説明

部品供給装置

【課題】多種多様の部品に対して専用治具や専用ハンドを設計することなく、バラ積み状態の部品を整列可能な部品供給装置を得る。
【解決手段】バラ積み状態の部品Pを所定姿勢に振り分ける手段と、振り分けられた部品Pを認識するために部品が設置される仮置き台150と、仮置き台150に設置された部品Pの位置姿勢を平面的に認識する2Dビジョンセンサ140と、2Dビジョンセンサ140の認識結果に基づいて仮置き台150上の部品Pの位置姿勢を変更させて整列させるための複数の垂直多関節型ロボット110、120、130と、複数の垂直多関節型ロボットにより整列された部品Pが載置される整列パレット160とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バラ積み供給された部品を整列させるロボットシステムからなる部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品の製造および組立を自動化する際には、何らかの手段により製品を構成する部品(パーツ)を特定の位置姿勢に調整する必要がある。そのためには、作業者が部品をバラ積み状態で供給したものを自動整列できることが望ましい。
そのための手段として、従来から、パーツフィーダと呼ばれる専用の部品整列装置が広く使われている。
【0003】
しかしながら、パーツフィーダは、異なる対象部品ごとに専用に設計されることから、汎用性がなく、加えて設計期間が長く、値段も高く、動作中に振動および騒音が発生するという問題点があった。
また、対象部品が複雑な形状を有する場合には、動作中にチョコ停と呼ばれる一時的な動作停止が多発するので、パーツフィーダによる部品整列が実質的に困難になるという問題点もあった。
【0004】
そこで、上記パーツフィーダの問題点を解消するための手法として、バラ積み状態の部品を、なんらかの機構を用いて、ある程度バラけた状態に変化させた後、ビジョンセンサを用いて好ましい向きを取っている部品のみを認識して姿勢補正を行い、部品供給を行う技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
また、他の手法として、バラ積み状態の部品の位置姿勢を認識し、必要に応じて向きを変更して仮置きした後、必要に応じて向きを変更して整列させる技術も知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−127698号公報
【特許文献2】特開2011−685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の部品供給装置は、特許文献1に記載の技術では、好ましい向きの部品を十分に供給可能にする必要があるので、安定した向きが多く存在する多面体の部品や、整列に好ましい向きを取り難い部品を整列対象とした場合には、多くの部品を投入するために、多くの在庫をかかえる必要があるうえ、好ましい向きを取る部品が現れるまでの時間が長くなる可能性が高いという課題があった。
【0007】
一方、特許文献2に記載の技術では、立方体の部品を仮定しているので、平面状の部品や、さらに複雑な形状の部品には対応できないという課題があった。
また、整列を失敗させるような大きな誤差を吸収するために、部品に特化した専用ハンドを使用しており、複数種類の部品を同じハンドで整列することができないので、部品数に対応した多数のハンドが必要となり、ハンド切替時間およびハンド仮置き場所などが多大となるうえ、部品ごとにハンドを設計し直さなければならないという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ビジョンセンサと、複数の垂直多関節型ロボットとを用いて部品をハンドリングすることにより、多種多様の部品に対しても専用治具や専用ハンドを設計する必要がなく、バラ積み状態の部品を自動的に整列することのできる部品供給装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る部品供給装置は、バラ積み状態の部品を所定姿勢に振り分ける手段と、振り分けられた部品を認識するために部品が設置される仮置き台と、仮置き台に設置された部品の位置姿勢を平面的に認識する2Dビジョンセンサと、2Dビジョンセンサの認識結果に基づいて仮置き台上の部品の位置姿勢を変更させて整列させるための複数の垂直多関節型ロボットと、複数の垂直多関節型ロボットにより整列された部品が載置される整列パレットとを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ビジョンセンサで部品の位置姿勢を認識した後に、複数のロボットで部品を受け渡しながらパイプライン処理でハンドリングすることにより、バラ積み状態の部品を整列させることができる。
また、複雑な形状の部品が整列対象である場合でも、整列処理のサイクルタイムが延びることがなく、作業時間を短縮することができる。さらに、部品ごとの専用ハンドを必要としないので、ハンドのコスト削減、ハンド設計時間の短縮、ハンド仮置き場所の削減、生産機種切替処理の迅速化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る部品供給装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態2による部品受け渡し状態を模式的に示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態4による複数爪を装着したハンドの状態を模式的に示す斜視図である。
【図4】図3のハンドを用いた部品の受け渡し状態を模式的に示す斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態11による部品の整列状態を模式的に示す斜視図である。
【図6】図5の部品の受け渡し状態を模式的に示す斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態12による平面上で姿勢が有限個に定まらない部品を模式的に示す平面図である。
【図8】この発明の実施の形態12による治具を模式的に示す平面図である。
【図9】この発明の実施の形態13により認識される仮置き台上の部品を模式的に示す平面図および側面図である。
【図10】この発明の実施の形態17で用いられる90°反転治具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について具体的に説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る部品供給装置の全体構成を示すブロック図である。
【0013】
図1において、作業空間に設置されたロボット110、120、130は、それぞれ、広く普及している垂直多関節型ロボットからなり、各先端部に平行チャックハンドからなるハンド210、220、230を有している。以下、垂直多関節型ロボット110、120、130を、単に「ロボット110、120、130」ともいう。
【0014】
部品供給部190上には供給対象となる部品Pが山積みされており、仮置き台150上には、部品供給部190から移送された部品Pが設置される。
ロボット110、120、130は、仮置き台150上の部品Pを整列パレット160に整列配置する。
【0015】
作業空間の上部には、2Dビジョンセンサ140が設置されている。
2Dビジョンセンサ140は、広く普及しているものであり、仮置き台150上に置かれた部品Pを撮像して、各部品Pの位置姿勢を認識する。
【0016】
3Dビジョンセンサ180を先端部に有するロボット170は、部品供給部190上にバラ積みされた部品Pを、3Dビジョンセンサ180で認識して仮置き台に供給する。
図1の部品供給装置は、システム全体として、部品供給部190に山積みされた部品Pを、整列パレット160上に整列させる作業を行う。整列パレット160上に整列された部品Pは、後工程(図示せず)へと供給されることになる。
【0017】
なお、この発明は、仮置き台150上に置かれた位置姿勢が不定の部品Pを整列パレット160に整列させる作業の自動化を主眼としているので、部品供給部190から仮置き台150への部品供給については詳述を省略する。
【0018】
次に、図1に示した部品供給装置の全体動作について説明する。
まず、3Dビジョンセンサ180は、部品供給部190にバラ積み供給された部品Pの認識を行い、認識された部品Pの、把持可能な部品Pの一部分(たとえば、耳のように突き出た部分、または、そのような形状になっていると推定できる部分)の位置姿勢を、ひとつに絞り込む。
【0019】
次に、3Dビジョンセンサ180により認識した部品Pの位置姿勢と、ロボット170のハンド270の爪の位置姿勢とが一致するように、ロボット170を動作させた後に、ロボット170のハンド270の爪を閉じて部品Pを把持させる。
続いて、ロボット170は、部品供給部190から部品Pを取り出して仮置き台150の上方で爪を開き、部品Pを仮置き台150に転がすことにより、部品Pを仮置き台150上に置く。
【0020】
この結果、部品Pは、何通りかの安定状態のうちの1つの姿勢で、仮置き台150上で静定する。
ここでは、説明を簡略化するために、仮置き台150上に置かれた部品Pが絡みや重なりを起こさない場合を例にとって説明する。以下、部品Pが絡みや重なりを起こさずに仮置き台150に置かれた状態を「単離された状態」と記すことにする。
【0021】
次に、2Dビジョンセンサ140は、仮置き台150に置かれた部品Pの位置姿勢を認識する。このとき、部品Pに複数の安定状態がある場合には、2Dビジョンセンサ140はそれらすべての安定状態に対して認識プログラムを実行し、認識結果の信頼性が最も高い安定状態の結果を全体の認識結果として採用する。
【0022】
このとき、仮置き台150の平面座標は既知であるので、2Dビジョンセンサ140により、仮置き台150上の部品Pの位置姿勢は3次元的に把握される。
たとえば、裏表が関係ない部品の場合には、安定姿勢は一通りになる。なお、円筒状の部品などのように、軸周りの角度を区別する必要がある場合には、他の実施の形態として後述する。
【0023】
以上の認識処理により、部品Pがどの安定状態で且つどの位置姿勢であるかが3次元的に把握することができる。なぜなら、仮置き台150上で部品Pが単離されているので、どの安定状態か分かれば部品Pの高さ位置が決まり、且つ姿勢ズレも平面内の回転のみだからである。
なお、平面内の部品Pの位置ズレおよび回転は、2Dビジョンセンサ140で認識することができる。
【0024】
部品Pの3次元的な位置姿勢が認識された後、ロボット110は、各安定状態に応じて、あらかじめ決められた動作で部品Pを把持し、ロボット120との間で、部品受け渡し動作を行う。
このとき、ロボット120は、2Dビジョンセンサ140で認識した部品Pの安定状態から、ロボット110がどのような動作をするのか分かるので、各安定状態に応じて、あらかじめ決められた動作で、ロボット110との部品受け渡し動作を行うことができる。
【0025】
最後に、ロボット130は、ロボット120と同様に、2Dビジョンセンサ140で認識した部品Pの安定状態から、ロボット120がどのような動作をするのか分かるので、各安定状態に応じて、あらかじめ決められた動作で、ロボット120との部品受け渡し動作を行い、さらに整列パレット160上への部品Pの整列を行う。
【0026】
ロボット110は、ロボット120への部品受け渡し後は、次の部品Pの把持に向かい、ロボット120は、ロボット130へ部品Pを受け渡し後は、次のロボット110からの部品受け渡しに備えた移動を行い、ロボット130は、部品整列後は、ロボット120からの部品受け渡しに備えた移動を行う。
【0027】
以上の部品供給処理により、各ロボット110、120、130が常に動き続けるパイプライン処理が実現されるので、部品Pの位置姿勢を複数回変更したとしても、部品Pの整列間隔は、各ロボット110、120、130の単一ロボットが部品Pを移動させる一動作のうち最長時間のもので律速されることになる。
なお、各ロボット110、120、130の動作時間は、実験的にほぼ同程度であることが観測されている。
【0028】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1)に係る部品供給装置は、バラ積み状態の部品Pを所定姿勢に振り分ける手段(ロボット170)と、振り分けられた部品Pを認識するために部品Pが設置される仮置き台150と、仮置き台150に設置された部品Pの位置姿勢を平面的に認識する2Dビジョンセンサ140と、2Dビジョンセンサ140の認識結果に基づいて仮置き台150上の部品Pの位置姿勢を変更させて整列させるための複数(3本)の垂直多関節型ロボット110、120、130と、複数の垂直多関節型ロボット110、120、130により整列された部品Pが載置される整列パレット160と、を備えている。
【0029】
これにより、バラ積み状態で供給された様々な種類の部品Pを、汎用的手段(複数の垂直多関節型ロボット)の受け渡し処理により高速に整列させることが可能となる。すなわち、整列処理時間を、各ロボット110、120、130の動作時間と同等程度の時間に抑え、部品Pの複雑さに応じてサイクルタイムが延長するという問題を回避することができる。
【0030】
また、複数の垂直多関節型のロボット110、120、130を用いて、部品Pの位置姿勢を変更させて整列させることができるので、仮置き台150に様々な形状の部品Pが様々な姿勢で設置されても、整列することができるという効果がある。
【0031】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1)では、言及しなかったが、ロボット110、120、130が部品Pを把持したときの誤差を抑制するために、各ロボット間での部品Pの受け渡し時において、たとえば図2に示すように、各ハンド210、220が、部品Pの互いに異なる複数方向から拘束するように把持してもよい。
【0032】
図2はこの発明の実施の形態2による部品受け渡し状態を模式的に示す斜視図である。なお、この発明の実施の形態2に係る部品供給装置の全体構成は、図1に示した通りである。
【0033】
まず、ロボットが部品を把持した際に発生し得る誤差について説明する。
前述の従来装置のロボットにおいては、部品を把持したときの誤差を抑制するために、あらかじめ部品ごとに適合設計された専用ハンドが広く用いられている。
【0034】
専用ハンドは、たとえば部品の形状に合わせた切り欠きやピンなどが爪に形成されており、いわゆる部品の引き込み現象によって位置姿勢を微修正することにより、部品を把持したときの誤差を抑制するようになっている。
【0035】
従来装置では、部品ごとの設計が行われることから、多種の部品を扱うには、部品が変更されるごとに、ハンドを変更するか、または、複数の爪を異なる方向に取り付け可能なタレットハンドなどを利用する必要がある。
【0036】
一般に、生産活動中のハンド変更は、ツールチェンジャと呼ばれる機器で自動化することが可能であるが、ハンド交換に多くの時間を要するうえ、生産設備のスループットが低下するという問題がある。
【0037】
また、タレットハンドを使用する場合には、ハンド全体が大きくなるうえ、様々な方向に爪が伸びることから、部品のハンドリング時に大きな姿勢変更が必要となり、狭小な空間の通過が困難になるなど、設計自由度が制限されるので、様々な問題を引き起こす可能性がある。なお、タレットハンドの利点の活用については、他の実施の形態で後述する。
【0038】
たとえば、前述の実施の形態1(図1)において、ロボットが仮置き台150上の部品Pを認識して把持する際に、手先方向に爪が伸びたハンドを用いた場合と、タレットハンドを利用した場合とを比較すると、前者(手先方向に爪が伸びている場合)では、部品Pに対して真直ぐに爪を伸ばすには、手先方向を部品Pに向ければよい。
【0039】
このとき、平面内で部品Pが回転した場合でも、ロボットの手先の軸を回転するのみで対応可能であり、並進移動時もロボットの動きが分かり易い。
つまり、ロボットが把持できる部品Pの位置姿勢が直感的に分かり易いので、ロボットの動作範囲外や想定外の軌道による干渉が起こる可能性は低い。
【0040】
一方、後者(タレットハンドを利用した場合)では、部品Pに対して真直ぐに爪を伸ばすには、ロボットの手先を斜めに傾斜させる必要がある。このように、手先が斜めを向いた状態でロボットの位置姿勢を変更するには、ロボットの各関節を大きく動かす必要があり、また、直感的には各関節がどのように動くか分かりにくい。
【0041】
この結果、センサフィードバック動作時において、ロボットの動作範囲外や想定外の軌道による干渉が起こり易くなり、場合によっては、レイアウト変更やハンドなどのハードウェアの設計変更といった手戻りが発生する可能性がある。
【0042】
そこで、この発明の実施の形態2においては、図2のように、部品Pを認識して把持した際の誤差を部品受け渡しの過程で抑制する。
図1において、2Dビジョンセンサ140による姿勢認識後に、部品Pをハンドリングする複数のロボット110、120、130は、それぞれ平行チャックハンドからなるハンド210、220、230を有し、部品Pの受け渡しにおいて、図2のように、部品Pの異なる方向から把持を行う。
【0043】
図2において、ロボット110からロボット120への受け渡しにおいて、部品Pの上方向から、ロボット110がハンド210で部品Pを把持した場合には、隣接するロボット120は、ハンド220で部品Pの横方向から部品Pの把持を行う。
【0044】
図2のような受け渡し操作により、部品Pは、2方向から拘束されて、拘束方向の誤差が抑制される。
同様に、ロボット120からロボット130への受け渡しにおいても、ハンド220とハンド230との間で、部品Pの異なる方向から把持を行うことにより、拘束方向の誤差が抑制される。
【0045】
以上のように、この発明の実施の形態2(図2)によれば、複数の垂直多関節型ロボット110、120、130のうち、少なくとも部品Pの中継を行うロボット120は、平行チャックハンドからなるハンド220を有し、平行チャックハンドは、部品Pの受け渡し時において、部品Pの互いに異なる複数方向から拘束する。
これにより、汎用的なハンド210、220、230のみで、部品Pの姿勢認識誤差および把持誤差を抑制することができ、部品Pの整列を高精度に行うことができる。
【0046】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図1、図2)では、仮置き台150から整列パレット160への部品Pの中継を行うロボット120のハンド220として、他のロボット110、130のハンド210、230と同様に、汎用の平行チャックハンドを用いたが、複数の爪を装着可能なハンド(タレットハンドなど)を用い、複数の部品の各々に対応した専用の爪を装着してもよい。
【0047】
図1に示す3本のロボット110、120、130のうち、両端のロボット110、130は、把持や整列時に姿勢の制約があるので、複数の爪を装着可能なハンド(タレットハンドなど)を使用することが困難であるが、中間に位置する部品中継用のロボット120は、ロボット110、130との部品Pの受け渡しのみを行うので、位置姿勢が取れない状況が起こる可能性は低い。
【0048】
言い換えると、ロボット間の部品受け渡しは、2つのロボットの自由度を用いて行われるので、部品Pの把持や整列と比較して2倍の自由度が利用可能なので、位置姿勢が取れない状況が起こる可能性は低い。また、各部品に対応した複数の専用の爪を用いることにより、把持時の誤差の抑制はさらに良好になる。
【0049】
以上のように、この発明の実施の形態3によれば、複数の垂直多関節型ロボットは、仮置き台150上の部品Pを把持するロボット110(第1のロボット)と、ロボット110が把持した部品Pを把持して仮置き台150から整列パレット160への部品Pの中継を行うロボット120(第2のロボット)と、ロボット120が把持した部品Pを把持して整列パレット160上に載置するロボット130(第3のロボット)とからなり、部品中継用のロボット120は、把持対象となる部品Pの種類に対応した複数の爪が取り付け可能なハンド(タレットハンドなど)を備えている。
【0050】
これにより、ロボット120が位置姿勢を実現できないという状況を起こさずに、部品Pの把持誤差を良好に抑制することができる。
また、部品Pごとに設計された専用の爪を用いることにより、部品整列の精度が向上させることができる。
【0051】
さらに、ロボット110、120の間での部品Pの受け渡し時において、2本のロボット110、120の自由度が利用可能になるので、2本目のロボット120で姿勢変更が苦手な複数爪を装着可能なハンド(タレットハンドなど)を用いても、位置姿勢の実現が不可能な事態を回避することができる。
【0052】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態3では、2本目のロボット120のハンド220として、タレットハンドのように、複数の爪の各々が斜めに配置されたハンドを想定したが、図3のように、並列且つ平行に複数の爪300(専用爪)が並んだハンド220Aを用いてもよい。
【0053】
図3はこの発明の実施の形態4による複数の爪300を装着したハンド220Aの状態を模式的に示す斜視図である。なお、この発明の実施の形態4に係る部品供給装置の全体構成は、図1に示した通りである。
【0054】
この場合、各爪300には、異なる部品Pの種類に対応した専用の切り欠きやピン(図示せず)が形成されており、対応する部品Pを特定の位置姿勢に引き込むことができる。
なお、各爪300は、1つの駆動部(一般的なエアシリンダやモータなど)に連結されており、図3の例では、4つの爪300が同時に開閉されることになる。
【0055】
また、専用の爪300を取り付けた際の爪先の長さは、どれも同じであることが望ましい。さらに、専用の爪300は、部品Pの受け渡し時において、部品Pの受け渡し部分が爪先方向に伸びていることが望ましい。
【0056】
図4は図3のハンド220Aを用いた部品受け渡し状態の一例を模式的に示す斜視図であり、ロボット120のハンド220Aからロボット130のハンド230への部品Pの受け渡し状態を示している。
図4において、ロボット130のハンド230は、ロボット120のハンド220Aの爪先方向に飛び出した部品Pの部分を把持する。
【0057】
なお、図4では、ロボット130のハンド230が上方向(図2のように、複数方向)から部品Pを把持した場合を示しているが、ロボット120のハンド220Aと平行な水平方向から把持してもよい。
なぜなら、この場合には、ハンド220Aの部品専用の爪300(切り欠きやピン)により、部品Pの位置姿勢は既に一定に調整されているので、複数方向からの拘束を用いて把持誤差を抑制する必要がないからである。
【0058】
また、この場合、ハンド220Aの爪先方向に飛び出した部品Pの部分を用いて受け渡しが行われることから、1つのハンド220Aにおいて複数の爪300を平行且つ密着させて装着しても干渉が発生する可能性は低いので、タレットハンドのように、作業に利用しない爪が干渉しないように、斜めに爪を配置する必要がない。
【0059】
以上のように、この発明の実施の形態4(図3、図4)によれば、複数の垂直多関節型ロボットは、仮置き台150上の部品Pを把持するロボット110(第1のロボット)と、ロボット110が把持した部品Pを把持して仮置き台150から整列パレット160への部品Pの中継を行うロボット120(第2のロボット)と、ロボット120が把持した部品Pを把持して整列パレット160上に載置するロボット130(第3のロボット)と、からなり、ロボット120は、把持対象となる部品Pの種類に対応した複数の爪300が取り付け可能なハンド220Aを備え、複数の爪300の各々は、部品の種類ごとに設計された専用の切り欠きまたはピンを有する。
【0060】
このように、部品Pごとに設計された専用の爪300を用いることにより、部品整列の精度を向上させることができる。また、ロボット間での部品受け渡し時において、2本のロボットの自由度が使用可能となるので、2本目のロボット120で姿勢変更が苦手な複数爪を装着できるハンド220Aを用いても、位置姿勢の実現が不可能な事態が発生する可能性は低い。
【0061】
さらに、1つの駆動部に複数の爪300(専用爪)を装着することにより、複数の駆動部を有するハンド(タレットハンドなど)を用いた場合と比較して、ハンド220Aの構成を簡略化することができる。
【0062】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態1〜4(図1〜図4)では、言及しなかったが、仮置き台150上の部品Pを把持するロボット110は、2Dビジョンセンサ140の出力結果に基づいて、仮置き台150上の特定位置の部品の位置姿勢が認識不可能な場合(部品同士が絡み合っている場合など)、または部品把持が不可能な場合に、特定位置の部品Pの絡みを解すために、払い動作(排出動作)を実行してもよい。
【0063】
2Dビジョンセンサ140においては、部品Pを認識する際に、部品Pの検出画像と、あらかじめ登録されている基準部品との一致度を数値化して認識スコアを求め、認識スコアが部品Pの認識許容範囲内にある場合に、部品Pの位置姿勢を検出結果として求めている。
【0064】
このとき、認識スコアから部品Pの認識が不可能な場合(部品Pの認識スコアが極端に低い場合や、検出画像が実際の部品Pよりも大きい塊として認識された場合など)、部品Pの周辺に仮置き台150が写らない場合、部品Pを把持する際にハンド210の爪が干渉する位置に他部品が存在する場合など、高精度の部品把持動作が不可能な状況が起こり得る。
【0065】
2Dビジョンセンサ140の出力結果が上記状況を示す場合、ロボット110は、状況を変更するために、特定位置の部品の払い動作(かき回し動作など)を行い、部品Pの絡み状態の解しや、一部の部品Pの仮置き台150からの排出を行う。
【0066】
このとき、特定位置において、どの部品Pが仮置き台150に設置されているのかは事前に分かっているので、ロボット110は、その高さに応じた払い動作(かき回し動作)を行うことになる。
【0067】
なお、払い動作(かき回し動作)においては、たとえば、特定位置(絡まっている部品Pの位置)が認識可能なので、特定位置に向かって、あらかじめ定められた払い動作を行う。また、2Dビジョンセンサ140の認識結果から仮置き台150が見えている場合には、部品Pが存在しないと判断できる場所から、特定位置の部品Pに向かって払い動作を行う。
【0068】
続いて、2Dビジョンセンサ140は、ロボット110による払い動作の実行後に、部品Pの再認識処理を行う。
2Dビジョンセンサ140の再認識処理により、高精度の部品把持動作が可能な状況であると判断されれば、各ロボット110、120、130は、前述の実施の形態1と同様に、部品Pの把持および整列を含む一連の動作を行う。
【0069】
一方、再認識処理後にも高精度の部品把持が不可能な状況が続いている場合には、ロボット110による再度の払い動作(かき回し動作)を行うか、または、特定位置の部品Pを仮置き台150の外に払い出す動作を行う。
【0070】
なお、払い出し動作は、実質的にかき回し動作と同様であり、たとえば、かき回し動作は、仮置き台150から外れない方向に部品Pを払うのに対し、払い出し動作は、仮置き台150から外れる方向に部品Pを払う点のみが異なる。
【0071】
以上のように、この発明の実施の形態5によれば、複数の垂直多関節型ロボット110、120、130のうちの仮置き台150に近接したロボット110は、2Dビジョンセンサ140が、仮置き台150上の特定位置に設置された部品Pの位置姿勢を認識できない場合に、特定位置において部品Pの払い動作を行う。
【0072】
これにより、仮置き台150に絡まった部品Pが設置された場合(塊の位置のみが認識された場合)でも、ロボット110が絡みを解すことができるので、それ以降の一連の整列処理動作を高精度に実行することができる。
【0073】
実施の形態6.
なお、上記実施の形態5では、認識対象以外の部品については認識処理を行わずに塊と見なし、ロボット110による払い動作のみを繰り返し実行したが、他部品の混入時に無駄な払い出し動作(排除動作)を回避するために、2Dビジョンセンサ140において複数種類の部品Pの認識処理を行うように構成してもよい。
【0074】
複数種類の部品Pの整列を行う場合には、想定と異なる部品が仮置き台150に設置される場合がある。
通常は、部品Pの認識速度を上げるために、2Dビジョンセンサ140は、想定された部品専用の認識処理のみを実行するので、想定外の部品が設置された場合には、どの部品がどのような位置姿勢で仮置き台150にあるかを認識することはできない。ただし、想定外の部品がどの位置に設置されているかは認識可能である。
【0075】
このとき、2Dビジョンセンサ140の認識結果は、検出画像が対象部品と異なるので、想定された部品Pが絡まっている状況と同様の状態になる。すなわち、何らかの塊は認識できるが、想定外の部品の位置姿勢が認識できない状況である。
【0076】
このとき、前述のように、ロボット110による払い動作の回数を増やすにつれて、または、払い動作によっても検出シーンが変更されない場合に、払い動作の高さを低くすることで部品Pを排除することは可能である。
しかし、塊と認識された想定外の部品を排除するまでには、多くの払い動作を繰り返す必要があるので効率が悪い。また、仮置き台150に供給された整列対象の部品Pが整列されずに、最終的にすべて排除されて無駄になるという問題もある。
【0077】
そこで、所定回の払い動作を実行しても検出シーンが変更されない場合には、想定外の部品が混入したものと見なして、他の部品をも含めて認識処理を行うことが望ましい。
これにより、複数種類のどの部品がどういった位置姿勢で仮置き台150に投入されているかを認識することができる。想定外の部品の位置姿勢が認識できた後は、その部品を整列してもよいし、把持してから排出してもよい。
【0078】
以上のように、この発明の実施の形態6による2Dビジョンセンサ140は、仮置き台150に近接したロボット110が所定回の払い動作を実行しても、部品Pの位置姿勢を認識できない場合には、他の種類の部品の認識処理を行う。
【0079】
これにより、複数種類の部品Pを整列している状況下で、想定外の部品が仮置き台150に投入された際でも、その部品を排出せずに整列することができる。
また、2Dビジョンセンサ140の認識時間と比較して、各ロボット110、120、130の動作時間のほうが長いので、複数種類の部品Pの認識処理を行うことにより、無駄な排除動作を省くことができ、全体の生産性を高めることができる。
【0080】
実施の形態7.
なお、上記実施の形態5、6では、2Dビジョンセンサ140のみを用いて、仮置き台150上の部品Pの絡み状態を認識したが、さらに、3Dビジョンセンサ(図示せず)を組み合わせて絡み状態を認識してもよい。
【0081】
前述のように、仮置き台150上に絡まった部品Pが投入された場合には、2Dビジョンセンサ140のみでは、部品Pの位置姿勢やその高さを正確に認識することができないので、部品Pの絡み解し動作や排出動作をあらかじめ決めた高さ行うことしかできない。
【0082】
そこで、仮置き台150上の認識処理を、2Dビジョンセンサ140と3Dビジョンセンサとを組み合わせて行うことが望ましい。
この場合、2Dビジョンセンサ140のみならず、3Dビジョンセンサを用いて、仮置き台150上で絡まった部品Pの位置姿勢認識を行う。
【0083】
3Dビジョンセンサによる認識処理によれば、絡まった部品Pの個々の位置姿勢を認識することができるので、部品Pの把持や、絡まりを解すための払い動作を、部品Pの位置姿勢に応じて行うことができる。
また、単に絡まった部品Pの3次元的な位置が認識できた場合であっても、部品Pの高さを正確に認識することができるので、絡まりの解し動作において、空振りや、突っ込み過ぎなどを回避することができる。
【0084】
ここで、3Dビジョンセンサとしては、既存のもの(ステレオカメラやパターン投影型、レーザスキャンなど)が適用可能である。
また、2次元計測および3次元計測が可能なセンサをあらかじめ設置しておき、3次元計測が必要でない場合には、高速な2Dビジョンセンサとして利用し、2Dビジョンセンサでは部品Pの位置姿勢が認識できない場合(部品Pの絡み状態)には、3Dビジョンセンサとして利用してもよい。
【0085】
以上のように、この発明の実施の形態7によれば、2Dビジョンセンサ140は、3Dビジョンセンサ機能を含み、仮置き台150上の特定位置に設置された部品Pの位置姿勢を認識できない場合には、3Dビジョンセンサ機能を有効化する。
【0086】
これにより、仮置き台150上に絡み合った部品Pが投入されて、2Dビジョンセンサ140のみでは認識が難しい場合には、3Dビジョンセンサ機能を用いて部品Pの位置姿勢を正確に認識することができるので、部品Pの位置姿勢に則した処理を行うことが可能となり、全体の生産性を高めることができる。
また、絡み合った部品Pが仮置き台150に設置された場合でも、部品Pの絡みを正確に解すことにより、整列処理を続けることができる。
【0087】
実施の形態8.
なお、上記実施の形態5〜7では、仮置き台150上の認識処理が不可能な場合に、ロボット110による払い動作を実行したが、仮置き台150に設置された部品をすべて払い出すための排除手段(別途の排除専用ロボットなど)を設け、仮置き台150上の認識処理が不可能な場合には、仮置き台150に設置された部品Pをすべて払い出すように構成してもよい。
【0088】
たとえば、仮置き台150に位置姿勢の認識が不可能な部品が投入された場合には、その部品を仮置き台150から排出する必要がある。
このとき、前述のようにロボット110を用いて、物理的接触をともなう動作で部品を排出することは、エラーの原因になり易く、システム稼働率を下げる要因にもなり得るので望ましくない。
【0089】
よって、位置姿勢が認識できない部品を仮置き台150から排除する場合には、ロボット110を使用することなく(物理的接触をともなうことなく)、別途の排除手段を用いて排出することが望ましい。
【0090】
このとき、排除手段としては、たとえば、仮置き台150を傾斜または上下反転させる機械機構、仮置き台150上を掃う機械機構、空圧で部品Pを掃うブローなどが適用可能である。
または、ブローや、ほうき、へら、はけ、などのように、先端部に柔らかい器具が装着(または、把持)された排除専用ロボットを用いて、仮置き台150から部品Pを払い出してもよい。
【0091】
以上のように、この発明の実施の形態8に係る部品供給装置は、仮置き台150に設置された部品Pをすべて払い出すための排除手段を備えている。
排除手段は、仮置き台150の近傍に設置された排除専用ロボット、または、仮置き台150を傾斜または上下反転させる機械機構により構成されており、2Dビジョンセンサ140が、仮置き台150上に設置された部品Pの位置姿勢を認識できない場合に、仮置き台150に設置された部品Pをすべて払い出す。
【0092】
これにより、仮置き台150に位置姿勢が認識できない部品が投入された場合にも、部品把持用のハンド220などを用いてロボット120が部品を排出する場合と比較して、確実かつ高速に排出できる効果がある。
したがって、想定外の部品が仮置き台150に投入された場合に、仮置き台150から部品の排出を効率的に行うことができ、生産性を向上させることができる。
【0093】
実施の形態9.
なお、上記実施の形態1〜8では、2Dビジョンセンサ140により部品Pの認識および把持を行うロボット110において、ハンド210を平行チャックハンドで構成したが、吸着ハンドや内掴みハンド、または3本爪ハンドなどで構成してもよい。
【0094】
たとえば、前述のように、平行チャックハンドを用いて仮置き台150上の部品を把持する場合、仮置き台150に爪が干渉して部品Pの位置がずれる可能性があり、結果的に把持精度が低下する問題がある。
【0095】
そこで、部品Pを把持するときに仮置き台150と干渉することのないハンド210として、吸着ハンドや内掴みハンド、または3本爪ハンドなどを用いることが望ましい。
これにより、部品Pを把持するときに仮置き台150と干渉することがなく、把持精度の低下を回避することができる。
【0096】
なお、この場合も、他のロボット120、130のハンド220、230に関しては、前述と同様に平行チャックハンドを用い、複数方向からの拘束によって精度の向上を実現する。また、ロボット120のハンド220としては、前述の専用爪を用いてもよい。
【0097】
以上のように、この発明の実施の形態9によれば、複数の垂直多関節型ロボット110、120、130のうちの仮置き台150に近接したロボット110は、吸着ハンドや内掴みハンド、または、3本以上の爪を有するハンド210を備えている。
これにより、仮置き台150上の部品Pを把持する際に、仮置き台150と干渉することがないので、認識時の部品位置とずれて誤差が生じることもなく、把持精度の低下を回避することができる。
【0098】
実施の形態10.
なお、上記実施の形態1〜9では、整列用のロボット130のハンド230を平行チャックハンドで構成したが、部品Pごとに専用に設計された専用ハンドで構成してもよい。
【0099】
たとえば、複数種類の部品Pを同時に整列することのない供給ラインであれば、整列対象となる部品Pの変更ごとにハンド230を変更したとしても、生産性への影響は少ないので、専用ハンドを用いることによる悪影響も少なくて済む。また、最終的に整列を行うロボット130が専用ハンドで部品を拘束したほうが、最終的な部品の位置精度は向上するという利点もある。
【0100】
以上のように、この発明の実施の形態10によれば、複数の垂直多関節型ロボット110、120、130のうち、部品Pを整列させるロボット130は、部品Pごとに専用に設計された専用ハンドを有するので、部品Pを特定の位置姿勢に拘束することができ、最終的な整列精度を向上させることができる。
【0101】
実施の形態11.
なお、上記実施の形態1〜10では、3本のロボット110、120、130を用いたが、図5、図6のように、整列対象となる部品Pの形状および整列姿勢によっては、中継用のロボット120が整列用のロボット130の機能を兼ね備えることにより、最終段のロボット130を省略することもできる。
【0102】
図5はこの発明の実施の形態11による長尺の部品Pの整列状態を模式的に示す斜視図であり、図6は長尺の部品Pの受け渡し状態を模式的に示す斜視図である。
たとえば、仮置き台150上に投入された部品Pの状態と最終的に整列される姿勢状態との組合せによっては、ロボット120が整列動作を兼ねた方が適している場合がある。
【0103】
すなわち、整列対象となる部品Pが、図5、図6のような直方体の長尺形状を有し、図5のように、整列パレット160上の複数の穴H内に立設挿入される場合には、前述のロボット130(図1参照)を省略することができる。
【0104】
以下、図5のように、長尺の部品Pを整列パレット160に縦に挿入する場合を考えると、まず、仮置き台150においては、部品Pは必然的に横に寝る姿勢を取る。
したがって、ロボット110は、図6のように、ハンド210により部品Pを把持し、ロボット120は、複数方向から部品Pを拘束させるために、前述(図2)と同様に、図6のように、部品Pをハンド220により把持する。
【0105】
ここで、仮に、整列用のロボット130が、ロボット110と同様に、部品Pの長尺方向に対して爪が垂直になるように部品Pを把持したとする。
この場合、ロボット130は、整列パレット160上に部品Pを図5のように整列させるためには、大きな姿勢変更が必要となるので、設置状況によっては経由点を追加する必要性も生じる。たとえば、経由点を追加した場合には、部品整列までの動作時間がさらに延びる可能性がある。
【0106】
一般に、垂直多関節型ロボットにおいて、ハンドの爪先方向から垂直に延びている長尺部品を、地面方向に動作させて立設方向に整列させる場合には、上述した通り、ロボットの姿勢変更が大きくなるので、状況によっては経由点が追加されて動作時間が延びる。
【0107】
一方、図6のように、ハンド220の手先方向(水平方向)に伸びた長尺の部品Pを、図5のように、地面方向に動作させて整列を行う場合には、ロボット120の姿勢変更が小さくなるので、経由点を追加する状況が起こる可能性が低い。
そこで、この発明の実施の形態11においては、中継用のロボット120が、長尺の部品Pを図6のように把持した状態で、整列パレット160まで直接搬送し、図5のように、整列パレット160上に整列させる。
【0108】
なお、部品Pが図5、図6のような長尺形状の場合のみならず、図1のように複数(3本)のロボット110、120、130を用いた構成において、ハンド220の形状や部品Pの受け渡し状況に応じて、整列パレット160上に整列する際に経由点の追加が必要となる場合には、中継用のロボット120が、最終段のロボット130の機能を兼ねて、直接整列を行うようにしてもよい。
【0109】
また、中継用のロボット120を省略して、最終段のロボット130が中継機能を兼ね備えてもよい。この場合、最上段のロボット110から最終段のロボット130に直接的に部品Pを受け渡し、ロボット130が整列パレット160への整列を行うことになる。
【0110】
上記のいずれかの省略動作を行うために、整列パレット160は、ロボット120またはロボット130のどちらからでもアクセスし易い位置に設置されることが望ましい。
また、複数のロボットのレイアウトについても、複数のロボットが1つの整列パレット160にアクセスし易いように設置することが望ましい。
【0111】
さらに、中継用のロボット120が整列機能を有する場合の整列パレットと、整列用のロボット130が中継機能を有する場合の整列パレットとを個別に設置するか、投入される部品Pに応じて整列パレットの位置を変更可能に構成してもよい。
【0112】
以上のように、この発明の実施の形態11(図5、図6)によれば、部品Pのハンドリング過程で3本すべてのロボット110、120、130を経由させた場合には全体の生産性が下がる状況(ロボットの動作に経由点が発生するなど)においては、部品Pの中継を行うロボット120が、部品Pを整列させるロボット130の機能を兼ねる(または、部品Pを整列させるロボット130が、部品Pの中継を行うロボット120の機能を兼ねる)ように構成する。
【0113】
これにより、最上段のロボット110から次のロボットへの部品Pの受け渡し動作を省略し、部品整列に適した把持をしているロボット120(または130)が整列パレット160への整列動作を行うことが可能となり、経由点を必要とする状況を回避することができ、経由点が必要な場合と比較して全体の生産性を高める効果がある。
すなわち、部品Pのハンドリングの関係上、必要なロボット台数を減らすことができ、ロボット本数が増えることによって全体の生産性が下がることを回避することができる。
【0114】
実施の形態12.
なお、上記実施の形態1〜11では、仮置き台150で安定姿勢を取り得る部品Pを整列対象として、仮置き台150のみを設置した場合について説明したが、図7のように、部品Pが引張コイルばね(以下、単に「バネ」という)などのように不安定な場合には、姿勢を安定させるために、図8のような治具400を設けてもよい。
【0115】
図7はこの発明の実施の形態12による平面上で姿勢が有限個に定まらない部品Pを模式的に示す平面図である。また、図8はこの発明の実施の形態12による治具400を模式的に示す平面図である。
【0116】
なお、この場合、ロボット110は、仮置き台150上から姿勢抑制用の治具400上へと、部品Pをハンドリング搬送するものとする。
また、仮置き台150の近傍には、ロボット110のみならず、新規のロボット(図示せず)が追加設置されており、新規のロボットは、治具400上の部品Pを把持して次のロボット120に受け渡すものとする。
【0117】
図7のようなバネ形状の場合、仮置き台150の平面上に置いたのみでは部品Pの姿勢が有限個に定まらないので、図8のように、治具400上に設置して特定部位(フック部分R)を拘束することにより、部品Pの姿勢を有限個に定める必要がある。
図8のように部品Pを治具400上に設置することにより、2Dビジョンセンサ140は、部品Pの位置姿勢を正確に認識することができる。
【0118】
以下、治具400を用いて部品Pの位置姿勢を限定したこの発明の実施の形態12について説明する。
この場合、2Dビジョンセンサ140は、仮置き台150上に投入された部品Pの一部(コイル状部分Q)を認識し、ロボット110は、認識結果に基づき部品Pを治具400に投入する。続いて、新規のロボット(図示せず)は、治具400上の部品Pを把持してロボット120に受け渡す。
【0119】
ここで、部品Pの一部とは、図7のように部品Pがバネ形状であれば、中央部のコイル状部分Qのことである。
コイル状部分Qに限って言えば、部品Pが仮置き台150に投入されたときに、部品Pの回転位置にかかわらず、位置姿勢を正確に認識することができる。
【0120】
また、治具400は、特定部位(フック部分R)を拘束することによって部品Pの位置姿勢を有限個に定めるものである。
具体的には、治具400は、図8のように、部品P(バネ)の両端部のフック部分Rを載置して拘束するブロック形状を有する。このとき、治具400の表面高さは、コイル状部分Qに対応する部分の表面高さよりも高く設定されている。
【0121】
このような治具400に部品Pを設置することにより、バネ形状の部品Pの姿勢は2通り(フック部分Rの表裏のみ)に限定されるので、治具400に配置された部品Pの位置姿勢は、2Dビジョンセンサ140により正確に認識可能となる。
以下、新規のロボットからロボット120に受け渡された部品Pは、前述と同様に、ロボット120からロボット130に受け渡され、整列パレット160への整列処理が行われる。
【0122】
なお、新規のロボットを追加せずに、既存のロボット110が仮置き台150から治具400への部品Pの搬送を行い、その後に、ロボット110が治具400上の部品Pを把持してロボット120に受け渡しする構成も考えられるが、この場合、ロボット110の動作時間が他のロボット120、130と比較して長くなるという問題がある。
そこで、治具400から次のロボット120へと受け渡す新規のロボットを1台追加することにより、各ロボット間の動作時間の不均衡を解消することができる。
【0123】
すなわち、ロボット110は、仮置き台150上の部品Pを治具400に搬送することのみに行いられ、新たに追加したロボット(図示せず)は、2Dビジョンセンサ140と共同して、治具400上の部品Pを認識および把持してロボット120への受け渡しを行う。
これにより、ロボット間の動作時間は均一化され、治具400の追加にともなう動作を追加しても、全体の生産性低下を回避することができる。
【0124】
なお、ここでは図示しないが、治具400に位置決め機構および姿勢変更機構(図示せず)を追加してもよい。
この場合、ロボット110は、前述と同様に、2Dビジョンセンサ140の認識結果に基づき、仮置き台150上の部品Pを治具400に配置し、治具400は、位置決め機構および姿勢変更機構により、姿勢変更の必要があれば姿勢の変更も行い、部品Pの位置姿勢を特定の状態に拘束する。
【0125】
治具400において特定の位置姿勢に正確に拘束された部品Pは、ロボット110以外の新規のロボットであっても、正確に把持して整列を行うことができる。
ここで、治具400は、部品Pを特定の位置姿勢に拘束する形状および機構を有し、別途の駆動部(シリンダやモータなどが用いられる)や震動機構が設けられたものであり、一般に広く使用されているものである。
【0126】
また、位置決め機構および姿勢変更機構を有する治具400を用いた場合には、図7、図8のようなバネ形状の部品Pに限らず、治具400が設計可能な範囲であれば、任意の一般形状の部品Pであっても適用可能である。
また、あらかじめ治具400を複数個用意しておき、仮置き台150で認識された部品Pの姿勢に応じて、利用する治具400を変更してもよい。
【0127】
以上のように、この発明の実施の形態12(図7、図8)においては、部品Pの位置姿勢を特定の状態に拘束するための治具400と、治具400上で拘束された部品Pを把持する新規のロボットと、を備えている。
【0128】
複数の垂直多関節型ロボットのうちの仮置き台150に近接したロボット110は、2Dビジョンセンサ140の認識結果に基づき、仮置き台150上の部品Pを治具に投入し、新規のロボットは、2Dビジョンセンサ140の認識結果に基づき、治具400に投入された部品Pを把持して中継用のロボット120に受け渡す。
【0129】
また、2Dビジョンセンサは、仮置き台150上において部品Pの位置姿勢に依存しない一部(コイル状部分Q)を認識した結果を、仮置き台150に近接したロボット110に対する認識結果とするとともに、治具400上において部品Pの位置姿勢を認識した結果を、新規のロボットに対する認識結果とする。治具400は、部品Pの一部(コイル状部分Q)を除く特定部位(フック部分R)を拘束する。
【0130】
このように、仮置き台150から整列パレット160までの間に、治具400を設置することにより、仮置き台150上では部品Pの位置姿勢が有限個に限定されない部品であっても、部品Pの位置姿勢を有限個に拘束して整列可能することができる。
また、新規のロボットを追加することにより、治具400に投入された部品Pを、仮置き台150に投入された部品Pと同等に扱うことが可能となり、全体の生産性を高める効果がある。
【0131】
さらに、位置決め機構および姿勢変更機構を有する治具400を所要数だけ追加し、2Dビジョンセンサ140の認識結果に応じた治具400を用いることにより、整列対象となる部品Pの種類を増やすことができる。
【0132】
実施の形態13.
なお、上記実施の形態1〜12では、言及しなかったが、図9のように一部姿勢の判定が難しい形状の部品Pの場合には、仮置き台150に外力印加手段(図示せず)を設けてもよい。
図9はこの発明の実施の形態13により認識される仮置き台150上の部品Pを模式的に示す(a)平面図および(b)側面図である。
【0133】
図9において、部品Pは、ほぼ平面形状からなり、平面部Sの中央の一部に突起部Tを有している。
ここで、図9(b)のように、平面部Sの突起部Tを有する側が仮置き台150に置かれた場合、仮置き台150の上方に位置する2Dビジョンセンサ140の計測結果のみでは、仮置き台150に接触した部品Pの安定状態において、突起部Tと平面部Sの側端面のうちのどの直線部分とが接触しているかの区別が困難な場合がある。
【0134】
図9のように部品Pの一部姿勢の判定が難しい場合には、仮置き台150上で部品Pの位置姿勢を変更させた後に、2Dビジョンセンサ140による再度の認識処理を実行することが望ましい。
たとえば、平面部Sが不安定な水平姿勢を取っていた場合には、図9(b)のように、部品Pの一方の側端部(図中の右側端部)が仮置き台150上に接するように、外力を印加すればよい。
【0135】
そこで、複数存在する部品Pの安定状態の区別が困難な場合には、外力印加手段により部品Pの位置姿勢を変更した後に再度の認識処理を行う。
このとき、部品Pの位置姿勢を変更させる外力印加手段は、たとえばロボットが仮置き台150上の部品Pを払うなどするか、または、仮置き台150に震動を与えるなどして行う。
【0136】
なお、部品Pの安定状態の区別が困難であっても、ロボット間の受け渡しの過程で整列に十分な精度が得られるのであれば、複数の安定状態を区別する必要はない。
また、部品Pの安定状態の区別が困難であっても、ロボット110による把持が可能であれば、ロボット110が部品Pを把持した後に姿勢を変更して仮置き台150に置き直してもよい。
【0137】
たとえば、部品Pの形状が、外力印加手段から震動などの外力を印加することによって推移し易い他の安定状態が存在する場合には、震動などの外力を与えて安定状態を変位させることが有効である。
ここで、震動などの外力印加手段としては、仮置き台150に震動機構を設けること、ロボットによる物理接触を与えること、圧縮空気によるブローを与えること、などが挙げられる。
【0138】
このように、部品Pが安定状態となる位置姿勢の種類を減らすことにより、ハンドリングの種類も減るので、部品供給装置としての立上コストを削減することができる。
【0139】
以上のように、この発明の実施の形態13(図9)によれば、仮置き台150に設けられた外力印加手段(図示せず)を備え、外力印加手段は、2Dビジョンセンサ140が、仮置き台150上に設置された部品の位置姿勢を認識できない場合に、仮置き台150に外力を印加する。
【0140】
これにより、2Dビジョンセンサ140の認識結果が不完全であって、複数存在する部品Pの安定状態の区別が困難な場合であっても、仮置き台150上の部品Pに外力を印加することにより、位置姿勢を正確に認識することが難しい状況を排除して、部品Pを判別し易い安定姿勢に変更することが可能となるので、2Dビジョンセンサ140での認識精度を向上させることができ、生産性を向上させることもできる。
【0141】
実施の形態14.
なお、上記実施の形態1〜13では、部品供給部190(図1参照)から仮置き台150への部品Pの投入処理は、3Dビジョンセンサ180を利用したロボット170によるピッキングにより実現していたが、これに限定されることはなく、仮置き台150への部品Pの投入処理を別の形態で実現してもよい。
【0142】
すなわち、前述(図1)の3Dビジョンセンサ180を利用したロボット170に限らず、たとえば、周知のパーツフィーダやホッパ、または、コンベアと治具を組み合わせた装置など、部品供給部190内に乱雑に投入された部品Pの絡まりを解す装置類は、多く提案されている。
【0143】
上記周知手段を用いて部品供給部190から仮置き台150に部品Pを投入しても、仮置き台150以降のロボット110、120、130を含む部品供給装置は、何ら支障なく運用可能である。
また、既存のコンベアトラッキングのように、コンベア上を流れる部品Pに対して、この発明に係る部品供給装置を適用してもよい。この場合、コンベアが仮置き台150に対応することになる。
【0144】
また、図1のように、ロボット170によるピッキングで仮置き台150上に部品Pを投入する場合、以下の形態が適用可能である。
まず、部品Pの認識処理を高速且つ広範囲に実行可能な2Dビジョンセンサ140は、部品供給部190を認識して、部品Pの残量を確認する。このとき、たとえば、部品Pが置かれている領域の面積や、部品供給部190の側面の認識結果から分かる残部品の高さから判断する。
【0145】
部品Pの残量確認処理で、部品供給部190に部品Pが十分に残っていると判断された場合には、部品ピッキングを行う領域に対して、パターン投光などの3D認識用の処理を行い、部品Pのピッキングを行う。
【0146】
段取りの切替や部品Pの追加によって、部品供給部190が入れ換えられた場合には、2D認識を用いて、部品PのIDなどが分かる部品供給部190に取り付けられたバーコードなどを認識して、投入された部品Pのチェックを行う。
または、3D認識を用いて、部品供給部190の部品Pを認識し、投入された部品Pのチェックを行う。
【0147】
これにより、部品Pの投入ミスを防ぐことができる。
また、部品供給部190の位置を認識することもできるので、3D認識を行う場合に、適切な場所を計測することができる。
【0148】
以上のように、この発明の実施の形態14によれば、バラ積み状態の部品Pを仮置き台150に供給して所定姿勢に振り分ける手段は、バラ積み状態の部品Pに対して3次元認識を行う3次元認識手段(3Dビジョンセンサ180)と、3次元認識手段の3次元認識結果に基づくロボット170のピッキングに限らず、パーツフィーダ、ホッパ、または、コンベアおよびコンベアの高さを限定する治具、により構成され得る。
これにより、仮置き台150に様々な形態で部品Pを投入することができるので、システム構成の幅が広がる効果がある。
【0149】
実施の形態15.
なお、前述の実施の形態11(図6)では、中継用のロボット120が整列用のロボット130の機能を兼ね備えたが、最上段のロボット110が整列用のロボット130の機能を兼ね備えてもよい。
これにより、前述の実施の形態11と同様に、整列に必要なロボット台数を減らして、システムの規模を小さくすることができる。
【0150】
この場合、ロボット110は、ロボット130の役割も兼ね備えており、まず、仮置き台150上の部品Pを把持してロボット120に受け渡す。
続いて、ロボット120は、異なる方向での把持により、部品Pの位置姿勢を変更した後に、ロボット110に受け渡す。最後に、ロボット110は、ロボット120から受け渡された部品Pを整列させて、整列パレット160上に整列載置させる。
これにより、整列時間は延長されるものの、ロボット台数を減らすことができる。
【0151】
なお、ロボット110がロボット130の役割を兼ね備えるとともに、さらに、部品供給部190から仮置き台150への部品投入を行うロボット170が、中継用のロボット120の役割を兼ね備えていてもよい。
【0152】
この場合、ロボット110は、まず、仮置き台150上の部品Pを把持してロボット170に部受け渡す。
続いて、ロボット170は、部品Pの位置姿勢を変更した後に、ロボット110に受け渡す。最後に、ロボット110は、ロボット170から受け渡された部品Pを整列パレット160上に整列させる。
【0153】
以上のように、この発明の実施の形態15によれば、複数の垂直多関節型ロボットのうちの仮置き台150に近接したロボット110は、部品Pを整列させるロボット130の機能を兼ねている。
【0154】
また、バラ積み状態の部品Pを仮置き台150に供給して所定姿勢に振り分ける手段は、3次元認識手段(3Dビジョンセンサ180)を有するロボット170からなり、ロボット170は、部品Pの中継を行うロボット120の機能を兼ねている。
このように、ロボットの役割を兼業させることにより、ロボット台数を減らすことができ、システム規模を縮小する効果がある。
【0155】
なお、上記実施の形態1〜15では、部品Pの整列を最終目的としたが、さらに発展させて、それ以外を最終目的としてもよい。
たとえば、部品Pを整列させるロボットが、さらに製品の組付けや、自動機(図示せず)への部品投入を行うように構成してもよい。
この場合、最終段のロボットが、部品Pの組付けや自動機への投入を直接行うことができるので、製造システム全体の設備規模を小さくすることができる。
【0156】
実施の形態16.
なお、上記実施の形態1〜15では、最終的な部品Pを整列パレット160上に整列したが、コンベアやレール(図示せず)などに整列させてもよい。
この場合、たとえば、コンベアの回転にあわせてロボットを動作させることにより、コンベア上に一定間隔で部品Pを整列させて後工程に送ることが可能となる。
または、パーツフィーダの最終部分のように、一定の姿勢に整えられた部品Pが多数並んだ状態で、震動によって徐々に部品を送り出していくレール上に整列させることも可能となる。
【0157】
以上のように、この発明の実施の形態16によれば、前述の整列パレット160(図1参照)に代えて、コンベアまたはレールを備えているので、前述の整列パレット160を用いた場合と比較して、単純な機構で整列された部品を後工程に送ることができる。
【0158】
実施の形態17.
なお、上記実施の形態1〜16では、特に言及しなかったが、ロボット170のハンド270を吸着ハンドにより構成し、ロボット170がロボット110の機能を兼ね備えるようにしてもよい。この場合、仮置き台150およびロボット110を省略することも可能となる。
【0159】
吸着ハンドで部品Pを吸着した状況では、吸着ハンドの面と部品Pの平面部分とが一致するので、前述(図1)の仮置き台150に置いた場合と同様に、部品Pの姿勢が有限個に限定される。
したがって、ロボット170(ロボット110の機能を兼ねる)の吸着ハンドで把持した部品Pを、2Dビジョンセンサ140で認識することにより、部品Pの3次元的な位置姿勢を求めることができる。
【0160】
こうして部品Pの把持部品の位置姿勢が求まった後は、前述と同様に、後段のロボット120、130により部品Pの姿勢変更および整列動作が行われる。
なお、部品Pが裏表の無い単純な形状であれば、位置姿勢を補正後に、ロボット170が直接的に整列パレット160(または、コンベアやレールなど)に整列してもよい。
【0161】
また、部品Pが裏表のある平面形状であって、且つ最終的に部品Pを立設して並べるような整列パレット160(または、コンベアやレール)である場合には、ロボット170が、部品Pの整列時に裏表情報に基づき姿勢変更を行うようにしてもよい。
この場合、90°の姿勢変更となるので、2台のロボット120、130のうちの一方を省略して1台のロボットで構成しても姿勢変更が可能となる。
【0162】
または、図10のように、傾斜の付いた板状の90°反転治具400Bを用いて、部品Pを90°反転させた後に、たとえばレール500(または、コンベア)上に整列させてもよい。
90°反転治具400Bは、図面上の手前および奥に1対設置されており、部品Pの裏表に応じて、1対のうちのどちらか一方を用いて、部品Pを90°反転後に整列させる。
【0163】
以上のように、この発明の実施の形態16によれば、バラ積み状態の部品Pを所定姿勢に振り分けるロボット170(第1の垂直多関節型ロボット)と、所定姿勢に振り分けられた部品Pの位置姿勢を平面的に認識する2Dビジョンセンサ140と、2Dビジョンセンサ140の認識結果に基づき、所定姿勢に振り分けられた部品Pの位置姿勢を変更させて整列させるためのロボット120、130(第2の垂直多関節型ロボット)と、各ロボット170、120、130により整列された部品Pが載置される整列パレット160とを備えている。
【0164】
すなわち、ロボット170(第1の垂直多関節型ロボット)は、前述のロボット110の機能を兼ね備えている。
また、ロボット170(第1の垂直多関節型ロボット)のハンドは、吸着ハンドからなり、バラ積み状態の部品Pの位置姿勢を有限個に設定することができる。
このように、部品供給部190でバラ積み状態の部品Pを把持するハンド270を吸着ハンドにより構成することにより、ロボット170が部品を把持した時点で、部品Pの姿勢が有限個に限定されるので、仮置き台150に投入した場合と同等の状態にできる。
【0165】
これにより、仮置き台150や、仮置き台150から部品Pを把持するロボット110を省略することができる。
また、整列パレット160の前段に、90°反転治具400Bを備えたことにより、整列時に部品Pを90°反転させることができる。
【符号の説明】
【0166】
110、120、130 ロボット(第1〜第3のロボット)、140 2Dビジョンセンサ、150 仮置き台、160 整列パレット、170 ロボット(所定姿勢に振り分ける手段)、180 3Dビジョンセンサ、190 部品供給部、210、220、220A、230、270 ハンド、300 複数の爪(専用爪)、400 治具、400B 90°反転治具、500 レール、H 穴、P 部品、Q コイル状部分、R フック部分、S 平面部、T 突起部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ積み状態の部品を所定姿勢に振り分ける手段と、
振り分けられた部品を認識するために前記部品が設置される仮置き台と、
前記仮置き台に設置された部品の位置姿勢を平面的に認識する2Dビジョンセンサと、
前記2Dビジョンセンサの認識結果に基づいて前記仮置き台上の部品の位置姿勢を変更させて整列させるための複数の垂直多関節型ロボットと、
前記複数の垂直多関節型ロボットにより整列された部品が載置される整列パレットと
を備えた部品供給装置。
【請求項2】
前記複数の垂直多関節型ロボットのうちの少なくとも前記部品の中継を行うロボットは、平行チャックハンドからなるハンドを有し、
前記平行チャックハンドは、前記部品の受け渡し時において、前記部品の互いに異なる複数方向から拘束することを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記複数の垂直多関節型ロボットは、
前記仮置き台上の部品を把持する第1のロボットと、
前記第1のロボットが把持した部品を把持して前記仮置き台から前記整列パレットへの前記部品の中継を行う第2のロボットと、
前記第2のロボットが把持した部品を把持して前記整列パレット上に載置する第3のロボットと、からなり、
前記第2のロボットは、把持対象となる前記部品の種類に対応した複数の爪が取り付け可能なハンドを備え、
前記複数の爪の各々は、前記部品の種類ごとに設計された専用の切り欠きまたはピンを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記複数の垂直多関節型ロボットのうちの前記仮置き台に近接したロボットは、
前記2Dビジョンセンサが、前記仮置き台上の特定位置に設置された部品の位置姿勢を認識できない場合に、前記特定位置において前記部品の払い動作を行うことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記2Dビジョンセンサは、
前記仮置き台に近接したロボットが所定回の払い動作を実行しても、前記部品の位置姿勢を認識できない場合には、他の種類の部品の認識処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記2Dビジョンセンサは、3Dビジョンセンサ機能を含み、前記仮置き台上の特定位置に設置された部品の位置姿勢を認識できない場合には、前記3Dビジョンセンサ機能を有効化することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記仮置き台に設置された部品をすべて払い出すための排除手段を備え、
前記排除手段は、
前記2Dビジョンセンサが、前記仮置き台上に設置された部品の位置姿勢を認識できない場合に、前記仮置き台に設置された部品をすべて払い出すことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項8】
前記排除手段は、前記仮置き台の近傍に設置された排除専用ロボットであることを特徴とする請求項7に記載の部品供給装置。
【請求項9】
前記排除手段は、前記仮置き台を傾斜または上下反転させる機械機構であることを特徴とる請求項7に記載の部品供給装置。
【請求項10】
前記複数の垂直多関節型ロボットのうちの前記仮置き台に近接したロボットは、吸着ハンドや内掴みハンド、または、3本以上の爪を有するハンドを備えたことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項11】
前記複数の垂直多関節型ロボットのうちの前記部品を整列させるロボットは、前記部品ごとに専用に設計された専用ハンドを有することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項12】
前記複数の垂直多関節型ロボットのうちの前記部品の中継を行うロボットは、前記部品を整列させるロボットの機能を兼ねることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項13】
前記部品の位置姿勢を特定の状態に拘束するための治具と、
前記治具上で拘束された部品を把持する新規のロボットと、を備え、
前記複数の垂直多関節型ロボットのうちの前記仮置き台に近接したロボットは、前記2Dビジョンセンサの認識結果に基づき、前記仮置き台上の部品を前記治具に投入し、
前記新規のロボットは、前記2Dビジョンセンサの認識結果に基づき、前記治具に投入された部品を把持して中継用のロボットに受け渡すことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項14】
前記2Dビジョンセンサは、
前記仮置き台上において前記部品の位置姿勢に依存しない一部を認識した結果を、前記仮置き台に近接したロボットに対する認識結果とするとともに、
前記治具上において前記部品の位置姿勢を認識した結果を、前記新規のロボットに対する認識結果とし、
前記治具は、前記部品の一部を除く特定部位を拘束することを特徴とする請求項13に記載の部品供給装置。
【請求項15】
前記仮置き台に設けられた外力印加手段を備え、
前記外力印加手段は、
前記2Dビジョンセンサが、前記仮置き台上に設置された部品の位置姿勢を認識できない場合に、前記仮置き台に外力を印加することを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項16】
前記バラ積み状態の部品を前記仮置き台に供給して所定姿勢に振り分ける手段は、
前記バラ積み状態の部品に対して3次元認識を行う3次元認識手段と、
前記3次元認識手段の3次元認識結果に基づくロボットのピッキング、パーツフィーダ、ホッパ、または、コンベアおよび前記コンベアの高さを限定する治具、を含むことを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項17】
前記複数の垂直多関節型ロボットのうちの前記仮置き台に近接したロボットは、前記部品を整列させるロボットの機能を兼ねることを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項18】
前記バラ積み状態の部品を前記仮置き台に供給して所定姿勢に振り分ける手段は、3次元認識手段を有するロボットからなり、
前記3次元認識手段を有するロボットは、前記部品の中継を行うロボットの機能を兼ねることを特徴とする請求項17に記載の部品供給装置。
【請求項19】
バラ積み状態の部品を所定姿勢に振り分ける第1の垂直多関節型ロボットと、
前記所定姿勢に振り分けられた部品の位置姿勢を平面的に認識する2Dビジョンセンサと、
前記2Dビジョンセンサの認識結果に基づき、前記所定姿勢に振り分けられた部品の位置姿勢を変更させて整列させるための第2の垂直多関節型ロボットと、
前記第1および第2の垂直多関節型ロボットにより整列された部品が載置される整列パレットと
を備えた部品供給装置。
【請求項20】
前記第1の垂直多関節型ロボットのハンドは、吸着ハンドからなることを特徴とする請求項19に記載の部品供給装置。
【請求項21】
前記整列パレットの前段に、90°反転治具を備えたことを特徴とする請求項1から請求項20までのいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項22】
前記整列パレットに代えて、コンベアまたはレールを備えたことを特徴とする請求項1から請求項21までのいずれか1項に記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−245602(P2012−245602A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121703(P2011−121703)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト 作業知能(生産分野)の開発 作業知能(生産分野)の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】