説明

部分めっき用ベルトおよび部分めっき方法

【課題】高速で連続的に部分めっきできる部分めっき方法、該方法を実施するための部分めっき装置、および、部分めっき用ベルトを提供する。
【解決手段】合成樹脂をバインダーに用いて磁気粉末を配向分散して形成されたマグネットシート13に軟質エラストマー被膜層14を備えてなるマスキング用磁性体シート15を、ベーステープ17上に接着して部分めっき用部分めっき用ベルト10(10a、10d)を構成し、両部分めっき用ベルト10,10間に金属薄板片5を磁力によって挟んだ状態を維持したまま搬送させながら、前記金属薄板片5表面のうち前記部分めっき用ベルト10で覆われていない部分に部分めっきする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部分めっき用ベルトおよび部分めっき方法に関し、より詳しくは、耐めっき特性ならびに高磁力吸引特性を持つ部分めっきベルトの間に、金属薄板片を挟んだ状態を維持したままめっき液に浸漬してまたはめっき液を吹き付けて、該金属薄板片表面のうち前記部分めっき用ベルトで覆われていない部分に対して部分めっきするための部分めっき用ベルトと、このベルトを使用した部分めっき方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金めっき等の高価な材料を用いた表面処理を行う場合、コスト低減のために被めっき物の必要最小限の部分だけに部分めっきを施すことが行われる。従来の部分めっきには、被めっき物(金属薄板ピース)のめっき面側を、マスキング治具で覆い、金属薄板ピースのめっき面側のうち、マスキング治具の開口部から露出した部分にめっき液を吹きつけ、被めっき物とアノード間に所定電圧を負荷して、被めっき物を部分めっきするものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の部分めっき方法は、マスキング治具を機械的手法により金属薄板に押しつけ、マスキング材に作用した圧力でマスキングするため、マスキング圧力の均一性が得られ難く、変形を受けめっき層形成領域の位置にバラツキが生じ易いとか、また、めっき層形成領域外にフラッシュ(にじみ)が発生するなど、めっき品質が不安定になり、機構の複雑さからめっき形成効率が悪いという問題があった。
【0004】
本発明は上記の実情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、被めっき物が長尺品であっても、マスキング強度に強弱ができず均一にマスクでき、めっき層形成領域外にフラッシュ(にじみ)発生がないなど、安定した部分めっき品質を確保できる部分めっきベルトと、この部分めっきベルトを使用した部分めっき方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る部分めっき方法は下記の構成よりなる。
(1)合成樹脂をバインダーに用いて磁気粉末を配向分散して形成されたマグネットシートに軟質エラストマー被膜層を備えてなるマスキング用磁性体シートの複数を、ベーステープ上に僅かな幅で離間させて配し接合して部分めっき用ベルトを構成し、所定のマイナス電位が付加された金属薄板片を前記部分めっき用ベルトの磁力によって当該部分めっき用ベルト間に挟んだ状態を維持したままめっき液に浸漬してまたはめっき液を吹き付けて、当該金属薄板片表面のうち前記部分めっき用ベルトで覆われていない部分に対して部分めっきを施すところに特徴があるもの。
(2)上記(1)において、前記部分めっき用ベルトが、前記軟質エラストマー被膜層の磁着面側に所望する所定形状の凹凸形状が形成された平ベルト、孔付加工された平ベルト、または、前記軟質エラストマー被膜層の磁着面側に所望する所定形状の凹凸形状が形成されかつ孔付加工された平ベルトのうちのいずれかであるところに特徴があるもの。
(3)上記(1)または(2)において、前記部分めっき用ベルトの一方が、エラストマー被膜層を備えた磁性金属薄板ベルト、または、エラストマー被膜層を備え磁着面側に所望する所定形状の凹凸形状が形成された磁性金属薄板ベルトのいずれかであるところに特徴があるもの。
【0006】
つぎに、本発明に係る部分めっき用ベルトは下記の構成よりなる。
(4)合成樹脂をバインダーに用いて磁気粉末を配向分散して形成されたマグネットシートに軟質エラストマー被膜層を備えてなるマスキング用磁性体シートの複数が、ベーステープ上に、僅かな幅で離間した状態で接合されている部分めっき用ベルトであって、
該部分めっき用ベルトは、平ベルト同士の対、平ベルトと孔付加工された平ベルトとの組、孔付加工された平ベルト同士の対、または、平ベルトもしくは孔付加工された平ベルトとエラストマー被膜層を備えた磁性金属薄板ベルトとの組のうちのいずれかとして組合せ使用され、
これら対をなす部分めっき用ベルト間に、所定のマイナス電位が付加された金属薄板片を磁力によって挟んだ状態を維持したままめっき液の中に浸漬してまたはめっき液を吹き付けて、前記金属薄板片の表面のうち前記部分めっき用ベルトで覆われていない部分だけに部分めっきが施されるところに特徴があるもの。
【0007】
(5)上記(4)において、前記部分めっき用ベルトの一方が、エラストマー被膜層を備えた磁性金属薄板ベルト、または、磁着面側に凹凸形状が形成されたエラストマー被膜層を有する磁性金属薄板ベルトであるもの。
【発明の効果】
【0008】
本発明の部分めっき方法は、部分めっき用ベルトの間に、大型被めっき物(金属薄板片)のままその複数をマグネットの磁力によって密着、挟持させ得るから、被めっき物(金属薄板片)の寸法の制限を受けることなく自在に設定でき、部分めっき用ベルトの低コスト化などと相まって、生産効率が高く、短納期、低コスト化が図れる。
【0009】
また、被めっき物(金属薄板片)を両ベルトに対して均一に面当接させることができるため、ベルトと金属薄板片(被めっき物)との隙間からめっき液が浸み込むことがないので、めっき境界部分にフラッシュやにじみの発生がなく高精度と高品質の安定した部分めっきができ、さらに、めっき液の管理、廃液処理などが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を実施例によって説明するが、これらはその代表例に過ぎず、様々に設計変更して実施できるものとする。
【0011】
図1(a))は一実施例となる部分めっき用ベルトの代表的な一使用状態を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線に沿った断面図である。なお、図面中、塗りつぶした部分が部分めっきされる領域であり、また、各部材の厚さなどは、理解を容易にするため誇張して図示されている。以下、同様である。
【0012】
部分めっき用ベルト10aは、合成樹脂をバインダーに用いて磁気粉末を配向分散してマグネットシート13を形成し、該マグネットシート13の磁着面側に軟質エラストマー被膜層14を被覆することによってマスキング用磁性体シート15を形成し、さらに、軟質のベーステープ17(例えば接着剤つきポリエステルフィルム)上に、互いに隣接するマスキング用磁性体シート15の複数をそれぞれ磁着面と反対側の面を配し、僅な幅離間させて接着した有端条であり、前記部分めっき用ベルト10bは、前記ベルト10aに対して、前記被めっき物(金属薄板片)5の所定のめっき部分に向けてめっき液を供給するための開口11が設けられたものであり、そして、両ベルト10a、10bに備えた互いに対峙するマスキング用磁性体シート15の間に、被めっき物(金属薄板片)5をそれぞれ、磁力によって狭持、保持させるようになっている。すなわち、部分めっき用ベルト10aと部分めっき用ベルト10aは、最終製品1個1個となるセグメント方式を採用しているため、概ね、製品1個の長さの整数倍に形成される。
【0013】
なお、部分めっき用ベルト10は、軟質エラストマー被膜層14の磁着面側に必要に応じて所望する所定形状の凹凸形状が形成された平ベルト形状、めっき域を特定するための孔付加工(開口11)が施された平ベルト形状、所望する所定形状の凹凸形状を形成されかつめっき域を特定用の孔付加工(開口11)が施された平ベルト形状などとして形成されている。なお、部分めっき用ベルトの一方にマスキング用磁性体シートが備えられている場合、これと対をなす部分めっき用ベルトとして、マグネットシートを有しておらずかつ軟質エラストマー被膜層で被覆された磁性金属薄板ベルトを使用しても、マスキング用磁性体シートを有する部分めっき用ベルトと磁性金属薄板ベルト間に、金属薄板片(被めっき物)を密着して挟持させることができるので、本明細書においては、マグネットシートを有していない前記磁性金属薄板ベルトもまた、部分めっき用ベルトの一種類と見なすものとする。
【0014】
なお、高精度のスポットめっきをする場合には、マスキング用磁性体シートを、最終製品1個1個となるセグメント方式を採用するとともに、部分めっき用ベルトのベーステープに長さ調整用のヒダを設けたもの、または、孔付もしくはメッシュ構造の例えばポリエステルテープなどを使用することが好ましい。
【0015】
また、めっきの品質を考慮した場合、部分めっき用ベルトに、図示しない位置決め手段を備えて金属薄板片の位置合わせを行い、部分めっき用ベルト間に金属薄板片(被めっき物)を磁力吸着によって挾みこみ密着させてめっきを施す方法が採用されると、めっき位置精度や、めっき厚の均一性などに優れるから、高精度かつ高品質の部分めっきができる。
【0016】
以上説明した部分めっき用ベルトは、後述するように、部分めっき領域の限定や特殊性に鑑み、適宜選択して対に組合せて、使い分けることが好ましい。
【0017】
つぎに、上記マグネットシート13は、例えばエラストマーゴムをバインダーとして用い例えばNdFeB(ネオジウム・鉄・ボロン)系磁性粉末を配向、分散させ、所要の厚さ、長さおよび幅に形成されたものである。ただし、前記磁性粉末をNdFeB(ネオジウム・鉄・ボロン)系磁性粉末に限定するものではなく、磁束密度が高く高磁力のマグネットシートを形成し得るものであれば何ででも良く、また、バインダーを前記エラストマーゴムに限定するものではなく、耐薬品性、耐クラック性、および、シート厚の均一精度に優れ、駆動中の寸法変化が少なく、そして、磁束密度を低下させないゴム体であれば、前記エラストマーゴムに代えてこれを使用できるものとする。
【0018】
上記マスキング用磁性体シート15は、マグネットシート13の全面に、軟質エラストマー(硬度;5〜20°)をコーティングして、軟質エラストマー被膜層14を形成したものである。ただし、コーティング剤を限定するものではないが、加工性、耐薬品性、耐クラック性、および、シート厚の均一精度などに優れ、めっき処理中の寸法変化が少なく、そして、磁束密度を低下させ難いものであることが好ましい。
【0019】
上記軟質のベーステープ17は、マスキング用磁性体シート15を裏から支え、マスキング用磁性体シート15を、最終製品1個1個となるセグメント状に構成するためのものであり、孔付加工のウェート大きい平ベルトを形成する際には、ベーステープ17として軟質のアイランド用マスク(メッシュのベースシート)を使用することが好ましい。なお、ベーステープ17の材質を上記のようにポリエステルフィルムのみに限定するものではないが、耐薬品性を有し、温度による変化が小さく、引張応力に強く伸びも小さく、そして、マスキング用磁性体シート15の吸引力による変形に追従して自在変形可能な柔軟性を保有していることが好ましく、ベーステープ17裏面の接着剤が剥離紙等で被覆されていると、使い勝手に優れるためさらに好ましい。
【0020】
被めっき物である金属薄板片5は、部分めっき用ベルト10,10の間に、当該部分めっき用ベルト10,10の面にほぼ密着した状態に挟持し例えばめっき液の中に浸漬して(図2参照)またはめっき液を吹き付けて、開口11により特定されためっき領域のみに部分めっきが施される。ついで、めっき液を除去し、部分めっき用ベルト10,10を互いに引き離すことに伴って、部分めっき済み金属薄板片として作製される。
【0021】
本発明に係る部分めっき方法は、部分めっき用ベルト10,10の間に、金属薄板片(被めっき物)5を、当該ベルト10,10に備えられたマグネット磁力によってほぼ密着、挟持した状態を維持したまま、めっき液内に浸漬またはめっき液を吹き付けると、部分めっき用ベルトには開口(孔付き加工)11が施されており、必要に応じて、部分めっき用回転ベルトの金属薄板片側表面に凸部(堤防)が形成されておりこの凸部(堤防)で囲まれた領域に開口が連通するように形成するので、部分めっき用ベルト10でマスクされていないめっき域にのみにめっき液を供給することになるから、めっき領域を特定して部分めっきすることができる。
【0022】
なお、上記部分めっき用ベルト10は、部分めっきの種類によって、つぎの(ア)乃至(ウ)のように組み合わせて使用すると好適であるので、以下、この点について説明する。
(ア)エッジめっきの場合は、上記平ベルト同士の組合せ、
(イ)ストライブめっきの場合は、上記平ベルトと上記磁性金属薄板ベルトとの組合せ、
(ウ)スポットめっきの場合は、上記孔付加工した平ベルト同士の組合せ。
【0023】
上記(ア)に係る一対のベルト10aはともに、軟質のベーステープ17上に、マスキング用磁性体シート15が裏から支えられた有端の平ベルト状に構成されたものであり、両ベルト10a,10a間に、エッジめっきする金属薄板片5の上端部もしくは下端部の一方またはその両方が、部分めっき用ベルト10a,10aによってマスクされていない状態に密着、狭持して、そのままの状態でめっき液内に浸漬するまたは、めっき液を吹き付けることにより、前記被めっき物(金属薄板片)5の上端部もしくは下端部の一方またはその両方に電気めっきを施すめっきを施すようになっている。
【0024】
つぎに、上記(イ)記載のストライブめっき法をより具体的に説明する。図3は、好適なストライブめっきをする時の状態を説明するため、模式的に示す要部斜視図である。
【0025】
上記(イ)に係る部分めっき用ベルト10の一方は、軟質のベーステープ上にマスキング用磁性体シートの複数が裏から支えられた平ベルト状に構成された部分めっき用ベルト10aでおり、他方ベルトは、被めっき物(金属薄板片)の長手方向に、軟質エラストマー被膜層を備えた磁性金属薄板c’の複数を、所望するめっきストライブ幅で離間させることによって磁性金属薄板ベルト10cとして形成されたものである。すなわち、、平ベルト状に構成された部分めっき用ベルトの磁力によって被めっき物(金属薄板片)5の磁着面側(非めっき面側)を密着させ、被めっき物(金属薄板片)5のめっき面側に、上記磁性金属薄板片10c’の複数を所望するめっきストライブ幅で離間させた状態に磁着させ、両者間に被めっき物(金属薄板片)5を密着、挟持した状態のままめっき液の中に浸漬して(図2参照)またはめっき液を吹き付けて、部分めっき処理するようになっている。すなわち、磁性金属薄板片10c’間の離間させた位置に、所望するめっき幅をもったストライブめっき(部分めっき)を施すことができる。
【0026】
つぎに、上記(ウ)記載のスポットめっき法について、非めっき部分としてアイランドを有する部分めっきを具体例として説明する。図4(a)は、部分めっきする時の様子を説明するために模式的に示す要部分解斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0027】
部分めっき用ベルトの一方は、軟質のベーステープ上にマスキング用磁性体シート複数の裏側を支えるの平ベルト状に形成された部分めっき用ベルト10aであり、他方ベルトは、マスキング用磁性体シート15とベーステープ17間に、被めっき部分を形成する孔(開口11)よりも大経のアイランド用マスク(メッシュのベーステープ)18を介在させアイランドを形成するマスキング用磁性体部分15’を備えた平ベルト状の部分めっき用ベルト10dであり(図5(b)参照)、両部分めっき用ベルト10a,10dの間に被めっき物5を磁力によって密着、狭持した状態のまま搬送して、上記と同様に部分めっき処理するようになっている。
【0028】
すなわち、アイランドを形成するマスキング用磁性体部分15’がアイランド用マスク(メッシュのベーステープ)18上に固定されているため、この部分のみがアイランド状の被めっき部分となるのである。
【0029】
つぎに、所定形状の繰り返し形状に加工された被めっき物(略金属薄板片)に対して、部分めっきを施す他のめっき方法について、図5を参照しながら説明する。
図5(a)は、このめっき方法を実施するためベルト10a,10dなどを模式的に示す要部分解斜視図であり、図5(b)は、図5(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0030】
この方法は、所定形状の繰り返し形状に加工された被めっき物5の一部分に対して部分めっきを施すものであり、部分めっき用ベルトの一方は、ベーステープ上にマスキング用磁性体シートの複数の裏側を支える平ベルト状に形成された部分めっき用ベルト10aであり、他方は、マスキング用磁性体シート13のエラストマー被膜層14に、前記被めっき物5の繰り返し形状に対応する凹部14’が形成されており、凹部14’にめっき領域に対応する孔加工(開口11)が施されている部分めっき用ベルトeであり、必要に応じて図示しない位置決め部を介して位置決めして凹部14’内に嵌合させ,両部分めっき用ベルト10a,10e間に磁力によつて密着、挟持した状態のままめっき液に浸漬しまたはめっき液を吹き付けて、上記と同様に部分めっき処理するようになっているものである。
【0031】
すなわち、所定形状の繰り返し形状に加工された部分のうち、開口を介してめっき液を供給できる部分にのみに部分めっきを施すことができるのである。なお、この場合にも、上述したアイランド形成用ベルトと同様に構成できることは無論である。
【0032】
以上、本発明に係る部分めっき装置、本発明に係る部分めっき方法、および、本発明に係る部分めっき用ベルトについて説明したが、これらはその一例として説明されているに過ぎず、とりわけ部分めっき用ベルトを自在設計することができ、そして、当該部分めっき用ベルトの組合せもまた自在設計できるため、本発明に係る部分めっき方法および部分めっき装置もまた自在に設計できるなど、本発明要旨の範囲内において様々に設計変更することができるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1(a)は、部分めっき用ベルトの代表的な一使用状態を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線に沿った断面図である。なお、図面中、塗りつぶした部分が部分めっきされる領域であり、また、各部材の厚さなどは、理解を容易にするため誇張して図示されている。以下の図面も同様である。
【図2】図2は、部分めっき用ベルトの間に被めっき物(金属薄板片)を面密着した状態に挟持してめっき液内に浸漬する際の様子を模式的に示す斜視図である。部分めっき用ベルトは、個々の最終製品1個1個と対応するマスキング用磁性体シートがセグメント方式で配置されているため、マスキング用磁性体シート単位で折り曲げて渦巻き状になっている。なお、最終製品の形状によっては、複数個の最終製品を含む単位のマスキング用磁性シートとして使用する場合がある。
【図3】図3は、ストライブめっきする時の一状態を説明するために模式的に示す要部斜視図である。
【図4】図4(a)は、部分めっきする時の様子を説明するために模式的に示す要部分解斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A線に沿った断面図である。
【図5】図5(a)は、他の部分めっき方法を実施するために使用する部分めっき用ベルトを模式的に示す要部分解斜視図であり、図5(b)は、図5(a)のA−A断面に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0034】
5 … 被めっき物(金属薄板片)
10 … 部分めっき用ベルト
10a… 部分めっき用ベルト
10b… 部分めっき用ベルト
10c… 磁性金属薄板ベルト
10c’… 磁性金属薄板片
10d… 部分めっき用ベルト
10e… 部分めっき用ベルト
11 … 開口
13 … マグネットシート
14 … 軟質エラストマー被膜層
14’… 凹部
15 … マスキング用磁性体シート
15’… マスキング用磁性体シート
17 … 軟質のベーステープ
18 … アイランド用マスク(メッシュのベーステープ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂をバインダーに用いて磁気粉末を配向分散して形成されたマグネットシートに軟質エラストマー被膜層を備えてなるマスキング用磁性体シートの複数を、ベーステープ上に僅かな幅で離間させて配し接合して部分めっき用ベルトを構成し、所定のマイナス電位が付加された金属薄板片を前記部分めっき用ベルトの磁力によって当該部分めっき用ベルト間に挟んだ状態を維持したままめっき液の中に浸漬してまたはめっき液を吹き付けて、当該金属薄板片表面のうち前記部分めっき用ベルトで覆われていない部分に対して部分めっきを施すことを特徴とする部分めっき方法。
【請求項2】
前記部分めっき用ベルトが、前記軟質エラストマー被膜層の磁着面側に所望する所定形状の凹凸形状が形成された平ベルト、孔付加工された平ベルト、または、前記軟質エラストマー被膜層の磁着面側に所望する所定形状の凹凸形状が形成されかつ孔付加工された平ベルトのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の部分めっき方法。
【請求項3】
前記部分めっき用ベルトの一方が、エラストマー被膜層を備えた磁性金属薄板ベルト、または、エラストマー被膜層を備え磁着面側に所望する所定形状の凹凸形状が形成された磁性金属薄板ベルトのいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の部分めっき方法。
【請求項4】
合成樹脂をバインダーに用いて磁気粉末を配向分散して形成されたマグネットシートに軟質エラストマー被膜層を備えてなるマスキング用磁性体シートの複数が、ベーステープ上に、僅かな幅で離間した状態で接合されている部分めっき用ベルトであって、
該部分めっき用ベルトは、平ベルト同士の対、平ベルトと孔付加工された平ベルトとの組、孔付加工された平ベルト同士の対、または、平ベルトもしくは孔付加工された平ベルトとエラストマー被膜層を備えた磁性金属薄板ベルトとの組のうちのいずれかとして組合せ使用され、
これら対の部分めっき用ベルトの間に、所定のマイナス電位が付加された金属薄板片を磁力によって挟んだ状態を維持したままめっき液の中に浸漬してまたはめっき液を吹き付けて、前記金属薄板片の表面のうち前記部分めっき用ベルトで覆われていない部分だけに部分めっきが施されることを特徴とする部分めっき用ベルト。
【請求項5】
前記部分めっき用ベルトの一方が、エラストマー被膜層を備えた磁性金属薄板ベルト、または、磁着面側に凹凸形状が形成されたエラストマー被膜層を有する磁性金属薄板ベルトであることを特徴とする請求項4記載の部分めっきベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−56959(P2008−56959A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233086(P2006−233086)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(591104697)株式会社平井精密 (3)
【出願人】(506294853)
【Fターム(参考)】