説明

部品寿命管理システム

【課題】環境の異なる場所に設置される自動取引装置に対して、部品の寿命管理を適正に行うことが可能な部品寿命管理システムを提供する。
【解決手段】部品寿命管理システム1は、自動取引装置20と、この自動取引装置20に備わる部品の寿命を管理する管理装置10とからなる。自動取引装置20は、当該装置の設置環境に関する環境情報を収集する環境情報収集手段と、交換された部品に関する交換情報を入力するための交換情報入力手段とを備え、部品が交換された場合に、環境情報および交換情報を、当該交換部品の稼動情報とともに管理装置10へ送信する。また、管理装置10は、自動取引装置20の各部品ごとに、部品交換の要否判定の基準となる交換基準値が設定された記憶手段と、自動取引装置20から取得した環境情報、交換情報、および稼動情報に基づいて、交換基準値を変更する基準値変更手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に備わる部品の寿命を管理するための部品寿命管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(自動預入支払機)のような自動取引装置には、多数の部品が備わっている。これらの部品には、例えばローラやベルトのように、磨耗や劣化によって寿命を迎えるものがあり、寿命を迎えた部品は新しい部品と交換する必要がある。このため、部品ごとに交換基準値を予め設定しておき、部品の動作回数が交換基準値に達すると、部品交換を指示するメッセージを表示部に表示し、このメッセージに従って保守員が部品交換を行うようにしている。
【0003】
しかし、自動取引装置の使用状況によっては、動作回数が交換基準値に達する前に、部品の寿命が到来する場合がある。このような場合には、部品交換が行われる前に動作不良等の障害が発生するおそれがある。この対策として、後記の特許文献1、2で提案されているような方法がある。
【0004】
特許文献1では、紙幣の繰り出し枚数に基づいて、各紙幣カセットにおける繰り出しローラの寿命に順位付けを行い、紙幣カセットの最適な交換運用を行うことで、繰り出しローラを寿命到来前に交換できるようにしている。特許文献2では、紙幣取扱部の累積動作回数に基づいて算出される余寿命に応じて、紙幣の搬送速度を低速に切り替えることで、紙幣の搬送障害を未然に防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−159107号公報
【特許文献2】特開2006−4178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動取引装置に用いられている部品の寿命は、当該装置の設置環境によって大きく左右される。例えば、日本で製造された自動取引装置が外国で使用される場合、その国の気温・湿度等の環境が日本と大きく異なれば、部品の寿命は日本での標準寿命と異なることになる。また、同じ日本国内であっても、例えば北海道と沖縄とでは環境が異なるため、部品の寿命に差が生じる結果となる。さらには、自動取引装置が店舗内に設置される場合と、店舗外に設置される場合とでも、環境の相違に基因して同様のことが起こりうる。
【0007】
従来の自動取引装置では、部品に関して、上述したような設置環境を考慮した寿命管理が行われておらず、環境の異なる場所に設置される各自動取引装置に対して、同一の交換基準値が適用されていた。このため、ある環境下では、部品の寿命が標準寿命よりも短くなり、別の環境下では、部品の寿命が標準寿命よりも長くなるといった状況が生じていた。前者の場合は、部品交換前に動作不良等の障害が発生する可能性があり、後者の場合は、まだ寿命があるにもかかわらず部品を交換するという無駄が発生する。したがって、従来の自動取引装置は、部品の寿命管理を適正に行うことができなかった。
【0008】
また、保守員が装置ごとに部品の寿命管理を行なう場合でも、設置環境が標準環境と著しく異なる場合においては、各部品に及ぼす設置環境の影響の度合いが不明なことから、保守員が適正な寿命管理を実施することは困難である。なお、前記の特許文献1、2で提案されている方法は、使用頻度について考慮されているものの、設置環境については何ら考慮されていないので、上述した課題を解決することはできない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、環境の異なる場所に設置される自動取引装置に対して、部品の寿命管理を適正に行うことが可能な部品寿命管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る部品寿命管理システムは、自動取引装置と、この自動取引装置に備わる部品の寿命を管理する管理装置とからなる。自動取引装置は、当該装置の設置環境に関する環境情報を収集する環境情報収集手段と、交換された部品に関する交換情報を入力するための交換情報入力手段とを備え、部品が交換された場合に、環境情報および交換情報を、当該交換部品の稼動情報とともに管理装置へ送信する。また、管理装置は、自動取引装置の各部品ごとに、部品交換の要否判定の基準となる交換基準値が設定された記憶手段と、自動取引装置から取得した環境情報、交換情報、および稼動情報に基づいて、交換基準値を変更する基準値変更手段とを備える。
【0011】
このような構成によると、各部品の交換基準値を変更するに際して、自動取引装置の設置場所の環境情報を反映させることができるので、自動取引装置の設置環境に応じた適正な寿命管理を行うことができる。
【0012】
本発明においては、環境情報および交換情報に基づいて、交換された部品と類似する環境にある他の部品の有無を判定する第1の判定手段をさらに備えていてもよい。この場合、基準値変更手段は、第1の判定手段により上記他の部品があると判定された場合に、当該部品の交換基準値を変更する。
【0013】
これによると、交換された部品の交換基準値が変更されることに伴って、類似する環境にある他の部品の交換基準値も同時に変更されるので、自動取引装置の設置環境に応じた信頼性の高い寿命管理を行うことができる。
【0014】
また、本発明においては、環境情報に基づいて、部品が交換された自動取引装置と類似する環境にある他の自動取引装置の有無を判定する第2の判定手段をさらに備えていてもよい。この場合、基準値変更手段は、第2の判定手段により上記他の自動取引装置があると判定された場合に、当該自動取引装置における該当する部品の交換基準値を変更する。
【0015】
これによると、1つの自動取引装置における各部品の交換基準値が変更されることに伴って、類似する環境にある他の自動取引装置における各部品の交換基準値も同時に変更されるので、自動取引装置の設置環境に応じた信頼性の高い寿命管理を行うことができる。
【0016】
また、本発明においては、管理装置からの環境変更の指示に従って、自動取引装置の設置環境を調整する環境調整手段をさらに備えていてもよい。この場合、管理装置は、環境情報、交換情報、および稼動情報に基づいて、設置環境の変更が必要と判断した場合に、環境変更の指示を行う。
【0017】
これによると、自動取引装置に装備された環境調整手段によって設置環境を自動的に調整することができるとともに、環境が調整されることで部品寿命の延命化をはかることができる。
【0018】
また、本発明において、管理装置は、環境情報に基づいて、自動取引装置の設置環境が標準環境と比較して差異があるか否かを判定し、差異がある場合は、環境変更の指示を行い、差異がない場合は、基準値変更手段により交換基準値を変更するようにしてもよい。
【0019】
これによると、設置環境が標準環境と比較して差異があれば、設置環境を変更して標準環境に近づけることで、部品寿命の延命化が可能となり、設置環境が標準環境と比較して差異がなければ、交換基準値を変更することで、部品交換前に障害が発生したり、余寿命のある部品を交換する無駄が発生したりするのを未然に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、自動取引装置の設置場所の環境情報を交換基準値の変更に反映させるようにしたので、環境の異なる場所に設置される自動取引装置に対して、部品の寿命管理を適正に行うことが可能な部品寿命管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る部品寿命管理システムの概略構成図である。
【図2】サーバの構成を示したブロック図である。
【図3】自動預入支払機の構成を示したブロック図である。
【図4】自動預入支払機の環境情報ファイルの内容を示した図である。
【図5】自動預入支払機の部品情報ファイルの内容を示した図である。
【図6】サーバの管理ファイルにおける環境情報テーブルを示した図である。
【図7】サーバの管理ファイルにおける部品情報テーブルを示した図である。
【図8】第1実施形態における自動預入支払機の動作を示したフローチャートである。
【図9】第1実施形態におけるサーバの動作を示したフローチャートである。
【図10】第2実施形態における自動預入支払機の構成を示したブロック図である。
【図11】第2実施形態における自動預入支払機の動作を示したフローチャートである。
【図12】第2実施形態におけるサーバの動作を示したフローチャートである。
【図13】第3実施形態における自動預入支払機の動作を示したフローチャートである。
【図14】第3実施形態におけるサーバの動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分または対応する部分には同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る部品寿命管理システムの構成につき、図1〜図3を参照しながら説明する。図1において、部品寿命管理システム1は、サーバ10と、複数台の自動預入支払機(ATM)20と、ネットワーク2とから構成される。サーバ10は、自動預入支払機20に備わる部品の寿命を管理する管理装置を構成している。各自動預入支払機20は、自動取引装置の一例であって、ネットワーク2を介してサーバ10に接続されている。これらの自動預入支払機20は、金融機関の本店・支店・出張所や、コンビニエンスストアなどに設置されており、店舗内に限らず店舗外に設置される場合もある。
【0024】
サーバ10は、図2に示すように、CPU101、メモリ102、ハードディスク103、および通信部104を備えている。CPU101は、サーバ10の動作を制御する制御手段を構成するとともに、本発明における基準値変更手段、第1の判定手段、および第2の判定手段を構成している。メモリ102は、CPU101の動作プログラムや制御データ等が記憶されている領域や、自動預入支払機20から送られてきたデータが一時的に格納される領域などを有する。ハードディスク103には、後述する環境情報および部品情報を自動預入支払機20ごとに収集した管理ファイル110が格納されている。このハードディスク103は、本発明における記憶手段を構成している。通信部104は、サーバ10をネットワーク2に接続するとともに、ネットワーク2を介して自動預入支払機20(図1)と通信を行うための通信手段を構成している。
【0025】
自動預入支払機20は、図3に示すように、制御部201、環境情報収集部202、紙幣入出金部203、カード処理部204、通帳処理部205、明細票発行部206、タッチパネル207、上位通信部208、およびハードディスク209を備えている。環境情報収集部202には、自動預入支払機20内の温度を計測する温度センサ202A、自動預入支払機20内の湿度を計測する湿度センサ202B、および自動預入支払機20内の埃の量を計測する埃センサ202Cが設けられている。埃センサ202Cとしては、例えば特開2000−356583号公報に記載されているような光学式の埃センサを用いることができる。
【0026】
制御部201は、自動預入支払機20の動作を制御するCPUや、当該CPUの動作プログラムや制御データ等が記憶されているメモリ等から構成されている。環境情報収集部202は、自動預入支払機20が設置されている場所の環境情報(温度、湿度、埃量)を収集する環境情報収集手段を構成している。紙幣入出金部203は、紙幣の預入処理や支払処理を行う。カード処理部204は、磁気カードやICカードに対して、データの読み取りや書き込みを行う。通帳処理部205は、通帳の印字や発行などを行う。明細票発行部206は、取引内容を印字した明細票を発行する。
【0027】
タッチパネル207は、本発明における交換情報入力手段の一例であって、顧客や係員に対する案内画面や各種操作画面を表示する。上位通信部208は、自動預入支払機20をネットワーク2に接続するとともに、ネットワーク2を介してサーバ10と通信を行う通信手段を構成している。記憶手段としてのハードディスク209には、当該自動預入支払機20に関する環境情報が格納された環境情報ファイル210、および当該自動預入支払機20に関する部品情報が格納された部品情報ファイル220が格納されている。
【0028】
次に、環境情報および部品情報の詳細について説明する。図4は、自動預入支払機20の環境情報ファイル210に記録されている環境情報の例を示している。環境情報ファイル210には、日付211、温度情報212、湿度情報213、埃情報214が記録される。また、温度・湿度・埃に関して、それぞれの標準値が予め設定されている。温度情報212の欄には、温度センサ202Aによって測定された毎日の温度の最大値と最小値が記録される。湿度情報213の欄には、湿度センサ202Bによって測定された毎日の湿度の最大値と最小値が記録される。埃情報214の欄には、埃センサ202Cによって測定された毎日の埃量の最大値と最小値が記録される。
【0029】
図5は、自動預入支払機20の部品情報ファイル220に記録されている部品情報の例を示している。部品情報ファイル220には、部品名称221、交換基準値222、累積動作回数223が記録される。部品名称221の欄には、自動預入支払機20を構成する各種部品のうち、磨耗や劣化等のために寿命が有限である部品(寿命部品)の名称が列挙されている。交換基準値222の欄には、部品交換の要否を判定する際の基準となる交換基準値が、各部品ごとに予め定められて記録されている。累積動作回数223の欄には、各部品ごとの動作回数の累積値、すなわち部品交換時から現在までの総動作回数が記録されている。これらの累積値は、紙幣入出金部203、カード処理部204、通帳処理部205、明細票発行部206のそれぞれの動作に基づいて、制御部201が各部品の動作回数を集計することにより算出される。累積動作回数が交換基準値に達すると、タッチパネル207のメンテナンス画面に、部品名と、部品交換を指示するメッセージ等が表示される。累積動作回数223は、本発明における稼動情報の一例である。
【0030】
図6は、サーバ10の管理ファイル110の一部を構成する環境情報テーブル120の例を示している。この環境情報テーブル120には、各自動預入支払機20から収集した温度情報121、湿度情報122、および埃情報123(データは省略)の、それぞれの例えば1か月間の最小値、最大値、および平均値が記録される。また、これらの最小値、最大値、および平均値の標準値が予め設定されている。
【0031】
図7は、サーバ10の管理ファイル110の主要部を構成する部品情報テーブル130の例を示している。この部品情報テーブル130には、部品名称131、標準動作寿命132、環境影響レベル133、部品稼動状況134が記録される。部品名称131の欄に列挙されている部品名称は、図5の部品名称221と同じものである。標準動作寿命132の欄には、各自動預入支払機20に共通に設定された部品ごとの動作寿命が記録される。環境影響レベル133の欄には、各部品が温度・湿度・埃にどの程度影響されやすいかを示す10段階のレベルが記録される。レベル10が最も影響を受けやすく、レベル1が最も影響を受けにくい。部品稼動状況134の欄には、各自動預入支払機20から収集した累積動作回数(上段)と、自動預入支払機20ごとに設定された交換基準値(下段)とが記録される。累積動作回数は、図5に示した累積動作回数223であり、交換基準値は、図5に示した交換基準値222である。工場出荷時には、各部品の交換基準値は、全ての自動預入支払機20について、標準動作寿命132と同じ値に設定されている。但し、必要に応じて、特定の自動預入支払機に対して、交換基準値を個別に設定してもよい。
【0032】
次に、上記構成からなる寿命管理システム1の動作につき、図8および図9を参照しながら説明する。
【0033】
まず、自動預入支払機20における動作を、図8のフローチャートに従って説明する。ステップS1では、保守員によって部品の交換が行われる。この交換は、自動預入支払機20での障害発生時または定期点検時、その他必要があるときに行われる。部品の交換が終了すると、ステップS2で、保守員は、タッチパネル207(図3)に表示されるメンテナンス画面を操作し、交換情報として、交換した部品名と交換理由を入力する。交換理由としては、障害による交換、定期点検による交換、部品自体の変更などがある。
【0034】
ステップS3では、ステップS2で入力された交換情報と、部品情報ファイル220における交換部品に対応した部品情報と、環境情報ファイル210における交換部品に対応した環境情報とが、上位通信部208からネットワーク2を介してサーバ10へ送信される。ここで、部品情報としては、交換した部品の累積動作回数223(図5)が送信される。
【0035】
ステップS4では、サーバ10から交換基準値222の変更指示を受信するのを待つ。そして、所定時間内にサーバ10から変更指示を受信した場合は(ステップS4:YES)、ステップS5へ進み、所定時間内にサーバ10から変更指示を受信しなかった場合は(ステップS4:NO)、ステップS6へ進む。
【0036】
ステップS5では、部品情報ファイル220に記録されている交換基準値222のうち、交換した部品に対応する交換基準値、および後述の類似環境部品に対応する交換基準値を、サーバ10から変更指示とともに送られてきた新たな交換基準値に変更する(書き換える)。
【0037】
ステップS6では、交換した部品に対応する累積動作回数223の値をゼロにクリアする。これにより、部品交換が実施されると、当該部品の累積動作回数がリセットされ、以降の新たな動作回数の計数に備える。
【0038】
次に、サーバ10における動作を、図9のフローチャートに従って説明する。ステップS11では、図8のステップS3において自動預入支払機20から送信された交換情報、部品情報(累積動作回数)、および環境情報を、通信部104が受信する。このとき、受信した環境情報および部品情報に基づいて、環境情報テーブル120(図6)および部品情報テーブル130(図7)の内容が更新される。
【0039】
ステップS12では、受信した交換情報に基づいて、部品の交換理由が障害によるものか否かを判定する。交換理由が障害によるものでなければ(ステップS12:NO)、当該交換は通常の定期点検等に基づくものであるので、以降のステップS13〜S20を実行することなく、処理を終了する。一方、交換理由が障害によるものであれば(ステップS12:YES)、ステップS13へ進む。
【0040】
ステップS13では、交換した部品について寿命を解析する。具体的には、交換した部品の累積動作回数を、当該部品について予め設定された交換基準値と比較し、累積動作回数が交換基準値に達しているか否かを検証する。
【0041】
ステップS14では、ステップS13での検証結果に基づき、交換部品に関する交換基準値を変更する必要があるか否かを判定する。具体的には、ステップS13での検証の結果、累積動作回数が交換基準値に達する前に障害が発生したのであれば、予定より早く寿命が到来したことになるので、交換基準値を下げる必要があると判定する(ステップS14:YES)。この場合は、ステップS15へ進む。
【0042】
一方、ステップS13での検証の結果、累積動作回数が交換基準値を超えていて障害が発生したのであれば、本来は定期点検時に部品交換を実施しなければならないのに、交換をしなかったのが原因で障害が発生したことになるので、障害発生は当然と捉えて、交換基準値の変更は不要と判定する(ステップS14:NO)。この場合は、以降のステップS15〜S20を実行することなく、処理を終了する。
【0043】
ステップS15では、図7の部品情報テーブル130における、該当する自動預入支払機の交換部品の交換基準値(部品稼動状況134の下段)を変更する。例えば、変更前の交換基準値が500万回である部品の交換時の累積動作回数が400万回であったとした場合、交換基準値が500万回から400万回に変更される。これにより、以降は当該部品に関して、累積動作回数が400万回に達した時点で、交換を指示するメッセージがタッチパネル207に表示される。
【0044】
ステップS16では、交換した部品と類似した環境にある他の部品(以下、「類似環境部品」という。)の有無を判定する。具体的には、図7の部品情報テーブル130における環境影響レベル133を参照し、温度・湿度・埃の各環境影響レベルが交換部品の各環境影響レベルと同じかまたは接近している部品を検索する。例えば、交換部品が、部品名称欄の上から5番目の「紙幣入出口ゴム部品」であった場合、この部品の環境影響レベルは、温度・湿度・埃の順に「9,10,8」である。そこで、温度・湿度・埃の各環境影響レベルが全て上記レベルから±1の範囲にある部品を類似環境部品とする。これにより、温度・湿度・埃の環境影響レベルが「9,10,8」である「カード搬送ゴム部品」と、同環境影響レベルが「9,10,7」である「通帳搬送ゴム部品」とが、類似環境部品と判定される。なお、ここで挙げた類似環境部品の判定基準は一例であって、実際には、自動預入支払機が設置される国、地域、場所等に応じて、様々な判定基準が採用される。
【0045】
ステップS17では、類似環境部品の交換基準値を変更する。具体的には、部品情報テーブル130の部品稼動状況134の欄において、部品交換がされた自動預入支払機(例えば、自動預入支払機A)における類似環境部品である「カード搬送ゴム部品」および「通帳搬送ゴム部品」のそれぞれの交換基準値が変更される。この場合、交換部品の変更比率と同じ比率で、類似環境部品の交換基準値が変更される。例えば、交換部品である「紙幣入出口ゴム部品」の交換基準値が500万回から400万回に変更されたとすると、変更比率は400万回/500万回=80%である。したがって、類似環境部品である「カード搬送ゴム部品」の交換基準値は、5万回×80%=4万回に変更される。同様に、類似環境部品である「通帳搬送ゴム部品」の交換基準値は、1万回×80%=8千回に変更される。
【0046】
ステップS18では、部品交換がされた自動預入支払機と類似した環境にある他の自動預入支払機(以下、「類似環境機器」という。)の有無を判定する。具体的には、図6の環境情報テーブル120を参照して、温度・湿度・埃量のそれぞれの最大値、最小値、平均値が同じかまたは接近している(例えば±10%の範囲内にある)自動預入支払機を検索する。同一支店内に設置されている自動預入支払機や、店舗外において近距離に設置されている自動預入支払機などは、類似した環境にあるといえる。図6の例では、自動預入支払機Aと類似した環境にあるのは自動預入支払機Cであるから、自動預入支払機Cを類似環境機器と判定する。この類似環境機器の判定基準も、自動預入支払機が設置される国、地域、場所等に応じて、様々な判定基準が採用される。
【0047】
ステップS19では、類似環境機器における該当部品の交換基準値を変更する。具体的には、部品情報テーブル130の部品稼動状況134の欄において、類似環境機器(自動預入支払機C)における該当部品、すなわち自動預入支払機Aでの交換部品と同一の部品(上記の例では紙幣入出口ゴム部品)および類似環境部品(上記の例ではカード搬送ゴム部品、通帳搬送ゴム部品)のそれぞれの交換基準値が変更される。この場合も、交換部品の変更比率(80%)と同じ比率で、交換基準値が変更される。
【0048】
ステップS20では、ステップS15、S17で変更した交換基準値を、該当する自動預入支払機(自動預入支払機A)へ送信し、ステップS19で変更した交換基準値を、類似環境機器(自動預入支払機C)へ送信して、各自動預入支払機20に交換基準値の変更を指示する。これを受けて、自動預入支払機20では、前述のように図8のステップS5において、交換部品および類似環境部品の交換基準値が新たな交換基準値に変更される。
【0049】
このように、第1実施形態においては、交換部品の交換基準値が変更されることに伴って、同じ自動預入支払機における類似環境部品の交換基準値が同時に変更される。また、1つの自動預入支払機における交換部品および類似環境部品の交換基準値が変更されることに伴って、他の自動預入支払機(類似環境機器)における交換部品および類似環境部品の交換基準値が同時に変更される。このため、自動預入支払機の設置環境に応じた信頼性の高い寿命管理を行うことができる。
【0050】
以上の説明では、環境情報を、類似環境部品および類似環境機器の交換基準値を変更する場合に反映させているが、環境情報を、交換部品の交換基準値を変更する場合に反映させてもよい。例えば、図6における自動預入支払機Bは、最大温度42.1℃、最大湿度83.4%という高温多湿の環境に設置されるため、図7で列挙された部品のうち、温度や湿度の影響を受けやすい紙幣入出口ゴム部品、紙幣一時保留部ゴム部品、紙幣搬送ベルト、カード搬送ゴム部品、通帳搬送ゴム部品等は、通常の環境で使用される場合と比べて劣化が早くなる傾向がある。したがって、図9のステップS15で交換部品の交換基準値を変更する際に、累積動作回数に基づく変更比率(上記の例では80%)に、環境情報に基づく変更比率(例えば70%)を乗算した変更比率を用いて、交換基準値を変更するようにすれば、自動預入支払機20の設置環境に応じた適正な寿命管理を行うことができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る部品寿命管理システムについて説明する。全体構成は図1と同じであり、サーバの構成も図2のサーバ10と同じである。自動預入支払機の構成を図10に示す。図10においては、図3の構成に、環境調整手段として環境調整部300が追加されている。その他の構成については、図3と同じである。この第2実施形態は、自動預入支払機20が自動的に環境調整を実施するものである。
【0052】
環境調整部300は、温度調整部301、湿度調整部302、および埃調整部303を備えている。温度調整部301と湿度調整部302は、空調機器と同様の構成を備えており、サーバ10からの指示に基づいて、自動預入支払機20の内部の温度や湿度が一定範囲となるように制御を行う。埃調整部303は、空気清浄機と同様の構成を備えており、サーバ10からの指示に基づいて、自動預入支払機20の内部の埃量が一定範囲となるように制御を行う。なお、この環境調整部300は、指定された自動預入支払機20のみに装備されるオプション仕様となっている。
【0053】
上記構成からなる部品寿命管理システム1の動作につき、図11および図12を参照しながら説明する。
【0054】
まず、自動預入支払機20における動作を、図11のフローチャートに従って説明する。ステップS31では、保守員によって部品の交換が行われる。この交換は、自動預入支払機20での障害発生時または定期点検時、その他必要があるときに行われる。部品の交換が終了すると、ステップS32で、保守員は、タッチパネル207(図10)に表示されるメンテナンス画面を操作し、交換情報として、交換した部品名と交換理由を入力する。交換理由としては、障害による交換、定期点検による交換、部品自体の変更などがある。
【0055】
ステップS33では、ステップS32で入力された交換情報と、部品情報ファイル220における交換部品に対応した部品情報と、環境情報ファイル210における交換部品に対応した環境情報とが、上位通信部208からネットワーク2を介してサーバ10へ送信される。ここで、部品情報としては、交換した部品の累積動作回数223(図5)が送信される。
【0056】
ステップS34では、サーバ10から環境変更指示を受信するのを待つ。そして、所定時間内にサーバ10から変更指示を受信した場合は(ステップS34:YES)、ステップS35へ進み、所定時間内にサーバ10から変更指示を受信しなかった場合は(ステップS34:NO)、ステップS37へ進む。
【0057】
ステップS35では、自動預入支払機20による環境変更が可能か否かを判定する。環境調整部300が装備されている場合は、自動預入支払機20によって環境を変更することができ(ステップS35:YES)、この場合は、ステップS36へ進む。一方、環境調整部300が装備されていない場合は、自動預入支払機20による環境変更は不可能であり(ステップS35:NO)、この場合は、ステップS36を実行することなく、ステップS37へ進む。
【0058】
ステップS36では、環境調整部300により環境変更を実施する。すなわち、温度調整部301と湿度調整部302により、自動預入支払機20の内部の温度および湿度を調整するとともに、埃調整部303により、自動預入支払機20の内部の埃量を調整する。
【0059】
ステップS37では、交換した部品に対応する累積動作回数223の値をゼロにクリアする。これにより、部品交換が実施されると、当該部品の累積動作回数がリセットされ、以降の新たな動作回数の計数に備える。
【0060】
次に、サーバ10における動作を、図12のフローチャートに従って説明する。ステップS51では、図11のステップS33において自動預入支払機20から送信された交換情報、部品情報(累積動作回数)、および環境情報を、通信部104が受信する。このとき、受信した環境情報および部品情報に基づいて、環境情報テーブル120(図6)および部品情報テーブル130(図7)の内容が更新される。
【0061】
ステップS52では、受信した交換情報に基づいて、部品の交換理由が障害によるものか否かを判定する。交換理由が障害によるものでなければ(ステップS52:NO)、当該交換は通常の定期点検等に基づくものであるので、以降のステップS53〜S59を実行することなく、処理を終了する。一方、交換理由が障害によるものであれば(ステップS52:YES)、ステップS53へ進む。
【0062】
ステップS53では、交換した部品について寿命を解析する。具体的には、交換した部品の累積動作回数を、当該部品について予め設定された交換基準値と比較する。
【0063】
ステップS54では、ステップS53での検証結果に基づき、交換部品の累積動作回数が交換基準値未満か否かを判定する。判定の結果、累積動作回数が交換基準値未満であれば(ステップS54:YES)、累積動作回数が交換基準値に達する前に障害が発生したことから、予定より早く寿命が到来したことになる。この場合は、ステップS55へ進む。
【0064】
一方、ステップS54での判定の結果、累積動作回数が交換基準値以上であれば(ステップS54:NO)、定期点検時に寿命が到来しているにもかかわらず交換されなかった部品が原因で、障害が発生したことになる。この場合は、当然の結果として生じた障害であるため、以降のステップS55〜S59を実行することなく、処理を終了する。
【0065】
ステップS55では、自動預入支払機20の設置環境が、標準環境と比較して差異があるか否かを判定する。具体的には、図6の環境情報テーブル120を参照して、該当する自動預入支払機の温度情報121、湿度情報122、埃情報123のそれぞれにつき、同テーブル中の標準値と比較する。そして、設置環境の各値と標準環境の各値との差が一定範囲内であれば、環境の差異はないと判定し(ステップS55:NO)、ステップS59へ進む。一方、設置環境の各値と標準環境の各値との差が一定範囲内でなければ、環境の差異があると判定し(ステップS55:YES)、ステップS56へ進む。
【0066】
ステップS56では、予定より早く寿命が到来し(ステップS54)、設置環境が標準環境と異なる(ステップS55)ことを受けて、自動預入支払機20の設置環境の変更が必要と判断し、図9のステップS18と同様の要領で、類似環境機器を検索する。
【0067】
ステップS57では、部品交換が実施された自動預入支払機20、およびステップS56での検索により抽出された類似環境機器に対して、環境変更を指示する。例えば、温度・湿度・埃量が標準値(または標準値から一定範囲内)となるように、サーバ10から自動預入支払機20へ指令が送られる。これを受けて、自動預入支払機20では、前述のように図11のステップS36において、環境調整部300により環境変更を実施する。
【0068】
ステップS58では、サーバ10から自動預入支払機20の管理者に対して、設置環境の変更を通知する。自動預入支払機20による環境変更が不可能な場合(環境調整部300が装備されていない場合)は、通知の際に、設置環境を変更するよう要請を行う。
【0069】
このように、ステップS56〜S58においては、交換基準値は変更せずに、環境を変更することによって、部品の寿命を延命できるようにしている。
【0070】
一方、ステップS55の判定がNOの場合、すなわち自動預入支払機20の設置環境と標準環境との間で差異がない場合は、環境を変更することでは対処できないため、ステップS59において、第1実施形態の場合と同様の要領で、交換基準値の変更を行い、自動預入支払機20に基準値変更を指示する。
【0071】
以上のように、第2実施形態においては、自動預入支払機20が環境調整部300を備えているので、自動預入支払機20の設置環境を自動的に調整することができる。また、設置環境と標準環境との間で差異がある場合は、設置環境を変更して標準環境に近づけることで、部品寿命の延命化が可能となり、設置環境と標準環境との間で差異がない場合は、交換基準値を変更することで、部品交換前に障害が発生したり、余寿命のある部品を交換する無駄が発生したりするのを未然に防止することが可能となる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る部品寿命管理システムについて説明する。全体構成は図1と同じであり、サーバ10の構成は図2と同じであり、自動預入支払機20の構成は図3と同じである。第3実施形態は、自動預入支払機20での処理を最小限にし、サーバ10側で主要な処理を実施することで、自動預入支払機20の構成を単純化するとともに負荷を軽減するようにしたものである。
【0073】
第3実施形態における自動預入支払機20の動作を、図13のフローチャートに従って説明する。ステップS71では、保守員によって部品の交換が行われる。この交換は、自動預入支払機20での障害発生時または定期点検時、その他必要があるときに行われる。部品の交換が終了すると、ステップS72で、保守員は、タッチパネル207(図3)に表示されるメンテナンス画面を操作し、交換情報として、交換した部品名と交換理由を入力する。交換理由としては、障害による交換、定期点検による交換、部品自体の変更などがある。
【0074】
ステップS73では、ステップS72で入力された交換情報と、部品情報ファイル220における交換部品に対応した部品情報と、環境情報ファイル210における交換部品に対応した環境情報が、上位通信部208からネットワーク2を介してサーバ10へ送信される。ここで、部品情報としては、交換した部品の累積動作回数223(図5)が送信される。
【0075】
ステップS74では、交換した部品に対応する累積動作回数223の値をゼロにクリアする。これにより、部品交換が実施されると、当該部品の累積動作回数がリセットされ、以降の新たな動作回数の計数に備える。
【0076】
次に、サーバ10における動作を、図14のフローチャートに従って説明する。ステップS91では、図13のステップS73において自動預入支払機20から送信された交換情報、部品情報(累積動作回数)、および環境情報を、通信部104が受信する。このとき、受信した環境情報および部品情報に基づいて、環境情報テーブル120(図6)および部品情報テーブル130(図7)の内容が更新される。
【0077】
ステップS92では、受信した交換部品の累積動作回数と、図7における標準動作寿命132とを比較する。そして、累積動作回数が、標準動作寿命の値を中心とする±5%の範囲内(例えば標準動作寿命が1万回の場合、9500≦累積動作回数≦10500)にあれば、当該交換部品はほぼ予定どおり寿命を迎えたため交換基準値の変更は不要と判断し、処理を終了する。
【0078】
また、ステップS92において、累積動作回数が−5%を超えていれば(上記の例では、累積動作回数<9500)、予定より早く寿命が到来したことになる。この場合は、ステップS93へ進んで、受信した交換情報に基づいて、部品の交換理由が障害によるものか否かを判定する。交換理由が障害によるものでなければ(ステップS93:NO)、当該交換は通常の定期点検等に基づくものであるので、以降のステップS94〜S96を実行することなく、処理を終了する。一方、交換理由が障害によるものであれば(ステップS93:YES)、ステップS94へ進む。
【0079】
ステップS94では、交換部品の交換基準値をマイナス側に補正する。具体的には、図7の部品情報テーブル130における、該当する自動預入支払機の交換部品の交換基準値(部品稼動状況134の下段)を、累積動作回数に見合った小さな値に変更する。
【0080】
ステップS95では、類似環境部品の交換基準値をマイナス側に補正する。具体的には、図7の部品情報テーブル130における、類似環境部品の交換基準値を、ステップS94での変更比率と同じ変更比率を用いて、小さな値に変更する。
【0081】
ステップS96では、類似環境機器における交換部品および類似環境部品の交換基準値をマイナス側に補正する。具体的には、図7の部品情報テーブル130における類似環境機器について、交換部品と同一の部品および類似環境部品の交換基準値を、ステップS94での変更比率と同じ変更比率を用いて、小さな値に変更する。
【0082】
一方、ステップS92において、累積動作回数が+5%を超えていれば(上記の例では、10500<累積動作回数)、部品の寿命が延びていたことになる。この場合は、ステップS97へ進んで、交換部品の交換基準値をプラス側に補正する。具体的には、図7の部品情報テーブル130における、該当する自動預入支払機の交換部品の交換基準値(部品稼動状況134の下段)を、累積動作回数に見合った大きな値に変更する。
【0083】
ステップS98では、類似環境部品の交換基準値をプラス側に補正する。具体的には、図7の部品情報テーブル130における、類似環境部品の交換基準値を、ステップS97での変更比率と同じ変更比率を用いて、大きな値に変更する。
【0084】
ステップS99では、類似環境機器における交換部品および類似環境部品の交換基準値をプラス側に補正する。具体的には、図7の部品情報テーブル130における類似環境機器について、交換部品と同一の部品および類似環境部品の交換基準値を、ステップS97での変更比率と同じ変更比率を用いて、大きな値に変更する。
【0085】
上述した第3実施形態では、各自動預入支払機20の交換基準値や累積動作回数をサーバ10側で管理し、部品交換が必要になった時点で、サーバ10から自動預入支払機20へ通知がされるようになっている。したがって、図14のステップS94〜S99で補正された交換基準値は、自動預入支払機20へ送信されない。なお、これらの交換基準値を自動預入支払機20へ送信し、自動預入支払機20において交換基準値の書き換えが行われるようにしてもよい。
【0086】
本発明では、以上述べた以外にも、種々の実施形態を採用することができる。例えば、前記の実施形態では、環境情報として温度、湿度、埃を例に挙げたが、これら以外に、例えば振動を追加してもよい。この場合は、環境情報収集部202に振動センサを追加すればよい。
【0087】
また、前記の実施形態では、環境情報収集部202に、温度センサ202A、湿度センサ202B、埃センサ202Cを設け、これらのセンサにより温度・湿度・埃量といった環境情報を実測するようにしたが、これに代えて、設置場所から予測できる環境情報の推定値を予め自動預入支払機20に登録しておき、この推定値を用いて交換基準値の変更を行うようにしてもよい。
【0088】
また、前記の実施形態では、環境情報として、温度・湿度・埃の3つを用いたが、これらの全てを用いる必要はなく、例えば、温度と湿度のみを用いてもよい。したがって、環境情報収集部202に温度センサ202Aと湿度センサ202Bのみを設け、環境調整部300に温度調整部301と湿度調整部302のみを設けてもよい。
【0089】
また、前記の実施形態では、自動預入支払機20の内部に環境情報収集部202や環境調整部300を設けたが、これに代えて(または加えて)、自動預入支払機20の外部に環境情報収集部202や環境調整部300を設け、自動預入支払機20の周囲の温度、湿度、埃量を計測・調整するようにしてもよい。
【0090】
また、前記の実施形態では、部品の交換が実際された場合に、環境情報収集部202で収集した環境情報をサーバ10へ送信したが、これとは別に、定期的に環境情報をサーバ10へ送信し、環境が大きく変化したと判断される都度、サーバ10から環境変更を指示するようにしてもよい。
【0091】
また、前記の実施形態では、稼動情報として累積動作回数を取り上げたが(図5、図7)、累積動作回数の代わりに、交換基準値から累積動作回数を減算した値(余寿命)や、累積動作回数と交換基準値との比などを稼動情報としてもよい。
【0092】
また、前記の実施形態では、類似環境部品と類似環境機器の双方について交換基準値を変更したが、類似環境部品のみについて交換基準値を変更してもよく、また、類似環境機器のみについて交換基準値を変更してもよい。
【0093】
また、前記の実施形態では、自動取引装置として自動預入支払機(ATM)を例に挙げたが、本発明に係る部品寿命管理システムは、キャッシュディスペンサ(CD)、自動両替機、貨幣入出金機、自動販売機などの自動取引装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 部品寿命管理システム
10 サーバ(管理装置)
20 自動預入支払機(自動取引装置)
101 CPU(基準値変更手段、第1の判定手段、第2の判定手段)
103 ハードディスク(記憶手段)
110 管理ファイル
120 環境情報テーブル
130 部品情報テーブル
202 環境情報収集部(環境情報収集手段)
207 タッチパネル(交換情報入力手段)
210 環境情報ファイル
220 部品情報ファイル
300 環境調整部(環境調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置と、この自動取引装置に備わる部品の寿命を管理する管理装置とからなる部品寿命管理システムであって、
前記自動取引装置は、
当該装置の設置環境に関する環境情報を収集する環境情報収集手段と、
交換された部品に関する交換情報を入力するための交換情報入力手段と、を備え、
前記部品が交換された場合に、前記環境情報および前記交換情報を、当該交換部品の稼動情報とともに前記管理装置へ送信し、
前記管理装置は、
前記自動取引装置の各部品ごとに、部品交換の要否判定の基準となる交換基準値が設定された記憶手段と、
前記自動取引装置から取得した前記環境情報、前記交換情報、および前記稼動情報に基づいて、前記交換基準値を変更する基準値変更手段と、を備える
ことを特徴する部品寿命管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品寿命管理システムにおいて、
前記環境情報および前記交換情報に基づいて、交換された部品と類似する環境にある他の部品の有無を判定する第1の判定手段をさらに備え、
前記基準値変更手段は、前記第1の判定手段により前記他の部品があると判定された場合に、当該部品の交換基準値を変更する
ことを特徴する部品寿命管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の部品寿命管理システムにおいて、
前記環境情報に基づいて、部品が交換された自動取引装置と類似する環境にある他の自動取引装置の有無を判定する第2の判定手段をさらに備え、
前記基準値変更手段は、前記第2の判定手段により前記他の自動取引装置があると判定された場合に、当該自動取引装置における該当する部品の交換基準値を変更する
ことを特徴する部品寿命管理システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の部品寿命管理システムにおいて、
前記管理装置からの環境変更の指示に従って、前記自動取引装置の設置環境を調整する環境調整手段をさらに備え、
前記管理装置は、前記環境情報、前記交換情報、および前記稼動情報に基づいて、前記設置環境の変更が必要と判断した場合に、前記環境変更の指示を行う
ことを特徴する部品寿命管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の部品寿命管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記環境情報に基づいて、前記自動取引装置の設置環境が標準環境と比較して差異があるか否かを判定し、差異がある場合は、前記環境変更の指示を行い、差異がない場合は、前記基準値変更手段により前記交換基準値を変更する
ことを特徴する部品寿命管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−242946(P2012−242946A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110322(P2011−110322)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】