説明

郵便物処理装置

【課題】郵便物などにRFIDを添付して、これを用いて郵便局における郵便物などの流れを監視し、宛先ごとの仕分けなどの諸工程に起因する誤配を防止・抑制する。
【解決手段】郵便物処理装置は、宛先に関する情報を含む郵便物情報が記憶されたRFIDが添付された複数の郵便物を受け入れて所定の差し立て時間ごとに郵便物の宛先に応じて仕分ける仕分け部3を備えている。郵便物処理装置は、受け入れ時RFID読み取り部10、入口RFID読み取り部11、仕分け口RFID読み取り部12および出口RFID読み取り部13、それらのRFID読み取り部で読み取られた郵便物情報同士を比較することにより、仕分け部3を通った郵便物がそれぞれの宛先に応じて正しく仕分けられたかどうかを判定するマッチング処理装置20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、RFID(無線周波数識別装置)が添付された郵便物を宛先に応じて仕分ける仕分け部を備えた郵便物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物などにRFIDを添付してその郵便物などの流れを監視したり管理する技術が知られている(特許文献1、2、3参照)。
【0003】
たとえば特許文献1に記載された技術では、書留郵便物、小包郵便物等の配送物品取扱対象物の表面に対して、RFID用IDデータ等の情報の書込みと読み取りが行なえるようなRFID通信応答部および、取扱物品追跡管理用登録記号番号コードとその他の情報データの記録記憶機能部とを備えたRFID機能装置を直接に添付する。あるいは、宛名ラベル、手続伝票に当該RFID機能装置を添付したものを配送物品取扱対象物に貼付添付する。
【0004】
これにより、利用者側での差し出し準備作業段階から配送物品取扱事業者での窓口引き受け、送達、配達、追跡調査、その他の事務や大口配達先での配分等の処理作業を、RFID機能装置とのデータ通信を行なうことにより実現できる。そして、大口利用者が書留郵便物や小包郵便物等の配送物品委託を行なう差出事前準備事務手続き、窓口引き受け手続き、郵便局間等の物流受託事業者内部での送達手続き、配達手続き、配達持ち戻り処理手続き、事故追跡調査手続き、配達先の事業者内における配分、その他の事務手続き処理を行なえるようにしている。これにより業務処理や手続きを迅速に行なえる。
【特許文献1】特開平11−175621号公報
【特許文献2】特開2004−359403号公報
【特許文献3】特開2007−22704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、郵便局において宛先ごとの仕分けに基づく誤配を防止・抑制するような考慮はされていない。また、特許文献2、3に記載された技術でも同様である。
【0006】
本発明は、郵便物などにRFIDを添付して、これを用いて郵便局における郵便物などの流れを監視し、宛先ごとの仕分けなどに基づく誤配を防止・抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る郵便物処理装置は、少なくとも宛先に関する情報を含む郵便物情報が記憶されたRFIDが添付された複数の郵便物を受け入れて所定の差し立て時間ごとに前記郵便物の宛先に応じて仕分ける仕分け部を備えた郵便物処理装置であって、前記仕分け部を通る前の郵便物の前記RFIDの郵便物情報を読み取る仕分け前RFID読み取り部と、前記仕分け部を通過した後の郵便物に添付されたRFIDの郵便物情報を読み取る仕分け後RFID読み取り部と、前記仕分け前RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報と、前記仕分け後RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報とを比較することにより、前記仕分け部を通った郵便物がそれぞれの宛先に応じて正しく仕分けられたかどうかを判定するマッチング処理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、郵便物にRFIDを添付して、これを用いて郵便局における郵便物などの流れを監視し、宛先ごとの仕分けなどの諸工程に起因する誤配を防止・抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1ないし図4を参照しながら、本発明に係る郵便物処理装置の実施形態について説明する。ここで、図1は本発明に係る郵便物処理装置の一実施形態の構成を示すブロック図、図2は図1の郵便物処理装置の処理の流れを模式的に示すブロック図、図3は図1の郵便物処理装置の処理の流れを示す流れ図、図4は図3の処理の流れにおける郵便物情報マッチング処理の詳細を示す流れ図である。
【0010】
ここで説明する実施形態の郵便物処理装置では、各郵便物が郵便窓口で受け取られる前にRFIDが添付されているものとする。ここで、「添付」とは、郵便物の表面に貼付されている場合、封筒内の書類に貼付されている場合、封筒内に挿入されている場合などが含まれる。また、「郵便物」は、定型郵便物・定形外郵便物・小包・大口等の郵便物を含むものとする。RFIDには、あらかじめ、少なくとも当該郵便物の宛先情報を含む郵便物情報が記憶されているものとする。
【0011】
図1に示すように、郵便物は郵便窓口1を通じて郵便局(集配局、引き受け局)2に受け入れられる。「郵便窓口」は、郵便局2の窓口のほか、ポスト・受取口・コンビニエンスストア等の郵便受け取り窓口を含むものとする。郵便窓口1を通じて郵便局2に受け入れられた郵便物は、郵便局1内の仕分け部3で、郵便物の宛先に応じて仕分けられ、複数の仕分け口4に仕分けられる。ここで、仕分け部3には自動で仕分け作業を行なう区分機(図示せず)を備えていることが望ましい。仕分け口4ごとに仕分けられた郵便物は、その郵便局(集配局)2の出口5から他の郵便局または各配達先(図示せず)へ向けて搬出される。
【0012】
本実施形態においては、郵便窓口1に受け入れ時RFID読み取り部10が設けられ、仕分け部3の入口に入口RFID読み取り部11が設けられている。さらに、仕分け部3の仕分け直後の位置に仕分け口RFID読み取り部12が設けられ、郵便局2の出口5に出口RFID読み取り部13が設けられている。これらのRFID読み取り部10、11、12、13は、各位置を通過する郵便物に添付されたRFIDに記憶された郵便物情報を読み取って出力することができる。
【0013】
郵便局2内に郵便物情報マッチング装置20が配置されている。郵便物情報マッチング装置20は、RFID読み取り部10、11、12、13の出力を受信してマッチング処理を行なう。マッチング処理は、受け入れ時RFID読み取り部10と入口RFID読み取り部11の出力に基づく入口部マッチング処理S10と、入口RFID読み取り部11と仕分け口RFID読み取り部12の出力に基づく仕分け部マッチング処理S20と、仕分け口RFID読み取り部12と出口RFID読み取り部13の出力に基づく出口部マッチング処理S30とを含む。
【0014】
仕分け部マッチング処理S20に当たっては、区分機情報を参照し、差し立て時間(複数台のトラックから取り纏めた郵便物を区分機にかける時間)ごとに、正しい仕分け口に正しい宛先の郵便物が区分されているかを、郵便物情報ID(郵便物情報に1つ1つ割り振ったシーケンシャル番号)を使用しチェックする。
【0015】
郵便物情報マッチング装置20の結果出力として、全体差分郵便物情報(全郵便物に対しての差異)と、仕分け口差分郵便物情報(各宛先毎の郵便物に対しての差異)とを出力する。
【0016】
次に、図2ないし図4を参照して、この実施形態の郵便物処理装置による動作を説明する。
【0017】
まず、受け入れ時RFID読み取り部10、入口RFID読み取り部11、仕分け口RFID読み取り部12、出口RFID読み取り部13それぞれで、郵便物に添付されたRFIDからの郵便物情報を取得する(ステップS11、S21、S31、S41)。
【0018】
つぎに、どの郵便物が、いつ、区分機や仕分け口に仕分けされるかの情報をもつ差立時間情報を取得する(ステップS22)。
【0019】
つぎに、どのアドレス(郵便番号)が、どの宛先(仕分け口)に仕分けされたかを識別し、差立時間・宛先毎の郵便物情報を算出する(ステップS23)。
【0020】
つぎに、どのアドレス(郵便番号)が、どの宛先(仕分け口)に仕分けされるかの識別情報をもつ区分機情報を取得する(ステップS24)。この場合、手作業による仕分けもありうる。
【0021】
つぎに、郵便物情報マッチング装置20でのマッチング処理が、以下のように行なわれる。すなわち、まず、ステップS11により受け入れ時RFID読み取り部10で取得された郵便物情報(実郵便物情報)と、ステップS21により入口RFID読み取り部11で取得された入口郵便物情報との間で、各郵便物に対し郵便物情報から郵便物数と宛先情報が一致しているかを比較(入口部マッチング処理)する(ステップS10)。
【0022】
つぎに、ステップS21により入口RFID読み取り部11で取得された入口郵便物情報と、ステップS31により仕分け口RFID読み取り部12で取得された各仕分け口の郵便物情報との間で、郵便物数と宛先情報が一致しているかを比較(仕分け部マッチング処理)する(ステップS20)。
【0023】
つぎに、ステップS31により仕分け口RFID読み取り部12で取得された各仕分け口の郵便物情報とステップS41により出口RFID読み取り部13で取得された出口郵便物情報との間で、郵便物数と宛先情報が一致しているかを比較(出口部マッチング処理)する(ステップS30)。
【0024】
つぎに、実郵便物情報と入口郵便物情報の間、また入口郵便物情報と仕分け口郵便物情報の間、また仕分け口郵便物情報と出口郵便物情報の間の比較において、上記の郵便物情報マッチング処理で郵便物情報に差異が生じる場合は、全体差分郵便物情報の算出(ステップS40)および仕分け口差分郵便物情報の算出(ステップS50)を行なう。
【0025】
図3に示す流れ図はマッチング処理を示している。ここでは、ステップS11、S21、S31、S41の各ステップでの郵便物情報の取得を「全郵便物情報の取得」としてまとめて示している。そしてその後に、入口部マッチング処理(ステップS10)のために、実郵便物情報の取得(ステップS12)、入口郵便物情報の取得(ステップS13)が実行される。
【0026】
仕分け部マッチング処理(ステップS20)のためには、入口部郵便物情報の取得(ステップS25)、差し立て時間情報の取得(ステップS22)、区分機情報の取得(ステップS24)、仕分け口郵便物情報の取得(ステップS26)が実行される。
【0027】
出口部マッチング処理(ステップS30)のために、仕分け口郵便物情報の取得(ステップS32)、出口郵便物情報の取得(ステップS33)が実行される。
【0028】
つぎに、郵便物情報マッチング、すなわち、入口部マッチング処理(ステップS10)、仕分け部マッチング処理(ステップS20)および出口部マッチング処理(ステップS30)の詳細手順を、図4を参照して説明する。
【0029】
まず、比較元と比較先の郵便物情報を取得する(ステップS51)。ここで、入口部マッチング処理(ステップS10)においては、比較元が実郵便物情報であり、比較先が入口郵便物情報である。また、仕分け部マッチング処理(ステップS20)においては、比較元が入口郵便物情報であり、比較先が仕分け口郵便物情報である。さらに、出口部マッチング処理(ステップS30)においては、比較元が仕分け口郵便物情報であり、比較先が出口郵便物情報である。
【0030】
つぎにマッチングループ(ステップS52)に入り、比較元と比較先の全郵便物情報について、比較元と比較先の郵便物情報が互いに一致するかどうかの比較が行なわれる(ステップS53)。その結果、「差異なし情報」または「差異あり情報」が出力される。
【0031】
この実施形態によれば、郵便物情報の管理が可能となり、各郵便窓口のRFID読み取り装置から収集した郵便物情報(実郵便物情報)と各仕分け口のRFID読み取り装置から収集した郵便物情報(仕分け口郵便物情報)をアドレスマッチングすることで、正しい仕分け口に正しい宛先の郵便物が区分されているかを確認することができ、仕分け口に郵便物が入った時点で、誤った仕分けを防止することが可能となり、誤配を防止することが実現できる。
【0032】
また、郵便トラックの経路と集配局(引き受け局)の間で紛失した便・線路が特定でき、入口郵便物情報と出口郵便物情報のアドレスマッチングを行ない郵便物情報が異なった場合、集配局(引き受け局)内で紛失した時間・郵便局の特定が可能となる。さらに、各郵便局に設置することにより、どの郵便局で紛失したかの特定も可能となる。
【0033】
したがって、正しい仕分け口に正しい宛先の郵便物が区分されているかを識別し、仕分け口に郵便物が入った時点で誤った仕分けを防止することができ、誤配防止と紛失検知を実現できる。また、それにより機密情報漏洩の防止も可能となる。
【0034】
さらに、郵便ポストにRFID読み取り装置を設置すれば、リアルタイムに投函数情報を収集可能となり、時間単位での荷量把握が可能となる。
【0035】
上記実施形態では、受け入れ時RFID読み取り部10、入口RFID読み取り部11、仕分け口RFID読み取り部12、出口RFID読み取り部13の4箇所でRFIDの読み取りを行なうものとしたが、少なくとも仕分け部3の前後にRFID読み取り部を設けて仕分け部3の前後でのマッチング処理を行なうのであれば、受け入れ時RFID読み取り部10と入口RFID読み取り部11の内の一方、または/および、仕分け口RFID読み取り部12と出口RFID読み取り部13の内の少なくとも一方を省略してもよい。
【0036】
なお、上記説明では仕分け作業に区分機を用いるものとしたが、区分機を用いずに人が手作業により各宛先毎に仕分けされた棚や箱等に仕分ける作業を行なってもよい。
【0037】
上記説明では郵便物情報を取り扱う場合を具体例として説明した。本発明は郵便物情報の取り扱いに限らず適用することができ、さらに、物流業界のみならず、仕分作業全般に適用可能となる。たとえば、ネットオークション等により落札した品物が届かないといった頻発する問題に対しても、差出人(品物提示者)が郵便物を出していないのか、郵便局が郵便物を紛失してしまったのか、宛先人(落札者)の誤申告なのか、といった責任の切り分けが明確にできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る郵便物処理装置の一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】図1の郵便物処理装置の処理の流れを模式的に示すブロック図。
【図3】図1の郵便物処理装置の処理の流れを示す流れ図。
【図4】図3の処理の流れにおける郵便物情報マッチング処理の詳細を示す流れ図。
【符号の説明】
【0039】
1 : 郵便窓口
2 : 郵便局(集配局、引き受け局)
3 : 仕分け部
4 : 仕分け口
5 : 出口
10 : 受け入れ時RFID読み取り部
11 : 入口RFID読み取り部
12 : 仕分け口RFID読み取り部
13 : 出口RFID読み取り部
20 : 郵便物情報マッチング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも宛先に関する情報を含む郵便物情報が記憶されたRFIDが添付された複数の郵便物を受け入れて所定の差し立て時間ごとに前記郵便物の宛先に応じて仕分ける仕分け部を備えた郵便物処理装置であって、
前記仕分け部を通る前の郵便物の前記RFIDの郵便物情報を読み取る仕分け前RFID読み取り部と、
前記仕分け部を通過した後の郵便物に添付されたRFIDの郵便物情報を読み取る仕分け後RFID読み取り部と、
前記仕分け前RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報と、前記仕分け後RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報とを比較することにより、前記仕分け部を通った郵便物がそれぞれの宛先に応じて正しく仕分けられたかどうかを判定するマッチング処理部と、
を有することを特徴とする郵便物処理装置。
【請求項2】
前記仕分け前RFID読み取り部は、前記郵便物が郵便局に受け入れられる際に当該郵便物に添付されたRFIDの郵便物情報を読み取る受け入れ時RFID読み取り部と、受け入れ時RFID読み取り部を通過した後で前記仕分け部を通る直前の郵便物のRFIDの郵便物情報を読み取る入口RFID読み取り部の両方を含み、
前記マッチング処理部は、前記受け入れ時RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報と、前記入口RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報とを比較する入口部マッチング処理部と、前記入口RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報と前記仕分け後RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報とを比較する仕分け部マッチング処理部とを含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の郵便物処理装置。
【請求項3】
前記受け入れ時RFID読み取り部が郵便ポストに設置されていること、を特徴とする請求項2に記載の郵便物処理装置。
【請求項4】
前記仕分け後RFID読み取り部は、前記仕分け部を通った直後の郵便物の前記RFIDの郵便物情報を読み取る仕分け口RFID読み取り部と、前記郵便物が前記仕分け口RFID読み取り部を通過した後に当該郵便局を出る際にその郵便物のRFIDの郵便物情報を読み取る出口RFID読み取り部の両方を含み、
前記マッチング処理部は、前記仕分け前RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報と前記仕分け口RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報とを比較する仕分け部マッチング処理部と、前記仕分け口RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報と前記出口RFID読み取り部で読み取られた郵便物情報とを比較する出口部マッチング処理部の両方を含むこと、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の郵便物処理装置。
【請求項5】
前記仕分け部は自動的に仕分けを行なう区分機を含み、この区分機は、所定の休止期間をはさんだ差し立て時間ごとに郵便物を仕分けるものであって、前記マッチング処理部は1回の差し立て時間ごとに当該仕分け部を通過した郵便物について、当該仕分け部を通った郵便物がそれぞれの宛先に応じて正しく仕分けられたかどうかを判定すること、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の郵便物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−104948(P2010−104948A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281341(P2008−281341)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】