説明

部品選別装置

【課題】高い選別精度で部品を選別することのできる部品選別装置を提供すること。
【解決手段】回転可能に軸支された第1選別ローラ2と、第1選別ローラ2と離間して並列されると共に回転可能に軸支された第2選別ローラ3とを備え、第1選別ローラ2の第1外周面11と第2選別ローラ3の第2外周面21とで形成される選別路10に供給された部品を転動させ、選別路10の間隔よりも小さな直径を持つ部品を選別路10から落下させて選別する部品選別装置1であって、第1選別ローラ2は、部品を選別路10の一端側Aから他端側Bに向けて選別路10上を搬送する螺旋状の第1突出部15を第1外周面11に有していることを特徴とする部品選別装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品選別装置に関し、さらに詳しくは、高い選別精度で部品を選別することのできる部品選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品又は半製品として製造された多数の部品の中から所定の直径を有する部品を選別すること、また、直径の異なる部品が混在した部品群の中から特定の直径を有する部品を選別することが要求され、このような部品選別を可能にする装置等が種々提案されている。
【0003】
例えば、大小のボールを選別するボール選別器として、特許文献1には「ボールの大小を選別する装置であって、ボールを供給する供給部と、選別されたボールを受ける受給部との間に、2条のスキッドを水平に対し受給部側に傾斜すると共に、受給部に向かって該スキッドの間隔が広くなる様に設けた事を特徴とするボール選別器」が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には「複数の球の中から異なる径寸法の球を選別する異径球の選別装置であって、前記選別する複数の球を一次貯蔵し順次排出する排出口を設けた供給ボックスと、前記排出口から排出された前記球の走行を案内するとともに小径の前記球を落下させ大径の前記球を通過させる選別口を途中に形成した選別通路部材とを備えたことを特徴とする異径球の選別装置」が記載されている。
【0005】
特許文献1及び2に記載の選別装置は、いずれも、スキッド又は選別通路部材が固定されているから、これらの装置においてボール又は球はその転がり方向にしか転動せず、満足できるほどの精度でボール又は球を選別することができないことがある。特に、近年の小型軽量化された各種装置に用いられる小型軽量化された部品を選別する場合には、選別精度は満足できるものではないことが多い。
【0006】
選別精度の向上を目的とした選別装置として、特許文献3には「一対の選別ローラを、その回転軸が相互に平行となるように基台上に回転自在に配置し、少なくとも一方の選別ローラには外径が異なる複数の選別エリアが軸方向に沿って形成され、一対の選別ローラの間隙部の一端に多数の部品を順次供給し、選別ローラの回転力によって各部品を転動させながら間隙部の他端方向に送り出し、各選別エリアにおける一対の選別ローラの外周面の間隙の大小によって各部品の形状を選別するように構成するとともに、上記一対の選別ローラの外周面の周速が相互に異なるように構成したことを特徴とする部品形状選別装置」が記載されている。
【0007】
特許文献3によれば、部品形状選別装置は「一対の選別ローラの外周面の周速が相互に異なるように構成されているため、部品の送り出し方向の回転力と、その直角方向の回転力を付与することが可能となり、上記2つの回転力の複合効果により部品はスパイラル状に全ての方向に回転しながら転動する。そのため、部品の各方向の寸法形状が選別の基準となり、部品の選別精度を大幅に向上させることができる」と記載されている(例えば、0020欄)。
【0008】
ところが、特許文献3の部品形状選別装置は「一対の選別ローラの回転軸が水平面に対して所定の傾斜角度をもって傾斜している」(請求項3、図2及び図4等)ので、部品の送り出し方向と部品の転落方向とが一致して送り出し方向の回転力が強くなると、前記部品がスパイラル状にすべての方向に回転しにくくなり、十分な選別精度で部品を選別できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭61−163085号公報
【特許文献2】実開昭64−25384号公報
【特許文献3】特開2001−129486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、高い選別精度で部品を選別することのできる部品選別装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、回転可能に軸支された第1選別ローラと、この第1選別ローラと離間して並列されると共に回転可能に軸支された第2選別ローラとを備え、前記第1選別ローラと前記第2選別ローラとの間に形成される選別路に供給された部品を転動させ、前記選別路の間隔よりも小さな直径を持つ前記部品を前記選別路から落下させて選別する部品選別装置であって、前記第1選別ローラは、前記部品を前記選別路の一端側から他端側に向けて前記選別路上を搬送する螺旋状の第1突出部を前記第1外周面に有していることを特徴とする部品選別装置であり、
請求項2は、前記第2選別ローラは、前記部品を前記他端側から前記一端側に向けて前記選別路上を搬送することのできる螺旋状の第2突出部を前記第2外周面に有していることを特徴とする請求項1に記載の部品選別装置であり、
請求項3は、前記第1突出部及び前記第2突出部の少なくとも一方は、その螺旋方向に連続して延在する突条体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品選別装置であり、
請求項4は、前記第1突出部と前記第2突出部とは、前記選別路に供給された前記部品を前記一端側から前記他端側に向けて搬送可能となるように、それぞれの外周面からの突出量、螺旋ピッチ及び螺旋角からなる群から選択される少なくとも1つが異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品選別装置であり、
請求項5は、前記第1選別ローラ及び前記第2選別ローラは、前記選別路が水平、又は、前記一端部から前記他端部に向かって上昇勾配となるように、軸支されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品選別装置である。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る部品選別装置は、第2選別ローラと共に選別路を形成する第1選別ローラが、その第1外周面に、部品を前記選別路の一端側から他端側に向けて選別路上を搬送する螺旋状の第1突出部を有しているから、選別路に供給された部品を、前記第1突出部に沿う方向等に転動させつつ前記他端側に搬送することができる。このように搬送される部品は、例えば、特許文献3のように、自重によって一定の回転軸を中心にして選別路上を転動する可能性が極めて小さく、前記第1突出部等によって変動する種々の回転軸を中心にして選別路上を転動する。その結果、部品群の中に混在する、部品の一部が欠落又は部品が変形して所定の直径未満の直径を持つ部分が一部に存在する欠陥部品と、所定の直径を有する規格部品とを高い選別精度で選別することができる。
【0013】
また、この発明に係る部品選別装置は、前記のように構成されているから、選別路に供給された部品を、自重で選別路を転落させるのではなく、前記第1突出部で案内して前記選別路を前記他端側に向けて搬送する。したがって、選別路が短くても長い搬送時間を確保することができる。その結果、部品群の中から前記欠陥部品と前記規格部品とを高い選別精度で選別することができる。
【0014】
したがって、この発明によれば、高い選別精度で部品を選別することのできる部品選別装置提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明に係る部品選別装置の一実施例である部品選別装置を示す要部概略上面図である。
【図2】図2は、この発明に係る部品選別装置の一実施例である部品選別装置を示す要部概略正面図である。
【図3】図3は、この発明に係る部品選別装置の一実施例である部品選別装置を選別ローラの軸線に垂直な平面で切断したときの断面を示す要部概略断面図である。
【図4】図4は、この発明に係る部品選別装置の一実施例である部品選別装置における部品の選別状態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係る部品選別装置は、回転可能に軸支された第1選別ローラと、この第1選別ローラと離間して並列されると共に回転可能に軸支された第2選別ローラとを備え、前記第1選別ローラと前記第2選別ローラとの間に形成される選別路に供給された部品を転動させ、前記選別路の間隔よりも小さな直径を持つ前記部品を前記選別路から落下させて選別する部品選別装置であって、前記第1選別ローラが、前記部品を前記選別路の一端側から他端側に向けて前記選別路上を搬送する螺旋状の第1突出部を第1外周面に有していることを特徴の1つとする。
【0017】
前記第1突出部が形成された第1選別ローラを備えて成るこの発明に係る部品選別装置は、選別路に供給された部品を第1突出部に沿う方向等に転動させつつ選別路上を他端側に搬送する過程において、選別路の間隔と部品の直径との大小関係によって、すなわち、部品の回転状態を強制的に変化させて選別路の間隔よりも小さな直径を持つ部品を搬送途中で選別路から落下させ、一方、選別路の間隔よりも大きな直径を持つ部品を選別路から落下させることなく他端側に搬送することによって、選別路の間隔を基準として、この間隔に対する大小2つの部品を高い選別精度で選別することができる。
【0018】
この発明に係る部品選別装置においては、選別路の間隔に対する直径の大小関係で部品を選別するのであるから、選別路の間隔を2以上に設定すれば、設定された間隔数に応じて複数の直径を有する部品を高い選別精度で選別することができる。
【0019】
この発明に係る部品選別装置は、前記のように、少なくとも、第1選別ローラが第1突出部を第1外周面に有していることを特徴の1つとし、この他の構成等は、公知の部品選別装置、例えば、特許文献3に記載された「部品形状選別装置」と同様に構成されることができ、また、例えば、以下に示す具体的な態様等に基づいて、適宜に変更又は改良することができる。
【0020】
この発明に係る部品選別装置によって選別される部品は、前記選別路上を転動する形状を有していれば特に限定されず、例えば、球状部品、略球状部品、楕円球状部品、多面体状部品等が挙げられる。この発明に係る部品選別装置において高い選別精度を実現できる点で、前記部品は、球状部品、略球状部品、楕円球状部品等の転動しやすい部品が好ましく、球状部品及び略球状部品であるのが特に好ましい。このような部品として、例えば、ベアリングボール、乗物用シートベルトのプリテンションベルトに装着される球状部材等の機械装置用ボール、ゴルフボール、卓球用ボール等の球技用ボール等が挙げられる。
【0021】
前記部品は、この発明に係る部品選別装置によって選別されるのであるから、少なくとも2種、例えば直径が異なる2種の部品が混在している。このような部品群として、製造した多数の部品に欠陥部品と規格部品とが混在する部品群、直径及び/又は形状が異なる部品が混在する部品群等が挙げられる。
【0022】
この発明に係る部品選別装置において、前記部品は、第1選別ローラ及び第2選別ローラ、すなわち、選別路の一端側又はその近傍に、連続的又は間欠的に、供給される。したがって、この発明に係る部品選別装置によって選別される部品は、通常、多数の部品、すなわち、部品群である。なお、この発明に係る部品選別装置は部品の選別も可能であるが、特定の部品が特定の寸法及び形状を有しているか否かを確認することもできるので、この発明に係る部品選別装置に用いられる部品は単数であってもよい。
【0023】
この発明に係る部品選別装置における一実施例の部品選別装置1は、図1〜図3に示されるように、第1選別ローラ2と、第2選別ローラ3と、軸支駆動部4と、隔壁5と、部品供給部6(図1に図示しない。)とを備えて成る。この部品選別装置1において、部品が供給される、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3すなわち選別路10の端部又はその近傍(図1及び図2において紙面の左側)を一端側Aと称し、その反対側の端部又はその近傍を他端側Bと称する。なお、前記一端側Aは、基端側、搬送方向の上流側とも称することができ、前記他端側Bは、先端側、搬送方向の下流側とも称することができる。
【0024】
前記第1選別ローラ2は、図1及び図3に示されるように、第1外周面11を有する円筒状をなし、その両端部に第1軸体14を有している。前記第1外周面11は、第1選別ローラ2の一端側2aから他端側2bにわたって第1大径外周面12とこの第1大径外周面12から連続する第1小径外周面13とを有している。前記第1大径外周面12は、軸線長さが前記第1小径外周面13の軸線長さよりも長くなっている。この第1選別ローラ2は、第1外周面11に螺旋状の第1突出部15を有している。第1選別ローラ2の第1突出部15については後述する。
【0025】
前記第2選別ローラ3は、図1〜図3に示されるように、その第2外周面21に形成された第2突出部25以外は、前記第1選別ローラ2と基本的に同様である。したがって、第2選別ローラ3の第2外周面21は、第2大径外周面22と第2小径外周面23とを有している。そして、前記第1選別ローラ2及び前記第2選別ローラ3は、図1〜図3に示されるように、同一の外径及び軸線長さを有しており、したがって、第1大径外周面12及び第2大径外周面22は同一の外径及び軸線長さを有し、第1小径外周面13及び第2小径外周面23は同一の外径及び軸線長さを有し、かつ、第1軸体14及び第2軸体24も同一の外径及び軸線長さを有している。第2選別ローラ3の第2突出部25については後述する。
【0026】
前記軸支駆動部4は、図1及び図2に示されるように、前記第1選別ローラ2及び前記第2選別ローラ3の両端部近傍に配置され、これらを回転可能に軸支する。この軸支駆動部4は、第1軸体14及び第2軸体24を軸支する軸支部(図示しない。)と、第1軸体14及び第2軸体24を介して第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3を回転させるモータ等の動力源(図示しない。)及び動力伝達手段(図示しない。)とを備えている。この軸支駆動部4は、第1選別ローラ2と第2選別ローラ3とを独立に又は同期して回転するように構成されている。第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の回転方向は、回転する第1外周面11と第2外周面21とで選別路10上で部品7が転動可能となる互いに逆向きの回転方向であり、具体的には、図3の矢印で明確に示されるように、第1大径外周面12と第2大径外周面22とで第1選別路10a上で部品7が転動可能となる互いに逆向きの回転方向である。部品選別装置1においては、図3に示されるように、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の軸線を含む平面よりも上方に形成される第1選別路10aを第1外周面11及び第2外周面21が下方から上方に通過するように、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3は互いに逆方向に回転する。
【0027】
軸支駆動部4に軸支された第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3は、選別路10に供給された部品7の搬送時間と選別精度とを考慮して、部品7が選別路10から飛び出さない程度の回転数で回転される。部品選別装置1においては、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3は共に略同一の回転数で回転され、例えば、10〜600rpmの回転数で回転されるのが好ましく、30〜180rpmの回転数で回転されるのが特に好ましい。
【0028】
この軸支駆動部4は、図1〜図3に示されるように、前記第1選別ローラ2及び前記第2選別ローラ3を、それらの間に第1外周面11と第2外周面21とで形成される選別路10が部品7の直径よりも小さな間隔となるように、互いに離間した状態に、軸支する。この例においては、軸支駆動部4は、前記第1選別ローラ2及び前記第2選別ローラ3を、それらの間に第1大径外周面12と第2大径外周面22とで形成される少なくとも第1選別路10aが部品7の直径よりも小さな間隔となるように、互いに離間した状態に、軸支する。また、軸支駆動部4は、前記第1選別ローラ2及び前記第2選別ローラ3を、それらの軸線が平行となる並列状態に、軸支する。さらに、軸支駆動部4は、図2に明確に示されるように、前記第1選別ローラ2及び前記第2選別ローラ3を、それらで形成される選別路10が一端部Aから他端部Bに向かって、すなわち、部品7の搬送方向下流に向かって、上昇勾配となるように、軸支する。すなわち、前記第1選別ローラ2及び前記第2選別ローラ3は、図1〜図3に示されるように、少なくとも第1選別路10aが部品7の直径よりも小さな間隔をとると共に他端側Bに向かって上昇勾配となるように、並列されている。
【0029】
部品選別装置1において、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3が上昇勾配となるように軸支される場合には、後述する第1突出部15及び第2突出部25、選別路10を搬送される部品7等の搬送時間、選別精度等を考慮して、前記上昇勾配における、水平面に対する傾斜角θ(図2参照。)が適宜に決定される。例えば、第1突出部15及び第2突出部25が後述する特性を有している場合には、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の傾斜角θは、0°を超え45°以下であるのが好ましく、0°を超え30°以下であるのが特に好ましい。
【0030】
このように、部品選別装置1において、第1選別路10aは部品7の直径よりも小さな間隔を有し、第1小径外周面13と第2小径外周面23とで形成される第2選別路10bは部品7の直径よりも大きな間隔を有している。すなわち、部品選別装置1は、第1選別路10aの間隔に対して大小の直径を有する部品7を選別できるように、選別路10として間隔の大きさが異なる第1選別路10a及び第2選別路10bを有している。
【0031】
前記隔壁5は、図1及び図2に示されるように、第1選別ローラ2の軸線方向における、第1大径外周面12と第1小径外周面13との境界近傍に、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3に接触しないように、図示しない案内底部に立設されている。隔壁5は、第1選別路10a上を搬送されずに第1選別路10aから案内底部に落下した欠陥部品、例えば、小径の球状部品7d、部品の一部が欠落して所定の直径未満の直径を持つ部分が一部に存在する欠損部品8、及び、変形して所定の直径未満の直径を持つ部分が一部に存在する楕円球状部品9等(図3参照。)と、前記第1選別路10a上を搬送され、第2選別路10bから案内底部に落下した、所定の直径を有する規格部品である球状部品7とが案内底部で混合しないように、選別された前記欠陥部品及び前記球状部品7をそれぞれ後述する受給部に案内底部と共に案内する。
【0032】
前記部品供給部6は、図2に示されるように、前記一端側Aに配置された軸支駆動部4の上方に配置され、選別対象となる多数の部品を収容する。部品供給部6は、部品を収容する筐体と、筐体の底部から選別路10に向けて下方に延在して、部品を選別路10に供給する供給通路とを有して成る。この部品供給部6は、部品の搬送状態に応じて、部品を一列で、連続して又は間欠的に、供給可能になっている。
【0033】
部品選別装置1は、図1〜図3に示されていないが、前記軸支駆動部4及び前記隔壁5が立設された案内底部を備えている。この案内底部は、第1選別ローラ2側から第2選別ローラ3側に向けて下降勾配となっており、選別路10から案内底部に落下した各部品を後述する受給部に前記隔壁5と共に案内する。
【0034】
部品選別装置1は、図1〜図3に示されていないが、前記案内底部の下端側に連設され、前記案内底部及び前記隔壁5で案内された欠陥部品7d、8及び9並びに球状部品7をそれぞれ別々に受給して一時的に収容する受給部を備えている。この受給部は、例えば、収容ボックスとすることができる。
【0035】
部品選別装置1においては、図1〜図3に示されるように、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3は共に第1突出部15及び第2突出部25を有している。
【0036】
第1選別ローラ2は、選別路10に供給された部品をその一端側Aから他端側Bに向けて選別路10上を搬送する螺旋状の第1突出部15を第1外周面11に有している。この第1突出部15は第1外周面11に円筒螺旋状に設けられているということもできる。
【0037】
この第1突出部15は、図1及び図3に示されるように、第1選別ローラ2の一端側2aから他端側2bの全体にわたって、一端側2aから他端側2bに向かって第1外周面11に、螺旋方向に連続して延在する突条体とされている。換言すると、第1突出部15は、第1外周面11に螺旋状に巻き付いた状態に設けられた突条体とされている。この第1突出部15は、一端側2aから他端側2bに向かうと共に、第1選別ローラ2の外側から選別路10に向かうように所謂「Z巻き」の螺旋状をなしている。具体的には、図1に示されるように、軸支駆動部4に軸支された第1選別ローラ2を上面から見たときに、第1選別ローラ2における第2選別ローラ3の反対側から第2選別ローラ3側に向かって上方に延在する所謂「Z巻き」の螺旋状をなしている。第1突出部15がこのような螺旋状なっていると、第1選別ローラ2を前記のように回転させたときに、選別路10の一端側Aに供給された部品を選別路10の一端側Aから他端側Bに、第1選別ローラ2の軸線に沿って、搬送することができる。したがって、第1突出部15は、部品を案内しつつ搬送する搬送案内手段とも称することができる。
【0038】
第1突出部15において、図1に示されるように、第1選別ローラ2の軸線方向に隣接する第1突出部15同士の螺旋ピッチp1、換言すると、第1突出部15が第1選別ローラ2の第1外周面11を一回転したときの軸線方向の変位量は、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の傾斜角θ、部品等の搬送時間、選別精度等に応じて、適宜に設定される。この部品選別装置1において、前記螺旋ピッチp1は、比較的短い搬送時間で高い選別精度を達成できる点で、部品の直径の0.5〜5倍に設定されるのが好ましく、1〜3倍に設定されるのが特に好ましい。第1突出部15は、前記螺旋ピッチp1が第1選別ローラ2の一端側2aから他端側2bにわたって一定となるように設定され、常螺旋状に設けられている。
【0039】
第1突出部15において、図1に示されるように、第1突出部15の延在方向と第1選別ローラ2の軸線に垂直な平面(図1において破線で示す。)とが交差する螺旋角θ1は、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の傾斜角θ、前記螺旋ピッチp1、部品等の搬送時間、選別精度等に応じて、0°を超え90°未満の角度から適宜に設定される。この部品選別装置1において、前記螺旋角θ1は、比較的短い搬送時間で高い選別精度を達成できる点で、0.5〜60°に設定されるのが好ましく、5〜30°に設定されるのが特に好ましい。
【0040】
第1突出部15において、図1に示されるように、第1外周面11からの突出量すなわち高さh1は、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の傾斜角θ、選別精度等に応じて、適宜に設定される。この部品選別装置1において、前記高さh1は、高い選別精度を達成できる点で、部品の直径の0.05〜0.5倍に設定されるのが好ましく、0.05〜0.3倍に設定されるのが特に好ましい。
【0041】
第1突出部15において、その延在方向に垂直な平面で切断したときの切断面における断面形状は、特に限定されず、例えば、半円形、半楕円径、多角形等に調整される。前記多角形は、頂面を有していてもいなくてもよい。第1突出部15を形成しやすく、高い選別精度を達成できる点で、第1外周面11から略垂直に立ち上がる側面を有する多角形であるのが好ましく、前記断面形状は前記側面を有する矩形であるのがより好ましく、長方形又は正方形であるのが特に好ましい。この例における第1突出部15は、前記断面形状が長方形となっている。
【0042】
第1突出部15の幅w1は、選別精度等に応じて、適宜に設定される。この部品選別装置1において、前記幅w1は、高い選別精度を達成できる点で、部品の直径の0.05〜0.5倍に設定されるのが好ましく、0.05〜0.3倍に設定されるのが特に好ましい。前記幅w1は、前記断面形状におけると突出部の根元部分の幅である。
【0043】
前記第2選別ローラ3は、選別路10に供給された部品をその他端側Bから一端側Aに向けて選別路10上を搬送することのできる螺旋状の第2突出部25を第2外周面21に有している。この第2突出部25は第2外周面21に円筒螺旋状に設けられているということもできる。この第2突出部25は、後述する螺旋ピッチp2、螺旋角θ2及び高さh2以外は、第1選別ローラ2に設けられた第1突出部15と基本的に同様である。
【0044】
この第2突出部25は、図1及び図2に示されるように、第2選別ローラ3の一端側3aから他端側3bの全体にわたって、一端側3aから他端側3bに向かって第2外周面21に、螺旋方向に連続して延在する突条体とされている。換言すると、第2突出部25は、第2外周面21に螺旋状に巻き付いた状態に設けられた突条体とされている。この第2突出部25は、一端側3aから他端側3bに向かうと共に、第2選別ローラ3の選別路10側から外側に向かうように所謂「Z巻き」の螺旋状をなしている。具体的には、図1に示されるように、軸支駆動部4に軸支された第2選別ローラ3を上面から見たときに、第2選別ローラ3における第1選別ローラ2側から第1選別ローラ2の反対側に向かって上方に延在する所謂「Z巻き」の螺旋状をなしている。すなわち、第2突出部25と第1突出部15とは同じ所謂「Z巻き」の螺旋状をなしている。第2突出部25がこのような螺旋状になっていると、第2選別ローラ3を前記のように回転させたときに、第1選別ローラ2で選別路10の一端側Aから他端側Bに搬送されている部品をその逆方向に搬送することができる。したがって、第2突出部25は部品を案内しつつ搬送する搬送案内手段とも称することができる。
【0045】
第2突出部25は、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3を前記のように回転させたときに、第1突出部15と協働して、選別路10の一端側Aに供給された部品を選別路10の一端側Aから他端側Bに搬送することができるように、形成されている。このとき、第1突出部15は部品を選別路10の一端側Aから他端側Bに搬送し、第2突出部25は部品を選別路10の他端側Bから一端側Aに搬送することができるから、第1突出部15による部品等の搬送を一時的に妨害して逆方向に押し戻すように、第2突出部25が形成されている。具体的には、部品を前記のように搬送することができるように、それぞれの外周面からの突出量h、螺旋ピッチp及び螺旋角θからなる群から選択される少なくとも1つが異なる値に設定されている。
【0046】
具体的には、第2突出部25において、図1に示されるように、第2選別ローラ3の軸線方向に隣接する第2突出部25同士の螺旋ピッチp2、換言すると、第2突出部25が第2選別ローラ3の第2外周面21を一回転したときの軸線方向の変位量は、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の傾斜角θ、部品等の搬送時間、選別精度等に応じて、前記螺旋ピッチp1よりも大きな値に適宜に設定される。この部品選別装置1において、前記螺旋ピッチp2は、高い選別精度を達成できる点で、前記螺旋ピッチp1よりも大きくなるように、部品の直径の1〜10倍に設定されるのが好ましく、1.5〜5倍に設定されるのが特に好ましい。第2突出部25は、螺旋ピッチp2が第2選別ローラ3の一端側3aから他端側3bにわたって一定となるように設定され、常螺旋状に設けられている。
【0047】
第2突出部25において、図1に示されるように、第2突出部25の延在方向と第2選別ローラ3の軸線に垂直な平面(図1において破線で示す。)とが交差する螺旋角θ2は、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の傾斜角θ、部品等の搬送時間、選別精度等に応じて、0°を超え90°未満の角度のうち前記傾斜角θ1よも大きな値に適宜に設定される。この部品選別装置1において、前記螺旋角θ2は、高い選別精度を達成できる点で、前記螺旋傾斜角θ1よりも大きくなるように、0.5〜80°に設定されるのが好ましく、10〜70°に設定されるのが特に好ましい。
【0048】
第2突出部25において、図1に示されるように、第2外周面21からの突出量すなわち高さh2は、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の傾斜角θ、選別精度等に応じて、適宜に設定される。この部品選別装置1において、前記高さh2は、高い選別精度を達成できる点で、前記高さh1よりも大きいのが好ましく、部品の直径の0.05〜0.5倍に設定されるのが好ましく、0.05〜0.3倍に設定されるのが特に好ましい。
【0049】
この例においては、部品を他端側Bに搬送することができるように、第1突出部15と第2突出部25とは、螺旋ピッチp1及びp2、並びに、螺旋角θ1及びθ2が互いに異なる値に設定されている。
【0050】
第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3、並びに、第1突出部15及び第2突出部25は、部品等を搬送することができれば、いかなる材質で形成されていてもよく、前記材質として、例えば、各種金属、各種樹脂、各種ゴム等が挙げられる。第1突出部15を有する第1選別ローラ2、及び、第2突出部25を有する第2選別ローラ3は、適宜の方法で作製することができ、例えば、これらの選別ローラを一体成形する方法、第1突出部15及び第2突出部25を植設、打設する方法、線条体を巻きつける方法、線条体を貼設する方法、線条体の一部を埋設、挿設する方法等が挙げられる。
【0051】
次ぎに、部品選別装置1を用いて球状部品7、小径の球状部品7d、欠損部品8及び楕円球状部品9が混在する部品(以下、混合部品と称する。)を選別する方法を説明する。
【0052】
部品選別装置1は、図1〜3に示されるように、構成されている。具体的には、図1〜図3に示されるように、第1選別路10aの間隔は球状部品7における所定の直径よりも小さく、第2選別路10bの間隔は球状部品7の前記直径よりも大きくなるように、かつ、前記傾斜角θが3°となるように、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3が軸支駆動部4に並列に軸支されている。また、第1突出部15の螺旋ピッチp1及び第2突出部25の螺旋ピッチp2はいずれも前記範囲内にあり、螺旋ピッチp2は螺旋ピッチp1よりも大きく、第1突出部15の螺旋角θ1及び第2突出部25の螺旋角θ2はいずれも前記範囲内にあり、螺旋角θ2は螺旋角θ1よりも大きく、第2突出部25の高さh2及び第1突出部15の高さh1はいずれも前記範囲内であって同じ高さに設定されている。
【0053】
この部品選別装置1における部品供給部6(図2参照。)に前記混合部品を収容して、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3を同じ回転数で図3の矢印で示される回転方向にそれぞれ回転させる。
【0054】
第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の回転を維持したまま、第1選別ローラ2と第2選別ローラ3とで形成される選別路10に混合部品を供給する。この例においては、第1大径外周面12と第2大径外周面22とで一端側Aに形成される第1選別路10aに混合部品を供給する。そうすると、供給された混合部品は、図3に示されるように第1選別路10a上に留まり、図4に示されるように、自重で第1選別路10aを転落するのではなく、第1突出部15によって、第1突出部15に沿って転動しつつ他端側Bに向かって、上昇勾配を案内され、搬送される。
【0055】
このとき、第1選別路10aに供給された複数の部品は、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の回転、並びに、第1突出部15によって種々の回転軸を中心にして転動する。さらに、第1選別路10aに供給された複数の部品は、図4に示されるように、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3の傾斜角θ、並びに、重力等によって、軸線方向に隣接する部品同士が衝突又は接触を繰り返しながら、又は、互いに当接しながら搬送されるから、自重によって一定の回転軸を中心にして選別路10a上を転動する可能性が極めて小さく、前記部品は前記軸線方向の前後に存在する他の部品によって回転状態が強制的に変化して、変動する種々の回転軸を中心にして選別路10a上を転動する。部品がこのように種々の回転軸を中心にして転動しつつ搬送されると、混合部品のうち第1選別路10aの間隔より小さな直径を有する部品、例えば、小径の球状部品7d、欠損部品8及び楕円球状部品9は、図3及び図4に示されるように、第2選別路10bに搬送されるまで第1選別路10a上に留まることができず、第1選別路10aから案内底部に落下する。
【0056】
また、部品選別装置1においては、第2選別ローラ3には第2突出部25が形成されているから、第1選別路10aに供給された複数の部品、例えば、図4に示される球状部品7は、他端側Bに搬送されるまでに、第1突出部15と第2突出部25とが逆方向に交差する際に、これらにはじかれて第1選別路10aから飛び上がり、場合により一端側Aに搬送又は後退させられる。すなわち、第1選別路10aに供給された複数の部品はそれぞれ他端側Bに搬送される間に間欠的に飛び上がり又は逆方向に搬送される。したがって、第2突出部25は、転動する部品等の回転状態を強制的に変化させる回転状態変化手段とも称することができる。このようにして、部品が第1突出部15と第2突出部25とではじかれ、又は、後退させられると、部品の回転状態、例えば、回転数及び回転軸の少なくとも一方が強制的に変化する。例えば、図4に示される球状部品7aが第1突出部15と第2突出部25とではじかれて第1突出部15を超えて後退すると、球状部品7aを搬送している第1突出部15を超えた一端側Aで転動している球状部品7bに接触し、球状部品7a及び球状部品7bの回転状態が強制的に変化する。また、球状部品7bの一端側Aで転動している球状部品7cは、球状部品7aに接触されて後退してきた球状部品7bに接触され、その回転状態が強制的に変化する。このようにして、第1突出部15で一定の回転速度及び搬送速度で安定的に転動していた球状部品7a〜7cの回転状態が強制的に変化する。
【0057】
このように第1突出部15と第2突出部25とが逆方向に交差することで部品が搬送中にはじかれると、第1選別路10aに供給された、小径の球状部品7d、欠損部品8及び楕円球状部品9の回転状態を強制的に変化させることができるから、第1選別路10aの間隔よりも小さな直径をその一部に持つこれら部品を他端側Bに位置する第2選別路10bに搬送されるまでに、前記小さな直径を持つ部分を回転軸として転動させることができる。そして、小さな直径を持つ部分を回転軸として転動する部品は、図3及び図4に示されるように、第1選別路10a上に留まることができず、第1選別路10aから案内底部に落下する。
【0058】
このようにして、小径の球状部品7d、欠損部品8及び楕円球状部品9は回転状態が強制的に変化するから第1選別路10aを搬送される間に球状部品7から選別される。
【0059】
一方、第1選別路10aの間隙よりも大きな直径を有する球状部品7は回転状態が変化しても、常に第1選別路10aの間隙よりも大きな直径を回転軸として転動するから、第1選別路10aから落下することはなく第2選別路10bに搬送される。そして、この第2選別路10bは、球状部品7の直径よりも大きく設定されているから、第2選別路10bに搬送された球状部品7は第2選別路10bから案内底部に落下する。
【0060】
前記第1選別路10a及び前記第2選別路10bから落下した各部品は、案内底部に立設された隔壁5によって再度混合させることなく、それぞれ、案内底部の下端に連接された収納ボックス(図3及び図4に図示しない。)に収納される。
【0061】
このようにして、複数種類の部品が混在する混合部品を、第1選別路10aの間隔よりも小さな直径を有する部品7d、8及び9と前記間隔よりも大きな直径を有する球状部品7とに選別することができる。
【0062】
この部品選別装置1においては、部品の搬送中に第1突出部15と第2突出部25との交差回数が多いほど選別精度は向上するものの、混合部品の見かけ上の搬送速度が低下する。したがって、部品選別装置1においては選別精度と搬送速度とのバランスを考慮して、第1突出部15と第2突出部25との特性を適宜に調整することによって、交差回数が設定される。
【0063】
部品選別装置1は、その第1外周面11に第1突出部15を有する第1選別ローラ2を備えているから、選別路10に供給された部品を、自重で選別路を転落させるのではなく、前記第1突出部で案内して、第1突出部15に沿う方向等に転動させつつ他端側10bに搬送することができる。このように搬送される部品は、自重によって一定の回転軸を中心にして選別路10上を転動する可能性が極めて小さく、第1突出部15等によって変動する種々の回転軸を中心にして選別路10上を転動する。その結果、部品選別装置1は、部品群の中に混在する、部品の一部が欠落又は部品が変形して所定の直径未満の直径を持つ部分が一部に存在する欠陥部品と、所定の直径を有する規格部品とを高い選別精度で選別することができる。また、部品選別装置1は、選別路10が短くても長い搬送時間を確保することができ、部品群の中から欠陥部品と規格部品とを高い選別精度で選別することができる。特に、部品選別装置1は、部品を代表する直径が所定の直径を有しているにもかかわらず、部品の一部が欠落又は部品が変形して前記直径未満の寸法を持つ部分が一部に存在する部品であっても、このような部品を高い選別精度で選別することができる。
【0064】
また、部品選別装置1は、その第1外周面11に第1突出部15を有する第1選別ローラ2と、その第2外周面21に第2突出部25を有する第2選別ローラ3とを備えているから、第1突出部15に沿う方向等に転動させつつ他端側10bに搬送される部品に第2突出部25が逆方向に交差して、部品の回転状態例えば転動方向及び/又は回転速度を強制的に変化させることができる。したがって、第2突出部25を有する第2選別ローラ3を備えて成る部品選別装置1は、より一層高い選別精度で部品を選別することができる。故に、この発明によれば、より一層高い選別精度で部品を選別することのできる部品選別装置提供することができる。
【0065】
この発明に係る部品選別装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、部品選別装置1において、第1突出部15及び第2突出部25は、選別路10に供給された部品をその一端側10aから他端側10bに向けて搬送可能となるように、螺旋ピッチp1及びp2、並びに、螺旋角θ1及びθ2が異なる値に調整されているが、この発明において、第1突出部及び第2突出部は、選別路に供給された部品を一端側から他端側に向けて搬送可能となるように、それぞれの外周面からの突出量h、螺旋ピッチp及び螺旋角θからなる群から選択される少なくとも1つが異なる値に調整されていればよい。
【0066】
部品選別装置1において、第1突出部15は、図1に示されるように、第1選別ローラ2の一端側2aから他端側2bの全体にわたって形成されているが、この発明において、第1突出部は、第1選別ローラの一端部から途中までに、例えば、第1大径外周面のみに、形成されていてもよい。第2突出部についても同様に第2選別ローラの一端部から途中までに形成されていてもよい。
【0067】
また、部品選別装置1において、第1突出部15は、螺旋ピッチp1が第1選別ローラ2の一端側2aから他端側2bの全体にわたって一定となるように設定されているが、この発明において、第1突出部は、前記螺旋ピッチp1が一定でなく、適宜に変化してもよい。第2突出部についても同様に螺旋ピッチp2が適宜に変化してもよい。
【0068】
さらに、部品選別装置1において、第1突出部15は、螺旋方向に連続して延在する突条体として設けられているが、この発明において、第1突出部は、螺旋方向に不連続な複数の突条体が螺旋方向に所定の間隔を取って配列されて構成されていてもよく、外周面から突出するピン状部材が螺旋方向に所定の間隔を取って配列されて構成されていてもよい。前記所定の間隔は選別路に供給される部品の直径未満の距離であるのが好ましい。第2突出部についても同様である。
【0069】
部品選別装置1において、第2選別ローラ3は、第2突出部35以外は第1選別ローラ11と基本的に同様であるが、この発明において、第1選別ローラと第2選別ローラとは互いに異なるローラであってもよい。例えば、第1選別ローラと第2選別ローラとは互いに異なる外径を有していてもよく、第1選別ローラ及び第2選別ローラの一方はその軸線全体にわたって均一な外径を有していてもよい。
【0070】
部品選別装置1において、第1選別ローラ2と第2選別ローラ3とは同じ回転数で回転するように構成されているが、この発明において、第1選別ローラと第2選別ローラとは互いに異なる回転数で回転するように構成されていてもよい。
【0071】
部品選別装置1において、第1選別ローラ2と第2選別ローラ3とは前記傾斜角θを有する上昇勾配となるように軸支されているが、この発明において、第1選別ローラと第2選別ローラとは水平となるように軸支されていてもよい。
【0072】
部品選別装置1において、第1選別ローラ2と第2選別ローラ3とは、いずれも、第1選別路10a及び第2選別路10bの2種の選別路10が形成されるように、互いに外径が異なる大径外周面12及び小径外周面13と、互いに外径が異なる大径外周面22及び小径外周面23とを有しているが、この発明において、第1選別ローラ及び第2選別ローラの少なくとも一方は、3種以上の選別路が形成されるように、互いに外径が異なる3種以上の外周面を有していてもよい。
【0073】
部品選別装置1において、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3は、大径外周面12及び22の軸線長さが小径外周面13及び23の軸線長さよりも長くなっているが、この発明において、選別精度が大きく低下しない範囲で、大径外周面と小径外周面との軸線長さはいずれが長くても、又は、同じ長さであってもよい。
【0074】
部品選別装置1は、2本の選別ローラ2及び3を備えているが、この発明において、部品選別装置は3本以上の選別ローラを備えていてもよい。この場合には、1本の選別ローラの両側に選別路が形成されることはなく、隣接する2本の選別ローラを1組として選別路が形成される。
【0075】
部品選別装置1を用いた部品の選別方法として、第1選別路10aの間隔に対して大小の直径を持つ部品群の2種類に選別する方法を挙げて、説明したが、この発明に係る一部品選別装置において、第1選別ローラの第1軸部及び第2選別ローラの第2軸部を使用して第3選別路を形成すると、第1選別路の間隔以下の直径を持つ部品群、第1選別路の間隔よりも大きく第2選別路の間隔以下の直径を持つ部品群、第2選別路の間隔よりも大きな直径を持つ部品群の3群に選別することができることはいうまでもない。
【実施例】
【0076】
(実施例1)
図1〜図3に示される部品選別装置1、及び、選別する部品として直径10.8mmの規格部品と直径10.7mmの欠陥部品との混合部品を準備した。この部品選別装置1において、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3は、第1選別路10aの間隙が10.7mmとなるように、軸支駆動部4に軸支した。この状態で、第1選別ローラ2及び第2選別ローラ3を図3の矢印に示される方向にそれぞれ回転させつつ、前記混合部品を第1選別路10aに供給して、規格部品と欠陥部品との選別を行った。その結果、欠陥部品は第1選別路10aから落下し、規格部品はすべて第2選別路10bまで搬送されてこの第2選別路10bから落下した。このように欠陥部品と規格部品とを高い選別精度で選別することができた。
【符号の説明】
【0077】
1 選別装置
2 第1選別ローラ
2a 一端側
2b 他端側
3 第2選別ローラ
7、7a、7b、7c 部品(球状部品)
10 選別路
10a 第1選別路
10b 第2選別路
11 第1外周面
12 第1大径外周面
13 第1小径外周面
14 第1軸体
15 第1突出部
21 第2外周面
22 第2大径外周面
23 第2小径外周面
24 第2軸体
25 第2突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に軸支された第1選別ローラと、この第1選別ローラと離間して並列されると共に回転可能に軸支された第2選別ローラとを備え、前記第1選別ローラと前記第2選別ローラとの間に形成される選別路に供給された部品を転動させ、前記選別路の間隔よりも小さな直径を持つ前記部品を前記選別路から落下させて選別する部品選別装置であって、
前記第1選別ローラは、前記部品を前記選別路の一端側から他端側に向けて前記選別路上を搬送する螺旋状の第1突出部を前記第1外周面に有していることを特徴とする部品選別装置。
【請求項2】
前記第2選別ローラは、前記部品を前記他端側から前記一端側に向けて前記選別路上を搬送することのできる螺旋状の第2突出部を前記第2外周面に有していることを特徴とする請求項1に記載の部品選別装置。
【請求項3】
前記第1突出部及び前記第2突出部の少なくとも一方は、その螺旋方向に連続して延在する突条体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品選別装置。
【請求項4】
前記第1突出部と前記第2突出部とは、前記選別路に供給された前記部品を前記一端側から前記他端側に向けて搬送可能となるように、それぞれの外周面からの突出量、螺旋ピッチ及び螺旋角からなる群から選択される少なくとも1つが異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品選別装置。
【請求項5】
前記第1選別ローラ及び前記第2選別ローラは、前記選別路が水平、又は、前記一端部から前記他端部に向かって上昇勾配となるように、軸支されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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