説明

配管接続部材

【課題】配管の接続方向からのCリングの視認性を向上させ、浴槽用循環具の接続部に対する往き配管及び戻り配管の接続を正確に行うことができる配管接続部材を提供する。
【解決手段】配管接続部材は、浴槽の側壁に取付けられる浴槽用循環具11の一対の接続部4と、給湯器の一対の連結部とが給湯器から加熱水を送り出す往き配管5及び給湯器へ浴槽水を戻す戻り配管6で接続され、加熱水と浴槽水とが一定方向へ循環されるように構成されている。接続部4における配管接続側端部には面取り部72を有するキャップ60が設けられ、該キャップ60の面取り部72より内端側にはCリング10bの装着溝73が設けられ、該装着溝73には往き又は戻りであることを色で示すCリング10bが装着され、接続部4に対して配管の接続方向から見て面取り部72の部分を介してCリング10bを視認できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の側壁に取付けられる浴槽用循環具の一対の接続部と、給湯器の一対の連結部とが、給湯器から加熱水が送り出される往き配管及び給湯器へ浴槽水が戻る戻り配管で接続され、加熱水と浴槽水とが一定方向へ循環されるように構成するための配管接続部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の浴槽用循環具としては、いわゆる有極性のものと無極性のものとが知られている。有極性の浴槽用循環具は、施工時に給湯器の往き配管を浴槽用循環具の往き側接続口に接続し、給湯器の戻り配管を浴槽用循環具の戻り側接続口に接続しなければならないタイプのものである。一方、無極性の浴槽用循環具は、給湯器の往き配管及び戻り配管を浴槽用循環具の往き側及び戻り側のどちらに接続しても浴槽水の循環ができるタイプのものである。
【0003】
有極性の浴槽用循環具では、その一対の配管接続(屋内側)と給湯器の一対の配管接続(屋外側)とが異なる時期に行われる場合や、浴槽用循環具の一対の配管接続(屋内側)と給湯器の一対の配管接続(屋外側)とを行う施工者が異なる場合等には、往き配管と戻り配管との接続を互い違いに接続してしまうおそれがある。仮に、往き配管の接続と戻り配管の接続を逆にした場合には、浴槽内の浴槽水の温度が所定の温度まで上昇しなかったり、所定の温度まで上昇する時間が極端に長くなったりするという問題があった。このため、往き配管及び戻り配管の施工に際してそれらの接続を間違えることのない構造が求められている。
【0004】
そこで、本発明者は既に浴槽用循環具の一対の接続部、給湯器の一対の連結部並びに往き配管及び戻り配管に往き又は戻りであることを示す表示部を備える配管接続部材を提案した(特許文献1を参照)。この配管接続部材を用いることにより、給湯器の連結部及び浴槽用循環具の接続部に対する往き配管及び戻り配管の接続を正確に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−228963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載の配管接続部材では、具体的には接続部に用いられる表示部として赤色と青色に着色された一対のCリングを使用し、赤色に着色されたCリングが往き側接続部の環状溝に装着され、青色に着色されたCリングが戻り側接続部の環状溝に装着される。ところが、往き配管及び戻り配管を接続部に接続する場合には、配管の接続方向から接続部を見ながら行うことから、接続部に装着されているCリングは接続部の外周に極わずかに見えるに過ぎず、非常に見づらい。すなわち、接続部の環状溝より外端側には円環状をなす環状突条が設けられているため、配管の接続方向から接続部を見たときCリングがその環状突条に隠蔽されて視認され難い。その結果、接続部に対する往き配管及び戻り配管の接続を間違えるおそれがあるという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、配管の接続方向からのCリングの視認性を向上させ、浴槽用循環具の接続部に対する往き配管及び戻り配管の接続を正確に行うことができる配管接続部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明の配管接続部材は、浴槽の側壁に貫通された状態で取付けられる浴槽用循環具の一対の接続部と、浴槽の外部に位置する給湯器の一対の連結部とが給湯器から加熱水を送り出す往き配管及び給湯器へ浴槽水を戻す戻り配管で接続され、加熱水と浴槽水とが一定方向へ循環されるように構成するためのものである。そして、前記浴槽用循環具の一対の接続部の少なくとも一方、給湯器の一対の連結部の少なくとも一方、さらには往き配管及び戻り配管の少なくとも一方には、往き又は戻りであることを示す表示部を備えるとともに、前記接続部における配管接続側端部には面取り部を有するねじ部材が設けられ、該ねじ部材の面取り部より内端側にはCリングの装着溝が設けられ、該Cリングの装着溝には往き又は戻りであることを色で示すCリングが装着され、接続部に対して配管の接続方向から見て面取り部の部分を介してCリングを視認できるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る配管接続部材は、請求項1において、前記ねじ部材の面取り部は少なくとも2面存在し、Cリングはその周方向の長さが少なくとも1つの面取り部の部分に位置する長さに設定されるとともに、径方向の長さが面取り部よりも長くなるように設定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る配管接続部材は、請求項1又は請求項2において、前記接続部は、その軸線方向が浴槽用循環具の軸線方向と直交するように構成されている。
請求項4に係る配管接続部材は、請求項1又は請求項2において、前記接続部は、その軸線方向が浴槽用循環具の軸線方向と一致するように構成されている。
【0011】
請求項5に係る配管接続部材は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記Cリングは合成樹脂で変形可能に形成され、往きであることを示す場合には赤色に着色され、戻りであることを示す場合には青色に着色されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に係る配管接続部材においては、浴槽用循環具の一対の接続部の少なくとも一方、給湯器の一対の連結部の少なくとも一方、さらには往き配管及び戻り配管の少なくとも一方には、往き又は戻りであることを示す表示部を備えている。さらに、接続部における配管接続側端部には面取り部を有するねじ部材が設けられ、該ねじ部材の面取り部より内端側にはCリングの装着溝が設けられ、該Cリングの装着溝には往き又は戻りであることを色で示すCリングが装着されている。
【0013】
このため、往き配管及び戻り配管を浴槽用循環具の接続部に対して接続する場合、配管の接続方向から見て面取り部の部分を介してCリングを視認することができる。そして、Cリングの色を確認して往き又は戻りであることを認識した後、往き配管を往き側接続部に接続し、戻り配管を戻り側接続部に接続することができる。
【0014】
従って、本発明の配管接続部材によれば、配管の接続方向からのCリングの視認性を向上させ、浴槽用循環具の接続部に対する往き配管及び戻り配管の接続を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態における浴槽用循環具を示す正面図、(b)は浴槽用循環具を示す左側面図、(c)はCリングを示す正面図及び(d)は往き側接続部の継手を示す部分破断正面図。
【図2】(a)は浴槽用循環具の接続部としての継手にCリングを装着した状態を示す半縦断面図、(b)はその継手を示す右側面図。
【図3】給湯器、連結部、浴槽、浴槽用循環具及びそれらを接続する配管を示す斜視図。
【図4】(a)は浴槽用循環具を分解して示す要部破断正面図、(b)は浴槽用循環具の組付け状態を示す要部破断正面図。
【図5】(a)は給湯器の戻り側連結部を示す部分破断正面図、(b)は往き側連結部を示す部分破断正面図。
【図6】(a)は本発明の第2実施形態における浴槽用循環具を示す正面図、(b)は浴槽用循環具を示す平面図。
【図7】給湯器、連結部、浴槽、浴槽用循環具及びそれらを接続する配管を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図5に基づいて詳細に説明する。
図3に示すように、浴室1を形成する仕切壁2より内側には浴槽3が配設され、その浴槽3の側壁12には浴槽用循環具11が取着されるとともに、該浴槽用循環具11の接続部4として一対の往き側接続部4a及び戻り側接続部4bには往き配管5及び戻り配管6がそれぞれ接続されている。仕切壁2の外面には給湯器7が取付けられ、該給湯器7の底面には連結部8として一対の往き側連結部8a及び戻り側連結部8bが設けられるとともに、これら往き側連結部8a及び戻り側連結部8bには往き配管5及び戻り配管6が接続されている。
【0017】
そして、給湯器7で加熱された加熱水は往き側連結部8aを介して往き配管5から浴槽用循環具11の往き側接続部4aを介して浴槽3内へ供給される。浴槽3内の浴槽水は浴槽用循環具11の戻り側接続部4bを介して戻り配管6から給湯器7の戻り側連結部8bを経て給湯器7へ戻されるように構成されている。配管接続部材は、これら往き側接続部4aと戻り側接続部4bからなる接続部4、往き側連結部8aと戻り側連結部8bからなる連結部8及び往き配管5と戻り配管6からなる配管により構成されている。
【0018】
図1(a)に示すように、往き側接続部4a及び戻り側接続部4bは、それらの軸線方向71が浴槽用循環具の軸線方向(水平方向)70と直交する方向(鉛直方向)に延びるように構成されている。そして、浴槽用循環具11の一対の往き側接続部4a及び戻り側接続部4bの少なくとも一方、給湯器7の一対の往き側連結部8a及び戻り側連結部8bの少なくとも一方、さらには往き配管5及び戻り配管6の少なくとも一方には、往き又は戻りであることを示す表示部10が設けられる。
【0019】
次に、前記浴槽用循環具11について説明する。図4(a)及び(b)に示すように、浴槽用循環具11は、浴槽3の側壁12に設けられた貫通孔13に内側から挿入される締付筒体14と、側壁12の外部に配設される外部筒体15と、締付筒体14に挿入固定されるアダプター16と、該アダプター16に装着されるフィルターカバー17とを備えている。浴槽用循環具11は有極性のものであり、給湯器7からの往き配管5及び給湯器7への戻り配管6と、浴槽用循環具11の外部筒体15に設けられた往き側接続部4a及び戻り側接続部4bとが各々接続されるようになっている。
【0020】
往き側接続部4a及び戻り側接続部4bは、それぞれ浴槽用循環具11の外部筒体15に一体形成された継手4cと、その継手4cに螺合されるねじ部材としてのキャップ60とより構成されている。往き側接続部4aの継手4cは吐出用開口部38に連通する接続口22に接続され、戻り側接続部4bの継手4cは吸入用開口部37に連通する接続口20にそれぞれ接続されている。
【0021】
前記接続口22の内周には、Oリング24が嵌め込まれている。外部筒体15の開口端部内周面には雌ねじ部25が螺刻されている。外部筒体15の開口端部にはフランジ部26が設けられるとともに、そのフランジ部26にはシール材27が被せられ、側壁12の外側面との間の水密が確保されている。かかる外部筒体15は黄銅などの金属又はポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂で形成されている。
【0022】
締付筒体14はポリアセタール等の合成樹脂により円筒状に形成され、その前端部(図4(a)の右端部)にはフランジ28が突設されている。締付筒体14の外周面には雄ねじ部29が螺刻され、その雄ねじ部29が外部筒体15の雌ねじ部25に螺合され、締付筒体14と外部筒体15とが浴槽3の側壁12を挟んで連結固定されるようになっている。締付筒体14の内周面には軸線方向70に延びる複数の回り止め突条30が設けられている。フランジ28の外周面には環状係合溝31が凹設されている。該フランジ28と側壁12の内側面との間にはゴム製のパッキン32が挟着され、両者間の水密が保たれている。
【0023】
アダプター16はポリアセタール等の合成樹脂により略円筒状に形成され、その前端部内周面には周方向に延びる図示しない抜け防止爪が突設され、締付筒体14の環状係合溝31に係合されるようになっている。アダプター16の中心部には、外部筒体15の中心部に設けられた接続口22に接続される吐出用通路34が設けられ、その周囲には外部筒体15の接続口20に接続される吸入用通路35が設けられている。これらの吸入用通路35と吐出用通路34との間には、水の流れを仕切る区画壁36が設けられている。吸入用通路35の前方には吸入用開口部37が設けられるとともに、吐出用通路34の前方にはその方向が90度変更された吐出用開口部38が設けられている。アダプター16の前部には位置決め用の係合突条40が周方向に複数設けられ、締付筒体14の回り止め突条30に係合してアダプター16の周方向への回転が規制されている。
【0024】
前記アダプター16の前部にはステンレス鋼製のフィルターカバー17が装着されている。フィルターカバー17は有底円筒状をなし、多数の流通孔を有する前面板45と、その周囲から後方へ延びる周壁板46とより一体形成されている。周壁板46の内周面には3箇所にほぼ半球状をなす係合突起43が突設され、アダプター16に位置合せして嵌め込んでからフィルターカバー17を周方向に回動させ、フィルターカバー17をアダプター16に係合させるように構成されている。フィルターカバー17の周壁板46には図示しない挿通孔が開口され、アダプター16の吐出用開口部38に連通されている。
【0025】
前記継手4c及びその継手4cに螺合されるキャップ60について説明する。図1(d)に示すように、継手本体51内には往き配管5又は戻り配管6が差し込まれる差込孔52が形成されるとともに、継手本体51の下端部外周側には係合筒部53が下方に突出形成されている。継手本体51の内周面には一対の環状溝54が凹設され、これら環状溝54にはそれぞれOリング55が嵌着されている。そして、両Oリング55によって継手本体51の差込孔52に差し込まれた往き配管5又は戻り配管6と継手本体51の内周面との間の水密性が保持されるようになっている。なお、往き配管5又は戻り配管6の端部には、インコア56が内挿されている。
【0026】
前記係合筒部53の内周面には、内奥部から順に開口部側ほど拡径するテーパ面57及びその開口部側の係止段部が設けられるとともに、開口端部には雌ねじ溝58が形成されている。該雌ねじ溝58には、外周面に雄ねじ溝59を有するキャップ60が螺合されている。前記係止段部とキャップ60の内端面との間には、ステンレス鋼等の金属で形成された一対の抜け止めリング61がスペーサの両側に介装されている。これら抜け止めリング61の内周部にはそれぞれ抜け止め片61aが斜め方向(図1(d)の斜め上方向)に突出形成され、差込孔52に差し込まれた往き配管5又は戻り配管6の外周面に食い込んで往き配管5又は戻り配管6の抜け止めを行うようになっている。
【0027】
図2(a),(b)に示すように、キャップ60の外端部は側面正六角形状に形成され、面取り部72が6面形成されている。この面取り部72には、キャップ60を継手本体51に螺合する際に締付具が係合される。該面取り部72の内端側の隣接位置には円環状をなす装着溝73が穿設され、その装着溝73には円弧状をなすCリング10bが嵌着されている。該Cリング10bは、装着溝73の円に相当する円弧を有し、円環のほぼ4分の3の長さに形成されている。このCリング10bは、ポリプロピレン、ポリアセタール等の合成樹脂により変形可能に構成され、装着溝への装着を簡単に行うことができるようになっている。Cリング10bはその周方向の長さが少なくとも1つの面取り部72の部分に位置する長さに設定され、径方向の長さが面取り部72よりも長くなるように設定される。かかる構成により、図2(b)に示すように接続部4に対して側方(配管の接続方向)からCリング10bを良好に視認できるようになっている。
【0028】
図1(a),(b)に示すように、往き側接続部4aに装着されるCリング10bは往きであることを示す赤色に着色され、戻り側接続部4bに装着されるCリング10bは戻りであることを示す青色に着色されている。往き側接続部4aの継手4cには表示部10として〇付きの往の文字10aが描かれている一方、戻り側接続部4bの継手4cには表示部10として〇付きの戻の文字10aが描かれている。また、往き側接続部4aの継手4cに接続される往き配管5の外周面には、表示部10として配管の長さ方向に延びる赤色の線(ライン)10cと「イキ」の文字10aが描かれている。一方、戻り側接続部4bの継手4cに接続される戻り配管6の外周面には、表示部10として配管の長さ方向に延びる青色の線10cと「モドリ」の文字10aが描かれている。往き配管5及び戻り配管6は、架橋ポリエチレン、ポリブテン等の合成樹脂により形成されている。
【0029】
図1(a)の二点鎖線に示すように、接続部4に配管を接続する場合、浴槽用循環具11の軸線方向70には仕切壁2等の障害物74があるため、浴槽用循環具11の軸線方向70からCリング10bを視認することは難しく、浴槽用循環具11の軸線方向70と直交する方向すなわち配管の接続方向から見る必要がある。配管の接続方向からは、前記文字10aを見ることはできない。
【0030】
浴槽用循環具11を浴槽の側壁12に取付固定する場合には、図4(b)に示すように、浴槽3の側壁12に設けられた貫通孔13に内側から締付筒体14をパッキン32を嵌挿した状態で挿通し、その雄ねじ部29を側壁12の外側に配設された外部筒体15の雌ねじ部25に螺合して締付け固定する。次いで、アダプター16の吸入用通路35を締付筒体14内に挿入するようにしてアダプター16の抜け防止爪を締付筒体14の環状係合溝31に係合させる。このようにして、吸入用通路35が外部筒体15の接続口20を介して戻り側接続部4bに接続されるとともに、吐出用通路34が外部筒体15の接続口22を介して往き側接続部4aに接続される。
【0031】
続いて、フィルターカバー17をアダプター16に固定することにより、浴槽用循環具11が図4(b)に示すように構成される。そして、図1(b)に示すように、戻り側接続部4bの継手4cに戻り配管6を、往き側接続部4aの継手4cに往き配管5をそれぞれ接続する。その状態で、図3及び図4(b)に示すように、給湯器7を作動させると、浴槽3内の浴槽水はフィルターカバー17の前面から吸い込まれ、吸入用開口部37を通って吸入用通路35から接続口20へ流れ、さらに戻り側接続部4b、戻り配管6及び戻り側連結部8bを経て給湯器7へと流れる。給湯器7で加熱された加熱水は往き側連結部8a及び往き配管5から往き側接続部4aへ流れ、さらに接続口22及び吐出用通路34を介して吐出用開口部38から浴槽3内へ吐出される。
【0032】
次に、給湯器7の連結部8、戻り側連結部8bを構成する連結部本体8c及びその連結部本体8cに螺合される継手8dについて説明する。なお、この継手8dにおいては、前記浴槽用循環具11の接続部4を構成する継手4cと同じ部分に関しては同じ符号を付し、主たる部分について説明する。図5(a)に示すように、給湯器7の底面には円筒状をなす連結部本体8cが下方へ突設され、その外周面には雄ねじ63が螺刻されている。一方、継手8dの上端部外周面にも雄ねじ部64が螺刻されている。そして、連結部本体8cの下端面と継手8dの上端面とがパッキン65を介して突き合わせた状態で、ナット62の雌ねじ66が連結部本体8cの雄ねじ63及び継手8dの雄ねじ部64に螺合されることにより、連結部本体8cに継手8dが取付けられる。
【0033】
前記ナット62の外周面には表示部10として〇付きの戻の文字10aが描かれているとともに、継手本体51外周の環状凹部51aには図1(c)に示すような青色に着色されたCリング10bが装着されている。さらに、戻り側連結部8bの継手8dに接続される戻り配管6の外周面には、表示部10として配管の長さ方向に延びる青色の線10cと「モドリ」の文字10aが描かれている。
【0034】
一方、図5(b)に示すように、往き側連結部8aを構成する連結部本体8c及びその連結部本体8cに螺合される継手8dの構造は前記戻り側連結部8bに螺合される継手8dの構造と同じである。ナット62の外周面には表示部10として〇付きの往の文字10aが描かれているとともに、継手本体51外周の環状凹部51aには赤色に着色されたCリング10bが装着されている。さらに、往き側連結部8aの継手8dに接続される合成樹脂製の往き配管5の外周面には、表示部10として配管の長さ方向に延びる赤色の線10cと「イキ」の文字10aが描かれている。
【0035】
次に、本実施形態の配管接続部材について作用を説明する。
さて、往き配管5及び戻り配管6を給湯器7の往き側連結部8a及び戻り側連結部8bに接続する場合には、図5(a),(b)に示すように、往き配管5を往き側連結部8aの差込孔52に差し込み、戻り配管6を戻り側連結部8bの差込孔52に差し込む。このとき、往き配管5にはイキの文字10aと赤色の線10c、戻り配管6にはモドリの文字10aと青色の線10cが描かれている。さらに、往き側連結部8aにおけるナット62の外周面には〇に往の文字10aと継手8dには赤色のCリング10b、戻り側連結部8bにおけるナット62の外周面には〇に戻の文字10aと継手8dには青色のCリング10bとが設けられている。従って、それらの表示部10を明瞭に視認することができ、往き配管5を往き側連結部8aの差込孔52に間違いなく差し込むことができると同時に、戻り配管6を戻り側連結部8bの差込孔52に間違いなく差し込むことができる。
【0036】
一方、往き配管5及び戻り配管6を浴槽用循環具11の往き側接続部4a及び戻り側接続部4bに接続する場合には、図1(b)及び(d)に示すように、往き配管5を往き側接続部4aの差込孔52に差し込み、戻り配管6を戻り側接続部4bの差込孔52に差し込む。この場合、往き配管5にはイキの文字10aと赤色の線10c、戻り配管6にはモドリの文字10aと青色の線10cが描かれている。さらに、往き側接続部4aを構成するキャップ60の装着溝73には赤色のCリング10bが装着されるとともに、戻り側接続部4bを構成するキャップ60の装着溝73には青色のCリング10bが装着されている。
【0037】
このため、図2(b)に示すように、往き側接続部4aに対して往き配管5の接続方向から継手4cを見たとき、又は戻り側接続部4bに対して戻り配管6の接続方向から継手4cを見たとき、キャップ60の面取り部72の部分で露出したCリング10bを良好に視認することができる。従って、往き配管5を往き側接続部4aの差込孔52に間違いなく差し込むことができると同時に、戻り配管6を戻り側接続部4bの差込孔52に間違いなく差し込むことができる。
【0038】
このようにして、往き配管5の両端部を往き側連結部8a及び往き側接続部4aに正しく接続することができ、戻り配管6の両端部を戻り側連結部8b及び戻り側接続部4bに正しく接続することができ、配管接続部材の施工を速やかに完了することができる。
【0039】
以上の第1実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1) 第1実施形態における配管接続部材においては、接続部4の端部には面取り部72を有するキャップ60が設けられ、該キャップ60の面取り部72より内端側には装着溝73が設けられ、該装着溝73には往き又は戻りであることを色で示すCリング10bが装着されている。
【0040】
このため、往き配管5及び戻り配管6を接続部4に対して接続する場合、配管の接続方向からCリング10bを容易に視認することができる。そして、Cリング10bの色を確認して往き又は戻りであることを認識した後、往き配管5を往き側接続部4aに接続し、戻り配管6を戻り側接続部4bに接続することができる。
【0041】
従って、第1実施形態の配管接続部材によれば、配管の接続方向からのCリング10bの視認性を向上させることができ、接続部4に対する往き配管5及び戻り配管6の接続を正確に行うことができる。
【0042】
(2) 前記キャップ60の面取り部72は6面存在し、Cリング10bはその周方向の長さが5つの面取り部72の部分に位置する長さに設定されるとともに、径方向の長さが面取り部72よりも十分に長くなるように設定されている。このため、配管の接続方向からのCリング10bの視認性を一層向上させることができる。
【0043】
(3) 接続部4は、その軸線方向71が浴槽用循環具11の軸線方向70と直交するように構成されている。この場合、配管の接続方向からのCリング10bの視認性を十分に確保することができる。
【0044】
(4) Cリング10bはポリアセタール等の合成樹脂で変形可能に形成されていることから、Cリング10bをキャップ60の装着溝73に装着する場合には、Cリング10bの両端部を広げて装着溝73に簡単に装着することができる。さらに、Cリング10bが往きであることを示す場合には赤色に着色され、戻りであることを示す場合には青色に着色されているため、往き又は戻りであることを一目で認識することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。この第2実施形態では第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0045】
図6及び図7に示すように、往き側接続部4a及び戻り側接続部4bは、それらの軸線方向71が浴槽用循環具11の軸線方向70と一致するように構成されている。この第2実施形態においては、第1実施形態のような障害物74はなく、配管の接続方向すなわち浴槽用循環具11の軸線方向70からCリング10bを見ることができる。このため、往き配管5及び戻り配管6を各々往き側接続部4a及び戻り側接続部4bに接続する場合には、配管の接続方向から見てキャップ60の面取り部72の部分から露出したCリング10bを視認することができる。
【0046】
従って、第2実施形態によれば、往き配管5及び戻り配管6の接続方向(水平方向)からのCリング10bの視認性を向上させることができ、往き側接続部4a及び戻り側接続部4bに対する往き配管5及び戻り配管6の接続を正確に行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記キャップ60の面取り部72を2面以上、例えば2面、4面等に形成することもできる。
【0048】
・ 前記Cリング10bを半円状に形成したり、真円に近くなるように形成したりして、その周方向の長さを変更することも可能である。また、Cリング10bの厚みを厚くして、その径方向の長さを変更することも可能である。
【0049】
・ 表示部10を、浴槽用循環具11の往き側接続部4a及び戻り側接続部4bの一方のみ、給湯器7の往き側連結部8a及び戻り側連結部8bの一方のみ、往き配管5及び戻り配管6の一方のみに設けることができる。さらに、そのような表示部10の形態を適宜組合せて構成することもできる。
【0050】
・ 前記往き側の表示部10を全て赤色に設定し、戻り側の表示部10を全て青色に設定し、往き側又は戻り側であることを明瞭に視認することができるように構成することもできる。
【0051】
・ 往き側の表示部10の色を橙色、桃色等に変更したり、戻り側の表示部10の色を緑色、紺色等に変更したりすることもできる。また、表示部10として、INの文字10a、OUTの文字10a、螺旋状をなす線、矢印の記号等に変更することができる。
【符号の説明】
【0052】
3…浴槽、4…接続部、4a…往き側接続部、4b…戻り側接続部、4c…接続部を構成する継手、5…往き配管、6…戻り配管、7…給湯器、8…連結部、8a…往き側連結部、8b…戻り側連結部、8c…連結部を構成する連結部本体、8d…連結部を構成する継手、10…表示部、10a…文字、10b…Cリング、10c…線、11…浴槽用循環具、12…側壁、60…ねじ部材としてのキャップ、70…浴槽用循環具の軸線方向、71…接続部の軸線方向、72…面取り部、73…装着溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の側壁に貫通された状態で取付けられる浴槽用循環具の一対の接続部と、浴槽の外部に位置する給湯器の一対の連結部とが給湯器から加熱水を送り出す往き配管及び給湯器へ浴槽水を戻す戻り配管で接続され、加熱水と浴槽水とが一定方向へ循環されるように構成するための配管接続部材であって、
前記浴槽用循環具の一対の接続部の少なくとも一方、給湯器の一対の連結部の少なくとも一方、さらには往き配管及び戻り配管の少なくとも一方には、往き又は戻りであることを示す表示部を備えるとともに、前記接続部における配管接続側端部には面取り部を有するねじ部材が設けられ、該ねじ部材の面取り部より内端側にはCリングの装着溝が設けられ、該Cリングの装着溝には往き又は戻りであることを色で示すCリングが装着され、接続部に対して配管の接続方向から見て面取り部の部分を介してCリングを視認できるように構成されていることを特徴とする配管接続部材。
【請求項2】
前記ねじ部材の面取り部は少なくとも2面存在し、Cリングはその周方向の長さが少なくとも1つの面取り部の部分に位置する長さに設定されるとともに、径方向の長さが面取り部よりも長くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の配管接続部材。
【請求項3】
前記接続部は、その軸線方向が浴槽用循環具の軸線方向と直交するように構成されている請求項1又は請求項2に記載の配管接続部材。
【請求項4】
前記接続部は、その軸線方向が浴槽用循環具の軸線方向と一致するように構成されている請求項1又は請求項2に記載の配管接続部材。
【請求項5】
前記Cリングは合成樹脂で変形可能に形成され、往きであることを示す場合には赤色に着色され、戻りであることを示す場合には青色に着色されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配管接続部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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