説明

避雷器

【課題】避雷器の輸送や地震等の外部振動による、素子柱の変形および素子側面の損傷を防止する。
【解決手段】各積層素子柱1に積層された素子2の外周と干渉しない位置に絶縁支持柱4を配置するとともに、各積層素子柱1間および各積層素子柱1と絶縁支持柱4間を連結絶縁板50で接続したため、機械的強度が向上する。さらに、外部から振動が加わっても絶縁支持柱4と素子2とが直接接触することがなく、素子2の損傷を防止することができ、ひいては避雷器性能の安定性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は輸送や地震等の振動に対する機械的強度を向上し、素子の損傷を防止した避雷器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力は、遠隔の原子力、水力、または火力発電所で発生され、架空送電線により長距離を高い電圧で需要地周辺の変電所まで架空送電されている。架空送電線は山間部を通過しているため、自然現象のうち雷現象により異常電圧の影響を受けることがある。万一、雷が架空送電線に落ち、送電機器例えば、ガス絶縁開閉装置(GIS)、遮断器、断路器、変圧器等が異常電圧の影響を受け、過電圧により絶縁破壊すると、電力系統は地絡状態となって送電機器を損傷し、送電不能に至る。避雷器は、この過電圧を抑制し、変電機器を保護するために使用されている。
【0003】
避雷器は基本的に、非直線抵抗素子(以下、単に「素子」と称する。)を直列に積重ねて積層素子柱を形成している。またドーナツ型の素子においては、積層素子柱の中心を貫通させた絶縁ロッドや、積層素子柱の周囲に配置した絶縁支持柱を、積層素子柱の上下の取付板に固定することで積層素子柱を支持している。しかし、高電圧になると、素子を直線的に積層した配置構成では、避雷器の積層方向の寸法が長くなり、ガス絶縁開閉装置に接続する避雷器として適用することが困難となる。このため、積層素子柱を複数個並列に配置し、各積層素子柱間を接続導体と絶縁板により電気的に接続した避雷器を使用し、積層方向の寸法を縮減させている。
【0004】
しかし、それでも避雷器の積層方向の寸法は一定以上の長さが必要となるため、強度が不足し、輸送や地震等の振動により絶縁ロッド等が破断する恐れがある。このため、特許文献1に記載された避雷器では、輸送や地震等の振動に対しての強度を向上させるため、積層素子柱を並列配置するとともに、各積層素子柱の外面に絶縁支持柱を直に当接させて支持することで強度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7‐29665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の避雷器のように、外部振動に対して素子柱の変形を防止するため、各積層素子柱の外面に絶縁支持柱を直接接触させて支持した場合、振動により素子側面を損傷する恐れがある。ひいては、素子側面の絶縁処理部が損傷することで素子側面部で短絡が起り、避雷器の機能が果せない問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る避雷器は、非直線抵抗素子と絶縁板が積層された積層素子柱を3つ並列に配置して構成群を形成し、前記積層素子柱間を接続導体により電気的に直列に接続した避雷器において、前記構成群は前記積層素子柱を仮想直角三角形の頂点に配置し、絶縁支持柱を前記仮想直角三角形の底辺の中点付近かつ前記素子の外周と干渉しない位置に配置して構成するとともに、前記仮想直角三角形の直角部を成す積層素子柱、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の一方および前記絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さにおいて一体に連結する第一連結絶縁板と、前記直角部を成す積層素子柱、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の他方および前記絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さで、かつ前記第一連結絶縁板とは異なる高さにおいて一体に連結した第二連結絶縁板によって構成される少なくとも1組の連結絶縁板を有し、さらに前記連結絶縁板は、前記素子の外周より前記絶縁支持柱側に一部膨出させ、かつ該膨出部において前記絶縁支持柱と嵌合したことを特徴とする。
【0008】
また、非直線抵抗素子と絶縁板が積層された積層素子柱を3つ並列に配置して構成群を形成し、前記積層素子柱間を接続導体により電気的に直列に接続した避雷器において、前記構成群は、前記積層素子柱を仮想直角三角形の頂点に配置し、前記仮想直角三角形の直角部を成す積層素子柱と、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の一方とで仮想略三角形を形成する位置に第一絶縁支持柱を配置し、前記仮想直角三角形の直角部を成す積層素子柱と、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の他方とで仮想略三角形を形成する位置に第二絶縁支持柱を配置し、さらに前記2つの絶縁支持柱は前記素子の外周と干渉しない位置にそれぞれ配置して構成されるとともに、前記仮想直角三角形の直角部を成す積層素子柱、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の一方および前記第一絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さにおいて一体に連結する第一連結絶縁板と、前記直角部を成す積層素子柱、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の他方および前記第二絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さで、かつ前記第一連結絶縁板とは異なる高さにおいて一体に連結した第二連結絶縁板によって構成される少なくとも1組の連結絶縁板を有し、さらに前記第一、第二連結絶縁板は、前記素子の外周より前記第一、第二絶縁支持柱側にそれぞれ一部膨出させ、かつ該膨出部において前記第一、第二絶縁支持柱とそれぞれ嵌合したことを特徴とする。
【0009】
さらに、非直線抵抗素子と絶縁板が積層された積層素子柱を3つ並列に配置して構成群を形成し、前記積層素子柱間を接続導体により電気的に直列に接続した避雷器において、前記構成群は前記積層素子柱を一直線上に配置して構成するとともに、3つの積層素子柱の中心に配置される素子柱と、前記中心に配置される積層素子柱とそれぞれ隣り合う積層素子柱の一方とで仮想略三角形を形成する位置に第一絶縁支持柱を配置し、3つの積層素子柱の中心に配置される素子柱と、前記中心に配置される積層素子柱とそれぞれ隣り合う積層素子柱の他方とで仮想略三角形を形成する位置に第二絶縁支持柱を配置し、さらに前記2つの絶縁支持柱は前記素子の外周と干渉しない位置にそれぞれ配置して構成されるとともに、前記中心に配置される素子柱と、前記中心に位置する積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の一方および前記第一絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さにおいて一体に連結する第一連結絶縁板と、前記中心に配置される素子柱と、前記中心に位置する積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の他方および前記第二絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さで、かつ前記第一連結絶縁板とは異なる高さにおいて一体に連結した第二連結絶縁板によって構成される少なくとも1組の連結絶縁板を有し、さらに前記第一、第二連結絶縁板は、前記素子の外周より前記第一、第二絶縁支持柱側にそれぞれ一部膨出させ、かつ該膨出部において前記第一、第二絶縁支持柱とそれぞれ嵌合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の避雷器は、各積層素子柱における素子の外周と干渉しない位置に絶縁支持柱を配置するとともに、各積層素子柱間および各積層素子柱と絶縁支持柱間を連結絶縁板で接続したため、機械的強度が向上する。さらに、外部から振動が加わっても絶縁支持柱と素子とが直接接触することがなく、素子の損傷を防止することができ、ひいては避雷器性能の安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1による避雷器の横断面図である。
【図2】図1に示す避雷器の破線部a−b−cの断面展開図である。
【図3】図1に示す避雷器をd−d方向からみた一部側断面図である。
【図4】図3に示す積層素子柱1A、1Bの接続状態を示したE部拡大詳細図である。
【図5】接続導体の上面図である。
【図6】本発明の実施例2による避雷器の横断面図である。
【図7】本発明の実施例3による避雷器の横断面図である。
【図8】本発明の実施例4による避雷器の横断面図である。
【図9】本発明の実施例5による避雷器の横断面図である。
【図10】本発明の実施例6による避雷器の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
以下本発明の実施例について適宜図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る避雷器の横断面図である。図1に示すように本実施例の避雷器は3つの積層素子柱1A、1B、1Cが並列かつ仮想直角二等辺三角形の頂点に配置され、1つの構成群を形成している。これらの構成群の数は避雷器の必要容量に応じて適宜調整される。
【0013】
各積層素子柱1A、1B、1Cを構成する素子2A、2B、2Cは、ドーナツ形状になっており、その中心にそれぞれ絶縁ロッド3A、3B、3Cが貫通配置されることで各積層素子柱1の形状を保持している。また、各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように一定の距離を保って絶縁支持柱4が配置されている。ここでは、絶縁支持柱4を仮想直角二等辺三角形の底辺の中点付近に配置している。
【0014】
各積層素子柱1には一定間隔ごとに、各積層素子柱1間を接続する連結絶縁板50および、後述する接続導体70が積層されている。この連結絶縁板50は、積層素子柱1Aおよび1B間を同一の高さで連結した連結絶縁板51と、積層素子柱1Bおよび1C間を同一の高さで、かつ連結絶縁板51とは異なる高さにおいて連結した連結絶縁板52を1組として近傍の高さに配置している。
【0015】
連結絶縁板51、52は、それぞれ素子2の外周より絶縁支持柱4側に膨出した膨出部51a、52aを有しており、略二等辺三角形状を成している。これら膨出部51a、52aを絶縁支持柱4が貫通することで、各積層素子柱1を固定支持している。
【0016】
図2は、図1に示す避雷器の破線部a−b−cの断面展開図である。各積層素子柱1はその積層方向にそれぞれドーナッツ形状の素子2、絶縁板6および接続導体70を積層して構成されている。また、本実施例における各積層素子柱1には、所定の間隔を経て、前述の連結絶縁板50が2組積層されている。連結絶縁板50を構成する、連結絶縁板51と連結絶縁板52は、その積層方向の間に素子2を1枚挟みこむことで段違いとなるように積層されている。
【0017】
積層素子柱1A最上部の素子2Aの上には、寸法調整用の円筒導体8が配置されている。円筒導体8の上には、ばね9Aが配置されている。さらにばね9Aの上には、上部金具10が配置されており、これをナット11Aで固定することによってばね9Aの力を受け止めている。なお、積層素子柱1B、1Cの上部接続構造は、積層素子柱1Aにおける円筒導体8の代わりに寸法調整部材19が配置されているが、その他は同様の構成のため説明を省略する。
【0018】
このように各積層素子柱1を上から加圧、固定し、外部からの振動を受けても動かないようにしている。また、ばね9のたわみを円筒導体8および寸法調整部材19で調整することで、ばね9の力を調整している。一方、各積層素子柱1の下部は、絶縁支持物13を介して下部端板14に固定されている。
【0019】
ここで、円筒導体8と上部金具10は短絡導体12によって電気的に接続されている。また、各積層素子柱1A、1B、1C間はそれぞれ接続導体70によって電気的に直列に接続されている。接続導体70は、図5(上面図)で示すように、各積層素子柱1に積層される円筒部70aと、各積層素子柱1間を接続する渡り部70bにより構成されている。これらの接続導体70は、素子2Bを中心にして、素子2Aと素子2Cとを交互に接続している。即ち、素子2Aと素子2Cとは接続導体70により直接接続されてはいない。
【0020】
図3は図1に示す避雷器をd−d方向からみた側断面図である。図2の展開図と積層構成は同一のため、同一記号を付し説明を省略する。図4は図3に示すE部の拡大詳細図であり、各積層素子柱1間の接続状態を示している。図4に示すように連結絶縁板51を介して積層素子柱1Aと1Bが機械的に接続されている。さらに連結絶縁板52を介して、積層素子柱1Bと紙面奥行き方向に配置された積層素子柱1C(図示せず)が接続されている。
【0021】
次に各積層素子柱1間の電気経路について図2に基づいて具体的に説明する。まず、前述のように上部金具10、短絡導体12を介して積層素子柱1A上部の素子2Aに通電される。その後、接続導体71を介して素子2Bに通電され、さらに接続導体72を介して、素子2Cに電気的に接続される。
【0022】
その後は図2に示すように、接続導体72、素子2B、接続導体71、素子2A、接続導体71、素子2Bといった順に基本の経路を繰り返しつつ、各積層素子柱1間の電気経路が形成される。なお、各積層素子柱1は、積層素子柱1Aの最下部に積層された接地端子15により接地される。
【0023】
以上述べたように、本発明における避雷器は、積層素子柱1A、1Bおよび絶縁支持柱4間を連結絶縁板51の膨出部51aで一体に連結し、積層素子柱1B、1Cおよび絶縁支持柱4間を連結絶縁板52の膨出部52aで一体に連結したので、避雷器の機械的強度が向上する。よって、外部要因による振動を抑制することができ、避雷器の耐震性の向上を図ることが出来る。
【0024】
また、各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように、一定の距離を保って絶縁支持柱4を配置しているので外部から振動が加わっても絶縁支持柱4と素子2とが直接接触することがなく、素子2の損傷を防止することができ、ひいては避雷器性能の安定性が向上する。
【実施例2】
【0025】
図6は実施例1と同一構成の4つの構成群100、200、300、400を並列に配置した場合の各構成群の固定方法を示す横断面図である。なお、実施例1と同一の構成部分については同一の符号を付し説明は省略する。
【0026】
本実施例においては、図中の同一仮想円の中心に関して点対称となるように構成群100、200、300、400を配置している。すなわち、隣り合う一方の構成群の積層素子柱1A、1Bと、他方の構成群の積層素子柱1C、1Bが対向部16となるように配置されている。例えば、構成群100の積層素子柱1A、1Bと構成群200の積層素子柱1C、1Bとが対向部16となるように配置されている。本実施例では、このような隣り合う構成群のそれぞれの対向部16の空間で、かつ各積層素子柱1に積層される素子2と干渉しない位置に絶縁筒17を1つずつ、計4つ配置している。
【0027】
絶縁筒17は、例えば、構成群100の積層素子柱1A、1B間を同一の高さで連結している連結絶縁板51の連絡部51b、および構成群200の積層素子柱1B、1C間を同一の高さで、かつ連結絶縁板51とは異なる高さにおいて連結した連結絶縁板52の連絡部52bと挟持される。なお、連絡部51b、52bは各積層素子柱1に積層される素子2の外周よりも絶縁筒17側に膨出し、かつ絶縁筒17を挟持するために窪んだ形状を成している。すなわち、絶縁筒17と素子2は互いに干渉していない。
【0028】
以上述べたように本実施例では4つの構成群の各積層素子柱1を、各連結絶縁板50の膨出部51a、52aを貫通する計4つの絶縁支持柱4で固定するとともに、各構成群を、計4つの絶縁筒17と各連結絶縁板50の連絡部51b、52bを介して相互に機械的に連結している。このように、複数の構成群を配置した場合であっても、構成群の数に応じて絶縁支持柱4および絶縁支持筒17の数を調整することで機械的強度が向上する。よって、外部要因による振動を抑制することができ、避雷器の耐震性の向上を図ることが出来る。
【0029】
また、各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように、一定の距離を保って絶縁支持柱4および絶縁筒17を配置しているので外部から振動が加わってもこれらが直接接触することがなく、素子2の損傷を防止することができ、ひいては避雷器性能の安定性が向上する。
【0030】
さらには、各構成群を同一仮想円の中心に関して点対称となるように配置するとともに、近接して密閉容器(図示せず)内に配置したため、密閉容器の径を縮小することができる。
【実施例3】
【0031】
図7は実施例1の構成群の固定方法に変更を加えた避雷器の横断面図である。各積層素子柱1の基本構成および電気的接続については実施例1と同様であるため、同一符号を付し、説明は省略する。
【0032】
本実施例においては、絶縁支持柱4aを、積層素子柱1A、1Bと仮想二等辺三角形の頂点を成す位置に配置し、さらにもう1つの絶縁支持柱4bを積層素子柱1B、1Cと仮想二等辺三角形の頂点を成す位置に配置している。ここで、2つの絶縁支持柱4a、4bは各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように、一定の距離を保って配置されている。
【0033】
絶縁支持柱4aは、積層素子柱1A、1B間を同一の高さで連結した連結絶縁板51によって各積層素子柱1A、1Bと一体に連結している。さらにもう一つの絶縁支持柱4bは、積層素子柱1B、1C間を同一の高さで、かつ連結絶縁板51とは異なる高さにおいて連結した連結絶縁板52によって積層素子柱1B、1Cと一体に連結している。ここで絶縁支持柱4は、前述の各実施例と同様、連結絶縁板51、52の膨出部である51a、52aを貫通している。
【0034】
このように、1つの構成群を2つの絶縁支持柱4で固定したため、実施例1の構成に比べて機械的強度が向上する。よって、外部要因による振動をより抑制することができ、避雷器の耐震性の更なる向上を図ることが出来る。
【0035】
また、各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように、一定の距離を保って絶縁支持柱4を配置しているので外部から振動が加わっても素子2と絶縁支持柱4が直接接触することがなく、素子2の損傷を防止することができ、ひいては避雷器性能の安定性が向上する。
【実施例4】
【0036】
図8は実施例3と同一の4つの構成群500、600、700、800を並列に配置した場合の各構成群の固定方法を示す横断面図である。なお、実施例3と同一の構成部分については同一の符号を付し説明は省略する。
【0037】
本実施例においては、実施例2と同様に図中の同一仮想円の中心に関して点対称となるように構成群500、600、700、800を配置している。すなわち、隣り合う一方の構成群の積層素子柱1A、1Bと、他方の構成群の積層素子柱1C、1Bが対向部16となるように配置されている。
【0038】
この対向部16の空間で、かつ各積層素子柱1に積層される素子2と干渉しない位置に、隣り合う構成群と共用の絶縁支持柱4を1つずつ、計4つ配置している。さらにこの絶縁支持柱4が連結絶縁板51、52の膨出部である51a、52aを貫通することで、各積層素子柱1を固定している。
【0039】
例えば構成群500の積層素子柱1A、1B間を同一の高さで連結した連結絶縁板51の膨出部51aと、構成群600の積層素子柱1C、1B間を同一の高さで連結した連結絶縁板52の膨出部52aを共有の絶縁支持柱4aが貫通している。ここで各構成群の連結絶縁板51、52は異なる高さにおいて積層されている。
【0040】
このように、実施例2の絶縁筒17のような新たな部材を設けることなく、かつ絶縁支持柱4を隣り合う構成群で共用とした簡易な構成で各積層素子柱1を固定するため、ひいては各構成群の機械的強度が向上する。よって、コストを抑えつつ外部要因による振動を抑制することができ、避雷器の耐震性の向上を図ることが出来る。
【0041】
また、各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように、一定の距離を保って絶縁支持柱4を配置しているので外部から振動が加わっても絶縁支持柱4と素子2とが直接接触することがなく、素子2の損傷を防止することができ、ひいては避雷器性能の安定性が向上する。
【0042】
さらには、各構成群を同一仮想円の中心に関して点対称となるように配置するとともに、近接して密閉容器(図示せず)内に配置したため、密閉容器の径を縮小することができる。
【実施例5】
【0043】
図9は本発明における構成群を形成する3つの積層素子柱1を一直線上に配置した場合の避雷器の横断面図である。各積層素子柱1の基本構成、および電気的接続については、実施例1と同様のため、同一符号を付し説明は省略する。
【0044】
本実施例においては、絶縁支持柱4cを積層素子柱1A、1Bと仮想二等辺三角形の頂点を成す位置に配置している。さらにもう1つの絶縁支持柱4dを積層素子柱1B、1Cと仮想二等辺三角形の頂点を成す位置に配置している。ここで、2つの絶縁支持柱4c、4dは各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように、一定の距離を保つとともに、絶縁支持柱4同士が一直線上になるように配置されている。
【0045】
絶縁支持柱4cは、積層素子柱1A、1B間を同一の高さで連結した連結絶縁板51によって各積層素子柱1A、1Bと一体に連結している。さらにもう一つの絶縁支持柱4dは、積層素子柱1B、1C間を同一の高さで、かつ連結絶縁板51とは異なる高さにおいて連結した連結絶縁板52によって積層素子柱1B、1Cと一体に連結している。ここで絶縁支持柱4は、前述の各実施例と同様、連結絶縁板51、52の膨出部である51a、52aを貫通している。
【0046】
このように、避雷器のレイアウトに合わせ、各積層素子柱1を一直線上に配置した構成群においても、本発明によれば各積層素子柱1の機械的強度を向上させることが出来る。特に本実施例においては、2つの絶縁支持柱4によって1つの構成群を固定しているため、実施例1に比べて各積層素子柱1の機械的強度をより向上することが出来る。よって外部要因による振動を抑制することができ、避雷器の耐震性についてもより向上を図ることが出来る。
【0047】
また、各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように、一定の距離を保って絶縁支持柱4を配置しているので外部から振動が加わっても絶縁支持柱4と素子2とが直接接触することがなく、素子2の損傷を防止することができ、ひいては避雷器性能の安定性が向上する。
【実施例6】
【0048】
図10は実施例5と同一の2つの構成群900、1000を並列に対称配置した場合の各構成群の固定方法を示す横断面図である。なお、実施例5と同一の構成部分については同一の符号を付し説明は省略する。
【0049】
本実施例においては、隣り合う構成群900、1000の各積層素子1の対向部18で、かつ各積層素子柱1に積層される素子2と干渉しない位置に絶縁筒17を2つ配置している。すなわち、2つの構成群を、4つの絶縁支持柱4と2つの絶縁筒17によって固定している。
【0050】
絶縁筒17は、例えば、構成群900の積層素子柱1A、1B間を同一の高さで連結した連結絶縁板51の連絡部51b、および構成群1000の積層素子柱1A、1B間を同一の高さで連結している連結絶縁板51の連絡部51bと挟持される。なお、これら2つの連結絶縁板51の連絡部51bは各積層素子柱1に積層される素子2の外周よりも絶縁筒17側に膨出しているが、絶縁筒17を挟持するために窪んだ形状を成している。すなわち、絶縁筒17と素子2は互いに干渉しない。
【0051】
このように、避雷器のレイアウトに合わせ、積層素子柱1を一直線上に配置した構成群を複数配置した場合であっても、構成群の数に応じて絶縁支持柱4および絶縁支持筒17の数を調整することで機械的強度が向上する。よって、外部要因による振動を抑制することができ、避雷器の耐震性の向上を図ることが出来る。
【0052】
また、各積層素子柱1に積層される素子2の外周と干渉しないように、一定の距離を保って絶縁支持柱4および絶縁筒17を配置しているので外部から振動が加わってもこれらが直接接触することがなく、素子2の損傷を防止することができ、ひいては避雷器性能の安定性が向上する。
【符号の説明】
【0053】
1 積層素子柱
2 非直線抵抗素子
3 絶縁ロッド
4 絶縁支持柱
50、51、52 連結絶縁板
51a、52a 膨出部
51b、52b 連絡部
6 絶縁板
70、71、72 接続導体
8 円筒導体
9 ばね
10 上部金具
11 ナット
12 短絡導体
15 接地端子
16、18 対向部
17 絶縁筒
100、200、300、400、500、
600、700、800、900、1000 構成群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非直線抵抗素子と絶縁板が積層された積層素子柱を3つ並列に配置して構成群を形成し、前記積層素子柱間を接続導体により電気的に直列に接続した避雷器において、前記構成群は前記積層素子柱を仮想直角三角形の頂点に配置し、絶縁支持柱を前記仮想直角三角形の底辺の中点付近かつ前記素子の外周と干渉しない位置に配置して構成するとともに、前記仮想直角三角形の直角部を成す積層素子柱、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の一方および前記絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さにおいて一体に連結する第一連結絶縁板と、前記直角部を成す積層素子柱、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の他方および前記絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さで、かつ前記第一連結絶縁板とは異なる高さにおいて一体に連結した第二連結絶縁板によって構成される少なくとも1組の連結絶縁板を有し、さらに前記連結絶縁板は、前記素子の外周より前記絶縁支持柱側に一部膨出させ、かつ該膨出部において前記絶縁支持柱と嵌合したことを特徴とする避雷器。
【請求項2】
前記構成群は4つを、同一仮想円の中心に関して点対称となるように配置するとともに、隣り合う一方の構成群における2つの積層素子柱と、他方の構成群における2つの積層素子柱が対向する空間で、かつ前記素子の外周と干渉しない位置に絶縁筒を配置し、さらに前記絶縁筒は、前記隣り合う構成群において対向部に配置するそれぞれ2つの積層素子柱に積層された前記連結絶縁板によって挟持されたことを特徴とする請求項1記載の避雷器。
【請求項3】
非直線抵抗素子と絶縁板が積層された積層素子柱を3つ並列に配置して構成群を形成し、前記積層素子柱間を接続導体により電気的に直列に接続した避雷器において、前記構成群は、前記積層素子柱を仮想直角三角形の頂点に配置し、前記仮想直角三角形の直角部を成す積層素子柱と、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の一方とで仮想略三角形を形成する位置に第一絶縁支持柱を配置し、前記仮想直角三角形の直角部を成す積層素子柱と、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の他方とで仮想略三角形を形成する位置に第二絶縁支持柱を配置し、さらに前記2つの絶縁支持柱は前記素子の外周と干渉しない位置にそれぞれ配置して構成されるとともに、前記仮想直角三角形の直角部を成す積層素子柱、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の一方および前記第一絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さにおいて一体に連結する第一連結絶縁板と、前記直角部を成す積層素子柱、前記直角部を成す積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の他方および前記第二絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さで、かつ前記第一連結絶縁板とは異なる高さにおいて一体に連結した第二連結絶縁板によって構成される少なくとも1組の連結絶縁板を有し、さらに前記第一、第二連結絶縁板は、前記素子の外周より前記第一、第二絶縁支持柱側にそれぞれ一部膨出させ、かつ該膨出部において前記第一、第二絶縁支持柱とそれぞれ嵌合したことを特徴とする避雷器。
【請求項4】
前記構成群は4つを、同一仮想円の中心に関して点対称となるように配置するとともに、前記絶縁支持柱は、隣り合う一方の構成群における2つの積層素子柱と、他方の構成群における2つの積層素子柱が対向する空間で、かつ前記素子の外周と干渉しない位置にそれぞれ配置され、さらに隣り合う構成群と共有化されて前記連結絶縁板と嵌合していることを特徴とする請求項3記載の避雷器。
【請求項5】
非直線抵抗素子と絶縁板が積層された積層素子柱を3つ並列に配置して構成群を形成し、前記積層素子柱間を接続導体により電気的に直列に接続した避雷器において、前記構成群は前記積層素子柱を一直線上に配置して構成するとともに、3つの積層素子柱の中心に配置される素子柱と、前記中心に配置される積層素子柱とそれぞれ隣り合う積層素子柱の一方とで仮想略三角形を形成する位置に第一絶縁支持柱を配置し、3つの積層素子柱の中心に配置される素子柱と、前記中心に配置される積層素子柱とそれぞれ隣り合う積層素子柱の他方とで仮想略三角形を形成する位置に第二絶縁支持柱を配置し、さらに前記2つの絶縁支持柱は前記素子の外周と干渉しない位置にそれぞれ配置して構成されるとともに、前記中心に配置される素子柱と、前記中心に位置する積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の一方および前記第一絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さにおいて一体に連結する第一連結絶縁板と、前記中心に配置される素子柱と、前記中心に位置する積層素子柱とそれぞれ隣り合う2つの積層素子柱の他方および前記第二絶縁支持柱とをそれぞれ同一の高さで、かつ前記第一連結絶縁板とは異なる高さにおいて一体に連結した第二連結絶縁板によって構成される少なくとも1組の連結絶縁板を有し、さらに前記第一、第二連結絶縁板は、前記素子の外周より前記第一、第二絶縁支持柱側にそれぞれ一部膨出させ、かつ該膨出部において前記第一、第二絶縁支持柱とそれぞれ嵌合したことを特徴とする避雷器。
【請求項6】
前記構成群は、複数を並列かつ隣り合う構成群の3つの素子柱が互いに対向するように配置するとともに、該対向部でかつ前記素子の外周と干渉しない位置に絶縁筒を配置し、さらに前記絶縁筒は、前記隣り合う構成群の積層素子柱にそれぞれ積層された2つの前記連結絶縁板によって前記素子と挟持されたことを特徴とする請求項5記載の避雷器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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