配線ボックスおよびその取付方法
【課題】本発明は、天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスに関し、簡単な構成により、配線ボックスの蓋体と天板面とがフラットな均一面を形成し、かつ、厚みの異なる天板であっても、配線ボックス取付時の位置決めを容易に行うことが可能な配線ボックスおよびその取付方法を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決すべく、本発明の請求項1に記載の発明は、天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスであって、前記開口内部において一端が回動自在に軸支された回転アームの他端に前記蓋体を回動自在に軸支し、当該回転アームの回動により前記天板の開口内部において前記蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ前記天板の開口面において前記蓋体の回動により前記開口を閉口して天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックスである。
【解決手段】上記課題を解決すべく、本発明の請求項1に記載の発明は、天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスであって、前記開口内部において一端が回動自在に軸支された回転アームの他端に前記蓋体を回動自在に軸支し、当該回転アームの回動により前記天板の開口内部において前記蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ前記天板の開口面において前記蓋体の回動により前記開口を閉口して天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックスである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスおよびその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルの天板を上下に貫通する配線用の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスが知られている。このような配線ボックスは天板の下面に取り付けられ、配線ボックスの下部ダクトにコンセントなどの電源やLANケーブルなどを収納することが可能である。そして、天板上でノートPCなどを用いて作業する際に、天板の開口を介して天板下面のダクトに収納されたコンセント等を使用する構成である。
【0003】
また、前記配線ボックスの蓋体は、前記開口を閉口する状態と開口する状態とで選択的に開閉自在に構成されており、特に、開口を開口した状態では、前記蓋体が、配線ボックスの内部に収納される構成である(例えば、特許文献1)。
【0004】
このような、配線ボックスは、天板の上方から開口に落とし込む構成であり、配線ボックスの周囲に形成されたフランジが開口の縁に引っかかることで、配線ボックスの蓋体とテーブル天板面との高さ方向の位置決めを行う構成である。
【0005】
この場合、配線ボックスの位置決めを容易に行うことができる反面、天板面に配線ボックス周囲のフランジが突出してしまい、天板面をフラットに使用することができないといった欠点がある(例えば、特許文献2)。そこで、開口の周囲に、配線ボックスのフランジ分の段差を設けることが考えられるが、天板の開口周囲の成型が複雑になり余分なコストが生じてしまう恐れがある(例えば、特許文献3)。
【0006】
このため、天板面をフラットに使用すべく、フランジ等の掛止部材を用いずに配線ボックスを開口の下方から挿入する方法が考えられるが、このときに問題となるのが、厚みの異なる天板を使用した場合、どのようにして配線ボックスの蓋体の上面を、天板面と面一にするかということである。
【0007】
すなわち、テーブルの種類によって天板の厚みが異なる一方で、配線ボックスの蓋体と取付金具との高さが一定のため、天板の厚みに合わせて配線ボックスの取付金具の高さを変える必要がある。或いは、それぞれの天板厚に対応した調整機構をもった取付金具にする方法があるが、取付工程に手間が生じる、部品の品揃えやコストの面で問題があるといった欠点があった。
【0008】
【特許文献1】特開2009−240479号公報
【特許文献2】特開2010−125213号公報
【特許文献3】特開2001−161449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスに関し、簡単な構成により、配線ボックスの蓋体と天板面とがフラットな均一面を形成し、かつ、厚みの異なる天板であっても、配線ボックス取付時の位置決めを容易に行うことが可能な配線ボックスおよびその取付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明の請求項1に記載の発明は、天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスであって、前記開口内部において一端が回動自在に軸支された回転アームの他端に前記蓋体を回動自在に軸支し、当該回転アームの回動により前記天板の開口内部において前記蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ前記天板の開口面において前記蓋体の回動により前記開口を閉口して天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックスである。
【0011】
当該構成によれば、回転アームの回動により天板の開口内部において前記蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ天板の開口面において蓋体の回動により開口を閉口する簡単な構成により、配線ボックスの蓋体と天板面とがフラットな均一面を形成することが可能な配線ボックスを提供することが可能である。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の配線ボックスにおいて、前記蓋体にスライドピンを設けるとともに、前記配線ボックスに前記スライドピンが連係するスライド溝を設け、当該スライド溝は、前記蓋体の昇降に伴い前記蓋体を略垂直状態に保持するスライド溝と、前記開口面において前記蓋体を回転させる方向に案内するスライド溝とが、連続して形成される溝であることを特徴とする、配線ボックスである。
【0013】
当該構成によれば、蓋体の昇降に伴い蓋体を略垂直状態に保持するスライド溝と、開口面において蓋体を回転させる方向に案内するスライド溝とが連続して形成される簡単な構成により、天板開口を開閉自在な蓋体の開閉機構を有する配線ボックスを提供することが可能である。特に、蓋体の回動軌跡が円弧を描かず、略直角の軌道を描くため、天板内部に蓋体が回動するための空間を要さず、コンパクトな配線ボックスを提供することが可能である。また、蓋体の回動機構がシンプルであり可動機構が少ないため、低コストかつ開閉時の開閉音が小さいといった効果がある。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2の何れかに記載の配線ボックスの取付方法であって、天板の下面における前記開口の周囲に複数の取付孔を設けるとともに前記配線ボックスの周囲に複数の取付金具を設け、かつ、蓋体面から前記取付金具までの高さと天板面と前記取付孔までの高さとが略等しいことにより、配線ボックスを開口の下方から取り付けた際に天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックスの取付方法である。
【0015】
当該構成によれば、蓋体面から前記取付金具までの高さと天板面と前記取付孔までの高さとを等しく形成する簡単な構成により、配線ボックスの上部周囲にフランジ等の突出部を要さず、天板の下方から簡単に配線ボックスを取り付けることが可能である。特に、厚みの異なる天板を使用した場合であっても、天板の取付孔の深さを、適宜、天板面と取付孔上面との高さとなるように設定する簡単な構成により、配線ボックスの取付金具の高さを変えることなく、天板面と蓋体面とを均一面に取り付けることが可能である。
【0016】
このように、本発明の配線ボックスおよびその取付方法により、配線ボックスの蓋体と天板面とがフラットな均一面を形成し、かつ、厚みの異なる天板であっても、配線ボックス取付時の位置決めを容易に行うことが可能な配線ボックスおよびその取付方法を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(配線ボックスの構成について)
以下に、本発明の配線ボックスの構成について説明する。
まず、本発明の配線ボックス30が好適に用いられる一例としては、図1に示すように、作業面となる天板1と、当該天板1を支持する複数の脚5とからなるテーブル10であって、当該テーブル10は、前記天板1の表面(上面)から裏面(下面)にかけて形成された、図示しない配線用の開口3を開閉可能な蓋体2を有する配線ボックス30を備える。
【0018】
特に、当該配線ボックス30の前記蓋体2は、後述する天板1に形成される開口3のおよそ全域をカバーする構成であって、さらには、蓋体上面2(蓋体面)と天板上面1(天板面)とが連続する平坦面を形成する構成である。これにより、従来、蓋体2と天板1との間の隙間を塞ぐためのフランジ等の部材を必要とせず、蓋体2もしくは天板面1の間に形成される段差をなくすことが可能であり、さらには、蓋体2と開口3との隙間を小とすることが可能である。また、開口3の周囲にフランジ等の中間部材がなく、開口3が蓋体2のみで覆われるため天板面1がフラットであり見た目もよく高い意匠性を奏することが可能である。
【0019】
次に、本発明の配線ボックス30における蓋体2は、図2に示すように、天板1の開口を左右の蓋体2で塞ぐ閉口状態(図2(a))と、蓋体2を開口3の内部に収納して、天板上に配線用の開口3を形成する開口状態(図2(b))との間で、蓋体2を選択的に可動させる構成である。
【0020】
特に、本発明の配線ボックス30は、図2(a)に示すように、蓋体2と開口縁4との間に形成される隙間が小さく、かつ、後述する、蓋体面2と天板面1とが平坦面(均一面)を形成しており、テーブル10の意匠性を向上するのみならず使用性の高いテーブル10を提供することが可能である。
【0021】
本発明の配線ボックス30は、図3に示すように、左右の蓋体2と、当該蓋体2を回動自在に軸支する回転アーム7と、当該回転アーム7を回動自在に軸支する板状のサイドカバー21と、当該サイドカバー21を保持する断面コ字状のダクト32とを有する。前記蓋体2は、その側面後部に外方へと突出するスライドピン9を有する。また、蓋体2の内部には、前記回転アーム7を回動自在に軸支するための、図示しない軸受けを有する。
【0022】
また、前記ダクト32は、鋼板等を折り曲げて加工され、左右側面の上端部には、逆L字状の取付金具31が上方に突出した状態で溶着されている。当該取付金具31は、その上端面が平らに形成されており略中央部分にビス孔が形成されている。
【0023】
そして、前記ダクト32の前後には、樹脂製の前記サイドカバー21が、図示しないビス等により固着されており、当該サイドカバー21には、前記蓋体のスライドピン9が係合するための縦方向のスライド溝20および前記回転アーム7を回動自在に軸支するための軸孔6’が設けられている。
【0024】
そして、当該軸孔6’に、前記回転アーム7の一端を軸6により回動自在に軸支するとともに、前記スライド溝20に前記蓋体2の横方向に突出する前記スライドピン9を係合する構成である。これにより、前記蓋体が回転アームの回転に伴い上下に移動するとともに、蓋体の前記スライドピン9がスライド溝20に沿って摺動自在に移動する構成である。
【0025】
すなわち、蓋体2の閉口時には、図4(a)に示すように、配線ボックス30の上部において、左右の蓋体2が平行かつ密接した状態で保持されるとともに、蓋体2の開口時には、図4(b)に示すように、左右の蓋体2がそれぞれ略垂直状態を保持した状態で、配線ボックス30の内部に収納される構成である。
【0026】
(配線ボックスの取付方法について)
以下に、本発明の配線ボックス30を、天板1の下方から取り付ける方法について説明する。
前記天板1は、図5(a)(b)に示すように、天板1の略中央に当該天板の表面から裏面にかけて長方形の開口3を有する。そして、天板1の裏面かつ開口3の周囲に凹状の取付孔Bが複数形成されており、当該複数の取付孔Bは、後述する、当該取付孔Bの上面と天板面1との高さ方向の寸法が正確に決めらている。
【0027】
そして、配線ボックス30の周囲に形成された複数の取付金具31を前記取付孔Bへと差し込み固定するだけで、配線ボックス30を天板1の下面へと正確かつ簡単に位置決めを行いつつ取り付けることが可能である。
【0028】
すなわち、図6(a)(b)に示すように、天板面1と取付孔Bの上面との距離αは、配線ボックス30の蓋体面2と、取付金具31の上面との距離βと同一(α=β)である。これにより、配線ボックス30を取り付けた際に、蓋体面2と天板面1とが段差のないフラットな均一面を形成する構成である。また、開口3の幅と蓋体2の幅とが略等しく、天板1の開口縁4と蓋体2との間に隙間γが形成されにくい構成である。
【0029】
よって、本発明の配線ボックス30は、図7(a)(b)に示すように、配線ボックス30の蓋体2とテーブルの天板面1とが段差のないフラットな均一面を形成し、かつ、蓋体2と開口縁4との間に隙間が形成されにくい状態で、簡単かつ正確に配線ボックス30の位置決めと取り付けが可能である。例えば、図示のような、ビス受け90を天板1の取付孔Bの内部に設けることで、配線ボックス30の取付金具31を前記取付孔Bに挿入した状態で、前記ビス受け90へと簡単にビス止めすることが可能であり、正確な位置決めをもって配線ボックス30を固定することが可能である。
【0030】
また、従来の配線ボックスは、フランジ部分と蓋体の機構とが一体となったユニットを天板の上から落とし込む構造で、配線を受けるダクト部分を天板下側から取り付ける別体の構造だった。これに対して、本発明の配線ボックス30は、フランジ部分がない構造で、天板1の開口部分が仕上がっている状態であり、配線ボックス30を天板1の下側から開口3へと挿入し、配線ボックス30の複数の取付金具31を天板下面の複数の取付孔Bへと挿入し取り付けるだけの簡単な構成である。また、配線を受けるダクト32が蓋体2と一体となった構造であり、部品点数と取付工数の大幅な削減効果がある。
【0031】
さらに、従来、天板の下側から取り付ける方式とした時に問題となるのが、厚みの異なる天板1を使用した場合、どのようにして配線ボックスの蓋体2の上面を、天板面1と面一にするかということである。例えば、それぞれの天板厚に対応した調整機構をもった取付け金具にする方法があるが、部品の品揃えやコストの面で大きな問題があった。
【0032】
そこで、本発明の配線ボックス30の取り付け方法は、あらかじめ天板厚で考えられる最も薄い厚さを想定し、仮に天板厚が20mmの厚みとした場合、20mmの厚さで蓋体と天板とが均一面とになるように取り付く取付金具31にする。そして、20mm以上の厚さの天板1については、天板面から20mmの厚さを残して、天板の下面に前記取付孔Bを形成する簡単な構成により、蓋体面2と天板面1とが面一の状態で配線ボックス30を簡単に取り付けることが可能である。
【0033】
(配線ボックスの開閉機構について)
以下に、本発明の配線ボックス30における蓋体2の開閉機構について説明する。
本発明の配線ボックス30における蓋体2の動きは、蓋体2が天板1の開口内部において昇降移動するとともに、天板1の開口面で回転することで、天板の開口3を開閉する開閉機構である。
【0034】
詳しくは、図8に示すように、配線ボックス30のサイドカバー21に一端6が回動自在に軸支された回転アーム7の他端8へと、蓋体2の後部を回動自在に軸支するとともに、さらに蓋体2の後部に突出するスライドピン9を、前記サイドカバー21に形成されたスライド溝20へと移動自在に連係することで、前記回転アーム7の回動により前記蓋体2が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ、前記天板1の開口付近で、前記蓋体2が閉口する方向へと回動することにより、蓋体2が前記天板1の開口3を閉口する構成である。
【0035】
特に、前記蓋体2の後部に設けられたスライドピン9が、配線ボックス30のサイドカバー21に形成されたスライド溝20に係合しつつスライド溝20に沿って移動することで、蓋体2の後端部分の動きが、回転アーム7の位置によって規制される構成である。
【0036】
すなわち、前記スライド溝20は、前記蓋体2の昇降に伴い蓋体2を略垂直状態に保持する縦方向のスライド溝と、天板1の開口面付近において前記蓋体2を回転させる方向に案内する外方向に湾曲するスライド溝とが連続するスライド溝20である。
【0037】
これにより、回転アーム7の上昇に伴い、蓋体2の後部の軌跡が、開口内部において縦方向に昇降する軌跡(図中、矢印R)と、開口面付近において、蓋体2が閉口する方向へと回動(図中、矢印Q)する軌跡との異なる軌跡を描く構成である。
【0038】
特に、本発明の蓋体2の開閉機構は、蓋体2の描く軌跡が円弧状ではなく、垂直方向と回転方向との組み合わせからなる略直角方向の軌跡であり、これにより、蓋体2の軌跡が、常に開口3の内側に位置するため、蓋体2の後部が、天板1の開口縁4より外方にはみ出すことがない。よって、従来の蓋体の円弧軌道にともなう空間を別途に設ける必要がなく、蓋体2と開口3との間にフランジ等の部材を設ける必要がない。
【0039】
次に、本発明の配線ボックス30における、蓋体2の動きについて説明する。
まず、配線ボックス30の開口状態において、図9に示すように、前記蓋体2は、天板1の開口内部に収納された状態であり、特に、蓋体2が縦方向に保持された状態で収納されるとともに、蓋体2の先端部分のみが、天板1の開口面より僅かに上方へと露出した状態である。
【0040】
そして、当該蓋体2の収納状態から、前記蓋体2の先端部分を掴み、上方へと引き上げることにより、図10に示すように、回転アーム7の回動に伴い蓋体2が上昇を開始する。このとき、回転アーム7が軸6を支点に上方へと回動するとともに蓋体2が垂直状態で上昇し、蓋体後部2のスライドピン9がスライド溝20に沿って摺動する。
このとき、スライド溝20を摺動する蓋体2のスライドピン9と、蓋体を回転自在に軸支する回転アームの軸8とが、互いに垂直延長線上に位置しており、回転アーム7が回動しても蓋体2が垂直状態を保持したままで上昇する構成である。
【0041】
そして、さらなる回転アーム7の回動に伴い、図11に示すように、蓋体2が上方へと上昇するとともに、蓋体2のスライドピン9がスライド溝20に沿って上昇する。このとき、蓋体2のスライドピン9と、回転アーム7の軸8とが、略垂直状態を保持しており、未だ蓋体2が縦方向に起立した状態を維持しつつ開口内部を上昇する構成である。
【0042】
そして、さらなる回転アーム7の回動に伴い、図12に示すように、蓋体が上方へと上昇するとともに、蓋体2のスライドピン9がスライド溝20に沿って上昇する。このとき、蓋体2のスライドピン9が係合するスライド溝20の形状が、縦方向の形状から外方向へと湾曲した形状へと変化するとともに、回転アーム7の軸8と、蓋体2のスライドピン9との位置関係が変化を開始することとなる。
【0043】
すなわち、図13に示すように、蓋体2の大半部分が開口面より上方に突出した時点で、回転アーム7の上方への回動が最大に達するとともに、蓋体2のスライドピン9が摺動するスライド溝の形状が、外方へと緩やかな円弧を描くスライド溝20の形状へと変化する。このとき、当該スライド溝20の形状に沿って蓋体2のスライドピン9が外方へと移動を開始するとともに、当該スライドピン9と回転アームの軸8との位置関係が徐々に垂直から水平方向へと変化することとなる。これにより、蓋体2が回転アーム7の軸8を支点に回動する構成である。
【0044】
そして、図14に示すように、円弧状のスライド溝20に沿って、蓋体2のスライドピン9がさらに外方へと移動するとともに、回転アーム7が僅かに戻り回転をして蓋体2の後部が持ち上がり、蓋体2が閉口方向へと回転する。
【0045】
そして、左右の蓋体2が互いに水平となる箇所で、図示しないストッパー等の部材が蓋体2のさらなる回転を阻止することで、図15に示すように、天板面1と蓋体面2とが均一面からなる閉口状態を形成する構成である。
【0046】
以上のように、本発明の配線ボックス30は、開口内部において一端が回動自在に軸支された回転アーム7の他端に蓋体2を回動自在に軸支し、回転アーム7の回動により、天板1の開口内部において、蓋体2が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ、天板1の開口面において、蓋体2の回動により開口1を閉口して、天板面1と蓋体面2とが均一面を形成する構成であり、天板開口の開口時において、簡単な構成により、配線ボックス30の蓋体2と天板1とがフラットな均一面を形成することが可能な配線ボックス30を提供することが可能である。
【0047】
また、前記配線ボックス30において、蓋体2にスライドピン9を設けるとともに、配線ボックス30に前記スライドピン9が連係するスライド溝20を設け、当該スライド溝20は、前記蓋体2の昇降に伴い前記蓋体2を略垂直状態に保持するスライド溝20と、開口面1において前記蓋体2を回転させる方向に案内するスライド溝20とが、連続して形成される溝20であるから、蓋体2の描く軌跡が円弧状ではなく、垂直方向と回転方向との組み合わせからなる略直角方向の軌跡となり、これにより、蓋体2の軌跡が、常に開口3の内側に位置するため、蓋体2の後部が、天板1の開口縁4より外方にはみ出すことがない。よって、従来の蓋体の円弧軌道にともなう空間を別途に設ける必要がなく、蓋体2と開口3との間にフランジ等の部材を設ける必要がない。
【0048】
さらに、本発明の配線ボックス30の取付方法は、天板1の下面における開口3の周囲に複数の取付孔Bを設けるとともに、配線ボックス30の周囲に複数の取付金具31を設け、かつ、蓋体上面2から取付金具31までの高さと、天板面1と取付孔Bまでの高さと、が略等しいことにより、配線ボックス30を開口3の下方から取り付けた際に、天板面1と蓋体面2とが均一面を形成する構成である。
【0049】
よって、配線ボックス30の上部にフランジ等の突出部材を要さず、天板1の下方から配線ボックス30を取り付けることが可能であり、厚みの異なる天板1を使用した場合であっても、天板1の取付孔Bの深さを、適宜、天板面1と取付孔上面との高さとなるように設定する簡単な構成により、配線ボックス30の取付金具31の高さを変えることなく、天板面1と蓋体面2とを均一面に取り付けることが可能である。
【0050】
上記例では、配線ボックス30の蓋体2が左右にそれぞれ形成される例を示したが、これに限らず、例えば、1の蓋体であってもよく、上記同様の効果を奏することが可能である。また、左右の蓋体2を同時に可動させる例を示したが、左右の蓋体2は別個に可動させることも可能であり、何れにせよ、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく他の要素を適宜付加してより効果的に具体化できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の配線ボックスを取り付けた場合の一例を示す図である。(a)全体斜視図(b)断面図
【図2】本発明の配線ボックスを取り付けた場合の一例を示す一部拡大図である。(a)蓋体の閉口時を示す図である。(b)蓋体の開口時を示す図である。
【図3】配線ボックスの分解図である。
【図4】配線ボックスを示す図である。(a)蓋体の閉口時を示す図である。(b)蓋体の開口時を示す図である。
【図5】配線ボックスの取り付けの一例を示す説明図である。(a)全体斜視図(b)断面図
【図6】配線ボックスの取り付けの一例を示す説明図である。
【図7】配線ボックスの取り付けの一例を示す説明図である。(a)一部拡大図(b)断面図
【図8】本発明の配線ボックスにおける蓋体と回転アームの動きを示す説明図である。
【図9】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図10】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図11】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図12】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図13】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図14】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図15】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 天板
2 蓋体
3 開口
4 開口縁
5 脚
6 軸
7 回転アーム
8 軸
9 スライドピン
10 テーブル
20 スライド溝
21 サイドカバー
30 配線ボックス
31 取付金具
32 ダクト
B 取付孔
【技術分野】
【0001】
天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスおよびその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルの天板を上下に貫通する配線用の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスが知られている。このような配線ボックスは天板の下面に取り付けられ、配線ボックスの下部ダクトにコンセントなどの電源やLANケーブルなどを収納することが可能である。そして、天板上でノートPCなどを用いて作業する際に、天板の開口を介して天板下面のダクトに収納されたコンセント等を使用する構成である。
【0003】
また、前記配線ボックスの蓋体は、前記開口を閉口する状態と開口する状態とで選択的に開閉自在に構成されており、特に、開口を開口した状態では、前記蓋体が、配線ボックスの内部に収納される構成である(例えば、特許文献1)。
【0004】
このような、配線ボックスは、天板の上方から開口に落とし込む構成であり、配線ボックスの周囲に形成されたフランジが開口の縁に引っかかることで、配線ボックスの蓋体とテーブル天板面との高さ方向の位置決めを行う構成である。
【0005】
この場合、配線ボックスの位置決めを容易に行うことができる反面、天板面に配線ボックス周囲のフランジが突出してしまい、天板面をフラットに使用することができないといった欠点がある(例えば、特許文献2)。そこで、開口の周囲に、配線ボックスのフランジ分の段差を設けることが考えられるが、天板の開口周囲の成型が複雑になり余分なコストが生じてしまう恐れがある(例えば、特許文献3)。
【0006】
このため、天板面をフラットに使用すべく、フランジ等の掛止部材を用いずに配線ボックスを開口の下方から挿入する方法が考えられるが、このときに問題となるのが、厚みの異なる天板を使用した場合、どのようにして配線ボックスの蓋体の上面を、天板面と面一にするかということである。
【0007】
すなわち、テーブルの種類によって天板の厚みが異なる一方で、配線ボックスの蓋体と取付金具との高さが一定のため、天板の厚みに合わせて配線ボックスの取付金具の高さを変える必要がある。或いは、それぞれの天板厚に対応した調整機構をもった取付金具にする方法があるが、取付工程に手間が生じる、部品の品揃えやコストの面で問題があるといった欠点があった。
【0008】
【特許文献1】特開2009−240479号公報
【特許文献2】特開2010−125213号公報
【特許文献3】特開2001−161449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスに関し、簡単な構成により、配線ボックスの蓋体と天板面とがフラットな均一面を形成し、かつ、厚みの異なる天板であっても、配線ボックス取付時の位置決めを容易に行うことが可能な配線ボックスおよびその取付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明の請求項1に記載の発明は、天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスであって、前記開口内部において一端が回動自在に軸支された回転アームの他端に前記蓋体を回動自在に軸支し、当該回転アームの回動により前記天板の開口内部において前記蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ前記天板の開口面において前記蓋体の回動により前記開口を閉口して天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックスである。
【0011】
当該構成によれば、回転アームの回動により天板の開口内部において前記蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ天板の開口面において蓋体の回動により開口を閉口する簡単な構成により、配線ボックスの蓋体と天板面とがフラットな均一面を形成することが可能な配線ボックスを提供することが可能である。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の配線ボックスにおいて、前記蓋体にスライドピンを設けるとともに、前記配線ボックスに前記スライドピンが連係するスライド溝を設け、当該スライド溝は、前記蓋体の昇降に伴い前記蓋体を略垂直状態に保持するスライド溝と、前記開口面において前記蓋体を回転させる方向に案内するスライド溝とが、連続して形成される溝であることを特徴とする、配線ボックスである。
【0013】
当該構成によれば、蓋体の昇降に伴い蓋体を略垂直状態に保持するスライド溝と、開口面において蓋体を回転させる方向に案内するスライド溝とが連続して形成される簡単な構成により、天板開口を開閉自在な蓋体の開閉機構を有する配線ボックスを提供することが可能である。特に、蓋体の回動軌跡が円弧を描かず、略直角の軌道を描くため、天板内部に蓋体が回動するための空間を要さず、コンパクトな配線ボックスを提供することが可能である。また、蓋体の回動機構がシンプルであり可動機構が少ないため、低コストかつ開閉時の開閉音が小さいといった効果がある。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2の何れかに記載の配線ボックスの取付方法であって、天板の下面における前記開口の周囲に複数の取付孔を設けるとともに前記配線ボックスの周囲に複数の取付金具を設け、かつ、蓋体面から前記取付金具までの高さと天板面と前記取付孔までの高さとが略等しいことにより、配線ボックスを開口の下方から取り付けた際に天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックスの取付方法である。
【0015】
当該構成によれば、蓋体面から前記取付金具までの高さと天板面と前記取付孔までの高さとを等しく形成する簡単な構成により、配線ボックスの上部周囲にフランジ等の突出部を要さず、天板の下方から簡単に配線ボックスを取り付けることが可能である。特に、厚みの異なる天板を使用した場合であっても、天板の取付孔の深さを、適宜、天板面と取付孔上面との高さとなるように設定する簡単な構成により、配線ボックスの取付金具の高さを変えることなく、天板面と蓋体面とを均一面に取り付けることが可能である。
【0016】
このように、本発明の配線ボックスおよびその取付方法により、配線ボックスの蓋体と天板面とがフラットな均一面を形成し、かつ、厚みの異なる天板であっても、配線ボックス取付時の位置決めを容易に行うことが可能な配線ボックスおよびその取付方法を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(配線ボックスの構成について)
以下に、本発明の配線ボックスの構成について説明する。
まず、本発明の配線ボックス30が好適に用いられる一例としては、図1に示すように、作業面となる天板1と、当該天板1を支持する複数の脚5とからなるテーブル10であって、当該テーブル10は、前記天板1の表面(上面)から裏面(下面)にかけて形成された、図示しない配線用の開口3を開閉可能な蓋体2を有する配線ボックス30を備える。
【0018】
特に、当該配線ボックス30の前記蓋体2は、後述する天板1に形成される開口3のおよそ全域をカバーする構成であって、さらには、蓋体上面2(蓋体面)と天板上面1(天板面)とが連続する平坦面を形成する構成である。これにより、従来、蓋体2と天板1との間の隙間を塞ぐためのフランジ等の部材を必要とせず、蓋体2もしくは天板面1の間に形成される段差をなくすことが可能であり、さらには、蓋体2と開口3との隙間を小とすることが可能である。また、開口3の周囲にフランジ等の中間部材がなく、開口3が蓋体2のみで覆われるため天板面1がフラットであり見た目もよく高い意匠性を奏することが可能である。
【0019】
次に、本発明の配線ボックス30における蓋体2は、図2に示すように、天板1の開口を左右の蓋体2で塞ぐ閉口状態(図2(a))と、蓋体2を開口3の内部に収納して、天板上に配線用の開口3を形成する開口状態(図2(b))との間で、蓋体2を選択的に可動させる構成である。
【0020】
特に、本発明の配線ボックス30は、図2(a)に示すように、蓋体2と開口縁4との間に形成される隙間が小さく、かつ、後述する、蓋体面2と天板面1とが平坦面(均一面)を形成しており、テーブル10の意匠性を向上するのみならず使用性の高いテーブル10を提供することが可能である。
【0021】
本発明の配線ボックス30は、図3に示すように、左右の蓋体2と、当該蓋体2を回動自在に軸支する回転アーム7と、当該回転アーム7を回動自在に軸支する板状のサイドカバー21と、当該サイドカバー21を保持する断面コ字状のダクト32とを有する。前記蓋体2は、その側面後部に外方へと突出するスライドピン9を有する。また、蓋体2の内部には、前記回転アーム7を回動自在に軸支するための、図示しない軸受けを有する。
【0022】
また、前記ダクト32は、鋼板等を折り曲げて加工され、左右側面の上端部には、逆L字状の取付金具31が上方に突出した状態で溶着されている。当該取付金具31は、その上端面が平らに形成されており略中央部分にビス孔が形成されている。
【0023】
そして、前記ダクト32の前後には、樹脂製の前記サイドカバー21が、図示しないビス等により固着されており、当該サイドカバー21には、前記蓋体のスライドピン9が係合するための縦方向のスライド溝20および前記回転アーム7を回動自在に軸支するための軸孔6’が設けられている。
【0024】
そして、当該軸孔6’に、前記回転アーム7の一端を軸6により回動自在に軸支するとともに、前記スライド溝20に前記蓋体2の横方向に突出する前記スライドピン9を係合する構成である。これにより、前記蓋体が回転アームの回転に伴い上下に移動するとともに、蓋体の前記スライドピン9がスライド溝20に沿って摺動自在に移動する構成である。
【0025】
すなわち、蓋体2の閉口時には、図4(a)に示すように、配線ボックス30の上部において、左右の蓋体2が平行かつ密接した状態で保持されるとともに、蓋体2の開口時には、図4(b)に示すように、左右の蓋体2がそれぞれ略垂直状態を保持した状態で、配線ボックス30の内部に収納される構成である。
【0026】
(配線ボックスの取付方法について)
以下に、本発明の配線ボックス30を、天板1の下方から取り付ける方法について説明する。
前記天板1は、図5(a)(b)に示すように、天板1の略中央に当該天板の表面から裏面にかけて長方形の開口3を有する。そして、天板1の裏面かつ開口3の周囲に凹状の取付孔Bが複数形成されており、当該複数の取付孔Bは、後述する、当該取付孔Bの上面と天板面1との高さ方向の寸法が正確に決めらている。
【0027】
そして、配線ボックス30の周囲に形成された複数の取付金具31を前記取付孔Bへと差し込み固定するだけで、配線ボックス30を天板1の下面へと正確かつ簡単に位置決めを行いつつ取り付けることが可能である。
【0028】
すなわち、図6(a)(b)に示すように、天板面1と取付孔Bの上面との距離αは、配線ボックス30の蓋体面2と、取付金具31の上面との距離βと同一(α=β)である。これにより、配線ボックス30を取り付けた際に、蓋体面2と天板面1とが段差のないフラットな均一面を形成する構成である。また、開口3の幅と蓋体2の幅とが略等しく、天板1の開口縁4と蓋体2との間に隙間γが形成されにくい構成である。
【0029】
よって、本発明の配線ボックス30は、図7(a)(b)に示すように、配線ボックス30の蓋体2とテーブルの天板面1とが段差のないフラットな均一面を形成し、かつ、蓋体2と開口縁4との間に隙間が形成されにくい状態で、簡単かつ正確に配線ボックス30の位置決めと取り付けが可能である。例えば、図示のような、ビス受け90を天板1の取付孔Bの内部に設けることで、配線ボックス30の取付金具31を前記取付孔Bに挿入した状態で、前記ビス受け90へと簡単にビス止めすることが可能であり、正確な位置決めをもって配線ボックス30を固定することが可能である。
【0030】
また、従来の配線ボックスは、フランジ部分と蓋体の機構とが一体となったユニットを天板の上から落とし込む構造で、配線を受けるダクト部分を天板下側から取り付ける別体の構造だった。これに対して、本発明の配線ボックス30は、フランジ部分がない構造で、天板1の開口部分が仕上がっている状態であり、配線ボックス30を天板1の下側から開口3へと挿入し、配線ボックス30の複数の取付金具31を天板下面の複数の取付孔Bへと挿入し取り付けるだけの簡単な構成である。また、配線を受けるダクト32が蓋体2と一体となった構造であり、部品点数と取付工数の大幅な削減効果がある。
【0031】
さらに、従来、天板の下側から取り付ける方式とした時に問題となるのが、厚みの異なる天板1を使用した場合、どのようにして配線ボックスの蓋体2の上面を、天板面1と面一にするかということである。例えば、それぞれの天板厚に対応した調整機構をもった取付け金具にする方法があるが、部品の品揃えやコストの面で大きな問題があった。
【0032】
そこで、本発明の配線ボックス30の取り付け方法は、あらかじめ天板厚で考えられる最も薄い厚さを想定し、仮に天板厚が20mmの厚みとした場合、20mmの厚さで蓋体と天板とが均一面とになるように取り付く取付金具31にする。そして、20mm以上の厚さの天板1については、天板面から20mmの厚さを残して、天板の下面に前記取付孔Bを形成する簡単な構成により、蓋体面2と天板面1とが面一の状態で配線ボックス30を簡単に取り付けることが可能である。
【0033】
(配線ボックスの開閉機構について)
以下に、本発明の配線ボックス30における蓋体2の開閉機構について説明する。
本発明の配線ボックス30における蓋体2の動きは、蓋体2が天板1の開口内部において昇降移動するとともに、天板1の開口面で回転することで、天板の開口3を開閉する開閉機構である。
【0034】
詳しくは、図8に示すように、配線ボックス30のサイドカバー21に一端6が回動自在に軸支された回転アーム7の他端8へと、蓋体2の後部を回動自在に軸支するとともに、さらに蓋体2の後部に突出するスライドピン9を、前記サイドカバー21に形成されたスライド溝20へと移動自在に連係することで、前記回転アーム7の回動により前記蓋体2が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ、前記天板1の開口付近で、前記蓋体2が閉口する方向へと回動することにより、蓋体2が前記天板1の開口3を閉口する構成である。
【0035】
特に、前記蓋体2の後部に設けられたスライドピン9が、配線ボックス30のサイドカバー21に形成されたスライド溝20に係合しつつスライド溝20に沿って移動することで、蓋体2の後端部分の動きが、回転アーム7の位置によって規制される構成である。
【0036】
すなわち、前記スライド溝20は、前記蓋体2の昇降に伴い蓋体2を略垂直状態に保持する縦方向のスライド溝と、天板1の開口面付近において前記蓋体2を回転させる方向に案内する外方向に湾曲するスライド溝とが連続するスライド溝20である。
【0037】
これにより、回転アーム7の上昇に伴い、蓋体2の後部の軌跡が、開口内部において縦方向に昇降する軌跡(図中、矢印R)と、開口面付近において、蓋体2が閉口する方向へと回動(図中、矢印Q)する軌跡との異なる軌跡を描く構成である。
【0038】
特に、本発明の蓋体2の開閉機構は、蓋体2の描く軌跡が円弧状ではなく、垂直方向と回転方向との組み合わせからなる略直角方向の軌跡であり、これにより、蓋体2の軌跡が、常に開口3の内側に位置するため、蓋体2の後部が、天板1の開口縁4より外方にはみ出すことがない。よって、従来の蓋体の円弧軌道にともなう空間を別途に設ける必要がなく、蓋体2と開口3との間にフランジ等の部材を設ける必要がない。
【0039】
次に、本発明の配線ボックス30における、蓋体2の動きについて説明する。
まず、配線ボックス30の開口状態において、図9に示すように、前記蓋体2は、天板1の開口内部に収納された状態であり、特に、蓋体2が縦方向に保持された状態で収納されるとともに、蓋体2の先端部分のみが、天板1の開口面より僅かに上方へと露出した状態である。
【0040】
そして、当該蓋体2の収納状態から、前記蓋体2の先端部分を掴み、上方へと引き上げることにより、図10に示すように、回転アーム7の回動に伴い蓋体2が上昇を開始する。このとき、回転アーム7が軸6を支点に上方へと回動するとともに蓋体2が垂直状態で上昇し、蓋体後部2のスライドピン9がスライド溝20に沿って摺動する。
このとき、スライド溝20を摺動する蓋体2のスライドピン9と、蓋体を回転自在に軸支する回転アームの軸8とが、互いに垂直延長線上に位置しており、回転アーム7が回動しても蓋体2が垂直状態を保持したままで上昇する構成である。
【0041】
そして、さらなる回転アーム7の回動に伴い、図11に示すように、蓋体2が上方へと上昇するとともに、蓋体2のスライドピン9がスライド溝20に沿って上昇する。このとき、蓋体2のスライドピン9と、回転アーム7の軸8とが、略垂直状態を保持しており、未だ蓋体2が縦方向に起立した状態を維持しつつ開口内部を上昇する構成である。
【0042】
そして、さらなる回転アーム7の回動に伴い、図12に示すように、蓋体が上方へと上昇するとともに、蓋体2のスライドピン9がスライド溝20に沿って上昇する。このとき、蓋体2のスライドピン9が係合するスライド溝20の形状が、縦方向の形状から外方向へと湾曲した形状へと変化するとともに、回転アーム7の軸8と、蓋体2のスライドピン9との位置関係が変化を開始することとなる。
【0043】
すなわち、図13に示すように、蓋体2の大半部分が開口面より上方に突出した時点で、回転アーム7の上方への回動が最大に達するとともに、蓋体2のスライドピン9が摺動するスライド溝の形状が、外方へと緩やかな円弧を描くスライド溝20の形状へと変化する。このとき、当該スライド溝20の形状に沿って蓋体2のスライドピン9が外方へと移動を開始するとともに、当該スライドピン9と回転アームの軸8との位置関係が徐々に垂直から水平方向へと変化することとなる。これにより、蓋体2が回転アーム7の軸8を支点に回動する構成である。
【0044】
そして、図14に示すように、円弧状のスライド溝20に沿って、蓋体2のスライドピン9がさらに外方へと移動するとともに、回転アーム7が僅かに戻り回転をして蓋体2の後部が持ち上がり、蓋体2が閉口方向へと回転する。
【0045】
そして、左右の蓋体2が互いに水平となる箇所で、図示しないストッパー等の部材が蓋体2のさらなる回転を阻止することで、図15に示すように、天板面1と蓋体面2とが均一面からなる閉口状態を形成する構成である。
【0046】
以上のように、本発明の配線ボックス30は、開口内部において一端が回動自在に軸支された回転アーム7の他端に蓋体2を回動自在に軸支し、回転アーム7の回動により、天板1の開口内部において、蓋体2が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ、天板1の開口面において、蓋体2の回動により開口1を閉口して、天板面1と蓋体面2とが均一面を形成する構成であり、天板開口の開口時において、簡単な構成により、配線ボックス30の蓋体2と天板1とがフラットな均一面を形成することが可能な配線ボックス30を提供することが可能である。
【0047】
また、前記配線ボックス30において、蓋体2にスライドピン9を設けるとともに、配線ボックス30に前記スライドピン9が連係するスライド溝20を設け、当該スライド溝20は、前記蓋体2の昇降に伴い前記蓋体2を略垂直状態に保持するスライド溝20と、開口面1において前記蓋体2を回転させる方向に案内するスライド溝20とが、連続して形成される溝20であるから、蓋体2の描く軌跡が円弧状ではなく、垂直方向と回転方向との組み合わせからなる略直角方向の軌跡となり、これにより、蓋体2の軌跡が、常に開口3の内側に位置するため、蓋体2の後部が、天板1の開口縁4より外方にはみ出すことがない。よって、従来の蓋体の円弧軌道にともなう空間を別途に設ける必要がなく、蓋体2と開口3との間にフランジ等の部材を設ける必要がない。
【0048】
さらに、本発明の配線ボックス30の取付方法は、天板1の下面における開口3の周囲に複数の取付孔Bを設けるとともに、配線ボックス30の周囲に複数の取付金具31を設け、かつ、蓋体上面2から取付金具31までの高さと、天板面1と取付孔Bまでの高さと、が略等しいことにより、配線ボックス30を開口3の下方から取り付けた際に、天板面1と蓋体面2とが均一面を形成する構成である。
【0049】
よって、配線ボックス30の上部にフランジ等の突出部材を要さず、天板1の下方から配線ボックス30を取り付けることが可能であり、厚みの異なる天板1を使用した場合であっても、天板1の取付孔Bの深さを、適宜、天板面1と取付孔上面との高さとなるように設定する簡単な構成により、配線ボックス30の取付金具31の高さを変えることなく、天板面1と蓋体面2とを均一面に取り付けることが可能である。
【0050】
上記例では、配線ボックス30の蓋体2が左右にそれぞれ形成される例を示したが、これに限らず、例えば、1の蓋体であってもよく、上記同様の効果を奏することが可能である。また、左右の蓋体2を同時に可動させる例を示したが、左右の蓋体2は別個に可動させることも可能であり、何れにせよ、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく他の要素を適宜付加してより効果的に具体化できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の配線ボックスを取り付けた場合の一例を示す図である。(a)全体斜視図(b)断面図
【図2】本発明の配線ボックスを取り付けた場合の一例を示す一部拡大図である。(a)蓋体の閉口時を示す図である。(b)蓋体の開口時を示す図である。
【図3】配線ボックスの分解図である。
【図4】配線ボックスを示す図である。(a)蓋体の閉口時を示す図である。(b)蓋体の開口時を示す図である。
【図5】配線ボックスの取り付けの一例を示す説明図である。(a)全体斜視図(b)断面図
【図6】配線ボックスの取り付けの一例を示す説明図である。
【図7】配線ボックスの取り付けの一例を示す説明図である。(a)一部拡大図(b)断面図
【図8】本発明の配線ボックスにおける蓋体と回転アームの動きを示す説明図である。
【図9】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図10】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図11】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図12】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図13】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図14】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【図15】本発明の配線ボックスにおける蓋体の動きを示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 天板
2 蓋体
3 開口
4 開口縁
5 脚
6 軸
7 回転アーム
8 軸
9 スライドピン
10 テーブル
20 スライド溝
21 サイドカバー
30 配線ボックス
31 取付金具
32 ダクト
B 取付孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスであって、前記開口内部において一端が回動自在に軸支された回転アームの他端に前記蓋体を回動自在に軸支し、当該回転アームの回動により前記天板の開口内部において前記蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ前記天板の開口面において前記蓋体の回動により前記開口を閉口して天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の配線ボックスにおいて、前記蓋体にスライドピンを設けるとともに、前記配線ボックスに前記スライドピンが連係するスライド溝を設け、当該スライド溝は、前記蓋体の昇降に伴い前記蓋体を略垂直状態に保持するスライド溝と、前記開口面において前記蓋体を回転させる方向に案内するスライド溝とが、連続して形成される溝であることを特徴とする、配線ボックス。
【請求項3】
請求項1または2の何れかに記載の配線ボックスの取付方法であって、天板の下面における前記開口の周囲に複数の取付孔を設けるとともに前記配線ボックスの周囲に複数の取付金具を設け、かつ、蓋体面から前記取付金具までの高さと天板面と前記取付孔までの高さとが略等しいことにより、配線ボックスを開口の下方から取り付けた際に天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックスの取付方法。
【請求項1】
天板の開口を開閉する蓋体を有する配線ボックスであって、前記開口内部において一端が回動自在に軸支された回転アームの他端に前記蓋体を回動自在に軸支し、当該回転アームの回動により前記天板の開口内部において前記蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降し、かつ前記天板の開口面において前記蓋体の回動により前記開口を閉口して天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の配線ボックスにおいて、前記蓋体にスライドピンを設けるとともに、前記配線ボックスに前記スライドピンが連係するスライド溝を設け、当該スライド溝は、前記蓋体の昇降に伴い前記蓋体を略垂直状態に保持するスライド溝と、前記開口面において前記蓋体を回転させる方向に案内するスライド溝とが、連続して形成される溝であることを特徴とする、配線ボックス。
【請求項3】
請求項1または2の何れかに記載の配線ボックスの取付方法であって、天板の下面における前記開口の周囲に複数の取付孔を設けるとともに前記配線ボックスの周囲に複数の取付金具を設け、かつ、蓋体面から前記取付金具までの高さと天板面と前記取付孔までの高さとが略等しいことにより、配線ボックスを開口の下方から取り付けた際に天板面と蓋体面とが均一面を形成することを特徴とする、配線ボックスの取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−186883(P2012−186883A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46620(P2011−46620)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】
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