説明

郵便物処理システム、情報入力装置および郵便物処理装置

【課題】移転者宛の郵便物を効率良く処理することができる郵便物処理システム、情報入力装置および郵便物処理装置を提供する。
【解決手段】郵便物処理装置4は、読取手段14と、判別手段と21、第1の送信手段と、貼付手段16とを有する。情報入力装置は、表示手段44と、指定手段と、第2の送信手段とを有する。第1の送信手段は、移転者宛と判断した郵便物のコーディングデータを情報入力装置へ送信する。貼付手段16は、移転先の情報を記載したラベルを郵便物のラベル貼付位置に貼り付ける。表示手段44は、郵便物処理装置4から受信したコーディングデータに含まれる郵便物の画像を表示する。指定手段は、表示手段44に画像を表示した郵便物に対する移転先を示すラベルの貼付位置を指定する。第2の送信手段は、指定手段により指定された移転先を示すラベルの貼付位置を示す情報を紙葉理処理装置4へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、たとえば、郵便物処理システム、情報入力装置、および郵便物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転居などの住所の移転があった移転者宛の郵便物は、当該郵便物に記載されている宛先人の氏名情報などを基に判別できる。従来、郵便物を宛先情報に基づいて処理する郵便物処理システムでは、係員が移転者宛の郵便物を選別し、移転者宛の郵便物には移転先の宛先情報を印字したラベルを貼り付ける。郵便物処理システムでは、移転者宛の郵便物にラベルを貼り付ける作業を効率化することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−38040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の一形態は、移転者宛の郵便物を効率良く処理することができる郵便物処理システム、情報入力装置および郵便物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態によれば、郵便物処理システムは、郵便物処理装置と情報入力装置とを有する。前記郵便物処理装置は、読取手段と、判別手段と、第1の送信手段と、貼付手段とを有する。前記情報入力装置は、表示手段と、指定手段と、第2の送信手段とを有する。第1の送信手段は、移転者宛と判断した郵便物の画像を含むコーディングデータを前記情報入力装置へ送信する。貼付手段は、ラベルの貼付位置を情報入力装置から取得した後、移転先の情報を記載したラベルを前記郵便物のラベル貼付位置に貼り付ける。表示手段は、前記郵便物処理装置から受信したコーディングデータに含まれる郵便物の画像を表示する。指定手段は、表示手段に画像を表示した郵便物に対する移転先を示すラベルの貼付位置を指定する。第2の送信手段は、指定手段により指定された移転先を示すラベルの貼付位置を示す情報を前記紙葉理処理装置へ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、区分システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、区分システムの各装置間における情報の流れを示す図である。
【図3】図3は、区分装置における処理例を説明するためのフローチャート。
【図4】図4は、VCSにおける処理例を説明するためのフローチャート。
【図5】図5は、ラベル貼付位置の設定画面の第1の表示例である。
【図6】図6は、ラベル貼付位置の設定画面の第2の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る郵便物処理装置(紙葉類処理装置)としての区分装置4を含む区分システム(郵便物処理システム)1の構成例を概略的に示す図である。また、図2は、本区分システムの各装置間における情報の流れを示す図である。
【0008】
図1に示すように、区分システム1は、ネットワーク3で接続される、区分装置4、ビデオコーディングシステム(VCS)5、および、サーバ6を有する。
区分装置4は、郵便物(紙葉類)などの物品を処理する物品処理装置としての郵便物処理装置として機能する。区分装置4は、住所情報および宛先人情報を含む宛先情報を区分情報として郵便物あるいは配達物などの物品を区分処理する。本実施の形態において、区分装置4は、住所情報および宛先人情報を含む宛先情報に基づいて郵便物を区分するものを想定して説明する。
【0009】
区分装置4が処理対象とする郵便物に記載される住所情報は、地域を示す情報(例えば、都道府県及び市町村名等)、地域内の地区を示す情報(例えば、街区等)、および、地区内における場所(居所)を示す情報(例えば、番地及び住居(部屋)番号等)などから構成される。また、区分装置4が処理対象とする郵便物に記載される宛先人情報は、宛先の人物を示す情報(例えば、人物名、社名あるいは法人名等)であるものとする。
【0010】
区分装置4は、郵便物に記載されている宛先情報を文字認識処理などにより認識する。区分装置4は、宛先情報の認識結果に従って郵便物を区分する。宛先情報が認識できた場合、区分装置4は、さらに、宛先情報が移転者宛であるか否かを判断する。区分装置4は、認識できた宛先情報が移転者宛でなければ、認識結果として得られた宛先情報により郵便物を区分する。
【0011】
また、区分装置4は、認識できた宛先情報が移転者宛であれば、移転先を示すラベルの貼付処理を実施する。移転先を示すラベルの貼付処理として、区分装置4は、ラベル貼付位置をオペレータに指定させるため、移転者宛の郵便物に関する情報をVCS5へ送信する。この場合、区分装置4は、VCS5で指定されたラベル貼付位置に移転先の宛先情報をプリントしたラベルを貼り付けて移転先の宛先情報により区分する。
【0012】
また、区分装置4は、宛先情報が認識できなかった郵便物に関する情報もVCS5へ送信する。この場合、区分装置4は、VCS5でオペレータが入力する宛先情報により郵便物を区分する。さらに、オペレータが入力した宛先情報が移転者宛である場合、区分装置4は、VCS5で指定されるラベル貼付位置に移転先の宛先情報をプリントしたラベルを貼り付けて移転先の宛先情報により区分する。
【0013】
ビデオコーディングシステム(VCS)5は、区分装置4において宛先情報が認識できなかった郵便物の宛先情報、あるいは、移転先を示すラベルの貼付位置をオペレータが入力するためのシステムである。ビデオコーディングシステム(VCS)5は、情報蓄積分配装置31と複数の情報入力装置(ビデオコーディングディスク:VCD)32(32a、32b、…)を有する。
【0014】
すなわち、本区分システムにおいて、図2に示すように、区分装置4は、宛先情報が認識できた郵便物のうち宛先が移転者宛の郵便物についてはVCS5に移転先を示すラベルの貼付位置の指定を依頼する。また、区分装置4は、宛先情報が認識できなった郵便物についてはVCS5に宛先情報の入力を依頼する。
VCS5における各情報入力装置32では、情報蓄積分配装置31から分配された郵便物の画像を参照して宛先情報、あるいは、移転先を示すラベルの貼付位置をオペレータが入力する。各情報入力装置32にて入力された郵便物の宛先情報あるいは移転先を示すラベルの貼付位置を示す情報は、情報蓄積分配装置31を介して区分装置4へ返される。
【0015】
区分装置4は、宛先が認識できなった郵便物についてはVCS5から取得する宛先情報により区分する。また、区分装置4は、移転者宛の郵便物については移転先の宛先情報をプリントしたラベルを作成する。区分装置4は、VCS5から指定されるラベル貼付位置に、移転者宛の郵便物に移転先の宛先情報をプリントしたラベルを貼り付けて、移転先の宛先情報により区分する。
【0016】
サーバ6は、宛先情報データベース(宛先DB)63を有する。宛先情報データベース63は、郵便物に記載されうる宛先情報を記憶する。宛先情報データベース63は、宛先情報として、住所情報および宛先人情報(宛先人名など)を記憶する。宛先情報データベース63は、移転情報データベース(移転DB)63aを有する。移転情報データベース63aは、転居などにより住所が移転した移転者に関する移転情報を記憶する。たとえば、移転情報データベース63aは、移転者に関する情報として、移転者名、移転元の住所情報、および、移転先の住所情報などを記憶する。なお、移転情報データベース63aは、移転者が存在する住所情報を含む宛先情報に対して、移転者情報を付加したものであっても良い。
【0017】
次に、区分装置4の構成例について説明する。
上記区分装置4は、図1に示すように、制御部11、供給部12、搬送部13、スキャナ14、バーコードリーダ(BCR)15、ラベルプリンタモジュール16、IDコード印字部17、宛先コード印字部18、区分部19、および、集積部20などを有する。
【0018】
上記制御部11は、区分装置4全体の制御を司る。上記制御部11は、プロセッサ(CPU)、各種メモリおよび各種インターフェースなどにより構成される。たとえば、上記制御部11は、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより各部の制御などを実現している。
【0019】
上記供給部12は、オペレータによりセットされた区分対象となる郵便物(例えば、郵便物)を1通ずつ取出して、上記搬送部13へ供給する。上記搬送部13は、上記搬送路13aにより上記供給部12で取出された郵便物を後段の各部へ搬送する。
【0020】
上記スキャナ14は、上記搬送部13による郵便物の搬送方向に対して上記供給部12の下流に設置される。上記スキャナ14は、上記供給部12にて取出されて上記搬送部13により搬送路13a上を搬送される郵便物上の区分情報としての住所情報が記載されている面の画像を読取る。上記バーコードリーダ15は、郵便物上に印字されている住所コード、IDコードなどのバーコード情報を読取る。
【0021】
上記ラベルプリンタモジュール16は、ラベル貼付部16aとラベルプリンタ16bとを有する。ラベル貼付部16aは、郵便物にラベルを貼り付ける。ラベルプリンタ16bは、ラベルに宛先情報をプリントする。ラベルプリンタ16bは、誤った宛先情報の郵便物に貼り付けるラベルに正しい宛先情報をプリントする。ラベル貼付部16aは、ラベルプリンタ16bがプリントしたラベルと郵便物に貼り付ける。すなわち、ラベルプリンタ16bは、制御部11による制御に応じて、転居先(移転先)の住所情報を含む宛先情報をプリントしたラベルを生成する。上記ラベル貼付部16aは、転居により住所が変更された人物宛の郵便物に対して、移転先の住所情報を含む宛先情報をプリントしたラベルを貼り付ける。
【0022】
上記IDコード印字部17は、バーコードが付与されていない郵便物に対して当該郵便物(あるいは上記スキャナ14にて読み取った当該郵便物の画像)を識別するための識別コードとしてのIDコード(ID情報)を印字する。上記宛先コード印字部18は、当該郵便物に記載されている宛先情報を示すバーコード情報(宛先コード)を印字する。上記宛先コード印字部18では、例えば、上記判別部21で判別した宛先情報あるいは上記情報入力装置32にて入力された宛先情報に基づく宛先(区分先)を示す宛先コードを当該郵便物に印字する。
【0023】
上記区分部19は、宛先情報に基づいて各郵便物を区分する。上記集積部20は、上記区分部19により区分された郵便物を集積する。上記集積部20は、郵便物を集積するための集積庫および複数の区分ポケット(図示しない)を有する。各区分ポケットは、宛先情報としての区分先に対応づけられる。宛先情報が確定した郵便物は、当該宛先情報に対応づけられている区分ポケットに集積される。
【0024】
上記集積部20は、宛先情報が確定できなかった郵便物を上記VCS5による処理対象となる郵便物として集積するためのVCS用の集積庫(以下、VCS集積庫と称する)を有する。宛先情報が確定できなかった郵便物のうち上記VCS5による処理対象となる郵便物は、上記集積部20内のVCS集積庫に集積される。ここでは、上記宛先情報データベース63に登録されている住所情報には、何れかの区分ポケットが対応付けられているものとする。また、移転先へ転送する郵便物(移転情報をプリントしたラベルを貼り付ける移転者宛の郵便物)については、専用の区分ポケット(移転者(ラベル貼付)用の区分ポケット)を設定する。ただし、VCS5によるラベル貼付位置の設定などがオンラインで実施される形態である場合、移転者宛の郵便物は、移転先を示すラベルを貼り付けて、移転先の住所情報に対応する区分ポケットに集積するようにしても良い。
【0025】
上記判別部21は、各郵便物の宛先情報に基づく区分先を判別する。上記判別部21は、画像から文字情報としての宛先情報を認識する文字認識部(オンラインOCR)22を有する。上記判別部21は、たとえば、上記スキャナ14が読み取った郵便物の画像から文字認識部22により住所情報を認識し、認識した住所情報に基づいて各郵便物の区分先を判別する。また、IDコードが印字されている郵便物については、そのIDコードに対応する住所情報を読み込み、その住所情報に基づいて当該郵便物の区分先を判別する。
【0026】
上記判別部21は、文字認識部(オンラインOCR)22を用いて宛先情報を認識する。上記文字認識部22は、上記スキャナ14により読取った郵便物の画像から宛先情報としての文字情報を認識する。上記文字認識部22は、郵便物の画像において宛先情報の記載領域を検出し、検出した宛先情報の記載領域から宛先情報に含まれる住所情報と宛先人情報とをそれぞれ認識する。
【0027】
上記判別部21は、サーバ6の宛先情報データベース63に適宜アクセスできる。判別部21は、上記文字認識部22による認識結果と上記宛先情報データベース63に記憶されている情報とに基づいて郵便物に付与されている宛先情報を判定する。たとえば、上記判別部21では、上記文字認識部22による認識結果としての住所情報と上記宛先情報データベース63に記憶されている住所情報とが一致するか否かにより認識結果が住所情報として確からしいか否かを判断する。また、判別部21は、認識結果の住所情報が移転情報の住所情報(移転者ありの住所情報)と合致するか否かにより移転者宛の郵便物であるか否かを判断する。
【0028】
上記判別部21の文字認識部22は、オンラインOCRとして機能させる。すなわち、判別部21は、区分装置4内において搬送中の郵便物が区分可能な時間(所定の認識処理時間)内で文字認識部22による文字認識と宛先情報の判別処理とを行う。このため、上記文字認識部22では、所定の認識処理時間(たとえば、スキャナ14を通過してから宛先コード印字部18に至るまでの時間)内に住所情報および宛先人情報としての文字情報の認識結果が得られるようなアルゴリズムにより構成される。
【0029】
また、上記判別部21は、図2に示すように、宛先情報が認識できなかった郵便物に関する情報、および、宛先が移転者であると判別された郵便物に関する情報をコーディング用の情報として情報蓄積分配装置31へ転送する。たとえば、宛先情報が認識できなかった郵便物に関する情報としては、郵便物の画像、宛先記載領域の検出結果、ID情報などが含まれる。移転者宛と判別された郵便物に関する情報としては、郵便物の画像、宛先記載領域の検出結果、認識した宛先情報(移転情報)などが含まれる。
【0030】
また、上記判別部21は、図2に示すように、移転者宛と判別された郵便物についてはVCS5からラベル貼付位置を示す情報を取得する。移転者宛の郵便物に対するラベル貼付位置を示す情報を取得した場合、判別部21は、移転先としての宛先情報をラベルプリンタ16bへ供給する。ラベルプリンタ16bは、判別部21から与えられた移転先を示す情報をプリントしたラベルを作成する。ラベル貼付部16aは、移転先を示す情報をプリントしたラベルをVCS5で指定された貼付位置に貼り付ける。
【0031】
また、上記判別部21は、宛先情報が認識できなかった郵便物についてはVCS5から宛先情報を取得する。VCS5から取得した宛先情報のうち移転者宛と判別された郵便物については、さらに、VCS5からラベル貼付位置を示す情報および移転先の宛先情報も取得する。ラベル貼付位置および移転先の宛先情報を取得した場合、判別部21は、移転先の宛先情報をラベルプリンタ16bへ供給する。ラベルプリンタ16bは、判別部21から与えられた移転先の宛先情報をプリントしたラベルを作成する。ラベル貼付部16aは、移転先の宛先情報をプリントしたラベルをVCS5で指定された貼付位置に貼り付ける。
【0032】
次に、VCS(ビデオコーディングシステム)5の構成について説明する。
【0033】
上記VCS5は、図1に示すように、情報蓄積分配装置31および複数の情報入力装置(ビデオコーディングディスク:VCD)32(32a、32b、…)などを有する。なお、VCS5には、情報入力装置32と並列に、上記文字認識部(オンラインOCR)22とは異なるアルゴリズムで宛先情報としての文字認識を行うオフラインOCRを設けても良い。
上記情報蓄積分配装置31は、上記区分装置本体4と各情報入力装置32とのインターフェースとして機能する。上記情報蓄積分配装置31は、宛先情報が認識できなかったと判定された郵便物に関する情報、あるいは、宛先が移転者と判定された郵便物に関する情報などを区分装置4から受信し、ビデオコーディング用の情報として蓄積する。上記情報蓄積分配装置31は、ネットワークで接続される各情報入力装置の稼働状況に応じて、蓄積したビデオコーディング用の情報(以下、コーディングデータとも称する)を各情報入力装置32へ分配する。
【0034】
各情報入力装置32は、図1に示すように、制御部41、ネットワークインターフェース42、記憶部43、表示部44及び操作部45などを有するコンピュータにより構成される。上記制御部41は、情報入力装置32の制御を司る。上記制御部41は、プロセッサ(CPU)、各種メモリおよび各種インターフェースなどにより構成される。制御部41は、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを実行することによりデータ処理あるいは各部の制御などを実現している。ネットワークインターフェース42は、ネットワークを介して通信を行うためのインターフェースである。情報入力装置32は、ネットワークインターフェース42により、情報蓄積分配装置31あるいはサーバ6との通信が可能となる。
【0035】
表示部44は、宛先情報を入力すべき郵便物の画像あるいはラベル貼付位置を指定するための操作画面などを表示する表示装置である。操作部45は、宛先情報、あるいは、ラベル貼付位置の指定などを入力する入力装置である。操作部45は、たとえば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、あるいは、タッチパネルなどにより構成する。たとえば、操作部45としては、表示部44にタッチパネルを設け、さらに、キーボード及びマウスなどの入力装置を備えても良い。
【0036】
上記情報入力装置32(32a、32b、…)は、宛先情報あるいはラベルの貼り付け位置を教示する教示装置として機能する。上記情報入力装置32は、宛先が移転者と判定された郵便物に関する情報を受信した場合、当該郵便物の画像を表示部44に表示させた状態で、操作部45による移転先を示すラベルの貼付位置の指定を受け付ける。また、上記情報入力装置32は、宛先情報が認識できなかった郵便物の画像を受信した場合、当該郵便物の画像を表示部44に表示させた状態で、操作部45による宛先情報の入力を受け付ける。さらに、入力された宛先が移転者である場合、上記情報入力装置32は、操作部45による移転先を示すラベルの貼付位置の指定を受け付ける。
【0037】
また、各情報入力装置32は、オペレータが入力した入力情報(宛先情報あるいはラベル貼付位置)を当該郵便物のID情報に対応づけた処理済みデータ(コーディングされた情報)として情報蓄積分配装置31に蓄積する。上記情報蓄積分配装置31は、上記情報入力装置32で入力された情報などを蓄積する機能を有する。上記情報蓄積分配装置31は、蓄積した各情報入力装置32で入力されたデータを、適宜、区分装置4へ供給する。
【0038】
上記区分装置4では、上記情報蓄積分配装置31に蓄積されたVCS5による処理済みデータに基づいてVCS集積庫あるいは移転者宛の区分ポケットに集積された郵便物を処理する。すなわち、上記情報入力装置32により宛先情報が入力された郵便物(VCS集積庫に集積された郵便物)については、区分装置4は、当該郵便物に付与されているIDコードを読取り、そのIDコードに対応する郵便物の住所情報(入力情報)を上記情報蓄積分配装置31から取得し、その取得した住所情報に基づいて区分する。また、ラベルの貼付位置が入力された郵便物(移転者宛の区分ポケットに集積された郵便物)については、区分装置4は、移転先の宛先情報をプリントしたラベルを作成し、移転先をプリントしたラベルを当該郵便物に貼り付け、ラベルにプリントされた移転先の宛先情報により当該郵便物を区分する。
【0039】
次に、サーバ6の構成について説明する。
上記サーバ6は、図1に示すように、制御部61、ネットワークインターフェース62、および宛先情報データベース63を有する。制御部61は、サーバ全体の制御を司るものである。制御部61は、プロセッサ及びメモリなどにより構成される。たとえば、制御部61は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサが実行することにより、種々の処理を実現する。ネットワークインターフェース62は、ネットワークを介して区分装置4或いはVCS5の各装置と通信を行うためのインターフェースである。たとえば、インターフェース62は、区分装置4から宛先情報データベース63へのアクセス、あるいは、情報入力装置32から宛先情報データベース63へのアクセスを可能とする。
【0040】
宛先情報データベース(宛先DB)63は、宛先(区分先)として存在する宛先情報を記憶する。たとえば、区分装置4の判別部21は、上記宛先情報データベース63に記憶されている宛先情報に基づいて上記文字認識部22による文字認識処理の結果が正しいか否かを判定する。また、上記宛先情報データベース63は、宛先の人物が変更された場合、あるいは、新たな宛先が設定された場合などに適宜更新される。
【0041】
また、宛先情報データベース63は、移転情報データベース(移転DB)63aを有する。移転情報データベース63aは、ある住所情報の人物が転居した場合、つまり、ある住所情報に対応する宛先人が変更された場合、移転者の転出先の住所情報などを含む移転情報を記憶する。上記宛先情報データベース63の移転情報データベース63aにおいて、移転情報は、住所情報に対応づけられる。たとえば、区分装置4の判別部21は、宛先情報の認識結果としての住所情報が移転情報の住所情報と合致する場合、宛先人が転出した宛先人(移転者)か新たに転入してきた宛先人(転入者)であるか否かを判定する。宛先情報の宛先人が転居済みの宛先人である場合、判別部21は、当該郵便物の住所情報を移転情報に基づいて転居先の住所情報に変更すべきであると判定する。
【0042】
次に、区分装置4における処理について説明する。
区分装置4は、郵便物に記載されている住所および宛先を文字認識することにより、郵便物の宛先情報を認識する。宛先情報が認識できた場合、区分装置4は、宛先情報の認識結果と移転情報データベース63aが記憶する移転情報とを突き合わせて、郵便物の宛先が移転者宛か否かを判断する。宛先が移転者でないと判断した場合、区分装置4は、宛先情報の認識結果に従って郵便物を区分する。宛先が移転者であると判断した場合、区分装置4は、当該郵便物を移転者用の区分ポケットに区分し、当該郵便物に関するコーディングデータ(宛先情報の認識結果、郵便物の画像、検出した宛先の記載領域を示す情報、および、移転先の情報など)をVCS5へ送信する。また、宛先情報が認識できなかった場合、区分装置4は、当該郵便物にID情報を付与してVCS集積庫に区分し、当該郵便物に関するコーディングデータ(ID情報、郵便物の画像、検出した宛先の記載領域を示す情報など)をVCS5へ送信する。
【0043】
上記判別部21は、移転情報が登録されている住所情報が記載されている郵便物に対しては宛先人情報に基づいて移転者(転居者)であるか転入者であるかを判定する。移転者(現在は当該住所でない者)宛か転入者(当該住所の現在の居住者)宛かは、郵便物の記載されている宛先情報に含まれる宛先人情報によって判別される。すなわち、判別部21は、認識結果として得られた住所情報が移転情報データベース63aに登録されている住所情報と一致する場合、認識結果として得られた宛先人情報が移転者か転入者かを判別する。
【0044】
区分装置4は、移転者宛の郵便物に移転先の宛先情報をプリントしたラベルを貼り付ける。ただし、文字認識部(OCR)22による文字認識処理では、誤認識が発生する可能性がある。たとえば、更新された住所データベースにより、宛先人情報として転入者の氏名が記載されている郵便物に対しても、文字認識部22は、宛先人情報が移転者の氏名であると判別してしまう可能性もある。また、郵便物上の宛先情報が記載されている領域に移転者の宛先情報を記載したラベルを貼り付けてしまうと、元々郵便物に記載されている宛先情報を人間が視認するこができない(誤認識であったことを人間が確認できない)。
【0045】
すなわち、剥がし難いラベルを無作為に貼り付けたり、常に固定位置に貼り付けたりすると、元々郵便物に記載されていた宛先情報を確認できない状態となることがある。このため、本区分システム1は、移転者用のラベルを貼る場合、当該郵便物に記載されている宛先情報を隠さないように、ラベルを貼り付ける。これにより、配達員などの人物は、ラベルに印刷された転居先の宛先情報と元々郵便物に記載されていた宛先情報とを容易に確認することができる。
【0046】
また、区分システム1は、移転者用のラベルを人手で簡単に剥がせるように、郵便物に貼り付けても良い。ラベルが剥がし易いものであれば、区分システム1は、当該郵便物に記載されている宛先情報を隠すように、ラベルを貼り付ける。このような形態であれば、通常状態では郵便物に記載された転居前の宛先情報を隠しつつ、配達員などの人物が必要に応じて郵便物に記載されている宛先情報を確実に確認することができる。
【0047】
図3は、区分装置4における処理例を説明するためのフローチャートである。
【0048】
まず、区分装置4において、制御部11は、供給部12にセットされた郵便物が1つずつ取り出し、搬送部13により搬送させる。スキャナ14は、搬送部13により搬送される郵便物上の画像を読み取る(ステップS11)。上記スキャナ14により読み取った画像は、判別部21内の文字認識部22へ供給される。文字認識部22は、スキャナ14が読み取った画像から宛先情報としての文字情報を認識する文字認識処理を行う(ステップS12)。ただし、バーコードが印字されている郵便物については、バーコードリーダ15によりバーコードが示す宛先情報を認識する。
【0049】
上記文字認識処理において、文字認識部22は、スキャナ14により読み取った画像から宛先情報の記載領域らしい領域を検出(領域検出)する。この領域検出処理において、文字認識部22は、当該郵便物にラベルが貼り付けられているか否かも検出する。ラベルが貼り付けられている場合、文字認識部22は、ラベル上の領域における文字領域を宛先情報の記載領域として検出する。
【0050】
宛先情報の記載領域を検出すると、文字認識部22は、検出した領域から文字列を検出(文字列検出)する。文字列を検出すると、文字認識部22は、検出した文字列から各文字を検出(文字検出)する。各文字を検出すると、文字認識部22は、検出した各文字と文字辞書(図示しない)に登録されている各文字との類似度を算出することにより、各文字が類似する文字(文字候補)を抽出する。文字候補としては、たとえば、類似度の順に所定数の文字候補が選出される。このような文字候補を選出すると、文字認識部22は、各文字の文字候補の組合せからなる単語候補と宛先情報データベース63に記憶されている宛先情報(住所情報、宛先人情報)に含まれる単語候補との類似度を算出することにより、文字認識結果としての宛先情報(住所情報および宛先人情報)を決定する。
【0051】
判別部21は、上記のような認識処理により宛先情報が認識できたか否かを判断する(ステップS13)。宛先情報が認識できなかった場合(ステップS13、NO)、判別部21は、当該郵便物の宛先情報をVCS5で入力させるため、宛先情報が認識できなかった郵便物に対するコーディングデータ(例えば、郵便物の画像、宛先記載領域の検出結果、ID情報など)を情報蓄積分配装置31へ転送する(ステップS14)。また、判別部21は、宛先情報が認識できなかった郵便物の区分先をVCS集積庫と判断する。これにより、制御部11は、宛先情報が認識できなかった当該郵便物をVCS集積庫に区分する(ステップS15)。
【0052】
また、宛先情報が認識できた場合(ステップS13、YES)、判別部21は、認識結果として得られた宛先情報が移転者宛の宛先情報であるか否かを判定する(ステップS16)。判別部21は、認識結果の宛先情報と移転DB63aに登録されている移転情報とを比較することにより当該郵便物が移転者宛か否かを判定する。たとえば、上記判別部21は、認識結果としての宛先情報に含まれる住所情報が移転DB63aに登録されている移転者の住所情報と合致するか否かを判定する。認識結果の住所情報と移転情報の住所情報とが合致する場合、上記判別部21は、認識結果としての宛先情報に含まれる宛先人情報(例えば、宛先人の氏名)が移転DB63aに登録されている移転者情報(例えば、移転者の氏名)と合致するか否かを判定する。認識結果の宛先人情報が移転者情報と合致する場合、上記判別部21は、当該郵便物が移転者宛であると判定する。
【0053】
当該郵便物が移転者宛でないと判定した場合(ステップS16、NO)、判別部21は、認識処理により得られた宛先情報を当該郵便物の宛先情報として決定する。当該郵便物の宛先情報が決定すると、上記制御部11は、決定した宛先情報に基づいて当該郵便物を区分処理する(ステップS17)。この場合、上記制御部11は、当該郵便物に宛先コード印字部18により宛先情報を示す宛先コードを印字し、区分部19により宛先情報の宛先情報に対応する集積部20内の区分ポケットに集積する。
【0054】
また、当該郵便物が移転者宛であると判定した場合(ステップS16、YES)、制御部11は、移転先を示すラベルの貼付位置が未確定であるか既に確定しているかを判断する(ステップS18)。本区分システムでは、ラベルの貼付位置をVCS5で確定する。このため、制御部11は、当該郵便物に対するラベル貼付位置の設定処理が未実施か完了済みかを判断する。
【0055】
当該郵便物に対するラベルの貼付位置が確定している場合(ステップS18、NO)、制御部11は、当該郵便物に対する移転先の宛先情報をラベルプリンタ16bによりラベルにプリントする(ステップS19)。移転先の宛先情報をプリントしたラベルを生成すると、制御部11は、当該郵便物における確定済みのラベル貼付位置に移転先の宛先情報をプリントしたラベルを貼り付ける(ステップS20)。制御部11は、ラベルを貼り付けた郵便物を、当該ラベルにプリントした移転先の宛先情報に対応する区分ポケットに集積させる(ステップS17)。
【0056】
当該郵便物に対するラベルの貼付位置が未確定である場合(ステップS18、YES)、判別部21は、宛先情報の認識処理で検出した当該郵便物における宛先情報の記載領域に基づいてラベルの貼付位置の候補を選出する(ステップS21)。たとえば、判別部21は、ラベルの貼付位置の候補として、宛先情報の記載領域と重なりが最小となる位置を選出する。また、判別部21は、宛先情報における住所情報の記載領域との重なりが最小となる位置をラベル貼付位置の候補として選出しても良いし、宛先情報における宛先人情報の記載領域との重なりが最小となる位置をラベル貼付位置の候補として選出しても良い。
【0057】
また、ラベルを郵便物から剥がし易いものとした場合、判別部21は、ラベル貼付位置の候補として、宛先情報の記載領域と重なりが最大となる位置を選出しても良い。たとえば、ラベルを郵便物から剥がし易いものであれば、判別部21は、宛先情報における住所情報の記載領域との重なりが最大となる位置をラベル貼付位置の候補として選出しても良いし、宛先情報における宛先人情報の記載領域との重なりが最大となる位置をラベル貼付位置の候補として選出しても良い。
【0058】
さらに、判別部21は、ラベルの大きさも選出できるようにしても良い。たとえば、判別部21は、ラベルの大きさを郵便物のサイズに応じて決定する。また、ラベルの大きさは、宛先領域との重なり具合に応じて決定しても良い。たとえば、宛先領域を隠さないようにラベルを貼る場合(宛先領域とラベルとの重なりを最小とする場合)、判別部21は、紙葉理における宛先情報の記載領域に重ならないようなサイズのラベルを選択するようにしても良い。また、宛先領域を隠すようにラベルを貼る場合(宛先領域とラベルとの重なりを最大とする場合)、判別部21は、郵便物における宛先情報の記載領域を覆うことができるサイズのラベルを選択するようにしても良い。
なお、ラベル貼付位置の候補の選出は、区分装置4では行わずに、VCS5で行うようにしても良い。この場合、判別部21は、上記ステップS21の処理を省略できる。
【0059】
ラベル貼付位置の候補を算出すると、判別部21は、当該郵便物に対するラベル貼付位置をVCSで指定するため、ラベル貼付位置を決定する郵便物(移転者宛の郵便物)に対するコーディングデータ(例えば、郵便物の画像、認識した宛先情報、移転者先の情報、宛先情報の記載領域を示す情報およびID情報など)を情報蓄積分配装置31へ転送する(ステップS22)。また、判別部21は、ラベル貼付位置が未決定である移転先宛の郵便物の区分先を移転者要(ラベル貼付用)の区分ポケットと判断する。この判断に従って、制御部11は、移転者宛の当該郵便物をラベル貼付用の区分ポケットに区分する(ステップS23)。
【0060】
なお、ステップS18でYESの場合の処理(ステップS19〜20及びS17)は、ラベル貼付用の区分ポケットに集積した郵便物に対するラベル貼付処理及び区分処理と考えても良い。
また、VCS5が区分装置4の処理に対してオンラインVCSである場合、判別部21は、ステップS21及びS22の処理を実行した後、当該郵便物を搬送中にVCS5からの情報を得て、ステップS19及びS20の処理を続けて実行するようにしても良い。この場合、ステップS23の処理は省略される。
【0061】
次に、VCS5における処理について説明する。
図4は、VCS5における処理例を説明するためのフローチャートである。
【0062】
まず、VCS5において、情報蓄積分配装置31は、区分装置4から供給されるコーディングデータを蓄積する(ステップS31)。情報蓄積分配装置31は、各情報入力装置の稼働状況に応じて蓄積したコーディングデータを各情報入力装置へ分配する(ステップS32)。
【0063】
コーディングデータを受信した情報入力装置32の制御部41は、受信したコーディングデータに含まれる郵便物の画像を表示部44に表示する(ステップS33)。さらに、情報入力装置32の制御部41は、受信したコーディングデータに宛先情報の認識結果が含まれるか否かを判断する(ステップS34)。コーディングデータに宛先情報の認識結果が含まれる場合(ステップS34、YES)、制御部41は、認識結果としての宛先情報を表示部44に表示する(ステップS35)。また、コーディングデータに認識結果の宛先情報に対応する移転先の情報が含まれる場合、制御部41は、宛先情報と移転先の情報とを表示部44に表示するようにしても良い。
【0064】
表示部44に宛先情報を表示した状態において、制御部41は、宛先情報の確定指示を受け付ける(ステップS36)。たとえば、移転者宛の郵便物に関するコーディングデータ(ラベル貼付位置の指定を依頼するコーディングデータ)を受信した場合、宛先情報は認識できているため、表示部44は、認識結果の宛先情報及び移転先の情報を表示する。この場合、オペレータは、表示部44に表示された宛先情報を確認して確定を指示する。また、宛先情報の認識が失敗した郵便物のコーディングデータ(宛先情報の入力を依頼するコーディングデータ)を受信した場合、宛先情報が認識できていないため、表示部44は、宛先情報の入力案内あるいは認識できた範囲の情報を表示する。たとえば、郵便物では完全に住所認識ができない場合もある。このような場合、オペレータは、表示部44に表示された郵便物の画像に参照し、操作部45により宛先情報を入力する。
【0065】
すなわち、宛先情報の確定が指示されない状態において(ステップS36、NO)、制御部41は、操作部45による宛先情報の入力を受け付ける(ステップS37)。操作部45により宛先情報が入力された場合(ステップS37、YES)、制御部41は、入力内容に応じて表示部44に表示する宛先情報を更新する(ステップS38)。
【0066】
宛先情報の確定が指示された場合(ステップS36、YES)、制御部41は、移転DB63bなどを参照して確定した宛先情報が移転者宛であるか否かを判断する(ステップS40)。移転者宛でないと判断した場合(ステップS40、NO)、制御部41は、宛先情報などの入力情報を情報蓄積分配装置31へ送信する(ステップS48)。情報蓄積分配装置31は、情報入力装置32で入力された入力情報を適宜区分装置4へ送信する(ステップS49)。
【0067】
また、確定した宛先情報が移転者宛であると判断した場合(ステップS40、YES)、制御部41は、当該郵便物に貼り付けるべき、移転先を示すラベルの設定画面を表示部44に表示する(ステップS41)。表示部44は、ラベルの設定画面において、たとえば、郵便物の画像、宛先情報の記載領域およびラベル貼付位置などを表示する。ラベル設定画面を表示する場合、制御部41は、ラベル貼付位置の候補を決定する(ステップS42)。ラベル貼付位置の候補は、区分装置4が選出し、コーディングデータとともにVCS5へ供給される。また、ラベル貼付位置の候補は、コーディングデータに含まれる宛先情報の記載領域に応じて、制御部41が選出するようにしても良い。ラベル貼付位置の候補が確定すると、制御部41は、ラベル貼付位置の候補を含むラベル設定画面を表示部44に表示する(ステップS43)。
【0068】
表示部44にラベル貼付位置の候補を表示した状態において、制御部41は、ラベル貼付位置の確定指示を受け付けるとともに(ステップS44)、ラベル貼付位置の変更(修正)の指示を受け付ける(ステップS45)。ラベル貼付位置の変更は、オペレータが操作部45を操作することにより実行される。ラベル貼付位置の変更が指示されと(ステップS45、YES)、制御部41は、変更指示に応じて表示部44に表示するラベル貼付位置を更新する(ステップS46)。
【0069】
また、ラベル貼付位置の確定指示が入力された場合(ステップ44、YES)、制御部41は、現在のラベル貼付位置を現在表示中の郵便物に対するラベル貼付位置として確定する。ラベル貼付位置を確定すると、制御部41は、確定したラベル貼付位置を示す情報と当該郵便物を示す情報とを含む入力情報を情報蓄積分配装置31へ送信する(ステップS48)。情報蓄積分配装置31は、情報入力装置32で確定されたラベル貼付位置を示す情報を含む入力情報を適宜区分装置4へ送信する(ステップS49)。
【0070】
次に、ラベル貼付位置の設定画面およびラベル貼付位置の設定操作について説明する。
【0071】
図5及び図6は、ラベル貼付位置の設定画面の第1及び第2の表示例である。図5及び図6に示すラベル貼付位置の設定画面は、オプションフォーム欄、プレビューフォーム欄および対象画像フォーム欄により構成される。図5に示す第1の表示例は、主に、ラベル貼付位置をタッチパネル、あるいは、ポインティングデバイスのカーソルを用いて指定する方式を想定したものである。図6に示す第2の表示例は、ラベルの貼付位置をキーボード(テンキー)により指定する方式を想定したものである。
【0072】
オプションフォーム欄は、ラベルの状態を表示する。オプションフォーム欄では、図5及び図6に示す表示例において、ラベルサイズの選択ボタンとラベルの貼付方向の設定欄とを有する。ラベルサイズは、区分装置4において選択可能なサイズから選択できる。ラベル貼付方向は、縦方向あるいは横方向の何れが設定できる。ラベルサイズおよびラベル貼付方向は、デフォルト設定が表示され、オペレータによる操作に応じて変更される。プレビューフォーム欄は、郵便物の全体領域とラベルの領域とを表示する。プレビューフォーム欄においては、ラベルの設定変更に応じてラベル領域が変更される。
【0073】
対象画像フォーム欄は、設定対象とする郵便物の画像とラベル貼付位置とを表示する。郵便物の画像は、コーディングデータに含まれる郵便物のスキャン画像を対象画像フォーム欄の大きさに応じて変倍した画像である。対象画像フォーム欄では、郵便物の画像上においてラベル貼付位置を指定する。
【0074】
図5に示す第1の表示例では、ラベルの貼付位置は、ポインティングデバイスのカーソル(矢印のマーク)により指定される。カーソルは、マウスなどのポインティングデバイスで移動させる。また、図5に示す表示例において、ラベルの領域を矩形領域として、カーソルは、その矩形領域の端点(例えば左上の点)をラベル貼付位置として指定する。また、ラベルの矩形領域の端点は、タッチパネルで指定できるようにしても良い。図5に示す表示例によれば、オペレータは、タッチパネルあるいはマウスなどのポインティングデバイスを用いて直感的にラベル貼付位置を指定できる。ただし、図5に示すようなカーソル(矢印のマーク)は、キーボードにより操作(移動)できるようにしても良い。
【0075】
図6に示す第2の表示例では、ラベルの貼付位置は、郵便物の画像を複数の小領域に分割し、それらの小領域により指定される。たとえば、ラベルの領域を矩形領域とし、その矩形領域の端点(例えば左上の点)を含む小領域をラベル貼付位置として指定する。さらに、図6に示す表示例の各小領域には、番号が付与される。これにより、図6に示す各小領域は、キーボードおよびテンキーにより入力する番号で指定できる。つまり、図6に示す表示例では、ラベル貼付位置をキーボードあるいはテンキーにより指定できる。通常、VCDのオペレータは、宛先情報などを入力するため、キーボードを操作する。このため、ラベル貼付位置をキーボードで指定できるようにすれば、オペレータの入力効率の向上が期待できる。ただし、図6に示すような小領域を設定した場合であっても、ラベルの貼付位置を指定する小領域は、タッチパネルあるいはマウスなどのポインティングデバイスで指定するようにしても良い。タッチパネルあるいはマウスなどのポインティングデバイスを用いれば、オペレータは、直感的にラベル貼付位置を指定できる。
【0076】
上記のように、区分システムおいて、郵便物処理装置は、郵便物の画像を読み取り、この読み取った郵便物の画像から当該郵便物に記載されている宛先情報を認識し、認識した宛先情報が移転者宛であるか否かを判断し、この判断により移転者宛と判断した郵便物の画像を含むコーディングデータを情報入力装置へ送信する。情報入力装置は、郵便物処理装置から受信したコーディングデータに含まれる郵便物の画像を表示部に表示し、表示部に画像を表示した郵便物に対する移転先を示すラベルの貼付位置の指定を受け付け、指定されたラベルの貼付位置を示す情報を紙葉理処理装置へ送信する。郵便物処理装置は、移転者宛の郵便物に対するラベルの貼付位置を情報入力装置から取得し、移転先の情報を記載したラベルを当該郵便物のラベル貼付位置に貼り付ける。
【0077】
上記のような区分システムによれば、移転者宛の郵便物に対するラベルの貼付位置を情報入力装置においてオペレータが指定でき、区分装置が移転者宛の郵便物に対して情報入力装置で指定されたラベル貼付位置に移転先の情報を記載したラベルを貼り付けることができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…区分システム(郵便物処理システム)、4…区分装置(郵便物処理装置)、5…ビデオコーディングシステム(VCS)、63…宛先情報データベース(宛先DB)、11…制御部、14…スキャナ(読取手段)、16…ラベル貼付部(ラベル貼付手段)、21…判別部(判別手段、判断手段)、22…文字認識部(認識手段)、31…情報蓄積分配装置、32…情報入力装置(VCD)、41…制御部(制御手段)、44…表示部(表示手段)、45…操作部(指示手段)、6…サーバ、63…宛先情報データベース(宛先DB)、63a…移転情報データベース(移転DB)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
郵便物処理装置と情報入力装置とを有する郵便物処理システムであって、
前記郵便物処理装置は、
郵便物の画像を読み取る読取手段と、
この読取手段により読み取った郵便物の画像から当該郵便物に記載されている宛先情報を認識する判別手段と、
この判別手段により認識した宛先情報が移転者宛であるか否かを判断する判断手段と、
この判断手段により移転者宛と判断した場合、当該郵便物の画像を含むコーディングデータを前記情報入力装置へ送信する第1の送信手段と、
この第1の送信手段により画像を送信した郵便物に対するラベルの貼付位置を情報入力装置から取得した後、移転先の情報を記載したラベルを前記郵便物のラベル貼付位置に貼り付ける貼付手段と、を有し、
前記情報入力装置は、
前記郵便物処理装置から受信したコーディングデータに含まれる郵便物の画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に画像を表示した郵便物に対する移転先を示すラベルの貼付位置を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された移転先を示すラベルの貼付位置を示す情報を前記紙葉理処理装置へ送信する第2の送信手段と、を有する、
ことを特徴とする郵便物処理システム。
【請求項2】
前記第1の送信手段は、さらに、前記判別手段により宛先情報を認識できなかった郵便物の画像を含むコーディングデータを前記情報入力装置へ送信し、
前記指定手段は、前記表示手段に宛先情報を認識できなかった郵便物の画像を表示した場合には当該郵便物の宛先情報を入力し、前記表示手段に移転先宛の郵便物の画像を表示する場合には移転先を示すラベルの貼付位置を指定し、
前記情報入力装置は、さらに、前記指定手段により入力された郵便物の宛先情報が移転者宛である場合、当該郵便物に対する移転先を示すラベルの貼付位置の指定を受け付ける制御手段を有する、
ことを特徴とする郵便物処理システム。
【請求項3】
前記指定手段は、前記表示手段が表示した郵便物の画像に対する前記ラベルの貼付位置をタッチパネル或いはポインティングデバイスで指定し、
前記表示手段は、前記指定手段で指定されるラベルの貼付位置を当該郵便物の画像上に表示する、
ことを特徴とする前記請求項1又は2の何れか1項に記載の郵便物処理システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記郵便物の画像を複数の領域に分割した各領域を表示し、
前記指定手段は、前記表示手段が表示した複数の領域から前記ラベルの貼付位置とする領域を指定する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至3の何れか1項に記載の郵便物処理システム。
【請求項5】
前記第1の送信手段は、前記郵便物の画像と当該郵便物における宛先情報の記載領域を示す情報とを含むコーディングデータを前記情報入力装置へ送信し、
前記表示手段は、当該郵便物において宛先情報の記載領域と重なる領域が最小となるラベル貼付位置の候補を表示する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至4の何れか1項に記載の郵便物処理システム。
【請求項6】
前記第1の送信手段は、前記郵便物の画像と当該郵便物における宛先情報の記載領域を示す情報とを含むコーディングデータを前記情報入力装置へ送信し、
前記表示手段は、当該郵便物において宛先情報の記載領域と重なる領域が最大となるラベル貼付位置の候補を表示する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至4の何れか1項に記載の郵便物処理システム。
【請求項7】
さらに、前記情報入力装置は、前記郵便物の大きさに応じた前記ラベルの大きさを選定する選定手段を有し、
前記表示手段は、前記選定手段により選定したサイズのラベルと宛先情報の記載領域に重なる領域とが最小となる前記ラベル貼付位置の候補を表示する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至6の何れか1項に記載の郵便物処理システム。
【請求項8】
郵便物処理装置が処理する郵便物に関する情報を入力する情報入力装置であって、
宛先が移転者宛の郵便物の画像を前記郵便物処理装置から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した郵便物の画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に画像を表示した郵便物に対して移転先を示すラベルの貼付位置を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された移転先を示すラベルの貼付位置を示す情報を前記紙葉理処理装置へ送信する送信手段と、
を具備することを特徴とする情報入力装置。
【請求項9】
前記取得手段は、宛先が移転者宛の郵便物の画像、あるいは、宛先情報を認識できなかった郵便物の画像を前記郵便物処理装置から取得し、
前記指定手段は、前記表示手段に宛先情報を認識できなかった郵便物の画像を表示した場合には当該郵便物の宛先情報を入力し、前記表示手段に移転先宛の郵便物の画像を表示する場合には移転先を示すラベルの貼付位置を指定し、
さらに、前記指定手段により入力された郵便物の宛先情報が移転者宛である場合、当該郵便物に対する移転先を示すラベルの貼付位置の指定を受け付ける制御手段を有する、
ことを特徴とする前記請求項8に記載の情報入力装置。
【請求項10】
前記指定手段は、前記表示手段が表示した移転者宛の郵便物の画像に対して前記ラベルの貼付位置をタッチパネル或いはポインティングデバイスで指定し、
前記表示手段は、前記指定手段で指定されるラベルの貼付位置を当該郵便物の画像上に表示する、
ことを特徴とする前記請求項8又は9の何れか1項に記載の情報入力装置。
【請求項11】
前記表示手段は、さらに、前記移転者宛の郵便物の画像を複数の領域に分割した各領域を表示し、
前記指定手段は、前記表示手段が表示した複数の領域から前記ラベルの貼付位置とする領域を指定する、
ことを特徴とする前記請求項8乃至10の何れか1項に記載の情報入力装置。
【請求項12】
前記取得手段は、前記郵便物の画像と当該郵便物における宛先情報の記載領域を示す情報とを前記郵便物処理装置から取得し、
前記表示手段は、当該郵便物において宛先情報の記載領域と重なる領域が最小となるラベル貼付位置の候補を表示する、
ことを特徴とする前記請求項8乃至11の何れか1項に記載の情報入力装置。
【請求項13】
前記取得手段は、前記郵便物の画像と当該郵便物における宛先情報の記載領域を示す情報とを前記郵便物処理装置から取得し、
前記表示手段は、当該郵便物において宛先情報の記載領域と重なる領域が最大となるラベル貼付位置の候補を表示する、
ことを特徴とする前記請求項8乃至11の何れか1項に記載の情報入力装置。
【請求項14】
さらに、前記郵便物の大きさに応じた前記ラベルの大きさを選定する選定手段を有し、
前記表示手段は、前記選定手段により選定したサイズのラベルと宛先情報の記載領域に重なる領域とが最小となる前記ラベル貼付位置の候補を表示する、
ことを特徴とする前記請求項8乃至13の何れか1項に記載の情報入力装置。
【請求項15】
情報入力装置との通信が可能な郵便物処理装置において、
郵便物の画像を読み取る読取手段と、
この読取手段により読み取った郵便物の画像から当該郵便物に記載されている宛先情報を認識する判別手段と、
この判別手段により認識した宛先情報が移転者宛であるか否かを判断する判断手段と、
この判断手段により移転者宛と判断した場合、当該郵便物の画像を含むコーディングデータを前記情報入力装置へ送信する送信手段と、
この送信手段により画像を送信した郵便物に対するラベルの貼付位置を前記情報入力装置から取得した後、移転先の情報を記載したラベルを前記郵便物における貼付位置に貼り付ける貼付手段と、
を有することを特徴とする郵便物処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−10081(P2013−10081A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144865(P2011−144865)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】