説明

配線回路基板およびその製造方法

【課題】配線パターンの所定部分がソルダーレジスト層により確実に被膜されるとともに、ソルダーレジスト層が不要部分に形成されることが防止され、信頼性が向上された配線回路基板を提供することである。
【解決手段】ベース絶縁層1上には、電子部品5が実装される領域Sが設けられている。領域Sの対向する2辺の内側から外側にそれぞれ延びるように2組の配線パターン群2gが配置される。各配線パターン群2gは平行に配置された複数の配線パターン2を含む。ベース絶縁層1上で各配線パターン群2gの両側にダムパターン2aが形成される。2つのダムパターン2a間の配線パターン2を覆うようにベース絶縁層1上にソルダーレジスト層3が形成される。電子部品5は配線パターン2の端子部2bに電気的に接続される。ダムパターン2aは、電子部品5とは電気的に接続されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル配線回路基板等の配線回路基板は、一般に、絶縁層からなる基板上に導体層からなる配線パターンが形成されたものであり、様々な電子機器に用いられている。
【0003】
配線回路基板には、配線パターンの外部からの物理的保護および電気的絶縁を目的として、配線パターンを覆うようにスクリーン印刷等を用いてソルダーレジスト層が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−110852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配線回路基板の製造時に、ソルダーレジスト層の粘度が低い場合には、ソルダーレジスト層が流動し、パッド等のソルダーレジスト層で被覆する必要のない部分にもソルダーレジスト層が形成されることがある。逆に、配線パターンの被膜すべき部分が露出することもある。
【0005】
図4(a)は、従来の配線回路基板におけるソルダーレジスト層の不良の発生を説明するための平面図である。図4(b)は、図4(a)の配線回路基板のY―Y線断面図である。
【0006】
図4の配線回路基板10aにおいては、ベース絶縁層1上に複数の配線パターン2が平行に並ぶように形成され、配線パターン2を覆うようにソルダーレジスト層3が形成される。
【0007】
ソルダーレジスト層3の流動により配線パターン2のエッジ部Aが露出すると、エッジ部Aで配線パターン2の物理的保護および電気的絶縁を確保することができない。
【0008】
本発明の目的は、配線パターンの所定部分がソルダーレジスト層により確実に被膜されるとともに、ソルダーレジスト層が不要部分に形成されることが防止され、信頼性が向上された配線回路基板およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1の発明に係る配線回路基板は、電子部品が実装される配線回路基板であって、絶縁層と、絶縁層上に形成され、電子部品に電気的に接続されるべき導体パターンと、絶縁層上で導体パターンの少なくとも所定部分に間隔をおいて隣接するように形成され、電子部品と電気的に分離されるべきダムパターンと、絶縁層上でダムパターンに関して導体パターン側の領域において導体パターンの所定部分を覆うように形成されるソルダーレジストとを備えるものである。
【0010】
第1の発明に係る配線回路基板においては、絶縁層上に導体パターンが形成される。導体パターンの少なくとも所定部分に間隔をおいて隣接するようにダムパターンが形成される。ダムパターンに関して導体パターン側の領域において導体パターンの所定部分を覆うようにソルダーレジストが形成される。配線回路基板に電子部品が実装される際には、導体パターンは電子部品と電気的に接続され、ダムパターンは電子部品と電気的に分離される。
【0011】
この場合、ソルダーレジストの粘度が低くても、ダムパターンによりソルダーレジストの流動を阻止することができる。それにより、導体パターン上のソルダーレジストの厚みが十分に保持され、導体パターンの所定部分の一部が露出することが防止される。また、ソルダーレジストで被膜する必要のない部分に、ソルダーレジストが形成されることが防止される。これらの結果、配線回路基板の信頼性が向上される。
【0012】
(2)導体パターンとダムパターンとの間隔は、50μm以上1000μm以下であってもよい。
【0013】
この場合、導体パターンとダムパターンとの間隔が50μm以上であることにより、ダムパターンによりソルダーレジストの流動を確実に阻止することができる。それにより、ソルダーレジストで被膜する必要のない部分に、ソルダーレジストが形成されることが確実に防止される。
【0014】
また、導体パターンとダムパターンとの間隔が1000μm以下であることにより、導体パターンとダムパターンとの間において、ソルダーレジストの厚みを十分に保持することができる。それにより、導体パターンの一部が露出することが確実に防止される。
【0015】
(3)ダムパターンの厚みは、導体パターンの厚みと等しくてもよい。この場合、製造工程において、導体パターンとダムパターンとを同時に形成することが可能となる。したがって、製造工程数および製造コストが低減される。
【0016】
(4)ダムパターンの厚みは、導体パターンの厚みよりも大きくてもよい。この場合、ダムパターンによりソルダーレジストの流動をより確実に阻止することができる。
【0017】
(5)第2の発明に係る配線回路基板は、電子部品が実装される配線回路基板であって、絶縁層と、絶縁層上に形成され、電子部品に電気的に接続されるべき1または複数の導体パターンを含む導体パターン群と、絶縁層上で導体パターン群の少なくとも所定領域を挟んで互いに対向しかつ導体パターン群の少なくとも所定領域に間隔をおいて隣接するように形成され、電子部品と電気的に分離されるべき第1および第2のダムパターンと、絶縁層上で第1および第2のダムパターンの間において導体パターン群の所定領域を覆うように形成されるソルダーレジストとを備えるものである。
【0018】
第2の発明に係る配線回路基板においては、絶縁層上に1または複数の導体パターンを含む導体パターン群が形成される。導体パターン群の所定領域を挟んで互いに対向しかつ導体パターン群の所定領域に間隔をおいて隣接するように第1および第2のダムパターンが形成される。第1および第2のダムパターンの間において導体パターン群の所定領域を覆うようにソルダーレジストが形成される。配線回路基板に電子部品が実装される際には、導体パターン群の各導体パターンは電子部品と電気的に接続され、第1および第2のダムパターンは電子部品と電気的に分離される。
【0019】
この場合、ソルダーレジストの粘度が低くても、第1および第2のダムパターンの各々によりソルダーレジストの流動を阻止することができる。それにより、導体パターン群上のソルダーレジストの厚みが十分に保持され、導体パターン群の所定領域の一部が露出することが防止される。また、ソルダーレジストで被膜する必要のない部分に、ソルダーレジストが形成されることが防止される。これらの結果、配線回路基板の信頼性が向上される。
【0020】
(6)導体パターン群と第1および第2のダムパターンの各々との間隔は、50μm以上1000μm以下であってもよい。
【0021】
この場合、導体パターン群と第1および第2のダムパターンの各々との間隔が50μm以上であることにより、ダムパターンによりソルダーレジストの流動を確実に阻止することができる。それにより、ソルダーレジストで被膜する必要のない部分に、ソルダーレジストが形成されることが確実に防止される。
【0022】
また、導体パターン群と第1および第2のダムパターンの各々との間隔が1000μm以下であることにより、導体パターン群と第1および第2のダムパターンの各々との間において、ソルダーレジストの厚みを十分に保持することができる。それにより、導体パターン群の所定領域の一部が露出することが確実に防止される。
【0023】
(7)第3の発明に係る配線回路基板の製造方法は、電子部品が実装される配線回路基板の製造方法であって、絶縁層上に電子部品に電気的に接続されるべき導体パターンを形成する工程と、絶縁層上で導体パターンの少なくとも所定部分に間隔をおいて隣接するように、電子部品と電気的に分離されるべきダムパターンを形成する工程と、絶縁層上でダムパターンに関して導体パターン側の領域において導体パターンの所定部分を覆うようにソルダーレジストを形成する工程とを備えるものである。
【0024】
第3の発明に係る配線回路基板の製造方法においては、絶縁層上に導体パターンが形成される。導体パターンの少なくとも所定部分に間隔をおいて隣接するようにダムパターンが形成される。ダムパターンに関して導体パターン側の領域において導体パターンの所定部分を覆うようにソルダーレジストが形成される。配線回路基板に電子部品が実装される際には、導体パターンは電子部品と電気的に接続され、ダムパターンは電子部品と電気的に分離される。
【0025】
この場合、ソルダーレジストの粘度が低くても、ダムパターンによりソルダーレジストの流動を阻止することができる。それにより、導体パターン上のソルダーレジストの厚みが十分に保持され、導体パターンの所定部分の一部が露出することが防止される。また、ソルダーレジストで被膜する必要のない部分に、ソルダーレジストが形成されることが防止される。これらの結果、配線回路基板の信頼性が向上される。
【0026】
(8)第4の発明に係る配線回路基板の製造方法は、電子部品が実装される配線回路基板の製造方法であって、絶縁層上に電子部品に電気的に接続されるべき1または複数の導体パターンを含む導体パターン群を形成する工程と、絶縁層上で導体パターン群の少なくとも所定領域を挟んで互いに対向しかつ1または複数の導体パターンの少なくとも所定領域に間隔をおいて隣接するように、電子部品と電気的に分離される第1および第2のダムパターンを形成する工程と、絶縁層上で第1および第2のダムパターンの間において所定領域を覆うようにソルダーレジストを形成する工程とを備えるものである。
【0027】
第4の発明に係る配線回路基板の製造方法においては、絶縁層上に1または複数の導体パターンを含む導体パターン群が形成される。導体パターン群の所定領域を挟んで互いに対向しかつ導体パターン群の所定領域に間隔をおいて隣接するように第1および第2のダムパターンが形成される。第1および第2のダムパターンの間において導体パターン群の所定領域を覆うようにソルダーレジストが形成される。配線回路基板に電子部品が実装される際には、導体パターン群の各導体パターンは電子部品と電気的に接続され、第1および第2のダムパターンは電子部品と電気的に分離される。
【0028】
この場合、ソルダーレジストの粘度が低くても、第1および第2のダムパターンの各々によりソルダーレジストの流動を阻止することができる。それにより、導体パターン群上のソルダーレジストの厚みが十分に保持され、導体パターン群の所定領域の一部が露出することが防止される。また、ソルダーレジストで被膜する必要のない部分に、ソルダーレジストが形成されることが防止される。これらの結果、配線回路基板の信頼性が向上される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ソルダーレジストの粘度が低い場合でも、ダムパターンによりソルダーレジストの流動を阻止することができる。それにより、導体パターン上のソルダーレジストの厚みが十分に保持され、導体パターンの所定部分の一部が露出することが防止される。また、ソルダーレジストで被膜する必要のない部分に、ソルダーレジストが形成されることが防止される。これらの結果、配線回路基板の信頼性が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態に係る配線回路基板について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(1)配線回路基板の構成
図1は本発明の一実施の形態に係る配線回路基板の一部を示す斜視図であり、図2は図1の配線回路基板のX―X線断面図である。
【0032】
図1および図2に示すように、例えばポリミイドからなるベース絶縁層1上に、例えば銅からなる複数の配線パターン2が形成される。ベース絶縁層1上には、半導体チップ等の電子部品5が実装される矩型の領域Sが設けられている。領域Sの対向する2辺の内側から外側にそれぞれ延びるように2組の配線パターン群2gが配置される。各配線パターン群2gは平行に配置された複数の配線パターン2を含む。
【0033】
ベース絶縁層1上で各配線パターン群2gの両側にダムパターン2aが形成される。2つのダムパターン2a間の配線パターン2を覆うようにベース絶縁層1上にソルダーレジスト層3が形成される。
【0034】
ベース絶縁層1上の領域Sにはソルダーレズスト3が形成されず、領域S内で各配線パターン2の一端部が露出する。領域S内において露出する各配線パターン2の一端部を、端子部2bと呼ぶ。このようにして、配線回路基板10が形成される。
【0035】
電子部品5は複数のピン端子5aを有し、各ピン端子5aは、半田付け等により配線パターン2の端子部2bにそれぞれ接続される。このとき、ダムパターン2aは、電子部品5とは電気的に接続されない。すなわち、ダムパターン2aは、電気的な役割を有さない。
【0036】
(2)配線回路基板の製造方法
次に、配線回路基板10の形成方法の一例として、サブトラクティブ法を用いた場合について説明する。
【0037】
図3はサブトラクティブ法を用いた配線回路基板10の形成方法を説明するための工程断面図である。
【0038】
まず、図3(a)に示すように、例えばポリイミドからなるベース絶縁層1を用意する。
【0039】
次に、図3(b)に示すように、ベース絶縁層1上に例えば銅からなる導体層20を形成する。次に、図3(c)に示すように、導体層20上に所定のパターンを有するエッチングレジスト21を形成する。エッチングレジスト21は、例えば、ドライフィルムレジスト等により導体層20上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜を所定のパターンで露光し、その後、現像することにより形成される。
【0040】
次に、図3(d)に示すように、エッチングにより、エッチングレジスト21の下の領域を除く導体層20の領域を除去する。次に、図3(e)に示すように、エッチングレジスト21を剥離液により除去する。これにより、導体層20からなる複数の配線パターン2および1対のダムパターン2aが形成される。複数の配線パターン2が配線パターン群2gを構成する。
【0041】
次に、図3(f)に示すように、ダムパターン2a間の配線パターン群2gを覆うように例えばスクリーン印刷によりソルダーレジスト層3を形成する。このようにして、本実施の形態の配線回路基板10が形成される。
【0042】
なお、配線回路基板10の形成方法としては、上記のサブトラクティブ法に限定されず、セミアディティブ法などの他の形成方法を用いてもよい。
【0043】
(3)実施の形態の効果
本実施の形態に係る配線回路基板10においては、ベース絶縁層1上で配線パターン群2gの両側に、ベース絶縁層上にダムパターン2aが形成される。それにより、ソルダーレジスト層3の粘度が低い場合でも、ソルダーレジスト層3の流動がダムパターン2aにより阻止されるので、各配線パターン2上のソルダーレジスト層3の厚みが十分に保持され、配線パターン2のエッジ部が露出することが防止される。また、ソルダーレジスト層3で被膜する必要のない部分に、ソルダーレジスト層3が余計に形成されることが防止される。これらの結果、配線回路基板10の信頼性が向上される。
【0044】
配線パターン2の厚みは、5〜20μmであることが好ましく、8〜15μmであることがより好ましい。配線パターン2の幅は、30〜500μmであることが好ましく、50〜250μmであることがより好ましい。
【0045】
ダムパターン2aの厚みは、10〜25μmであることが好ましく、15〜20μmであることがより好ましい。ダムパターン2aの幅は、30〜500μmであることが好ましく、50〜250μmであることがより好ましい。
【0046】
ダムパターン2aの厚みは、配線パターン2の厚みと比べて、等しいかまたはそれより大きいことが好ましい。配線パターン2の厚みとダムパターン2aの厚みとが等しい場合には、製造工程において、配線パターン2とダムパターン2aとを同時に形成することが可能となる(図3参照)。したがって、製造工程数および製造コストが低減される。一方、ダムパターン2aの厚みが配線パターン2の厚みよりも大きい場合には、ダムパターン2aによりソルダーレジスト層3の流動をより確実に阻止することができる。
【0047】
ソルダーレジスト層3の厚みは、5〜25μmであることが好ましく、7〜18μmであることがより好ましい。
【0048】
配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間隔は50μm以上であることが好ましい。その場合、ダムパターン2aによりソルダーレジスト層3の流動を確実に阻止することができる。それにより、ソルダーレジスト層3で被膜する必要のない部分に、ソルダーレジスト層3が余計に形成されることが確実に防止される。
【0049】
また、配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間隔は1000μm以下であることことが好ましい。その場合、配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間において、ソルダーレジスト層3の厚みを十分に保持することができる。それにより配線パターン2のエッジ部が露出することが確実に防止される。
【0050】
したがって、配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間隔は、50〜1000μmであることが好ましい。
【0051】
また、配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間隔は100μm以上であることがより好ましい。その場合、ダムパターン2aによりソルダーレジスト層3の流動をより確実に阻止することができる。
【0052】
また、配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間隔は600μm以下であることがより好ましい。その場合、配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間において、ソルダーレジスト層3の厚みを十分に保持することができ、配線パターン2のエッジ部が露出することがより確実に防止される。
【0053】
したがって、配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間隔は、100〜600μmであることがより好ましい。
【0054】
なお、ダムパターン2aの厚みが、その間の配線パターン2の厚みよりも十分に大きい場合には、ダムパターン2aと配線パターン2との間隔が50μmより小さくてもよい。また、ソルダーレジスト層3の厚みが十分に大きい場合には、ダムパターン2aと配線パターン2との間隔が1000μmより大きくてもよい。
【0055】
また、ダムパターン2aと配線パターン2とを外観上区別するために、ダムパターン2aまたは配線パターン2に特定の色を付してもよい。
【0056】
また、ベース絶縁層1と配線パターン2との間、およびベース絶縁層1とダムパターン2aとの間に銅等の金属からなる金属層を形成してもよい。この場合、ベース絶縁層1と配線パターン2、およびベース絶縁層1とダムパターン2aとの密着性が向上される。
【0057】
ベース絶縁層1の材料は、ポリイミドに限らず、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルニトリルフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム等の他の絶縁材料を用いてもよい。
【0058】
配線パターン2の材料は、銅に限らず、銅合金、金、アルミニウム等の他の金属材料を用いてもよい。
【0059】
ダムパターン2aの材料は、銅に限らず、銅合金、金、アルミニウム等の他の金属材料、または樹脂材料、紙材、木材等の種々の材料を用いてもよい。
【0060】
なお、配線パターン2の材料とダムパターン2aの材料とは、同一であってもよいし、異なってもよい。配線パターン2の材料とダムパターン2aの材料とが同一である場合には、製造工程において、配線パターン2とダムパターン2aとを同時に形成することが可能となる(図3参照)。したがって、製造工程数および製造コストが低減される。
【0061】
(実施例)
本実施例では、上記実施の形態に係る配線回路基板10におけるソルダーレジスト層3の流動を調べた。
【0062】
本実施例の配線回路基板10は、図3に示したサブトラクティブ法により形成した。ベース絶縁層1の厚みは25μmとした。また、配線パターン2の厚みは15μmとし、幅は100μmとし、隣接する配線パターン2の間隔は100μmとした。また、ダムパターン2aの厚みは15μmとし、幅は200μmとした。また、配線パターン群2gの最も外側の配線パターン2とダムパターン2aとの間隔は250μmとした。
【0063】
(比較例)
比較例では、ダムパターン2aを形成しない場合の上記実施の形態に係る配線回路基板10におけるソルダーレジスト層3の流動を調べた。
【0064】
比較例における配線回路基板10は、ダムパターン2aを形成しなかった点を除いて実施例と同じ方法により作製した。
【0065】
(評価)
実施例では、ダムパターン2a間において、配線パターン2のエッジ部が露出することなく良好にソルダーレジスト層3が形成された。
【0066】
一方、比較例では、ソルダーレジスト層3がベース絶縁層1上に広がるように流動し、ソルダーレジスト層3の厚みが減少した。それにより、配線パターン群2gの最も外側に位置する配線パターン2のエッジ部が露出した。
【0067】
(請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応)
本実施の形態においては、ベース絶縁層1が絶縁層に相当し、配線パターン2が導体パターンに相当し、配線パターン群2gが導体パターン群に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、種々の電気機器または電子機器等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施の形態に係る配線回路基板の一部を示す斜視図である。
【図2】図1の配線回路基板のX―X線断面図である。
【図3】サブトラクティブ法を用いた配線回路基板の形成方法を説明するための工程断面図である。
【図4】従来の配線回路基板におけるソルダーレジスト層の不良の発生を説明するための平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ベース絶縁層
2 配線パターン
2a ダムパターン
2b 端子部
2g 配線パターン群
3 ソルダーレジスト
5 電子部品
5a ピン端子
10,10a 配線回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される配線回路基板であって、
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記電子部品に電気的に接続されるべき導体パターンと、
前記絶縁層上で前記導体パターンの少なくとも所定部分に間隔をおいて隣接するように形成され、前記電子部品と電気的に分離されるべきダムパターンと、
前記絶縁層上で前記ダムパターンに関して前記導体パターン側の領域において前記導体パターンの前記所定部分を覆うように形成されるソルダーレジストとを備えることを特徴とする配線回路基板。
【請求項2】
前記導体パターンと前記ダムパターンとの間隔は、50μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記ダムパターンの厚みは、前記導体パターンの厚みと等しいことを特徴とする請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記ダムパターンの厚みは、前記導体パターンの厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項5】
電子部品が実装される配線回路基板であって、
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記電子部品に電気的に接続されるべき1または複数の導体パターンを含む導体パターン群と、
前記絶縁層上で前記導体パターン群の少なくとも所定領域を挟んで互いに対向しかつ前記導体パターン群の少なくとも前記所定領域に間隔をおいて隣接するように形成され、前記電子部品と電気的に分離されるべき第1および第2のダムパターンと、
前記絶縁層上で前記第1および第2のダムパターンの間において前記導体パターン群の前記所定領域を覆うように形成されるソルダーレジストとを備えることを特徴とする配線回路基板。
【請求項6】
前記導体パターン群と前記第1および第2のダムパターンの各々との間隔は、50μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項5記載の配線回路基板。
【請求項7】
電子部品が実装される配線回路基板の製造方法であって、
絶縁層上に前記電子部品に電気的に接続されるべき導体パターンを形成する工程と、
前記絶縁層上で前記導体パターンの少なくとも所定部分に間隔をおいて隣接するように、前記電子部品と電気的に分離されるべきダムパターンを形成する工程と、
前記絶縁層上で前記ダムパターンに関して前記導体パターン側の領域において前記導体パターンの前記所定部分を覆うようにソルダーレジストを形成する工程とを備えることを特徴とする配線回路基板の製造方法。
【請求項8】
電子部品が実装される配線回路基板の製造方法であって、
絶縁層上に前記電子部品に電気的に接続されるべき1または複数の導体パターンを含む導体パターン群を形成する工程と、
前記絶縁層上で前記導体パターン群の少なくとも所定領域を挟んで互いに対向しかつ前記1または複数の導体パターンの少なくとも前記所定領域に間隔をおいて隣接するように、前記電子部品と電気的に分離される第1および第2のダムパターンを形成する工程と、
前記絶縁層上で前記第1および第2のダムパターンの間において前記所定領域を覆うようにソルダーレジストを形成する工程とを備えることを特徴とする配線回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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