説明

配管支持部材

【課題】本発明は、配管の振動を軽減させる配管支持部材を提供する。
【解決手段】
本発明の一態様によれば、複数の配管と配管固定部で当接される第1の部材と、
前記複数の配管と配管固定部で当接され、前記複数の配管を前記第1の部材と挟み込むように固定される第2の部材と、前記複数の配管のうち、少なくとも1つの前記配管固定部と配管との間に緩衝部材を有することを特徴とする配管支持部材が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に振動を有する配管を支持する配管支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
火力原子力発電プラントでは、機器と機器を接続する配管に様々な口径、肉厚の配管が使用されている。外径が小さいものでは10mm程度のものから大きいものでは3600mmにも及ぶ配管で構成されている。この中で、タービン建屋内の配管では配管の内部流体の脈動や、弁やオリフィスの様な絞り機構の下流側では流体の流れが乱れることより配管が振動することがある。
【0003】
一方、配管に他の配管や、配管を支持する為の支持構造物を取り付ける場合、多くは隅肉溶接にて接着を行っている。図6に従来の支持構造物の一例を示す。振動する配管104を、配管104に隅肉溶接にて取り付けた支持構造物用のラグ108(配管に保温材を巻きつける場合にラグを使用)を、角型鋼材109で囲むことで配管104を固定し振動を抑止している。また、図6のように角型鋼材で囲む他の例として図7を挙げることができる(特許文献1、図2参照)。 配管の設計段階では、過去のプラントの経験から振動配管を予測し、支持構造物の種類、方向、箇所を選定していが、必ずしも完全に配管に接続する構造物に損傷を与えない程度に振動
を抑制することができない場合がある。振動が有る状態で継続的に使用した場合、支持構造物を固定するためのラグの隅肉溶接部や小口径配管の応力の隅肉溶接部等応力の集中する不連続部で振動による亀裂が発生し損傷させてしまう場合がある。このような場合、配管の振動による損傷を防止するために従来は振動配管を、建屋に固定した支持構造物で支持することで振動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000―230673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の支持方法では、支持構造物を固定する床や壁が近くに無い場合があり、支持装置そのものが大型化するとともに、材料コストが増加しまた施工期間も増加する。また、振動を防止するための支持装置そのものが大型化するとともに、建屋の空間的な制約から必然的に指示構造物が設置できる位置が制限される為、必ずしも最適な位置に支持構造物を設置することが出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、複数の配管と配管固定部で当接される第1の部材と、前記複数の配管と配管固定部で当接され、前記複数の配管を前記第1の部材と挟み込むように固定される第2の部材と、前記複数の配管のうち、少なくとも1つの前記配管固定部と配管との間に緩衝部材を有することを特徴とする配管支持部材が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配管の振動を軽減する配管支持部材を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る斜視図である。
【図6】従来の配管支持部材を例示する正面図である。
【図7】従来の配管支持部材を例示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施の形態について図1を用いて説明をする。図1において、第1の配管1と第2の配管2とは略平行に設けられており、第1の部材であるサポート部材5aと第2の部材であるサポート部材5bとで挟むように固定されている。第1の配管1とサポート部材5a,5bとの間には緩衝材3が設けられている。サポート部材5aとサポート部材5bと固定部材4によって締め付け固定されている。
【0010】
サポート部材5a,5bのうち配管の周囲に配置される配管固定部6は、配管の周囲を覆うようにそれぞれ半円形の断面形状を有している。第1の配管1は振動が予想され、第2の配管2は振動が予想されない配管である。これらはサポート部材5a,5bで固定することによって第1の配管1の剛性を高め振動を抑制することができる。
【0011】
緩衝材3は金属束子状のものを用いる。金属束子状の緩衝材を使用することにより配管の振動エネルギーを緩衝材との摩擦熱で消散することで更に振動を低減することが出来る。また、クランプを締め付ける為の固定ボルトへの配管からの振動の伝達も抑制できることから、固定ボルトの折損防止効果ある。
【0012】
本発明は溶接箇所がなく、ボルト締めのみで固定できること、及び工数のかかる溶接作業がなくなることにより工期短縮及びコスト削減が可能である。また、建屋に固定する必要がないことから、隣接する配管があれば取り付けができ、省スペースでの取り付けが可能となる
金属束子を構成する金属線の材質はステンレス鋼線や鉄線等が挙げられる。また、太さは0.02mm〜0.8mmである。(ステンレス鋼線JIS G 3532 鉄線JIS G 4309)厚さは第1の配管1とサポート部材5a,5bとの隙間を埋めることができる程度の厚みを有する。また、金属束子の代わりにゴム、シリコン樹脂等の高分子材料の粘弾性体を使用することもできる。
【0013】
また、本発明は特に中口径(外形65mm〜1800mm)の配管で、振動を抑制する為に限られた狭い空間でも隣接する配管を利用し配管の剛性を高めることができる。さらに支持構造物を減らして振動を抑制することで、コストが低減され、且つ据付にかかる工期も短縮することが出来る。
【0014】
次に本発明の第2の実施の形態について図2を用いて説明をする。図2において、第1の配管11と第2の配管12とは交差するように設けられており、サポート部材15a,15bによって挟むように固定されている。サポート部材15a,15bは第1の配管11と第2の配管12の設置位置に合わせた形状をしており、本実施の形態ではサポート部材15a,15bは配管11と第2の配管12との間にねじれ部を有している。第1の配管11とサポート部材15a,15bとの間には緩衝材3が設けられている。サポート部材15aとサポート部材15bとは固定部材4によって締め付け固定されている。
【0015】
サポート部材15a,15bのうち配管の周囲に配置される配管固定部16は、配管の周囲を覆うようにそれぞれ半円形断面形状を有している。
【0016】
また、第1の配管11は振動が予想され、第2の配管12は振動が予想されない配管である。これらはサポート部材15a,15bで固定することによって第1の配管11の剛性を高め振動を抑制することができる。緩衝材3の詳細については第1の実施の形態で述べているため、ここでは記載を省略する。
【0017】
次に本発明の第3の実施の形態について図3を用いて説明をする。図3において、第1の配管21と第2の配管22とが、サポート部材25a,25bによって挟むように固定されている。第1の配管21及び第2の配管22とサポート部材25a,25bとの間には緩衝材3が設けられている。サポート部材25aとサポート部材25bと固定部材4によって締め付け固定されている。
【0018】
サポート部材25a,25bのうち配管の周囲に配置される配管固定部26は、配管の周囲を覆うようにそれぞれ半円形断面形状を有している。第1の配管21、第2の配管22は共に振動が予想される配管である。これらをサポート部材25a,25bで固定することによって第1の配管21、第2の配管22の剛性を高め振動を抑制することができる。緩衝材3の詳細については第1の実施の形態で述べているため、ここでは記載を省略する。
【0019】
次に本発明の第4の実施の形態について図4を用いて説明をする。図4において、第1の配管31と第2の配管32とは交差するように設けられており、サポート部材35a,35bによって挟むように固定されている。サポート部材35a,35bは第1の配管31と第2の配管32の設置位置に合わせた形状をしており、本実施の形態ではサポート部材35a,35bは配管31と第2の配管32との間にねじれ部を有している。第1の配管31とサポート部材35a,35bとの間には緩衝材3が設けられている。サポート部材35aとサポート部材35bとは固定部材4によって締め付け固定されている。
【0020】
サポート部材35a,35bのうち配管の周囲に配置される配管固定部36は、配管の周囲を覆うようにそれぞれ半円形断面形状を有している。
【0021】
また、第1の配管31、第2の配管32は共に振動が予想される配管である。これらをサポート部材35a,35bで固定することによって第1の配管21、第2の配管22の剛性を高め振動を抑制することができる。緩衝材3の詳細については第1の実施の形態で述べているため、ここでは記載を省略する。
【0022】
次に本発明の第5の実施の形態について図5を用いて説明をする。図5において、サポート部材55a、55b、56a、56b、57a、57bは3本の配管を挟むように固定することができる形状となっている。これらのサポート部材は、第1の配管51、第2の配管52、第3の配管53の延長上に複数設けられている。図5では一例として配管は3本、サポート部材については3本全ての配管との間に緩衝材を有するものを例に挙げたが、配管は3本以上でもよく、サポート部材についても振動しない配管等については必ずしも全ての配管との間に緩衝材を有する必要はない。また、配管の形状に合わせてサポート部材の配管を固定する部分同士の間にねじれ部を有してもよい。緩衝材3の詳細については第1の実施の形態で述べているため、ここでは記載を省略する。また、配管固定部6,16,26,36は半円形断面形状としているが、これに限らない。例えば、円形の一部など、配管の形状を有する形状であれば良い。
【0023】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0024】
3 緩衝材、 5a, 5b, 15a, 15b, 25a, 25b, 35a, 35b, 55a ,55b サポート部材、
6, 16, 26, 36 配管固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配管と配管固定部で当接される第1の部材と、
前記複数の配管と配管固定部で当接され、前記複数の配管を前記第1の部材と挟み込むように固定される第2の部材と、
前記複数の配管のうち、少なくとも1つの前記配管固定部と配管との間に緩衝部材を有することを特徴とする配管支持部材。
【請求項2】
前記配管固定部との間に前記緩衝部材を設ける配管は振動しうることを特徴とする請求項1記載の配管支持部材。
【請求項3】
前記緩衝部材は前記配管固定部と前記配管との間において配管全周に渡って設けられていることを特徴とする請求項1記載の配管支持部材。
【請求項4】
前記配管固定部は、前記配管長手方向に対する垂直の断面は円の一部の形状を有することを特徴とする請求項1記載の配管支持部材。
【請求項5】
前記配管固定部は、前記配管長手方向に対する垂直の断面は半円形の形状を有することを特徴とする請求項1記載の配管支持部材。
【請求項6】
前記緩衝部材は金属束子もしくは高分子材料の粘弾性体を使用することを特徴とする請求項1記載の配管支持部材。
【請求項7】
前記配管支持部材において、別の配管を支持するそれぞれの前記配管固定部との間にそれぞれの前記配管固定部が支持する配管の位置に合わせてねじれを設けることを特徴とする請求項1記載の配管支持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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