説明

部品組付装置

【課題】 部品組付装置の作業効率及び設備コストを改善すること
【解決手段】 部品組付装置は、半製品12を移動させる台車5を配設した組付ライン2と、組付ライン2の離れた複数の位置にそれぞれ配設され、組付ライン2に交差する交差面上の任意の位置に組付ハンド31、41を操作する直交2軸の組付ユニット3、4と、台車5と各組付ユニット3、4を制御する制御装置6とを備え、制御装置6は、台車5を、組付ユニット3、4が配設された複数の位置に順番に繰り返し移動させるとともに、台車5を一の組付ユニット3(4)が配設された位置に移動させ、当該一の組付ユニット3(4)により半製品12に部品を組み付けている間に、他の組付ユニット4(3)には部品を組み付けるための準備をさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半製品に複数の部品を組み付ける部品組付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品組付装置には、組付ハンドを任意の位置に移動させて、半製品に部品を組付けるものがあり、例えば、図4に示すようなXYZ軸組付ユニット100や、特開平6−320364号に記載されているような昇降機構と水平多関節アームを備えた組付ユニットが用いられている。これらの部品組付装置では、組付ハンドを所定の部品取出位置に操作し、部品を取り出し、組付ハンドを部品組付位置に移動させ、部品を組み付ける動作を行なう一連の動作を繰り返して半製品に複数の部品を組み付けている。
【特許文献1】特開平6−320364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した組付ユニットは組付ハンドを3次元的に動かし、部品の取り出しから部品の組付けまでの一連の動作を繰り返すが一連の動作のうち部品を組み付けている時間の割合は多くはなく、作業効率がよくない。また、組付ハンドを3次元的に動かすことができる上述した組付ユニットは安価ではなく、また構造が複雑でメンテナンスにも手間がかかる。このため、設備コストやランニングコストの面でも改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る部品組付装置は、半製品に複数の部品を組み付ける部品組付装置において、半製品を移動させる台車を配設した組付ラインと、組付ラインの離れた複数の位置にそれぞれ配設され、組付ラインに交差する交差面上の任意の位置に組付ハンドを操作する直交2軸の組付ユニットと、台車と各組付ユニットを制御する制御装置とを備え、制御装置は、台車を、組付ユニットが配設された複数の位置に順番に繰り返し移動させるとともに、台車を一の組付ユニットが配設された位置に移動させ、当該一の組付ユニットにより半製品に部品を組み付けている間に、他の組付ユニットには部品を組み付けるための準備をさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
この部品組付装置によれば、台車を、組付ユニットが配設された複数の位置に順番に繰り返し移動させるとともに、台車を一の組付ユニットが配設された位置に移動させ、当該一の組付ユニットにより半製品に部品を組み付けている間に、他の組付ユニットには部品を組み付けるための準備をさせる制御装置を備えている。このため、一の組付ユニットによる部品の組み付けが終わるとすぐに、他の組付ユニットの組付位置に半製品を移動させて他の組付ユニットによる部品の組付けを行なうことができる。これにより、作業時間を大幅に短縮させることができる。
【0006】
また、この部品組付装置は、台車を設置した組付ラインと、直交2軸の組付ユニットと、制御装置で構成されており、直交2軸の組付ユニットは、XYZ軸組付ユニットや、昇降機構と水平多関節アームを備えた組付ユニットのように組付ハンドを三次元的に動かすことができる組付ユニットに比べて極めて安価であり、構造が簡単であるからメンテナンスも簡単であり、設備コスト及びランニングコストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態に係る部品組付装置を図面に基づいて説明する。
【0008】
この部品組付装置1は、図1に示すように、組付ライン2と、組付ユニット3、4と、組付ライン2に装備される台車5と各組付ユニット3、4を制御する制御装置6を備えている。
【0009】
この実施形態では、組付ライン2は、X軸に敷設されたレール11上に台車5を移動可能に配設したものである。台車5は半製品12を所定の状態で載置することができ、制御装置6の制御信号を受けて組付ライン2上の任意の位置に移動操作されるようになっている。
【0010】
組付ユニット3、4は、組付ライン2の離れた複数の位置に配設されており、組付ライン2に交差する交差面上の任意の位置に組付ハンド31、41を操作する直交2軸の組付ユニットが用いられている。この実施形態では、2つの組付ユニット3、4が組付ライン2の離れた位置に配設されている。各組付ユニット3、4はそれぞれX軸に沿って敷設された組付ライン2に直交する交差面上に、Y軸に沿って配設された天井アーム32、42と、天井アーム32、42に対してY軸方向にスライド移動可能で、かつ、天井アーム32、42の任意の位置でZ軸に沿って昇降可能に配設された吊下アーム33、43とで構成されており、吊下アーム33、43の下端に組付ハンド31、41を取り付けたものを用いている。各組付ユニット3、4の組付ハンド31、41の位置や動作は制御装置6からの制御信号を受けて操作されるようになっている。
【0011】
各組付ユニット3、4は、組付ハンド31、41を移動させる領域内で組付ライン2から離れた位置に、部品を貯留した部品供給部36、46を備えており、部品供給部36、46から部品を取り出す部品取出位置37、47と、組付ライン2上で半製品12に対して部品を組み付ける部品組付位置38、48が設けられている。
【0012】
組付ハンド31、41は、部品の取り出しや部品の取り付けなどの作業を行なうメカニカルハンドであり、この実施形態では、1つの組付ハンド31、41は2つの部品を同時に取り付けることができるいわゆるダブルハンドタイプのものを用いている。
【0013】
制御装置6は、台車5と各組付ユニット3、4をそれぞれ予め設定したプログラムに沿って制御するものであり、台車5を組付ユニット3、4の部品組付位置に順番に繰り返し移動させるとともに、台車5を一の組付ユニット3(4)が配設された位置に移動させ、当該一の組付ユニット3(4)により半製品に部品を組み付けている間に、他の組付ユニット4(3)には部品を組み付けるための準備をさせる。
【0014】
具体的には、図2に示すように、まず第1組付ユニット3の組付ハンド31を部品取出位置37に移動させて部品を取り出させる。次に、図1に示すように、所定の状態で載置された半製品12が第1組付ユニット3の部品組付位置38に移動するように台車5を移動させるとともに、第1組付ユニット3の組付ハンド31を部品組付位置38に移動させて部品の組付けを行なわせる。
【0015】
また、制御装置6は、第1組付ユニット3に上述した部品組付動作を行なわせている間に、第2組付ユニット4の組付ハンド41を部品取出位置47に移動させて部品を取り出させ、第2組付ユニット4に部品を組付ける準備をさせる。
【0016】
第1組付ユニット3による部品の組付けが終わると、制御装置6は、第1組付ユニット3の組付ハンド31を半製品12から離し、図3に示すように、半製品12が第2組付ユニット4の部品組付位置48に移動するように台車5を移動させるとともに、第2組付ユニット4の組付ハンド41を部品組付位置48に移動させ、部品の組付けを行なわせる。
【0017】
また、制御装置6は、第2組付ユニット4に上述した部品組付動作を行なわせている間に、第1組付ユニット3の組付ハンド31を部品取出位置37に移動させて部品を取り出させ、第1組付ユニット3に部品を組付ける準備をさせる。
【0018】
第2組付ユニット4による部品の組付けが終わると、制御装置6は、第2組付ユニット4の組付ハンド41を半製品12から離し、再び図1に示すように、半製品12が第1組付ユニット3の部品組付位置38に移動するように台車5を移動させるとともに、第1組付ユニット3の組付ハンド31を部品組付位置38に移動させて部品の組付けを行なわせる。
【0019】
このように、この部品組付装置1は、制御装置6により、第1組付ユニット3による部品の組付けと、第2組付ユニット4による部品の組付けを交互に繰り返し行なわせるとともに、一方の組付ユニットが部品の組付けを行なっている間に、他方の組付ユニットには組付ハンドを部品取出位置に移動させ、部品を取り出させるなど部品を組付ける準備を行なわせる。
【0020】
この部品組付装置1によれば、何れかの組付ユニット3、4により、半製品12に部品を組付ける動作が略連続して行なわれるので、従来のように、一台の組付ユニットで部品の組付けを行なっていた場合に比べて、作業時間を短縮させることができる。
【0021】
また、この部品組付装置1では、直交2軸の単純な組付ユニットを用いているので、高価な3軸直交タイプの組付ユニットや水平多関節組付ユニットを用いる必要がなく、設備コストを低く抑えることができる。
【0022】
以下に、上述した部品組付装置1を12気筒エンジンに動弁機構を組付ける作業に適用した場合にどの程度作業効率が改善され、設備コストを低く抑えることができるかを説明する。
【0023】
ここでは、汎用の3軸直交タイプの組付ユニット(図4参照)にダブルハンドタイプの組付ハンドを取り付けたものを比較例とした。なお、実施形態で用いた組付ユニットと、比較例で用いた汎用の組付ユニットは、部品の取り出しから移動及び部品の組付けに要する時間は略同じ程度の時間が掛かるものを用い、組付ユニットの性能による差はない状態で検証した。
【0024】
比較例では12気筒のそれぞれに1つずつ12個の部品を組付けるのに6回の組付け作業が必要であり31秒掛かっていた。これに対し、それぞれダブルハンドタイプの組付ハンドを取り付けた実施形態の部品組付装置では、2つの組付ユニットで交互に部品を組付けるので、比較例の略3回分の動作で12個の部品を組付ける組付け作業が20.7秒で行なえた。
【0025】
また、本発明の実施形態と比較例のそれぞれにダブルハンドタイプに変えて3つの部品の取り出し及び取り付けが行なえるトリプルハンドタイプの組付ハンドを取り付けた場合では、比較例では、4回の組付け動作(23秒)で12個の部品を取り付けることができるが、実施形態では4回の組付け動作(24.7秒)で倍の24個の部品を取り付けることができ、略同じ作業時間で2種類の部品を取り付けることが可能であった。
【0026】
このように、この実施形態に係る部品組付装置では、汎用の部品組付装置に比べて、倍の作業効率を達成することができる。そして、汎用の3軸直交タイプの組付ユニットに比べて、直交2軸の組付ユニットは安価であり、直交2軸の組付ユニットを2台用い、X軸方向に操作可能な組付ラインを組み合わせ、制御装置により組付ラインの台車及び組付ユニットを制御できるように構成したとしても、汎用の多関節組付ユニットを2台設備するよりも設備コストを低く抑えられる。また、直交2軸の組付ユニットや1軸方向の組付ラインは構成が簡単であり、メンテナンスなどが簡単であり、ランニングコストを低く抑えることができる。
【0027】
以上、本発明の一実施形態に係る部品組付装置を説明したが、本発明に係る部品組付装置は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0028】
例えば、上述した実施形態では、組付ラインに対して組付ユニットを2つ配設したものを例示したが、組付ユニットは2つに限定されず、複数配設することができる。例えば、部品の取り出しに時間が掛かるような場合では、組付ユニットの数を3個又は4個と増やし、半製品に部品を組付ける待ち時間を少なくし、略連続して半製品に部品を組付けることができるようにしてもよい。
【0029】
また、組付ラインは、直線状のラインに限定されず、例えば、円弧上又は円形のラインとし、組付ユニットのY軸及びZ軸をそのラジアル方向の交差面上に配設するようにしてもよい。また、組付ユニットは、組付ラインに直交する交差面上に配設することに限定されず、組付ラインに対して斜めに交差する交差面上に配設するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品組付装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る部品組付位置の使用状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る部品組付位置の使用状態を示す図である。
【図4】汎用の3軸直交タイプの組付ユニットの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0031】
1 部品組付装置
2 組付ライン
3、4 組付ユニット
5 台車
6 制御装置
11 レール
12 半製品
31、41 組付ハンド
36、46 部品供給部
37、47 部品取出位置
38、48 部品組付位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半製品に複数の部品を組み付ける部品組付装置において、
半製品を移動させる台車を配設した組付ラインと、
前記組付ラインの離れた複数の位置にそれぞれ配設され、前記組付ラインに交差する交差面上の任意の位置に組付ハンドを操作する直交2軸の組付ユニットと、
前記台車と各組付ユニットを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記台車を、組付ユニットが配設された複数の位置に順番に繰り返し移動させるとともに、前記台車を一の組付ユニットが配設された位置に移動させ、当該一の組付ユニットにより半製品に部品を組み付けている間に、他の組付ユニットには部品を組み付けるための準備をさせることを特徴とする部品組付装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−75917(P2006−75917A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259818(P2004−259818)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】