説明

部材組立構造および部材組立方法

【課題】ねじを一切用いることなく、かつ、精密な寸法精度も伴うことなく、組立時の作業効率を改善し、実装効率の改善が可能な部材組立構造を提供する。
【解決手段】中央に位置する中央部材1を包み込むように左右方向から2つの上下(側)部材2、3を中央部材1に取り付けて固定するために、中央部材1の上面部には貫通穴1aを穿設し、上下部材2、3それぞれの、中央部材1の上面部に密着させる先端部は、中央部材1の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲る形状とし、それぞれの先端部の適当な位置に同一の貫通穴1aに上下から緩挿される突起部2a、3aを形成する。また、上下部材2、3それぞれの末端側に、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接する末端部を形成し、上下部材2、3の該末端部それぞれに、該末端部同士を結合する結合用部位として固定用折り曲げ部2b、固定用湾曲部3bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材組立構造および部材組立方法に関し、特に、中央部材に穿設した同一の貫通穴に、該中央部材の板厚を利用しつつ、上下より2つの部材の突起部を滑り込ませるように緩挿させて固定する部材組立構造および部材組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、複数の部材を組み立てて固定する固定方法としては、ねじによる締結が一般的であるが、各部材には、ねじ締めに必要なめねじ部の形成が必要なため、実装エリアの制約となる。
【0003】
かくのごときめねじ部の形成としては、モールド部材の場合、めねじ部が設けられた別の部材をインサートする方法や、モールドのボスに直接ねじを噛み合わせるという方法も取られるが、いずれの場合も、めねじ部を形成する部分の実装エリアが必要となり、実装スペース効率を悪化させる。
【0004】
さらに、組立部材同士を組み立てる際に、微細なねじを用いて固定する場合、固定作業が面倒になり、作業効率が低下してしまう。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1の特開2005−10479号公報「眼鏡リムのスクリューレス止着機構」に記載のように、連結スリーブの先端側からリムの差込ピンを差し込んで連結スリーブに嵌着して、リムとエンドピースとを確実に止着する構造としたもの、また、特開平11−165735号公報「組立式荷役用パレット」に記載のように、上下の固定部材に平板部から突出する突起部を備え、搭載した上固定部材の突起部を嵌合穴に嵌着させ、下固定部材も同様に嵌着させて固定し、デッキボードを上下から載せて、それぞれ、突起状の固定部材で嵌合固定する構造としたものが開示されている。
【特許文献1】特開2005−10479号公報(第4−5頁)
【特許文献2】特開平11−165735号公報(第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1や前記特許文献2の技術は、いずれも、部材同士を組み立てる際に、ねじを用いることなく、一方の部材に形成した突起部を他方の部材に穿設した嵌合穴に嵌め込んで、互いの部材の直径差によって固定しようとする嵌め込み式の嵌合方法であり、前記突起部と前記嵌合穴との寸法精度として、嵌着時の作業性と嵌着後の固定の安定性との双方を両立させることを可能とする必要があり、精密な微細加工技術が必須となっている。
【0007】
一方、小型・軽量化が求められる携帯電話機等の携帯情報端末機器の分野においても、組立時の実装効率の向上や作業効率の向上が求められている。このため、組立部材の点数を減らし、複数の組立部材について、部材の加工精度を緩和するとともに、容易に組み込むことが可能な組立性の向上が強く求められている。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、複数の部材を組み立てて固定する際に、ねじを一切用いることなく、かつ、精密な寸法精度も伴うことなく、実装効率を改善可能とするとともに、組立時の作業効率の改善を図ることが可能な部材組立構造および部材組立方法を提供することに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明による部材組立構造および部材組立方法は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立構造において、前記中央部材の平板状の上面部に穿設された貫通穴を備え、2つの前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側に、前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲る先端部を形成し、かつ、前記上下部材それぞれの、該先端部の適当な位置に前記中央部材の上面部の前記貫通穴に固定用ピンとして緩挿される突起部を形成し、かつ、前記上下部材それぞれの、前記先端側と反対側の末端側に、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接する末端部を形成し、かつ、前記上下部材の該末端部それぞれに、2つの前記上下部材の末端部同士が互いに結合する結合用部位を備えている部材組立構造。
【発明の効果】
【0011】
本発明の部材組立構造および部材組立方法によれば、固定される側の中央部材上に穿設した同一の貫通穴に対して、上下から緩挿させるための突起部を、一体化しようとする2つの上下部材それぞれに形成するとともに、該2つの上下部材の末端側それぞれを湾曲させた構造として、双方の末端側の端部に、双方を互いに結合し固定する結合用部位を形成することにより、前記中央部材上の同一の貫通穴にそれぞれの突起部を左右方向から滑り込ませるようにして、上下から緩挿させるとともに、上下部材双方の末端部を前記結合用部位により結合させる構造としているので、ねじを一切用いることなく、かつ、精密な寸法精度も伴うことなく、実装効率を改善可能とするとともに、組立時の作業効率の改善を図ることが可能になるという効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明による部材組立構造および部材組立方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0013】
(本発明の特徴)
本発明の実施例の説明に先立って、まず、本発明の特徴について、その概要を説明する。本発明は、3つの部材を組み立てて固定する際に用いられる部材組立構造および部材組立方法に関するものであり、取り付けられる対象の部材(中央部材)には、2つの部材(上下部材)に形成された突起部を上下の方向から緩挿させる組立用の1つの貫通穴を穿設する一方、取り付ける対象となる2つの部材(上下部材)には、前記中央部材の同一の貫通穴に上下方向から固定ピンとして緩挿させる突起部をそれぞれの適当な位置に形成するとともに、それぞれの末端側を滑らかに湾曲させた構造とし、かつ、2つの該上下部材同士を結合する結合用部位をそれぞれの末端部に形成していることを特徴としている。
【0014】
つまり、取り付けられる対象の中央部材には一つの貫通穴を穿設し、取り付けようとする2つの上下部材のうち、一方の部材例えば上側部材については、該上側部材の先端部近傍の表面に固定ピンとして形成された突起部を、例えば左側方向から前記貫通穴の近傍まで移動させて、上側から前記貫通穴に滑り込ませるように緩挿する。その後、他方の部材例えば下側部材について、該下側部材の先端部近傍の表面に固定ピンとして形成された突起部を、上側部材の移動方向の反対側の方向例えば右側方向から前記貫通穴の近傍まで移動させて、上側部材の緩挿方向とは反対側の方向つまり下側から同一の前記貫通穴に滑り込ませるように緩挿する。
【0015】
しかる後、2つの上下部材の下側端部を近づけるように左右に撓ませて、中央部材の厚みの下側で、2つの上下部材の端部にそれぞれの結合用部位として形成されたL字形状の固定用折り曲げ部と逆L字形状の固定用湾曲部とを組み合わせて端部同士を結合することにより、中央部材と上下部材の3つの部材を固定することを特徴としている。
【0016】
あるいは、逆の組立手順にして、まず、取り付けようとする2つの部材の端部にそれぞれの結合用部位として形成されたL字形状の固定用折り曲げ部と逆L字形状の固定用湾曲部とを中央部材の厚みの下側で組み合わせて端部同士を結合した後、取り付けられる対象の中央部材に穿設された同一の貫通穴に、2つの部材の先端部を左右方向から撓ませることによって、2つの部材の先端部近傍の表面にそれぞれ固定ピンとして形成された突起部を、前記貫通穴の近傍まで、左右から移動させて、それぞれの突起部を、上下から同一の貫通穴に、滑り込ませるように緩挿することにより、3つの部材を、同一の貫通穴にて固定することを特徴としている。
【0017】
かくのごとき部材組立構造および部材組立方法とすることによって、ねじを一切用いることなく、かつ、精密な寸法精度も伴うことなく、実装効率を改善可能とするとともに、組立時の作業効率の改善を図ることが可能になる。
【0018】
(実施形態の部材組立方法)
次に、本発明による部材組立方法の一例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明による部材組立方法の一例を説明するための説明図である。図1(A)は、取り付けられる対象の中央部材1に対して、取り付けようとする2つの上下部材のうち、一方の部材の上側部材2を左側方向から移動させて、貫通穴1aに突起部2aを上方向から緩挿させる組立工程を示すものであり、図1(B)は、貫通穴1aに上側部材2の突起部2aを緩挿させた中央部材1に対して、取り付けようとする2つの上下部材のうち、他方の部材の下側部材3を上側部材2の移動方向とは反対側の右側方向から移動させて、同一の貫通穴1aに突起部3aを上側部材2の緩挿方向とは反対側の下方向から緩挿させる組立工程を示すものである。
【0019】
前述したように、図1(A)の組立工程において、上側部材2の突起部2aを中央部材1の貫通穴1aに左方向から滑り込ませるように緩挿させて、上側部材2と中央部材1とを組み立てた後、図1(B)の組立工程において、上側部材2と組み立てた中央部材1に対して、さらに、下側部材3の突起部3aを中央部材1の同一の貫通穴1aに右方向から滑り込ませるように緩挿させて、下側部材3と中央部材1とを組み立てて、3つの部材同士を組み立てる。
【0020】
上側部材2、下側部材3の突起部2a、3aが貫通穴1aに引っ掛かるような緩挿状態にした後、上側部材2と下側部材3とを互いに近接させるように、左右方向に撓ませることにより、図1(B)に示す上側部材2の下方端部、下側部材3の下方端部それぞれに形成されているL字形状の固定用折り曲げ部2b、逆L字形状の固定用湾曲部3bを用いて、右方向に滑らかに湾曲した構造の上側部材2の端部に結合用部位として形成された固定用折り曲げ部2bと、左方向に滑らかに湾曲した構造の下側部材3の端部に結合用部位として形成された固定用湾曲部3bとを、中央部材1の下側で、互いに結合させて組み合わせる。
【0021】
かくのごとく、中央部材1、上側部材2、下側部材3の3つの部材について、固定ピンとして形成した突起部2a、3a、結合用部位として形成した固定用折り曲げ部2b、固定用湾曲部3bと、同一の貫通穴1a、とを用いて、ねじを一切使用することなく、かつ、複数の穴を不要とするより少ない組立機構によって、3つの部材間を組み立てて固定することができる。
【0022】
なお、図1においては、まず、中央部材1の貫通穴1aに上側部材2、下側部材3の突起部2a、3aを緩挿させた後、上側部材2、下側部材3の固定用折り曲げ部2b、固定用湾曲部3b同士を結合する組立手順を示しているが、本発明の部材組立方法は、かかる場合のみに限るものではなく、組立手順を逆にして、まず、上側部材2、下側部材3の固定用折り曲げ部2b、固定用湾曲部3b同士を結合した後、中央部材1の貫通穴1aに上側部材2、下側部材3それぞれの突起部2a、3aを緩挿させるようにしても良い。
【0023】
(実施形態の部材組立構造)
次に、図2の断面図を用いて、図1の部材組立方法において用いた本発明による部材組立構造の一例についてさらに説明する。図2は、本発明による部材組立構造の断面の一例を示す断面図である。例えば、携帯情報端末の本体を収納している中央部材1に携帯情報端末のカバーとなる上側部材2と下側部材3とを取り付けて固定した状態を示している。つまり、中央部材1に穿設されている貫通穴1aに、上側部材2の突起部2aと下側部材3の突起部3aとが緩挿され、かつ、上側部材2の固定用折り曲げ部2bと下側部材3の固定用湾曲部3bとが中央部材1の下側で結合されている状態を示している。
【0024】
図2の断面図には、前述のように、組立用の部材として、取り付けられる側つまり固定される側の中央部材1と取り付け側の上側部材2と下側部材3との3つの部材の断面が示されている。ここで、固定される側の部材として中央に配置された中央部材1は、横方向に延在する一定の板厚を有する平板状の上面部を備えた構造であり、一方、上側部材2と下側部材3とは、その先端側は、中央部材1の板厚を挟む上面部の上下の面それぞれに密着するように左右からほぼ直角に折れ曲る構造であり、中央部材1の下側方向の末端側が、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接する構造とされている。
【0025】
中央部材1には、適当な位置に組立部材の固定用として1個の貫通穴1aが穿設されている。一方、上面に取り付ける上側部材2と下面に取り付ける下側部材3の下側の先端側の適当な位置には、それぞれ、中央部材1の同一の貫通穴1aに緩挿される突起部2aと突起部3aとが形成されている。さらに、上側部材2と下側部材3の末端側つまり下側の端部側には、上側部材2と下側部材3の末端同士を、中央部材1の下側で互いに結合するためのL字形状の固定用折り曲げ部2bと逆字形状の固定用湾曲部3bとが形成されている。
【0026】
上側部材2の突起部2aと下側部材3の突起部3aとを、中央部材1の貫通穴1aにそれぞれ上下方向から緩挿させた状態では、上側部材2と下側部材3の末端側つまり下側の端部に形成された固定用折り曲げ部2bと固定用湾曲部3bとは、互いに近接した場所で、少し離れて位置している。かかる状態で、上側部材2と下側部材3の末端側つまり下側を左右方向に、撓ませることにより、固定用折り曲げ部2bと固定用湾曲部3bとを、固定用折り曲げ部2bの側面部と固定用湾曲部3bの側面部とが互いに当接した状態に移動させた後、上側部材2と下側部材3とに加えられていた外力を開放すると、上側部材2と下側部材3との内部応力により、上側部材2の固定用折り曲げ部2bが上方向に押し上げられて、その爪部が下側部材3の固定用湾曲部3bの凹部に嵌合された状態になる。
【0027】
この状態においては、中央部材1に取り付けられた上側部材2と下側部材3とは、その先端側には、突起部2a、3aと貫通穴1aとが嵌合して互いに引っ掛かるような摩擦力が働くことにより、また、その末端側には、固定用折り曲げ部2bの爪部の上面部と固定用湾曲部3bの凹部の下面部とが密着する方向に、さらに、固定用折り曲げ部2bの爪部の左側面部と固定用湾曲部3bの凹部の右側面部とが密着する方向に、応力が働くことにより、上側部材2と下側部材3との左右上下方向へのさらなる移動は抑制されて、上側部材2と下側部材3と中央部材1とは完全に固定される状態になる。
【0028】
ねじを一切形成することなく、同一の貫通穴1aを用いて3つの部材を組み立てて固定することができるので、実装効率を向上させることができる。さらに、貫通穴1aと突起部2a、3aとの結合を、互いの部材の直径差によって固定しようとする嵌合方法ではなく、2つの上下部材間の結合用部位として、双方の末端側の端部に形成した固定用折り曲げ部2bと固定用湾曲部3bとを併用している部材組立方法としているので、貫通穴1aと突起部2a、3aとの寸法精度として精密な微細加工が不要であり、引っ掛けるように緩挿することが可能な寸法精度であれば良く、これにより、双方の嵌着時の作業性と嵌着後の固定の安定性との双方を両立させることを可能としている。
【0029】
(本発明の他の実施形態)
本発明による部材組立構造および部材組立方法の前述の実施形態とは異なる他の実現方法として、図3に示すような構造としても良い。ここに、図3は、本発明による部材組立構造の断面の図2とは異なる例を示す断面図である。
【0030】
図3においては、図2に示す上側部材2、下側部材3の代わりに、上側部材4、下側部材5に示すような構造としている。つまり、図3の下側部材5は、図2の下側部材3の突起部3aのような突起部の代わりに、中央部材1の貫通穴1aとほぼ同一形状の貫通穴5aが穿設された構造とされている。また、図3の上側部材4は、図2の上側部材2に設けられた突起部2aよりも凸量が増加された突起部4aを形成した構造とされている。
【0031】
ここで、下側部材5を中央部材1に取り付けた際に、当該下側部材5に穿設された貫通穴5aと中央部材1の貫通穴1aとは、ほぼ同一の中心位置に、配設される状態になり、しかる後、上側部材4を中央部材1に取り付ける際に、該上側部材4に形成されている突起部4a(突起部2aよりも凸量を増加した形状の突起部)を、上方向から中央部材1の貫通穴1aを緩挿させて完全に貫通させた後、さらに、そのほぼ同一位置に配設されている下側部材5の貫通穴5aにも緩挿されて、ほぼ貫通させる状態になる。
【0032】
かかる状態で、図2の場合と同様に、上側部材4と下側部材5の下側の末端側を左右方向に、撓ませることにより、それぞれの末端部に形成されている固定用折り曲げ部2bと固定用湾曲部3bとを、固定用折り曲げ部2bの側面部と固定用湾曲部3bの側面部とを互いに当接した状態に移動させた後、外力を取り除くと、内部応力により、上側部材2の固定用折り曲げ部2bが上方向に押し上げられて、その爪部が下側部材3の固定用湾曲部3bの凹部に嵌合される。
【0033】
この結果、図2の場合と同様、上側部材4と下側部材5と中央部材1とは互いに組み立てられて固定された状態になる。なお、本実施形態においても、組立手順を逆にして、まず、上側部材4、下側部材5の固定用折り曲げ部2b、固定用湾曲部3b同士を結合した後、中央部材1の貫通穴1a、下側部材5の貫通穴5aの双方に、上側部材4の突起部4aを緩挿させるようにしても良い。また、本実施形態の場合には、図1に示した部材組立方法における上側部材2の中央部材1への組立工程と下側部材3の中央部材1への組立工程との順番を逆にして、まず、下側部材5の中央部材1への組立工程を実施した後、上側部材4の中央部材1への組立工程を実施することが望ましい。
【0034】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明の実施形態は、課題を解決するための手段における構成(1)に加えて次のような構成として表現できる。
(2)2つの前記上下部材の前記突起部のうち、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の前記突起部が、前記中央部材の上面部の前記貫通穴に上方向から緩挿され、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の前記突起部が、前記中央部材の上面部の同一の前記貫通穴に下方向から緩挿される上記(1)の部材組立構造。
(3)中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立構造において、前記中央部材の平板状の上面部に穿設された貫通穴を備え、2つの前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側に、前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲る先端部を形成し、かつ、前記上下部材のうち、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の先端部の適当な位置に前記中央部材の上面部の前記貫通穴とほぼ同一の形状の貫通穴を形成し、かつ、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の先端部の適当な位置に前記中央部材の前記貫通穴と前記下側部材の前記貫通穴との双方に固定用ピンとして緩挿される突起部を形成し、かつ、前記上下部材それぞれの、前記先端側と反対側の末端側に、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接する末端部を形成し、かつ、前記上下部材の該末端部それぞれに、2つの前記上下部材の末端部同士が互いに結合する結合用部位を備えている部材組立構造。
(4)前記上下部材それぞれの前記先端側と反対側の末端部に形成される前記結合用部位が、一方がL字形状の固定用折り曲げ部、他方が逆L字形状の固定用湾曲部とからなり、前記固定用折り曲げ部と前記固定用湾曲部とを嵌合させることにより、2つの前記上下部材の末端部同士を結合する上記(1)ないし(3)のいずれかの部材組立構造。
(5)中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立方法において、2つの前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側が前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲った形状とされた、先端部の適当な位置に、固定用ピンとして形成された突起部を、前記中央部材の平板状の上面部に穿設された貫通穴に緩挿させた後、前記上下部材それぞれの、前記先端部側と反対側の末端側に形成された、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接した形状の前記末端部を撓ませることにより、該末端部それぞれに形成されている結合用部位を結合させて、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させる部材組立方法。
(6)中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立方法において、前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側と反対側の末端側に形成された、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接した形状の前記末端部を撓ませることにより、該末端部それぞれに形成されている結合用部位を結合させて、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させた後、前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側が前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲った形状とされた、先端部の適当な位置に、固定用ピンとして形成された突起部を、前記中央部材の平板状の上面部に穿設された貫通穴に緩挿させる部材組立方法。
(7)2つの前記上下部材の前記突起部のうち、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の前記突起部が、前記中央部材の上面部の前記貫通穴に上方向から緩挿され、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の前記突起部が、前記中央部材の上面部の同一の前記貫通穴に下方向から緩挿される上記(5)または(6)の部材組立方法。
(8)中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立方法において、先端側の形状が、前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲った形状とされた前記上下部材の先端部のうち、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の先端部の適当な位置に固定用ピンとして形成された突起部を、前記中央部材の平板状の板厚の上面部に穿設された貫通穴と、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の先端部の適当な位置に穿設された貫通穴との双方に緩挿させた後、前記上下部材それぞれの、前記先端部側と反対側の末端側に形成された、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接した形状の前記末端部を撓ませることにより、該末端部それぞれに形成されている結合用部位を結合させて、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させる部材組立方法。
(9)中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立方法において、前記上下部材それぞれの、前記先端部側と反対側の末端側に形成された、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接した形状の前記末端部を撓ませることにより、該末端部それぞれに形成されている結合用部位を結合させて、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させた後、先端側の形状が、前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲った形状とされた前記上下部材の先端部のうち、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の先端部の適当な位置に固定用ピンとして形成された突起部を、前記中央部材の平板状の板厚の上面部に穿設された貫通穴と、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の先端部の適当な位置に穿設された貫通穴との双方に緩挿させる部材組立方法。
(10)前記上下部材それぞれの前記先端側と反対側の末端部に形成される前記結合用部位が、一方がL字形状の固定用折り曲げ部、他方が逆L字形状の固定用湾曲部とからなり、前記固定用折り曲げ部と前記固定用湾曲部とを互いに嵌合させることにより、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させる上記(5)ないし(9)のいずれかの部材組立方法。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による部材組立方法の一例を説明するための説明図である。
【図2】本発明による部材組立構造の断面の一例を示す断面図である。
【図3】本発明による部材組立構造の断面の図2とは異なる例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 中央部材
1a 貫通穴
2 上側部材
2a 突起部
2b 固定用折り曲げ部
3 下側部材
3a 突起部
3b 固定用湾曲部
4 上側部材
4a 突起部
5 下側部材
5a 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立構造において、前記中央部材の平板状の上面部に穿設された貫通穴を備え、2つの前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側に、前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲る先端部を形成し、かつ、前記上下部材それぞれの、該先端部の適当な位置に前記中央部材の上面部の前記貫通穴に固定用ピンとして緩挿される突起部を形成し、かつ、前記上下部材それぞれの、前記先端側と反対側の末端側に、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接する末端部を形成し、かつ、前記上下部材の該末端部それぞれに、2つの前記上下部材の末端部同士が互いに結合する結合用部位を備えていることを特徴とする部材組立構造。
【請求項2】
2つの前記上下部材の前記突起部のうち、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の前記突起部が、前記中央部材の上面部の前記貫通穴に上方向から緩挿され、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の前記突起部が、前記中央部材の上面部の同一の前記貫通穴に下方向から緩挿されることを特徴とする請求項1に記載の部材組立構造。
【請求項3】
中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立構造において、前記中央部材の平板状の上面部に穿設された貫通穴を備え、2つの前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側に、前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲る先端部を形成し、かつ、前記上下部材のうち、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の先端部の適当な位置に前記中央部材の上面部の前記貫通穴とほぼ同一の形状の貫通穴を形成し、かつ、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の先端部の適当な位置に前記中央部材の前記貫通穴と前記下側部材の前記貫通穴との双方に固定用ピンとして緩挿される突起部を形成し、かつ、前記上下部材それぞれの、前記先端側と反対側の末端側に、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接する末端部を形成し、かつ、前記上下部材の該末端部それぞれに、2つの前記上下部材の末端部同士が互いに結合する結合用部位を備えていることを特徴とする部材組立構造。
【請求項4】
前記上下部材それぞれの前記先端側と反対側の末端部に形成される前記結合用部位が、一方がL字形状の固定用折り曲げ部、他方が逆L字形状の固定用湾曲部とからなり、前記固定用折り曲げ部と前記固定用湾曲部とを嵌合させることにより、2つの前記上下部材の末端部同士を結合することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の部材組立構造。
【請求項5】
中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立方法において、2つの前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側が前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲った形状とされた、先端部の適当な位置に、固定用ピンとして形成された突起部を、前記中央部材の平板状の上面部に穿設された貫通穴に緩挿させた後、前記上下部材それぞれの、前記先端部側と反対側の末端側に形成された、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接した形状の前記末端部を撓ませることにより、該末端部それぞれに形成されている結合用部位を結合させて、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させることを特徴とする部材組立方法。
【請求項6】
中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立方法において、前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側と反対側の末端側に形成された、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接した形状の前記末端部を撓ませることにより、該末端部それぞれに形成されている結合用部位を結合させて、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させた後、前記上下部材それぞれの、前記中央部材の上面部に密着させる先端側が前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲った形状とされた、先端部の適当な位置に、固定用ピンとして形成された突起部を、前記中央部材の平板状の上面部に穿設された貫通穴に緩挿させることを特徴とする部材組立方法。
【請求項7】
2つの前記上下部材の前記突起部のうち、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の前記突起部が、前記中央部材の上面部の前記貫通穴に上方向から緩挿され、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の前記突起部が、前記中央部材の上面部の同一の前記貫通穴に下方向から緩挿されることを特徴とする請求項5または6に記載の部材組立方法。
【請求項8】
中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立方法において、先端側の形状が、前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲った形状とされた前記上下部材の先端部のうち、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の先端部の適当な位置に固定用ピンとして形成された突起部を、前記中央部材の平板状の板厚の上面部に穿設された貫通穴と、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の先端部の適当な位置に穿設された貫通穴との双方に緩挿させた後、前記上下部材それぞれの、前記先端部側と反対側の末端側に形成された、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接した形状の前記末端部を撓ませることにより、該末端部それぞれに形成されている結合用部位を結合させて、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させることを特徴とする部材組立方法。
【請求項9】
中央に位置する中央部材を包み込むように左右方向から2つの上下部材を該中央部材に取り付けて固定する部材組立方法において、前記上下部材それぞれの、前記先端部側と反対側の末端側に形成された、円弧状に滑らかに湾曲して互いに近接した形状の前記末端部を撓ませることにより、該末端部それぞれに形成されている結合用部位を結合させて、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させた後、先端側の形状が、前記中央部材の板厚を挟む上面部の上下の面に密着するように左右からほぼ直角に折れ曲った形状とされた前記上下部材の先端部のうち、前記中央部材の上面部の板厚の上側の面に密着させる上側部材の先端部の適当な位置に固定用ピンとして形成された突起部を、前記中央部材の平板状の板厚の上面部に穿設された貫通穴と、前記中央部材の上面部の板厚の下側の面に密着させる下側部材の先端部の適当な位置に穿設された貫通穴との双方に緩挿させることを特徴とする部材組立方法。
【請求項10】
前記上下部材それぞれの前記先端側と反対側の末端部に形成される前記結合用部位が、一方がL字形状の固定用折り曲げ部、他方が逆L字形状の固定用湾曲部とからなり、前記固定用折り曲げ部と前記固定用湾曲部とを互いに嵌合させることにより、2つの前記上下部材の末端部同士を互いに結合させることを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載の部材組立方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate