説明

部品支持機構ならびに1つ以上の部品支持機構を備えるラジオアイソトープジェネレータ

【解決手段】 本発明は、ラジオアイソトープジェネレータにおいて使用される部品支持機構(29)に関連し、部品支持機構は、係合位置と開放位置との間で移動可能なラッチ部材(5)を含み、ラッチ部材と機械的に関係づけられ、開放位置へのラッチ部材の移動を防止するように適応された補強部材(13)をさらに備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テクネチウム99m(99mTc)といった放射性同位体を生成するために一般に使用される形式のラジオアイソトープジェネレータにおける具体化に、限定的にではないが特に適している相互係合部品支持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
核医学における病気の診断および/または治療は、短寿命放射性同位体の主要用途の1つとなっている。核医学において世界中で年間実施される診断処置の90%以上が99mTc標識化放射性医薬品を使用していると推定される。診断用放射性医薬品の短い半減期からして、現場で適切な放射性同位体を生成するための施設を有することが有益である。従って、携帯可能で病院や診療所規模に適した99mTcジェネレータの採用がこの数年に亘り著しく増加してきた。可搬型ラジオアイソトープジェネレータは、通常、イオン交換カラム内の吸着床に吸着された長寿命の親放射性同位体から、放射性崩壊生成物であるところの、短寿命の娘放射性同位体を得るために使用される。従来のラジオアイソトープジェネレータは、食塩水などの溶離液によりカラムから娘放射性同位体を溶離するための手段とともに、親放射性同位体を収容しているイオン交換カラムのまわりに設けられた遮蔽を備える。使用時、溶離液はイオン交換カラムを通され、娘放射性同位体は溶離液とともに溶液で回収されて、必要に応じて使用される。
【0003】
99mTcの場合、この放射性同位体は、99Moの放射性崩壊の素生成物である。ジェネレータ内で、従来、99Moは、アルミニウム酸化物の床に吸着され、崩壊して99mTcを生成する。99mTcは比較的短い半減期を有するので、それは約24時間後にイオン交換カラム内で過渡平衡を確立する。従って、99mTcは、イオン交換カラム内に塩化物イオンの溶液、すなわち無菌食塩水を流すことによって、イオン交換カラムから毎日溶出され得る。これが、塩化物イオンが99Moではなく99mTcを置換するというイオン交換反応を促すことになる。
【0004】
放射性医薬品の場合、放射性同位体の生成プロセスは、無菌条件下で、すなわちジェネレータ内へのバクテリアの進入が決してあってはならないようにして、実行されることが極めて望ましい。さらに、ジェネレータで使用され生成される同位体が放射性であり、そのために正しい方法で取り扱われない場合極めて危険であるということから、この放射性同位体生成プロセスは、また、放射線医学的に安全な条件下で実行されなければならない。当然、溶離プロセスが実行される際に、ジェネレータの放射線医学的安全性が脅かされないように保証することが望ましい。特に、溶離液がジェネレータに導入される時に、ジェネレータの放射線医学的安全性が維持されることは重要である。
【0005】
適切な放射線防護を保証しようとする上で、一部の既知のラジオアイソトープジェネレータは、多数の構成部品を組み込んだ複雑な構造になる傾向がある。しかし、そのような構造物によって提供される放射線防護は、種々の構成部品の相互接続が信頼できない場合、危うくなる可能性がある。そのような複雑な構造物はまた、ジェネレータのコストを増大させる。従って、ジェネレータの実際上の構成が信頼でき、構成部品間の全ての相互接続が高度な確実性で確保されることは重要である。
【0006】
米国特許第3946238号は、中心容器のための円筒形遮蔽ハウジングを含む遮蔽ラジオアイソトープジェネレータを記載している。容器は、取り外し可能なトップカバー、側壁および底面(これらは、鉛で作られ遮蔽として機能する)によって閉ざされている。容器内には、99Moを吸収するイオン交換カラムを収容する瓶が配置される。99mTcの溶離を促すために食塩水をシステムに加えることが必要な場合には、トップカバーが取り外され、食塩水が移送ピペットにより導入される。食塩水は、瓶と遮蔽の内面との間の環状領域にピペットによって導入される。この環状領域から、食塩水は、制御されながら瓶の壁の一連の放射状開空部を通りイオン交換床を収容する瓶に流れる。移送ピペットは長い柄を有し、これにより、食塩水が瓶のまわりの環状領域に導入される際に使用者の手が常にジェネレータの外側に留まるようになっている。しかし、容器の内部が放射性であるので、食塩水を導入する目的でのトップカバーの取り外しを許してはならない放射線医学的危険となることは明白である。
【特許文献1】米国特許第3946238号
【0007】
米国特許第3564256号は、溶離プロセスのための迅速な結合を可能にする部材を有するラジオアイソトープジェネレータを記載している。ジェネレータは、イオン交換床に拘束された放射性物質を収容する円筒形ホルダを含む。ホルダは、その両端位置のゴム栓によって閉鎖されており、内部に針が夫々配置されたゴム栓の各々の反対側に通路を有する遮蔽によって包囲されている。針の最外端部に迅速に結合させるための部材が設けられており、上記2つの針の一方が食塩水を収容する注入器容器と迅速かつ容易に接続でき、他方の針が回収容器と接続できる。使用に際して、円筒形ホルダのゴム栓のそれぞれは、イオン交換カラムからの99mTcの溶離を促すために、針の一方によって穿刺される。同書において提起された適格な迅速結合部材は、注入器接続部との従来通りの脱着可能注入針である。
【特許文献2】米国特許第3564256号
【0008】
米国特許第4387303号は、溶離液入口開口と溶出液出口開口とを有し、親放射性同位体を吸着したイオン交換床を収容するカラムとを具備するラジオアイソトープジェネレータを記載している。溶離液入口および出口の両方は、周囲の遮蔽の流路と連絡している。溶出液出口と連絡している流路の一方は、溶離液コンジット(導管)によりジェネレータの注出ポイント(tapping point)に接続されている。この注出ポイントは、溶液中の娘放射性同位体を回収する目的で排気された溶離瓶を受け入れるように構成されており、この排気された溶離瓶のシールを穿刺する中空針を具備する。この溶離液コンジットは滅菌した空気の供給源とも連絡しており、それ故、ジェネレータは、溶離瓶が満杯になる前に溶離プロセスを中断するために、滅菌空気の流れを遮る装置を具備する。しかしながら、ジェネレータの構成や、特に、注出ポイントで中空針を適位置に保持する方法に関して、この先行技術は何らの情報も与えていない。
【特許文献3】米国特許第4387303号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、構成が単純でありながら既存の単純な部品支持機構よりも高い信頼性を供することができ、従って、構造が単純でありながら必要な程度の無菌性および放射線防護を保証するラジオアイソトープジェネレータが必要な場合において、ラジオアイソトープジェネレータにおける使用に特に適している部品支持機構を提供するものである。
【0010】
本発明の第1態様によれば、ラジオアイソトープジェネレータにおいて使用される部品支持機構であって、部品支持機構は、係合位置と開放位置との間で移動可能であるラッチ部材を含み、ラッチ部材と機械的に関係づけられ、開放位置へのラッチ部材の移動を防止するように適応された補強部材をさらに備えることを特徴とした、部品支持機構が提供される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、部品支持機構は、ラッチ部材が取り付けられる第1プレートを備えてもよく、前記第1プレートは、前記補強部材を受け入れるための開空部を、前記ラッチ部材の位置において又は隣接させて、備える。この第1プレートの開口は、前記係合位置から開放位置への移動方向に面するラッチ部材の側面で前記ラッチ部材に近接する。
【0012】
好ましくは、開空部は非円形断面のものであり、補強部材は対応する非円形断面を有する。また、ラッチ部材は、補強部材によって係合可能でラッチ部材を開放位置から離すように強制するためのカム面を付加的に備え得る。
【0013】
より好ましくは、部品支持機構はまた、補強部材が取り付けられる第2プレートも備えることができ、第2プレートは、補強部材が第1プレートの開空部内に挿入された時に第1プレートとほぼ平行に位置するように構成されている。
【0014】
ラッチ部材は好ましくは、壁およびそこから突出しているフランジから構成される概ねL字形構造物であり、好ましい実施形態においてラッチ部材はまた、間に溝を画成するために第1フランジとほぼ平行に配置されている第2フランジも備える。部品支持機構は少なくとも2つの対向するラッチ部材および各自の補強部材を含むと想定されるが、決して不可欠ではない。
【0015】
本発明の第2態様によれば、前述のような1つ以上の部品支持機構を有するラジオアイソトープジェネレータが提供される。ジェネレータのラッチ部材は、補強部材を受け入れるための開空部を備えるジェネレータのクロージャープレート上に取り付けられることができ、補強部材は、開口への補強部材の挿入がカバープレートをクロージャープレート上へ取り付けるように、ジェネレータのカバープレートに取り付けられている。
【0016】
好ましくは、ラジオアイソトープジェネレータは、中心構成部品開口の各側でクロージャープレートに取り付けられた2つのラッチ部材を有しており、カバープレートはまた、クロージャープレートの構成部品開口との位置合わせのための構成部品開口も備える。ラジオアイソトープジェネレータはまた、中空の概ね円筒形本体および保持プレートよりなる流体出入口も備えることができ、中空本体は、クロージャープレートの構成部品開口に受け入れられており、カバープレートおよび保持プレートは、流体出入口を適位置に確実に保持するための対向するラッチ部材によって係合される。
【0017】
好ましい実施形態において、ラジオアイソトープジェネレータは、壁および床から構成される容器を備えており、容器への開空部はクロージャープレートによって閉鎖されている。この構成により、ラッチ部材は容器の壁に配置されており、クロージャープレートは、ラッチ部材との係合のためのブラケットおよび、ブラケットにおける、またはそれに隣接した開口を備えており、補強部材は、クロージャープレートの開口への補強部材の挿入が補強部材をラッチ部材と整列させ、それによってラッチ部材の開放位置への移動を防止するように、カバープレート上に設けられている、
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ここで、本発明の実施形態を、添付各図を参照して、例証としてのみの観点から説明する。
【0019】
この部品支持機構は全体として参照数字29で示されており、図1に例示された構成部品は、プレート3の開口2を通って突出し、1対のラッチ部材5によって適位置に保持されている平面取付部材4を有する、スパイク1である。ラッチ部材5は、それらが平面取付部材4と係合する係合位置と、平面取付部材4がラッチ部材5によって拘束されていない開放位置との間で移動可能である。この一対のラッチ部材5の各々は、プレート3の表面から外側方向に(図1および2の例では「下方に」)突出している壁6を有する。壁6はそれぞれ、開口2をはさんで互いにまったく正反対に開口2から離間されている。各壁6の自由端にフランジ7が設けられている。壁6の各々のフランジ7は、壁から互いに向かい合って突出し、プレート3とほぼ平行に延出している。第2フランジ8が、第1フランジ7とほぼ平行に、第1フランジ7とプレート3との間に設けられている。このようにして、第1フランジ7および第2フランジ8は、平面部材4を受け入れるために適した溝9を形成する。
【0020】
プレート3は硬質プラスチック材料で好適に製作され、壁6およびフランジ7と8は、プレート3と単一ユニットとして好適に成形される。これにより、壁6およびフランジ7,8が、平面部材4が第1フランジ7および第2フランジ8によって画成される溝9内に「スナップ嵌め」係合されるべく十分に適した小程度の弾力性を有するようになることに結果する。この理由で、図1に例示された通り、第1フランジ7はプレート3から反対に向いたカム面10を有する。このカム面10は、平面部材4を、溝9に対して、案内し且つ中心合わせし、平面部材4が第1フランジ7の周縁部を通過しその時点で壁6が適位置にスナップバックして、平面部材4が第1フランジ7おと第2フランジ8との間の溝9に配置され保持されるように、対向する壁6に、必要な少量のたわみを発生させる。
【0021】
このようなスナップ嵌め接続は、一般に周知であるが、2つの要素(この場合、平面部材4とプレート3)を一体に固定するための特に迅速な方法を提供する。しかし、この固定方法は壁6の小程度のたわみを必要とするが故に、固定が極めて高信頼性でなければならない状況においては、そうした固定手段を一般に好ましくないものにする。プレート3に外力が加えられると、壁6のたわみが生じて、平面部材4が偶然に溝9から解放されることがあり得る。この理由で、スナップ嵌め接続は、ラジオアイソトープジェネレータの構成において適格であるとみなされていなかった。
【0022】
しかし、図1および2に例示された部品支持機構29は、従来のスナップ嵌め接続具に優る著しく改善された固定の信頼性を付与するものであり、それは部品支持機構29をラジオアイソトープジェネレータにおける使用に特に適したものにする。部品支持機構29は、プレート3の上に重なるように構成されたカバー11を含む。カバー11は、プレート3の開口2との位置合わせのための構成部品開口12を有する。カバー11は、また、カバー11から(図1および2において下方に)突出する1対の補強(bracing)部材13も有する。また、壁6の各々に隣接して、フランジ7,8に対し壁6の各々の反対側に、それぞれのブレース開口14がプレート3に設けられている。カバー11の補強部材13は、プレート3のブレース開口14と位置合わせされるように、構成部品開口12の各両側に配置される。ブレース開口14は、補強部材13の通過を可能にする大きさに作られており、補強部材13がブレース開口14に締締されるように断面が好ましくは非円形である。カバー11がプレート3の上に位置決めされ補強部材13がブレース開口14に挿入されると、補強部材13は、壁6と機械的に関係づけられ、壁6のブレースとして機能する。これは、壁6の外方へのたわみを実質的に防止する。このようにして、部品支持機構29の信頼性は著しく増強される。
【0023】
特に好ましい実施形態において、各々の関係する壁6および補強部材13は、協働するカム面および従動節を有する。図1において、カム面15は、補強部材13に面する壁6に設けられる。これにより、補強部材13は、平面部材4が第1および第2フランジ7、8によって画成される溝9に挿入された時に、壁6と能動的に係合することにより、壁6を平面部材4に向けて内方に強制することを可能にする。これは、部品支持機構29によって提供される構成部品の固定の信頼性をさらに改善する。
【0024】
図2は、ラジオアイソトープジェネレータ16における部品支持機構の具体化を例示している。ラジオアイソトープジェネレータ16は、外容器17と、外容器17に密閉して固定され(ここではトッププレート3とも称される)たクロージャープレートと、トッププレート3の上に外容器17に固定された別個のトップカバー11とを有する。外容器17の内側には、限定的ではないが好ましくは、鉛若しくはステンレス鋼シェルに納められた劣化ウランコアのどちらかで作られた放射性シールド18が配置されている。放射性シールド18は、イオン交換カラム20を収容する管19を包囲する。イオン交換カラム20は好ましくは、アルミニウムとシリカとの混合物より構成され、それにモリブデンが、その放射性同位体99Moとして、吸着される。イオン交換カラム20を収容する管19は、図示された通り、脆弱なゴムシール21および22を両端23および24に有し、ゴムシール21および22は、使用時に、それぞれの中空針25および26によって穿刺される。
【0025】
中空針25および26の各々は、各自の流体コンジット27、28と連通しており、転じて、それらは溶離剤入口および溶出液出口とそれぞれ連通している。流体コンジット27、28は好ましくは軟質プラスチック管であり、イオン交換カラム20の頂部23で中空針25と連通している管27の場合には、管27の長さは、中空針25を溶離剤入口と接続するために必要な最小値よりもかなり大きい。
【0026】
ラジオアイソトープジェネレータ16のトッププレート3は1対の開口2を有しており、それらを通って、溶離剤入口構成部品と溶出液出口構成部品とが夫々突出している。溶離剤入口構成部品と溶出液出口構成部品とはそれぞれ中空スパイク1であるが、入口構成部品の場合には、中空スパイク1はフィルタ付き吸気口30を追加的に備える。中空スパイク1は、細長い概ね円筒形のスパイク本体31と、スパイク本体31の一端に取り付けられた(かまたは、それと単一部品として成形された)環状保持プレート32とから構成される。スパイク本体31の反対端は点状に成形され、この端点に隣接して、スパイク本体31の内部と連絡する開口33を有する。スパイク本体31のこの尖端点は、試料瓶で普通に見られる形式のシール膜を穿刺することができるように、造形されている。環状保持プレート32は、スパイク本体31から外方に突出するスカートを形成し、スパイク本体31の回りに連続的としても、または複数の個別の突起の形態として不連続であってもよい。
【0027】
ラジオアイソトープジェネレータ16のトップカバー11もまた、スパイク本体31の通過を可能にするように造形された1対の開口12を有することにより、トッププレート3の開口2と整列する。このようにして、中空スパイク1の各々は、その環状保持プレート32と、トッププレート3の内側に位置するラッチ部材5とによって保持および支持されるように構成されており、中空スパイク本体31は、トッププレート3およびトップカバー11の両者の開口を通って外容器17の外部に突出する。トップカバー11の開口12の各々は、同位体回収瓶35または食塩水供給瓶36のどちらか一方を受け入れ支持するように形成されたウエル34の底に配置される。このようにして、瓶35、36は、共に、外容器17の外側に収容され、イオン交換カラム20からの放射に晒されない。
【0028】
中空スパイク1は、図1に関して前述したように、部品支持機構29によって適位置に保持される。このようにして、スパイク本体31は、トッププレート3およびトップカバー11の夫々整列した開口を通って突出することとなり、そして、環状保持プレート32がラッチ部材5の第1および第2フランジ7、8によって画成された溝9内に係止されることによって、適位置に確実に保持される。溝9内でのプレート32の保持は、壁6の外方へのたわみを実質的に防止するラッチ部材5の壁6の外側での補強部材13の支持作用によって維持される。
【0029】
ラジオアイソトープジェネレータ16が組み立てられる際、スパイク本体31はトッププレート3の開口2内に挿入され、環状保持プレート32は第1フランジ7の対向する対のカム面10に接触する。保持プレート32にらなる圧力が加えられると、第1フランジ7を支持する壁6を外方へたわみませ、やがて保持プレート32は第1フランジ7の自由端を通過する。保持プレート32が第1フランジ7を通過すると、壁6への外圧は解放され、壁6はそれらの常態位置にスナップバックし保持プレート32を第1および第2フランジ7および8によって画成される溝9内に位置づける。トップカバー11はその後、トップカバー11の開口12がスパイク本体31と位置合わせされ、補強部材13が壁6の各々に隣接するトッププレート3の開口2と位置合わせされて、トッププレート3の上に位置決めされる。トップカバー11がトッププレート3と接触させられると、補強部材13は、壁6の外面と隣り合わせで、或いは、好ましくは接触して位置決めされるように、トッププレート3の開口2を貫通する。このようにして、トップカバー11の補強部材13とトッププレート3の壁6との相互作用は、中空スパイク1の保持プレート32を、第1および第2フランジ7,8によって画成される溝9内において確実に係止する作用をもたらす。管27および28はその後、中空スパイク1に流体的に取り付けられ、トッププレート3およびトップカバー11が容器に固定されると、外容器17は閉鎖される。
【0030】
瓶35または36を中空スパイク1に取り付けることが望ましい場合、使用者は、瓶の脆弱シールをスパイクの尖端上に位置決めし、スパイク1に向けて瓶を押し下げる。これにより瓶35または36のシールが穿刺されてスパイク1と瓶との間に流体連絡を確立する。シールがスパイク1によって穿刺されたら、瓶は、それがトップカバー11のウエル34に納まり、それによって支持されるまで、スパイク1の上に押し下げられる。
【0031】
イオン交換カラム20に沿って圧力差を生じさせて、放射性同位体の溶離に必要な塩化物イオンをイオン交換カラム20に供給する。これにより、食塩水37がイオン交換カラム20内に引き込まれる。これは、食塩水供給瓶36を、管27と中空針25とを介してイオン交換カラム20の頂部端23と連通した溶離剤入口に接続し、排出回収瓶35を、管28と中空針26とを介してイオン交換カラム20の底部端24に連通した溶出液出口に接続することによって果たされる。圧力差は、供給瓶36における食塩水の液圧と排出回収瓶35における極めて低い圧力とによって確立される。これにより、食塩水37を、イオン交換カラム20を通して回収瓶35にまで送り込むこととなって、食塩水37と共に娘放射性同位体を運ぶことが行われる。
【0032】
部品支持機構は設計上単純であるが、一方のプレートの補強部材と他方のプレートのスナップ嵌め構成部品の壁との相互作用によって、部品支持を極めて信頼性高く実現できる。説明では中空スパイクに適する部品支持機構について言及したが、本発明の部品支持機構を、スナップ嵌めによる部品把持に固定できるように意図された別の構成部品に適用可能であることは明白であろう。
【0033】
例えば、部品支持機構は、ラジオアイソトープジェネレータの外容器にトッププレートを取り付けるための手段として使用され得る。この構成では、ラッチ部材は外容器の内側の壁に取り付けられる。各ラッチ部材は、ラッチ部材と容器の壁との間にブラケット受け入れ領域を画成するためにブリッジ要素によって外容器の壁から離間される。このようにして、ラッチ部材の壁は、容器の壁とほぼ平行に配置され、ラッチ部材の壁に取り付けられた対フランジによって画成される溝は、容器の壁に対してほぼ垂直に位置する。この構成はまた、トッププレートが、それぞれのラッチ部材との位置決めおよび係合のために相当する数のブラケットを備えることも要求する。このようにして、トッププレートが適位置に降下されると、トッププレートの周辺部に取り付けられそこから下方へ突出するブラケットは、ラッチ部材の第1フランジと係合する。ブラケットはラッチ部材を容器の壁から離れるようにたわませ、それによってブラケット受け入れ領域を拡大させ、やがてブラケットはフランジの周縁部を通過することができ、その時点でラッチ部材は2つのフランジによって画成された溝にブラケットの捕捉部分を適位置にスナップバックさせる。前述の通り、補強部材は、トップカバーから突出し、トッププレートの開口に位置決め可能であり、その結果、前と同様、それはラッチ部材と機械的に関係づけられ、ラッチ部材をたわみに対して支えるように機能する。
【0034】
補強手段が、部品支持機構壁への外部当接の働きをするようにトッププレートの開口内で位置決め可能であることは、本発明の要件ではない。例えば、部品支持機構壁が、所要の改善された支持をラッチ部材に付与するために、補強手段が挿入される盲穴(blind bore)を備え得ることは、代替として考えられる。
【0035】
さらに、部品支持機構のプレートが、構成部品が通り抜ける開口を備えることは、本発明の要件ではない。代わりに、上述の構成部品は、部品支持機構の壁を支持する第1プレート(例示実施形態におけるトッププレート3)の表面から伸びていてもよく、その場合、第2プレート(例示実施形態におけるトップカバー11)は、単に補強部材を第1プレートのブレース開口に位置合わせさせればよいだけである。さらに、溝を画成する対のフランジを上に例示したが、溝が単一のフランジと第1プレートの表面との間に画成され得ることは理解されるはずである。部品支持機構のさらなる代替的な特徴は、クレームする本発明の範囲から逸脱することなく想定される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に従った部品支持機構を例示している。
【図2】本発明に従った注出スパイクのための支持を取り入れているラジオアイソトープジェネレータを例示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジオアイソトープジェネレータに使用される部品支持機構であって、この部品支持機構は、係合位置と開放位置との間で移動可能であるラッチ部材を有し、前記ラッチ部材と機械的に関係づけられ、開放位置への前記ラッチ部材の移動を防止するように適応された補強部材をさらに備えることを特徴とする、部品支持機構。
【請求項2】
前記ラッチ部材がマウントされる第1プレートをさらに備え、前記第1プレートは、前記補強部材を受け入れるための開空部を、前記ラッチ部材の位置において又は隣接させて、備えたことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の部品支持機構。
【請求項3】
前記第1プレートの前記開空部は、前記ラッチ部材に近接して前記第1プレート内に設けられた開口であって、この開口は、前記係合位置から開放位置への移動方向に面するラッチ部材の側面で前記ラッチ部材に近接することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の部品支持機構。
【請求項4】
前記開空部は非円形断面のものであり、前記補強部材は対応する非円形断面を有することを特徴とする請求の範囲第2項または第3項のいずれか一方に記載の部品支持機構。
【請求項5】
前記ラッチ部材は、前記補強部材によって係合可能なカム面であって、前記ラッチ部材を前記開放位置から離すように強制するためのカム面を備えることを特徴とする請求の範囲のいずれか1項に記載の部品支持機構。
【請求項6】
前記補強部材が取り付けられた第2プレートをさらに備え、前記第2プレートは、前記補強部材が前記第1プレートの前記開空部内に挿入された時に、前記第1プレートとほぼ平行位置に置かれることを特徴とする請求の範囲第2項ないし第5項のいずれか1項に記載の部品支持機構。
【請求項7】
前記ラッチ部材は、壁およびそこから突出しているフランジを有する概ねL字形構造物よりなることを特徴とする上記請求の範囲のいずれか1項に記載の部品支持機構。
【請求項8】
間に溝を画成するために前記第1フランジとほぼ平行に配置された第2フランジをさらに備えることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の部品支持機構。
【請求項9】
少なくとも2つの対向するラッチ部材および夫々の補強部材とを含むことを特徴とする上記請求の範囲のいずれか1項に記載の部品支持機構。
【請求項10】
特許請求の範囲第1項ないし第9項のいずれか1項に記載の1つ以上の部品支持機構を備える、ラジオアイソトープジェネレータ。
【請求項11】
前記ラッチ部材は、このジェネレータのクロージャープレート上に取り付けられており、前記補強部材を受け入れるための開空部を備えており、前記補強部材は、前記開空部への前記補強部材の挿入が、前記カバープレートを前記クロージャープレート上へ取り付けことができるように、前記ジェネレータのカバープレートに取り付けられたことを特徴とする請求の範囲第10項に記載のラジオアイソトープジェネレータ。
【請求項12】
中心構成部品開口の各側で前記クロージャープレートに取り付けられた2つのラッチ部材を有しており、前記カバープレートはまた、前記クロージャープレートの構成部品開口との位置合わせのための構成部品開口も備えることを特徴とする請求の範囲第11項に記載のラジオアイソトープジェネレータ。
【請求項13】
中空の概ね円筒形本体および保持プレートよりなる流体出入口をさらに備えており、前記中空本体は、前記クロージャープレートの構成部品開口に受け入れられており、前記カバープレートおよび前記保持プレートは、前記流体出入口を適位置に確実に保持するための前記対向するラッチ部材によって係合されることを特徴とする請求の範囲第12項に記載のラジオアイソトープジェネレータ。
【請求項14】
壁および床から構成されており、容器の開空部はクロージャープレートによって閉鎖されている容器をさらに備え、前記ラッチ部材は前記容器の壁に配置されており、前記クロージャープレートは、前記ラッチ部材との係合のためのブラケットおよび、前記ブラケットにおける、またはそれに隣接した開口を備えており、前記補強部材は、前記クロージャープレートの前記開口への補強部材の挿入が前記補強部材を前記ラッチ部材と整列させ、それによってラッチ部材の前記開放位置への移動を防止するように、カバープレート上に設けられていることを特徴とする請求の範囲第10項に記載のラジオアイソトープジェネレータ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−508300(P2006−508300A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−578757(P2003−578757)
【出願日】平成14年12月11日(2002.12.11)
【国際出願番号】PCT/GB2002/005624
【国際公開番号】WO2003/081055
【国際公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【Fターム(参考)】