説明

配線接続装置

【課題】差込口の種類、配置パターン、個数等を、差込口の利用状況に応じて容易に変更することができる配線接続装置を提供すること。
【解決手段】壁やテーブル2等に設けられる取付穴3に取り付け可能であり、電源コード41や通信ケーブル42等を接続するための配線接続装置6であって、前記取付穴3に嵌合されるとともに、長手の開口9を有する支持孔8が形成された取付部材7と、前記支持孔8の内部空間が長手方向に向けて複数に仕切られるように、該支持孔8に係脱可能に取り付けられる仕切り部材25と、電源コード41や通信ケーブル42等のプラグを接続可能とする差込口16,16’を有し、前記仕切り部材25により仕切られた前記支持孔8の内部空間に各々係脱可能に取り付けられる差込口ユニット15,15と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁やテーブル等に設けられる取付穴に取り付け可能であり、電源コードやケーブル等を接続するための配線接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の配線接続装置としては、通信用ケーブル等のプラグを接続可能な差込口が上面に複数形成された筐体を、テーブル天板の取付穴に設けられた枠状の取付部材に嵌合することで天板に固定し、例えばパソコン等の機器から延設されるケーブル等の複数のプラグを、各差込口に接続可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−135425号公報(段落0011,段落0017、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の配線接続装置にあっては、筐体の上面に形成される差込口の種類、配置パターン、個数等を、差込口の利用状況等に応じて変更可能とする場合には、差込口の種類(例えば電源コード、ケーブル等に対応する差込口)、配置パターン、個数等が異なる複数種類の筐体を予め用意しておき、その中から所望の筐体を適宜選択して取付部材に取り付ける必要があったため、これら複数種類の筐体を製造するための製造コストが嵩むばかりか、複数の差込口を必要としない場合でも、筐体の大きさは変わらないため、スペースが無駄になるといった問題点があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、差込口の種類、配置パターン、個数等を、差込口の利用状況に応じて容易に変更することができる配線接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の配線接続装置は、壁やテーブル等に設けられる取付穴に取り付け可能であり、電源コードや通信ケーブル等を接続するための配線接続装置であって、
前記配線接続装置は、前記取付穴に嵌合されるとともに、長手の開口を有する支持孔が形成された取付部材と、前記支持孔の内部空間が長手方向に向けて複数に仕切られるように、該支持孔に係脱可能に取り付けられる仕切り部材と、電源コードや通信ケーブル等のプラグを接続可能とする差込口を有し、前記仕切り部材により仕切られた前記支持孔の内部空間に各々係脱可能に取り付けられる差込口ユニットと、からなることを特徴としている。
この特徴によれば、仕切り部材により複数に仕切られた支持孔の各内部空間に、差込口ユニットをそれぞれ個別に配設することが可能となるとともに、いずれかの差込口ユニットもしくは全ての差込口ユニットを取り外したり、あるいは支持孔から仕切り部材を取り外すことにより形成される支持孔の内部空間を、電源コードや通信ケーブル等を挿通可能な配線空間として利用することが可能となるため、差込口の種類、配置パターン、個数等を、差込口の利用状況に応じて容易に変更することができる。また、仕切り部材を取り付けることで、支持孔に取り付けた差込口ユニットの長手方向への移動が確実に規制される。
【0007】
本発明の請求項2に記載の配線接続装置は、請求項1に記載の配線接続装置であって、前記支持孔における長辺側の内側面に、前記仕切り部材を嵌合可能な凹溝を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、仕切り部材が凹溝に嵌合することで、長手方向への移動が確実に規制されるばかりか、仕切り部材を取り外した状態において、凹溝が差込口ユニットを取り付ける際に邪魔になることがない。
【0008】
本発明の請求項3に記載の配線接続装置は、請求項1または2に記載の配線接続装置であって、前記差込口ユニットにおける差込口の周縁に、外方に広がるフランジ部を設けるとともに、前記取付部材における前記支持孔の開口周縁に、前記支持孔に取り付けられる前記差込口ユニットのフランジ部が当接可能な当接面を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、開口の周縁の当接面にフランジが支持されることで、プラグ等の差し込みの際にかかる負荷を分散できるとともに、差込口ユニットの抜け落ちを確実に防止できる。また、差込口ユニットの外側面と支持孔の内側面との間の隙間がフランジ部にて覆われるので、埃や塵等の進入が防止されるばかりか、見栄えが向上する。
【0009】
本発明の請求項4に記載の配線接続装置は、請求項3に記載の配線接続装置であって、前記仕切り部材に、前記支持孔に取り付けた状態において前記当接面とほぼ面一をなす仕切り部材当接面を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、開口の周縁の当接面に加えて仕切り部材当接面にフランジ部が支持されることで、プラグ等の差し込みの際にかかる負荷をより効果的に分散できるとともに、差込口ユニットの抜け落ちを確実に防止できる。また、差込口ユニットの外側面と仕切り部材の外側面との間の隙間がフランジ部にて覆われるので、埃や塵等の侵入が防止されるばかりか、見栄えが向上する。さらに、仕切り部材当接面が取付部材の当接面とほぼ面一をなすことで、フランジ部のガタツキが防止される。
【0010】
本発明の請求項5に記載の配線接続装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の配線接続装置であって、前記取付部材に、前記差込口ユニットの差込口を被覆可能なカバー部材を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、カバー部材により差込口が覆われることで、埃や水分等の進入が確実に遮断され、接触不良やショートの発生を回避できるとともに、差込口の未使用時における外観体裁も良好となる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の配線接続装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の配線接続装置であって、前記差込口ユニットの下端から前記差込口の反対方向に向けて一対の弾性片が延設されるとともに、該弾性片には前記支持孔の下端及び/または前記仕切り部材の下端に係止可能な係止部がそれぞれ設けられ、前記差込口ユニットを前記支持孔に取り付けた状態において、前記弾性片の少なくとも一部が前記支持孔の外部に延出されるようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、差込口ユニットを支持孔に取り付ける際には、差込口ユニットを支持孔の内部に差し込むだけで、弾性片の弾性力により、係合部が支持孔の下端及び/または仕切り部材の下端に係止されるので、取り付けが容易になるとともに、差込口ユニットを取り外す際には、支持孔の外部に延出された弾性片の一部を、支持孔の外部にて簡単に操作できるので、係合を容易に解除して取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の実施例における配線接続装置を適用したテーブルの全体像を示す斜視図であり、図2は、配線接続装置を構成する取付部材と仕切り部材と差込口ユニット示す分解組立斜視図であり、図3(a)は、仕切り部材の取り付けを示す図2のA−A線断面図であり、図3(b)は、仕切り部材の取り付け後を示す側断面図であり、図4(a)は、差込口ユニットの取り付けを示す図2のB−B線断面図であり、図4(b)は、差込口ユニットの取り付け後を示す平面図であり、図5(a)は、取付部材に設けられたカバー部材の操作を示す断面図であり、図5(b)は、カバー部材によって差込口ユニットの差込口が覆われた状態を示す平面図であり、図6(a)は、差込口ユニットのプラグが大型の場合における取り付けを示す斜視図であり、図6(b)は、大型プラグを取付部材の支持孔に向けて挿通した状態を示す平面図である。
【0014】
図1に示されるように、本発明の配線接続装置6が取り付けられるテーブル1は、例えば会社や学校等の会議室や教室等に利用されており、パソコン等の電気機器40を設置可能な前後幅を有する矩形の天板2と、天板2の長手方向側端部を支持する一対の脚体3,3と、天板2の長手方向と略同幅の下方を外部から遮蔽する幕板4と、から構成され、テーブル1の不使用時には天板2を上方に向けて折り畳み収納可能となっている。以下、本実施例の説明において、図1に図示されたテーブル1を対面した状態で見て、幕板4側を前方とし、テーブル1の手前側を後方として、天板2の左手側を左方、その対照位置の右手側を右方として説明する。
【0015】
天板2の前端側には、上下方向に貫通する取付穴3が左右方向に沿って複数形成されており、これら取付穴3に配線接続装置6が個々に取り付けられている。配線接続装置6の上面には、電気機器40から延設される電気供給用の電源コード41やLANケーブル等の通信ケーブル42のプラグをそれぞれ接続可能な差込口16,16’が左右に配設されており、電気機器40に応じて差込口16,16’を適宜選択して使用できるようになっている。
【0016】
図2に示されるように、配線接続装置6は、天板2の取付穴3に嵌合可能で、且つ長手の開口部9,9’(開口)を上下に有する支持孔8が形成された取付部材7と、支持孔8における長手方向中間部に、該支持孔8の内部空間が長手方向に向けて複数(本実施例では左右)に仕切られるように、係脱可能に取り付けられる仕切り部材25と、支持孔8に取り付けられた仕切り部材25の両側に、各々係脱可能に取り付けられる左右の差込口ユニット15,15と、から構成されている。
【0017】
また、左方(一方)の差込口ユニット15には、電源コード41のプラグを接続可能な差込口16が上面に設けられ、右方(他方)の差込口ユニット15には、通信ケーブル42のプラグを接続可能な差込口16’が上面に設けられており、これらユニットはそれぞれ別個に形成されている。尚、これら取付部材7、仕切り部材25、差込口ユニット15,15は合成樹脂材で成型されている。
【0018】
取付部材7には、左右長手方向に向けて幅広な筒状の取付部10を備え、この取付部10内に、上面視長方形状の支持孔8が上下方向に貫通して形成されている。取付部10の外周面の長辺側の前後面には、弾性を有する係止片10a,10aが外方に向けて突設した状態に形成され、短辺側の左右面には、挿嵌片10bがそれぞれ3枚組で突設されている。
【0019】
支持孔8は、取付部10の内部に垂設される前後・左右の側壁にて構成され、その前後側の内側面の左右中間位置には、所定の左右幅(本実施例では約18mm)を有する前後一対の凹溝8a,8aが上下方向に向けて凹設され、これら凹溝8a,8aの上部位置には、後述する仕切り部材の係合部が係合される被係合部8cが形成されるとともに、被係合部8cの上方には、上方を向く突片8bが形成されている。また、左右側の内側面の前後中間位置には、上下方向を向く左右一対の凸条9b,9bが内向きに突設されている。
【0020】
取付部10の上部には、外方に延びる表面部11が上面視矩形枠状に形成されているとともに、この枠状の表面部11と支持孔8との間には、平面視略コ字状のコ字状当接面9a,9aが、開口部9の上端周縁を囲繞するように左右に配設され、後述する差込口ユニット15のフランジ17を載置可能となっている。つまりコ字状当接面9a,9bは、開口部9の周縁における凹溝8aの左右側に配置され、かつ、その上面が表面部11の上面よりも一段低い位置に形成されている。
【0021】
表面部11の上面とコ字状当接面9a,9aとの間に形成される段部側面、つまり表面部11の前後側の内側端面には、それぞれ長手方向に沿って前後一対の摺動溝14,14が形成されている。この前後の摺動溝14,14には、軟性の樹脂材から成形された可撓性を有するカバー部材31,31の前後両側端が摺動可能に嵌合されており、カバー部材31,31の端部に各々突設された操作片31a,31aの操作によって、カバー部材31,31を左右中央に向けて引き出し、及び左右側に収納可能になっている。尚、操作片31aの操作によるカバー部材31の引き出しおよび収納構造については後述する。
【0022】
仕切り部材25は、前後幅方向に向けて幅広な矩形箱状の挿通部30を備えている。該挿通部30は、左右幅が前述した凹溝8aの左右幅とほぼ同幅(若干短寸)に形成されるとともに、前後幅が凹溝8a,8aの前後側面間とほぼ同幅(若干短寸)に形成されている。挿通部30の前後側面の中間位置には、上下方向を向く凸条28,28がそれぞれ突設され、挿通部30の左右側面中間上部位置には、前述した被係合部8c,8cに係合可能な弾性を有する係合部29,29が外方に向けて突設されている。
【0023】
仕切り部材25の上部には、左右幅が挿通部30の左右幅とほぼ同幅で、且つ前後幅を凹溝8a,8aの前後側面間とほぼ同幅とした頭部26が形成され、頭部26の上面には、後述する差込口ユニット15のフランジ17を載置可能な仕切り部材当接面としての矩形当接面27が形成されている。矩形当接面27には、該矩形当接面27を左右に区画するように、前後方向に向けて延びる仕切片27aが立設されている。また、頭部26の前後端下部には、それぞれ下方に向けて開口する切欠溝26aが形成され、前述の被係合部8cに設けられた突片8bを収納可能な嵌入空間を有している。
【0024】
左右の差込口ユニット15,15は、フランジ部としてのフランジ17を周囲に備えた差込口16および差込口16’が上面に形成された矩形ボックス状の嵌入部18を有しており、嵌入部18の左右側面の前後中間位置には、上下方向に向けて凹条19,19が形成されている。この凹条19内の前後幅は、前述の取付部材7の凸条9b,9bおよび仕切り部材25の凸条28,28の前後幅とほぼ同幅となっており、互いに嵌合して摺動可能となっている。左方の嵌入部18の差込口16の対面側からは、差込口16に内部接続された電源延長コード23が下方に向けて延設されており、その端部にはプラグ23aを設けている。同様にして、右方の嵌入部18の差込口16’の対面側からは、通信延長ケーブル24が延設され、その端部にはプラグ24aを設けている。
【0025】
左右の嵌入部18,18の凹条19,19の下部位置には、それぞれ下方から後方に向けて「く字状」に折り曲げられた弾性を有する左右一対の弾性片20,20が形成され、この先端部に操作部21,21が設けられている。弾性片20,20の折り曲げ近傍位置には、外方に向けて突設された係合凸部22,22が形成されている。
【0026】
次に、配線接続装置6の取り付けについて説明する。天板2に配線接続装置6を取り付けるには、取付部材7に、仕切り部材25および差込口ユニット15,15の全て或いはいずれか一方を取り付けたのち、取付部材7を取付穴3に取り付けることもできるが、本実施例では、まず取付穴3に取付部材7を取り付けたのち、その取付部材7に仕切り部材25および差込口ユニット15,15を取り付ける手順で以下に説明する。
【0027】
先ず、取付部材7の取付部10が取付穴3の上方から挿し込まれると、取付穴3の内周面に沿って係止爪10a,10aが摺接され、付勢力に抗して取付部10内に押し込まれるとともに、図3(a)に示されるように、取付穴3の上端周縁に形成された支持枠3a(図2参照)に表面部11の下面外周縁が当接して上下方向の位置決めがなされるとともに、係止爪10a,10aが弾性復帰して取付穴3の下部開口周縁に係止され、取付穴3からの逸脱が防止される。尚、取り外す際には係止爪10a,10aを取付部10内に押操作するだけで、取付穴3から簡単に取付部材7を取り外すことができる。
【0028】
次いで、仕切り部材25の取り付けについて説明する。図3(a)に示されるように、仕切り部材25は、取付部材7の上方から支持孔8内に挿し込むことで取り付けられる。具体的には、挿通部30が支持孔8の凹溝8a,8a(矢示される方向)に上方から挿し込まれていくと、凹溝8a,8a上部の突片8b,8bおよび被係合部8c,8c上部に係合部29,29が当接され、徐々に付勢力に抗して挿通部30内に押し込まれていく。
【0029】
さらに、図3(b)に示されるように、被係合部8c,8cから係合部29,29が抜け出た時点で、係合部29,29が弾性復帰して被係合部8c,8cの下端に係合され、仕切り部材25の上方への逸脱が防止されるとともに、切欠溝26a,26a内に突片8b,8bが収納されることで、仕切り部材25の左右方向の移動が規制されガタツキが防止される。
【0030】
このように、支持孔8の凹溝8a,8aに仕切り部材25を内挿するだけで、被係合部8cに係合部29,29が弾性係合されるので、仕切り部材25の浮上(がたつき)が防止される。また、仕切り部材25を取り外すには、仕切り部材25を上方に向けて強めに引くことで、係合部29,29が付勢力に抗して挿通部30内に強制的に押し込まれて係合状態が解除されるため、簡便に取り外すことができる。
【0031】
このように仕切り部材25が支持孔8内に取り付けられることで、図4(a)に示されるように、支持孔8の内部空間が仕切り部材25によって左右に区画され、支持孔8内における該仕切り部材25の左右側に、それぞれ別個に形成された差込口ユニット15,15を取り付け可能な空間が左右に形成される。
【0032】
差込口ユニット15,15は、開口部9よりも幅広なフランジ17が、上部、すなわち差込口16,16’の近傍に形成されていることから、支持孔8の上方から挿し込んで取り付ける。取り付ける際には、電源延長コード23や通信延長ケーブル24を先に開口部9から支持孔8内に挿通しておく。その後、差込口ユニット15を操作部21,21側、つまり下端から開口部9に向けて挿し込むと、係合凸部22,22が弾性片20,20の付勢力に抗して内方に移動され、仕切り部材25の側面および支持孔8の内側面に円滑に摺接されながら内挿される(図4(a)参照)。
【0033】
さらに嵌入部18が挿し込まれると、一方の凹条19に凸条28を、他方の凹条19に凸条9bが凹凸嵌合され、凸条28,9bに沿って凹条19,19が下方に向けて円滑に、かつ確実に摺動案内される。そして、係合凸部22,22が支持孔8や仕切り部材25の下端よりも下方に位置したときに、弾性片20,20の弾性復帰して、開口部9や仕切り部材25の下端周縁に係合凸部22,22が係止され、差込口ユニット15が支持孔8に取り付けられる。差込口ユニット15の取り付け後においても、凹条19,19に凸条28,9bが嵌合されていることから、差込口ユニット15のガタツキが防止されている。
【0034】
このように、係合凸部22,22の係合作用によって差込口ユニット15の上方への移動が規制されるので、図1に示すように差込口16,16’に接続された電源コード41や通信ケーブル42のプラグを引き抜く際において、差込口ユニット15がプラグとともに浮上して支持孔8から逸脱することが防止される。
【0035】
また、差込口ユニット15を取り外す際には、弾性片20の先端の操作部21,21が支持孔8の下端開口よりも下方に延出されていることで、差込口ユニット15の内方に向けて操作して弾性付勢させることで、支持孔8や仕切り部材25の下端周縁と係合凸部22,22との係合解除操作を支持孔8の外部(下方)にて行うことができるので、差込口ユニット15を簡単な操作で取り外すことができる。
【0036】
また、図4(b)に示されるように、開口部9の周縁に形成されたコ字状当接面9aおよび仕切り部材25の矩形当接面27は互いに面一をなしており、支持孔8における仕切り部材25にて区画された左右の空間周縁に平坦な枠状の当接面がそれぞれ形成されているため、これらコ字状当接面9aおよび矩形当接面27の上面に、各差込口ユニット15,15のフランジ17,17の下面が当接されることで、フランジ17,17のガタツキが防止され、差込口ユニット15が安定して取り付けられる。
【0037】
また、フランジ17,17がコ字状当接面9aおよび矩形当接面27で下方から支持されることで、差込口16,16’にプラグを差し込む際に下向きに加わる力が、差込口16,16’の近傍周囲に形成され、かつ差し込み方向に対して直交する方向を向く広い当接面9a,27にて分散されるので、支持孔8に対する差込口ユニット15の取り付け強度を簡単な構成で高めることができるとともに、差込口ユニット15,15の抜け落ちが確実に防止される。また、差込口ユニット15の上部周囲が支持されるので、プラグの差し込み時における差込口ユニット15のがたつきが効果的に防止される。
【0038】
また、フランジ17,17によって仕切り部材25の外周面と支持孔8の内側面との間に形成される間隙が上方から覆われるので、支持孔8内への埃や塵等の進入が防止され、これにより取り外しの際に前記間隙内に進入した埃や塵等が抵抗になることがないとともに、隙間が外部に露呈されることがないので、外観体裁が向上する。
【0039】
次に、図5(a)に示されるように、左右対称に形成された摺動溝14,14の形状は、取付部10の左右側下方に向けて湾曲された略L字状および略逆L字状となっており、摺動溝14,14が互いに近接する中間位置には、仕切り部材25の仕切片27aが配置されている。よって、左右の操作片31a,31aを摺動溝14,14に沿って仕切片27a、つまり左右方向の中央に向けて摺動操作し、図5(b)に示されるように、仕切片27aに当接させることで、差込口16,16’の上面がカバー部材31,31で覆われることから、取付部材7の内部に埃や水分等が入り込む虞がなく、例えば差込口16,16’の接触不良やショートの発生が未然に保護されるとともに、差込口16,16’の未使用時における外部からの美観も良好となる。また、操作片31a,31aを互いに離間する方向に向けて移動すると、カバー部材31,31が取付部10内に収納され、差込口16,16’を再度使用可能な状態となる(図4(b)参照)。
【0040】
尚、本実施例では、取付部材7の支持孔8の長手方向中央位置に仕切り部材25を取り付け、その両側に分割された開口部9を利用して、種類の異なる差込口16,16’、具体的には差込口の形状や差し込む対象となるプラグやコネクタ等に対応する種類が異なる差込口を有する差込口ユニット15,15を個別に取り付けているが、特に図示しないが、例えば、同種類の差込口を有する差込口ユニット15を取り付けても良い。
【0041】
また、各差込口ユニット15だけでなく、仕切り部材25が支持孔8に対して着脱自在であるため、仕切り部材25や、左右いずれか一方または全ての差込口ユニット15を取付部材7から取り外して、支持孔8を電源コード41や通信ケーブル42等を挿通可能な配線空間として利用することができる。
【0042】
また、本実施例の仕切り部材25は、上面に矩形当接面27を形成するために所定の左右幅(約18mm)を有しており、該仕切り部材25を嵌合により支持孔8に取り付けるための左右幅(仕切り部材25の左右幅とほぼ同幅)を有する凹溝8a,8aが、支持孔8の内側面に凹設されていることから、仕切り部材25を凹溝8a,8aに嵌合して取り付けることで、支持孔8に対する仕切り部材25の長手方向への移動が確実に規制される。また、仕切り部材25を取り外して別の差込口ユニットを取り付ける際や、前述のように配線空間として利用する際に、支持孔8の内方に仕切り部材25をガイドする部材等が突出することがないので、差込口ユニット15の取り付けや配線の邪魔になることがない。
【0043】
さらに、例えば図6(a)に示されるように、差込口ユニット15の差込口16から嵌入部18の反対方向に向けて延在する電源延長コード23のプラグ形状が、例えばアース棒を備えた3口タイプの大型プラグ23bであり、この大型プラグ23bの形状が差込口ユニット15を取り付ける開口部9の開口幅よりも若干大寸である場合には、凹溝8a,8aから仕切り部材25を取り外すことで、支持孔8及び開口部9の一部が幅広となるので、図6(b)に示されるように大型プラグ23bを傾けて挿通させれば、この凹溝8a,8aを利用して支持孔8内に引っ掛かりを生じさせることなく内挿可能となり、大型プラグ23bの挿通作業を容易に行うことができる。
【0044】
以上の実施例の説明により配線接続装置6は、仕切り部材25により左右に仕切られた支持孔8の左右の内部空間に、差込口ユニット15,15をそれぞれ個別に配設することが可能となるとともに、いずれかの差込口ユニット15もしくは全ての差込口ユニット15,15を取り外したり、あるいは支持孔8から仕切り部材25を取り外すことにより形成される支持孔8の内部空間を、電源コード41や通信ケーブル42等を挿通可能な配線空間として利用することが可能となるため、差込口の種類、配置パターン、個数等を、差込口の利用状況に応じて容易に変更することができる。
【0045】
また、仕切り部材25を取り付けることで、支持孔8に取り付けた差込口ユニット15の長手方向への移動が確実に規制されるため、例えば支持孔8の左右いずれか一方にのみ差込口ユニット15を取り付けて、他方を配線空間として利用する際に、差込口ユニット15が配線空間側に不用意に移動してしまうことがない。
【0046】
次に、本発明の配線接続装置6の使用形態の変形例を、図7に基づいて説明する。図7(a)は、差込口ユニットの第1変形例を示す平面図であり、図7(b)は、差込口ユニットの第2変形例を示す平面図である。尚、以下の変形例において前述の実施例と同様の構造部分に関しては、同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略することにする。
【0047】
図7(a)に示されるように、前述した差込口ユニット15,15と交換可能な左右の差込口ユニット50,50には、各差込口16,16’の前後端部に開口部9のコ字状当接面9aと当接可能なフランジ51,51(フランジ部)が形成され、前述した仕切り部材25が前後の凹溝8c,8cから取り外された状態において、両差込口ユニット50,50を左右方向にスライド移動可能になっている。このように差込口ユニット50,50を互いに左右に離間した状態に配置したり、特に図示しないが、2つの差込口ユニット50,50を支持孔8の長手方向の左右いずれか一方側に寄せて配置し、他方側の空間を配線空間として利用することができるので、差込口ユニット15や電源コード41,通信ケーブル42等の配線空間の配置パターンを種々に変更することができる。
【0048】
尚、仕切り部材25を凹溝8c,8cから取り外して該空間を配線空間として利用する場合、凹溝8c,8cにより前後方向に幅広な配線空間を提供できる。
【0049】
さらに図7(b)に示されるように、仕切り部材25が前後の凹溝8c,8cから取り外された状態において、左右のコ字状当接面9a,9aに当接可能なフランジ61,61が前後に形成された1個の差込口ユニット60を、支持孔8の長手方向における中央位置に配置し、差込口ユニット60の左右両側の開口部9を、電源コード41や通信ケーブル42等の配線空間として利用しても良い。また、差込口ユニット60を、大型のプラグも接続可能な差込口62を有するものとしてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、テーブル1の天板2に取付穴3を形成して配線接続装置6を取り付けているが、室内等の壁に取付穴を形成し配線接続装置6を取り付けてもよいことは言うまでもなく、壁に面して差込口16,16’が設けられるので、例えば家庭用電気コンセントや家庭内ネットワークとして利用することができる。
【0051】
また、上記実施例では、各差込口16,16’の周縁にフランジ17を設けたことで、開口部9からの抜け落ちが確実に防止されることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、各差込口16,16’の周縁にフランジ17を設けずに、支持孔8の上端開口および下端開口のいずれからでも、差込口ユニットを取り付け可能としてもよい。
【0052】
また、上記実施例では、支持孔8の長手方向の中央位置に仕切り部材25が着脱自在に取り付けできるようになっていたが、支持孔に複数の凹溝を凹設し、これらのうち少なくとも一部または全ての凹溝に仕切り部材を着脱自在に取り付け、支持孔の内部空間が長手方向に向けて複数に区画されるようにしても良い。
【0053】
また、上記実施例では、仕切り部材25は前後幅方向に向けて幅広な矩形箱状の挿通部30からなり、凹溝8aの左右幅も該挿通部30とほぼ同幅の左右幅を有していたが、仕切り部材25は板状部材にて肉薄に形成されているものであってもよい。
【0054】
また、上記実施例では、差込口ユニットは、その下端に設けた弾性片20の係合凸部22を支持孔8や仕切り部材25の下端開口の周端縁に係止することで取り付けられるようになっていたが、支持孔に対して係合により取り付けできるものであれば、支持孔や仕切り部材の下端開口の周端縁に係止されるものに限定されるものではなく、支持孔の側面板等に形成された被係合部に係合可能な係合部等を有しているものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例における配線接続装置を適用したテーブルの全体像を示す斜視図である。
【図2】配線接続装置を構成する取付部材と仕切り部材と差込口ユニット示す分解組立斜視図である。
【図3】(a)は、仕切り部材の取り付けを示す図2のA−A線断面図であり、(b)は、仕切り部材の取り付け後を示す側断面図である。
【図4】(a)は、差込口ユニットの取り付けを示す図2のB−B線断面図であり、(b)は、差込口ユニットの取り付け後を示す平面図である。
【図5】(a)は、取付部材に設けられたカバー部材の操作を示す断面図であり、(b)は、カバー部材によって差込口ユニットの差込口が覆われた状態を示す平面図である。
【図6】(a)は、差込口ユニットのプラグが大型の場合における取り付けを示す斜視図であり、(b)は、大型プラグを取付部材の支持孔に向けて挿通した状態を示す平面図である。
【図7】(a)は、配線接続装置の使用状況の第1変形例を示す平面図であり、(b)は、配線接続装置の使用状況の第2変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 テーブル
2 天板
3 取付穴
6 配線接続装置
7 取付部材
8 支持孔
8a 凹溝
9 開口部(開口)
9a コ字状当接面(当接面)
10 取付部
11 表面部
15 差込口ユニット
16、16’ 差込口
17 フランジ(フランジ部)
20 弾性片
21 操作部
22 係合凸部
23 電源延長コード
23a、24a プラグ
23b 大型プラグ
24 通信延長ケーブル
25 仕切り部材
26 頭部
27 矩形当接面(仕切り部材当接面)
29 係合部
30 挿通部
31 カバー部材
41 電源コード
42 通信ケーブル
50,60 差込口ユニット
51,62 フランジ(フランジ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁やテーブル等に設けられる取付穴に取り付け可能であり、電源コードや通信ケーブル等を接続するための配線接続装置であって、
前記配線接続装置は、前記取付穴に嵌合されるとともに、長手の開口を有する支持孔が形成された取付部材と、前記支持孔の内部空間が長手方向に向けて複数に仕切られるように、該支持孔に係脱可能に取り付けられる仕切り部材と、電源コードや通信ケーブル等のプラグを接続可能とする差込口を有し、前記仕切り部材により仕切られた前記支持孔の内部空間に各々係脱可能に取り付けられる差込口ユニットと、からなることを特徴とする配線接続装置。
【請求項2】
前記支持孔における長辺側の内側面に、前記仕切り部材を嵌合可能な凹溝を形成した請求項1に記載の配線接続装置。
【請求項3】
前記差込口ユニットにおける差込口の周縁に、外方に広がるフランジ部を設けるとともに、前記取付部材における前記支持孔の開口周縁に、前記支持孔に取り付けられる前記差込口ユニットのフランジ部が当接可能な当接面を形成した請求項1または2に記載の配線接続装置。
【請求項4】
前記仕切り部材に、前記支持孔に取り付けた状態において前記当接面とほぼ面一をなす仕切り部材当接面を形成した請求項3に記載の配線接続装置。
【請求項5】
前記取付部材に、前記差込口ユニットの差込口を被覆可能なカバー部材を設けた請求項1乃至4のいずれかに記載の配線接続装置。
【請求項6】
前記差込口ユニットの下端から前記差込口の反対方向に向けて一対の弾性片が延設されるとともに、該弾性片には前記支持孔の下端及び/または前記仕切り部材の下端に係止可能な係止部がそれぞれ設けられ、前記差込口ユニットを前記支持孔に取り付けた状態において、前記弾性片の少なくとも一部が前記支持孔の外部に延出されるようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の配線接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−273115(P2007−273115A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93828(P2006−93828)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)