説明

部品梱包体

【課題】薄型部品のクリーン度の維持を要求される一方の面に粘着剤やゴミ等の異物が転写することが無い部品梱包体を提供する。
【解決手段】樹脂フィルム3とその一方の面に塗布された粘着剤層4とからなり、薄型部品1の外形よりも大きい形状に形成された粘着性の第1のシート2と、異物が付着し難い材質の樹脂フィルム6からなり、前記薄型部品1の外形よりも大きい形状に形成された非粘着性の第2のシート5とを備え、前記第1と第2のシート2,3を、第1のシート2の粘着剤層4を第2のシート5に対向させて配置し、これらのシート2.3の間に、薄型部品1を、そのクリーン度の維持を要求される一方の面を前記第2のシート5に接面させて配置し、前記第1のシート2を、前記薄型部品1の他方の面及び前記第2のシート5に貼り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄型部品を2枚のシート間に挟み込んで梱包した部品梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型形状の光学部品や電子部品等の薄型部品の梱包体として、前記薄型部品を、2枚の粘着シート間に挟み込んで配置し、前記2枚の粘着シートを互いに貼り合わせたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−10051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、光学部品や電子部品等の薄型部品は、電子機器等に実装するまでの間、薄型部品の2つの面のうちの一方の面のクリーン度の維持を要求される。
【0004】
しかし、前記2枚の粘着シートによって薄型部品を梱包した従来の部品梱包体は、前記2枚の粘着シートの粘着面が前記薄型部品の両方の面にそれぞれ貼り付いているため、前記粘着シートの粘着剤や、薄型部品の梱包時に前記粘着シートの粘着面に付着したゴミ等が前記薄型部品に転写し、電子機器等への前記薄型部品の実装に際して前記粘着シートを剥ぎ取ったときに、前記薄型部品に転写した粘着剤やゴミ等の異物が前記薄型部品に付着したまま残ることがある。
【0005】
そして、上記従来の部品梱包体においては、前記薄型部品への粘着剤やゴミ等の異物の転写が、前記薄型部品の2つの面のいずれにおいても発生するため、前記薄型部品の前記一方の面のクリーン度が、前記異物の転写によって失われることがあった。
【0006】
この発明は、薄型部品のクリーン度の維持を要求される一方の面に粘着剤やゴミ等の異物が転写することが無い部品梱包体を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
薄型形状を有し、その一方の面のクリーン度の維持を要求される薄型部品を、2枚のシート間に挟み込んで梱包した部品梱包体において、
樹脂フィルムとその一方の面に塗布された粘着剤層とからなり、前記薄型部品の外形よりも大きい形状に形成された粘着性の第1のシートと、
異物が付着し難い材質の樹脂フィルムからなり、前記薄型部品の外形よりも大きい形状に形成された非粘着性の第2のシートと、
を備え、
前記第1と第2のシートが、前記第1のシートの粘着剤層を前記第2のシートに対向させて配置され、これらのシートの間に、前記薄型部品が、そのクリーン度の維持を要求される一方の面を前記第2のシートに接面させて配置され、前記第1のシートが、前記薄型部品の他方の面及び前記第2のシートに貼り付けられていること特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の部品梱包体において、前記第2のシートは、PET、アクリル系樹脂、ポリカーカーボネイトのいずれかの樹脂フィルムからなっていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1または2に記載の部品梱包体において、前記第2のシートは、前記第1のシートよりも大きい形状に形成されており、前記第1のシートは、前記第2のシートの周縁部の少なくとも一部を前記第1のシートの外方に張出させて前記第2のシートに貼り付けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の部品梱包体において、前記第1のシートは矩形形状に形成され、前記第2のシートは、前記第1のシートの幅と実質的に同じ幅と、前記第1のシートの長さよりも大きい長さを有する矩形形状に形成されており、前記第1のシートは、前記第2のシートの長さ方向の少なくとも一端側の縁部を前記第1のシートの外方に張出させて前記第2のシートに貼り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明の部品梱包体によれば、薄型部品のクリーン度の維持を要求される一方の面に粘着剤やゴミ等の異物が転写することが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図3はこの発明の一実施例を示しており、図1及び図2は部品梱包体の平面図及び断面図、図3は図2の一部分の拡大図である。
【0013】
この部品梱包体は、薄型形状を有し、その一方の面のクリーン度の維持を要求される薄型部品1を、第1と第2の2枚のシート2,5間に挟み込んで梱包したものである。
【0014】
前記薄型部品1は、例えば、液晶表示素子等の表示素子を備えた電子機器に、前記表示素子の観察面を保護するために実装される観察面保護板であり、前記表示素子の外形よりもある程度大きい矩形形状の強化ガラス板からなっている。以下、この薄型部品1を保護ガラスという。
【0015】
この保護ガラス1は、前記表示素子に貼り付けられるか、或いは前記表示素子との間に予め定めた間隙を設けて配置されるため、この保護ガラス1の前記表示素子に対向する面にゴミ等の異物が付着していると、前記保護ガラス1の外面側から観察される表示の品質が低下し、また、前記保護ガラス1を前記表示素子に貼り付ける場合は、前記表示素子に対する保護ガラス1の貼り付け強度が低下する。
【0016】
そのため、前記保護ガラス1は、前記電子機器に実装するまでの間、この保護ガラス1の2つの板面のうちの前記表示素子に対向する側の一方の面のクリーン度の維持を要求される。
【0017】
前記保護ガラス1を梱包するための前記2枚のシート2,5のうちの第1のシート2は、透明な樹脂フィルム3と、この樹脂フィルム3の一方の面に塗布された透明な粘着剤層4とからなる粘着性のシートであり、梱包される薄型部品である前記表示モジュール用保護ガラス1の外形よりも大きい形状に形成されている。以下、この第1のシート2を粘着シートという。
【0018】
なお、前記粘着シート2の樹脂フィルム3は、塗布された粘着剤層4との密着性が高い樹脂フィルムであれば、任意の材質のものでよい。また、前記粘着剤層4は、比較的弱い粘着力をもった微粘着剤層が望ましい。
【0019】
また、第2のシート5は、異物が付着し難い材質の透明な樹脂フィルム、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル系樹脂、ポリカーカーボネイトのいずれかの樹脂フィルム6かる非粘着性のシートであり、前記表示モジュール用保護ガラス1の外形よりも大きい形状に形成されている。以下、この第2のシート5を非粘着シートという。
【0020】
この実施例において、前記粘着シート2は、前記矩形形状の保護ガラス1よりも大きい面積を有する矩形形状、例えば、幅が、前記保護ガラス1の幅よりも10〜30mm程度大きく、長さが、前記保護ガラス1の長さの数倍(図では約3倍)の横長な矩形形状に形成されている。
【0021】
また、前記非粘着シート5は、前記粘着シート2よりも大きい形状、例えば、前記粘着シート2の幅と実質的に同じ幅と、前記粘着シート2の長さよりも大きい長さを有する横長の矩形形状に形成されている。
【0022】
そして、前記保護ガラス1は、前記粘着シート2と前記非粘着シート5とを、前記粘着シート2の粘着剤層4を前記非粘着シート5に対向させて配置し、これらのシート2,5の間に、前記保護ガラス1を、そのクリーン度の維持を要求される一方の面を前記非粘着シート5に接面させて配置し、前記粘着シート2を、前記保護ガラス1の他方の面及び前記非粘着シート5に貼り付けることにより、前記粘着シート2と非粘着シート5との間に挟み込まれて梱包されている。
【0023】
この部品梱包体において、前記保護ガラス1は、前記横長の矩形形状に形成された粘着シート2と非粘着シート5の長さ方向の中央部よりも一端側に偏らせて、これらのシート2,5の前記一端側の縁部及び両側の縁部よりも内側に配置されており、前記粘着シート2は、前記保護ガラス1の他方の面と、前記非粘着シート5の前記保護ガラス1の配置部以外の部分とに貼り付けられている。
【0024】
また、この部品梱包体において、前記粘着シート2は、この粘着シート2よりも大きい形状に形成された前記非粘着シート5の周縁部の少なくとも一部を前記粘着シート2の外方に張出させて前記非粘着シート5に貼り付けられている。
【0025】
すなわち、前記矩形形状に形成された粘着シート2は、この粘着シート2の幅と実質的に同じ幅と、前記粘着シート2の長さよりも大きい長さを有する矩形形状に形成された非粘着シート5に対して、前記粘着シート2の両側縁を前記非粘着シート5の両側縁に一致させ、且つ、前記非粘着シート5の長さ方向の少なくとも一端側の縁部(図では、両端側の縁部)を前記粘着シート2の外方に張出させて貼り付けられている。
【0026】
前記部品梱包体は、樹脂フィルム3とその一方の面に塗布された粘着剤層4とからなり、梱包する薄型部品である前記保護ガラス1の外形よりも大きい形状に形成された前記粘着シート2と、異物が付着し難い材質の樹脂フィルム、つまりPET、アクリル系樹脂、ポリカーカーボネイトのいずれかの樹脂フィルム6からなり、前記保護ガラス1の外形よりも大きい形状に形成された非粘着シート5とを、前記粘着シート2の粘着剤層4を前記非粘着シートに対向させて配置し、これらのシート2,5の間に、前記保護ガラス1を、そのクリーン度の維持を要求される一方の面を前記非粘着シート5に接面させて配置し、前記粘着シート2を、前記保護ガラス1の他方の面及び前記非粘着シート5に貼り付けたものであるため、前記保護ガラス1のクリーン度の維持を要求される一方の面に、粘着剤やゴミ等の異物が転写することが無い。
【0027】
すなわち、前記非粘着シート5は、異物が付着し難い材質の樹脂フィルム6からなっており、この非粘着シート5には粘着剤層が無いため、前記保護ガラス1の梱包時に、前記非粘着シート5にゴミ等が付着することは無い。
【0028】
そして、前記保護ガラス1は、そのクリーン度の維持を要求される一方の面を、粘着剤層が無く、しかもゴミ等が付着していないクリーン度の高い前記非粘着シート5に接面させて前記粘着シート2と前記非粘着シート5との間に挟み込まれているため、前記保護ガラス1のクリーン度の維持を要求される一方の面に、粘着剤やゴミ等の異物が転写することが無い。
【0029】
したがって、この部品梱包体によれば、前記粘着シート2を剥ぎ取ることにより、梱包された保護ガラス1を、その一方の面のクリーン度の維持したまま取出して電子機器に実装することができる。
【0030】
なお、前記粘着シート2は、前記保護ガラス1の他方の面、つまりクリーン度の維持が要求される一方の面とは反対面に貼り付いているため、この粘着シート2の粘着剤や、前記保護ガラス1の梱包時に前記粘着シート2の粘着面(粘着剤層4の表面)に付着したゴミ等が前記保護ガラス1の他方の面に転写し、前記粘着シート2を剥ぎ取ったときに、前記保護ガラス1の他方の面に転写した粘着剤やゴミ等の異物が前記保護ガラス1に付着したまま残ることがあるが、この前記保護ガラス1の他方の面に付着した異物は、前記電子機器への前記保護ガラス1の実装後に拭き取ればよい。
【0031】
また、前記部品梱包体は、前記非粘着シート5が、前記粘着シート2よりも大きい形状に形成され、前記粘着シート2が、前記非粘着シート5の周縁部の少なくとも一部を前記粘着シート2の外方に張出させて前記非粘着シート5に貼り付けられているため、梱包された前記保護ガラス1の取出しに際して、前記非粘着シート5の張出し部を前記粘着シート2側とは反対側に反らせることにより、前記粘着シート2の端部を前記非粘着シート5から浮き上がらせ、前記粘着シート2をその浮き上がり端を前記非粘着シート5から引き離すように引っ張ることによって簡単に剥ぎ取ることができる。
【0032】
上記実施例の部品梱包体は、前記矩形形状に形成された粘着シート2が、この粘着シート2の長さよりも大きい長さを有する矩形形状に形成された非粘着シート5に対して、前記非粘着シート5の長さ方向の少なくとも一端側の縁部を前記粘着シート2の外方に張出させて貼り付けられているため、前記粘着シート2を、その長さ方向の端部側から簡単に剥ぎ取ることができる。
【0033】
なお、この実施例において、前記粘着シート2は、図のように、前記非粘着シート5の長さ方向の両端側の縁部をそれぞれ前記粘着シート2の外方に張出させて前記非粘着シート5に貼り付けるのが望ましく、このようにすることにより、前記粘着シート2を、その長さ方向のいずれの端部側からも簡単に剥ぎ取ることができる。
【0034】
また、上記実施例の部品梱包体は、前記矩形形状に形成された粘着シート2と非粘着シート5の幅を実質的に同じにしているため、前記保護ガラス1の梱包時に、前記粘着シート2の両側縁を前記非粘着シート5の両側縁に一致させることにより、前記粘着シート2を非粘着シート5に対して容易に位置合わせして貼り付けることができる。
【0035】
なお、上記実施例の部品梱包体では、前記保護ガラス1を、横長の矩形形状に形成された粘着シート2及び非粘着シート5の長さ方向の中央部よりも一端側に偏らせて梱包しているが、この保護ガラス1の梱包位置は、他の位置、例えば前記粘着シート2及び非粘着シート5の長さ方向の中央部でもよい。
【0036】
また、上記実施例の部品梱包体は、1枚の保護ガラス1を梱包したものであるが、前記保護ガラス1を複数枚、前記粘着シート2及び非粘着シート5の長さ方向に並べて配置し、この複数枚の保護ガラス1をまとめて梱包してもよい。
【0037】
さらに、前記粘着シート2と非粘着シート5は、矩形形状に限らず、他の形状に形成されたシートでもよい。
【0038】
また、上記実施例の部品梱包体は、表示素子の観察面を保護するための保護ガラス1を梱包したものであるが、梱包する薄型部品は、前記保護ガラス1に限らず、例えば液晶表示素子を構成する偏光板や位相差板とうの光学シート、配線基板、薄型樹脂フレーム等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】発明の一実施例を示す部品梱包体の平面図。
【図2】前記部品梱包体の断面図。
【図3】図2の一部分の拡大図。
【符号の説明】
【0040】
1…薄型部品(表示素子の観察面保護ガラス)、2…第1のシート(粘着シート)、3…樹脂フィルム、4…粘着剤層、5…第2のシート(非粘着シート)、6…異物が付着し難い材質の樹脂フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型形状を有し、その一方の面のクリーン度の維持を要求される薄型部品を、2枚のシート間に挟み込んで梱包した部品梱包体において、
樹脂フィルムとその一方の面に塗布された粘着剤層とからなり、前記薄型部品の外形よりも大きい形状に形成された粘着性の第1のシートと、
異物が付着し難い材質の樹脂フィルムからなり、前記薄型部品の外形よりも大きい形状に形成された非粘着性の第2のシートと、
を備え、
前記第1と第2のシートが、前記第1のシートの粘着剤層を前記第2のシートに対向させて配置され、これらのシートの間に、前記薄型部品が、そのクリーン度の維持を要求される一方の面を前記第2のシートに接面させて配置され、前記第1のシートが、前記薄型部品の他方の面及び前記第2のシートに貼り付けられていること特徴とする部品梱包体。
【請求項2】
第2のシートは、PET、アクリル系樹脂、ポリカーカーボネイトのいずれかの樹脂フィルムからなっていることを特徴とする請求項1に記載の部品梱包体。
【請求項3】
第2のシートは、第1のシートよりも大きい形状に形成されており、前記第1のシートは、前記第2のシートの周縁部の少なくとも一部を前記第1のシートの外方に張出させて前記第2のシートに貼り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の部品梱包体。
【請求項4】
第1のシートは矩形形状に形成され、第2のシートは、前記第1のシートの幅と実質的に同じ幅と、前記第1のシートの長さよりも大きい長さを有する矩形形状に形成されており、前記第1のシートは、前記第2のシートの長さ方向の少なくとも一端側の縁部を前記第1のシートの外方に張出させて前記第2のシートに貼り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の部品梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−58810(P2010−58810A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226055(P2008−226055)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】