説明

配信システム、ノード装置、情報処理装置、ノードプログラム、及び広告コンテンツ再生方法

【課題】主コンテンツの配信側の処理負荷を低減することができ、且つ、主コンテンツの配信側で、主コンテンツの挿入位置で再生させる広告コンテンツを制御することが可能な配信システム、ノード装置、情報処理装置、ノードプログラム、及び広告コンテンツ再生方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ライブ配信中に、主コンテンツとしてのライブ配信データにおける挿入位置で再生されるべき広告コンテンツの識別情報を配信する。そして、ノード装置は、情報処理装置から配信された広告コンテンツの識別情報を受信すると、広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から広告コンテンツを取得し、ライブ配信データの挿入位置になったときに、取得した広告コンテンツを再生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを配信する配信システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテレビ放送では、番組コンテンツの合間に挿入されるCM(Commercial)コンテンツは、放送局側で予め決定される。そして、CMコンテンツは、番組コンテンツと同じ放送局から放送されるのが一般的である。
【0003】
また、近年、インターネットを利用したライブ配信が普及している。ここで、ライブ配信とは、一般に、リアルタイムの映像及び音声等を含む主コンテンツを、配信装置がインターネットを介して複数のノード装置に配信するものである。このライブ配信においても、映像及び音声等を含む主コンテンツの合間にCMコンテンツが挿入されるようになっている。そして、CMコンテンツは、配信側で予め決定され、映像及び音声等を含む主コンテンツと同じ配信装置から配信されるのが一般的である。
【0004】
一方、特許文献1に開示された技術では、映像及び音声等を含む放送データストリームは本放送局により配信され、CM等の割込放送データストリームは本放送局とは異なる割込放送局により配信されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−100931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の技術では、本放送局と割込放送局とを分離することで放送局側の負荷を低減することができる。しかしながら、特許文献1の技術では、本放送局側で、放送データストリームの合間に挿入したいCM等の割込放送データストリームを決める等の制御を行うことは困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、以上の点等に鑑みてなされたものであり、主コンテンツの配信側の処理負荷を低減することができ、且つ、主コンテンツの配信側で、主コンテンツの挿入位置で再生させる広告コンテンツを制御することが可能な配信システム、ノード装置、情報処理装置、ノードプログラム、及び広告コンテンツ再生方法を提供すること等を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、配信者が主として配信するべき主コンテンツを配信する情報処理装置と、前記情報処理装置から配信された前記主コンテンツを受信するノード装置と、を備える配信システムであって、前記情報処理装置は、広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを配信する第一配信手段と、前記挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報を配信する第二配信手段と、を備え、前記ノード装置は、前記情報処理装置から配信された前記広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを通信手段を介して受信する第一受信手段と、前記情報処理装置から配信された前記広告コンテンツの識別情報を通信手段を介して受信する第二受信手段と、前記第二受信手段により受信された前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から前記広告コンテンツを取得する取得手段と、前記第一受信手段により受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記取得手段により取得された前記広告コンテンツを再生させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配信システムにおいて、前記情報処理装置の前記第二配信手段は、前記主コンテンツの配信中、前記挿入位置になる所定時間前に、当該挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報を配信することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の配信システムにおいて、前記情報処理装置の前記第二配信手段は、再生候補となる複数の前記広告コンテンツの識別情報を含むリスト情報を配信し、前記ノード装置の前記第二受信手段は、前記情報処理装置から配信された前記リスト情報を、通信手段を介して受信し、前記ノード装置は、前記第二受信手段により受信された前記リスト情報の中から、再生させる広告コンテンツの識別情報を決定する決定手段を更に備え、前記ノード装置の前記取得手段は、前記決定手段により決定された広告コンテンツの識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の配信システムにおいて、前記ノード装置は、前記ノード装置のユーザの属性情報を記憶する記憶手段を更に備え、前記ノード装置の前記決定手段は、前記記憶手段に記憶された前記属性情報に基づいて、前記第二受信手段により受信された前記リスト情報の中から、再生させる広告コンテンツの識別情報を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の配信システム請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の配信システムにおいて、前記主コンテンツは、複数の前記挿入位置を有し、前記情報処理装置の前記第二配信手段は、各前記挿入位置を示す識別情報と、各前記挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報と、を対応付けたリスト情報を配信し、前記ノード装置の前記第二受信手段は、前記情報処理装置から配信された前記リスト情報を通信手段を介して受信し、前記ノード装置の前記取得手段は、前記第二受信手段により受信された前記リスト情報に含まれる前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の配信システムにおいて、前記ノード装置の前記取得手段は、前記主コンテンツが再生される前に、各前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、各前記識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得し、当該取得した広告コンテンツを記憶する記憶手段を備え、前記ノード装置の制御手段は、前記受信手段により受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記記憶手段に記憶された前記広告コンテンツを再生させることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の配信システムにおいて、前記情報処理装置の前記第二配信手段は、前記主コンテンツの配信中、前記広告コンテンツの挿入位置になる所定時間前に、当該挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの挿入開始信号を配信し、前記ノード装置の前記第二受信手段は、前記情報処理装置から配信された前記挿入開始信号を通信手段を介して受信し、前記ノード装置の前記取得手段は、前記受信手段により前記挿入開始信号が受信された場合に、前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項2乃至請求項7の何れか一項に記載の配信システムにおいて、前記ノード装置の前記取得手段は、通信ネットワークに接続された複数のノード装置により形成されるオーバーレイネットワークを介して、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他のノード装置から取得することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の配信システムにおいて、前記主コンテンツは、ライブ配信データであることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、配信者が主として配信するべき主コンテンツを配信する情報処理装置から配信された前記主コンテンツを受信するノード装置であって、前記情報処理装置から配信された、広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを通信手段を介して受信する第一受信手段と、前記情報処理装置から配信された、前記広告コンテンツの識別情報を通信手段を介して受信する第二受信手段と、前記第二受信手段により受信された前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から前記広告コンテンツを取得する取得手段と、前記第二受信手段により受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記取得手段により取得された前記広告コンテンツを再生させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載のノード装置において、前記第二受信手段は、前記情報処理装置から配信された、再生候補となる複数の前記広告コンテンツの識別情報を含むリスト情報を通信手段を介して受信し、前記ノード装置は、前記ノード装置のユーザの属性情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記属性情報に基づいて、前記第二受信手段により受信された前記リスト情報に含まれる前記広告コンテンツの識別情報を決定する決定手段と、を更に備え、前記取得手段は、前記決定手段により決定された広告コンテンツの識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得することを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の情報処理装置に備えられる前記情報処理装置であって、広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを配信する第一配信手段と、前記挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報を配信する第二配信手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、配信者が主として配信するべき主コンテンツを配信する情報処理装置から配信された前記主コンテンツを受信するノード装置に含まれるコンピュータに、前記情報処理装置から配信された、広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを通信手段を介して受信するステップと、前記情報処理装置から配信された、前記広告コンテンツの識別情報を通信手段を介して受信するステップと、前記受信された前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から前記広告コンテンツを取得するステップと、前記受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記取得された前記広告コンテンツを再生させるステップと、を実行させるためのノードプログラムである。
【0021】
請求項14に記載の発明は、配信者が主として配信するべき主コンテンツを配信する情報処理装置と、前記情報処理装置から配信された前記主コンテンツを受信するノード装置と、を備える配信システムにおける広告コンテンツ再生方法であって、前記広告コンテンツ再生方法は、前記情報処理装置が、広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを配信するステップと、前記情報処理装置が、前記挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報を配信するステップと、前記ノード装置が、前記情報処理装置から配信された前記広告コンテンツの挿入位置が示される前記主コンテンツを通信手段を介して受信するステップと、前記ノード装置が、前記情報処理装置から配信された前記広告コンテンツの識別情報を通信手段を介して受信するステップと、前記ノード装置が、前記受信された前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から前記広告コンテンツを取得するステップと、前記ノード装置が、前記受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記取得された前記広告コンテンツを再生させるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1、10、12乃至14に記載の発明によれば、情報処理装置は主コンテンツにおける挿入位置で再生されるべき広告コンテンツの実体データでなく、その識別情報を配信するだけで良いので、情報処理装置の処理負荷を低減することができ、且つ、再生させる広告コンテンツを制御することができる。
【0023】
請求項2の発明によれば、ノード装置にタイミング良く広告コンテンツを取得させることができる。
【0024】
請求項3、4又は請求項11に記載の発明によれば、ノード装置にユーザが興味のある広告コンテンツを取得させることができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、ノード装置に各広告コンテンツを効率良く取得させることができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、ノード装置に、処理負荷の小さいときに、各広告コンテンツを取得させることができる。
【0027】
請求項7の発明によれば、ノード装置にタイミング良く広告コンテンツを取得させることができる。
【0028】
請求項8の発明によれば、ノード装置間で広告コンテンツを効率良く取得させることができる。
【0029】
請求項9の発明によれば、情報処理装置がリアルタイムの映像及び音声等を含むライブ配信データを配信する際にも、情報処理装置の処理負荷を低減することができ、且つ、ライブ配信データにおける所定位置で再生させる広告コンテンツを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態に係るコンテンツ配信システムの概要構成例を示す図である。
【図2】(A)は、ライブ配信開始からライブ配信終了に至るまでの間に設けられたライブ配信枠と広告枠の一例を示す概念図である。(B)は、広告リスト情報の内容の一例を示す図である。
【図3】コンテンツ配信サーバDSの概要構成例を示すブロック図である。
【図4】ノードNnの概要構成例を示すブロック図である。
【図5】コンテンツ配信サーバDSの制御部1におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】ノードNnの制御部11におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図7】コンテンツ配信サーバDSの制御部1におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図8】ノードNnの制御部11におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS47に示す広告コンテンツの再生処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】(A)は、ユーザの属性の統計情報の蓄積結果の一例を示す図であり、(B)は、ノードNnの制御部11におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図11】図10(B)のステップS63に示す広告コンテンツの決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、コンテンツ配信システムに本発明を適用した場合の実施形態である。
【0032】
1.コンテンツ配信システムの構成及び動作概要
始めに、図1を参照して、本実施形態に係るコンテンツ配信システムの構成及び動作概要について説明する。図1は、本実施形態に係るコンテンツ配信システムの概要構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るコンテンツ配信システムSは、コンテンツ配信サーバDS、及び複数のノード装置Nn(n=1,2,3・・・の何れか)等を備えて構成されている。コンテンツ配信サーバDS及び各ノード装置Nnは、インターネット等からなるネットワークNWに接続されている。ネットワークNWは通信手段の一例である。また、ネットワークNWには、接続先紹介サーバIS及びコンテンツ管理サーバMSが接続されている。なお、ノード装置を、以下、「ノード」という。また、コンテンツ配信サーバDSは、本発明の情報処理装置の一例である。
【0033】
コンテンツ配信システムSには、ツリー型ネットワークTNとオーバーレイネットワークONが形成されている。ツリー型ネットワークTN及びオーバーレイネットワークONは、それぞれ、ネットワークNWを介して複数のノードNnにより形成される仮想的なリンクを構成する論理的なネットワークである。
【0034】
ツリー型ネットワークTNにおいては、コンテンツ配信サーバDSにより配信されたライブ配信データが、上位階層のノードNnから下位階層のノードNnに順次転送される。なお、ライブ配信データの配信を、以下、「ライブ配信」という。ここで、ライブ配信データは、配信者が主として配信するべき主コンテンツの一例である。配信者としては、例えば、ライブ配信データの製作者等が該当する。ライブ配信データには、例えば、リアルタイムの映像及び音声等のデータが含まれる。また、ライブ配信データには、広告コンテンツの挿入位置を有する。つまり、ライブ配信データには、広告コンテンツ自体は含まれておらず、広告コンテンツの挿入位置だけが存在する。なお、挿入位置とは、時間軸上のある時点、又は時間軸上のある期間を意味する。広告コンテンツは、ライブ配信の合間に挿入されるべきCM等の広告用の映像及び音声等のデータである。広告コンテンツの挿入位置は、例えば、ライブ配信データ中に、CPUにより判別可能に示されている。或いは、広告コンテンツの挿入位置は、ライブ配信データの先頭から挿入位置までの再生時刻又はバイト数で表すデータとしてライブ配信データとは別にコンテンツ配信サーバDSで管理されるように構成しても良い。ライブ配信の方法は、ツリー型ネットワークTNによる配信に限定されるものではない。ライブ配信を行う方法全般に適用可能である。
【0035】
図2(A)は、ライブ配信開始からライブ配信終了に至るまでの間に設けられたライブ配信枠と広告枠の一例を示す概念図である。図2(A)に示すライブ配信枠X,Yは、ライブ配信データが配信される配信期間である。一方、図2(A)に示す広告枠x,yは、ライブ配信データを受信したノードNnにより挿入される広告コンテンツの挿入位置に相当する。
【0036】
また、ツリー型ネットワークTNにおいては、上記挿入位置で再生されるべき広告コンテンツのコンテンツIDが、コンテンツ配信サーバDSにより配信される。コンテンツ配信サーバDSにより配信されたコンテンツID等は、上位階層のノードNnから下位階層のノードNnに順次転送される。コンテンツIDは、広告コンテンツ毎に個別に割り当てられた識別情報である。また、コンテンツIDは、例えば、コンテンツ名+任意の数値が、所定のハッシュ関数によりハッシュ化されて生成される。ハッシュ関数として、例えば、SHA−1が用いられる。なお、システム管理者が、広告コンテンツ毎に一意のコンテンツIDを付与しても良い。また、ツリー型ネットワークTNのツリートポロジーは、接続先紹介サーバISにより管理されている。接続先紹介サーバISは、ノードNnからの接続先紹介要求に応じて、接続先となるべき上位階層のノードNnを決定する。接続先紹介サーバISは、決定した上位階層のノードNnのIPアドレス等の情報を、接続先紹介要求をしたノードNnに通知する。そして、接続先紹介要求をしたノードNnは、接続先紹介サーバISから通知された上位階層のノードNnに接続する。こうして、上位階層のノードNnに接続したノードNnは、上位階層のノードNnから送信されてきたライブ配信データを受信できるようになる。このようにライブ配信データの受信が可能になったノードNnを、ツリー型ネットワークTNに参加したノードNnという。また、ライブ配信データの受信を、以下、「ライブ受信」という。
【0037】
また、ツリー型ネットワークTNに参加したノードNnは、上位階層のノードNnから送信されてきた、広告コンテンツのコンテンツID等を受信する。そして、ツリー型ネットワークTNに参加したノードNnは、受信したコンテンツIDに基づいて、このコンテンツIDに対応する広告コンテンツを取得する。例えば、ノードNnは、オーバーレイネットワークONを介して、コンテンツIDに対応する広告コンテンツを他のノードNnから取得する。クライアント−サーバ型の場合、サーバから広告コンテンツが取得される。
【0038】
ここで、オーバーレイネットワークONについて説明する。オーバーレイネットワークONは、特定のアルゴリズム、例えば、分散ハッシュテーブルを利用したアルゴリズムにより実現される。分散ハッシュテーブルを、以下、「DHT(Distributed Hash Table)」という。なお、DHTを用いたルーティングテーブルについては、特開2006−197400号公報等で公知であるので、詳しい説明を省略する。
【0039】
また、オーバーレイネットワークONに参加している複数のノードNnには、内容の異なる様々なコンテンツが所定のファイル形式で分散されて保存されている。例えば、このように分散保存されているコンテンツには、上述した広告コンテンツの他、映画、音楽、又は番組のコンテンツ等がある。例えば、ノードN1には、コンテンツ名がAAAの広告コンテンツが保存されている。また、ノードN2には、コンテンツ名がBBBの映画のコンテンツが保存されている。このようにコンテンツを保存しているノードNnを、以下、「コンテンツ保持ノード」という。
【0040】
また、オーバーレイネットワークONを介して取得可能なコンテンツの所在を示す情報は、インデックス情報として、コンテンツの所在を管理しているノードNnに記憶される。このインデックス情報には、コンテンツを保存しているコンテンツ保持ノードのノード情報と、コンテンツのコンテンツIDとの組が含まれる。コンテンツの所在を管理しているノードNnを、以下、「ルートノード」又は「コンテンツのルートノード」という。ルートノードは、例えば、コンテンツIDと最も近いノードIDが割り当てられたノードNnであるように定められる。コンテンツIDと最も近いノードIDとは、例えば、IDの上位桁が最も多く一致するノードIDである。
【0041】
ところで、あるノードNnが、例えば、コンテンツを、オーバーレイネットワークONを介して、コンテンツ保持ノードから取得する場合、コンテンツの検索処理を実行する。なお、コンテンツの検索処理を実行するノードNnを、以下、「ユーザノード」という。コンテンツの検索処理において、ユーザノードは、先ず、コンテンツ所在問合せメッセージを生成する。コンテンツ所在問合せメッセージは、コンテンツの所在をルートノードに問い合わせるためのメッセージである。また、コンテンツ所在問合せメッセージには、このメッセージを送信するユーザノードのIPアドレス及びポート番号、及び検索対象となるコンテンツのコンテンツID等が含まれる。ここで、検索対象となるコンテンツが広告コンテンツの場合、広告コンテンツのコンテンツIDは、ツリー型ネットワークTNにおいて上位階層のノードNnから取得される。一方、検索対象となるコンテンツが例えば番組のコンテンツの場合、このコンテンツIDは、コンテンツカタログ情報から取得される。コンテンツカタログ情報は、コンテンツ管理サーバMSから、オーバーレイネットワークONに参加している複数のノードNnに例えば定期的に配信されるものである。また、コンテンツカタログ情報には、オーバーレイネットワークONを介して取得可能な全てのコンテンツのコンテンツID、コンテンツ名、及びキーワード等が含まれる。キーワードには、性別層、年齢層、及びカテゴリ等が含まれる。
【0042】
そして、ユーザノードは、生成したコンテンツ所在問合せメッセージを、DHTを用いたルーティングテーブルにしたがって、ルートノード宛に送信する。これにより、コンテンツ所在問合せメッセージは、コンテンツIDをキーとするDHTルーティングによって、オーバーレイネットワークONに参加している1又は複数のノードNnにより転送される。そして、コンテンツ所在問合せメッセージは、最終的に、検索対象となるコンテンツのルートノードにより受信される。なお、DHTルーティングについては、特開2006−197400号公報等で公知であるので、詳しい説明を省略する。
【0043】
ルートノードは、コンテンツ所在問合せメッセージを受信すると、コンテンツ所在問合せメッセージに含まれるコンテンツIDに対応するインデックス情報を取得する。そして、ルートノードは、取得したインデックス情報を、受信したコンテンツ所在問合せメッセージの送信元であるユーザノードへ返信する。ユーザノードに返信されたインデックス情報には、検索対象となるコンテンツを保存している1又は複数のコンテンツ保持ノードのIPアドレス等が含まれている。こうして、ユーザノードは、インデックス情報に含まれるコンテンツ保持ノードのIPアドレス等に基づいてコンテンツ保持ノードにアクセスする。これにより、ユーザノードは、コンテンツ保持ノードから、コンテンツをダウンロードすることができる。ここで、コンテンツのダウンロードは、コンテンツの取得の一例である。
【0044】
なお、コンテンツのルートノードは、取得したインデックス情報に含まれるIPアドレス等に対応するコンテンツ保持ノードへコンテンツ送信要求メッセージを送信するように構成しても良い。コンテンツ送信要求メッセージには、ユーザノードへコンテンツを送信することを要求するためのメッセージである。この場合、コンテンツ送信要求メッセージを受信したコンテンツ保持ノードは、ユーザノードへアクセスしてコンテンツを送信することになる。
【0045】
2.コンテンツ配信サーバDSの構成及び機能
次に、図3を参照して、コンテンツ配信サーバDSの構成及び機能について説明する。図3は、コンテンツ配信サーバDSの概要構成例を示すブロック図である。コンテンツ配信サーバDSは、図3に示すように、制御部1、記憶部2、及び通信部3等を備えて構成される。制御部1、記憶部2、及び通信部3はバス4を介して相互に接続されている。
【0046】
記憶部2は、例えばハードディスクドライブ等から構成される。記憶部2には、オペレーティングシステム、及びコンテンツ配信プログラム等が記憶されている。また、記憶部2には、ライブ配信データ、及び広告コンテンツのコンテンツIDが、ライブ配信データ毎に対応付けられて記憶されている。通信部3は、ネットワークNWを通じてノードNn等との間の情報の通信制御を行う。
【0047】
制御部1は、演算機能を有するCPU,作業用RAM,及びROM等から構成される。そして、制御部1は、CPUが記憶部2等に記憶されたコンテンツ配信プログラムを読み出して実行することにより、ライブ配信処理を行う。なお、制御部1は、本発明における第一配信手段、及び第二配信手段の一例である。また、制御部1は、タイマ機能及び時計機能を有する。図2(B)は、広告リスト情報の内容の一例を示す図である。図2(B)に示す例では、広告枠のシリアル番号と、広告コンテンツのコンテンツIDとが対応付けられている。また、図2(B)に示す例では、広告枠xのシリアル番号に対応付けられた2つのコンテンツIDに対応する各広告コンテンツは、広告枠x内で挿入されることになる。なお、広告枠x内であれば、どの時点で挿入されるものであっても良い。
【0048】
また、広告リスト情報の配信方法としては、一括配信と分割配信とがある。一括配信の場合、図3に示すように、1回のライブ配信において挿入される全ての広告コンテンツのコンテンツIDが記述された広告リスト情報が、ライブ配信開始直前に配信される。一方、分割配信の場合、1回のライブ配信において各広告枠で挿入される広告コンテンツのコンテンツIDが記述された各広告リスト情報が、各広告枠に至る直前のライブ配信枠で配信される。例えば、図2(B)において、広告枠yで挿入される2つの広告コンテンツのコンテンツIDが記述された広告リスト情報は、広告枠yに至る直前のライブ配信枠Y内で配信される。これにより、各広告枠で再生される広告コンテンツを動的に変更することができる。
【0049】
以上のように、広告リスト情報が事前に配信される場合、制御部1は、ライブ配信データの配信中、広告コンテンツの挿入位置になる所定時間前に、この挿入位置で再生されるべき広告コンテンツの挿入開始信号を配信する。この挿入開始信号により、ノードNnにおける広告コンテンツの挿入タイミングが決まる。
【0050】
なお、再生候補となる複数の広告コンテンツのコンテンツIDが記述された広告候補リスト情報が配信されるように構成しても良い。
【0051】
3.ノードNnの構成及び機能
次に、図4を参照して、ノードNnの構成及び機能について説明する。図4は、ノードNnの概要構成例を示すブロック図である。ノードNnは、図4に示すように、制御部11、記憶部12、バッファメモリ13、デコーダ部14、映像処理部15、表示部16、音声処理部17、スピーカ18、通信部19、及び入力部19a等を備えて構成される。制御部11、記憶部12、バッファメモリ13、デコーダ部14、通信部19、及び入力部19aはバス19bを介して相互に接続されている。なお、記憶部12は、記憶手段の一例である。ノードNnとしては、パーソナルコンピュータ、STB(Set Top Box)、TV受信機、或いは、カラオケ装置等が適用可能である。
【0052】
記憶部12は、例えばハードディスクドライブ等から構成される。記憶部12には、オペレーティングシステム、及びノードプログラム等が記憶されている。なお、ノードプログラムは、例えば、ネットワークNWに接続された所定のサーバからダウンロードされるようにしても良い。或いは、ノードプログラムは、例えば、記録媒体に記録されて当該記録媒体のドライブを介して読み込まれるようにしても良い。また、オーバーレイネットワークONに参加しているノードNnの記憶部12には、コンテンツカタログ情報及びDHTを用いたルーティングテーブル等が記憶されている。また、ノードNnが広告コンテンツのコンテンツ保持ノードである場合、記憶部12には、広告コンテンツが記憶されている。更に、記憶部12には、ノードNnのユーザの属性情報が記憶されている。ユーザの属性情報としては、例えば、性別、年齢層、カテゴリ等が挙げられる。ユーザの属性情報は、ユーザにより視聴された番組や映画等のコンテンツのキーワードに基づいて制御部11により決定される。
【0053】
バッファメモリ13は、受信されたライブ配信データ及び広告コンテンツを一時的に蓄積する。デコーダ部14は、制御部11による制御の下、ライブ配信データ及び広告コンテンツを再生するためのものである。具体的には、デコーダ部14は、ライブ配信データ又は広告コンテンツに含まれるビデオデータ及びオーディオデータ等のデータ伸張や復号化等のデコード処理を行う。映像処理部15は、デコーダ部14によりデコードされたビデオデータ等に対して所定の描画処理を施しビデオ信号として出力する。表示部16は、映像処理部15から出力されたビデオ信号に基づきディスプレイに映像等を表示する。音声処理部17は、デコーダ部14によりデコードされたオーディオデータをアナログオーディオ信号にD(Digital)/A(Analog)変換した後これをアンプにより増幅して出力する。スピーカ18は、音声処理部17から出力されたオーディオ信号を音波として出力する。
【0054】
通信部19は、ネットワークNWを通じてコンテンツ配信サーバDS及び他のノードNn等との間の情報の通信制御を行う。制御部11は、演算機能を有するCPU,作業用RAM,及びROM等から構成される。そして、制御部11は、CPUが記憶部12等に記憶されたノードプログラムを読み出して実行することにより、ライブ受信処理及びライブ配信データの再生処理を行う。なお、制御部11は、本発明における第一受信手段、第二受信手段、取得手段、制御手段、及び決定手段の一例である。また、制御部11は、タイマ機能及び時計機能を有する。
【0055】
4.コンテンツ配信システムSの動作
次に、本実施形態に係るコンテンツ配信システムSの動作について実施例1〜3に分けて説明する。実施例1〜3に係る動作の前提として、配信者又は広告主からの依頼に応じて、ライブ配信の合間に挿入されるべき複数の広告コンテンツが、例えばオペレータによりコンテンツ管理サーバMSの記憶部に記憶される。こうして記憶された各広告コンテンツは、コンテンツ管理サーバMSによりオーバーレイネットワークONに投入される。つまり、コンテンツ管理サーバMSは、オーバーレイネットワークONに参加している所定数のノードNnを選択する。そして、コンテンツ管理サーバMSは、選択したノードNnに各広告コンテンツを送信する。これにより、各広告コンテンツは所定数のノードNnに保存されることになる。こうしてオーバーレイネットワークONに各広告コンテンツが投入されると、投入された各広告コンテンツのコンテンツID及びキーワード等がコンテンツカタログ情報に追加登録される。このコンテンツカタログ情報は、コンテンツ管理サーバMSにより、オーバーレイネットワークONに参加している全てのノードNnにDHTマルチキャストで配信される。DHTマルチキャストは、例えば特開2007−053662号公報等で公知であるので、詳しい説明を省略する。
【0056】
(実施例1)
先ず、図5及び図6を参照して、実施例1におけるコンテンツ配信システムSの動作について説明する。実施例1は、ライブ配信中、広告コンテンツの挿入位置になる直前に、この挿入位置で再生されるべき広告コンテンツのコンテンツIDがコンテンツ配信サーバDSから配信される場合の動作例である。図5は、コンテンツ配信サーバDSの制御部1におけるメイン処理を示すフローチャートである。図6は、ノードNnの制御部11におけるメイン処理を示すフローチャートである。なお、このノードNnはオーバーレイネットワークONに参加しているものとする。
【0057】
図5に示す処理は、例えば、ライブ配信の合間に挿入されるべき広告コンテンツの投入がコンテンツ管理サーバMSから通知された場合に開始される。図5に示す処理が開始されると、制御部1は、ライブ配信データにおける挿入位置で再生されるべき広告コンテンツのコンテンツIDと、このコンテンツIDの配信開始時刻と、を対応付けて登録する配信時刻テーブルを生成する(ステップS1)。
【0058】
ここで、ライブ配信データに複数の挿入位置がある場合、各挿入位置に対応するコンテンツIDと配信開始時刻が対応付けられて配信時刻テーブルに登録される。また、コンテンツIDの配信開始時刻は、例えば、ライブ配信データの配信開始から広告コンテンツの挿入位置になる所定時間前に到来するように設定される。この所定時間は、ノードNnが受信したコンテンツIDに対応する広告コンテンツを、オーバーレイネットワークONを介してコンテンツ保持ノードからダウンロードするために要する時間以上に定められる。この所定時間は例えば10秒程度に定められる。
【0059】
こうして生成された配信時刻テーブルは、制御部1におけるRAMの所定領域に記憶される。
【0060】
次いで、制御部1は、ライブ配信処理を開始する(ステップS2)。このライブ配信処理により、記憶部2からライブ配信データが読み出される。そして、読み出されたライブ配信データは、IPパケットデータに変換され、通信部3及びネットワークNWを介してコンテンツ配信サーバDSに接続されているノードNnへストリーミング配信される。
【0061】
次いで、制御部1は、ライブ配信処理を終了するか否かを判定する(ステップS3)。例えば、記憶部2に記憶されているライブ配信データが最後まで読み出されて配信された場合、ライブ配信処理を終了すると判定される。そして、制御部1は、ライブ配信処理を終了すると判定した場合には(ステップS3:YES)、図5に示す処理を終了する。一方、制御部1は、ライブ配信処理を終了しないと判定した場合には(ステップS3:NO)、ステップS4に進む。
【0062】
ステップS4では、制御部1は、配信時刻テーブルに登録されているコンテンツIDの配信開始時刻になったか否かを判定する。例えば、制御部1の時計機能により得られる現在時刻が、配信時刻テーブルに登録された配信開始時刻を経過したか否かが判定される。そして、制御部1は、コンテンツIDの配信開始時刻になったと判定した場合には(ステップS4:YES)、ステップS5に進む。一方、制御部1は、コンテンツIDの配信開始時刻になっていないと判定した場合には(ステップS4:NO)、ステップS3に戻る。
【0063】
ステップS5では、制御部1は、配信開始時刻になったコンテンツIDを、コンテンツ配信サーバDSに接続されているノードNnへ配信する。例えば、コンテンツIDは、ライブ配信データのIPパケットデータの一部に含まれて配信される。
【0064】
次いで、制御部1は、ライブ配信処理を一時停止する(ステップS6)。
【0065】
次いで、制御部1は、広告コンテンツの挿入終了時刻になったか否かを判定する(ステップS7)。広告コンテンツの挿入終了時刻は、ステップS6における一時停止から所定時間経過後に到来するように設定される。この所定時間は、コンテンツIDを受信したノードNnが広告コンテンツをダウンロードし、再生が終了するために要する時間以上に定められる。
【0066】
そして、制御部1は、広告コンテンツの挿入終了時刻になったと判定した場合には(ステップS7:YES)、ライブ配信処理を再開する(ステップS8)。
【0067】
上記ステップS6〜S8の処理により、コンテンツIDの配信後の所定時間、ライブ配信処理が一時停止される。これにより、ノードNnが、受信したコンテンツIDに対応する広告コンテンツをダウンロードするために必要なネットワーク帯域を確保することができる。
【0068】
次いで、制御部1は、広告コンテンツの挿入終了信号を、コンテンツ配信サーバDSに接続されているノードNnへ配信し(ステップS9)、ステップS3に戻る。例えば、挿入終了信号は、ライブ配信データのIPパケットデータの一部に含まれて配信される。
【0069】
一方、図6に示す処理は、例えば、ノードNnが、接続先紹介要求に応じて接続先紹介サーバISから通知された上位階層のノードNnに接続することにより開始される。
【0070】
図6に示す処理が開始されると、制御部11は、コンテンツ配信サーバDS又は上位階層のノードNnから配信されてきたライブ受信処理を開始する(ステップS11)。このライブ受信処理により、コンテンツ配信サーバDS又は上位階層のノードNnから配信されてきたライブ配信データが通信部3を介して受信される。そして、受信されたライブ配信データがバッファメモリ13に蓄積される。
【0071】
そして、制御部11は、バッファメモリ13に所定量のライブ配信データが蓄積されると、ライブ配信データの再生処理を開始する(ステップS12)。このライブ配信データの再生処理により、ライブ配信データがバッファメモリ13からデコーダ部14に送られる。そして、ライブ配信データのストリーミング再生が行われる。
【0072】
次いで、制御部11は、ライブ受信処理の中止指示があったか否かを判定する(ステップS13)。そして、制御部11は、ライブ受信処理の中止指示があったと判定した場合には(ステップS13:YES)、図6に示す処理を終了する。なお、ライブ受信処理の中止指示は、例えば、ノードNnのユーザが入力部19aを操作することにより行われる。
【0073】
一方、制御部11は、ライブ受信処理の中止指示がないと判定した場合には(ステップS13:YES)、ステップS14に進む。
【0074】
ステップS14では、制御部11は、ライブ配信が終了したか否かを判定する。例えば、ライブ配信データの受信が所定時間途絶えた場合には、ライブ配信が終了したと判定される。そして、制御部11は、ライブ配信が終了したと判定した場合には(ステップS14:YES)、図6に示す処理を終了する。一方、制御部1は、ライブ配信が終了していないと判定した場合には(ステップS14:NO)、ステップS15に進む。
【0075】
ステップS15では、制御部11は、広告コンテンツのコンテンツIDを受信したか否かを判定する。このコンテンツIDは、上記ステップS5でコンテンツ配信サーバDSから配信されたものである。そして、制御部11は、広告コンテンツのコンテンツIDを受信していないと判定した場合には(ステップS15:NO)、ステップS13に戻る。一方、制御部11は、広告コンテンツのコンテンツIDを受信したと判定した場合には(ステップS15:YES)、ステップS16に進む。
【0076】
ステップS16では、制御部11は、受信したコンテンツIDに対応する広告コンテンツを、オーバーレイネットワークONを介して、コンテンツ保持ノードからダウンロードする。すなわち、制御部11は、上述したコンテンツの検索処理を実行することにより、コンテンツ所在問合せメッセージを、その広告コンテンツのルートノード宛に送信する。このコンテンツ所在問合せメッセージには、広告コンテンツのコンテンツIDが含まれる。そして、制御部11は、ルートノードから送信されたインデックス情報に示されるコンテンツ保持ノードから広告コンテンツをダウンロードする。
【0077】
次いで、制御部11は、ダウンロードした広告コンテンツの再生処理を行う(ステップS17)。この広告コンテンツの再生処理により、ライブ配信データに示される広告コンテンツの挿入位置に広告コンテンツが挿入されるよう、デコーダ部14に送られる。そして、広告コンテンツの再生が行われる。
【0078】
次いで、制御部11は、広告コンテンツの挿入終了信号を受信したか否かを判定する(ステップS18)。この挿入終了信号は、上記ステップS9でコンテンツ配信サーバDSから配信されたものである。そして、制御部11は、広告コンテンツの挿入終了信号を受信したと判定した場合には(ステップS18:YES)、ステップS19に進む。
【0079】
ステップS19に示すその他の処理では、例えば、下位階層のノードNnへのライブ配信データ及びコンテンツIDの転送処理が行われる。
【0080】
以上説明したように、実施例1によれば、コンテンツ配信サーバDSはライブ配信データにおける挿入位置で再生されるべき広告コンテンツの実体データでなく、そのコンテンツIDを配信するだけで、再生されるべき広告コンテンツをノードNnで取得させることができる。そのため、コンテンツ配信サーバDSの処理負荷を低減することができ、且つ、ライブ配信データの配信側で、ライブ配信の合間に再生させる広告コンテンツを制御することができる。また、コンテンツ配信サーバDSはライブ配信中、広告コンテンツの挿入位置になる所定時間前に、この挿入位置で再生されるべき広告コンテンツのコンテンツIDを配信するので、タイミング良くノードNnに広告コンテンツを取得させることができる。また、ノードNnはオーバーレイネットワークONを介してより迅速に広告コンテンツを取得することができる。
【0081】
(実施例2)
次に、図7乃至図9を参照して、実施例2におけるコンテンツ配信システムSの動作について説明する。
【0082】
実施例2は、ライブ配信前又はライブ配信中に、複数のコンテンツIDが記述された広告リスト情報がコンテンツ配信サーバDSから配信される場合の動作例である。
【0083】
図7は、コンテンツ配信サーバDSの制御部1におけるメイン処理を示すフローチャートである。図8は、ノードNnの制御部11におけるメイン処理を示すフローチャートである。図9は、図8のステップS47に示す広告コンテンツの再生処理の詳細を示すフローチャートである。なお、このノードNnはオーバーレイネットワークONに参加しているものとする。また、広告リスト情報の一括配信と分割配信の何れかが予め設定されているものとする。
【0084】
図7に示す処理は、図5に示す処理と同様、広告コンテンツの投入がコンテンツ管理サーバMSから通知された場合に開始される。図7に示す処理が開始されると、制御部1は、広告コンテンツの挿入開始信号の配信開始時刻を登録する配信時刻テーブルを生成する(ステップS21)。
【0085】
ここで、挿入開始信号の配信開始時刻は、例えば、ライブ配信データの配信開始から広告コンテンツの各挿入位置になる所定時間前に到来するように設定される。この所定時間は、ノードNnにおいて広告コンテンツの再生準備をするために要する時間以上に定められる。この所定時間は例えば5秒程度に定められる。
【0086】
次いで、制御部1は、ライブ配信データにおける各挿入位置で再生されるべき広告コンテンツのコンテンツIDと、各挿入位置を示す識別情報と、が対応付けられて記述された広告リスト情報を生成する(ステップS22)。広告リスト情報にコンテンツIDが記述される広告コンテンツは、直前にオーバーレイネットワークONに投入されたコンテンツである。
【0087】
ここで、広告リスト情報の一括配信が設定されている場合、ライブ配信において挿入されるべき全ての広告コンテンツのコンテンツIDが広告リスト情報に記述されることになる。
【0088】
一方、広告リスト情報の分割配信が設定されている場合、複数の広告コンテンツの中から、初回の広告枠で挿入されるべき広告コンテンツが選定される。そして、選定された広告コンテンツのコンテンツIDが広告リスト情報に記述されることになる。
【0089】
次いで、制御部1は、上記生成した広告リスト情報を、コンテンツ配信サーバDSに接続されているノードNnへ配信する(ステップS23)。
【0090】
なお、ステップS24及びS25の処理は、図5に示すステップS2及びS3の処理と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0091】
次いで、制御部1は、配信時刻テーブルに登録されている挿入開始信号の配信開始時刻になったか否かを判定する(ステップS26)。そして、制御部1は、挿入開始信号の配信開始時刻になったと判定した場合には(ステップS26:YES)、ステップS27に進む。一方、制御部1は、挿入開始信号の配信開始時刻になっていないと判定した場合には(ステップS26:NO)、ステップS25に戻る。
【0092】
ステップS27では、制御部1は、配信開始時刻になった挿入開始信号を、コンテンツ配信サーバDSに接続されているノードNnへ配信する。例えば、挿入開始信号は、ライブ配信データのIPパケットデータの一部に含まれて配信される。
【0093】
なお、ステップS28〜S31の処理は、図5に示すステップS6〜S9の処理と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0094】
次いで、制御部11は、広告コンテンツを動的に変更するか否かを判定する(ステップS32)。例えば、広告リスト情報の分割配信が設定されている場合、広告コンテンツを動的に変更すると判定される。そして、制御部1は、広告コンテンツを動的に変更すると判定した場合には(ステップS32:YES)、ステップS33に進む。一方、制御部1は、広告コンテンツを動的に変更しないと判定した場合には(ステップS32:NO)、ステップS25に戻る。
【0095】
ステップS33では、制御部1は、複数の広告コンテンツの中から、次回の広告枠で挿入されるべき広告コンテンツを選定する。例えば、図2(A)において、ライブ配信枠Yにおいて、広告枠yで挿入される広告コンテンツが選定される。例えば、前回の広告枠で予定していた出稿数に満たなかった広告コンテンツが、次回の広告枠で挿入される広告コンテンツとして選定される。ここで、出稿数は、広告枠で広告コンテンツがどのくらいの数のノードNnにより再生されたかを示す。ツリー型ネットワークTNの場合、これに参加しているノードNnの数を調べる、または、ノードNnから広告コンテンツの再生ログと取れば、出稿数が分かる。例えば、制御部1は、現在、ツリー型ネットワークTNに参加しているノード数を示す情報を、接続先紹介サーバISから取得する。そして、制御部1は、取得したノード数が、予め設定された出稿数に満たないか否かを判定することにより、出稿数に満たなかった広告コンテンツを決定する。
【0096】
次いで、制御部1は、選定した広告コンテンツのコンテンツIDが記述された広告リスト情報を生成する(ステップS34)。
【0097】
次いで、制御部1は、生成した広告リスト情報を、コンテンツ配信サーバDSに接続されているノードNnへ配信し(ステップS35)、ステップS25に戻る。
【0098】
一方、図8に示す処理は、図6に示す処理と同様、ノードNnが、接続先紹介要求に応じて接続先紹介サーバISから通知された上位階層のノードNnに接続することにより開始される。
【0099】
なお、ステップS41〜S44の処理は、図6に示すステップS11〜S14の処理と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0100】
ステップS45では、制御部11は、広告リスト情報を受信したか否かを判定する。この広告リスト情報は、上記ステップS23又はS35でコンテンツ配信サーバDSから配信されたものである。そして、制御部11は、広告リスト情報を受信していないと判定した場合には(ステップS45:NO)、ステップS49に進む。一方、制御部11は、広告リスト情報を受信したと判定した場合には(ステップS45:YES)、ステップS46に進む。なお、受信された広告リスト情報はRAMに記憶される。
【0101】
ステップS46では、制御部11は、受信した広告リスト情報に記述されたコンテンツIDに対応する広告コンテンツのダウンロードを開始する。このダウンロードは、ライブ受信処理と並行して、ライブ配信の帯域を圧迫せずに少しずつ実行される。また、このダウンロードでは、広告リスト情報に記述されたコンテンツID毎に、上述したコンテンツの検索処理が実行される。これにより、各広告コンテンツは、オーバーレイネットワークONを介して、コンテンツ保持ノードからダウンロードされる。
【0102】
なお、広告リスト情報に記述されたコンテンツIDに対応する広告コンテンツのダウンロードは、後述するステップS471で挿入開始信号を受信した場合に開始されるように構成しても良い。
【0103】
次いで、制御部11は、ダウンロードした広告コンテンツの再生処理を行う(ステップS47)。広告コンテンツの再生処理では、図9に示すように、制御部11は、広告コンテンツの挿入開始信号を受信したか否かを判定する(ステップS471)。この挿入開始信号は、上記ステップS27でコンテンツ配信サーバDSから配信されたものである。そして、制御部11は、広告コンテンツの挿入開始信号を受信していないと判定した場合には(ステップS471:NO)、図8に示す処理に戻る。一方、制御部11は、広告コンテンツの挿入開始信号を受信したと判定した場合には(ステップS471:YES)、ステップS472に進む。ここで、挿入開始信号は、広告コンテンツの挿入タイミングよりも前に余裕をもって受信される。そのため、制御部11は、挿入開始信号がされると、広告コンテンツの映像出力可能なデータバッファを予め充填するなど、広告コンテンツの再生準備を事前に行うことができる。なお、広告リスト情報が一括配信の場合、制御部11は、ステップ471で挿入開始信号を受信する度に、挿入開始信号の受信回数をカウントしてRAMに記憶する。
【0104】
ステップS472では、制御部11は、広告リスト情報に記述された各コンテンツIDに対応する広告コンテンツを全てダウンロードしたか否かを判定する。そして、制御部11は、広告コンテンツを全てダウンロードしたと判定した場合には(ステップS472:YES)、ステップS474に進む。一方、制御部11は、広告コンテンツを全てダウンロードしていないと判定した場合には(ステップS472:NO)、ステップS473に進む。
【0105】
ステップS473では、制御部11は、未だダウンロードされていない残りの広告コンテンツを、オーバーレイネットワークONを介して、コンテンツ保持ノードからダウンロードする。つまり、ライブ配信中に全ての広告コンテンツをダウンロードできない場合に限り、広告コンテンツの再生前のステップS473の処理で、残りの広告コンテンツがダウンロードされる。
【0106】
ステップS474では、制御部11は、ダウンロードした広告コンテンツを再生させる。
【0107】
ここで、広告リスト情報が一括配信の場合、制御部11は、ステップS474の処理の直前に、広告リスト情報を参照して、上記カウントされた挿入開始信号の受信回数と一致する広告枠のシリアル番号を特定する。例えば、1回のライブ配信において広告枠が5つ設けられているとすると、挿入開始信号の受信回数は、最大5回である。そして、制御部11は、特定したシリアル番号に対応付けられたコンテンツIDに対応する広告コンテンツを、今回の広告枠で再生すべき広告コンテンツとして決定する。そして、ステップS474において、制御部11は、決定した広告コンテンツを再生させる。
【0108】
一方、広告リスト情報が分割配信の場合、この広告リスト情報に記述されたコンテンツIDに対応する広告コンテンツは、今回の広告枠で再生すべき広告コンテンツである。従って、制御部11は、広告リスト情報に記述されたコンテンツIDに対応する広告コンテンツを、今回の広告枠で再生すべき広告コンテンツとして決定する。そして、ステップS474において、制御部11は、決定した広告コンテンツを再生させる。
【0109】
なお、広告リスト情報に記述された挿入位置を示す識別情報が、例えばライブ配信データの先頭から挿入位置まで再生時刻又はバイト数で表されている場合がある。この場合、制御部11により、ライブ配信データの再生中に、広告リスト情報に記述された再生時刻又はバイト数から、ライブ配信データにおける広告コンテンツの挿入位置が決定される。そして、決定された挿入位置に広告コンテンツが挿入されるよう、デコーダ部14に送られ、広告コンテンツの再生が行われる。
【0110】
次いで、制御部11は、広告コンテンツの挿入終了信号を受信したか否かを判定する(ステップS475)。そして、制御部11は、広告コンテンツの挿入終了信号を受信したと判定した場合には(ステップS475:YES)、図8に示す処理に戻る。広告コンテンツの挿入終了信号と挿入終了信号の受信により、ユーザはライブ視聴から広告視聴へ、若しくは広告視聴からライブ視聴へ移行することが可能となる。なお、広告リスト情報が分割配信の場合、この広告リスト情報は、例えば、挿入終了信号が受信されたときに削除される。
【0111】
一方、制御部11は、広告コンテンツの挿入終了信号を受信していないと判定した場合には(ステップS475:NO)、ステップS476に進む。
【0112】
ステップS476では、制御部11は、上記ステップS474の処理前に決定された広告コンテンツを全て再生したか否かを判別する。そして、制御部11は、決定された広告コンテンツを全て再生したと判定した場合には(ステップS476:YES)、ステップS475に戻る。一方、制御部11は、決定された広告コンテンツを全て再生していないと判定した場合には(ステップS476:NO)、ステップS474に戻る。ステップS474に戻ることにより、決定された広告コンテンツのうち、未だ再生されていない残りの広告コンテンツが再生される。
【0113】
なお、図8のステップS48に示すその他の処理では、例えば、下位階層のノードNnへのライブ配信データ及びコンテンツIDの転送処理が行われる。
【0114】
一方、ステップS49では、制御部11は、図8に示す処理の開始後に受信された広告リスト情報が記憶されているか否かを判定する。そして、制御部11は、広告リスト情報が記憶されていると判定した場合には(ステップS49:YES)、ステップS47に移行する。一方、制御部11は、広告リスト情報が記憶されていないと判定した場合には(ステップS49:NO)、ステップS43に戻る。
【0115】
以上説明したように、実施例2によれば、コンテンツ配信サーバDSはライブ配信データにおける挿入位置で再生されるべき複数の広告コンテンツのコンテンツIDを記述した広告リスト情報をライブ配信前又はライブ配信中に配信する。従って、再生されるべき複数の広告コンテンツをノードNnに効率良く取得させることができる。そのため、コンテンツ配信サーバDSの処理負荷を低減することができ、且つ、ライブ配信データの配信側で、ライブ配信の合間に再生させる広告コンテンツを制御することができる。
【0116】
(実施例3)
次に、図10及び図11を参照して、実施例3におけるコンテンツ配信システムSの動作について説明する。
【0117】
実施例3は、ノードNnのユーザの属性情報に基づいて、ライブ配信データにおける挿入位置で再生されるべき広告コンテンツが決定される場合の動作例である。
【0118】
図10(A)は、ユーザの属性の統計情報の蓄積結果の一例を示す図である。図10(B)は、ノードNnの制御部11におけるメイン処理を示すフローチャートである。図11は、図10(B)のステップS63に示す広告コンテンツの決定処理の詳細を示すフローチャートである。なお、このノードNnはオーバーレイネットワークONに参加しているものとする。
【0119】
実施例3の前提として、ユーザの属性情報を得るために、ノードNnのユーザの属性の統計情報が蓄積される必要がある。ユーザの属性の統計情報は、例えば、オンデマンド視聴処理で蓄積される。オンデマンド視聴処理では、例えば、上述したコンテンツの検索処理により、コンテンツ保持ノードからコンテンツが取得、再生される。そして、再生されたコンテンツに対応付けられたキーワードがコンテンツカタログ情報から抽出される。キーワードの例として、性別層、年齢層、及びカテゴリが挙げられる。例えば、ユーザにより視聴されたコンテンツの性別層として「男性」、年齢層として「20−25歳」、及びカテゴリとして「アニメ」を示す情報が夫々抽出される。そして、抽出されたキーワードに基づいて、ユーザの属性の統計情報が蓄積される。例えば、性別層、年齢層、及びカテゴリ等のキーワードの抽出回数が、ユーザの属性の統計情報として図10(A)に示すように蓄積される。このようなユーザの属性の統計情報によりユーザの属性情報を判定することができる。
【0120】
なお、ユーザの属性の統計情報は、オンデマンド視聴処理に限定されず、ユーザに対するアンケート結果から取得されてもよい。また、ユーザの属性の統計情報の蓄積は、オンデマンドのコンテンツを提供するサーバから受信したコンテンツが再生された場合に行われるように構成しても良い。また、ユーザの属性の統計情報の蓄積は、コンテンツがダウンロードされ記憶部12に保存されたが、未だ再生されていない場合においても行われるように構成しても良い。
【0121】
次に、実施例3におけるコンテンツ配信サーバDSの制御部1におけるメイン処理は、実施例2で説明した図7に示す処理と同様である。ただし、実施例3における図7に示すステップS23及びステップS35では、再生候補となる複数の広告コンテンツのコンテンツIDが記述された広告候補リスト情報が配信されることになる。
【0122】
一方、図10(B)に示す処理は、図8に示す処理と同様、ノードNnが、接続先紹介要求に応じて接続先紹介サーバISから通知された上位階層のノードNnに接続することにより開始される。図10(B)に示す処理が開始されると、空の広告リスト情報が生成される。つまり、この広告リスト情報には、未だコンテンツIDが記述されていない。
【0123】
なお、ステップS61及びS62の処理は、図8に示すステップS41及びS42の処理と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0124】
ステップS63では、制御部11は、広告コンテンツの決定処理を行う。広告コンテンツの決定処理では、図11に示すように、制御部11は、この制御部11を備えるノードNnが接続している接続先紹介サーバIS又は上位階層のノードNnから、広告候補リスト情報を取得する(ステップS631)。例えば、広告枠xに対応する広告候補リスト情報が取得される。
【0125】
次いで、制御部11は、上述したように蓄積されたユーザの属性の統計情報に基づいて、ユーザの属性情報を判定する(ステップS632)。例えば、制御部11は、ユーザの属性の統計情報に示される抽出回数が多いキーワードをユーザの属性情報として判定する。図10(A)示す蓄積結果によれば、性別層として「男性」、年齢層として「20−30歳」、及びカテゴリとして「アニメ」を示す情報がユーザの属性情報として判定される。ここで、上記年齢層「20−30歳」の平均をとり、25歳がユーザの属性情報として判定されるように構成しても良い。これにより、ユーザの属性情報は、例えば、性別=男性、年齢=25歳、及びカテゴリ=アニメと判定される。こうして判定された属性情報は、RAMに記憶される。なお、ステップS632で、ユーザの属性情報が複数の判定されるようにしても良い。この場合、各属性情報には、優先順位が付けられる。例えば、図10(A)示す蓄積結果によれば、「性別=男性、年齢=25歳、及びカテゴリ=アニメ」は何れも最も抽出回数が多いので、優先順位が1位の属性情報とされる。また、図10(A)示す蓄積結果によれば、カテゴリにおいて、「アニメ」の次に抽出回数が次に多いのは、「ドキュメンタリ」である。従って、「性別=男性、年齢=25歳、及びカテゴリ=ドキュメンタリ」は、優先順位が2位の属性情報とされる。
【0126】
次いで、制御部11は、上記判定されたユーザの属性情報をキーワードとして、記憶部12に記憶されているコンテンツカタログ情報からコンテンツIDを検索する(ステップS633)。例えば、「性別=男性、年齢=25歳、及びカテゴリ=アニメ」という属性情報がキーワードとして対応付けられている全てのコンテンツのコンテンツIDがコンテンツカタログ情報から検索される。なお、ステップS632の処理でユーザの属性情報が複数判定されていた場合、優先順位が最も高い属性情報がステップS633の処理でキーワードとして設定される。ステップS633の処理でキーワードとして設定された属性情報はRAMから削除される。そのため、同一の属性情報は、後述するステップS637から戻った次回以降のステップS633の処理で再びキーワードとして設定されないようになっている。次いで、制御部11は、上記検索により発見されたコンテンツIDを記述するコンテンツリスト情報を生成する(ステップS634)。なお、ステップS633でコンテンツIDが1つも発見できなかった場合、コンテンツリスト情報にはコンテンツIDが記述されない。
【0127】
次いで、制御部11は、上記ステップS631で取得された広告候補リスト情報と、上記ステップS634で生成されたコンテンツリスト情報とで一致するコンテンツIDを検索する(ステップS635)。つまり、広告候補リスト情報とコンテンツリスト情報の双方に記述されているコンテンツIDが検索される。
【0128】
次いで、制御部11は、広告候補リスト情報とコンテンツリスト情報とで一致するコンテンツIDを発見できたか否かを判定する(ステップS636)。そして、制御部11は、一致するコンテンツIDを発見できない場合には(ステップS636:NO)、ステップS637に進む。
【0129】
ステップS637では、制御部11は、未検索のキーワードがあるか否かを判定する。そして、制御部11は、未検索のキーワードがあると判定した場合には(ステップS637:YES)、ステップS633に戻る。例えば、ステップS632の処理で複数判定された属性情報の中で、未だキーワードとして設定されていない属性情報があれば、未検索のキーワードがあると判定される。そして、ステップS637から戻ったステップS633の処理で、未だキーワードとして設定されていない属性情報が、次のキーワードとして設定される。こうして、例えば、「性別=男性、年齢=25歳、及びカテゴリ=ドキュメンタリ」という優先順位が2位の属性情報が、次のキーワードとして、ステップS633の処理が行われる。
【0130】
一方、制御部11は、未検索のキーワードがないと判定した場合には(ステップS637:NO)、ステップS638に進む。ステップS638では、制御部11は、ステップS631で取得した広告候補リスト情報に記述されたコンテンツIDのうち、先頭のコンテンツIDに対応する広告コンテンツを、再生すべき広告コンテンツとして決定する。こうして決定された広告コンテンツのコンテンツIDは、広告枠に対応するシリアル番号に対応付けられて広告リスト情報に記述される。このシリアル番号は、例えば、ステップS631で取得された広告候補リスト情報から抽出される。
【0131】
一方、ステップS636において、制御部11は、広告候補リスト情報とコンテンツリスト情報とで一致するコンテンツIDを発見できた場合には(ステップS636:YES)、ステップS639に進む。そして、ステップS639では、制御部11は、発見したコンテンツIDに対応する広告コンテンツを、再生すべき広告コンテンツとして決定する。つまり、ユーザの属性情報に基づいて、広告候補リスト情報に含まれる広告コンテンツのコンテンツIDの中から、再生させる広告コンテンツのコンテンツIDが決定される。こうして決定された広告コンテンツのコンテンツIDは、広告枠に対応するシリアル番号に対応付けられて広告リスト情報に記述される。
【0132】
こうして図11に示す処理が終了すると、図10(B)に示す処理に戻る。図10(B)に示すステップS64及びS65の処理は、図8に示すステップS43及びS44の処理と同様である。また、図10(B)に示すステップS66〜68の処理は、図8に示すステップS46〜S48の処理と同様であるので、重複する説明を省略する。なお、実施例3においても、ステップS67において、図9に示す広告コンテンツの再生処理が行われる。実施例3におけるステップS474では、制御部11は、ステップS474の処理の直前に、広告リスト情報を参照して、今回の広告枠のシリアル番号を特定する。そして、制御部11は、特定したシリアル番号に対応付けられたコンテンツIDに対応する広告コンテンツを、今回の広告枠で再生すべき広告コンテンツとして決定する。そして、ステップS474において、制御部11は、決定した広告コンテンツを再生させる。
【0133】
そして、図10(B)に示すステップS69では、制御部11は、全ての広告枠で再生すべき広告コンテンツを決定したか否かを判定する。そして、制御部11は、全ての広告枠で再生すべき広告コンテンツを決定したと判定した場合には(ステップS69:YES)、ステップS64に戻る。一方、制御部11は、全ての広告枠で再生すべき広告コンテンツを決定していないと判定した場合には(ステップS69:NO)、ステップS63に戻る。ステップS63に戻ると、ステップS631で次の広告枠に対応する広告候補リスト情報が取得され、ステップS632以降の処理が行われる。
【0134】
以上説明したように、実施例3によれば、実施例1又は2の効果に加えて、ノードNnのユーザが興味のある広告コンテンツを、ライブ配信の合間にノードNnに再生させることができる。そのため、広告効果を高めることができる。
【0135】
なお、上記実施形態においては、ノードNnは、広告コンテンツのコンテンツIDに基づいて、オーバーレイネットワークONを介して、他の装置の一例であるコンテンツ保持ノードから広告コンテンツを取得するように構成した。しかし、別の例として、ノードNnは、広告コンテンツを配信するサーバからコンテンツIDに対応する広告コンテンツを取得するように構成しても良い。
【0136】
また、上記実施形態においては、オーバーレイネットワークONに、DHTを利用したピアツーピアネットワークを適用したが、これに限られるものではない。例えば、他のピアツーピアシステム、または、他のオーバーレイネットワークを用いたシステムが適用されても良い。DHTを利用しないピアツーピアシステムとしては、例えば、ハイブリッド型のピアツーピアシステムがある。また、ピアツーピアシステムに限定されず、広告コンテンツがネットワーク上の情報処理装置に保存される保存方式、または、広告コンテンツがネットワーク上に分散保存される保存方式においても本発明は適用可能である。
【0137】
また、上記実施形態においては、本発明をツリー型ネットワークTNでのライブ配信に適用したが、クライアント−サーバ型のライブ配信にも本発明は適用可能である。
【0138】
また、上記実施形態においては、本発明の情報処理装置にコンテンツ配信サーバDSを適用したが、主コンテンツの配信を行うその他の装置に対しても適用可能である。
【0139】
また、上記実施形態においては、主コンテンツにライブ配信データを適用したが、ライブ配信データ以外の音楽等のコンテンツに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0140】
1 制御部
2 記憶部
3 通信部
4 バス
11 制御部
12 記憶部
13 バッファメモリ
14 デコーダ部
15 映像処理部
16 表示部
17 音声処理部
18 スピーカ
19 通信部
19a 入力部
19b バス
DS コンテンツ配信サーバ
IS 接続先紹介サーバ
MS コンテンツ管理サーバ
Nn ノード
NW ネットワーク
ON オーバーレイネットワーク
TN ツリー型ネットワーク
S コンテンツ配信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信者が主として配信するべき主コンテンツを配信する情報処理装置と、前記情報処理装置から配信された前記主コンテンツを受信するノード装置と、を備える配信システムであって、
前記情報処理装置は、
広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを配信する第一配信手段と、
前記挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報を配信する第二配信手段と、
を備え、
前記ノード装置は、
前記情報処理装置から配信された前記広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを通信手段を介して受信する第一受信手段と、
前記情報処理装置から配信された前記広告コンテンツの識別情報を通信手段を介して受信する第二受信手段と、
前記第二受信手段により受信された前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から前記広告コンテンツを取得する取得手段と、
前記第一受信手段により受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記取得手段により取得された前記広告コンテンツを再生させる制御手段と、
を備えることを特徴とする配信システム。
【請求項2】
前記情報処理装置の前記第二配信手段は、前記主コンテンツの配信中、前記広告コンテンツの挿入位置になる所定時間前に、当該挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報を配信することを特徴とする請求項1に記載の配信システム。
【請求項3】
前記情報処理装置の前記第二配信手段は、再生候補となる複数の前記広告コンテンツの識別情報を含むリスト情報を配信し、
前記ノード装置の前記第二受信手段は、前記情報処理装置から配信された前記リスト情報を、通信手段を介して受信し、
前記ノード装置は、
前記第二受信手段により受信された前記リスト情報の中から、再生させる広告コンテンツの識別情報を決定する決定手段を更に備え、
前記ノード装置の前記取得手段は、前記決定手段により決定された広告コンテンツの識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配信システム。
【請求項4】
前記ノード装置は、前記ノード装置のユーザの属性情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記ノード装置の前記決定手段は、前記記憶手段に記憶された前記属性情報に基づいて、前記第二受信手段により受信された前記リスト情報の中から、再生させる広告コンテンツの識別情報を決定することを特徴とする請求項3に記載の配信システム。
【請求項5】
前記主コンテンツは、複数の前記挿入位置を有し、
前記情報処理装置の前記第二配信手段は、各前記挿入位置を示す識別情報と、各前記挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報と、を対応付けたリスト情報を配信し、
前記ノード装置の前記第二受信手段は、前記情報処理装置から配信された前記リスト情報を通信手段を介して受信し、
前記ノード装置の前記取得手段は、前記第二受信手段により受信された前記リスト情報に含まれる前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の配信システム。
【請求項6】
前記ノード装置の前記取得手段は、前記主コンテンツが再生される前に、各前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、各前記識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得し、当該取得した広告コンテンツを記憶する記憶手段を備え、
前記ノード装置の制御手段は、前記受信手段により受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記記憶手段に記憶された前記広告コンテンツを再生させることを特徴とする請求項5に記載の配信システム。
【請求項7】
前記情報処理装置の前記第二配信手段は、前記主コンテンツの配信中、前記広告コンテンツの挿入位置になる所定時間前に、当該挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの挿入開始信号を配信し、
前記ノード装置の前記第二受信手段は、前記情報処理装置から配信された前記挿入開始信号を通信手段を介して受信し、
前記ノード装置の前記取得手段は、前記受信手段により前記挿入開始信号が受信された場合に、前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の配信システム。
【請求項8】
前記ノード装置の前記取得手段は、ネットワークに接続された複数のノード装置により形成されるオーバーレイネットワークを介して、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他のノード装置から取得することを特徴とする請求項2乃至請求項7の何れか一項に記載の配信システム。
【請求項9】
前記主コンテンツは、ライブ配信データであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の配信システム。
【請求項10】
配信者が主として配信するべき主コンテンツを配信する情報処理装置から配信された前記主コンテンツを受信するノード装置であって、
前記情報処理装置から配信された、広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを通信手段を介して受信する第一受信手段と、
前記情報処理装置から配信された、前記広告コンテンツの識別情報を通信手段を介して受信する第二受信手段と、
前記第二受信手段により受信された前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から前記広告コンテンツを取得する取得手段と、
前記第二受信手段により受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記取得手段により取得された前記広告コンテンツを再生させる制御手段と、
を備えることを特徴とするノード装置。
【請求項11】
前記第二受信手段は、前記情報処理装置から配信された、再生候補となる複数の前記広告コンテンツの識別情報を含むリスト情報を通信手段を介して受信し、
前記ノード装置は、
前記ノード装置のユーザの属性情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記属性情報に基づいて、前記第二受信手段により受信された前記リスト情報に含まれる前記広告コンテンツの識別情報を決定する決定手段と、
を更に備え、
前記取得手段は、前記決定手段により決定された広告コンテンツの識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する広告コンテンツを他の装置から取得することを特徴とする請求項9に記載のノード装置。
【請求項12】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の情報処理装置に備えられる前記情報処理装置であって、
広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを配信する第一配信手段と、
前記挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報を配信する第二配信手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
配信者が主として配信するべき主コンテンツを配信する情報処理装置から配信された前記主コンテンツを受信するノード装置に含まれるコンピュータに、
前記情報処理装置から配信された、広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを通信手段を介して受信するステップと、
前記情報処理装置から配信された、前記広告コンテンツの識別情報を通信手段を介して受信するステップと、
前記受信された前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から前記広告コンテンツを取得するステップと、
前記受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記取得された前記広告コンテンツを再生させるステップと、
を実行させるためのノードプログラム。
【請求項14】
配信者が主として配信するべき主コンテンツを配信する情報処理装置と、前記情報処理装置から配信された前記主コンテンツを受信するノード装置と、を備える配信システムにおける広告コンテンツ再生方法であって、
前記広告コンテンツ再生方法は、
前記情報処理装置が、広告用の広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを配信するステップと、
前記情報処理装置が、前記挿入位置で再生されるべき前記広告コンテンツの識別情報を配信するステップと、
前記ノード装置が、前記情報処理装置から配信された前記広告コンテンツの挿入位置を有する前記主コンテンツを通信手段を介して受信するステップと、
前記ノード装置が、前記情報処理装置から配信された前記広告コンテンツの識別情報を通信手段を介して受信するステップと、
前記ノード装置が、前記受信された前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、他の装置から前記広告コンテンツを取得するステップと、
前記ノード装置が、前記受信された前記主コンテンツを再生させ、前記広告コンテンツの挿入位置になったときに、前記取得された前記広告コンテンツを再生させるステップと、
を含むことを特徴とする広告コンテンツ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−124940(P2011−124940A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283231(P2009−283231)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】