説明

配線作業支援装置及び方法

【課題】システム価格を低く抑えた上で、コネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の挿抜作業を効果的に支援できるようにする。
【解決手段】配線作業支援装置1において、コネクタ接続盤2のコネクタアダプタ端子21に対するコネクタプラグ端子30の挿抜作業に先立ち、アダプタ位置検出用マーカ認識処理部121により、カメラ4により撮像されたコネクタ接続盤2の画像情報からアダプタ位置検出用マーカ21を認識する。そして、支援情報生成処理部124により、上記撮像画像中におけるアダプタ位置検出用マーカ21の位置座標と、予め記憶しておいた定義情報及び作業オーダ情報とをもとに、座標格子K1及びターゲット格子K2の画像パターンを生成し、この画像パターンを上記撮像画像に重畳して表示デバイス5に表示するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数のコネクタアダプタをユニット化したコネクタ接続盤に対するコネクタプラグの挿抜作業を支援するための配線作業支援装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバ網に対する加入者の増加に伴い、IDM(Integrated Distribution Module)やFTM(Fiber Termination Module)等の光ファイバ用配線モジュールにおける光ファイバコードの収容数が増加している。例えば、都市部の通信設備ビルでは、収容数が4000心や1000心にもなる。そこで、このような多数の光ファイバコードを効率良く保守管理するために、光ファイバ用配線モジュールの前面にはコネクタ接続盤が配置されている。コネクタ接続盤には多数のコネクタアダプタ端子(以後コネクタアダプタと称する)が設けられており、これらのコネクタアダプタに対し選択的に光ファイバコードのコネクタプラグ端子(以後コネクタプラグと称する)を挿抜することで、FTTHサービスの利用開始や停止、変更を円滑かつ柔軟に対応できるようにしている。
【0003】
また、近年半導体の集積密度の進展によりパーソナル・コンピュータ(以下PCと呼称する)の性能の向上および小型化が可能となり、従来では据え置き型PC(デスクトップPC)に頼らざるを得なかった画像認識等の画像処理機能が、ノート型PCやモバイルPC等の持ち運び可能型PCにおいても実行可能となっている。さらに、情報の表示手段についても、従来はデスクトップPC用のディスプレイやノート型PCに付属のディスプレイが主流であったが、最近ではヘッドマウントディスプレイ(HMD)やUSBモニタなどの小型で持ち運びが可能な表示デバイスが使用されるようになっている。特にHMDは、メガネの様に眼前に装着するだけで数m先に数十インチのディスプレイを設置している状態を作り出すことが可能であり、両手が空くために作業時のディスプレイとして注目されている。このような環境の下、ビデオカメラで撮影した映像又は画像に対し仮想的な情報を付与する、いわゆるAR(Augmented reality:拡張現実)技術が発展してきた(例えば非特許文献1を参照)。
【0004】
ところでコネクタ接続盤は、多数のコネクタプラグを接続するために、上述したように多数のコネクタアダプタをユニット化し、これらのコネクタアダプタのうち任意のコネクタアダプタに対してコネクタプラグを自由に接続または抜去することが可能となっている。しかし、高密度実装のためにコネクタプラグの誤接続、誤抜去などのヒューマンエラーが発生する可能性が高くなっている。このため、作業者は挿抜作業予定のコネクタプラグ、アダプタに対して細心の注意を払い確認作業を複数回行う必要がある。これにより作業時間の増大や、特定の経験・スキルを有しない限り挿抜作業を行うことが難しくなり、人件費の抑制困難が課題となっている。
【0005】
そこで、コネクタアダプタのそれぞれに対応付けてその近傍にLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を配置し、接続対象のコネクタアダプタに対応する発光素子を点灯または点滅させることで、コネクタプラグの接続・抜去対象のアダプタ位置を提示して、コネクタプラグの挿抜作業性を高めるようにした提案がなされている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−97712号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Ronald T. Azuma,“A Survey of Augmented Reality”,Presence-Teleoperators and Virtual Environments, 6,4 (August 1997),355-385
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のように発光素子を用いた挿抜作業支援手法では、コネクタアダプタの各々に対応付けて発光素子を設ける必要がある。このため、比較的安価なLEDを用いたとしても実現には相応の費用が必要となり、システムのコストアップを招く。特に、都市部で使用されるコネクタ接続盤は、将来のFTTH加入者数のさらなる増加に対応するためにコネクタアダプタ端子数が数1000万規模となることが予想され、システムはきわめて高価なものになる。
【0009】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、システム価格を低く抑えた上で、コネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の挿抜作業を効果的に支援できるようにした配線作業支援装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためにこの発明の一つの観点は、複数のコネクタアダプタ端子と当該コネクタアダプタ端子を検出するための第1のマーカが設けられたコネクタ接続盤において、上記複数のコネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の選択的な挿抜作業を支援する配線作業支援装置又は方法にあって、上記第1のマーカの識別情報に関連付けて、当該第1のマーカの属性情報と、当該第1のマーカと上記複数のコネクタアダプタ端子との相対位置関係を表す情報を記憶しておく。また、上記挿抜作業に先立ち、当該挿抜作業の対象となるコネクタアダプタ端子及びコネクタプラグ端子を指定するための作業オーダ情報の入力を受付ける。この状態で、上記コネクタ接続盤の複数のコネクタアダプタ端子と第1のマーカを含む領域を撮像した第1の画像情報をカメラから取得し、上記記憶された第1のマーカの属性情報をもとに、上記取得された第1の画像情報中から第1のマーカを認識する。次に、この認識された第1のマーカの上記第1の画像情報中における位置座標と、上記記憶された位置定義情報と、上記入力された作業オーダ情報とに基づいて、上記第1の画像情報中における、上記複数のコネクタアダプタ端子の位置を表す第1の画像パターン及び上記挿抜作業の対象として指定されたコネクタアダプタ端子の位置を表す第2の画像パターンをそれぞれ生成し、この生成された第1及び第2の画像パターンを上記第1の画像情報に重畳して表示手段に表示するようにしたものである。
【0011】
したがって、表示手段には、実際に撮像したコネクタ接続盤の画像に重畳して、各コネクタアダプタ端子の位置を表す第1の画像パターンと、挿抜作業の対象となるコネクタアダプタ端子の位置を表す第2の画像パターンが表示されることになる。このため、コネクタ接続盤に多数のコネクタアダプタ端子が配置されている場合でも、作業者は挿抜作業の対象となるコネクタアダプタ端子の位置を第1及び第2の画像パターンにより明確に認識することができる。
【0012】
また、この発明の一つの観点は以下のような態様を備えることを特徴とする。
第1の態様は、保留中の複数のコネクタプラグ端子が各々固有の識別情報が表示された状態で保留部に収容されている場合に、当該保留部に収容されている複数のコネクタプラグ端子の固有識別情報を一括して撮像した第2の画像情報をカメラから取得する。そして、この取得された第2の画像情報中から上記複数のコネクタプラグ端子の固有識別情報をそれぞれ認識し、この認識された各固有識別情報を上記入力された作業オーダ情報により挿抜作業の対象として指定されたコネクタプラグ端子の識別情報とそれぞれ照合する。そして、当該挿抜作業の対象となるコネクタプラグ端子の識別情報と一致する固有識別情報を検出し、この検出された固有識別情報に対応するコネクタプラグ端子の上記保留部における収容位置を表す情報を上記表示手段に表示させるようにしたものである。
【0013】
このようにすると、コネクタプラグ端子を選択する際に、保留部に多数のコネクタプラグ端子が保留されている場合でも、作業者はこの多数のコネクタプラグ端子の中から挿抜作業の対象となるコネクタプラグ端子を正確かつ迅速に選択することが可能となり、これによりコネクタアダプタ端子に対し常に正しいコネクタプラグ端子を短時間に挿抜することが可能となる。
【0014】
第2の態様は、コネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の挿抜作業を、工具位置検出用の第2のマーカが取着された挿抜工具を用いて行う際に、先ずこの挿抜工具及びコネクタ接続盤を含む領域を撮像した第3の画像情報をカメラから取得し、この取得された第3の画像情報中から上記第1及び第2のマーカを認識する。次に、この認識された第1のマーカの上記第3の画像情報中における位置座標と、上記記憶された位置定義情報及び上記入力された作業オーダ情報とに基づいて、上記挿抜作業の対象として指定されたコネクタアダプタ端子の上記第3の画像情報中における位置座標を算出する。またそれと共に、上記認識された第2のマーカを表す画像の上記第3の画像情報中における位置座標を算出する。そして、上記算出された挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子の位置座標と上記第2のマーカの位置座標とを比較して、これらの位置座標が一致するか否かを判定し、この判定結果を表す情報を上記表示手段に表示させるようにしたものである。
【0015】
このようにすると、コネクタアダプタ端子に対しコネクタプラグ端子を挿抜する際に、挿抜対象として正しいコネクタアダプタ端子に対しコネクタプラグ端子が挿抜されようとしているか否かが作業者に提示される。このため、誤ったコネクタアダプタ端子に対しコネクタプラグ端子を挿着したり、或いは抜去してしまうことを未然に防止することができる。
【0016】
第3の態様は、コネクタ接続盤に設けられた複数のコネクタアダプタ端子の識別情報に関連付けて、当該コネクタアダプタ端子の使用状態を表す配線情報を記憶する設備情報記憶手段が設けられている場合に、挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子に対する挿抜作業対象のコネクタプラグ端子の挿抜作業の終了後に、当該挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子に関する配線情報を更新するための情報を生成し、この生成された更新情報に基づいて上記設備情報記憶手段に記憶された配線情報を更新するようにしたものである。
【0017】
このようにすると、コネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の挿抜作業が終了すると、設備情報記憶手段に記憶されている配線情報が自動的に更新される。このため、作業者は挿抜作業終了後に配線情報の更新操作を別途行う必要がなくなり、これにより設備情報記憶手段の配線情報を常に最新の内容に保持することができると共に、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0018】
第4の態様は、上記判定の結果、各位置座標が一致すると判定された場合にのみ、上記挿抜工具のロック状態を解除して挿抜動作を可能にするように上記挿抜工具を制御するようにしたものである。
このようにすると、誤ったコネクタアダプタ端子に対しコネクタプラグ端子を挿着或いは抜去しようとしても、挿抜工具は動作しないように制御されるので、誤った挿抜作業を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
すなわちこの発明の一観点によれば、システム価格を低く抑えた上で、コネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の挿抜作業を効果的に支援できるようにした配線作業支援装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態に係る配線作業支援装置の構成を示すブロック図。
【図2】コネクタ接続盤の一部を拡大して示した図。
【図3】挿抜工具の構成を示すもので、(a)はその側面図、(b)はその先端部を拡大して示した正面図。
【図4】図1に示した配線作業支援装置に設けられる定義情報データベースに記憶された定義情報の一例を示す図。
【図5】設備データベースに記憶される設備情報の一例を示す図。
【図6】図1に示した配線作業支援装置によるコネクタ挿着支援処理の処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【図7】図6に示した接続処理のうちアダプタ位置検出用マーカ認識処理の処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【図8】図6に示した接続処理による座標格子及びターゲット格子の表示例を示すもので、(a)は格子の表示前の状態を示す図、(b)は表示後の状態を示す図。
【図9】図6に示した接続処理のうちアダプタ/プラグ対応判定処理の処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【図10】図1に示した配線作業支援装置によるコネクタ抜去支援処理の処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
(構成)
図1はこの発明の一実施形態に係る配線作業支援装置とその周辺装置の構成を示すブロック図であり、1は配線作業支援装置を示している。また、2はコネクタ接続盤、3は挿抜工具、4はカメラ、5は表示デバイス、6は管理用コンピュータ装置、7は設備データベース(設備DB)をそれぞれ示している。
【0022】
コネクタ接続盤2は、例えば図2に示すように多数のコネクタアダプタ端子21をマトリクス状に配置したもので、このコネクタアダプタ端子群21を保持するフレーム部にはアダプタ位置検出用マーカ22が設置されている。このアダプタ位置検出用マーカ22は、形状と色の異なる複数の図形を組み合わせたもので、形状としては円形、三角形、ハート形などが用いられ、また色として赤、青、緑等が用いられる。なお、図2では図示の簡単のためアダプタ位置検出用マーカ22を1個のみ示しているが、アダプタ位置検出用マーカ22は複数個(例えば2個)設けられる。
【0023】
一方、挿抜作業の対象となるコネクタプラグ端子群は、IDMに接続された状態でその保留部において保留(未使用)された状態になっている。コネクタプラグ端子の各々には、コネクタプラグ端子を識別するための二次元コード、例えばQRコードが表示されており、上記保留部に保留されている状態でこのQRコードをカメラ4により読み取り可能となっている。
【0024】
挿抜工具3は、例えば図3に示すようにレバー33の引き操作に応じて工具先端部31によりコネクタプラグ端子30を把持する構造となっている。工具先端部31には先端マーカ32が設置されている。この先端マーカ32は、挿抜工具3を操作してコネクタ接続盤2のコネクタアダプタ端子21に対しコネクタプラグ端子30を挿抜する際に、コネクタ接続盤2のコネクタアダプタ端子21に対する挿抜工具3の相対位置を検出するために用いられる。また、挿抜工具3はロック機構部34を備えている。このロック機構部34は、誤ったコネクタアダプタ端子21に対しコネクタプラグ端子30を挿抜しようとした場合に、コネクタプラグ端子30の挿抜が行えないようにロックをかけるものである。なお、挿抜工具3は信号処理・インターフェース部35を備え、この信号処理・インターフェース部35により管理用コンピュータ装置6との間で操作に関する制御信号を送受信する。
【0025】
カメラ4は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementory Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を用いたもので、コネクタ接続盤2、挿抜工具3、コネクタプラグ端子を保留するIDM(Integrated Distribution Module)の保留部(図示せず)を個別又は同時に撮像してその画像情報を出力する。
表示デバイス5は、例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD)からなり、配線作業に開始前及び配線作業中に、それぞれの作業過程に必要な配線作業支援画像を表示するために用いられる。
【0026】
設備DB7には、コネクタ接続盤2のコネクタアダプタ端子21の各々を一意に識別する座標番号に関連付けて、当該コネクタアダプタ端子21に関わる複数種類の配線情報が記憶されている。図5はその記憶情報の一例を示すもので、同図では複数種類の配線情報を情報A、情報B、情報C、…として例示している。配線情報は、例えば各コネクタアダプタ端子21を割り当てた加入者の属性情報、提供サービス情報、工事情報及び設備情報等を含む。
【0027】
管理用コンピュータ装置6は、汎用のパーソナル・コンピュータからなり、上記設備DB7に記憶された配線情報について登録、削除又は更新等の管理処理を行う機能と、当該設備DB7に記憶された配線情報に基づいて上記コネクタアダプタ端子21に対するコネクタプラグ端子30の接続状態を管理する機能を担う。
【0028】
ところで、配線作業支援装置1は以下のように構成される。すなわち、配線作業支援装置1は例えばノート型やタブレット型のパーソナル・コンピュータ、スマートホン等の持ち運び可能型のパーソナル・コンピュータからなり、インタフェースユニット11と、制御ユニット12と、記憶ユニット13を備えている。
【0029】
インタフェースユニット11は、撮像情報入力部111と、表示情報出力部112と、設備情報入出力部113を有する。撮像情報入力部111は、制御ユニット12の制御の下、上記カメラ4から当該カメラ4により撮像されたコネクタ接続盤2等の画像情報を取り込む処理を行う。表示情報出力部112は、制御ユニット12により生成された配線作業支援画像情報を上記表示デバイス5に表示させる処理を行う。表示設備情報入出力部113は、制御ユニット12の制御の下、上記管理用コンピュータ装置6との間で通信を行い、これにより設備DB7から必要な配線情報を受信する処理と、設備DB7に記憶された配線情報を更新するための情報を送信する処理を行う。
【0030】
記憶ユニット13には、定義情報データベース(定義情報DB)131が設けられている。定義情報DB131は、アダプタ検出用マーカ22の識別情報に関連付けて、当該アダプタ検出用マーカ22の属性情報と、当該アダプタ検出用マーカ22と各コネクタアダプタ端子21との位置関係を表す情報を記憶する。
【0031】
図4はこの定義情報DB131に記憶される定義情報の一例を示すもので、この定義情報はマーカ識別番号に関連付けて、マーカ形状とマーカ色の組合せ情報、マーカ寸法、マーカ間距離、原点の基準となるマーカ番号、座標格子の描画オフセット値及び描画数量を記憶したものとなっている。ここで、座標格子の描画オフセット値とは、画像認識されたアダプタ検出用マーカ22の中心点に対する座標格子の描画基準点を規定するもので、例えばx方向に○○mm、y方向に××mmというように定められる。描画数量は、描画しようとする座標格子の数を定義するもので、例えばIDMであれば16行×63列、FTMであれば4行×25列というように設定される。また定義情報DB131には、AR(Augmented reality:拡張現実)技術を適用した表示画像を生成するために必要な情報として、座標格子及びターゲット格子の画像パターンが記憶される。
【0032】
さらに定義情報DB131には、挿抜工具3に設けられた先端マーカ32の属性情報と、各コネクタプラグ端子30のQRコードも記憶されている。上記先端マーカ32の属性情報は、マーカの形状と色の組み合わせにより定義される。
【0033】
制御ユニット121は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)を備え、この発明の実施形態を実施するための必要な処理機能として、アダプタ位置検出用マーカ認識処理部121と、挿抜工具先端マーカ認識処理部122と、プラグ識別コード認識処理部123と、支援情報生成処理部124とを備えている。
なお、これらの処理部121〜124は、記憶ユニット13内のプログラムメモリに格納されたアプリケーション・プログラムを上記CPU又はDSPに実行させることにより実現される。
【0034】
アダプタ位置検出用マーカ認識処理部121は、作業者がコネクタ端子の挿抜作業に先立ち挿抜対象のコネクタアダプタ端子21の位置を確認する過程において、上記定義情報DB131に記憶されたアダプタ位置検出用マーカの属性情報、つまりマーカ形状とマーカ色との組合せの情報をもとに、上記撮像情報入力部111により取り込まれたコネクタ接続盤2の画像情報中から上記アダプタ位置検出用マーカ22を表す画像を認識する処理を行う。
【0035】
プラグ識別コード認識処理部123は、複数のコネクタプラグ端子30が保留されているIDMの保留部から挿抜対象となるコネクタプラグ端子30を選択する過程において、上記撮像情報入力部111により取り込まれた保留部の撮像画像情報から各コネクタプラグ端子のQRコードを画像認識する処理を行う。
【0036】
挿抜工具先端マーカ認識処理部122は、作業者が上記コネクタプラグ端子の選択過程において選択されたコネクタプラグ端子30をコネクタアダプタ端子21に対し挿抜しようとする過程において、上記定義情報DB131に記憶されたアダプタ位置検出用マーカの属性情報(マーカ形状とマーカ色との組合せの情報)と、挿抜工具先端マーカ32の属性情報(マーカの形状とマーカ色との組合せの情報)をもとに、上記撮像情報入力部111により取り込まれた、コネクタ接続盤2及び挿抜工具3の両方が1画面に含まれる画像情報中から、上記アダプタ位置検出用マーカ22を表す画像と、挿抜工具先端マーカ32の画像をそれぞれ認識する処理を行う。
【0037】
支援情報生成処理部124は以下の処理機能を備える。
(1) 上記アダプタ位置検出用マーカ認識処理部121により認識されたアダプタ位置検出用マーカを表す画像の撮像画像中における位置座標を算出する。そして、定義情報DB131に記憶されたマーカと座標格子との位置関係を表す情報、つまり基準となるマーカ番号、座標格子の描画オフセット値及び描画数量を表す情報に基づいて、上記撮像画像中における各コネクタアダプタ端子21の位置を表す座標格子の画像パターンを生成する。またそれと共に、作業に先立ち作業オーダ情報として入力された挿抜対象のコネクタアダプタ端子の識別情報に基づいて、上記撮像画像中における上記挿抜対象のコネクタアダプタ端子の位置を表すターゲット格子の画像パターンを生成する。そして、上記生成された座標格子及びターゲット格子の各画像パターンを上記撮像画像情報に重畳した拡張現実画像情報を生成し、この生成された拡張現実画像情報を挿抜対象となるコネクタアダプタ端子の位置確認に用いるための配線作業支援情報として表示デバイス5に表示させるべく、表示情報出力部112へ出力する処理。
【0038】
(2) 上記プラグ識別コード認識処理部123により認識された各コネクタプラグ端子のQRコードを、作業に先立ち作業オーダ情報として入力された挿抜対象のコネクタプラグ端子のQRコードと比較する。そして、上記認識された各コネクタプラグ端子のQRコードの中から、挿抜対象のコネクタプラグ端子のQRコードと一致するコードを検出する。次に、この検出されたQRコードに対応するコネクタプラグ端子の上記撮像画像中における位置を表す画像パターンを生成し、この生成された画像パターンを上記撮像画像に重畳した拡張現実画像情報を生成する。そして、この生成された拡張現実画像情報を、挿抜対象のコネクタプラグ端子の保留位置を確認するための配線作業支援情報として表示デバイス5に表示させるべく、表示情報出力部112へ出力する処理。
【0039】
(3) 挿抜工具先端マーカ認識処理部122により認識されたアダプタ位置検出用マーカ22を表す画像の撮像画像中における位置座標を算出する。そして、定義情報DB131に記憶されたマーカと座標格子との位置関係を表す情報と、作業オーダ情報として入力された挿抜対象のコネクタアダプタ端子の識別情報に基づいて、上記撮像画像中における上記挿抜対象のコネクタアダプタ端子の位置座標を算出する。またそれと共に、上記挿抜工具先端マーカ認識処理部122により認識された挿抜工具先端マーカ32を表す画像の上記撮像画像中における位置座標を算出する。そして、上記算出された挿抜対象のコネクタアダプタ端子の位置座標と先端マーカ32の位置座標とを比較してこれらの位置座標が一致するか否かを判定し、位置座標が一致した場合にその旨の報知情報を表示デバイス5に表示させるべく、表示情報出力部112へ出力する。またそれと共に、挿抜工具3のロック機構34のロック状態を解除するための制御信号を管理用コンピュータ装置6を介して挿抜工具3に与えるべく、設備情報入出力部113へ出力する処理。
【0040】
(4) コネクタアダプタ端子21に対するコネクタプラグ端子30の挿抜作業の終了後に、当該挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子21に関する配線情報を更新するための情報を生成し、この生成された更新情報を管理用コンピュータ装置6を介して設備DB7へ送るべく、設備情報入出力部113へ出力する処理。
【0041】
(動作)
(1)コネクタプラグ端子の挿着支援
図6は、コネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の挿着支援処理の手順と処理内容を示すフローチャートである。
このコネクタプラグ端子の挿着支援処理は、先ず作業者による作業オーダ情報の入力操作を受付ける。そして、この作業オーダ情報の入力を契機として、先ずコネクタ接続盤2において挿着作業対象となるコネクタアダプタ端子の位置を作業者が確認するための支援を行う。次に、当該挿着作業対象のコネクタアダプタ端子に接続すべきコネクタプラグ端子を、作業者がIDMに保留されているコネクタプラグ端子群の中から選択する作業を支援する。続いて、上記選択した挿着作業対象のコネクタプラグ端子を、作業者が挿抜工具3を使用して挿着作業対象のコネクタアダプタ端子に挿着する作業を支援し、最後に設備DB7に記憶されている配線情報のうち上記挿着作業対象となったコネクタアダプタ端子に関する配線情報を更新する処理を行う。
【0042】
(1−1)作業オーダ情報の入力
作業者は、例えば管理用コンピュータ装置6を操作することで、挿着対象となるコネクタアダプタ端子とコネクタプラグ端子を指定する。なお、この作業オーダ情報の指定操作は、例えば設備DB7に記憶されている各コネクタアダプタ端子の配線情報を読み出して一覧表示し、この表示された配線情報の中から挿着対象となるコネクタアダプタ端子を選択すると共に、挿抜対象のコネクタプラグ端子の識別コードを入力することによりなされる。
【0043】
上記管理用コンピュータ装置6において作業オーダ情報の指定操作が行われると、この作業オーダ情報は管理用コンピュータ装置6から配線作業支援装置1へ転送される。配線作業支援装置1では、上記配線オーダ情報が設備情報入出力部113で受信されると、制御ユニット12がステップS11により上記作業オーダ情報を取り込んで、記憶ユニット13内の定義情報DB131に保持させる。
【0044】
(1−2)挿着対象のコネクタアダプタ端子の位置を確認する作業の支援
上記作業オーダ情報の指定入力を終了すると、作業者はカメラ4をコネクタ接続盤2に向けその盤面の撮像動作を開始させる。配線作業支援装置1は、先ずステップS12において、上記カメラ4により撮像されたコネクタ接続盤2の撮像画像情報を撮像情報入力部111により取り込む。
【0045】
配線作業支援装置1は、次にステップS13によりアダプタ位置検出用マーカ認識処理部121を起動し、上記取り込まれたコネクタ接続盤2の撮像画像情報中からアダプタ位置検出用マーカの画像を認識する処理を行う。図7はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0046】
すなわち、先ずステップS131により撮像情報入力部111から撮像画像情報を位置をシフトしながら所定サイズ分ずつ読込み、この読込んだ画像の各々について、定義情報DB131に記憶されたアダプタ位置検出用マーカ22の形状と色の組み合わせ情報をもとに画像のマッチング処理を行って(ステップS132)、該当する形状及び色の画像パターンがあるか否かを判定する(ステップS133)。なお、アダプタ位置検出用マーカ22の形状が1種類しかない場合には、色の組み合わせのみでアダプタ位置検出用マーカ22に該当する画像の有無を判定する。そして、上記判定処理の結果、アダプタ位置検出用マーカ22に該当する画像が検出されると、撮像画像中におけるこの検出されたアダプタ位置検出用マーカ22の中心位置の座標を原点基準(x=0,y=0)とする(ステップS134)。
【0047】
続いて配線作業支援装置1は、ステップS14により支援情報生成処理部124を起動し、この支援情報生成処理部124において、上記アダプタ位置検出用マーカ22の認識結果と、定義情報DB131に記憶された座標格子の描画位置オフセット量及び描画数量をもとに、座標格子K1の画像パターンを生成し、この生成した画像パターンをコネクタ接続盤2の撮像画像上に重畳する。
【0048】
例えば、いまコネクタ接続盤2が図2に示すように構成され、かつ座標格子描画位置オフセット量が図4に例示したようにx=−30,y=−50と定義されていたとすれば、上記検出された原点基準から上記x=−30,y=−50に相当する位置座標を、撮像画像中における第1行第1例目(図2の最左上)のコネクタアダプタ端子の中心位置座標とする。そして、この第1行第1例目のコネクタアダプタ端子の中心位置座標と、定義情報DB131に記憶された描画数量を表す情報に基づいて座標格子K1の画像パターンを生成し、この座標格子K1の画像パターンをコネクタ接続盤2の撮像画像上に重畳する。
【0049】
またそれと共に、(1−1)の作業オーダ情報の指定過程において指定入力された挿着作業対象のコネクタアダプタ端子の識別情報に基づいて、上記生成された座標格子K1の中から当該挿着作業対象のコネクタアダプタ端子に相当する座標格子を選択し、この選択した座標格子にターゲット格子K2用の画像パターンをさらに重畳する。
【0050】
図8は、上記座標格子K1及びターゲット格子K2の各画像パターンを重畳したコネクタ接続盤2の撮像画像の一例を示すもので、(a)は重畳前の撮像画像を、(b)は重畳後の撮像画像をそれぞれ示している。
そして支援情報生成処理部124は、上記座標格子K1及びターゲット格子K2の各画像パターンが重畳されたコネクタ接続盤2の撮像画像情報を、挿着対象のコネクタアダプタ端子の位置確認を支援するための支援画像情報として表示情報出力部112から表示デバイス5へ出力して表示させる。したがって、作業者はこの表示デバイス5に表示された支援画像を見ることにより、挿着作業の開始に先立ち、コネクタ接続盤2における挿着作業対象のコネクタアダプタ端子の位置を確認することが可能となる。
【0051】
(1−3)挿着作業対象のコネクタプラグ端子を選択する作業の支援
作業者は、上記コネクタ接続盤2における挿着作業対象のコネクタアダプタ端子の位置を確認した後、挿抜工具3を用いてIDMの保留部に保留されているコネクタプラグ端子群の中から挿着対象のコネクタプラグ端子を選択する操作を行う。
【0052】
この操作に際し、作業者は先ずカメラ4をIDMの保留部に向け、この保留部に収容されているコネクタプラグ群のQRコードを撮像させる。そうすると、上記カメラ4により撮像されたQRコードを含むコネクタプラグ群の画像情報が配線作業支援装置1の撮像情報入力部111に取り込まれる。
【0053】
上記撮像画像情報が取り込まれると配線作業支援装置1は、ステップS15においてプラグ識別コード認識処理部123を起動し、このプラグ識別コード認識処理部123により、先ず上記取り込まれた撮像画像情報から各コネクタプラグ端子のQRコード画像をそれぞれ認識する。そして、この認識したQRコード画像をQRコードに変換する。
【0054】
次に配線作業支援装置1は、ステップS16において支援情報生成処理部124を起動し、この支援情報生成処理部124により、上記変換された各QRコードを、(1−1)の作業オーダ情報の入力過程において入力された挿着対象のコネクタプラグ端子のQRコードと比較し、一致するか否かを判定する。この判定の結果、一致するQRコードが見つかると、この一致したQRコードに対応するコネクタプラグ端子の上記撮像画像中における位置座標を算出する。そして、撮像画像上のこの算出された位置座標に、挿着対象のコネクタプラグ端子の存在位置を表す画像パターンを重畳し、この画像パターンが重畳された撮像画像情報を、挿着対象のコネクタプラグ端子の選択作業を支援するための支援画像情報として表示デバイス5に表示させる。なお、一致するQRコードが見つからなかった場合には、ステップS17によりその旨のメッセージを生成して表示デバイス5に表示させる。
【0055】
したがって作業者は、IDMの保留部に保留されている多数のコネクタプラグ端子の中から、挿着対象のコネクタプラグ端子を簡単かつ迅速に特定することができ、挿抜工具3を使用して当該挿着対象のコネクタプラグ端子を常に正確に選択し把持することが可能となる。
【0056】
(1−4)コネクタプラグ端子をコネクタアダプタ端子に挿着する作業の支援
挿抜工具3を用いて挿着対象のコネクタプラグ端子を把持すると、作業者は続いてこの挿抜工具3を使用して、上記把持された挿着対象のコネクタプラグ端子をコネクタ接続盤2の挿着対象のコネクタアダプタ端子に装着する作業を行う。
【0057】
この作業の過程で配線作業支援装置1は、挿抜工具先端マーカ認識処理部122を起動し、先ずステップS18により定義情報DB131から定義情報と、(1−1)の作業オーダ情報の入力過程において入力された挿着対象のコネクタアダプタ端子の識別情報を読込む。このとき読込まれる定義情報には、アダプタ位置検出用マーカ22の形状と色の組合せを表す情報と、当該マーカ22と座標格子との位置関係を表す情報に加え、挿抜工具先端マーカ32の形状と色の組合せを表す情報が含まれる。
【0058】
挿抜工具先端マーカ認識処理部122は、続いてステップS19において、挿抜工具3に把持されているコネクタプラグ端子が挿着対象のコネクタアダプタ端子に対し正しく挿着されようとしているか否かを以下のように判定する。
すなわち、先ず上記アダプタ位置検出用マーカ22の形状と色の組合せを表す情報と、当該マーカ22と座標格子との位置関係を表す情報をもとに、上記撮像情報入力部111により取り込まれた撮像画像情報から、コネクタ接続盤2に設けられたアダプタ位置検出用マーカ22を認識する。そして、この認識されたアダプタ位置検出用マーカ22の撮像画像中の位置座標を基準原点として、上記挿着対象のコネクタアダプタ端子の撮像画像中における位置座標を算出する。
【0059】
またそれと共に、上記挿抜工具先端マーカ32の形状と色の組合せを表す情報をもとに、上記撮像画像情報から挿抜工具先端マーカ32を認識し、この認識した挿抜工具先端マーカ32の撮像画像中の位置座標を算出する。図9はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0060】
すなわち、先ずステップS191において撮像画像情報を位置をシフトしながら所定サイズ分ずつ読込み、この読込んだ画像を色調分解によりRGB形式からHSV形式に変換する。そして、この変換されたHSV形式の画像から、ステップS192,S193,S194によりそれぞれ挿抜工具先端マーカ32を認識するために必要なH(Hue)、S(Saturation)、V(Value)の要素を抽出する。続いてステップS195において、上記抽出された各HSVの各要素をもとに撮像画像中から挿抜工具先端マーカ32を認識する処理を行う。
【0061】
そして、挿抜工具先端マーカ32を認識したことがステップS196により確認されると、ステップS197により上記認識された挿抜工具先端マーカ32の検出位置座標を、上記アダプタ位置検出用マーカ22の位置座標と同一の座標系の座標値に変換する。さらに、上記アダプタ位置検出用マーカ22と上記挿抜工具先端マーカ32との間の距離、つまりコネクタ接続盤2と挿抜工具先端31との間の離間距離を計算する。なお、このコネクタ接続盤2と挿抜工具先端31との間の距離は、例えば撮像画像情報に含まれる複数のアダプタ位置検出用マーカ22を用いた三角測量法等の手法を適用することにより可能である。
【0062】
そして、上記コネクタ接続盤2と挿抜工具先端31との間の離間距離が零になったことが検出されると、配線作業支援装置1は続いて支援情報生成処理部124を起動する。そして、この状態で撮像画像から検出した挿着対象のコネクタアダプタ端子の位置座標と、同一座標系における上記挿抜工具先端マーカ32の位置座標とを比較し、これらの位置座標が一致するか否かをステップS20で判定する。そして、両位置座標が一致しなければ、挿抜工具3の先端は挿着対象のコネクタアダプタ端子に対向していないと判断し、ステップS21によりその旨のメッセージを生成して表示デバイス5に表示させる。したがって、作業者はこの表示メッセージにより、コネクタプラグ端子を挿着しようとしているコネクタアダプタ端子は誤っていることを認識できる。
【0063】
これに対し、上記両位置座標が一致したとすると、挿抜工具3の先端は挿着対象のコネクタアダプタ端子に対向していると判断し、その旨のメッセージを表示デバイス5に表示させ、作業者にコネクタプラグ端子の挿着操作を促す。
【0064】
(1−5)設備DB7の更新
上記挿着対象のコネクタアダプタ端子21に対するコネクタプラグ端子30の挿着が終了すると、支援情報生成処理部124は当該挿着対象のコネクタアダプタ端子21に関する配線情報を更新するための情報を生成する。そして、この生成された更新情報を設備情報入出力部113から管理用コンピュータ装置6へ送信する。これにより、管理用コンピュータ装置6によって、設備DB7の該当するコネクタアダプタ端子21に関する配線情報が更新される。
すなわち、コネクタアダプタ端子21に対するコネクタプラグ端子30の挿着作業が行われると、設備DB7の該当するコネクタアダプタ端子21に関する配線情報が自動的に更新される。
【0065】
なお、挿着作業の終了は、作業者が管理用コンピュータ装置6に対し終了コマンドを入力することで配線作業支援装置1の支援情報生成処理部124においても認識できる。しかし、これに限らず挿抜工具3からコネクタプラグ端子30が外れたことを管理用コンピュータ装置6により検出し、その検出情報を配線作業支援装置1に通知することにより支援情報生成処理部124で認識するようにしてもよい。
【0066】
(2)コネクタプラグ端子の抜去支援
図10は、コネクタアダプタ端子からコネクタプラグ端子を抜去する作業を支援する処理の手順と処理内容を示すフローチャートである。なお、同図において、前記図6と処理内容が対応するステップについては同一符号を付して説明を行う。
【0067】
(2−1)作業オーダ情報の入力
作業者は、例えば管理用コンピュータ装置6において、抜去作業対象となるコネクタアダプタ端子とコネクタプラグ端子を指定する。なお、この抜去対象のコネクタアダプタ端子とコネクタプラグ端子の指定作業は、設備DB7に記憶されている配線情報を一覧表示して、その中から抜去対象のコネクタアダプタ端子を選択指定することによりなされる。
【0068】
上記管理用コンピュータ装置6において指定された作業オーダ情報は、管理用コンピュータ装置6から配線作業支援装置1へ転送される。配線作業支援装置1では、上記配線オーダ情報が設備情報入出力部113で受信されると、制御ユニット12がステップS11により上記作業オーダ情報を取り込んで、記憶ユニット13内の定義情報DB131に保存させる。
【0069】
(2−2)抜去対象のコネクタアダプタ端子の位置を確認する作業の支援
上記作業オーダ情報の指定入力を終了すると、作業者はカメラ4をコネクタ接続盤2に向けその盤面の撮像動作を開始させる。配線作業支援装置1は、先ずステップS12において、上記カメラ4により撮像されたコネクタ接続盤2の撮像画像情報を撮像情報入力部111により取り込む。
【0070】
配線作業支援装置1は、次にステップS13によりアダプタ位置検出用マーカ認識処理部121を起動し、上記取り込まれたコネクタ接続盤2の撮像画像情報中からアダプタ位置検出用マーカの画像を認識する処理を行う。このアダプタ位置検出用マーカの認識処理は、挿着作業の場合と同様に図7に示した手順に従い行われる。
【0071】
続いて配線作業支援装置1は、ステップS14により支援情報生成処理部124を起動し、この支援情報生成処理部124において、上記アダプタ位置検出用マーカ22の認識結果と、定義情報DB131に記憶された座標格子の描画位置オフセット量及び描画数量をもとに、座標格子K1の画像パターンを生成し、この生成した画像パターンを図8(b)に示したようにコネクタ接続盤2の撮像画像上に重畳する。
【0072】
またそれと共に、(2−1)の作業オーダ情報の指定過程において指定入力された抜去対象のコネクタアダプタ端子の識別情報に基づいて、上記生成された座標格子K1の中から当該抜去対象のコネクタアダプタ端子に相当する座標格子を選択し、この選択した座標格子にターゲット格子K2用の画像パターンを図8(b)に示したようにさらに重畳する。
【0073】
そして支援情報生成処理部124は、上記座標格子K1及びターゲット格子K2の各画像パターンが重畳されたコネクタ接続盤2の撮像画像情報を、抜去対象のコネクタアダプタ端子の位置確認を支援するための支援画像情報として表示情報出力部112から表示デバイス5へ出力して表示させる。したがって、作業者は抜去作業の開始に先立ち、コネクタ接続盤2における抜去対象のコネクタアダプタ端子及びプラグ端子の位置を確認することが可能となる。
【0074】
(2−3)抜去対象のコネクタプラグ端子を選択する作業の支援
作業者は、上記コネクタ接続盤2における抜去対象のコネクタアダプタ端子の位置を確認すると、挿抜工具3を用いて当該コネクタ接続盤2のコネクタアダプタ端子に挿着されているコネクタプラグ端子を把持する操作を行う。
【0075】
このとき、上記抜去対象のコネクタプラグ端子を含むコネクタ接続盤2の画像がカメラ4により撮像され、この撮像画像情報は配線作業支援装置1の撮像情報入力部111に取り込まれる。撮像画像情報が取り込まれると配線作業支援装置1は、ステップS15においてプラグ識別コード認識処理部123を起動し、上記取り込まれた撮像画像情報から抜去対象のコネクタプラグ端子のQRコード画像を認識し、この認識したQRコード画像をQRコードに変換する。
【0076】
次に配線作業支援装置1は、ステップS16において支援情報生成処理部124を起動する。そして、この支援情報生成処理部124により、上記変換されたQRコードを、作業オーダ情報により事前に指定された抜去対象のコネクタプラグ端子のQRコードと比較して一致するか否かを判定する。この判定の結果QRコードが一致すると、この一致したQRコードに対応するコネクタプラグ端子の上記撮像画像中における位置座標を算出する。そして、撮像画像上のこの算出された位置座標に、抜去対象のコネクタプラグ端子の位置を表す画像パターンを重畳し、この画像パターンが重畳された撮像画像情報を表示デバイス5に表示させる。なお、QRコードが一致しなかった場合には、ステップS17によりその旨のメッセージを生成して表示デバイス5に表示させる。
したがって作業者は、抜去対象のコネクタプラグ端子の有無とその位置を簡単かつ迅速に確認することができる。
【0077】
(2−4)コネクタアダプタ端子からコネクタプラグ端子を抜去する作業の支援
抜去対象のコネクタプラグ端子を把持するべく挿抜工具3をコネクタ接続盤2に近づけると、当該挿抜工具3を含むコネクタ接続盤2の画像がカメラ4により撮像され、その撮像画像情報が配線作業支援装置1の撮像情報入力部111に取り込まれる。
【0078】
配線作業支援装置1は、挿抜工具先端マーカ認識処理部122を起動し、先ずステップS18により定義情報DB131から定義情報と、作業オーダ情報として事前に指定された抜去対象のコネクタアダプタ端子及びコネクタプラグ端子の識別コードを読込む。このとき読込まれる定義情報には、アダプタ位置検出用マーカ22の形状と色の組合せを表す情報と、当該マーカ22と座標格子との位置関係を表す情報に加え、挿抜工具先端マーカ32の形状と色の組合せを表す情報が含まれる。
【0079】
挿抜工具先端マーカ認識処理部122は、続いてステップS19において、挿抜工具3の先端部31が抜去対象のコネクタプラグ端子に対し正しく対向しているか否かを以下のように判定する。
すなわち、先ず上記挿抜工具先端マーカ32の形状と色の組合せを表す情報をもとに、上記撮像画像情報から挿抜工具先端マーカ32を認識し、この認識した挿抜工具先端マーカ32の撮像画像中の位置座標を算出する。この挿抜工具先端マーカ32の認識及び位置座標の算出処理は図9に示した手順で行われる。
【0080】
すなわち、先ずステップS191において撮像画像情報を位置をシフトしながら所定サイズ分ずつ読込み、この読込んだ画像を色調分解によりRGB形式からHSV形式に変換する。そして、この変換されたHSV形式の画像から、ステップS192,S193,S194によりそれぞれ挿抜工具先端マーカ32を認識するために必要なH(Hue)、S(Saturation)、V(Value)の要素を抽出する。続いてステップS195において、上記抽出された各HSVの各要素をもとに撮像画像中から挿抜工具先端マーカ32を認識する処理を行う。そして、挿抜工具先端マーカ32を認識したことがステップS196により確認されると、ステップS197により上記認識された挿抜工具先端マーカ32の検出位置座標を、上記アダプタ位置検出用マーカ22の位置座標と同一の座標系の座標値に変換する。さらに、上記アダプタ位置検出用マーカ22と上記挿抜工具先端マーカ32との間の距離、つまりコネクタ接続盤2と挿抜工具先端31との間の離間距離を計算する。
【0081】
上記コネクタ接続盤2と挿抜工具先端31との間の離間距離が零になったことが検出されると、配線作業支援装置1は続いて支援情報生成処理部124を起動する。そして、この状態で撮像画像から抜去対象のコネクタアダプタ端子の位置座標を算出し、この算出された抜去対象のコネクタアダプタ端子の位置座標と、上記挿抜工具先端マーカ32の位置座標とを比較する。そして、これらの位置座標が一致するか否かをステップS20で判定する。この判定の結果、両位置座標が一致しなければ、挿抜工具3の先端部31は抜去対象のコネクタアダプタ端子に対向していないと判断し、ステップS21によりその旨のメッセージを生成して表示デバイス5に表示させる。したがって、作業者はこの表示メッセージにより、誤ったコネクタプラグ端子を抜去しようとしていることを認識できる。
【0082】
これに対し、上記両位置座標が一致したとする。そうすると、挿抜工具3の先端は抜去対象のコネクタアダプタ端子に対向していると判断し、その旨のメッセージを表示デバイス5に表示させる。またそれと共にステップS31において、設備情報入出力部113から管理用コンピュータ装置6に対しロック解除のための制御信号を送信して、挿抜工具3のロック機構34のロック状態を解除させる。かくして、挿抜工具3によるコネクタプラグ端子の抜去操作が可能となる。
【0083】
(2−5)設備DB7の更新
上記コネクタプラグ端子の抜去作業が終了すると、支援情報生成処理部124は当該コネクタプラグ端子が抜去されたコネクタアダプタ端子21に関する配線情報を更新するための情報を生成する。そして、この生成された更新情報を設備情報入出力部113から管理用コンピュータ装置6へ送信する。これにより、管理用コンピュータ装置6によって、設備DB7の該当するコネクタアダプタ端子21に関する配線情報が更新される。
すなわち、抜去対象のコネクタアダプタ端子21からコネクタプラグ端子30が抜去されると、設備DB7の該当するコネクタアダプタ端子21に関する配線情報が自動的に更新される。
【0084】
以上詳述したようにこの実施形態では、配線作業支援装置1において、コネクタ接続盤2のコネクタアダプタ端子21に対するコネクタプラグ端子30の挿抜作業に先立ち、アダプタ位置検出用マーカ認識処理部121により、カメラ4により撮像されたコネクタ接続盤2の画像情報からアダプタ位置検出用マーカ21を認識する。そして、支援情報生成処理部124により、上記撮像画像中におけるアダプタ位置検出用マーカ21の位置座標と、予め記憶しておいた定義情報及び作業オーダ情報とをもとに、座標格子K1及びターゲット格子K2の画像パターンを生成し、この画像パターンを上記撮像画像に重畳して表示デバイス5に表示するようにしている。
【0085】
したがって、実際に撮像したコネクタ接続盤2の画像に重畳して、各コネクタアダプタ端子21の位置と、挿抜作業の対象となるコネクタアダプタ端子の位置を表す座標格子K1及びターゲット格子K2の画像パターンが表示されることになる。すなわち、拡張現実技術を適用した作業支援情報が表示されることになる。このため、コネクタ接続盤2に多数のコネクタアダプタ端子21が配置されている場合でも、作業者はコネクタプラグ端子の挿抜作業に先立ち、挿抜作業の対象となるコネクタアダプタ端子の位置を明確に認識することが可能となる。
【0086】
また、挿抜工具3を用いて挿抜対象のコネクタプラグ端子30を把持しようとする際に、挿抜対象のコネクタプラグ端子に添付されているQRコードをその撮像画像から認識し、この認識したQRコードを、事前に作業オーダ情報として入力しておいた挿抜対象のコネクタプラグ端子のQRコードと照合して、その照合結果を表す情報を表示するようにしている。
【0087】
したがって、挿抜工具3を用いて挿抜対象のコネクタプラグ端子30を把持しようとする際に、作業者は把持しようとしているコネクタプラグ端子30が挿抜対象の端子か否かを確認することができる。この効果は、IDMの保留部に多数のコネクタプラグ端子が保留されていて、この多数のコネクタプラグ端子の中から挿着対象のコネクタプラグ端子を選択し把持する際に、特に有効である。
【0088】
さらに、挿抜工具3を用いて挿抜対象のコネクタアダプタ端子21に対しコネクタプラグ端子30を挿抜しようとする際に、挿抜工具3に設けられた先端マーカ31を撮像画像中から認識してその撮像画像中の位置座標を算出し、この先端マーカ31の位置座標を、同様に上記撮像画像に含まれるアダプタ位置検出用マーカと定義情報及び位置オーダ情報とから算出した挿抜対象のコネクタアダプタ端子の位置座標と比較し、その結果を表示デバイス5に表示するようにしている。
【0089】
したがって、コネクタアダプタ端子に対しコネクタプラグ端子を挿抜する際に、挿抜対象として正しいコネクタアダプタ端子に対しコネクタプラグ端子が挿抜されようとしているか否かが作業者に提示される。このため、誤ったコネクタアダプタ端子に対しコネクタプラグ端子を挿着したり、或いは抜去してしまうことを防止することができる。
【0090】
さらに、コネクタプラグ端子の挿着又は抜去作業が終了した後に、当該コネクタプラグ端子が挿着又は抜去されたコネクタアダプタ端子21に関する配線情報を更新するための情報を生成し、この生成された管理用コンピュータ装置6へ送信して設備DB7の該当するコネクタアダプタ端子21に関する配線情報を更新するようにしている。
【0091】
したがって、挿着又は抜去対象のコネクタアダプタ端子21に対するコネクタプラグ端子30の挿着又は抜去作業が行われると、設備DB7の該当するコネクタアダプタ端子21に関する配線情報が自動的に更新される。このため、作業者は挿抜作業終了後に配線情報の更新操作を別途行う必要がなくなり、これにより作業者の作業負担は軽減される。また、設備DB7の配線情報を常に最新の内容に保持することができる。
【0092】
さらに、撮像画像上における、抜去対象のコネクタアダプタ端子の位置座標と、挿抜工具先端マーカ32の位置座標とを比較し、これらの位置座標が一致した場合に、ロック解除信号を送信して挿抜工具3のロック機構34のロック状態を解除するようにしている。
このため、誤ったコネクタアダプタ端子からコネクタプラグ端子を抜去しようとしても、挿抜工具は動作しないように制御されるので、誤った抜去作業を確実に防止することができる。
【0093】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、抜去対象の正しいコネクタアダプタ端子からコネクタプラグ端子を抜去する場合にのみ、挿抜工具3のロック機構34のロック状態を解除するように制御した。しかし、挿着対象の正しいコネクタアダプタ端子に対しコネクタプラグ端子を挿着する場合にも、挿抜工具3のロック機構34のロック状態を解除するように制御してもよい。
【0094】
また、IDMの保留部に保留されているコネクタプラグ端子を挿抜工具3を用いて把持する際にも、挿抜工具3のロック機構34を制御するようにしてもよい。この場合、配線作業支援装置1は、挿着工具3及びIDMの保留部を含む範囲をカメラ4により撮像する。そして、この撮像画面から挿抜工具3に設けられた先端マーカ32の位置座標と、上記挿着対象のコネクタプラグ端子の位置座標をそれぞれ検出し、これらの位置座標が一致する場合にのみ管理用コンピュータ装置6に対しロック解除のための制御信号を送信して、挿抜工具3のロック機構34のロックを解除させる。このようにすると、作業者が挿抜工具3により挿着対象以外のコネクタプラグ端子を把持しようとしても、把持できないようにすることができる。
【0095】
さらに、前記実施形態では管理用コンピュータ装置6及び設備DB7とは別に配線作業支援装置1を設けて配線作業の支援制御を行うようにしたが、管理用コンピュータ装置6に配線作業支援装置1の機能を持たせても良い。すなわち、管理用コンピュータ装置6と配線作業支援装置1は統合することが可能である。
【0096】
その他、配線作業支援装置の構成、各作業過程における支援処理手順と支援処理内容、アダプタ位置検出用マーカ及び挿抜工具の先端マーカの構成等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0097】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…配線作業支援装置、2…コネクタ接続盤、3…挿抜工具、4…カメラ、5…表示デバイス、6…管理用コンピュータ装置、7…設備データベース(設備DB)、11…インタフェースユニット、12制御ユニット、13…記憶ユニット、21…コネクタアダプタ端子群、22…アダプタ位置検出用マーカ、30…コネクタプラグ端子、31…工具先端部、32…先端マーカ、111…撮像情報入力部、112…表示情報入力部、113…設備情報入出力部、121…アダプタ位置検出用マーカ認識処理部、122…挿抜工具先端マーカ認識処理部、123…プラグ識別コード認識処理部、124…支援情報生成処理部、131…定義情報データベース(定義情報DB)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコネクタアダプタ端子と当該コネクタアダプタ端子を検出するための第1のマーカが設けられたコネクタ接続盤において、前記複数のコネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の選択的な挿抜作業を支援する配線作業支援装置であって、
前記第1のマーカの識別情報に関連付けて、当該第1のマーカの属性情報と、当該第1のマーカと前記複数のコネクタアダプタ端子との相対的な位置関係を表す位置定義情報を記憶した定義情報記憶手段と、
前記挿抜作業に先立ち、当該挿抜作業の対象となるコネクタアダプタ端子及びコネクタプラグ端子を指定するための作業オーダ情報の入力を受付ける手段と、
前記コネクタ接続盤の前記複数のコネクタアダプタ端子と第1のマーカを含む領域を撮像した第1の画像情報をカメラから取得する手段と、
前記定義情報記憶手段に記憶された第1のマーカの属性情報をもとに、前記取得された第1の画像情報中から第1のマーカを認識する手段と、
前記認識された第1のマーカの前記第1の画像情報中における位置座標と、前記定義情報記憶手段に記憶された位置定義情報と、前記入力された作業オーダ情報とに基づいて、前記第1の画像情報中における、前記複数のコネクタアダプタ端子の位置を表す第1の画像パターン及び前記挿抜作業の対象として指定されたコネクタアダプタ端子の位置を表す第2の画像パターンをそれぞれ生成する手段と、
前記生成された第1及び第2の画像パターンを前記第1の画像情報に重畳した合成画像情報を生成し、この生成された合成画像情報を表示手段に表示させる手段と
を具備することを特徴とする配線作業支援装置。
【請求項2】
保留中の複数のコネクタプラグ端子が、各々固有の識別情報が表示された状態で保留部に収容されている場合に、当該保留部に収容されている前記複数のコネクタプラグ端子の固有識別情報を一括して撮像した第2の画像情報をカメラから取得する手段と、
前記取得された第2の画像情報中から前記複数のコネクタプラグ端子の固有識別情報をそれぞれ認識する手段と、
前記認識された各固有識別情報を、前記作業オーダ情報により挿抜作業の対象として指定されたコネクタプラグ端子の識別情報とそれぞれ照合して、当該挿抜作業の対象となるコネクタプラグ端子の識別情報と一致する固有識別情報を検出し、この検出された固有識別情報に対応するコネクタプラグ端子の前記保留部における収容位置を表す情報を前記表示手段に表示させる手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の配線作業支援装置。
【請求項3】
前記コネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の挿抜作業を、工具位置検出用の第2のマーカが取着された挿抜工具を用いて行う際に、前記挿抜工具及びコネクタ接続盤を含む領域を撮像した第3の画像情報をカメラから取得する手段と、
前記定義情報記憶手段に記憶された第1及び第2のマーカの属性情報をもとに、前記取得された第3の画像情報中から第1及び第2のマーカを認識する手段と、
前記認識された第1のマーカの前記第3の画像情報中における位置座標と、前記定義情報記憶手段に記憶された位置定義情報と、前記入力された作業オーダ情報とに基づいて、前記挿抜作業の対象として指定されたコネクタアダプタ端子の前記第3の画像情報中における位置座標を算出する手段と、
前記認識された第2のマーカを表す画像の前記第3の画像情報中における位置座標を算出する手段と、
前記算出された挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子の位置座標と前記第2のマーカの位置座標とを比較して、これらの位置座標が一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を表す情報を前記表示手段に表示させる手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載の配線作業支援装置。
【請求項4】
前記コネクタ接続盤に設けられた複数のコネクタアダプタ端子の識別情報に関連付けて、当該コネクタアダプタ端子の使用状態を表す配線情報を記憶する設備情報記憶手段が設けられている場合に、
前記挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子に対する前記挿抜作業対象のコネクタプラグ端子の挿抜作業の終了後に、当該挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子に関する配線情報を更新するための情報を生成し、この生成された更新情報に基づいて前記設備情報記憶手段に記憶された配線情報を更新する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の配線作業支援装置。
【請求項5】
前記判定手段により各位置座標が一致すると判定された場合にのみ前記挿抜工具のロック状態を解除して挿抜動作を可能にするように前記挿抜工具を制御する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項3記載の配線作業支援装置。
【請求項6】
複数のコネクタアダプタ端子と当該コネクタアダプタ端子を検出するための第1のマーカが設けられたコネクタ接続盤において、前記複数のコネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の選択的な挿抜作業を支援する配線作業支援方法であって、
前記第1のマーカの識別情報に関連付けて、当該第1のマーカの属性情報と、当該第1のマーカと前記複数のコネクタアダプタ端子との相対的な位置関係を表す位置定義情報を記憶する過程と、
前記挿抜作業に先立ち、当該挿抜作業の対象となるコネクタアダプタ端子及びコネクタプラグ端子を指定するための作業オーダ情報の入力を受付ける過程と、
前記コネクタ接続盤の前記複数のコネクタアダプタ端子と第1のマーカを含む領域を撮像した第1の画像情報をカメラから取得する過程と、
前記定義情報記憶手段に記憶された第1のマーカの属性情報をもとに、前記取得された第1の画像情報中から第1のマーカを認識する過程と、
前記認識された第1のマーカの前記第1の画像情報中における位置座標と、前記定義情報記憶手段に記憶された位置定義情報と、前記入力された作業オーダ情報とに基づいて、前記第1の画像情報中における、前記複数のコネクタアダプタ端子の位置を表す第1の画像パターン及び前記挿抜作業の対象として指定されたコネクタアダプタ端子の位置を表す第2の画像パターンをそれぞれ生成する過程と、
前記生成された第1及び第2の画像パターンを前記第1の画像情報に重畳した合成画像情報を生成し、この生成された合成画像情報を表示手段に表示させる過程と
を具備することを特徴とする配線作業支援方法。
【請求項7】
保留中の複数のコネクタプラグ端子が、各々固有の識別情報が表示された状態で保留部に収容されている場合に、当該保留部に収容されている前記複数のコネクタプラグ端子の固有識別情報を一括して撮像した第2の画像情報をカメラから取得する過程と、
前記取得された第2の画像情報中から前記複数のコネクタプラグ端子の固有識別情報をそれぞれ認識する過程と、
前記認識された各固有識別情報を、前記作業オーダ情報により挿抜作業の対象として指定されたコネクタプラグ端子の識別情報とそれぞれ照合して、当該挿抜作業の対象となるコネクタプラグ端子の識別情報と一致する固有識別情報を検出し、この検出された固有識別情報に対応するコネクタプラグ端子の前記保留部における収容位置を表す情報を前記表示手段に表示させる過程と
を、さらに具備することを特徴とする請求項6記載の配線作業支援方法。
【請求項8】
前記コネクタアダプタ端子に対するコネクタプラグ端子の挿抜作業を、工具位置検出用の第2のマーカが取着された挿抜工具を用いて行う際に、前記挿抜工具及びコネクタ接続盤を含む領域を撮像した第3の画像情報をカメラから取得する過程と、
前記定義情報記憶過程に記憶された第1及び第2のマーカの属性情報をもとに、前記取得された第3の画像情報中から第1及び第2のマーカを認識する過程と、
前記認識された第1のマーカの前記第3の画像情報中における位置座標と、前記定義情報記憶過程に記憶された位置定義情報と、前記入力された作業オーダ情報とに基づいて、前記挿抜作業の対象として指定されたコネクタアダプタ端子の前記第3の画像情報中における位置座標を算出する過程と、
前記認識された第2のマーカを表す画像の前記第3の画像情報中における位置座標を算出する過程と、
前記算出された挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子の位置座標と前記第2のマーカの位置座標とを比較して、これらの位置座標が一致するか否かを判定する判定過程と、
前記判定過程による判定結果を表す情報を前記表示手段に表示させる過程と
を、さらに具備することを特徴とする請求項6又は7記載の配線作業支援方法。
【請求項9】
前記コネクタ接続盤に設けられた複数のコネクタアダプタ端子の識別情報に関連付けて、当該コネクタアダプタ端子の使用状態を表す配線情報を記憶する設備情報記憶手段が設けられている場合に、
前記挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子に対する前記挿抜作業対象のコネクタプラグ端子の挿抜作業の終了後に、当該挿抜作業対象のコネクタアダプタ端子に関する配線情報を更新するための情報を生成し、この生成された更新情報に基づいて前記設備情報記憶手段に記憶された配線情報を更新する過程を、さらに具備することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の配線作業支援方法。
【請求項10】
前記判定する過程により各位置座標が一致すると判定された場合にのみ、前記挿抜工具のロック状態を解除して挿抜動作を可能にするように前記挿抜工具を制御する過程を、さらに具備することを特徴とする請求項8記載の配線作業支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−247700(P2012−247700A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120814(P2011−120814)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】