説明

部品供給装置

【課題】 より短時間で正確な動作のもとに部品供給を行い、同時に、溶接装置用供給ユニットと有機的な関係をもって動作する部品供給装置を提供する。
【解決手段】 部品1を送出する供給通路6と複数の分配通路7,8との間に相対的変位を付与して、いずれかの分配通路7,8に部品1を移送する形式のものにおいて、供給通路6に部品1を分配通路7または8の所定位置まで移送する空気噴射用の予備噴射口31が設けられ、分配通路7,8に部品1を目的箇所まで送給する空気噴射用の主噴射口33,34が設けられ、所定位置は主噴射口33,34よりも後流側の位置とされ、部品1が所定位置に到達後主噴射口33,34から空気噴射を行わせる制御装置54が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の分配通路のいずれかに部品を供給する部品供給装置に関しているとともに、この分配通路に連通している溶接装置用供給ユニットと有機的な関係をもって動作する部品供給装置に関している。
【背景技術】
【0002】
2本の分配通路に対して1本の供給通路を選択的に移動させ、いずれかの分配通路に部品を供給するものが、特開平5−104339号公報に開示されている。そして、前記供給通路には部品を搬送する空気供給口が設けられている。
【特許文献1】特開平5−104339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献1に開示されている技術は、供給通路から選択された分配通路に空気搬送で部品を送給するものであるが、分配通路から目的箇所へ部品をより短時間で到達させる点に関しては、何の技術的配慮もなされていない。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、より短時間で正確な動作のもとに部品供給を行うことができる部品供給装置を提供することを目的とする。同時に、溶接装置用供給ユニットと有機的な関係をもって動作する部品供給装置を提供することを目的とする。
【問題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、部品を1つずつ送出する供給通路と複数の分配通路との間に相対的変位を付与して、前記供給通路からいずれかの分配通路に部品を移送して目的箇所へ供給する形式のものにおいて、前記供給通路に部品を前記分配通路の所定位置まで移送する空気噴射用の予備噴射口が設けられているとともに、分配通路に部品を目的箇所まで送給する空気噴射用の主噴射口が設けられ、前記所定位置は前記主噴射口よりも後流側の位置とされ、部品が所定位置に到達後主噴射口から空気噴射を行わせる制御装置が設けられていることを特徴とする部品供給装置である。
【発明の効果】
【0006】
前記予備噴射口からの噴射空気によって、供給通路内の部品が、分配通路内の所定位置すなわち主噴射口の後流側の位置に短時間でしかも確実に移送され、その後、主噴射口からの噴射空気によって目的箇所へ送給される。したがって、予備噴射口からの噴射空気による所定位置への部品移送と、それに続く主噴射口からの噴射空気による部品移送を、途切れることなく連続して行うことができるので、供給通路から目的箇所までの部品移送時間が短縮されたものとなる。
【0007】
さらに、供給通路から分配通路へ部品が移行すれば、直ちに供給通路と複数の分配通路との間に相対的変位を付与して、つぎの分配通路を選択することができる。このような動作は、分配通路に主噴射口が配置されているので、分配通路が選択動作中であっても主噴射口からの空気噴射で目的箇所への部品送出がなされるのである。つまり、分配通路の前記相対的変位の動作と主噴射口からの空気噴射が並行して同時に進行し、それによって時間短縮や確実な部品移送が可能となる。換言すると、供給通路から分配通路をへて目的箇所に部品が到達してから、つぎの分配通路に供給通路を接続するというような効率の悪い動作を回避することができるのである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記分配通路に連通している目的箇所は、部品を複数の溶接装置のいずれかに供給する複数の供給ユニットであり、いずれかの前記供給ユニットに部品供給動作を行わせることによって得られる信号を前記制御装置に入力して供給通路と複数の分配通路との間で相対的変位を行わせ、部品供給動作を行った供給ユニットに連通している分配通路に対して供給通路から優先的に部品を移送するように構成した請求項1記載の部品供給装置である。
【0009】
複数の供給ユニットのうちある供給ユニットがある溶接装置に対して部品供給動作を行ったときには、この溶接装置が次々と部品供給を受けて継続的に溶接動作をする場合がある。このような場合に備えて、特定の供給ユニットを連続的に動作させて、特定の溶接装置に対する部品供給が途絶えないようにする必要がある。つまり、特定の供給ユニットに優先的に部品供給を行って、溶接効率を向上させる場合がある。
【0010】
すなわち、特定の供給ユニットが部品供給動作を行うことによって得られる信号を前記制御装置に入力して供給通路と複数の分配通路との間で相対的変位を行わせ、前記特定の供給ユニットに連通している分配通路に対して供給通路から優先的に部品を移送する。したがって、特定の溶接装置が連続的に溶接動作を継続する場合に備えて、効率的な部品供給が実現する。例えば、1つの溶接装置には板厚0.6mmの鋼板部品が供給され、他の溶接装置には板厚0.5mmの鋼板部品が供給されるような場合、生産管理の関係で、板厚0.6mmの鋼板部品が所定数量連続した後に、板厚0.5mmの鋼板部品に切り換えられることがある。このような場合においてアイドルタイムの少ない溶接装置の稼動が実現する。他方、溶接装置毎に作業者が携わるようになっている場合には、作業者が自己の供給ユニットを動作させると、その供給ユニットに対して優先的に部品が供給されるので、作業者の待ち時間を短縮して作業効率を向上させることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記供給通路は静止状態で配置され、前記複数の分配通路は供給通路に対して相対的変位をするように構成した請求項1または請求項2記載の部品供給装置である。
【0012】
前記分配通路を移動させていずれかの分配通路を供給通路に連通させるので、確実な選択動作がえられる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記分配通路は静止状態で配置され、前記供給通路は分配通路に対して相対的変位をするように構成した請求項1または請求項2記載の部品供給装置である。
【0014】
前記供給通路を移動させていずれかの分配通路に供給通路を連通させるので、確実な選択動作がえられる。
【0015】
請求項5記載の発明は、部品を1つずつ送出する供給通路と複数の分配通路との間に相対的変位を付与して、前記供給通路からいずれかの分配通路に部品を移送して目的箇所へ供給する形式のものにおいて、前記供給通路に部品を前記分配通路の所定位置まで移送することのできる下り傾斜が設けられているとともに、分配通路に部品を目的箇所まで送給する空気噴射用の主噴射口が設けられ、前記所定位置は前記主噴射口よりも後流側の位置とされ、部品が所定位置に到達後主噴射口から空気噴射を行う制御装置が設けられていることを特徴とする部品供給装置である。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記供給通路に、部品を前記分配通路の所定位置まで移送することのできる下り傾斜が設けられている点が、請求項1記載の発明に対して異なっている。
【0017】
したがって、供給通路に十分な勾配の下り傾斜を付与することができる場合には、前述のような予備噴射口を設ける必要がなく、構造簡素化の面で効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、本発明の部品供給装置を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0019】
この実施例において供給される部品としては、四角いプロジェクションナット、孔あきディスタンスピースおよびハット型の鋼板部品など種々なものがあるが、ここでは図4に示す円形のプロジェクションナット1である。ナット本体2が円形でその片側に円形のフランジ3が形成され、このフランジ3の表面に溶着用突起4が設けられている。そして、ねじ孔5はナット本体2の中央部に設けられている。以下、このプロジェクションナットを、単にナットと記載する場合もある。なお、図1には溶着用突起4の図示を省略している。また、図2は、図1の(2)矢視図である。
【0020】
この実施例は、パーツフィーダから供給されたプロジェクションナット1を1つの供給通路6から1つずつ送出して2つの分配通路7,8のいずれかに送り込み、その後、目的箇所である供給ユニット9または10に供給するものである。そして、これらの供給ユニット9,10はそれぞれ溶接装置11および12にナット1を供給するようになっている。
【0021】
前記供給通路6は、ステンレス鋼製の矩形断面をした供給管6Aによって形成され、また、前記分配通路7,8は、ステンレス鋼製の矩形断面をした分配管7A,8Aによって形成されている。そして、供給通路6はパーツフィーダ13からのナット1を受け入れるようになっている。
【0022】
床面14から起立している支柱15に傾斜させた基板16が固定され、この静止部材である基板16に支持部材17を介して供給管6Aが固定されている。供給管6Aには、図1の右側が低くなった傾斜が付与されている。供給通路6には多数のナット1が整列状態になっており、この列から1つずつ送出する送出機構18が設けられている。
【0023】
前記送出機構18は、先頭と2番目のナット1をそれぞれ制止しておき、先頭のナット1の制止を解除し送出してから、2番目のナット1を先頭位置に制止させる。そして、2番目のナット1を制止して1番目のナット送出に備えるものである。したがって、先頭のナット1を制止する制止部材19がナット本体2の前側を制止し、2番目のナット1を制止する制止部材20がねじ孔5内に進入するようになっている。各制止部材19,20は、供給通路6内に突出したり後退したりするものであり、ここでは供給管6Aに固定したエアシリンダ21,22のピストンロッドによって構成されている。エアシリンダ21,22に換えて電磁ソレノイドや進退出力をする電動モータを採用してもよい。
【0024】
したがって、制止部材19が後退すると先頭のナット1が1つだけ送出される。その後、制止部材19が元の位置に突出してから、他の制止部材20が後退すると、2番目のナット1が移動して先頭位置に停止する。その後、2番目の位置にナット1が移動してきたら、制止部材20がねじ孔5内に進入する。上述のナット移動は、供給管6Aが傾斜させてあるので、ナット1が傾斜面を滑降することによって行われる。
【0025】
前記分配管7A,8Aは図2に示すように、連結板24に溶接またはボルト付けによって結合して平行に配置してある。分配通路7,8の長手方向(移送方向)に直角に食い違った状態でガイドレール25が配置されている。このガイドレール25は基板16に固定され、それを跨ぐような状態で2つのスライダ26,27がガイドレールに組み付けられ、これらのスライダ26,27は結合板24の下面にボルト付けなどで固定されている。
【0026】
静止部材に固定されたエアシリンダ28のピストンロッド29が結合板24に固定されている。このピストンロッド29の進退方向はガイドレール25の長手方向と平行になっている。
【0027】
したがって、エアシリンダ28が進退動作をすると、2つの分配管7A,8Aは供給管6Aに対して相対的変位を行う。この相対的変位によって分配管7A,8Aのいずれかが供給管6Aに連通する。
【0028】
前記送出機構18からナット1を1つずつ分配管7A,8Aへ送出するために、前記供給管6Aの傾斜を利用するのであるが、さらに確実な手法として空気噴射を利用することが望ましい。すなわち、先頭のナット1に圧縮空気が吹き付けられる位置に予備噴射口31を開口させてある。この予備噴射口31に連通する空気管32が供給管6Aの外側面に溶接されている。予備噴射口31から噴射された空気によって、先頭のナット1を分配管7A,8Aの後述する所定位置まで確実に移送する。
【0029】
分配管7A,8Aには主噴射口33,34が開口させてあり、これらに連通する空気管35,36が分配管7A,8Aの外側面に溶接されている。なお、予備噴射口31,主噴射口33,34は図1に示すように、斜め前方に向かって開口させて、ナット1に対する送出力を十分に発揮するようになっている。
【0030】
分配管7A,8Aの前記所定位置は、図1に2点鎖線で示したナット位置のように、主噴射口33,34の後流側の位置であり、できるだけ主噴射口33,34に近い箇所とするのが望ましい。
【0031】
各分配管7A,8Aにはそれぞれ供給ホース37,38が接続され、その他端は供給ユニット9,10に連通している。供給ホース37,38は断面矩形であり、ウレタン樹脂や塩化ビニールなどの柔軟性のある合成樹脂で作られている。
【0032】
2つの供給ユニット9,10は同一の構造なので、供給ユニット9についてのみ説明する。進退式の供給ロッド39にはねじ孔5内に串差し状に進入するガイドロッド40が設けられ、供給ロッド39は外筒41内に摺動可能な状態で配置されている。外筒41にエアシリンダ42が取付けられ、その進退出力で供給ロッド39を進退させるようになっている。外筒41の端部にナット1を一時係止するガイド板43が結合され、そこに埋設した永久磁石44でナット1の位置決めと一時係止を行っている。したがって、ナット1が到達する目的箇所は厳密にいうと、ガイド板43である。なお、前記エアシリンダ42と同様な供給ユニット10側のエアシリンダは、符号53で示されている。
【0033】
各供給ユニット9,10と対をなす溶接装置11と12は同じ構造である。溶接装置11,12は、電気抵抗溶接装置であり、固定電極45,46上に鋼板部品47,48が載置され、その上に供給されたナット1が可動電極49,50による加圧と溶接電流の通電によって鋼板部品47,48に溶接される。そして、鋼板部品47が厚さ0.6mmであり、鋼板部品48が厚さ0.5mmである。なお、各固定電極45,46には鋼板部品47,48とナット1の位置決めをするガイドピン51,52が設けられている。
【0034】
したがって、送られてきたナット1はガイド板43に一時係止され、そこへ進出してきた供給ロッド39によって鋼板部品47,48上に供給される。
【0035】
つぎに、装置全体を動作させるシステムについて説明する。
【0036】
動作システムは通常のシーケンス回路によって簡単に実施することができる。制御装置54には各部からの信号が入力され、それを処理して動作信号として出力する通常のもので、シーケンス動作制御装置や簡単なコンピュータ装置で実施することができる。なお、図示の都合で各供給ユニット9,10に付属した状態で制御装置54が合計3箇所に図示してあるが、実際には1箇所の制御装置54として存在している。
【0037】
予備噴射口31や主噴射口33,34に噴射空気を供給したり、図示していないが各エアシリンダ21,22,28および供給ユニット9,10のエアシリンダ42,53などに動作空気を供給したりするために、空気切換弁55が設けられている。この空気切換弁55は、制御装置54からの動作信号で切り換え動作を行うようになっている。なお、図示の都合で各供給ユニット9,10やエアシリンダ28に付属した状態で切換弁55が都合4箇所に図示してあるが、実際には1箇所の空気切換弁55として存在している。
【0038】
制御装置54への各種信号はエアシリンダに取付けたセンサーからのものが主になっている。制止部材19の後退動作で信号を発するセンサー56がエアシリンダ21に取付けられ、これからの信号が制御装置54に入力される。制止部材19の制止機能が解除された時点で予備噴射口31から空気噴射がなされ、それから所定時間を経過した時点で空気切換弁55に動作信号が入力されて、主噴射口33または34から空気噴射がなされる。したがって、制御装置54内にはタイマーが内蔵されている。このタイマーで所定時間が計時されると、その時点では送出されたナット1が図1の2点鎖線で示すように、主噴射口33または34の後流側の前記所定位置にきている。このナット1に対して主噴射口33または34から空気噴射がなされて、ナット1は供給ユニット9または10に供給される。
【0039】
あるいは、主噴射口33または34の後流側の所定位置にきたナット1を、分配管7A,8Aに取付けたセンサー57で検出し、この検出信号をトリガーにして主噴射口33または34から空気噴射を行うようにしてもよい。この場合には、前記タイマーは使用しない。
【0040】
予備噴射口31からの空気噴射によって、1つのナット1が確実に主噴射口33または34の後流側に移送され、それに引き続いて主噴射口33または34から空気噴射がなされる。したがって、ナット1は供給通路6から分配通路7または8へ確実に移送され、しかも分配通路7または8から、目的箇所である供給ユニット9または10に対して確実に供給され、装置としての動作信頼性が向上する。
【0041】
前記主噴射口33または34からの空気噴射は、図2に示すような供給管6Aと分配管7Aが合致している状態から分配管7Aがエアシリンダ28によって相対的変位を行う時期に関連して行われる。つまり、この相対的変位が開始される前に上記主噴射口からの空気噴射が行われる場合、相対的変位の開始と同時に上記主噴射口からの空気噴射が行われる場合、あるいは相対的変位が開始された後に上記主噴射口からの空気噴射が行われる場合などである。最も時間短縮となるのは、ナット1が分配通路7の所定位置に達したら直ちに主噴射口33から空気噴射を行うとともに、分配管7A,8Aをガイドレール25に沿って移動させる動作形態である。このような動作によって、エアシリンダ28による前記相対的変位を行うことと、主噴射口33からの空気噴射とが並行して同時進行の形で実行されるので、いわゆるアイドルタイムが最小化されるのである。
【0042】
供給通路6からの1つのナット1は、供給管6Aに対していずれかの分配管7Aまたは8Aが合致してから移送される。このようにエアシリンダ28の動作で供給管6Aと分配管7A,8Aとの間に相対的変位を行わせるために、起動スイッチ58,59が供給ユニット9,10毎に配置され、この起動スイッチ58または59を閉じることによって制御装置54から動作信号が発せられて空気切換弁55からエアシリンダ42または53に作動空気が供給される。
【0043】
各エアシリンダ42,53には、供給ユニット9,10がナット供給動作を行ったことを検出するセンサー60,61が取付けられている。このセンサー60,61からの信号が制御装置54に入力されると、制御装置54からの動作信号で空気切換弁55が駆動されて、エアシリンダ28が動作する。このエアシリンダ28の動作で図2に示す分配管8Aが平行移動をして供給管6Aと合致する。
【0044】
作業者は、溶接装置11,12毎に配置されているか、または一人の作業者が2つの溶接装置11,12を操作するように配置されている。図2の状態で片方の起動スイッチ58が作業者によって閉じられると、センサー60からの信号でエアシリンダ28は停止したままで供給ユニット9の方ヘナット供給を継続するように、制御装置54の動作出力が編成されている。この状態で予備噴射口31から空気噴射がなされ、その後、主噴射口33から空気噴射がなされる。
【0045】
一方、作業者が他方の起動スイッチ59を閉じると、センサー61からの信号でエアシリンダ28が駆動され、分配管8Aが平行移動をして供給管6Aに合致するように、制御装置54の動作出力が編成されている。この合致状態で予備噴射口31から空気噴射がなされ、その後、主噴射口34から空気噴射がなされて、今度は、ナット1が供給ユニット10側に供給される。したがって、供給動作を行った供給ユニットからの信号でその供給ユニットに対して優先的にナット供給が行われる。
【0046】
上述の実施例においては各種のエアシリンダが採用されているが、これに換えて進退出力をする電動モータを採用してもよい。
【0047】
図3は、供給通路と分配通路との組合せの変形例を示す。
【0048】
図3(A)は、図2の場合とは逆の例であり、分配管7A,8Aが静止部材に固定され、供給管6Aがエアシリンダ28によって選択動作を行うものである。
【0049】
図3(B)は、同図(A)のものがダブルタイプになったものである。すなわち、供給管6Aは2本1組とされ、同様に分配管7A,8Aも2本1組になっている。
【0050】
図3(C)は、1つの供給管6Aに対して5つの分配管7A,8Aが対応するものであり、5つの分配管は回転式のターンテーブル62に取り付けられている。
【0051】
上述の実施例の作用効果を列記すると、つぎのとおりである。
【0052】
前記予備噴射口31からの噴射空気によって、供給通路6内のボルト1が、分配通路7または8内の所定位置すなわち主噴射口33または34の後流側の位置に短時間でしかも確実に移送され、その後、主噴射口33または34からの噴射空気によって目的箇所へ送給される。したがって、予備噴射口31からの噴射空気による所定位置へのナット移送と、それに続く主噴射口33または34からの噴射空気によるナット移送を、途切れることなく連続して行うことができるので、供給通路6から供給ユニット9または10までのナット移送時間が短縮されたものとなる。
【0053】
さらに、供給通路6から分配通路7または8へナット1が移行すれば、直ちに供給通路6と複数の分配通路7,8との間に相対的変位を付与して、つぎの分配通路7または8を選択することができる。このような動作は、分配通路7,8に主噴射口33,34が配置されているので、分配通路7,8が選択動作中であっても主噴射口33,34からの空気噴射で供給ユニット9,10へのナット送出がなされるのである。つまり、分配通路7,8の前記相対的変位の動作と主噴射口33,34からの空気噴射が並行して同時進行を行い、それによって時間短縮や確実なナット移送が可能となる。換言すると、供給通路6から分配通路7,8をへて供給ユニット9,10にナット1が到達してから、つぎの分配通路7,8に供給通路6を接続するというような、効率の悪い動作を回避することができるのである。
【0054】
前記分配通路7,8に連通している目的箇所は、ナット1を2つの溶接装置11,12のいずれかに供給する複数の供給ユニット9,10であり、いずれかの前記供給ユニット9または10にナット供給動作を行わせることによって得られる信号を前記制御装置54に入力して供給通路6と2つの分配通路7,8との間で相対的変位を行わせ、ナット供給動作を行った供給ユニット9または10に連通している分配通路7または8に対して供給通路6から優先的にナット1を移送するように構成した。
【0055】
2つの供給ユニット9または10のうちある供給ユニット9または10がある溶接装置11または12に対してナット供給動作を行ったときには、この溶接装置11または12が次々とナット供給を受けて継続的に溶接動作を継続する場合がある。このような場合に備えて、特定の供給ユニット9または10を連続的に動作させて、特定の溶接装置11または12に対するナット供給が途絶えないようにする必要がある。つまり、特定の供給ユニット9または10に優先的にナット供給を行って、溶接効率を向上させる場合がある。
【0056】
すなわち、特定の供給ユニット9または10がナット供給動作を行うことによって得られる信号を前記制御装置54に入力して供給通路6と2つの分配通路7,8との間で相対的変位を行わせ、前記特定の供給ユニット9または10に連通している分配通路7または8に対して供給通路6から優先的にナット1を移送する。したがって、特定の溶接装置11または12が連続的に溶接動作を継続する場合に備えて、効率的なナット供給が実現する。例えば、1つの溶接装置11には板厚0.6mmの鋼板部品47が供給され、他の溶接装置12には板厚0.5mmの鋼板部品48が供給されるような場合、生産管理の関係で、板厚0.6mmの鋼板部品47が所定数量連続した後に、板厚0.5mmの鋼板部品48に切り換えられることがある。このような場合においてアイドルタイムの少ない溶接装置の稼動が実現する。他方、溶接装置11,12毎に作業者が携わるようになっている場合には、作業者が供給ユニット9または10を動作させると、その供給ユニット9または10に対して優先的にナット1が供給されるので、作業者の待ち時間を短縮して作業効率を向上させることができる。
【0057】
前記供給通路6は静止状態で配置され、前記2つの分配通路7,8は供給通路6に対して相対的変位をするように構成した。
【0058】
前記分配通路7,8を移動させていずれかの分配通路7または8を供給通路6に連通させるので、確実な選択動作がえられる。
【0059】
前記分配通路7,8は静止状態で配置され、前記供給通路6は分配通路7,8に対して相対的変位をするように構成した。
【0060】
前記供給通路6を移動させていずれかの分配通路7または8に供給通路6を連通させるので、確実な選択動作がえられる。
【0061】
部品を1つずつ送出する供給通路と複数の分配通路との間に相対的変位を付与して、前記供給通路からいずれかの分配通路に部品を移送して目的箇所へ供給する形式のものにおいて、前記供給通路に部品を前記分配通路の所定位置まで移送することのできる下り傾斜が設けられているとともに、分配通路に部品を目的箇所まで送給する空気噴射用の主噴射口が設けられ、前記所定位置は前記主噴射口よりも後流側の位置とされ、部品が所定位置に到達後主噴射口から空気噴射を行う制御装置が設けられていることを特徴とする部品供給装置である。
【0062】
この発明は、前記供給通路6にナット1を前記分配通路7または8の所定位置まで移送することのできる下り傾斜が設けられている点が、請求項1記載の発明に対して異なっている。
【0063】
したがって、供給通路6に十分な勾配の下り傾斜を付与することができる場合には、前述のような予備噴射口31を設ける必要がなく、構造簡素化の面で効果的である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上述のように、本発明によれば、供給通路の部品を確実に分配通路へ移行させ、その後、主噴射口からの空気噴射で目的箇所へ供給するものである。したがって、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの部品供給において広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】部品供給装置全体を示す縦断側面図である。
【図2】図1の(2)矢視図である。
【図3】供給通路と分配通路の配置例を示す簡略的な平面図である。
【図4】プロジェクションナットの立体図である。
【符号の説明】
【0066】
1 プロジェクションナット
5 ねじ孔
6 供給通路
7 分配通路
8 分配通路
9 供給ユニット
10 供給ユニット
11 溶接装置
12 溶接装置
31 予備噴射口
33 主噴射口
34 主噴射口
54 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を1つずつ送出する供給通路と複数の分配通路との間に相対的変位を付与して、前記供給通路からいずれかの分配通路に部品を移送して目的箇所へ供給する形式のものにおいて、前記供給通路に部品を前記分配通路の所定位置まで移送する空気噴射用の予備噴射口が設けられているとともに、分配通路に部品を目的箇所まで送給する空気噴射用の主噴射口が設けられ、前記所定位置は前記主噴射口よりも後流側の位置とされ、部品が所定位置に到達後主噴射口から空気噴射を行わせる制御装置が設けられていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記分配通路に連通している目的箇所は、部品を複数の溶接装置のいずれかに供給する複数の供給ユニットであり、いずれかの前記供給ユニットに部品供給動作を行わせることによって得られる信号を前記制御装置に入力して供給通路と複数の分配通路との間で相対的変位を行わせ、部品供給動作を行った供給ユニットに連通している分配通路に対して供給通路から優先的に部品を移送するように構成した請求項1記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記供給通路は静止状態で配置され、前記複数の分配通路は供給通路に対して相対的変位をするように構成した請求項1または請求項2記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記分配通路は静止状態で配置され、前記供給通路は分配通路に対して相対的変位をするように構成した請求項1または請求項2記載の部品供給装置。
【請求項5】
部品を1つずつ送出する供給通路と複数の分配通路との間に相対的変位を付与して、前記供給通路からいずれかの分配通路に部品を移送して目的箇所へ供給する形式のものにおいて、前記供給通路に部品を前記分配通路の所定位置まで移送することのできる下り傾斜が設けられているとともに、分配通路に部品を目的箇所まで送給する空気噴射用の主噴射口が設けられ、前記所定位置は前記主噴射口よりも後流側の位置とされ、部品が所定位置に到達後主噴射口から空気噴射を行う制御装置が設けられていることを特徴とする部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−320769(P2007−320769A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183865(P2006−183865)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000196886)
【Fターム(参考)】