結果、規則的使用でコンタクトレンズを経由する隔日ごと(例えば48時間)の投与が、若干の患者に必要とされる投与のすべてである場合もある。コンタクトレンズで投与することは、角膜の範囲内での優先的吸収を可能にし、液滴の利用度を最大にし、そうでなければ発生する可能性のある温和な充血、及び全身吸収によるわずかな危険を最小にする。一実施形態において、局所製剤の1滴に含まれる0.10mg未満のような有効薬剤の量は、心血管系に対する全身性効果のために臨床上推奨されている投与量に比べて約50分の1である。有効薬剤の10%が全身循環に到達したとしても、典型的な臨床投与量に比べて500分の1になる。コンタクトレンズでの投与を利用すると、さらに少ないと判断される。1適は、本発明の実施形態により推奨された毎日の又はBID投与として、1cc当たり1〜5mgの濃度で眼に直接投与できる。
【0122】
製剤を投与する目的には、任意の適切なタイプのコンタクトレンズを利用できることを認識されたい。一般的には、有効成分を含む製剤をコンタクトレンズに吸収する。これによって、有効成分を角膜表面上に徐々にある時間にわたって放出することが可能になる。一実施形態において、コンタクトレンズは、約10%を超える、好ましくは約20%〜約80%の範囲の、より好ましくは約30%〜約70%の範囲の水分含有量を有する。
【0123】
本発明の目的のための効果的な有効薬剤は、瞳孔散大を制限すべきであり、かつ著しく瞳孔収縮をもたらしてはならない。さらに、有効薬剤は、例えば以下の表2に示すように、相当大きな効果を有し、減光下で大きな瞳孔を有する患者(例えば、減光下瞳孔が昼光下瞳孔を著しく超える患者)に相当に大きな割合の瞳孔直径の縮小を引き起こし、かつ、減光下でより理想的な瞳孔直径を有する患者(例えば、減光下瞳孔が昼光下瞳孔にほぼ等しい患者)の瞳孔直径に対してより少ない効果を有するはずである。
【0124】
対応する眼科組成物に対して、当業者に周知の習慣的な薬学上許容される賦形剤及び添加剤、例えば、以下で挙げるタイプのもの、特に、担体、安定剤、可溶化剤、張性増強剤、緩衝物質、保存剤、増粘剤、錯化剤及びその他の賦形剤が使用される。このような添加剤及び賦形剤の例は、米国特許第5,891,913号、第5,134,124号、及び第4,906,613号中に見出すことができる。
【0125】
本発明の製剤は、一実施形態において、例えば、有効薬剤を対応する賦形剤及び/又は添加剤と混合し、対応する眼科組成物を形成することによって調製される。有効薬剤は、好ましくは、点眼剤の形態で投与され、有効薬剤は、従来通り例えば担体中に溶解される。溶液は、適切であれば、所望のpHに調整及び/又は緩衝化され、適切なら、安定剤、可溶化剤又は張性増強剤を添加する。適切であれば、本発明の眼科製剤に保存剤及び/又はその他の賦形剤を添加する。
【0126】
本発明の実施形態に従って使用される担体は、典型的には、局所又は全身投与に適切であり、例えば、水、水と水混和性溶媒(C1〜C7−アルカノールなど)の混合物、重量で約0.5%〜約5%のヒドロキシエチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンを含む植物油又はミネラルオイル、及びその他眼科で使用するための非毒性水溶性ポリマー、例えば、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなど)、アクリレート又はメタクリレート(ポリアクリル酸の塩又はアクリル酸エチルなど)、ポリアクリルアミド、天然物(ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカントゴム、カラヤゴム、キサンタンゴム、カラゲーニン、寒天及びアラビアゴムなど)、デンプン誘導体(酢酸デンプン及びヒドロキシプロピルデンプンなど)、さらにその他の合成物(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシドなど)、好ましくは架橋ポリアクリル酸(中性カルボポールなど)、あるいはこれらのポリマーの混合物である。担体の濃度は、例えば、有効成分の濃度の約1〜約100,000倍である。
【0127】
本発明の眼科組成物に使用される可溶化剤には、一実施形態において、例えば、チロキサポール、脂肪酸グリセロールポリ−低級アルキレングリコールエステル、脂肪酸ポリ−低級アルキレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテルビタミンE及びビタミンE誘導体(ビタミンEトコフェロールポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS))又はそれらの化合物の混合物が含まれる。特に好ましい可溶化剤の具体例は、ヒマシ油とエチレンオキシドの反応生成物である。ヒマシ油とエチレンオキシドの反応生成物は、眼に対して極めて良好な許容性を有する得に良好な可溶化剤であることがわかった。他の好ましい可溶化剤はチロキサポールである。使用濃度は、特に有効成分の濃度に左右される。添加量は、典型的には、有効成分を可溶化するのに十分な量である。例えば、可溶化剤の濃度は、本発明の実施形態による有効成分の濃度の約0.1〜約5000倍の範囲である。
【0128】
本発明の実施形態によれば、低級アルキレンは、7個までの炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキレンを意味する。例には、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,5−ペンチレン、2,5−ヘキシレン、1,7−ヘプチレンなどがある。低級アルキレンは、好ましくは4個までの炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキレンなどである。
【0129】
緩衝物質の例には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、過ホウ酸TRIS(トロメタミン)緩衝剤などがある。トロメタリン及びホウ酸塩緩衝剤が好ましい緩衝剤である。添加される緩衝物質の量は、例えば、生理学的に許容されるpH範囲を保証及び維持するに必要な量である。pH範囲は典型的には、約5〜約9、好ましくは約6〜約8.2、より好ましくは約6.8〜約8.1の範囲である。
【0130】
張性増強剤は、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物(例えば、CaCl、KBr、KCi、LiCI、NaI、NaBr又はNaClなど)、あるいはホウ酸等のイオン性化合物である。非イオン性の張性増強剤は、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、デキストロースなどである。例えば、十分な張性増強剤を添加して、即席使用の眼科組成物に約50〜約1000mオスモル、好ましくは約100〜約400mオスモル、より好ましくは約200〜約400mオスモル、さらにより好ましくは約280〜約350mオスモルの重量オスモル濃度を付与する。保存剤の例は、セトリミド、塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゾキソニウムなどの第四級アンモニウム塩、チオサリチル酸のアルキル水銀塩(例えば、チメロサールなど)、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、パラベン(例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベンなど)、アルコール(例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコール又はフェニルエタノールなど)、グアニジン誘導体(例えば、クロロヘキシジン又はポリヘキサメチレンビグアニドなど)又はソルビン酸などである。好ましい保存剤は、セトリミド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾキソニウム、パラベンなどである。適切であれば、眼科組成物に十分な量の保存剤を添加して、細菌及びカビによって引き起こされる使用中の二次的汚染に対する防護を確実にする。
【0131】
本発明の眼科製剤は、例えば、非毒性賦形剤、例えば、乳化剤、湿潤剤又は増量剤(例えば、呼称が200、300、400及び600のポリエチレングリコール、呼称が1000、1500、4000、6000及び10,000のカーボワックスなど)などを含むこともできる。所望なら使用できるその他の賦形剤を以下に列挙するが、いかなる意味でも可能な賦形剤の範囲を限定することを意図するものではない。それらの賦形剤は、特に、錯化剤(EDTA−ナトリウム又はEDTAなど)、抗酸化剤(アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル−ヒドロキシアニソール、ブチル−ヒドロキシトルエン又は酢酸α−トコフェロールなど)、安定剤(シクロデキストリン、チオ尿素、チオソルビトール、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、又はモノチオグリセロールビタミンE及びビタミンE誘導体(ビタミンEトコフェロールポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS)など)、又はその他の賦形剤(例えば、ラウリン酸ソルビトールエステル、トリエタノールアミンオレイン酸エステル又はパルミチン酸エステルなど)である。好ましい賦形剤は、EDTA−ナトリウムなどの錯化剤、シクロデキストリンなどの安定剤である。添加される賦形剤の量及び種類は、個々の要求に従って、一般には、約0.0001wt%〜約90wt%の範囲である。
【0132】
本発明の他の実施形態において、眼科製剤は、治療有効量のイミダゾリン(フェントールアミンなど)、担体、可溶化剤、及び、治療上有効な他の医薬(例えば、テトラヒドラゾレンなどの抗充血剤、抗生物質、抗アレルギー薬、麻酔薬、又は他の薬剤でよい)を含む。
【0133】
イミダゾリン類など、一連の様々な有効薬剤は、当業者に周知である。本発明は、このような化合物及び実質上同様の治療効果を有する等価化合物を包含すると解釈される。具体的には、本発明は、その中に治療有効量の化合物を溶かした水性溶媒を含む製剤を包含すると解釈され、該化合物は、10%以下さらには1%以下などの低濃度で溶かされ、ヒト患者の眼に投与された場合に、薄明光下での眼の散大を、患者が明光下に存在する場合に起こるよりも直径が約2〜5倍の散大量又はそれより少ないレベルに止める。
【0134】
毛細血管の透過性を低下させることが知られている天然フラボノイド、粘膜を保護することが知られている粘滑剤をα1拮抗薬と併用して、血管の透過性の増大を低減できる。
【0135】
一実施形態において、本発明の製剤は、さらに、血管組織の化学調節を介して血管効果に優先して角膜吸収を促進する。化学調節は、眼の結膜に対する一時的遮蔽又は結合を提供し、この化学調節は、血管吸収に効果を及ぼさないで、あるいは血管吸収を減らしながら、角膜吸収を増加させる。化学調節は、天然フラボノイド、ビタミンA、ならびにアエシンを含むハーブエキスを含め、果実及び野菜に由来する毛細血管の透過性を低下させる物質などの1種又は複数の物質に対する曝露によって生じる。一実施形態において、化学調節は、アゾン(azone)、コラーゲン角膜シールド、帯電シクロデキストリン及び硫酸化シクロデキストリンを含むシクロデキストリン、天然接着性ポリマー、ミクロスフェア、キトサン、カプチソル及び誘導体などの化学調節剤を介して生じる。一実施形態において、化学吸収は、リポソーム及び乳剤、デンドリマー、バッキーボールなどを始めとするナノ粒子などの1種又は複数の担体粒子を介して増加する。
【0136】
人工涙
前に示したように、一実施形態による本発明の単純な製剤は、眼に投与するのに適した滅菌水でもよい水性溶媒を含み、前に考察したように、この溶媒中に例えば10%以下の低濃度で溶解されたイミダゾリン、α選択的拮抗薬などの有効薬剤を有する。しかし、本発明の好ましい製剤は、当該技術分野で人工涙製剤と呼ばれる製剤中に溶解した有効薬剤を含む。このような人工涙製剤は、米国特許第5,895,654号、第5,627,611号、及び第5,591,426号、ならびにこれらの特許中で引用又は参照されている特許及び刊行物に開示及び記載されており、そのすべては、参照により本明細書に組み込まれると解釈される。
【0137】
本発明の人工涙製剤は、一実施形態において、良好な湿潤性及び広がりを促進する。さらに、人工涙製剤は、好ましくは、眼に対する良好な滞留性及び安定性を有し、使用者に重大な不快感を引き起こさない。本発明の好ましい人工涙製剤は、一実施形態において、
(1)好ましくは、この溶液の約0.1wt%〜5wt%量のポリビニルピロリドン、
(2)好ましくは、約0.01wt%〜約0.10wt%量の塩化ベンザルコニウム、
(3)好ましくは、この溶液の約0.2wt%〜約1.5wt%量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(4)好ましくは、この溶液の約0.2wt%〜約1.0wt%量のグリセリン、
を含み、ここで、この組成物は等張性を有する水性溶液である。
【0138】
当業者は、広範な範囲の様々な製剤及び人工涙製剤を、本発明との関連で利用できることを認めるであろう。
【0139】
点眼器
本発明の製剤は、当業者にとって一般的に周知である方式で投与できる。一実施形態において、製剤は、点眼器を使用して投与される。点眼器は、任意の適切な方式で構成される。例えば、点眼器装置10は、図1に示すように、第1末端16及び第2末端18及び内部表面を有する空洞円筒胴14を有する点眼器部分12を備える。さらに、点眼器12は、本発明の製剤を空洞円筒胴内に吸い込むための吸引力を提供するための手段を備える。例えば、点眼器部分12は、円筒胴14の第1末端16に、液体を円筒胴内に吸い取りかつ押し出すことができるように取り付けた吸引部22を有する吸引装置20を備える。吸引部22は、任意の適切な材料(ゴム材料など)又は眼科製剤と反応しないその他の適切な材料から作製できる。吸引部22は、場合によっては、点眼器部分を、製剤28を保管している容器26に任意の適切な方法で取り付けることを可能にする取り付け部分24を備える。この点に関して、使用後に点眼器部分を容器に取り付け、かくして、製剤を密閉系内に貯蔵することができる。胴14の第1末端16は、製剤を吸い取るための吸引力を提供するための手段を受け入れるように形成される。胴の第2末端18は、一般に、製剤の通過を許容し、かつ、患者の眼に直接製剤の液滴が計量されながら供給されることを可能にする小さな開口部30を有するように形成される。円筒胴14は、好ましくは、比較的小さく約5立方センチメートル未満の製剤を含むように設計され、かつ、望むなら、測定の容易さを見込んで目盛りを付けることができる。
【0140】
米国特許第5,514,118号に記載されているタイプの計量投与点眼器、又は米国特許第5,584,823号に記載されているタイプの照明点眼器装置を利用することが好ましい。次の米国特許第5,059,188号、第4,834,727号、第4,629,456号及び第4,515,295号に記載されているタイプの一連のその他の点眼器も利用できる。点眼器を開示しているここで引用した特許は、これらの特許中で引用、考察される各種特許及び刊行物と同様、参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
点眼器装置は、前に考察したように、任意の適切な方式で形成される。点眼器部分40が、装置42の不可欠部分であり、かくして前に考察した点眼器部分のように装置42から取り外せないように取り付けることのできる、代わりの実施形態を図2に示す。図2に示すように、この点眼器装置42は、製剤46を保持又は含むことのできる貯蔵容器44を備える。貯蔵容器44は、点眼器部分40が取り付けられる末端48を備える。例えば、この点眼器42は、点眼器部分40と貯蔵容器44の間に配置された取り付け部分50を含む。使用後に、この取り付け部分を利用してキャップ(表示しない)又はその他類似の部品を受け入れて装置を密閉できる。点眼器部分は、それを通して製剤を患者に投与できる開口部52を有する。
【実施例】
【0142】
本発明の実施例を、限定するものではない実施形態により以下に提供する。
【0143】
(実施例1)
フェントールアミンの5mg/mlガラス瓶を人工涙製剤で希釈して約6.0ccの溶液とした。人工溶液は、点眼剤としての局所点眼により減光下での瞳孔直径を縮小するのに有効な組成物を創り出した。この方法は、眼に対して極めてわずかで一時的な充血を引き起こす、結膜及び強膜の軽い血管を誘発する。
【0144】
(実施例2)
実施例1の組成物は、過剰な生理的食塩水のない湿ったソフトコンタクトレンズに対して1滴として適用され、薬剤は、15分〜2時間の任意期間、好ましくは30分にわたってコンタクトの装着を介して局所的に送達され、コンタクトレンズはその期間後に取り外す。このことは、虹彩散大筋に到達し暗条件下での散大を最小にするのに最も有効な濃度での効率的な1滴の利用を可能にしながら、何らかの全身性吸収及び血管拡張を低減し、結果として、充血を最小にする。これら筋肉の筋肉緊張の喪失は、瞳孔の縮小をもたらす場合があるが、アセチルコリン又はコリンエステラーゼ阻害剤で一般的に見られるピンポイント瞳孔効果による不明瞭を引き起こすのに十分ではない。フェントールアミンは、長期に持続する効果的な化学的交感神経切除を引き起こし、効果的な暗視を維持するのに要求される適用頻度を低減する利点を有する。
【0145】
フェントールアミンは、加減され適用される場合、最長で20〜24時間の効果を与えるのに1日に1回の点滴を必要とする。0.1%〜5%の範囲のフェノキシベンズアミン製剤は、フェントールアミンと同じ様に有効ではなく、より多くの血管拡張及び充血を誘発する。同様に、0.1%〜5%のプラゾシン及びトルアミンは、薄明光下で瞳孔散大のわずかな低下を示すが、フェントールアミンより効果が少ないと思われる。強力なβアドレナリン受容体拮抗薬であるラベタロールは、4つの異性体からなり、その中の2つは、若干のα1拮抗薬活性を有する。そのS,S及びS,R異性体は、0.1%〜2%、好ましくは0.5%の濃度で適度に有効である。また、タムスロシン、ブナゾシン、アルフゾシン、ウラピジル、ケタンセリン、及びインドラミンなどの、その他のα1拮抗薬は、0.1%〜2%、好ましくは0.5%の濃度で、臨床上の有効性を提供すると考えられる。特に、タムスロシン、ウラピジルなどのα1選択的拮抗薬は、前に考察したように、充血を最小にしながら、減光下での瞳孔の対光反射を最適化できる唯一の有効薬剤として効果的に作用できると考えられる。ヨヒンベ(Yohimbe)エキス中に見出されるようなα2受容体拮抗薬は、減光下での瞳孔散大に対して効果を有さないと思われる。
【0146】
クロロプロマジンなどの神経遮断剤、及びエルゴタミンなどの麦角アルカロイドは、穏やかなα1受容体拮抗薬活性を有し、本発明の目的に対して穏やかな有効性を示すことができる。
【0147】
【表1】



【0148】
【表2】



【0149】
以下で示すように、表3は、フェントールアミン点眼剤、αアドレナリン拮抗薬を本発明の実施形態により数人の患者に投与した結果を示す。結果は、実施形態により薄明光下で瞳孔直径を1mm以上、及び/又は瞳孔面積を20%以上縮小することから得られる利点を例示する。この点に関して、5mmを超える瞳孔サイズ直径の増加の各1mmにつき、球面収差の相当の増加が典型的に見出された。これらの収差は、一般に、屈折異常の激しさの関数として増加し、特に、屈折異常の近視等価球面値が増加する。瞳孔サイズ直径が増加するにつれ、さらに特に屈折異常が増加するにつれて、その他の高次収差に加えてコマが増加する場合がある。したがって、1mm以上の瞳孔直径縮小、又は20%以上の瞳孔面積縮小は、薄明光条件下の視覚を改善するように効果的に作用できる。前に考察したように、本発明は、充血を排除しないにしても最小にしながら瞳孔の対光反射を最適化できる単一の有効薬剤、好ましくは、α1a選択的拮抗薬の使用を考慮している。
【0150】
【表3】



【0151】
ある範囲の値が提供される場合、文脈が明確に別のことを規定していない限り下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限の間にある各中間値、及びその規定範囲の任意の他に規定された又は中間値は、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立に、より小さな範囲に含まれてもよく、さらに本発明に包含され、規定範囲の任意の特異的に排除された限界に従属する。規定範囲が両限界の一方又は双方を含む場合には、それらの含まれる双方の限界のどちらかを排除する範囲も本発明に含まれる。
【0152】
別途規定しない限り、本明細書中で使用されるすべての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が共通に理解するのと同様の意味を有する。本明細書に記載したものと類似した又は等価である任意の方法及び材料も本発明の実施又は試験において使用できるが、ここでは好ましい方法及び材料を説明した。本明細書中で言及したすべての刊行物は、方法及び/又は材料を開示、説明するため、該刊行物を引用しているものと一緒にして参照により本明細書に組み込まれる。
【0153】
本明細書及び付属の特許請求の範囲で使用される場合、単数形は、文脈が明確に別途規定しない限り、複数の支持物を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「化合物」に対する言及は、複数のこのような化合物を含み、「ステップ」に対する言及は、1つ又は複数のステップ及び当業者に周知のその等価物に対する言及を含み、以下同様である。
【0154】
本明細書中で考察した刊行物は、本出願の提出日以前にそれらを開示するためにのみ提供される。本明細書中の何物も、本発明が、先行発明によってこのような刊行物に実際より前の日付をつける権利を与えられないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供された刊行日付は、独立に確認することを必要とする場合もある実際の刊行日と異なる場合もある。本明細書中で引用された参照文献のすべては、参照によりその全体で組み込まれる。
【0155】
本明細書中で説明した現在のところ好ましい実施形態の様々な変更及び修正が、当業者にとって明らかであることを理解されたい。このような変更及び修正は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、かつ、その意図した利点を傷つけることなく行うことができる。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって範囲に包含されると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリン受容体に選択的に効果を及ぼし、眼充血を最小にしながら減光下での瞳孔直径を最適化する、治療有効量の化合物を含有する眼科製剤。
【請求項2】
前記化合物は、虹彩の散大平滑筋のαアドレナリン受容体に対して選択的である、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項3】
前記化合物は、虹彩の散大平滑筋の活動を効果的に低減する、請求項2記載の眼科製剤。
【請求項4】
前記化合物は、虹彩括約筋の収縮なしに虹彩散大筋の活動を効果的に低減する、請求項3記載の眼科製剤。
【請求項5】
前記化合物は、α1拮抗薬を含む、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項6】
前記α1拮抗薬は、α1bアドレナリン受容体に優先してα1aアドレナリン受容体に対して選択的である、請求項5記載の眼科製剤。
【請求項7】
前記α1拮抗薬は、タムスロシンを含むスルホンアミド類、A−131701、フィデュロキサシン、Ro−70−004、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むウラシル類、4−オキソスピロベンゾピラン−2,4−ピペリジンを含むピペリジン類、RWJ−38063、RWJ−68141、RWJ−68157、RWJ−69736、Ro−70−004、REC15/2739、SB216469、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むアリールピペラジン類、SNAP5089及びニグルジピンを含むジヒドロピリジン類、WB4101を含むアミノベンゾジオキサン類、RS17053及びKMD−3213を含むジヒドロインドール類、n−アルキル化サッカリン、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項5記載の眼科製剤。
【請求項8】
経口で投与される、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項9】
局所方式で投与される、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項10】
前記眼科製剤を収容した点眼器から投与される、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項11】
その上に前記眼科製剤を適用したコンタクトレンズから投与される、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項12】
前記瞳孔直径は、約6mm以下の範囲である、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項13】
前記瞳孔直径は、約3mm〜約5mmの範囲である、請求項12記載の眼科製剤。
【請求項14】
前記瞳孔直径は、約2.75mm〜約4.0mmの範囲である、請求項13記載の眼科製剤。
【請求項15】
明光下で約2mm以下の瞳孔直径に影響を及ぼさない、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項16】
前記瞳孔直径は、約1mm以上縮小される、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項17】
瞳孔面積が約20%以上縮小される、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項18】
前記化合物は、血管組織の化学調節による血管効果に優先して角膜吸収をさらに促進する、請求項1記載の眼科製剤。
【請求項19】
瞳孔散大を調節する方法であって、
血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリン受容体に選択的に効果を及ぼす治療有効量の化合物を含有する製剤を眼に投与すること、及び
眼の散大筋が該製剤の不存在下でより大きな刺激を受ける減光下で、該製剤を眼に一定期間接触させて維持すること、
を含む方法。
【請求項20】
前記製剤は、約6mm以下の最適化された瞳孔直径を提供するような量で投与される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記最適化された瞳孔直径は、約3mm〜約5mmの範囲である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記最適化された瞳孔直径が、約2.75mm〜約4mmの範囲である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記製剤は、明光下で約2mm以下の瞳孔直径に効果を及ぼさない、請求項19記載の方法。
【請求項24】
瞳孔直径が瞳孔直径を最適化するために約1mm以上縮小される、請求項19記載の方法。
【請求項25】
瞳孔面積が瞳孔直径を最適化するために約20%以上縮小される、請求項19記載の方法。
【請求項26】
前記製剤は、有害な視覚効果を低減するような量で投与される、請求項19記載の方法。
【請求項27】
前記有害な視覚効果は、知覚された光散乱、低下したコントラスト感度、及び低下した視力の中の少なくとも1つのためである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記有害な視覚効果は、不完全な非球面周縁角膜湾曲のためである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記有害な視覚効果は、コマ、二次乱視、球面収差、トリフォイル、クアドラフォイル、及びテトラフォイルからなる群から選択される眼の高次収差のためである、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記有害な視覚効果は、角膜の周縁ゾーンによって与えられる未補正円柱矯正のためである、請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記化合物は、α1a選択的拮抗薬を含む、請求項19記載の方法。
【請求項32】
前記α1a選択的拮抗薬は、タムスロシンを含むスルホンアミド類、A−131701、フィデュロキサシン、Ro−70−004、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むウラシル類、4−オキソスピロベンゾピラン−2,4−ピペリジンを含むピペリジン類、RWJ−38063、RWJ−68141、RWJ−68157、RWJ−69736、Ro−70−004、REC15/2739、SB216469、ウラピジル及び5−メチルウラピジルを含むアリールピペラジン類、SNAP5089及びニグルジピンを含むジヒドロピリジン類、WB4101を含むアミノベンゾジオキサン類、RS17053及びKMD−3213を含むジヒドロインドール類、n−アルキル化サッカリン、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
血管のαアドレナリン受容体に優先して虹彩のαアドレナリンナリン受容体に選択的に効果を及ぼす製剤に含まれる治療有効量の化合物を投与することを含む眼に製剤を投与する方法であって、
前記化合物は、眼充血を効果的に最小にしながら瞳孔直径を最小にする化合物である、
方法。
【請求項34】
前記製剤は、血管組織の化学調節による血管効果に優先して角膜吸収をさらに促進する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記化学調節は、眼の結膜に対する一時的な遮蔽又は結合を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記化学調節は、血管吸収に対して効果を及ぼすことなく角膜吸収を増加させる、請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記化学調節は、血管吸収を低下させながら角膜吸収を増加させる、請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記化学調節は、天然フラボノイド、ビタミンA、ならびに、アエシンを含むハーブエキスを含め、果実及び野菜に由来する毛細血管透過性を低下させる物質からなる群から選択される1種又は複数の物質に対する曝露により生じる、請求項34記載の方法。
【請求項39】
前記化学調節は、粘滑剤、ハーブエキス、トチノキエキス、及び粘液含有物質からなる群から選択される1種又は複数の物質の使用により生じる、請求項34記載の方法。
【請求項40】
眼及び結膜の粘膜に保護層を結合することによって、眼の粘膜を化学刺激物から保護して、眼の苦痛を軽減し、及び/又は充血、灼熱感、刺痛感、又は乾燥を低減する、請求項33記載の方法。
【請求項41】
眼の毛細血管透過性を低下させること、及び天然フラボノイドを使用して静脈トーンを高めることによって、眼の粘膜を化学刺激物から保護して、眼の苦痛を軽減し、及び/又は充血、灼熱感、刺痛感、又は乾燥を低減する、請求項33記載の方法。
【請求項42】
前記化学調節は、アゾン、コラーゲン角膜シールド、帯電シクロデキストリン及び硫酸化シクロデキストリンを含むシクロデキストリン、天然接着性ポリマー、ミクロスフェア、キトサン、カプチソル、及びそれらの誘導体からなる群から選択される化学調節剤により生じる、請求項34記載の方法。
【請求項43】
前記化学吸収は、リポソーム及びエマルジョン、デンドリマー、ならびにバッキーボールを含むナノ粒子類からなる群から選択される1種又は複数の担体粒子を介して高められる、請求項34記載の方法。
【請求項44】
前記瞳孔直径は、約6mm以下に最適化される、請求項33記載の方法。
【請求項45】
前記瞳孔直径は、約3.0mm〜約5.0mmのサイズに最適化される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記瞳孔直径は、約2.75mm〜約4.0mmに最適化される、請求項33記載の方法。
【請求項47】
前記製剤は、明光下で約2mm以下の瞳孔直径に効果を及ぼさない、請求項33記載の方法。
【請求項48】
前記瞳孔直径は、瞳孔直径を最適化するために、約1mm以上縮小される、請求項44記載の方法。
【請求項49】
前記瞳孔直径は、瞳孔面積を約20%縮小することによって最適化される、請求項44記載の方法。
【請求項50】
前記化合物は、瞳孔直径を最適化するための唯一の有効成分として作用するα1a選択的拮抗薬を含む、請求項33記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−36217(P2012−36217A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237754(P2011−237754)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【分割の表示】特願2007−527606(P2007−527606)の分割
【原出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(506405817)オキュラリス ファーマ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】