説明

部品収納ケース及び電子機器

【課題】配線を通す切り欠き部から配線の接続状態を容易に確認することできると共に、その切り欠き部からの電磁波等の漏洩を確実にシールドすることができる電子部品を収納する部品収納ケース及びその部品収納ケースを備えた電子機器を提供することにある。
【解決手段】部品収納ケース191に形成されている配線195を通す切り欠き部196を塞ぐ板状部材199を備える。これにより、切り欠き部の開口面積を大きくしても板状部材により電磁波等の漏洩を確実にシールドすることができる共に、切り欠き部の開口面積が大きいので配線が多数あっても切り欠き部から配線の接続状態を容易に確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を収納する部品収納ケース及びその部品収納ケースを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器に使用される回路素子は回路パターンが形成された回路基板に実装されて機器本体に内蔵されている。このような電子機器では、回路素子が実装された回路基板から発生する電磁波等が問題になる場合があり、そのような場合は電磁波等をシールドするために回路素子が実装された回路基板をシールドケース内に収納してから機器本体に内蔵するようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−268291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシールドケースには、ケース内の回路素子とケース外の回路素子とを電気的に接続するケーブルを通すための切り欠き部が形成されている。そして、このケーブルの両端には、コネクタが接続されている。このような構成のシールドケースを機器本体に組み込む際には、ケーブルの一端側のコネクタをケース外の回路素子のコネクタと接続し、回路素子が実装された回路基板をシールドケース内に収納する。そして、ケーブルの他端側をシールドケースに形成されている切り欠き部に挿入し、ケーブルの他端側のコネクタを回路基板上に装着されているコネクタに接続してからシールドケースを機器本体に組み込む。
【0005】
ここで、電子機器が多機能である場合は制御信号数等も多くなるので、それに伴ってコネクタの数も増加する。シールドケースを機器本体に組み込んだ後にシールドケース内の全コネクタの接続状態チェックを目視により判断するには、シールドケースに形成される切り欠き部の開口面積を大きくすれば良い。ところが、切り欠き部の面積を大きくすると、そこから電磁波等が漏洩し易くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、配線を通す切り欠き部から配線の接続状態を容易に確認することできると共に、その切り欠き部からの電磁波等の漏洩を確実にシールドすることができる電子部品を収納する部品収納ケース及びその部品収納ケースを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的達成のため、本発明の部品収納ケースでは、配線を通す切り欠き部を有し、前記配線に接続される電子部品を収納する部品収納ケースであって、前記切り欠き部を塞ぐ板状部材を備えたことを特徴としている。これにより、切り欠き部の開口面積を大きくしても板状部材により電磁波等の漏洩を確実にシールドすることができる共に、切り欠き部の開口面積が大きいので配線が多数あっても切り欠き部から配線の接続状態を容易に確認することができる。
【0008】
また、少なくとも前記切り欠き部の形成面を覆う外装ケースを備え、前記板状部材が前記外装ケースに取り付けられていることを特徴としている。これにより、外装ケースを組み付ける際に板状部材も同時に取り付けることができるので、板状部材の取付作業が簡易かつ確実なものとなる。また、前記切り欠き部の縁部と前記配線との接触を防ぐリブが、前記板状部材又は前記外装ケースの少なくとも一方に形成されていることを特徴としている。これにより、切り欠き部の縁部と配線との擦れによる配線の傷付きを防止することができる。
【0009】
上記目的達成のため、本発明の電子機器では、上記各部品収納ケースを備えたことを特徴としている。また、この電子機器は、被記録媒体に記録する記録装置であることを特徴としている。これにより、上記各作用効果を奏する電子機器又は記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの外観構成の全体を斜め前方及び後方から見た斜視図、図3は、その内部構成の概略を示す斜視図、図4は、その内部構成の概略を示す断面側面図である。このインクジェット式プリンタ100は、例えばL判/2L判、ハガキ、JIS規格のA4判、A3判ノビ、A2判等のサイズの単票紙(以下、単に用紙(被記録媒体)という)にインクにより記録することができる機能を備えている。
【0012】
このインクジェット式プリンタ100は、図1及び図2に示すように、全体が略直方体状のハウジング101で覆われている。そして、ハウジング101の図1に示す上面右前側には操作部110が配設され、図1に示す上面左前側にはカートリッジ収納部120が配設されている。更に、図1に示す上面後側には第1リア給紙部130が配設され、図2に示す背面側には第2リア給紙部140が配設されている。そして、図1に示す前面側には排紙部150とフロント給紙部160が配設され、図1に示す前面右側には廃インク回収部170が配設されている。また、このインクジェット式プリンタ100の内部には、本発明の特徴的な部分を含む図2及び図4に示す制御部190と、図3及び図4に示す用紙搬送部180並びに記録部200が配設されている。
【0013】
そして、図1及び図2に示すように、ハウジング101の上面における操作部110及びカートリッジ収納部120と第1リア給紙部130との間には、矩形状の開口部102が形成されている。この開口部102は、略矩形平板状のプリンタカバー210によって覆われている。プリンタカバー210は、後端の回動軸を中心に図示矢印a方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、プリンタカバー210を持ち上げて開口部102を開放することにより、開口部102を通して用紙搬送部180や記録部200等の内部機構のメンテナンス作業等を簡易に行うことができる。
【0014】
操作部110は、図1及び図2に示すように、略矩形状の操作パネル111を備え、この操作パネル111の略中央部に操作状態等を表示する液晶パネル112が配設され、この液晶パネル112の両側にパワーをオン・オフするパワー系、用紙の頭出し等を操作したりインクのフラッシング等を操作する操作系、画像処理等を行う処理系等のボタン113が配設されている。ユーザは、液晶パネル112を見て確認しながらボタン113を操作することができるので、誤操作を防止することができる。
【0015】
カートリッジ収納部120は、図1及び図2に示すように、印刷用の各色(本例では9色)のインクを貯留している図3及び図4に示すインクカートリッジ121が抜き差し可能に収納されている。このカートリッジ収納部120は、断面がL字状のカートリッジカバー122によって覆われている。カートリッジカバー122は、後端の回動軸を中心に図示矢印b方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、カートリッジカバー122を持ち上げてカートリッジ収納部120を開放することにより、インクカートリッジ121を簡易に交換等することができるので、作業効率を向上させることができる。
【0016】
第1リア給紙部130は、自動給紙(ASF)用であり、図1及び図2に示すように、上方に向かって矩形状に開口した第1給紙口131を開閉する機能と、給紙する用紙を1枚もしくは複数枚サポートする機能を併せ持った4段構造の第1ペーパーサポート132を備えている。この第1ペーパーサポート132は、後端の回動軸を中心に図示矢印c方向に回動可能に取り付けられている。この第1リア給紙部130で給紙される用紙は、比較的薄手の用紙(例えば、厚さ0.08mm〜0.27mm程度の普通紙や写真用紙等)が使用される。
【0017】
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第1ペーパーサポート132の図示手前中央に設けられた穴132aに指を掛けて第1ペーパーサポート132を持ち上げて多段部分を引き出すことによりセッティングが完了するので、着脱式のペーパーサポートの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造の第1ペーパーサポート132であるので、種々のサイズの給紙する用紙を確実にサポートすることができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第1ペーパーサポート132を多段部分を押し込んで閉じることにより第1給紙口131を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、第1ペーパーサポート132をコンパクトに格納しておくことができる。
【0018】
第2リア給紙部140は、手差し給紙用であり、図2に示すように、後方に向かって矩形状に開口した第2給紙口141を開閉する機能と、給紙する用紙を1枚サポートする機能を併せ持った2段構造の第2ペーパーサポート142を備えている。この第2ペーパーサポート142は、下端の回動軸を中心に図示矢印d方向に回動可能に取り付けられている。この第2リア給紙部140で給紙される用紙は、第1リア給紙部130における搬送角度で給紙できない厚さの用紙(例えば、厚さ0.29mm〜0.48mm程度の画材用紙や専用紙等)が使用される。更に、第1リア給紙部130は自動給紙(ASF)用であることから給紙ローラ82で用紙をピックアップするので、この給紙ローラ82に紙粉が付着して蓄積されると、給紙ローラ82に滑りが生じて給紙不良を引き起こすおそれがある。そのため、紙粉が発生し易い用紙(例えば、厚さ0.48mm程度のVelvet Fine Art Paperや厚さ0.46mm程度のUltra Smooth Fine Art Paper)についても、第2リア給紙部140で手差し給紙させる必要がある。
【0019】
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第2ペーパーサポート142の図示上部に指を掛けて第2ペーパーサポート142を押し下げて多段部分を引き出すことによりセッティングが完了するので、着脱式のペーパーサポートの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造の第2ペーパーサポート142であるので、種々のサイズの給紙する用紙を確実にサポートすることができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第2ペーパーサポート142を多段部分を押し込んで閉じることにより第2給紙口141を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、第2ペーパーサポート142をコンパクトに格納しておくことができる。
【0020】
排紙部150は、図1に示すように、前方に向かって矩形状に開口した排紙口151を開閉する機能と、排紙される用紙を1枚もしくは複数枚スタックする機能を併せ持った図3に示す第1スタッカ51と第2スタッカ52の2段構造のスタッカ152を備えている。第1スタッカ51は、第2スタッカ52の先端側で回動軸を中心に図示矢印e方向に回動可能に取り付けられている。第2スタッカ52は、排紙口151に対して斜め上下に平行移動して突出・格納可能なように取り付けられている。
【0021】
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第1スタッカ51の上部に指を掛け第1スタッカ51を手前に回動させて排紙口151を開け、第1スタッカ51の先端を指で摘んで引き出し第2スタッカ52を斜め上方へ平行移動させて突出させることによりセッティングが完了するので、着脱式のスタッカの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造のスタッカ152であるので、種々のサイズの排紙される用紙を確実に積層載置することができ、また、記録後の用紙は常に前面側から排紙されるので、ユーザは用紙を容易に取り出すことができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第1スタッカ51の先端を手で押し込むことにより第2スタッカ52を斜め下方へ平行移動させて格納すると共に、第1スタッカ51に手を添えて第1スタッカ51を後方へ回動させて排紙口151を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、スタッカ152をコンパクトに格納しておくことができる。
【0022】
フロント給紙部160は、手差し給紙用であり、図3に示すように、排紙口151におけるスタッカ152の上方に配設された給紙トレイ161を備えている。この給紙トレイ161は、排紙口151に対して水平に移動可能に設けられている。このフロント給紙部160で給紙される用紙は、搬送時に折り曲げることが不可能な比較的厚手の用紙(例えば、厚さ1.2mm程度のマットボード紙等)が使用される。
【0023】
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、給紙トレイ161の先端を軽く押し込むことにより、給紙トレイ161のストッパが外れて給紙トレイ161が排紙口151から突出する。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、給紙トレイ161の先端を軽く押し込むことにより、給紙トレイ161のストッパが掛かって給紙トレイ161が排紙口151内に格納される。従って、給紙トレイ161の配設スペース効率を高めることができる。
【0024】
廃インク回収部170は、図1〜図3に示すように、廃インク等を貯留する廃インクタンク171が抜き差し可能に収納されている。この廃インクタンク171は、記録ヘッド202のクリーニング処理時やインクカートリッジの交換時に廃棄される廃インク等を貯留する。ユーザは、廃インクタンク171に廃インク等が一杯に溜まったときは、その廃インクタンク171を引き出して新しい廃インクタンク171を差し込むのみで良いので、廃インクタンク171の交換作業を簡易に行うことができる。
【0025】
用紙搬送部180は、図3及び図4に示すように、第1リア給紙部130及び第2リア給紙部140から排紙部150に掛けて配設されており、自動給紙機構181、搬送機構182、排紙機構183を備えている。自動給紙機構181は、図4に示すように、第1ペーパーサポート132にサポートされている用紙を給送するために持ち上げるホッパ81、このホッパ81により持ち上げられた用紙を取り出す給紙ローラ82、この給紙ローラ82により重送された用紙を1枚のみに分離するリタードローラ83、このリタードローラ83により分離された残りの用紙をホッパ81へ戻す紙戻しレバー84等を備えている。
【0026】
ホッパ81は、用紙が載置可能な平板状に形成されて後壁と略平行に配設されており、下端が給紙ローラ82の近傍に位置し、上端が後壁頂部に近接して位置するように配設されている。そして、ホッパ81は、後壁に一端が取り付けられた図示しない圧縮バネの他端が下端側の裏面に取り付けられており、この圧縮バネの伸縮により上端側を中心に下端側が旋回するように配設されている。
【0027】
給紙ローラ82は、断面の一部が切り欠かれたD字状に形成されてホッパ81の下端近傍に配設されており、間欠的に回転してホッパ81により持ち上げられた用紙を摩擦給送するようになっている。リタードローラ83は、給紙ローラ82と当接可能に配設されており、給紙ローラ82により用紙が重送されたときに最上層の用紙のみを下層の用紙から摩擦分離するようになっている。紙戻しレバー84は、爪状に形成されて給紙ローラ82の近傍に配設されており、リタードローラ83により分離された下層の用紙を爪に掛けてホッパ81へ戻すようになっている。
【0028】
搬送機構182は、図4に示すように、記録動作に同期して副走査方向に用紙を送る紙送りローラ85とその従動ローラ86等が配設されている。紙送りローラ85は、プラテン203の搬送上流側に配設されており、給紙ローラ82により給送される用紙を従動ローラ86と共に挟持してプラテン203へ送り出すようになっている。
【0029】
排紙機構183は、図4に示すように、排紙ローラ87と第1ギザローラ88a及び第2ギザローラ88b等を備えている。第1ギザローラ88aは、プラテン203の搬送下流側に配設され、第2ギザローラ88bと排紙ローラ87は、第1ギザローラ88aの搬送下流側に対向配設されており、プラテン203を通過してくる用紙を先ず第1ギザローラ88aで排送し、続いて第2ギザローラ88bと排紙ローラ87で挟持してスタッカ152上へ排紙するようになっている。尚、第1ギザローラ88a及び第2ギザローラ88bは、図示しない同一の保持部材により保持されている。
【0030】
制御部190は、図4に示すように、プリンタコントローラを構成するメイン基板及び電源基板が収納されたエンクロージャ(部品収納ケース)191を備えている。そして、プリントエンジンを構成する用紙搬送部180や記録部200等を制御するようになっている。尚、本発明の特徴的な部分を含む制御部190については後で図面を参照して詳述する。
【0031】
記録部200には、図4に示すように、記録動作に同期して主走査方向に移動するキャリッジ201、記録動作に同期してインクを吐出する記録ヘッド202と、記録時の用紙を平坦に保持するプラテン203等が配設されている。キャリッジ201は、図3に示すように、プラテン203の上方でキャリッジガイド軸204に貫装されてキャリッジベルト205に連結されており、図示しないキャリッジモータによってキャリッジベルト205が作動すると、キャリッジベルト205の動きに連行され、キャリッジガイド軸204に案内されて往復移動するようになっている。
【0032】
記録ヘッド202は、図4に示すように、プラテン203と所定の間隔が空くようにしてキャリッジ201に搭載されており、2種類のブラック、例えばフォトブラックとマットブラックのインクと、イエロー、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、グレー、レッドの7色のインクをそれぞれ吐出することができる。即ち、記録ヘッド202は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口がノズルプレートに設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口から用紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。プラテン203は、紙送りローラ85と排紙ローラ87の間であって記録ヘッド202と対向するように配設されており、搬送されてくる用紙を面支持するようになっている。次に、本発明の特徴的な部分を含む制御部190の詳細について、更に図を参照して説明する。
【0033】
図5は、上記制御部190を露出させた状態をプリンタ背面側から見た斜視図、図6は、上記エンクロージャ191を示す斜視図、図7は、上記制御部190を組み込んだ状態をプリンタ背面側から見た斜視図である。この制御部190は、図5に示す上述したエンクロージャ191を備えており、インクジェット式プリンタ100の背面側の底部、即ち図7に示す第1リア給紙部130及び第2リア給紙部140の下方であって図5に示すメインフレーム103の後方に配設されている。
【0034】
エンクロージャ191は、コネクタ(電子部品)、CPU(電子部品)、ROM(電子部品)、RAM(電子部品)、ASIC(電子部品)、トランジスタ(電子部品)、コンデンサ(電子部品)等が実装されたメイン基板(電子部品)192及びコネクタ(電子部品)、トランス(電子部品)、コンデンサ(電子部品)等が実装された電源基板(電子部品)193を機械的に保護する機能と、各種電子部品から発生する電磁波等をシールドする機能を有している。
【0035】
このエンクロージャ191は、図5及び図6に示すように、例えばアルミニウム等の板金で箱状に形成されており、ケース本体191aとケースカバー191bを備えている。ケース本体191aは、上面が開放されており、この開放面からメイン基板192及び電源基板193等が収納されてネジ等で固定される。ケースカバー191bは、ケース本体191aの開口部を覆うように被せられてネジ等で固定される。
【0036】
エンクロージャ191の背面には、電源コネクタ194や図示しない外部インターフェースコネクタが外部に露出するような開口部191c、191dと、複数の穴で成る吸気口191e及び排気口191fが設けられている。図示しない冷却用ファンの回転により吸気口191eから吸気された外気は、メイン基板192及び電源基板193や、それらに実装された各種回路素子等で発生する熱を吸熱して排気口191fから排気される。
【0037】
更に、エンクロージャ191の背面には、制御信号や駆動信号等を伝送するフレキシブルフラットケーブル195を通す切り欠き部196が設けられている。切り欠き部196は、比較的大きな開口面積で2つ形成されている。このような切り欠き部196とした理由は、本実施形態のインクジェット式プリンタ100が比較的多機能であるため、多数のフレキシブルフラットケーブル195を通す必要があるためである。更に、それらを接続するコネクタ195aも信号によっては1箇所に集中できずに一定の距離を空けて配置する必要があると共に、コネクタ195aの接続作業が容易な配置とする必要もあるためである。また、図7に示すように、エンクロージャ191をプリンタ本体に組み込んで、第1リア給紙部130及び第2リア給紙部140をプリンタ本体に組み付けた後であっても、切り欠き部196からエンクロージャ191の内部を覗き込むことにより、全コネクタ195aの接続状態を目視チェック可能とするためである。
【0038】
ここで、比較的大きな開口面積を有する切り欠き部196を設けると、そこから電磁波等が漏洩し易くなるため、各種電子部品から発生する電磁波等をシールドするというエンクロージャ191の有する機能を損なうことになる。そこで、切り欠き部196を塞ぐシールド板を設ければ良いが、このシールド板を別部品で設けた場合、エンクロージャ191にシールド板を取り付け、その後に更にインクジェット式プリンタ100のリアカバーを取り付ける必要があり、高精度な取付が困難であり、また取付作業に手間が掛かるおそれがある。そこで、本実施形態では、以下のような構成となっており、図を参照して説明する。
【0039】
図8は、リアカバーを示す斜視図、図9は、シールド板を示す斜視図、図10は、リアカバーにシールド板を取り付けた状態を示す斜視図である。リアカバー(外装ケース)197は、図8に示すように、エンクロージャ191の背面側を略覆ってハウジング101に取り付けることが可能な上面視略Uの字状の帯板状にプラスチック等により形成されている。このリアカバー197には、エンクロージャ191の切り欠き部196に対応する位置にリブ198が設けられ、シールド板199が取り付けられる箇所に位置決めピン197aと固定フック197bが突設されている。更に、エンクロージャ191の開口部191c、191dと対応する位置に開口部197c、197dが設けられ、吸気口191eからの吸気のためのスリット197eが略全面に設けられている。
【0040】
シールド板(板状部材)199は、図9に示すように、エンクロージャ191の切り欠き部196のうちリアカバー197のリブ198が覆う部分を除く部分を完全に覆うことが可能な帯板状に板金等により形成されている。このシールド板199には、リアカバー197の位置決めピン197aと固定フック197bに対応する位置に位置決め穴199aと固定穴199bが穿孔され、エンクロージャ191の開口部191c、191dと対応する位置に開口部199cが設けられている。また、シールド板199の両端には、固定用のバネ199dが折り曲げ形成されている。
【0041】
このような構成において、シールド板199をリアカバー197に取り付ける際は、図10に示すように、シールド板199の位置決め穴199aと固定穴199bにリアカバー197の位置決めピン197aと固定フック197bを合わせる。そして、シールド板199をリアカバー197に対して押圧することにより、シールド板199のバネ199dが弾性変形すると共に、リアカバー197の固定フック197bが弾性変形する。更に、シールド板199をリアカバー197に対して押圧することにより、リアカバー197の固定フック197bが復元してシールド板199の固定穴199bに係止する。
【0042】
従って、シールド板199は、バネ199dの復元力によりリアカバー197の固定フック197bに係止されることになり、リアカバー197と強固に一体化されることになる。よって、リアカバー197をハウジング101に取り付ける簡易な作業のみで、エンクロージャ191をリアカバー197により覆うことができると同時に、エンクロージャ191の特に切り欠き部196をシールド板199により塞いでシールドすることができる。
【0043】
図11は、リアカバー197におけるリブ198の詳細を示す拡大斜視図である。このリブ198は、リアカバー197でエンクロージャ191を覆ったときに、切り欠き部196の上部において、上端部は開放し、左右端部と下端部は閉塞する略U字形状に形成されている。このような構成のリブ198を有するリアカバー197をハウジング101に取り付けたときのリブ198の作用について更に図を参照して説明する。
【0044】
図12及び図13は、リアカバー197をハウジング101に取り付けたときの断面側面図及び断面平面図である。ハウジング101内を引き回されたフレキシブルフラットケーブル195は、リアカバー197のリブ198からエンクロージャ191の切り欠き部196を通ってエンクロージャ191内に導入される。そして、折り曲げ角度が急にならないようにで略U字状に引き回され、メイン基板192に実装されたコネクタ195aに接続される。
【0045】
エンクロージャ191の板金で成るケースカバー191bの縁部は丸め加工されているので、フレキシブルフラットケーブル195と接触しても擦れによるフレキシブルフラットケーブル195の傷付きが生じることは無い。また、エンクロージャ191の板金で成るケース本体191aの切り欠き部196は打ち抜き加工のままであるため縁部は鋭利であるが、プラスチックで成るリアカバー197のリブ198により覆われているため、フレキシブルフラットケーブル195はリブ198と接触することになり、擦れによるフレキシブルフラットケーブル195の傷付きが生じることは無い。
【0046】
以上のように本発明のエンクロージャ191によれば、フレキシブルフラットケーブル195を通す切り欠き部196を塞ぐシールド板199を備えたので、切り欠き部196の開口面積を大きくしてもシールド板199により電磁波等の漏洩を確実にシールドすることができる共に、切り欠き部196の開口面積が大きいのでフレキシブルフラットケーブル195が多数あっても切り欠き部196からフレキシブルフラットケーブル195のコネクタ195aの接続状態を容易に確認することができる。
【0047】
また、リアカバー197は、少なくとも切り欠き部196の形成面を覆うことができる形状に形成されていれば良い。そして、リアカバー197にはシールド板199が取り付けられているので、リアカバー197を組み付ける際にシールド板199も同時に取り付けることができ、シールド板199の取付作業が簡易かつ確実なものとなる。また、リブ198は、リアカバー197に形成したが、シールド板199に形成しても、切り欠き部196の縁部とフレキシブルフラットケーブル195との擦れによるフレキシブルフラットケーブル195の傷付きを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
部品収納ケースを備えた記録装置としてインクジェット式プリンタを例に説明したが、部品収納ケースを備えた記録装置であれば、例えばファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。また、記録装置に限らず、部品収納ケースを備えた全ての電子機器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの外観構成の全体を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図1のプリンタの外観構成の全体を斜め後方から見た斜視図である。
【図3】図1のプリンタの内部構成の概略を示す斜視図である。
【図4】図1のプリンタの内部構成の概略を示す断面側面図である。
【図5】図1のプリンタの制御部を露出させた状態をプリンタ背面側から見た斜視図である。
【図6】図5の制御部のエンクロージャを示す斜視図である。
【図7】図1のプリンタの制御部を組み込んだ状態をプリンタ背面側から見た斜視図である。
【図8】図1のプリンタのリアカバーを示す斜視図である。
【図9】図1のプリンタのシールド板を示す斜視図である。
【図10】リアカバーにシールド板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】図8のリアカバーにおけるリブの詳細を示す拡大斜視図である。
【図12】図8のリアカバーをハウジングに取り付けたときの断面側面図である。
【図13】図8のリアカバーをハウジングに取り付けたときの断面平面図である。
【符号の説明】
【0050】
100 インクジェット式プリンタ、110 操作部、120 カートリッジ収納部、130 第1リア給紙部、140 第2リア給紙部、150 排紙部、160 フロント給紙部、170 廃インク回収部、180 用紙搬送部、190 制御部、191 エンクロージャ、191a ケース本体、191b ケースカバー、192 メイン基板、193 電源基板、195 フレキシブルフラットケーブル、195a コネクタ、196 切り欠き部、197 リアカバー、198 リブ、199 シールド板、200 記録部、210 プリンタカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線を通す切り欠き部を有し、前記配線に接続される電子部品を収納する部品収納ケースであって、
前記切り欠き部を塞ぐ板状部材を備えたことを特徴とする部品収納ケース。
【請求項2】
少なくとも前記切り欠き部の形成面を覆う外装ケースを備え、前記板状部材が前記外装ケースに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の部品収納ケース。
【請求項3】
前記切り欠き部の縁部と前記配線との接触を防ぐリブが、前記板状部材又は前記外装ケースの少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品収納ケース。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の部品収納ケースを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
被記録媒体に記録する記録装置であることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−158138(P2007−158138A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352923(P2005−352923)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】