説明

還元金属の製造方法

【課題】還元金属の再酸化を招くことなく、炉内で発生するCO等の可燃性ガスの有効利用を通じて、燃料原単位の低減を図ることのできる還元金属の製造方法を提供する。
【解決手段】加熱炉内を移動する移動床11上に、固体還元剤17と金属含有原料12とを装入し、その金属含有原料が加熱炉内を移動する間に、バーナー13の燃焼熱によって加熱・還元し、さらに溶融させて還元金属を製造する方法において、主バーナー13aおよび2次燃焼用バーナー13bの下方に、支燃性ガス吹込みノズル13cを配設して余剰可燃性ガスを燃焼させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動型炉床炉を用いて金属成分を含む物質から還元金属を製造する方法に関し、たとえば、鉄鉱石等の含金属鉱石、製鉄所や製錬所、精錬所等で発生する鉄分や各種金属成分を含むダスト、スラッジあるいはスケール等の金属含有原料から、還元鉄などの還元金属を製造する方法について提案する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼は、主として高炉−転炉法または電気炉法によって製造されている。これらのうち、電気炉法は、スクラップや還元鉄を原料として、これらを電気エネルギーによって加熱溶解し、場合によってはさらに精錬して鋼にする方法である。現在、この方法は、スクラップを主な原料としているが、近年、そのスクラップの需給が逼迫しており、とくに高級製品の製造には、スクラップに代わる鉄含有原料、たとえば還元鉄などへの要望が高まりつつある。
【0003】
還元鉄を製造するプロセス(移動型炉床炉による方法)としては、例えば、特許文献1に開示されているような、水平方向に回転移動する移動床上に鉄鉱石と固体還元剤とからなる混合物を積み付け、上方からの幅射伝熱によって鉄鉱石を加熱して還元することにより、還元鉄を得る回転炉床炉法が知られている。この回転炉床炉法による還元鉄の製造は、設備の建設費が比較的安価で、操業トラブルも比較的少なく、還元鉄を安定して製造することができる等の利点がある。
【0004】
このような還元鉄製造技術において、加熱炉内における還元反応は、鉄鉱石と固体還元剤との間での直接還元によって進行するものと考えられている。この直接還元は、吸熱反応であるから、炉内への還元速度や生産性というのは、熱の供給量によって決定づけられる。その熱の供給は、バーナーを熱源とし、バーナー火炎や炉内壁からの幅射伝熱によって行なわれる。ところで、移動床上に供給された原料が加熱炉内の高温雰囲気中を移動するとき、その原料中の固体還元剤からは揮発分が発生する他、炉内には固体還元剤と酸化鉄との反応によって可燃性COガスが発生する。このCOガスは、重要な熱源となり得るものであり、これを炉内で有効に活用することができれば、燃料比の低減に寄与するものと考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−108188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術が抱えている上述した各種の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、還元金属の再酸化を招くことなく、炉内で発生するCO等の可燃性ガスの有効利用を通じて、燃料原単位の低減を図ることのできる技術を提案することにある。本発明の他の目的は、過剰な設備投資を必要とせず、前記燃料原単位の低減を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では上記目的を実現するために、鋭意検討を重ねた結果、加熱炉内を移動する移動床上に、固体還元剤を敷き詰めた上でその上に、金属含有原料と固体還元剤との混合物からなる原料を装入して堆積させ、その金属含有原料が加熱炉内を移動する間に、バーナーの燃焼熱によって加熱・還元し、その後、少なくとも一旦は溶融させてから冷却することにより還元金属を製造する方法において、加熱・還元帯から溶融帯にかけての加熱炉側壁の上部に主バーナーを配設すると共に、加熱・還元帯にある前記主バーナーの下方には原料層上部近傍あたりの位置に支燃性ガス吹込みノズルを配設して可燃性ガスを燃焼させることを特徴とする還元金属の製造方法を採用することが有効であることを突き止めた。
【0008】
また、本発明において、前記した主バーナーの近傍には、燃料と支燃性ガスもしくは支燃性ガスのみを供給する2次燃焼用バーナーを配設すること、前記支燃性ガス吹込みノズルは、主バーナーの中心レベルと原料層表面レベルとの距離を10分割した間隔を無次元数(0〜1.0)で表示したとき、その原料層表面からの間隔が0.2〜0.6の範囲内となる位置に配設すること、前記支燃性ガス吹込みノズルは、加熱・還元帯入側端と溶融帯出側端までの距離を10分割した間隔を無次元数(0〜1.0)で表示したとき、その加熱・還元帯入側端からの間隔が0.2〜0.5の範囲内となる位置に配設すること、前記加熱・還元帯の入側上部に排気ガスダクトを備えることがより有効な解決手段と考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、炉内で発生する余分な可燃性ガスを燃焼させることにより、加熱・還元帯(加熱工程)の熱源として利用することができるのので、複雑で高価な装置を必要とせずに、燃料原単位の削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明方法の実施に当たり好適に用いられる移動型炉床炉の一例として、「回転炉床炉」を示すものである。この回転炉床炉の炉体10は、原料の装入側から順次、予熱帯10a、加熱・還元帯10b、溶融帯10c、冷却帯10dに区画形成されており、この炉体10内には、連続的に移動する移動床11が配設されているものである。そして、この移動床11の上には、金属含有原料たとえば鉄鉱石と、固体還元剤たとえば石炭との混合物からなる原料12が装入され、所定の厚みに堆積させるようになっている。なお、この原料12としては、炭材内装ペレットを用いることもある。
【0011】
前記移動床11は、耐火物の内張りを有する炉体10によって囲われているが、本発明において特徴的なことは、この移動床11の上に、これを保護するために、固体還元剤すなわち炭材を、原料の装入に先立って予め、床敷層用材料として装入するようにした点にある。また、炉体10の側壁上部には、バーナー13が配設される。このバーナー13には、主バーナー13aと、必要に応じて2次燃焼用バーナー13bが有り、これらのバーナー13a、13bの燃焼熱を熱源として、移動床11上の前記鉄鉱石等の金属含有原料を加熱・還元するようになっている。なお、図1において、14は原料を移動床11上に装入するための装入装置および、15は還元物を排出する排出装置である。また、この回転炉床炉の操業は、炉体10内の雰囲気温度を、1300℃程度に保持して、未溶融の還元鉄を回収する方式とすることができる一方、1500℃程度の高温にして溶融させ、メタルとスラグとに分離した上で回収する方式とすることもできる。
【0012】
いずれの操業を行う場合であっても、この回転炉床炉では、鉄鉱石等の鉄含有物と石炭等の炭素質固体還元剤とを含む混合物を塊成化したものなどを用いることにより、これらの相互の接触面積を増大させることで、還元時の反応速度を促進させ、処理時間を短縮するようにしてもよい。こうした処理時間の短縮は、生産性向上につながり、生産コストの低減をもたらす上で望ましいことである。
【0013】
図2は、上記回転炉床炉を原料の装入装置の位置から製品の排出装置までの間を直線状に展開した周方向の縦断面図である。図1に示すものと同じ符号はそれぞれ、同じ構成部品を示している。この図において、装入装置のうち、原料の装入装置を14a、還元剤の装入装置を14bとし、主バーナーは加熱・還元帯から溶融帯にかけて配置され、2次燃焼用バーナー13bを必要に応じてこの主バーナー13aに付属するように配設するが、特にこのバーナー13bは溶融帯に配設することが好ましい。なお、図示の16は冷却装置である。
【0014】
この炉の操業は、所定の速度で移動させる移動床11の上に、まず還元剤装入装置14bを使って床敷用固体還元剤を供給して下層とし、その下層上に、金属含有物質と固体還元剤との混合物からなる原料12が原料装入装置14aからが供給されて上層(原料層)となり、炉内の各帯域10a〜10dを移動する。ここで、金属含有物質を含む原料と固体還元剤との混合物は粉であってもペレットやブリケット等の塊であってもよい。
【0015】
金属含有物質を含む原料としては、鉄鉱石等の含金属鉱石や製鉄所、精錬所等で発生する鉄分や各種金属成分を含むダスト、スラッジ、スケール等を使用することができる。固体還元剤としては、石炭、コークス等の固体燃料や廃棄物等から合成された固体の合成燃料が使用できる。これらの固体還元剤は、移動床11の上の固体還元材層17として使用することができるし、前記混合物である原料の構成物質とすることもできる。
【0016】
上述したように、本発明方法に適用する回転炉床炉は、移動床11の上方に当たる加熱炉の両側壁に、加熱・還元帯10b以降〜溶融帯10cにかけて複数の主バーナー13aが設置される。この主バーナー13aでは、燃料(重油や天然ガス、もしくはプロパンガス、微粉炭等)と、この主バーナーから供給する燃料を燃焼するための1次燃焼用の空気(もしくは酸素富化空気)が供給される。この主バーナー13aは、炉内の加熱・還元工程から溶融工程の全域に設けられる。なお、図2では主バーナー13aを炉壁上部に設置した例を示しているが、この主バーナー13aの目的は、炉内への熱供給を円滑に行うことであるから、その意味で、該主バーナー13aを炉体の天井部分に下向きに設けてもよい。
【0017】
さらに、この加熱炉の側壁には、必要に応じ、1ないし複数個の2次燃焼用バーナー13bが主バーナー13aに併せて設置される。この2次燃焼用バーナー13bには2次燃焼用空気(もしくは酸素富化空気)を好適例とする支燃性ガス、つまり炉内で生成した余剰COガスの燃焼を促進するためのガスが供給される。この発明において、2次燃焼とは、加熱・還元帯から溶融帯までの反応において、金属分の還元が終了するにいたるまでに発生したCOガスを燃焼させることを意味すると共に、2次燃焼用空気等から供給される酸素が炉床上の固体還元剤を酸化することによって発生したCOガスを燃焼させることである。
ただし、主バーナー13aのみによる燃焼では、燃料と酸素の混合の状態によっては、完全燃焼しないことがあり、理論燃焼酸素量に等しい量の酸素を供給しても、COガス等の可燃性ガスがそのまま残る場合がある。
【0018】
そこで、この場合、溶融帯10cに2次燃焼用バーナー13bを配設することにより、還元金属が生成した溶融帯の上方で2次燃焼を起させて、熱エネルギーの有効利用を図ることが好ましい。なお、この2次燃焼用バーナー13bは、加熱・還元帯10bにも配設してよい。
【0019】
このように、本発明では、溶融帯10cや加熱・還元帯10bに2次燃焼用バーナー13bを通じて、酸素の如き支燃性ガスを、燃料の燃焼に必要な量よりも過剰に供給することにより、該溶融帯10c、加熱還元帯10bで発生する可燃性ガスを完全に燃焼させ、炉内が高温雰囲気になるようにすることができる。この場合、溶融帯10cにおける主バーナー13aおよび2次燃焼用バーナー13bから供給される支燃性ガス中の酸素の総量を、主バーナー13aや2次燃焼用バーナー13bから供給される燃料に対する理論燃焼酸素量の1.01〜1.5倍程度に相当する酸素量を供給することが好ましい。この理論燃焼酸素量は、燃料中の炭素、水素等の可燃性ガスが完全燃焼し、二酸化炭素や水といった燃焼生成物とするのに必要な酸素量を意味している。
【0020】
なお、主バーナー13a、2次燃焼用バーナー13bを通じて溶融帯10cへ供給する支燃性ガスの総量を、酸素量にして燃料の理論燃焼酸素量の1.01〜1.5倍相当量とした理由は以下の通りである。下限の1.01については、これよりも酸素量が少ないと炉床上の固体還元剤を酸化してCOガスを発生させる効果がほとんどないために溶融帯10cの温度上昇が期待できないためである。また、上限の1.5については、これを超えて過剰な酸素を供給すると、炉床上の固体還元剤の燃焼に寄与しない酸素が生じるようになるためである。
【0021】
なお、移動型炉床炉では、熱源として期待される上述した揮発分やCOガス等の可燃性ガスの発生量は、加熱・還元帯10bの後期から溶融帯10cにかけて減少するため、この帯域の炉床近傍での還元性雰囲気が縮少する。従って、この帯域に2次燃焼用バーナー13bを使って2次燃焼用支燃性ガスを過剰に吹込むことは、生成した還元鉄の再酸化を招くことがある。しかし、本発明方法においては、原料層の下に固体還元剤からなる床敷層が設けてあるため、必ずしもこの状況に陥ることはない。
【0022】
次に、図3は、本発明を開発するヒントとなった、加熱・還元帯における反応の概念図を示すものである。この図から理解できるように、本発明方法の実施環境は、特に、加熱・還元帯での反応では、装入原料中に内装した固体還元剤と酸化鉄の反応によって、この層の上に多量のCOが発生し、多くはその部分に滞留することがわかる。
【0023】
そこで、本発明においては、加熱・還元工程において原料層上に発生する多量のCOガスを、熱エネルギーとして有効利用するために、前記主バーナー13a、2次燃焼用バーナー13bの他に、その発生COガスのみを燃焼させる専用の支燃性ガス吹込みノズル13cを配設することにした。即ち、この加熱・還元帯域では、原料層中の金属酸化物と内装炭材との反応(FeO+C→Fe+CO↑)によって多量のCOガスが発生するが、もしこのガスを有効に活用できなければ、排ガスとして排気ダクトを経て無駄に排出されてしまうからである。
【0024】
このように、主バーナー13aや2次燃焼用バーナー13bの他に、わざわざ支燃性ガス吹込みノズル13cを配設する理由はまた、主バーナー13aの場合は、支燃性ガス(空気)を過剰に供給するとしても、それは主として、一緒に吹込む燃料を完全燃料させるためのものであるから、加熱・還元帯の原料層上に発生するCOガスをも十分に燃焼させるに足る空気を供給するものとは言えないからである。そして、2次燃焼用バーナー13bについてもその役割は主として、主バーナー13aの補助的な役割しか持たないものである。従って、上述したように、加熱・還元帯で生成する多量のCOガスを有効に活用しようとすると、前2者のバーナー13a、13bのみでは不十分であり、どうしても他に支燃性ガスのみを供給する手段が必要となる。本発明は正に、この要求に応えるために、前記支燃性ガス吹込みノズル13cを設置することにしたのである。
【0025】
ただし、本発明者らの研究によると、かかる支燃性ガス吹込みノズル13cの配設場所はどこでもいい訳ではなく、好適な位置を選んで配置しなければならないことがわかった。即ち、炉内の高すぎる位置では効果が少ないし、また、低すぎる位置ではCO燃焼の効果はあるが、炉床上に積載された粉が吹き上がり、排ガスと一緒に炉外へ排出されやすくなってダスト量が増えてしまう。さらに、反応の段階(加熱炉内を移動する移動床の移動距離、以下、これを「移動位置」という)が進みすぎてもまた進まない段階に配設してもまた効果が少ない。
【0026】
図4、図5、図6は、支燃性ガス吹込みノズル13cの高さ方向の好適位置を、原料層表面から主バーナーの中心位置まで間の距離を10分割(1〜1.0)した無次元数で表示したとき、その高さ位置と排ガス温度および排ガス中のダスト量との関係を、移動床の移動距離0.1(−)、0.4(−)、0.7(−)の3つの段階について調査した結果を示したものである。これらの図からわかるように、加熱炉内の高さ方向のレベルにおいて、原料層表面から0.2(−)未満の位置では、排ガスダクト18内に流れるダストの量が吹込みガスの影響を受けて急激に増加するため好ましくない。一方、原料層表面からの位置が、0.6(−)を超えると、前記排ガスダクト18内における排ガス温度差が急激に低下することから、COガス燃焼効率が悪くなることがわかる。これらの結果から、本発明において、支燃性ガス吹込みノズル13cの高さ方向のレベルは、0.2〜0.6の範囲、好ましくは0.2〜0.4の範囲がよい。
【0027】
図7、図8、図9は、支燃性ガス吹込みノズル13cの炉内移動位置を、炉内における加熱・還元帯入側端から溶融帯出側端までの距離を10分割(0〜1.0)して無次元化し、その移動位置と排ガス温度および排ガス中のダスト量との関係を調査した結果を、このノズルの高さレベルを0.1(−)、0.5(−)、0.7(−)の3レベルについて表示したものである。これらの図から、前記移動距離が0.2〜0.5の範囲にあるとき、燃焼効率がとくに高く、排ガス中に含まれるダストの量が少なく、好適であることがわかった。
【0028】
なお、本発明において、溶融帯10cに配設してなる主バーナー13a、2次燃焼用バーナー13bへの燃料および支燃性ガスを供給する場合、上述した方法の採用に併せ、微粉炭、重油等を併用してもよい。また、使用する主バーナー13a、2次燃料用バーナー13bはプレミックスタイプ、ポストミックスタイプ等のいずれの形式のものでも使用することができる。
【実施例】
【0029】
この実施例1、2、3は図1、図2に示すような回転炉床炉を用いて還元鉄の製造実験を行った結果を示すものである。なお、燃料としてはLNGを用い、支燃性がスとしては、空気と酸素を用いて還元鉄を製造した時の操業条件とその結果を表1に示す。
比較例1は支燃性ガスノズルを配設しなかった例、比較例2および3はノズルの配設位置(高さ位置)が本発明の適合範囲を外れた位置にある例を示す。同様に比較例4および5はノズルの配設位置(移動方向位置)が本発明の適合範囲を外れた位置にある例を示す。これらの実施例、比較例では主バーナーは使用するLNGの量に対して空燃比1.2、酸素富化率一定の条件で燃焼させた。
溶融帯のLNG使用量は75m/h一定、また溶融帯は支燃性がスを吹き込まず、2次燃焼用空気180m/h(酸素富化率は一定)のみの吹き込みとした。逆に還元帯は支燃性ガスのみを吹き込み、吹き込み量は220m/h一定(酸素富化率は一定)とし、支燃性ガスの吹き込み位置が炉温に及ぼす影響を調査した。なお、還元帯のLNGは支燃性ガス吹き込みノズルの効果に応じて、還元帯温度が大きくずれないように調整して使用量を決定した。
【0030】
実施例1、2、3は支燃性ガスを炉床からのCO発生量が多い位置に供給することにより、原料層から発生したCOガスをそのまま炉床近傍で燃焼させることが可能となり、炉内と排ガスダクトとの温度差(T35−T31)が比較例に対して大きくなることが分かる。ただし、比較例3については、ノズル高さを0.1の位置に配設したことにより、COガスを燃焼する効果は大きく出たものの、吹き込み位置が原料層に近いため、原料層表層の粉が舞上がってしまい、ダスト量が4倍程度になり、排ガス系の負荷が増える結果となった。
【0031】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る技術は、回転炉床炉による鉄などの還元金属の製造に採用されるが、この技術はまた、海綿鉄の製造や鉄粉の他、他の金属粉の製造に際しても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】回転炉床炉の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る回転炉床炉を展開した状態の垂直断面図である。
【図3】加熱・還元帯における反応の概念図である。
【図4】移動位置0.4における、支燃性ガス吹込みノズル高さと、排ガス温度および排ガスダスト量との関係を示すグラフである。
【図5】移動位置0.7における、支燃性ガス吹込みノズル高さと、排ガス温度および排ガスダスト量との関係を示すグラフである。
【図6】移動位置0.1における、支燃性ガス吹込みノズル高さと、排ガス温度および排ガスダスト量との関係を示すグラフである。
【図7】バーナー高さ0.5における、支燃性ガス吹込みの移動位置と、排ガス温度および排ガスダスト量との関係を示すグラフである。
【図8】バーナー高さ0.7における、支燃性ガス吹込みの移動位置と、排ガス温度および排ガスダスト量との関係を示すグラフである。
【図9】バーナー高さ0.1における、支燃性ガス吹込みの移動位置と、排ガス温度および排ガスダスト量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0034】
10 回転炉床炉
10a 予熱帯
10b 加熱・還元帯
10c 溶融帯
10d 冷却帯
11 移動床
12 原料
13a 主バーナー
13b 2次燃焼用バーナー
13c 支燃性ガス吹込みノズル
14a 原料装入装置
14b 固体還元剤装入装置
15 原料排出装置
16 冷却装置
17 床敷用固体還元剤(層)
18 排ガスダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉内を移動する移動床上に、固体還元剤を敷き詰めた上でその上に、金属含有原料と固体還元剤との混合物からなる原料を装入して堆積させ、その金属含有原料が加熱炉内を移動する間に、バーナーの燃焼熱によって加熱・還元し、その後、少なくとも一旦は溶融させてから冷却することにより還元金属を製造する方法において、加熱・還元帯から溶融帯にかけての加熱炉側壁の上部に主バーナーを配設すると共に、加熱・還元帯にある前記主バーナーの下方には原料層上部近傍あたりの位置に支燃性ガス吹込みノズルを配設して可燃性ガスを燃焼させることを特徴とする還元金属の製造方法。
【請求項2】
前記した主バーナーの近傍には、燃料と支燃性ガスもしくは支燃性ガスのみを供給する2次燃焼用バーナーを配設することを特徴とする請求項1に記載の還元金属の製造方法。
【請求項3】
前記支燃性ガス吹込みノズルは、主バーナーの中心と原料層表面との距離を10分割した間隔を無次元数(0〜1.0)で表示したとき、その原料層表面からの間隔が0.2〜0.6の範囲内となる位置に配設することを特徴とする請求項1または2に記載の還元金属の製造方法。
【請求項4】
前記支燃性ガス吹込みノズルは、加熱・還元帯入側端と溶融帯出側端までの距離を10分割した間隔を無次元数(0〜1.0)で表示したとき、その加熱・還元帯入側端からの間隔が0.2〜0.5の範囲内となる位置に配設することを特徴とする請求項1または2に記載の還元金属の製造方法。
【請求項5】
前記加熱・還元帯の入側上部に排気ガスダクトを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の還元金属の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−246957(P2007−246957A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69397(P2006−69397)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成13年新エネルギー・産業技術総合開発機構基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】