説明

配向膜

【課題】上に設けられたLCの均一であり、安定な配向を提供し、特に大量生産のために製造するのが容易であり、従来技術の配向膜および材料の欠点を有しない、配向膜、並びにこの製造のための方法および材料を提供する。
【解決手段】本発明は、1種または2種以上の二色性または液晶(LC)光開始剤をこのコレステリック相において含む重合可能なコレステリック材料の光重合により得られる、配向膜、この製造のための方法および材料、並びに液晶の配向のためのこの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種または2種以上の二色性または液晶(LC)光開始剤を含む、重合可能なコレステリック材料のそのコレステリック相における光重合により得られる、配向膜、この製造のための方法および材料、並びに液晶の配向のためのこの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶(LC)材料は、多くのディスプレイ用途において広範囲に用いられている。実際に、LC材料をある方向に配向させることが、しばしば必要である。この配向は、しばしば、基板(またはポリマー層)をベルベット布でラビングすることにより、達成される。例えば、種々のポリイミド類の層をラビングし、これを用いて、液晶材料を配向させることができる。ラビング段階の間に生じた静電気は、大気からの塵を引きつけ、従って配向膜における欠陥を生じ得る。また、ラビングプロセスの間に配向膜を伸長、損傷する可能性がある。これらの伸長が厳しいものである場合には、これらは、液晶材料の配向方向を妨害する。従って、代替の配向膜が望ましい。この問題を克服する1つの可能な代替物は、光配向膜である。
【0003】
LCの光配向は、偏光、例えばUV光への配向膜の露光により、膜において異方性が生じ、これを用いてLCを配向させることができる、既知の手法である。このようにして、ラビングが回避される。従来技術においては、種々の光配向材料および方法、例えば光異性化可能な、光分解可能な、または光架橋可能な材料が、知られている。
【0004】
1.光異性化可能な材料
例えば、偏光したUV放射線に露光した際に、アゾベンゼン材料は、トランス異性体からシス異性体への選択的な光により誘導された異性化を受ける。この効果を用いて、例えば非特許文献1または特許文献1に記載されているように、液晶材料を配向させることができる。しかし、アゾ含有配向材料は、配置緩和および可視光線に対する光化学的感受性のために、これらが着色され、これらの長期間安定性に問題があるという、重大な欠点を有する。特許文献1において、改善された光化学的安定性を有する染料が、報告されている。しかし、上記で列挙した他の欠点のために、これらの材料は、尚理想的にはディスプレイ用途には適していない。他の光異性化可能な材料、例えばケイ皮酸エステル類(cinnamates)は、しばしば低い熱安定性を有する。
【0005】
2.光分解材料
ポリイミドは、LC材料の慣用の配向(ラビングによる)のために広範囲に用いられている。ポリイミドの1つの利点は、これが、典型的に高い熱安定性を有することである。しかし、欠点は、材料を重合させるのに必要な高い温度(典型的には150℃を超える)である。ポリイミド配向膜の感光性様式において、ポリイミドを、例えば特許文献2に記載されているように、直線偏光したUV放射線で照射する。この結果、選択的な結合破壊(解重合)がもたらされ、これを用いて、LC材料を配向させることができる。しかし、分解のプロセスは、しばしば、LCD性能に対して悪影響を有する。例えば、極性のアンカーエネルギーは、ラビングしたポリイミド類と比較して10倍低くなり得、これらの配向膜により、LCDにおいて画像焼付およびディスプレイのちらつきが生じ得る。非特許文献2による概説記事を参照。
【0006】
3.光架橋可能な材料
ある材料は、UV光を照射した際に、光により誘導された架橋を経る。例えば、直線偏光したUV放射線に露光されたポリビニル−ケイ皮酸エステル(PVCi)フィルムは、均一なLC配向(光の偏光方向に垂直)を誘導することが知られている[例えば、非特許文献3]。このプロセスは、2+2環化付加(cycloaddition)反応のためであると考えられている。不都合なことに、PVCi配向フィルムは、熱安定性が乏しく、これらが用いるのに実際的ではなくなるという欠点を有する。この問題は、(i)光活性な(例えばクマリンまたはケイ皮酸エステル)側鎖ポリマーと、一層不活性な物質(例えばポリイミド類)との配合物、例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5を参照、または(ii)光活性ポリマーを不活性ポリマーと化学的に組み合わせること、例えば特許文献6、特許文献7または特許文献8を参照、のいずれかを用いて、部分的に克服された。しかし、環化付加材料は、典型的に、プロセス上の制限を有しており、ここで、入射する放射線の平面に対する均一な配向の方向は、露光時間に伴って変化し得る。
【0007】
従って、上記に列挙した問題を有しない、代替の光配向材料が、望まれている。
【0008】
【非特許文献1】ダブリュー・エム・ギボンスら(W. M. Gibbons et al)、ネーチャー(Nature)、351 49 (1991)
【特許文献1】米国特許第2003/0072896号明細書
【特許文献2】米国特許第6,139,926号明細書
【非特許文献2】エム・オネイルおよびエス・エム・ケリー(M. O'Neill & S. M. Kelly)、ジェイ・フィズ・ディー・アプル・フィズ(J. Phys. D: Appl. Phys.)、33 R67 (2000)
【非特許文献3】エム・シャット(M. Schadt)、ジャパン・ジェイ・アプル・フィズ(Jpn. J.Appl Phys.)、31 2155 (1992)
【特許文献3】欧州特許出願公開第EP−A−0 611 786号明細書
【特許文献4】国際公開第99/49360号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6,731,362号明細書
【特許文献6】米国特許第6,749,895号明細書
【特許文献7】米国特許第5,998,563号明細書
【特許文献8】米国特許第6,764,724号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、上に設けられたLCの均一であり、安定な配向を提供し、特に大量生産のために製造するのが容易であり、上記した従来技術の配向膜および材料の欠点を有しない、配向膜、並びにこの製造のための方法および材料を提供することにある。本発明の他の目的は、以下の詳細な記載から、当業者に直ちに明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、これらの目的は、本発明において記載した材料および方法を用いることにより達成することができることを見出した。特に、良好な配向特性を有する配向膜を、重合可能なLC化合物および二色性またはLC光開始剤を含む重合可能なコレステリック混合物を、このコレステリック相において直線偏光に露光することにより光重合させることにより得ることができることが、見出された。
【0011】
WO 03/054111には、変形したらせんおよび楕円屈折率を有するコレステリック二軸フィルムおよび二色性光開始剤を有する重合可能なコレステリック材料からのこの製造方法が開示されているが、配向膜としてのこの使用は開示されていない。
【0012】
用語の定義
用語「液晶性またはメソゲン性材料」または「液晶性またはメソゲン性化合物」は、1つまたは2つ以上の棒型もしくは板型の(カラミティック(calamitic))またはディスク型の(ディスコティック)メソゲン性基、即ち液晶(LC)相挙動を誘導する能力を有する基を含む材料または化合物を意味する。メソゲン性基を含む化合物または材料は、必ずしもそれら自体LC相を示す必要はない。また、これらが、他の化合物との混合物においてのみ、あるいはメソゲン性化合物もしくは材料またはこれらの混合物を重合させた際に、LC相挙動を示すことが可能である。
【0013】
1つの重合可能な基を有する重合可能な化合物はまた、「単反応性」化合物と呼ばれ、2つの重合可能な基を有する化合物は、「二反応性」化合物と呼ばれ、2つより多い重合可能な基を有する化合物は、「多反応性」化合物と呼ばれる。重合可能な基を有しない化合物はまた、「非反応性」化合物と呼ばれる。用語「反応性メソゲン(RM)」は、重合可能なメソゲン性または液晶化合物を意味する。
【0014】
直線偏光子の「偏光方向」の用語は、偏光子の「透過軸」に相当する、偏光子により透過された直線偏光の平面の方向を意味する。例えば二色性のヨウ素に基づく染料を含む、伸長されたプラスチック偏光子フィルムの場合において、これは、伸長方向に垂直である。
【0015】
発明の概要
本発明は、1種または2種以上の二色性またはLC光開始剤をこのコレステリック相において含む、重合可能なコレステリック材料を、偏光を用いて光重合させることにより得られる、配向膜に関する。
本発明はさらに、本明細書中に記載した配向膜の製造方法に関する。
【0016】
本発明はさらに、本明細書中に記載した配向膜の、液晶ディスプレイ(LCD)または他の光学的もしくは電気光学的素子もしくはデバイスにおける、装飾またはセキュリティー用途のための使用に関する。
【0017】
発明の詳説
本発明の配向膜は、低いらせんピッチを有し、二色性またはLC光開始剤を含み、偏光、好ましくは直線偏光、例えばUV光を用いてコレステリック相において光重合させた、重合可能なコレステリック材料、好ましくはRM混合物から製造されるポリマーフィルムである。
【0018】
コレステリック材料の代わりに、重合可能な材料においてコレステリックらせんのねじれ方向とは反対の方向の円偏光を用いることも、可能である。コレステリック材料の代わりに、キラルスメクティック、例えばキラルスメクティックC、LC材料を用いることも、可能である。
【0019】
コレステリック材料中のキラルな化合物の量およびらせんねじれ力(HTP)を、材料が、可視波長範囲よりも十分低い、好ましくは250nmより小さいピッチを有するように選択する。この結果、フィルムは、可視波長の光を透過する。コレステリック材料の反射波長は、好ましくは380nmより低い。このことは、多くの量のキラルな化合物を用いることにより、および/または高いHTP値を有するキラルな化合物を用いることにより、達成することができる。
【0020】
本発明の配向膜の厚さは、好ましくは0.01〜2ミクロン、好ましくは0.02〜1ミクロン、極めて好ましくは0.02〜0.07ミクロンである。
本発明の配向層は、典型的には、上に塗布されたLC材料の層においてプレナー配向を誘導する。
【0021】
また、配向層上に塗布されたLC材料の層において、即ち配向層に面するLC層の表面(「第一表面」)からこの反対側の表面(「第二表面」)まで変化するティルト角を有するスプレー配向を誘導することも、可能である。例えばWO 98/12584 A1に記載されているように、例えばLC層の第一表面において低いティルトおよび第二表面において高いティルトを有するスプレー配向を、第二表面が「開放された」表面であり(即ち、これが基板で覆われておらず、空気と接触している)、LC材料が極性の分子または極性のRMを含む場合に、達成することができる。
【0022】
また、LC層におけるホメオトロピック配向を、RMMの表面エネルギー(または表面エネルギーの成分)を、基板の表面エネルギーよりも低く低下させる作用を奏する1種または2種以上の添加剤を含む配向膜を用いることにより、誘導することも可能である。ある界面活性剤(例えばフルオロカーボンに基づく界面活性剤)を、これを達成するのに十分な濃度で加えることができ、および/または表面エネルギーの高い異方性を有する1種もしくは2種以上の化合物、例えば極性の末端基を有するLC化合物もしくはRMを含むLC層の適用を用いることができる。これらの手法は、例えば、S. Naemura Mol. Cryst. Liq. Cryst. 68 183 (1981)により記載されている。
【0023】
好ましくは、本発明の配向膜の製造方法は、以下の段階
a)1種または2種以上の二色性またはLC光開始剤を含む重合可能なコレステリック材料を、薄層として基板上に設ける段階、
b)随意に重合可能な材料の層を配向させる段階、
c)重合可能な材料またはこの選択された部分を、材料がコレステリック相を示す温度において偏光に露光することにより重合させる段階、および
d)随意に重合したフィルムを基板から除去する段階
を含む。
【0024】
また、光重合(段階c)を、最初に直線偏光したUV光を用いて(好ましくは短い照射時間および低い出力で)、次に偏光していないUV光を用いて(好ましくはより長い照射時間およびより高い出力で)、2段階で行うことも、可能である。好ましくは、1つのみの光重合段階を用いる。
【0025】
本発明の方法において、LC材料の配向方向は、偏光の偏光方向に対して45°である。これにより、いくつかの利点が提供される。
【0026】
1つの利点は、長さおよび幅方向に対する配向膜の配向方向を、照射方向を相当に選択することにより容易に決定することができることである。これは、例えば、光学的フィルムの積み重ねをロールからロールへの(roll-to-roll)方法で製造し、ここで単一のフィルムを、これらの配向方向またはこれらの光学的な軸が、互いに、または加工(もしくは積層機械)方向に対して例えば45°における特定の配向を有するように好ましくは配向させるのが、有利である。
【0027】
他の利点は、これにより、異なる配向方向を有する2つもしくは3つ以上の領域または2つもしくは3つ以上の領域のパターンを有する、パターン化された配向膜を製造することが可能になることである。このようなパターン化された配向膜は、本発明の他の観点である。これを、例えば、本明細書中に記載した方法により製造することができ、ここで、重合可能な層の選択された領域を、2つまたは3つ以上の別個の段階において、即ち互いに独立して、異なる照射方向を有する偏光を用いて、光重合させる。最初の(または前の)重合段階において重合していない領域を、例えばフォトマスクにより覆い、照射方向を、第2の(または次の)重合段階において変化させる。
【0028】
重合可能なLC材料は、1種または2種以上の二色性またはLC光開始剤を含む。
重合可能なLC材料は、好ましくは、2種または3種以上の化合物の混合物であり、この少なくとも1種は、重合可能な、または架橋可能な化合物である。1つの重合可能な基を有する重合可能な化合物を、以下で、また「単反応性」と呼ぶ。架橋可能な化合物、即ち2つまたは3つ以上の重合可能な基を有する化合物を、以下で、また「二反応性または多反応性」と呼ぶ。
【0029】
特に好ましいのは、
a)1種または2種以上のアキラルな単反応性、二反応性または多反応性の重合可能なメソゲン性化合物、
b)また重合可能な、および/またはメソゲン性であってもよい、1種または2種以上のキラルな化合物、
c)1種または2種以上の二色性またはLC光開始剤、
d)随意に1種または2種以上の単反応性、二反応性または多反応性の、重合可能な非メソゲン性化合物、
e)随意に1種または2種以上の非二色性光開始剤、
f)随意に、光重合を開始するために用いられる波長において吸収最大を示す、1種または2種以上の染料、
g)随意に1種または2種以上の連鎖移動剤、
h)随意に1種または2種以上の界面活性化合物、
i)随意に1種または2種以上の安定剤
を含む、重合可能な材料である。
【0030】
さらに好ましいのは、1種または2種以上の単反応性の重合可能なメソゲン性化合物および1種または2種以上の二反応性または多反応性の重合可能なメソゲン性化合物を含む、重合可能な材料である。
さらに好ましいのは、1種または2種以上の単反応性のアキラルな重合可能なメソゲン性化合物および1種または2種以上の二反応性または多反応性のアキラルな重合可能なメソゲン性化合物を含む、重合可能な材料である。
【0031】
さらに好ましいのは、1種または2種以上の単反応性、二反応性または多反応性のキラルな重合可能なメソゲン性化合物および1種または2種以上の単反応性、二反応性または多反応性のアキラルな重合可能なメソゲン性化合物を含む、重合可能な材料である。
さらに好ましいのは、1種または2種以上の非反応性のキラルな化合物および1種または2種以上の単反応性、二反応性または多反応性のアキラルな重合可能なメソゲン性化合物を含む、重合可能な材料である。
【0032】
極めて好ましい重合可能な材料は、以下のものを含む。
−2〜70%の、1種または2種以上のアキラルな二反応性の重合可能なメソゲン性化合物、
−20〜95%の、1種または2種以上のアキラルな単反応性の重合可能なメソゲン性化合物、
−20〜95%の、1種または2種以上のキラルな単反応性の重合可能なメソゲン性化合物、および/または1〜25%の、またメソゲン性であってもよい1種または2種以上のキラルな重合可能でない化合物、
−2〜70%の、1種または2種以上のキラルな二反応性の重合可能なメソゲン性化合物、および/または1〜25%の、またメソゲン性であってもよい1種または2種以上のキラルな重合可能でない化合物、
【0033】
−0.1〜20%の、1種または2種以上の二色性光開始剤、好ましくは0.5〜15%の二色性の、極めて好ましくは液晶の光開始剤、
−0〜10%の、1種または2種以上の連鎖移動剤、
−0〜3%の、1種または2種以上の重合可能でない、または単反応性、二反応性もしくは多反応性の重合可能な界面活性剤、
−0〜8%、好ましくは0〜5%の、1種または2種以上の二色性でない光開始剤。
【0034】
重合可能なメソゲン性またはLC化合物は、好ましくはモノマー、極めて好ましくはカラミティックモノマーである。これらの材料は、典型的には、良好な光学的特性、例えば低下した色度を有し、容易に、かつ迅速に所望の配向に配向することができ、これは、特に、大規模でのポリマーフィルムの工業的な製造のために重要である。また、重合可能な材料が、1種または2種以上のディスコティックモノマーを含むことも、可能である。
本明細書中に記載した重合可能な材料は、本発明の他の観点である。
【0035】
本発明に適する重合可能な単反応性、二反応性および多反応性のメソゲン性またはLC化合物を、自体公知であり、有機化学の標準的な学術書、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Thieme-Verlag, Stuttgartに記載されている方法により、製造することができる。
【0036】
重合可能なLC混合物中でモノマーまたはコモノマーとして用いるための、好適な重合可能なメソゲン性またはLC化合物は、例えば、WO 93/22397、EP 0 261 712、DE 195 04 224、WO 95/22586、WO 97/00600、US 5,518,652、US 5,750,051、US 5,770,107およびUS 6,514,578に開示されている。
【0037】
好適であり、好ましい重合可能なメソゲン性またはLC化合物(反応性メソゲン)の例を、以下のリスト中に示す。
【化1】

【0038】
【化2】

【0039】
【化3】

【0040】
【化4】

【0041】
式中、
Pは、重合可能な基、好ましくはアクリル、メタクリル、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテル、エポキシ、オキセタンまたはスチレン基であり、
xおよびyは、1〜12の同一であるかまたは異なる整数であり、
AおよびDは、随意にLにより単置換、二置換もしくは三置換されている1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
uおよびvは、互いに独立して0または1であり、
は、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−C≡C−または単結合であり、
【0042】
は、1個もしくは2個以上、好ましくは1〜12個のC原子を有し、随意にフッ素化されているアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ、またはYであり、
は、F、Cl、CN、NO、OCH、OCN、SCN、1〜4個のC原子を有する、随意にフッ素化されているアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ、または1〜4個のC原子を有するモノ、オリゴもしくはポリフッ素化されているアルキルもしくはアルコキシであり、
Terは、テルペノイド基、例えばメンチルであり、
Cholは、コレステリルであり、
およびLは、互いに独立して、H、F、Cl、CNまたは1〜5個のC原子を有する、随意にハロゲン化されているアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシである。
【0043】
好適な重合可能でないキラルな化合物は、例えば、標準的なキラルなドーパント、例えばRもしくはS−811、RもしくはS−1011、RもしくはS−2011、RもしくはS−3011、RもしくはS−4011、RもしくはS−5011またはCB15(すべてMerck KGaA, Darmstadt, ドイツ国から入手可能)である。
好適な重合可能なキラルな化合物は、例えば、前に列挙した化合物(R14)〜(R23)、または重合可能なキラルな材料パリオカラー(Paliocolor)(登録商標)LC756(BASF AG, Ludwigshafen, ドイツ国から)である。
【0044】
極めて好ましいのは、高いHTPを有するキラルな化合物、特に例えばWO 98/00428に記載されているソルビトール基を含む化合物、例えばGB 2,328,207に記載されているヒドロベンゾイン基を含む化合物、例えばWO 02/94805に記載されているキラルなビナフチル誘導体、例えばWO 02/34739に記載されているキラルなビナフトールアセタール誘導体、例えばWO 02/06265に記載されているキラルなTADDOL誘導体並びに例えばWO 02/06196またはWO 02/06195に記載されている、少なくとも1つのフッ素化結合基および末端または中心のキラルな基を有するキラルな化合物である。
【0045】
特に好ましいのは、40μm−1またはこれ以上の、極めて好ましくは60μm−1またはこれ以上の、最も好ましくは80μm−1またはこれ以上のHTPを有する、キラルな化合物である。
【0046】
特に好ましいのは、重合可能なソルビトール類、例えば式(R21)および(R22)で表されるもの、並びに重合可能なヒドロベンゾイン類、例えば式(R23)で表されるものである。さらに好ましいのは、以下の式IおよびIIで表される、重合可能でないソルビトール類およびヒドロベンゾイン類である。さらに好ましいのは、以下の式IIIおよびIIIbで表されるキラルなビナフトール類である。
【0047】
【化5】

式中、P、Z、A、L、L、vおよびxは、前に示した意味を有し、Rは、前に示したRの意味の1つを有するか、またはP−Spであり、Rは、Rの意味の1つを有し、mは、0、1、2または3であり、r1およびr2は、0、1、2、3または4である。
【0048】
極めて好ましいのは、RがP−Spである、式IIIで表される化合物である。さらに好ましいのは、mが0または1であり、Zが−COO−、−OCO−または単結合であり、Aが、随意に1個または2個の基Lにより置換されている1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンである、式IIIで表される化合物である。
【0049】
二色性光開始剤として、例えば以下の化合物を、用いることができる。
【化6】

【0050】
特に好ましいのは、EP 1 388 538に開示されているα−アミノ基を含む、二色性またはLC光開始剤、例えば以下の式
【化7】

【0051】
【化8】

式中、L”は、HまたはFであり、Rは、1〜12個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、R’およびR”は、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ、極めて好ましくはメチル、エチルまたはプロピルから選択されている、
で表されるものである。
【0052】
他に述べない限り、本発明のポリマーLCフィルムの一般的な製造を、文献から知られている標準的な方法に従って行うことができる。
典型的には、重合可能なLC材料を、基板上に塗布するかまたは他の方法で設け、ここでこれは、均一な配向に配向する(aligns)かまたは配向され(is aligned)、インサイチュで選択された温度において光重合により、極めて好ましくはUV光重合により重合して、LC分子の配向を固定する。所要に応じて、均一な配向を、追加的な手段、例えばLC材料の剪断加工および/またはアニーリング、基板の表面処理または界面活性剤のLC材料への添加により、促進することができる。
【0053】
基板として、例えばガラスもしくは石英シートまたはプラスチックフィルムを、用いることができる。また、第2の基板を、被覆した材料の最上部上に、重合前および/または重合中および/または重合後に配置することが、可能である。基板を、重合後に取り外すかまたは取り外さないことができる。化学線による硬化の場合において、2枚の基板を用いる際には、少なくとも1つの基板は、重合のために用いる化学線について透過性でなければならない。アイソトロピックまたは複屈折基板を、用いることができる。基板を重合後に重合したフィルムから取り外さない場合には、好ましくはアイソトロピックな基板を用いる。
【0054】
好適であり、好ましいプラスチック基板は、例えば、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)のフィルム、極めて好ましくはPETまたはTACフィルムである。複屈折基板として、例えば、一軸に伸長されたプラスチックフィルムを用いることができる。PETフィルムは、例えば、デュポン帝人フィルムから、メリネックス(Melinex)(登録商標)の商品名の下で商業的に入手できる。
【0055】
重合可能な材料を、基板上に、慣用の塗布手法、例えばスピンコーティングまたはブレードコーティングにより適用することができる。これをまた、基板に、専門家に知られている慣用の印刷手法、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、オープンリール印刷、活版印刷、グラビア印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、凹版、パッド印刷、ヒートシール印刷、インクジェット印刷または判もしくは印刷版による印刷により、適用することができる。
【0056】
また、重合可能な材料を、好適な溶媒に溶解することが可能である。次に、この溶液を、基板上に、例えばスピンコーティングまたは印刷または他の既知の手法により塗布するかまたは印刷し、溶媒を、重合前に蒸発させて除去する。多くの場合において、混合物を加熱して、溶媒の蒸発を容易にするのが好適である。溶媒として、例えば標準的な有機溶媒を用いることができる。溶媒を、例えばケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンまたはシクロヘキサノン;酢酸エステル類、例えば酢酸メチル、エチルもしくはブチルまたはアセト酢酸メチル;アルコール類、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール;芳香族溶媒、例えばトルエンまたはキシレン;ハロゲン化炭化水素類、例えばジまたはトリクロロメタン;グリコール類またはこれらのエステル類、例えばPGMEA(酢酸プロピルグリコールモノメチルエーテル)、γ−ブチロラクトンなどから選択することができる。また、前述の溶媒の二元、三元または四元以上の混合物を用いることが、可能である。
【0057】
重合可能なLC材料の最初の配向(例えばプレナー配向)を、例えば、基板のラビング処理により、塗布中もしくは塗布後に材料を剪断加工することにより、重合の前に材料をアニーリングすることにより、配向膜の適用により、磁界もしくは電界を塗布した材料に加えることにより、または界面活性化合物を材料に加えることにより、達成することができる。配向手法の概説は、例えば、I. Sageにより、"Thermotropic Liquid Crystals", G. W. Gray編、John Wiley & Sons, 1987, 75〜77頁中に;およびT. Uchida and H. Sekiにより、"Liquid Crystals - Applications and Uses Vol. 3", B. Bahadur編、World Scientific Publishing, Singapore 1992, 1〜63頁中に示されている。配向材料および手法の概説は、J. Cognard, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78, 追補1(1981), 1〜77頁により示されている。
【0058】
特に好ましいのは、LC分子の特定の表面配向を促進する、1種または2種以上の界面活性剤を含む重合可能な材料である。好適な界面活性剤は、例えば、J. Cognard, Mol.Cryst.Liq.Cryst. 78, 追補1、1-77 (1981)中に記載されている。プレナー配向に好ましい配向剤は、例えば非イオン性界面活性剤、好ましくはフルオロカーボン界面活性剤、例えば商業的に入手できるフルオラッド(Fluorad)FC−171(登録商標)(3M Co.から)もしくはゾニル(Zonyl)FSN(登録商標)(DuPontから)、GB 2 383 040に記載されているマルチブロック(multiblock)界面活性剤またはEP 1 256 617に記載されている重合可能な界面活性剤である。
【0059】
また、配向膜を、基板上に適用し、重合可能な材料をこの配向膜上に設けることも、可能である。好適な配向膜は、業界において知られており、例えばラビングしたポリイミドまたはUS 5,602,661、US 5,389,698もしくはUS 6,717,644に記載されている光配向により製造された配向膜である。
【0060】
また、配向を、重合可能なLC材料を昇温下で、好ましくはこの重合温度で、重合の前にアニーリングすることにより誘導するかまたは改善することも、可能である。
【0061】
重合は、重合可能な材料を、偏光、例えばUV光、IR光または可視光線、好ましくはUV光に露光することにより達成される。化学線の源として、例えば、単一のUVランプまたはUVランプのセットを用いることができる。高いランプ出力を用いる際には、硬化時間を減少させることができる。他の可能な光源は、レーザー、例えばUV、IRまたは可視レーザーである。
【0062】
二色性またはLC光開始剤に加えて、標準的な光開始剤を用いることができる。典型的なラジカル性光開始剤は、例えば、商業的に入手できるイルガキュア(Irgacure)(登録商標)またはダロキュア(Darocure)(登録商標)(Ciba Geigy AG, Basel, スイス国)である。
【0063】
重合可能な材料はまた、不所望な自発的な重合を防止するための1種または2種以上の安定剤または阻害剤、例えば商業的に入手できるイルガノックス(Irganox)(登録商標)(Ciba Geigy AG, Basel, スイス国)を含むことができる。
【0064】
硬化時間は、特に、重合可能な材料の反応性、塗布した層の厚さ、重合開始剤のタイプおよびUVランプの出力に依存する。硬化時間は、好ましくは≦5分、極めて好ましくは≦3分、最も好ましくは≦1分である。大量生産のために、≦30秒の短い硬化時間が好ましい。
【0065】
好ましくは、重合を、不活性ガス雰囲気、例えば窒素またはアルゴン中で行う。
重合可能な材料はまた、重合のために用いられる放射線の波長に調整した吸収最大を有する1種または2種以上の染料、特にUV染料、例えば4,4”−アゾキシアニソールまたはチヌビン(Tinuvin)(登録商標)染料(Ciba AG, Basel, スイス国から)を含むことができる。
【0066】
他の好ましい態様において、重合可能な材料は、1種または2種以上の単反応性の重合可能な非メソゲン性化合物を、好ましくは0〜50%、極めて好ましくは0〜20%の量で含む。典型的な例は、アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類である。
【0067】
他の好ましい態様において、重合可能な材料は、1種または2種以上の二反応性または多反応性の重合可能な非メソゲン性化合物を、二反応性または多反応性の重合可能なメソゲン性化合物と二者択一的に、またはこれに加えて、好ましくは0〜50%、極めて好ましくは0〜20%の量で含む。二反応性非メソゲン性化合物の典型的な例は、1〜20個のC原子を有するアルキル基を有するアルキルジアクリレート類またはアルキルジメタクリレート類である。多反応性非メソゲン性化合物の典型的な例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0068】
また、1種または2種以上の連鎖移動剤を重合可能な材料に加えて、ポリマーフィルムの物理的特性を修正することが可能である。特に好ましいのは、チオール化合物、例えば単官能性チオール類、例えばドデカンチオールまたは多官能性チオール類、例えばトリメチルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)である。極めて好ましいのは、例えばWO 96/12209、WO 96/25470またはUS 6,420,001に開示されているメソゲン性またはLCチオール類である。連鎖移動剤を用いることにより、遊離のポリマー鎖の長さおよび/またはポリマーフィルムにおける2つの架橋間のポリマー鎖の長さを、制御することができる。連鎖移動剤の量を増大させる際には、ポリマーフィルムにおけるポリマー鎖の長さは、減少する。
【0069】
重合可能な材料はまた、ポリマーバインダーまたはポリマーバインダーを生成することができる1種もしくは2種以上のモノマーおよび/または1種もしくは2種以上の分散助剤を含むことができる。好適なバインダーおよび分散助剤は、例えばWO 96/02597に開示されている。しかし、好ましくは、重合可能な材料は、バインダーまたは分散助剤を含まない。
【0070】
重合可能な材料は、さらに、1種または2種以上の追加的な成分、例えば触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応モノマー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤(hydrophobing agent)、接着剤、流動改善剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、染料または顔料を含むことができる。
【0071】
本発明のポリマーフィルムを、LC材料のための配向膜として用いることができる。例えば、これをLCDにおいて用いて、切換可能なLC媒体の配向を誘導させるかもしくは改善するか、またはこの上に塗布された重合可能なLC材料のその後の層を配向させることができる。このようにして、重合したLCフィルムの積み重ねを、製造することができる。
【0072】
本発明のポリマーフィルムを、慣用のLCディスプレイ、例えば垂直配向、例えばDAP(配向相の変形)、ECB(電気的に制御された複屈折)、CSH(色超ホメオトロピック)、VA(垂直配向)、VANもしくはVAC(垂直配向ネマティックもしくはコレステリック)、MVA(多ドメイン垂直配向)もしくはPVA(パターン化された垂直配向)モードを有するディスプレイ;ベントもしくはハイブリッド配向、例えばOCB(光学的に補償されたベントセルもしくは光学的に補償された複屈折)、R−OCB(反射性OCB)、HAN(ハイブッリド配向ネマティック)もしくはパイセル(π−セル)モードを有するディスプレイ;ねじれ配向、例えばTN(ねじれネマティック)、HTN(高度にねじれたネマティック)、STN(超ねじれネマティック)、AMD−TN(アクティブマトリックス駆動TN)モードを有するディスプレイ;IPS(面内切換)モードのディスプレイまたは光学的にアイソトロピックな相における切換を有するディスプレイ、例えばWO 02/93244に記載されているものにおいて、用いることができる。
【0073】
特に好ましいのは、TN、STN、VAおよびIPSディスプレイ、特にアクティブマトリックスタイプのディスプレイである。さらに好ましいのは、半透過性(transflective)ディスプレイである。
【0074】
前記および以下において、他に述べない限り、すべての温度を摂氏度で示し、すべての百分率は重量によるものである。以下の略語を用いて、LC相挙動を例示する:C、K=結晶;N=ネマティック;S=スメクティック;N、Ch=キラルネマティックまたはコレステリック;I=アイソトロピック。これらの記号間の数は、摂氏度における相転移温度を示す。さらに、mpは、融点であり、cpは、透明点である(℃における)。
【0075】
LCホスト材料におけるキラルなドーパントのHTPを、HTP=(p*c)−1(μm−1における)として示し、ここで、pは、分子らせんのピッチであり(μmにおける)、cは、ホスト中のキラルな化合物の濃度(重量%における)である(例えば、1重量%の濃度は、c=0.01に相当する)。他に述べない限り、本明細書中に示す固有のHTP値は、20℃におけるLCホスト混合物MLC−6260(Merck KGaA, Darmstadt, ドイツ国)中の1%のドーパント濃度に関する。
【0076】
他に述べない限り、本明細書中に示す重合可能な混合物の成分の百分率は、混合物重合可能な混合物中の固体の合計量を意味し、即ち溶媒を含まない。
以下の例は、本発明を、これを限定せずに例示する。
【0077】
例1
以下の重合可能な混合物を、配合する。
化合物(1) 5.42%
化合物(2) 40.00%
化合物(3) 40.00%
化合物(4) 4.00%
化合物(5) 0.50%
パリオカラー(登録商標)LC756 10.00%
イルガキュア(登録商標)1076 0.08%
【0078】
【化9】

【0079】
化合物(1)〜(3)は、従来技術から知られている。二色性光開始剤(4)は、EP 1 388 538に開示されている。界面活性剤(5)は、GB 2 383 040に開示されている。混合物は、40℃の透明点を有する。
【0080】
配向膜を有するスライドを、以下のようにして製造する。前述の混合物を、メチルエチルケトンに溶解して、10重量%溶液を得る。この溶液を、清浄なガラス基板上にスピンコーティングする(5000RPM、30秒)。得られたフィルムを、5mWcm−2の直線偏光したUV−A放射線を用いて、2秒間窒素雰囲気中で室温において光重合させて、好ましい配向を達成し、第2に20mWcm−2のUV−A放射線(偏光していない)を用いて、30秒間窒素雰囲気中で室温において光重合させて、硬質フィルムを得る。
【0081】
照射条件の種々の組み合わせを用いることができ、また配向および重合の両方を1つの段階において、増大した偏光したUV出力(例えば10〜60mWcm−2)を用いて行うことも、可能である。
最終的なフィルムの厚さを測定して(アルファ−ステップ(alpha-step)表面形状測定装置(profilometer)を用いて)、約100nmの厚さである。
【0082】
例2
商業的に入手できる重合可能なネマティックRM溶液RMS03−001(Merck KGaA, ドイツ国から)を、例1において製造したフィルム上にスピンコーティングし、光重合させる。フィルムを、図1に示すように、交差した偏光子の間で、種々の角度において視察する。図1の分析により、配向膜が作動し、RMS03−001のフィルムにおいて良好な品質の配向を誘導することが示される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】交差した偏光子の間で例1の配向上に塗布した、標準的な重合可能なネマティックLC混合物の層を示す図である。この試料は、(a)明るい(または遅延)状態で、および(b)暗い状態で45°回転させて示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または2種以上の二色性または液晶(LC)光開始剤を含む、重合可能なコレステリック材料を、偏光を用いてそのコレステリック相において光重合させることにより得られる、配向膜。
【請求項2】
偏光が、直線偏光であることを特徴とする、請求項1に記載の配向膜。
【請求項3】
偏光が、UV光であることを特徴とする、請求項1または2に記載の配向膜。
【請求項4】
重合が、不活性ガス雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配向膜。
【請求項5】
重合可能な材料が、1種または2種以上の単反応性の、および1種または2種以上の二反応性または多反応性の重合可能なメソゲン性化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の配向膜。
【請求項6】
重合可能な材料が、
a)1種または2種以上のアキラルな重合可能なメソゲン性化合物、
b)また重合可能な、および/またはメソゲン性であってもよい、1種または2種以上のキラルな化合物、
c)1種または2種以上の二色性またはLC光開始剤、
d)随意に1種または2種以上の単反応性、二反応性または多反応性の、重合可能な非メソゲン性化合物、
e)随意に1種または2種以上の非二色性光開始剤、
f)随意に、光重合を開始するために用いられる波長において吸収最大を示す、1種または2種以上の染料、
g)随意に1種または2種以上の連鎖移動剤、
h)随意に1種または2種以上の界面活性化合物、
i)随意に1種または2種以上の安定剤
を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の配向膜。
【請求項7】
配向方向が、偏光の偏光方向に対して45°であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の配向膜。
【請求項8】
配向方向が、偏光の照射方向を適切に選択することにより制御されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の配向膜。
【請求項9】
0.05〜1ミクロンの厚さを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の配向膜。
【請求項10】
異なる配向方向を有する2つもしくは3つ以上の領域または2つもしくは3つ以上の領域のパターンを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の配向膜。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに定義した配向膜の製造方法。
【請求項12】
以下の段階
a)1種または2種以上の二色性または液晶(LC)光開始剤を含む重合可能なコレステリック材料を、薄層として基板上に設ける段階、
b)随意に重合可能な材料の層を配向させる段階、
c)重合可能な材料またはこの選択された部分を、材料がコレステリック相を示す温度において偏光に露光することにより重合させる段階、および
d)随意に重合したフィルムを基板から除去する段階
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
重合可能な材料の種々の部分を、互いに別個に、種々の照射方向を有する偏光で光重合させることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の配向膜の、液晶ディスプレイ(LCD)、光学的または電気光学的素子デバイス、装飾またはセキュリティー用途における使用。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の配向膜を含む、LCD、光学的または電気光学的素子、装飾またはセキュリティーマーキング。

【図1】
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【公開番号】特開2006−293359(P2006−293359A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104769(P2006−104769)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】