配線構造、ヒータ駆動装置、計測装置および制御システム
【課題】ヒータやセンサなどの配線数やスイッチング素子数を削減する。
【解決手段】熱板10を加熱する9個の第1〜第9のヒータ6−1〜6−9を、行方向の3本の第1の電力線L1−1〜L1〜3と、列方向の3本の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続し、第1の各電力線L−1〜L−3を、3個のスイッチング素子をそれぞれ介して電源の一端に接続する一方、第2の各電力線L2−1〜L2−3を、3個のスイッチング素子をそれぞれ介して電源の他端に接続し、各スイッチング素子のオンオフを制御して駆動するヒータを選択するようにし、各ヒータが個別に配線されていた従来例に比べて、電力線およびスイッチング素子を削減している。
【解決手段】熱板10を加熱する9個の第1〜第9のヒータ6−1〜6−9を、行方向の3本の第1の電力線L1−1〜L1〜3と、列方向の3本の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続し、第1の各電力線L−1〜L−3を、3個のスイッチング素子をそれぞれ介して電源の一端に接続する一方、第2の各電力線L2−1〜L2−3を、3個のスイッチング素子をそれぞれ介して電源の他端に接続し、各スイッチング素子のオンオフを制御して駆動するヒータを選択するようにし、各ヒータが個別に配線されていた従来例に比べて、電力線およびスイッチング素子を削減している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータやセンサなどの電力線や信号線などの配線数の削減を図った配線構造、それを用いたヒータ駆動装置、計測装置および制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、被加熱物を、熱板上に載置して加熱処理するような温度制御においては、温度調節器は、熱板に配設された温度センサからの検出温度に基づいて、熱板の温度が設定温度になるように、熱板に配設されたヒータの通電を制御することにより行なわれる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−274069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記熱板に、複数のヒータおよび複数の温度センサを配設して複数の制御点、すなわち、複数チャンネルの温度制御を行なう場合には、ヒータの電力線や温度センサの信号線の配線数が増大することになる。
【0004】
図29は、熱板の温度を9つの制御点で制御する9チャンネルの温度制御システムの概略構成図であり、図30は、図29の熱板に配設された9個のヒータの配線構造を示す図である。
【0005】
この温度制御システムは、熱板30に配設された図示しない9個の温度センサからの検出温度PVと設定温度とに基づいて、PID演算等を行って各チャンネルの操作量を出力する温度調節器31と、この温度調節器31からの各チャンネルの操作量に基づいて、熱板30に配設された9個のヒータ32−1〜32−9に個別的に対応するように設けられたリレー等のスイッチング素子33−1〜33−9の開閉を制御して、交流電源34からの給電を制御する出力機器35とを備えている。
【0006】
熱板30に配設された各ヒータ32−1〜32−9は、各一端X1〜X9が、スイッチング素子33−1〜33−9を介して交流電源34の一端にそれぞれ接続され、各他端Y1〜Y9が、交流電源34の他端にそれぞれ接続されている。
【0007】
温度調節器31は、出力機器35を介して各スイッチング素子33−1〜33−9を制御して各ヒータ32−1〜32−9を個別に駆動するように構成されている。
【0008】
このように従来では、各ヒータ32−1〜32−9を、個別に電源に接続して駆動するために、例えば、この9チャンネルの温度制御システムの場合には、電力線の数が18本となり、スイッチング素子の個数が9個となり、分解能が高くなる程、すなわち、チャンネル数が多くなる程、スイッチング素子の個数および配線数は増大し、特に線径が大きい電力線は、熱板と出力機器との間を長く引き回されることになり、空間設計や配線作業が煩雑になるといった課題がある。
【0009】
かかる配線数の増大による弊害は、ヒータに限らず、センサの信号線等についても同様に生じる。
【0010】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、ヒータやセンサなどの配線数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の配線構造は、複数のヒータを、電源に接続する配線構造であって、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数のヒータがマトリックス接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して、前記電源に接続するヒータを選択するものである。
【0012】
ヒータとしては、抵抗加熱ヒータやランプヒータなどが好ましい。
【0013】
電源は、直流電源であってもよいし、交流電源であってもよい。
【0014】
開閉手段は、リレーであってもよいし、トランジスタ、サイリスタあるいはトライアック等の半導体素子であってもよい。
【0015】
マトリックス接続は、行方向と列方向との格子状の完全なマトリックス限らず、
一部に、マトリックス接続でないヒータ、すなわち、個別の電力線で電源に接続されるヒータを含むものであっもよい。また、マトリックス接続される複数のヒータの組を、複数備えるものであってもよい。
【0016】
本発明の配線構造によると、第1および第2の開閉手段の開閉を制御することによって、行方向(または列方向)の複数の第1の電力線と、列方向(または行方向)の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続されたヒータを選択して給電することができ、ヒータ毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子等の開閉手段の個数を低減することができる。
【0017】
(2)上記(1)の実施形態では、前記ヒータが抵抗体からなるのが好ましい。
【0018】
マトリックス接続されるヒータとして、ペルチェ素子などの熱電変換素子を用いた場合には、後述のように、電流の回り込みによる回路ループが生じて、起電力から温度差を生じる熱電変換素子と、温度差から起電力を生じる熱電変換素子とが打ち消し合う結果、選択した熱電変換素子のみを発熱させる、すなわち、局部的に発熱させるのが困難であるのに対して、この実施形態では、抵抗体ヒータを用いるので、かかる不具合が生じることもない。
【0019】
(3)本発明の配線構造は、複数のセンサを、センサ入力回路に接続する配線構造であって、複数の第1の信号線と複数の第2の信号線との間に、複数のセンサがマトリックス接続され、前記複数の第1の信号線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続される一方、前記複数の第2の信号線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続され、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して、前記センサ入力回路に接続するセンサを選択するものである。
【0020】
本発明の配線構造によると、第1および第2の開閉手段の開閉を制御することによって、行方向(または列方向)の複数の第1の信号線と、列方向(または行方向)の複数の第2の信号線との間に、マトリックス接続されたセンサを選択してその出力をセンサ入力回路に取り込むことができ、センサ毎に、センサ入力回路に個別に接続してセンサ出力を取り込む従来例に比べて、信号線の本数を低減することができる。
【0021】
(4)上記(3)の実施形態では、前記センサが抵抗体からなるのが好ましい。
【0022】
抵抗体からなるセンサとしては、測温抵抗体やサーミスタなどが好ましい。
【0023】
マトリックス接続されるセンサとして、熱電対などの熱電変換素子を用いた場合には、後述のように、電流の回り込みによる回路ループが生じて、起電圧を打ち消し合う熱電変換素子が生じ、その結果、全体としては、選択した熱電変換素子以外の熱電変換素子を含む起電圧を計測する、すなわち、局部的に計測するのが困難であるのに対して、この実施形態では、抵抗体センサを用いるので、かかる不具合が生じることもない。
【0024】
(5)本発明のヒータ駆動装置は、上記(1)または(2)の配線構造を備えるヒータ駆動装置であって、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して前記電源に接続するヒータを選択する選択手段を備えている。
【0025】
本発明のヒータ駆動装置は、独立して構成してもよいし、電力調整器や温度調節器などに内蔵させてもよい。
【0026】
本発明のヒータ駆動装置によると、選択手段によって、開閉手段の開閉を制御して、ヒータを選択して給電することができ、ヒータ毎に、スイッチング素子を介して個別に電源に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子等の開閉手段の個数を低減することができる。
【0027】
(6)本発明の計測装置は、上記(3)または(4)の配線構造を備える計測装置であって、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して前記センサ入力回路に接続するセンサを選択する選択手段を備えている。
【0028】
本発明の計測装置は、独立して構成してもよいし、温度調節器などに内蔵させてもよい。
【0029】
本発明の計測装置によると、選択手段によって、開閉手段の開閉を制御して、センサを選択してその出力をセンサ入力回路に取り込むことができ、センサ毎に、センサ入力回路に個別に接続してセンサ出力を取り込む従来例に比べて、信号線の本数を低減することができる。
【0030】
(7)本発明の制御システムは、本発明に係るヒータ駆動装置を備えている。
【0031】
本発明の制御システムによると、従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子等の開閉手段の個数を低減することができ、電力線を引き回すための空間設計や配線作業が容易となる。
【0032】
(8)本発明の制御システムは、本発明に係る計測装置を備えている。
本発明の制御システムによると、従来例に比べて、信号線の本数を低減することができ、配線作業が容易となる。
【0033】
(9)本発明の制御システムは、複数のヒータが配設された制御対象の温度を制御する制御システムであって、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数のヒータがマトリックス接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記制御対象の温度を検出する複数の温度センサからの検出温度と設定温度とに基づいて、操作量を出力する温度制御手段と、前記温度制御手段からの操作量に基づいて、前記第1の開閉手段および第2の開閉手段の開閉を制御して、駆動するヒータを選択する選択手段とを備えている。
【0034】
本発明の制御システムによると、選択手段によって、第1および第2の開閉手段の開閉を制御して、行方向(または列方向)の複数の第1の電力線と、列方向(または行方向)の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続されたヒータを選択して給電することができ、ヒータ毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子等の開閉手段の個数を低減することができ、これによって、電力線を引き回すための空間設計や配線作業が容易となる。
【0035】
(10)上記(9)の実施形態では、前記ヒータが抵抗体からなるのが好ましい。
【0036】
この実施形態によると、マトリックス接続されるヒータとして、ペルチェ素子などの熱電変換素子を用いた場合のように、局部的に発熱させるのが困難であるといった不具合が生じることもない。
【0037】
(11)上記(9)または(10)の実施形態では、前記選択手段で選択したヒータ以外のヒータに流れる電流による発熱を打ち消すように、前記温度制御手段からの操作量を変換して前記選択手段に与える非干渉化手段を備えてもよい。
【0038】
マトリックス接続されたヒータを選択して駆動する場合には、選択したヒータ以外にも電流が回り込んで周囲のヒータを、発熱量は少ないものの発熱させることになるが、この実施形態によれば、周囲のヒータの発熱を干渉としてみなして、非干渉化手段でそれを打ち消すように操作量を変換するので、周囲のヒータの不所望な発熱の影響を低減して精度の高い温度制御が可能となる。
【0039】
(12)本発明の制御システムは、複数の温度センサが配設される制御対象の温度を制御する制御システムであって、複数の第1の信号線と複数の第2の信号線との間に、複数の温度センサがマトリックス接続され、前記複数の第1の信号線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介してセンサ入力回路に接続される一方、前記複数の第2の信号線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続され、前記第1の開閉手段および第2の開閉手段の開閉を制御して、前記センサ入力回路に接続する温度センサを選択する選択手段と、前記センサ入力回路を介して与えられる温度センサからの入力を、各温度センサに対応する複数の温度制御手段に切換えて与える切換手段と、前記切換手段からの温度センサの入力と設定温度とに基づいて、操作量を出力する前記複数の温度制御手段とを備えている。
【0040】
本発明の制御システムによると、選択手段によって、第1および第2の開閉手段の開閉を制御することによって、行方向(または列方向)の複数の第1の信号線と、列方向(または行方向)の複数の第2の信号線との間に、マトリックス接続された温度センサを選択してその出力をセンサ入力回路に取り込むことができ、センサ毎に、センサ入力回路に個別に接続してセンサ出力を取り込む従来例に比べて、信号線の本数を低減することができ、配線作業が容易となる。
【0041】
(13)上記(12)の実施形態では、前記温度センサが抵抗体からなるのが好ましい。
【0042】
この実施形態によると、マトリックス接続される温度センサとして、熱電対などの熱電変換素子を用いた場合のように、局部的に温度を計測するのが困難であるといった不具合が生じることもない。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、複数の電力線や信号線を、複数のヒータやセンサで共用化しているので、従来例に比べて、電力線等の本数やスイッチング素子の個数を低減することができ、電力線等を引き回すための空間設計や配線作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施形態の温度制御システムの概略構成図であり、図2は、図1の熱板1に配設された9個のヒータの配線構造を示す図である。
【0046】
この実施形態の温度制御システムは、熱板1の9つの制御点の温度を制御する、9チャンネルの制御を行うものであり、熱板1には、9個の第1〜第9のヒータ6−1〜6−9および図示しない9個の温度センサが配設されている。
【0047】
この実施形態では、図2に示すように、第1〜第9のヒータ6−1〜6−9は、行方向の3本の第1の電力線L1−1〜L1〜3と、列方向の3本の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続される。
【0048】
すなわち、第1〜第3のヒータ6−1〜6−3の各一端が、上側の行方向の第1の電力線L1−1に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。また、第4〜第6のヒータ6−4〜6−6の各一端が、中間の行方向の第1の電力線L1−2に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。更に、第7〜第9のヒータ6−7〜6−9の各一端が、下側の行方向の第1の電力線L1−3に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。
【0049】
熱板1から引き出された3本の行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3の各接続用端子X1〜X3は、図1に示すように、複数の第1の開閉手段としての、リレー等からなる3個のスイッチング素子3−1〜3−3をそれぞれ介して交流電源4の一端に接続される。また、熱板1から引き出された3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3の各接続用端子Y1〜Y3は、複数の第2の開閉手段としての、3個のスイッチング素子3−4〜3−6をそれぞれ介して交流電源4の他端に接続される。
【0050】
この温度制御システムは、熱板1に配設された9個の図示しない温度センサからの検出温度(PV)と設定温度(目標温度)とに基づいて、PID演算等を行って9チャンネル分の操作量を出力する温度調節器2と、この温度調節器2からの操作量に基づいて、スイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6の開閉を制御して、交流電源4から熱板1に配設された9個のヒータ6−1〜6−9への給電を制御する出力機器5とを備えている。
9個のヒータ6−1〜6−9は、上述のように、3本の行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3と3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続されている。したがって、行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3のいずれか電力線に対応するスイッチング素子3−1〜3−3と、列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3のいずれかの電力線に対応するスイッチング素子3−4〜3−6とを選択してオンすることによって、いずれかのヒータ6−1〜6−9を選択して交流電源4に接続し、駆動することができる。
【0051】
出力機器5は、駆動するヒータを選択する選択手段としての機能を有し、この出力機器5は、温度調節器2からの9チャンネル分の操作量に基づいて、後述の駆動信号を生成してスイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6の開閉を制御し、マトリックス接続されたヒータ6−1〜6−9を駆動する。
【0052】
次に、熱板1の温度を均一な設定温度に制御する場合のヒータの駆動について説明する。
【0053】
図3は、熱板1の加熱を開始して設定温度に達するまでの状態を示すものであり、同図(a)は熱板1の検出温度(PV)の変化を、同図(b)は温度調節器2から出力される操作量(MV)の変化を代表的に示すものである。
【0054】
加熱を開始した初期の期間T1においては、同図(b)に示す操作量は、100%であって、全てのスイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6がオンし、全てのヒータ6−1〜6−9が駆動され、同図(a)に示すように、熱板1の検出温度(PV)は、上昇する。
【0055】
次に、熱板1の検出温度(PV)が、部分的に設定温度に近づく過渡的な期間T2においては、後述のように複数のスイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6を選択的にオンし、複数のヒータを選択的に駆動する。
【0056】
更に、熱板1の検出温度(PV)が設定温度に達した定常状態の期間T3においては、スイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6を順番にオンし、すなわち、オンする点を順番に走査(スキャン)し、ヒータ6−1〜6−9を時分割に駆動する。
【0057】
図4は、この定常状態の走査を説明するための図であり、行方向の3本の第1の電力線L1−1〜L1−3の各接続用端子X1〜X3にそれぞれ対応するスイッチング素子3−1〜3−3をオンする駆動信号および列方向の3本の第2の電力線L2−1〜L2−3の各接続用端子Y1〜Y3にそれぞれ対応するスイッチング素子3−4〜3−6をオンする駆動信号をそれぞれ示しており、9チャンネルの合計操作量が100%以内であって、各チャンネルの操作量が等しい状態を示している。
【0058】
この図4に示すように、接続用端子X1のスイッチング素子3−1がオンしている期間Tx1において、接続用端子Y1〜Y3のスイッチング素子3−4〜3−6が順番にオンされ、接続用端子X2のスイッチング素子3−2がオンしている期間Tx2において、接続用端子Y1〜Y3のスイッチング素子3−4〜3−6が順番にオンされ、接続用端子X3のスイッチング素子3−3がオンしている期間Tx3において、接続用端子Y1〜Y3のスイッチング素子3−4〜3−6が順番にオンされる。
【0059】
すなわち、一定の制御周期Tにおいて、図2の9個の第1のヒータ6−1から第9のヒータ6−9までが順番に時分割で駆動され、このとき、温度調節器2からの操作量に応じたデューティとなるように各ヒータ6−1〜6−9のオン時間が制御される。なお、この実施形態では、制御周期Tは、例えば、10秒程度である。
【0060】
次に、熱板1の検出温度(PV)が、部分的に設定温度に近づく上述の過渡的な期間T2における制御について説明する。
【0061】
この過渡的な期間T2においては、複数のヒータからなるグループで駆動し、9チャンネルの操作量の合計である合計操作量に応じて、グループを構成するヒータの数を少なくし、しかも、駆動するヒータには、最も温度が低いチャンネル、すなわち、操作量が最も大きいチャンネルのヒータを中心に駆動する。
【0062】
具体的には、合計操作量が、600%以下になると、6個のヒータのグループで駆動し、6個のヒータ毎に走査し、しかも、最も温度が低いチャンネル、すなわち、最も操作量が大きいチャンネルのヒータを中心に走査する。更に、合計操作量が、400%以下になると、4個のヒータのグループで駆動し、4個のヒータ毎に走査し、しかも、最も操作量が大きいチャンネルのヒータを中心に走査する。更に、合計操作量が、200%以下になると、2個のヒータを駆動し、2個のヒータ毎に走査し、しかも、最も操作量が大きいチャンネルのヒータを中心に走査する。合計操作量が、100%以下の状態は、上述の定常状態であり、1個のヒータを順番に時分割で駆動する。
【0063】
このように過渡的な期間では、合計操作量に応じて、ヒータを6個のグループ、4個のグループ、あるいは、2個のグループで駆動して走査するとともに、温度が最も低く、操作量が最も大きいチャンネルのヒータが中心となるように走査する。
【0064】
図5(a)は熱板1の平均温度と各チャンネル間の最大の温度差とを示し、図5(b)は9チャンネルの合計操作量を示している。
【0065】
合計操作量が、900%から600%までの区間Aでは、図6(a)に示すように、9個のヒータ6−1〜6−9の全てを駆動するとともに、操作量に応じてデューティを制御する。なお、図6においては、駆動されているヒータを、斜線を施して示している。
【0066】
合計操作量が、600%から100%までの区間Bでは、上述のように、合計操作量に応じて、ヒータを6個のグループ、4個のグループ、あるいは、2個のグループで駆動して走査するとともに、温度が最も低く、操作量が最も大きいチャンネルのヒータを中心に走査する。例えば、合計操作量が400%から200%までの区間では、4個のヒータのグループ、例えば、図6(b)に示すように、4個のヒータ6−1,6−2,6−4,6−5を駆動する。
【0067】
このように4個のヒータのグループで駆動する場合には、例えば、図7(a)に示すように、接続用端子X1,X2および接続用端子Y1,Y2のスイッチング素子3−1,3−2,3−4,3−5をオンし、左上の4個のヒータ6−1,6−2,6−4,6−5を駆動し、次に、図7(b)に示すように、接続用端子X1,X2および接続用端子Y2,Y3のスイッチング素子3−1,3−2,3−5,3−6を選択して右上の4個のヒータ6−2,6−3,6−4,6−5を駆動するといったように走査し、温度が最も低く、操作量が最も大きいチャンネルのヒータ、例えば、ヒータ6−2を含むように走査する。このときの駆動信号を、図8に示す。
【0068】
ヒータを6個、4個、あるいは、2個のグループで駆動する際に、操作量に応じてデューティを制御する。
【0069】
合計操作量が、100%以下の区間Cでは、図6(c)に示すように、1個のヒータを順番に駆動する。
【0070】
以上のように出力機器5では、温度調節器2から9チャンネルの操作量に基づいて、スイッチング素子3−1〜3−6のオンオフを制御してヒータ6−1〜6−9を選択的に駆動する。
【0071】
なお、ヒータ6−1〜6−9の上述の駆動のタイミングは、一例に過ぎず、要求される精度に応じて、任意に駆動のタイミングを選択することができる。
【0072】
このように第1の電力線L1−1〜L1−3と、第2の電力線L2−1〜L2−3との間で、各ヒータ6−1〜6−9をマトリックス接続し、各ヒータ6−1〜6−9を選択して駆動することにより、図29,図30の従来例に比べて電力線の数を、18本から6本に減らすことができるとともに、スイッチング素子の個数を、9個から6個に減らすことができる。これによって、熱板1と出力機器5との間で、線径の大きな電力線の引き回しのための空間設計や配線作業が容易となる。
【0073】
上述のように、9個のヒータのいずれかのヒータを選択して駆動した際には、選択したヒータのみではなく、周囲のヒータにも漏れ電流の回り込みが発生する。
【0074】
図9は、この電流の回り込みを説明するための図であり、この図9では、接続用端子X2,Y2に対応するスイッチング素子3−2,3−5をオンして、熱板1の中央の第5のヒータ6−5を選択して駆動した例を示している。簡単化するために直流電源で示している。
【0075】
第5のヒータ6−5には、矢符P1で示されるように電流が流れるとともに、周囲のヒータにも電流の回り込みによる複数のループが生じ、例えば、第6,第9,第8のヒータ6−6,6−9,6−8には、矢符P2で示されるように電流の回り込みが生じる。
【0076】
かかる電流の回り込みは、図10に示すように、ヒータを構成する抵抗体の直列接続となり、抵抗値は、選択したヒータの抵抗値の2〜3倍となり、したがって、回り込みの電流値は、選択したヒータを流れる電流値の1/3〜1/2となり、発熱量は、選択したヒータの発熱量の1/9〜1/4となる。なお、図10において、結線を簡素化した理由は、後述の図19で説明する。
【0077】
かかる1/9〜1/4の発熱は、各ヒータ間の熱の干渉を考えれば少ないものであり、無視できる程度のものである。ヒータ間の熱の干渉については、本件発明者の実験によれば(南野郁夫(2007)「熱プロセスの均一温度制御に関する研究」熊本大学大学院自然科学研究科 博士論文)、例えば、3mmのアルミニウム基板上で、60mm離した2点のヒータ間の干渉は、86%であり、上記1/9(11%)〜1/4(25%)は、無視できる程度の小さな値である。
【0078】
(実施形態2)
図11は、熱板10の温度を計測して操作量を出力する温度調節器の構成を示す図であり、図12は、図11の熱板10に配設された温度センサとして測温抵抗体の配線構造を示す図である。
【0079】
この実施形態では、図12に示すように、熱板10には、熱板10の温度を検出する温度センサとして、9個の4線式の第1〜第9の測温抵抗体11−1〜11−9が配設されている。
【0080】
第1〜第9の測温抵抗体11−1〜11−9は、温度調節器のセンサ入力回路12に接続するために、行方向の3本の第1の信号線S1−1〜S1〜3と、列方向の3本の第2の信号線S2−1〜S2−3との間に、マトリックス接続される。
【0081】
すなわち、第1〜第3の測温抵抗体11−1〜11−3の各一端が、上側の行方向の第1の信号線S1−1に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の信号線S2−1〜S2−3にそれぞれ接続される。また、第4〜第6の測温抵抗体11−4〜11−6の各一端が、中間の行方向の第1の信号線S1−2に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の信号線S2−1〜S2−3にそれぞれ接続される。更に、第7〜第9の測温抵抗体11−7〜11−9の各一端が、下側の行方向の第1の信号線S1−3に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の信号線S2−1〜S2−3にそれぞれ接続される。
【0082】
また、第1〜第9の測温抵抗体11−1〜11−9は、温度調節器の定電流源13に接続するために、行方向の3本の第1の配線M1−1〜M1〜3と、列方向の3本の第2の配線M2−1〜M2−3との間に、マトリックス接続される。
【0083】
熱板1から引き出された3本の行方向の第1の信号線S1−1〜S1−3の各接続用端子X1〜X3および3本の行方向の第1の配線M1−1〜M1−3の各接続用端子X1’〜X3’は、図11に示すように、温度調節器の複数の第1の開閉手段としてのリレー等からなる3個のスイッチング素子14−1〜14−3をそれぞれ介してセンサ入力回路12または定電流源13の一端に接続される。また、熱板1から引き出された3本の列方向の第2の信号線S2−1〜S2−3の各接続用端子Y1〜Y3および3本の列方向の第2の配線M2−1〜M2−3の各接続用端子Y1’〜Y3’は、温度調節器の複数の第2の開閉手段としてのリレー等からなる3個のスイッチング素子14−4〜14−6をそれぞれ介してセンサ入力回路12または定電流源13の他端に接続される。
【0084】
各スイッチング素子14−1〜14−6は、それぞれ2個の接点を有し、連動してオンオフされる。すなわち、第1の信号線S1−1と第1の配線M1−1とが接続されているスイッチング素子14−1の2個の接点は連動してオンオフされ、また、第1の信号線S1−2と第1の配線M1−2とが接続されているスイッチング素子14−2の2個の接点は連動してオンオフされ、更に、第1の信号線S1−3と第1の配線M1−3とが接続されているスイッチング素子14−3の2個の接点は連動してオンオフされる。
【0085】
同様に、第2の信号線S2−1と第2の配線M2−1とが接続されているスイッチング素子14−4の2個の接点は連動してオンオフされ、また、第2の信号線S2−2と第2の配線M2−2とが接続されているスイッチング素子14−5の2個の接点は連動してオンオフされ、更に、第2の信号線S2−3と第2の配線M2−3とが接続されているスイッチング素子14−6の2個の接点は連動してオンオフされる。
【0086】
したがって、スイッチング素子14−1〜14−3のいずれかと、スイッチング素子14−4〜14−6いずれかをオンすることによって、対応する測温抵抗体に、定電流を流すとともに、両端の電圧を計測して温度を計測することができる。
【0087】
かかるスイッチング素子14−1〜14−6のオンオフ制御は、温度調節器の選択手段15によって、時分割に行われる。
【0088】
すなわち、選択手段15は、タイマ手段16からのタイマ出力に基づいて、スイッチング素子14−1〜14−6のオンオフを制御し、図13に示すように、第1のチャンネルCH1に対応する第1の測温抵抗体11−1から第9のチャンネルCH9に対応する第9の測温抵抗体11−9まで順番に定電流を流して両端の電圧をセンサ入力回路12に順番に取り込む。これを一定の周期Tsで繰り返す。
【0089】
センサ入力回路12に順番に取り込まれた各測温抵抗体11−1〜11−9からの入力は、タイマ手段16からのタイマ出力に基づいて、選択手段15の選択に同期して、切換手段17によって、各チャンネルCH1〜CH9の検出温度PV1〜PV9として、対応するチャンネルのPID制御部18−1〜18−9に順番に与えられる。
【0090】
すなわち、選択手段15によって、第1のチャンネルCH1に対応する第1の測温抵抗体11−1を選択したときには、切換手段17は、センサ入力回路12からの入力を、第1のチャンネルCH1に対応するPID制御部18−1に与え、選択手段15によって、第2のチャンネルCH2に対応する第2の測温抵抗体11−2を選択したときには、切換手段17は、センサ入力回路12からの入力を、第2のチャンネルCH2に対応するPID制御部18−2に与え、以下、順番に各チャンネルのPID制御部に与える。
【0091】
選択手段15、切換手段17およびPID制御部18−1〜18−9等は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0092】
従来では、4線式の測温抵抗体は、センサ入力回路に接続するための信号線が2本、定電流源に接続するための配線が2本の計4本必要であり、9個の測温抵抗体を用いる場合には、センサ入力回路に接続するための信号線の合計が18本、定電流源に接続するための配線の合計が18本必要であったのに対して、この実施形態のように、第1〜第9の測温抵抗体11−1〜11−9を、行方向の3本の第1の信号線S1−1〜S1〜3と、列方向の3本の第2の信号線S2−1〜S2−3との間、および、行方向の3本の第1の配線M1−1〜M1〜3と、列方向の3本の第2の配線M2−1〜M2−3との間に、マトリックス接続し、各測温抵抗体を選択して温度を計測することにより、センサ入力回路12に接続するための信号線の合計本数を6本、定電流源13に接続するための配線の合計本数を6本にそれぞれ減らすことができる。
【0093】
なお、この実施形態の温度計測を、上述の図1の実施形態の温度計測に適用してもよい。
【0094】
かかる測温抵抗体からなるセンサの場合にも、上述のヒータと同様に電流の回り込みが発生する。
【0095】
例えば、図14に示すように、接続用端子X2’,Y2’に対応するスイッチング素子14−2,14−5をオンして、熱板10の中央の第5の測温抵抗体11−5を選択して定電流源13から電流を流すと、第5の測温抵抗体11−5には、矢符P1で示されるように電流が流れるとともに、周囲の測温抵抗体にも電流の回り込みによる複数のループが生じ、例えば、第6,第9,第8の測温抵抗体11−6,11−9,11−8には、矢符P2で示されるように電流の回り込みが生じる。
【0096】
かかる電流の回り込みは、図15に示すように、測温抵抗体の並列と直列の接続となる。全体の抵抗値Rxは、選択した測温抵抗体の抵抗値R1と、他の測温抵抗体の抵抗値R2とが等しいすると、後述のように約44%小さくなるので、44%分、電流値を高く設定することにより、従来と同様に温度を計測することができる。
【0097】
次に、回り込みループが形成されることによって、抵抗値が約44%小さくなる理由について説明する。
【0098】
今、図16(a)に示すように、9個の抵抗体A〜Iをマトリックス接続し、端子X2と端子Y2との間に電圧をかけて中央の抵抗体Iに電流を流した場合を想定する。
【0099】
この場合、抵抗体A〜Iの接続を図16(b)に示すように、左右の抵抗体A,Bの2並列と、4隅の抵抗体C,D,E,Fの4並列と、上下の抵抗体G,Hの2並列との3層の状態に表現する。各抵抗体A〜Hの抵抗値が同じであるとすると、各層を接続しても電圧変化がないので仮に接続する。
2並列(抵抗値がR2/2)と、4並列(抵抗値がR2/4)と、2並列(抵抗値がR2/2)との直列として計算すると、合成抵抗Rxは、
Rx={R1・(5/4)・R2}/{R1+(5/4)・R2}
=R1−{4R21/(4R1+5R2)}
=R1{1−(4/9)}
となり、抵抗値は、約44%小さくなる。
【0100】
したがって、上述のように、44%分、電流値を高く設定することにより、従来と同様に温度を計測することができる。
【0101】
上記の各実施形態では、抵抗体からなるヒータおよびセンサを用いているが、かかる抵抗体が好ましい理由について説明する。
【0102】
抵抗体以外の熱電変換を原理とする熱電変換素子は、マトリックス構造にすると、局部の加熱や計測ができなくなる。
【0103】
例えば、抵抗体ヒータに変えて、ペルチェ素子を用いた場合を、図17に基づいて説明する。熱板1には、9個の第1〜第9のペルチェ素子19−1〜19−9がマトリックス接続されている。接続用端子X2,Y2を電源に接続して、中央の第5のペルチェ素子19−5を駆動すると、回り込みのために、図18(a)に示すように、熱起電力が略等しいので、3層の並直列接続とみなすことができる。
【0104】
その内、4並列のペルチェ素子と2並列のペルチェ素子との起電圧の打ち消し、すなわち、一方が、起電力(電)から温度差(熱)を発生するのに対して、他方が、温度差(熱)から起電力(電)を発生して、互いに打ち消し合うことになり、結果的に、図18(b)に示すように、中央の第5のペルチェ素子19−5に、並列に2個のペルチェ素子が接続されたと略等しくなり、1のペルチェ素子を発熱させるつもりが、周囲のペルチェ素子を含めて全体を発熱させることになり、制御するのが困難である。
【0105】
ここで、3層の並直列接続について説明する。
【0106】
熱板全体の温度が室温に比べて相対的に近い場合、例えば、図19(a)に示すように、S21とS23との熱電変換素子の電圧は略等しく、S12とS32の熱電変換素子の電圧も略等しいので、図19(b)に示すように接続しているとしてもよく、その結果、図19(c)に示すように、回り込みによる回路ループは、電池を並列に3直列したものと等価である。すなわち、3層の並直列接続に置き換えることができる。
【0107】
次に、測温抵抗体に変えて、熱電対を用いた場合を、図20に基づいて説明する。熱板10には、温度センサとして、9個の第1〜第9の熱電対20−1〜20−9がマトリックス接続されている。中央の第5の熱電対20−5を選択して測定する場合には、回り込みのために、X2とY2との間の回路ループは、熱起電力がほぼ等しいので、図21(a)に示すように、3層の並直列接続とみなすことができる。この並直列接続では、4並列の熱電対と2並列の熱伝対の起電圧の打ち消しために、図21(b)に示すように、3個の熱電対の並列接続となって平均的な温度を検出することになる。
【0108】
したがって、どの組み合わせの端子を計測しても、ほとんど同じ計測値となり、局部的な温度計測できない。
【0109】
このようにマトリックス接続では、ペルチェ素子や熱電対などの電気と温度差を双方向で変換する熱電変換素子を用いるのは困難である。
【0110】
(実施形態3)
図22は、本発明の他の実施形態の温度制御システムの概略構成図であり、上述の図1に対応する図である。
【0111】
上述のように、9個のヒータ6−1,6−9のいずれかのヒータを選択して駆動した際には、選択したヒータのみではなく、周囲のヒータにも漏れ電流の回り込みが発生し、発熱することになる。
【0112】
このように選択したヒータ以外の周囲のヒータからの漏れ電流による発熱を、干渉として捉え、この漏れ電流による発熱を打ち消すように、非干渉化を図るものである。
【0113】
すなわち、この実施形態では、温度調節器2−1は、熱板1に配設された図示しない9個の温度センサからの検出温度(PV)と設定温度との偏差に基づいて、9チャンネル分の操作量を演算するPID制御部21を備えるとともに、更に、PID制御部21からの9チャンネル分の操作量MVaを、漏れ電流による干渉を打ち消すように変換する非干渉化器22とを備えており、非干渉化した操作量MVbを出力機器5に与えるようにしている。その他の構成は、上述の実施形態1と同様である。
【0114】
非干渉化器22を設計するためには、予め漏れ電流による発熱の程度を見積もる必要がある。図23(a)は、9個のヒータA〜Iをマトリックス接続し、接続用端子X2と接続用端子Y2との間に電圧をかけて中央のヒータIを駆動した場合を示している。
【0115】
この場合、計算を簡単化するために、ヒータA〜Iの接続を図23(b)に示すように、左右のヒータA,Bの2並列と、4隅のヒータC,D,E,Fの4並列と、上下のヒータG,Hの2並列との3層の状態に表現する。各ヒータA〜Iの抵抗値が同じであるとすると、各層を接続しても電圧変化がないので仮に接続する。
【0116】
2並列と4並列と2並列の直列として計算すると、
選択したヒータIによる発熱量Pは、
P=E2/R
2並列のヒータA,B,G,Hによる発熱量PA,PB,PG,PHは、
PA=PB=PG=PH=4E2/25R
4並列のヒータC,D,E,Fによる発熱量PC,PD,PE,PFは、
PC=PD=PE=PF=E2/25R
となる。
【0117】
このようにして、各チャンネル間の漏れ電流による干渉を全てのチャンネルについて計算し、下記の干渉の度合いを示す干渉の行列(1)を求める。
【0118】
【数1】
【0119】
この干渉を打ち消すための非干渉化の行列(2)を、上記の干渉の行列(1)の逆行列として、下記のように求める。
【0120】
【数2】
【0121】
温度調節器2−1の非干渉化器22では、PID制御部21からの操作量MVa(MVa1〜MVa9)と、上記逆行列(2)とを用いて、下記のようにして、非干渉化した操作量MVb(MVb1〜MVb9)に変換する。
【0122】
【数3】
【0123】
なお、非干渉化器は、温度調節器ではなく、出力機器側に設けてもよい。
【0124】
(その他の実施形態)
上述の実施形態1では、駆動するヒータを選択する選択手段を、出力機器5に内蔵させたけれども、本発明の他の実施形態として、図24に示すように、選択手段を温度調節器2−2に内蔵し、この温度調節器2−2からの駆動信号によって、スイッチング素子を内蔵する出力機器5−1,5−2を制御してもよい。
【0125】
上述の各実施形態では、熱板のヒータをマトリックス接続したけれども、複数のヒータを1列あるいは1行とし接続してもよく、例えば、図25に示すように、3個のヒータ6−1〜6−3を、一列に接続し、各ヒータ6−1〜6−3の各一端の共通の電力線の接続用端子X1,X2X3を、図26に示すように、スイッチング素子3−1〜3−3をそれぞれ介して電源4の一端に接続する一方、各ヒータ6−1〜6−3の各他端を共通に接続した接続用端子Yを、電源4の他端に接続してもよい。
【0126】
上述の実施形態1では、各ヒータ6−1〜6−9は、全てマトリックス接続されたけれども、本発明の他の実施形態として、図27に示すように、少なくとも一部のヒータ、例えば、放熱しにくく、過熱され易い中央のヒータ6−5は、マトリックス接続することなく、個別に駆動するようにして制御性能を高めてよい。
【0127】
更に、図28に示すように、例えば、16個のヒータ6−1〜6−16の場合には、例えば、中央の4個のヒータ6−6,6−7,6−10,6−11については、行方向の第1の電源線および列方向の第2の電源線を別に設けるようにし、複数のヒータがマトリックス接続される組を、複数備えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、多チャンネルの制御に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、本発明の実施形態の温度制御システムの概略構成図である。
【図2】図1の熱板に配設された9個のヒータの配線構造を示す図である。
【図3】熱板の加熱を開始して設定温度に達するまでの各状態のヒータの駆動を説明するための図である。
【図4】ヒータを駆動するための駆動信号を示す図である。
【図5】熱板の温度と9チャンネルの合計操作量の変化を示す図である。
【図6】合計操作量に応じたヒータの駆動を説明するための図である。
【図7】4個のヒータのグループを駆動する例を示す図である。
【図8】図7の駆動信号を示す図である。
【図9】電流の回り込みを説明するための図である。
【図10】電流の回り込みの影響を示す図である。
【図11】熱板の温度を計測して操作量を出力する温度調節器の構成を示す図である。
【図12】図11の熱板に配設された測温抵抗体の配線構造を示す図である。
【図13】選択手段による各チャンネルのセンサの入力の取り込みタイミングを示す図である。
【図14】測温抵抗体からなるセンサの場合の電流の回り込みを説明するための図である。
【図15】電流の回り込みの影響を示す図である。
【図16】電流の回り込みによる抵抗値の低下を説明するための図である。
【図17】ペルチェ素子を用いた場合の電流の回り込みを説明するための図である。
【図18】電流の回り込みによる影響を示す図である。
【図19】電流の回り込みを並直列接続と等価と見なせる理由を説明するための図である。
【図20】熱電対を用いた場合の電流の回り込みを説明するための図である。
【図21】電流の回り込みによる影響を示す図である。
【図22】本発明の他の実施形態の温度制御システムの概略構成図である。
【図23】漏れ電流による発熱の程度を示す図である。
【図24】本発明の他の実施形態の温度制御システムの概略構成図である。
【図25】ヒータの配線構造の他の例を示す図である。
【図26】図25の配線構造に対応する温度制御システムの概略構成図である。
【図27】ヒータの配線構造の他の例を示す図である。
【図28】ヒータの配線構造の更に他の例を示す図である。
【図29】従来例の温度制御システムの概略構成図である。
【図30】従来例のヒータの配線構造を示す図である。
【符号の説明】
【0130】
1,10 熱板
2,2−1,2−2 温度調節器
3−1〜3−6,14−1〜14−6 スイッチング素子
4 交流電源
5,5−1,5−2 出力機器
6−1〜6−16 ヒータ
11−1〜11−9 測温抵抗体
12 センサ入力回路
15 選択手段
18−1〜18−9 PID制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータやセンサなどの電力線や信号線などの配線数の削減を図った配線構造、それを用いたヒータ駆動装置、計測装置および制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、被加熱物を、熱板上に載置して加熱処理するような温度制御においては、温度調節器は、熱板に配設された温度センサからの検出温度に基づいて、熱板の温度が設定温度になるように、熱板に配設されたヒータの通電を制御することにより行なわれる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−274069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記熱板に、複数のヒータおよび複数の温度センサを配設して複数の制御点、すなわち、複数チャンネルの温度制御を行なう場合には、ヒータの電力線や温度センサの信号線の配線数が増大することになる。
【0004】
図29は、熱板の温度を9つの制御点で制御する9チャンネルの温度制御システムの概略構成図であり、図30は、図29の熱板に配設された9個のヒータの配線構造を示す図である。
【0005】
この温度制御システムは、熱板30に配設された図示しない9個の温度センサからの検出温度PVと設定温度とに基づいて、PID演算等を行って各チャンネルの操作量を出力する温度調節器31と、この温度調節器31からの各チャンネルの操作量に基づいて、熱板30に配設された9個のヒータ32−1〜32−9に個別的に対応するように設けられたリレー等のスイッチング素子33−1〜33−9の開閉を制御して、交流電源34からの給電を制御する出力機器35とを備えている。
【0006】
熱板30に配設された各ヒータ32−1〜32−9は、各一端X1〜X9が、スイッチング素子33−1〜33−9を介して交流電源34の一端にそれぞれ接続され、各他端Y1〜Y9が、交流電源34の他端にそれぞれ接続されている。
【0007】
温度調節器31は、出力機器35を介して各スイッチング素子33−1〜33−9を制御して各ヒータ32−1〜32−9を個別に駆動するように構成されている。
【0008】
このように従来では、各ヒータ32−1〜32−9を、個別に電源に接続して駆動するために、例えば、この9チャンネルの温度制御システムの場合には、電力線の数が18本となり、スイッチング素子の個数が9個となり、分解能が高くなる程、すなわち、チャンネル数が多くなる程、スイッチング素子の個数および配線数は増大し、特に線径が大きい電力線は、熱板と出力機器との間を長く引き回されることになり、空間設計や配線作業が煩雑になるといった課題がある。
【0009】
かかる配線数の増大による弊害は、ヒータに限らず、センサの信号線等についても同様に生じる。
【0010】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、ヒータやセンサなどの配線数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の配線構造は、複数のヒータを、電源に接続する配線構造であって、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数のヒータがマトリックス接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して、前記電源に接続するヒータを選択するものである。
【0012】
ヒータとしては、抵抗加熱ヒータやランプヒータなどが好ましい。
【0013】
電源は、直流電源であってもよいし、交流電源であってもよい。
【0014】
開閉手段は、リレーであってもよいし、トランジスタ、サイリスタあるいはトライアック等の半導体素子であってもよい。
【0015】
マトリックス接続は、行方向と列方向との格子状の完全なマトリックス限らず、
一部に、マトリックス接続でないヒータ、すなわち、個別の電力線で電源に接続されるヒータを含むものであっもよい。また、マトリックス接続される複数のヒータの組を、複数備えるものであってもよい。
【0016】
本発明の配線構造によると、第1および第2の開閉手段の開閉を制御することによって、行方向(または列方向)の複数の第1の電力線と、列方向(または行方向)の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続されたヒータを選択して給電することができ、ヒータ毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子等の開閉手段の個数を低減することができる。
【0017】
(2)上記(1)の実施形態では、前記ヒータが抵抗体からなるのが好ましい。
【0018】
マトリックス接続されるヒータとして、ペルチェ素子などの熱電変換素子を用いた場合には、後述のように、電流の回り込みによる回路ループが生じて、起電力から温度差を生じる熱電変換素子と、温度差から起電力を生じる熱電変換素子とが打ち消し合う結果、選択した熱電変換素子のみを発熱させる、すなわち、局部的に発熱させるのが困難であるのに対して、この実施形態では、抵抗体ヒータを用いるので、かかる不具合が生じることもない。
【0019】
(3)本発明の配線構造は、複数のセンサを、センサ入力回路に接続する配線構造であって、複数の第1の信号線と複数の第2の信号線との間に、複数のセンサがマトリックス接続され、前記複数の第1の信号線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続される一方、前記複数の第2の信号線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続され、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して、前記センサ入力回路に接続するセンサを選択するものである。
【0020】
本発明の配線構造によると、第1および第2の開閉手段の開閉を制御することによって、行方向(または列方向)の複数の第1の信号線と、列方向(または行方向)の複数の第2の信号線との間に、マトリックス接続されたセンサを選択してその出力をセンサ入力回路に取り込むことができ、センサ毎に、センサ入力回路に個別に接続してセンサ出力を取り込む従来例に比べて、信号線の本数を低減することができる。
【0021】
(4)上記(3)の実施形態では、前記センサが抵抗体からなるのが好ましい。
【0022】
抵抗体からなるセンサとしては、測温抵抗体やサーミスタなどが好ましい。
【0023】
マトリックス接続されるセンサとして、熱電対などの熱電変換素子を用いた場合には、後述のように、電流の回り込みによる回路ループが生じて、起電圧を打ち消し合う熱電変換素子が生じ、その結果、全体としては、選択した熱電変換素子以外の熱電変換素子を含む起電圧を計測する、すなわち、局部的に計測するのが困難であるのに対して、この実施形態では、抵抗体センサを用いるので、かかる不具合が生じることもない。
【0024】
(5)本発明のヒータ駆動装置は、上記(1)または(2)の配線構造を備えるヒータ駆動装置であって、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して前記電源に接続するヒータを選択する選択手段を備えている。
【0025】
本発明のヒータ駆動装置は、独立して構成してもよいし、電力調整器や温度調節器などに内蔵させてもよい。
【0026】
本発明のヒータ駆動装置によると、選択手段によって、開閉手段の開閉を制御して、ヒータを選択して給電することができ、ヒータ毎に、スイッチング素子を介して個別に電源に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子等の開閉手段の個数を低減することができる。
【0027】
(6)本発明の計測装置は、上記(3)または(4)の配線構造を備える計測装置であって、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して前記センサ入力回路に接続するセンサを選択する選択手段を備えている。
【0028】
本発明の計測装置は、独立して構成してもよいし、温度調節器などに内蔵させてもよい。
【0029】
本発明の計測装置によると、選択手段によって、開閉手段の開閉を制御して、センサを選択してその出力をセンサ入力回路に取り込むことができ、センサ毎に、センサ入力回路に個別に接続してセンサ出力を取り込む従来例に比べて、信号線の本数を低減することができる。
【0030】
(7)本発明の制御システムは、本発明に係るヒータ駆動装置を備えている。
【0031】
本発明の制御システムによると、従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子等の開閉手段の個数を低減することができ、電力線を引き回すための空間設計や配線作業が容易となる。
【0032】
(8)本発明の制御システムは、本発明に係る計測装置を備えている。
本発明の制御システムによると、従来例に比べて、信号線の本数を低減することができ、配線作業が容易となる。
【0033】
(9)本発明の制御システムは、複数のヒータが配設された制御対象の温度を制御する制御システムであって、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数のヒータがマトリックス接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記制御対象の温度を検出する複数の温度センサからの検出温度と設定温度とに基づいて、操作量を出力する温度制御手段と、前記温度制御手段からの操作量に基づいて、前記第1の開閉手段および第2の開閉手段の開閉を制御して、駆動するヒータを選択する選択手段とを備えている。
【0034】
本発明の制御システムによると、選択手段によって、第1および第2の開閉手段の開閉を制御して、行方向(または列方向)の複数の第1の電力線と、列方向(または行方向)の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続されたヒータを選択して給電することができ、ヒータ毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子等の開閉手段の個数を低減することができ、これによって、電力線を引き回すための空間設計や配線作業が容易となる。
【0035】
(10)上記(9)の実施形態では、前記ヒータが抵抗体からなるのが好ましい。
【0036】
この実施形態によると、マトリックス接続されるヒータとして、ペルチェ素子などの熱電変換素子を用いた場合のように、局部的に発熱させるのが困難であるといった不具合が生じることもない。
【0037】
(11)上記(9)または(10)の実施形態では、前記選択手段で選択したヒータ以外のヒータに流れる電流による発熱を打ち消すように、前記温度制御手段からの操作量を変換して前記選択手段に与える非干渉化手段を備えてもよい。
【0038】
マトリックス接続されたヒータを選択して駆動する場合には、選択したヒータ以外にも電流が回り込んで周囲のヒータを、発熱量は少ないものの発熱させることになるが、この実施形態によれば、周囲のヒータの発熱を干渉としてみなして、非干渉化手段でそれを打ち消すように操作量を変換するので、周囲のヒータの不所望な発熱の影響を低減して精度の高い温度制御が可能となる。
【0039】
(12)本発明の制御システムは、複数の温度センサが配設される制御対象の温度を制御する制御システムであって、複数の第1の信号線と複数の第2の信号線との間に、複数の温度センサがマトリックス接続され、前記複数の第1の信号線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介してセンサ入力回路に接続される一方、前記複数の第2の信号線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続され、前記第1の開閉手段および第2の開閉手段の開閉を制御して、前記センサ入力回路に接続する温度センサを選択する選択手段と、前記センサ入力回路を介して与えられる温度センサからの入力を、各温度センサに対応する複数の温度制御手段に切換えて与える切換手段と、前記切換手段からの温度センサの入力と設定温度とに基づいて、操作量を出力する前記複数の温度制御手段とを備えている。
【0040】
本発明の制御システムによると、選択手段によって、第1および第2の開閉手段の開閉を制御することによって、行方向(または列方向)の複数の第1の信号線と、列方向(または行方向)の複数の第2の信号線との間に、マトリックス接続された温度センサを選択してその出力をセンサ入力回路に取り込むことができ、センサ毎に、センサ入力回路に個別に接続してセンサ出力を取り込む従来例に比べて、信号線の本数を低減することができ、配線作業が容易となる。
【0041】
(13)上記(12)の実施形態では、前記温度センサが抵抗体からなるのが好ましい。
【0042】
この実施形態によると、マトリックス接続される温度センサとして、熱電対などの熱電変換素子を用いた場合のように、局部的に温度を計測するのが困難であるといった不具合が生じることもない。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、複数の電力線や信号線を、複数のヒータやセンサで共用化しているので、従来例に比べて、電力線等の本数やスイッチング素子の個数を低減することができ、電力線等を引き回すための空間設計や配線作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施形態の温度制御システムの概略構成図であり、図2は、図1の熱板1に配設された9個のヒータの配線構造を示す図である。
【0046】
この実施形態の温度制御システムは、熱板1の9つの制御点の温度を制御する、9チャンネルの制御を行うものであり、熱板1には、9個の第1〜第9のヒータ6−1〜6−9および図示しない9個の温度センサが配設されている。
【0047】
この実施形態では、図2に示すように、第1〜第9のヒータ6−1〜6−9は、行方向の3本の第1の電力線L1−1〜L1〜3と、列方向の3本の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続される。
【0048】
すなわち、第1〜第3のヒータ6−1〜6−3の各一端が、上側の行方向の第1の電力線L1−1に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。また、第4〜第6のヒータ6−4〜6−6の各一端が、中間の行方向の第1の電力線L1−2に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。更に、第7〜第9のヒータ6−7〜6−9の各一端が、下側の行方向の第1の電力線L1−3に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。
【0049】
熱板1から引き出された3本の行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3の各接続用端子X1〜X3は、図1に示すように、複数の第1の開閉手段としての、リレー等からなる3個のスイッチング素子3−1〜3−3をそれぞれ介して交流電源4の一端に接続される。また、熱板1から引き出された3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3の各接続用端子Y1〜Y3は、複数の第2の開閉手段としての、3個のスイッチング素子3−4〜3−6をそれぞれ介して交流電源4の他端に接続される。
【0050】
この温度制御システムは、熱板1に配設された9個の図示しない温度センサからの検出温度(PV)と設定温度(目標温度)とに基づいて、PID演算等を行って9チャンネル分の操作量を出力する温度調節器2と、この温度調節器2からの操作量に基づいて、スイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6の開閉を制御して、交流電源4から熱板1に配設された9個のヒータ6−1〜6−9への給電を制御する出力機器5とを備えている。
9個のヒータ6−1〜6−9は、上述のように、3本の行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3と3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続されている。したがって、行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3のいずれか電力線に対応するスイッチング素子3−1〜3−3と、列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3のいずれかの電力線に対応するスイッチング素子3−4〜3−6とを選択してオンすることによって、いずれかのヒータ6−1〜6−9を選択して交流電源4に接続し、駆動することができる。
【0051】
出力機器5は、駆動するヒータを選択する選択手段としての機能を有し、この出力機器5は、温度調節器2からの9チャンネル分の操作量に基づいて、後述の駆動信号を生成してスイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6の開閉を制御し、マトリックス接続されたヒータ6−1〜6−9を駆動する。
【0052】
次に、熱板1の温度を均一な設定温度に制御する場合のヒータの駆動について説明する。
【0053】
図3は、熱板1の加熱を開始して設定温度に達するまでの状態を示すものであり、同図(a)は熱板1の検出温度(PV)の変化を、同図(b)は温度調節器2から出力される操作量(MV)の変化を代表的に示すものである。
【0054】
加熱を開始した初期の期間T1においては、同図(b)に示す操作量は、100%であって、全てのスイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6がオンし、全てのヒータ6−1〜6−9が駆動され、同図(a)に示すように、熱板1の検出温度(PV)は、上昇する。
【0055】
次に、熱板1の検出温度(PV)が、部分的に設定温度に近づく過渡的な期間T2においては、後述のように複数のスイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6を選択的にオンし、複数のヒータを選択的に駆動する。
【0056】
更に、熱板1の検出温度(PV)が設定温度に達した定常状態の期間T3においては、スイッチング素子3−1〜3−3,3−4〜3−6を順番にオンし、すなわち、オンする点を順番に走査(スキャン)し、ヒータ6−1〜6−9を時分割に駆動する。
【0057】
図4は、この定常状態の走査を説明するための図であり、行方向の3本の第1の電力線L1−1〜L1−3の各接続用端子X1〜X3にそれぞれ対応するスイッチング素子3−1〜3−3をオンする駆動信号および列方向の3本の第2の電力線L2−1〜L2−3の各接続用端子Y1〜Y3にそれぞれ対応するスイッチング素子3−4〜3−6をオンする駆動信号をそれぞれ示しており、9チャンネルの合計操作量が100%以内であって、各チャンネルの操作量が等しい状態を示している。
【0058】
この図4に示すように、接続用端子X1のスイッチング素子3−1がオンしている期間Tx1において、接続用端子Y1〜Y3のスイッチング素子3−4〜3−6が順番にオンされ、接続用端子X2のスイッチング素子3−2がオンしている期間Tx2において、接続用端子Y1〜Y3のスイッチング素子3−4〜3−6が順番にオンされ、接続用端子X3のスイッチング素子3−3がオンしている期間Tx3において、接続用端子Y1〜Y3のスイッチング素子3−4〜3−6が順番にオンされる。
【0059】
すなわち、一定の制御周期Tにおいて、図2の9個の第1のヒータ6−1から第9のヒータ6−9までが順番に時分割で駆動され、このとき、温度調節器2からの操作量に応じたデューティとなるように各ヒータ6−1〜6−9のオン時間が制御される。なお、この実施形態では、制御周期Tは、例えば、10秒程度である。
【0060】
次に、熱板1の検出温度(PV)が、部分的に設定温度に近づく上述の過渡的な期間T2における制御について説明する。
【0061】
この過渡的な期間T2においては、複数のヒータからなるグループで駆動し、9チャンネルの操作量の合計である合計操作量に応じて、グループを構成するヒータの数を少なくし、しかも、駆動するヒータには、最も温度が低いチャンネル、すなわち、操作量が最も大きいチャンネルのヒータを中心に駆動する。
【0062】
具体的には、合計操作量が、600%以下になると、6個のヒータのグループで駆動し、6個のヒータ毎に走査し、しかも、最も温度が低いチャンネル、すなわち、最も操作量が大きいチャンネルのヒータを中心に走査する。更に、合計操作量が、400%以下になると、4個のヒータのグループで駆動し、4個のヒータ毎に走査し、しかも、最も操作量が大きいチャンネルのヒータを中心に走査する。更に、合計操作量が、200%以下になると、2個のヒータを駆動し、2個のヒータ毎に走査し、しかも、最も操作量が大きいチャンネルのヒータを中心に走査する。合計操作量が、100%以下の状態は、上述の定常状態であり、1個のヒータを順番に時分割で駆動する。
【0063】
このように過渡的な期間では、合計操作量に応じて、ヒータを6個のグループ、4個のグループ、あるいは、2個のグループで駆動して走査するとともに、温度が最も低く、操作量が最も大きいチャンネルのヒータが中心となるように走査する。
【0064】
図5(a)は熱板1の平均温度と各チャンネル間の最大の温度差とを示し、図5(b)は9チャンネルの合計操作量を示している。
【0065】
合計操作量が、900%から600%までの区間Aでは、図6(a)に示すように、9個のヒータ6−1〜6−9の全てを駆動するとともに、操作量に応じてデューティを制御する。なお、図6においては、駆動されているヒータを、斜線を施して示している。
【0066】
合計操作量が、600%から100%までの区間Bでは、上述のように、合計操作量に応じて、ヒータを6個のグループ、4個のグループ、あるいは、2個のグループで駆動して走査するとともに、温度が最も低く、操作量が最も大きいチャンネルのヒータを中心に走査する。例えば、合計操作量が400%から200%までの区間では、4個のヒータのグループ、例えば、図6(b)に示すように、4個のヒータ6−1,6−2,6−4,6−5を駆動する。
【0067】
このように4個のヒータのグループで駆動する場合には、例えば、図7(a)に示すように、接続用端子X1,X2および接続用端子Y1,Y2のスイッチング素子3−1,3−2,3−4,3−5をオンし、左上の4個のヒータ6−1,6−2,6−4,6−5を駆動し、次に、図7(b)に示すように、接続用端子X1,X2および接続用端子Y2,Y3のスイッチング素子3−1,3−2,3−5,3−6を選択して右上の4個のヒータ6−2,6−3,6−4,6−5を駆動するといったように走査し、温度が最も低く、操作量が最も大きいチャンネルのヒータ、例えば、ヒータ6−2を含むように走査する。このときの駆動信号を、図8に示す。
【0068】
ヒータを6個、4個、あるいは、2個のグループで駆動する際に、操作量に応じてデューティを制御する。
【0069】
合計操作量が、100%以下の区間Cでは、図6(c)に示すように、1個のヒータを順番に駆動する。
【0070】
以上のように出力機器5では、温度調節器2から9チャンネルの操作量に基づいて、スイッチング素子3−1〜3−6のオンオフを制御してヒータ6−1〜6−9を選択的に駆動する。
【0071】
なお、ヒータ6−1〜6−9の上述の駆動のタイミングは、一例に過ぎず、要求される精度に応じて、任意に駆動のタイミングを選択することができる。
【0072】
このように第1の電力線L1−1〜L1−3と、第2の電力線L2−1〜L2−3との間で、各ヒータ6−1〜6−9をマトリックス接続し、各ヒータ6−1〜6−9を選択して駆動することにより、図29,図30の従来例に比べて電力線の数を、18本から6本に減らすことができるとともに、スイッチング素子の個数を、9個から6個に減らすことができる。これによって、熱板1と出力機器5との間で、線径の大きな電力線の引き回しのための空間設計や配線作業が容易となる。
【0073】
上述のように、9個のヒータのいずれかのヒータを選択して駆動した際には、選択したヒータのみではなく、周囲のヒータにも漏れ電流の回り込みが発生する。
【0074】
図9は、この電流の回り込みを説明するための図であり、この図9では、接続用端子X2,Y2に対応するスイッチング素子3−2,3−5をオンして、熱板1の中央の第5のヒータ6−5を選択して駆動した例を示している。簡単化するために直流電源で示している。
【0075】
第5のヒータ6−5には、矢符P1で示されるように電流が流れるとともに、周囲のヒータにも電流の回り込みによる複数のループが生じ、例えば、第6,第9,第8のヒータ6−6,6−9,6−8には、矢符P2で示されるように電流の回り込みが生じる。
【0076】
かかる電流の回り込みは、図10に示すように、ヒータを構成する抵抗体の直列接続となり、抵抗値は、選択したヒータの抵抗値の2〜3倍となり、したがって、回り込みの電流値は、選択したヒータを流れる電流値の1/3〜1/2となり、発熱量は、選択したヒータの発熱量の1/9〜1/4となる。なお、図10において、結線を簡素化した理由は、後述の図19で説明する。
【0077】
かかる1/9〜1/4の発熱は、各ヒータ間の熱の干渉を考えれば少ないものであり、無視できる程度のものである。ヒータ間の熱の干渉については、本件発明者の実験によれば(南野郁夫(2007)「熱プロセスの均一温度制御に関する研究」熊本大学大学院自然科学研究科 博士論文)、例えば、3mmのアルミニウム基板上で、60mm離した2点のヒータ間の干渉は、86%であり、上記1/9(11%)〜1/4(25%)は、無視できる程度の小さな値である。
【0078】
(実施形態2)
図11は、熱板10の温度を計測して操作量を出力する温度調節器の構成を示す図であり、図12は、図11の熱板10に配設された温度センサとして測温抵抗体の配線構造を示す図である。
【0079】
この実施形態では、図12に示すように、熱板10には、熱板10の温度を検出する温度センサとして、9個の4線式の第1〜第9の測温抵抗体11−1〜11−9が配設されている。
【0080】
第1〜第9の測温抵抗体11−1〜11−9は、温度調節器のセンサ入力回路12に接続するために、行方向の3本の第1の信号線S1−1〜S1〜3と、列方向の3本の第2の信号線S2−1〜S2−3との間に、マトリックス接続される。
【0081】
すなわち、第1〜第3の測温抵抗体11−1〜11−3の各一端が、上側の行方向の第1の信号線S1−1に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の信号線S2−1〜S2−3にそれぞれ接続される。また、第4〜第6の測温抵抗体11−4〜11−6の各一端が、中間の行方向の第1の信号線S1−2に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の信号線S2−1〜S2−3にそれぞれ接続される。更に、第7〜第9の測温抵抗体11−7〜11−9の各一端が、下側の行方向の第1の信号線S1−3に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の信号線S2−1〜S2−3にそれぞれ接続される。
【0082】
また、第1〜第9の測温抵抗体11−1〜11−9は、温度調節器の定電流源13に接続するために、行方向の3本の第1の配線M1−1〜M1〜3と、列方向の3本の第2の配線M2−1〜M2−3との間に、マトリックス接続される。
【0083】
熱板1から引き出された3本の行方向の第1の信号線S1−1〜S1−3の各接続用端子X1〜X3および3本の行方向の第1の配線M1−1〜M1−3の各接続用端子X1’〜X3’は、図11に示すように、温度調節器の複数の第1の開閉手段としてのリレー等からなる3個のスイッチング素子14−1〜14−3をそれぞれ介してセンサ入力回路12または定電流源13の一端に接続される。また、熱板1から引き出された3本の列方向の第2の信号線S2−1〜S2−3の各接続用端子Y1〜Y3および3本の列方向の第2の配線M2−1〜M2−3の各接続用端子Y1’〜Y3’は、温度調節器の複数の第2の開閉手段としてのリレー等からなる3個のスイッチング素子14−4〜14−6をそれぞれ介してセンサ入力回路12または定電流源13の他端に接続される。
【0084】
各スイッチング素子14−1〜14−6は、それぞれ2個の接点を有し、連動してオンオフされる。すなわち、第1の信号線S1−1と第1の配線M1−1とが接続されているスイッチング素子14−1の2個の接点は連動してオンオフされ、また、第1の信号線S1−2と第1の配線M1−2とが接続されているスイッチング素子14−2の2個の接点は連動してオンオフされ、更に、第1の信号線S1−3と第1の配線M1−3とが接続されているスイッチング素子14−3の2個の接点は連動してオンオフされる。
【0085】
同様に、第2の信号線S2−1と第2の配線M2−1とが接続されているスイッチング素子14−4の2個の接点は連動してオンオフされ、また、第2の信号線S2−2と第2の配線M2−2とが接続されているスイッチング素子14−5の2個の接点は連動してオンオフされ、更に、第2の信号線S2−3と第2の配線M2−3とが接続されているスイッチング素子14−6の2個の接点は連動してオンオフされる。
【0086】
したがって、スイッチング素子14−1〜14−3のいずれかと、スイッチング素子14−4〜14−6いずれかをオンすることによって、対応する測温抵抗体に、定電流を流すとともに、両端の電圧を計測して温度を計測することができる。
【0087】
かかるスイッチング素子14−1〜14−6のオンオフ制御は、温度調節器の選択手段15によって、時分割に行われる。
【0088】
すなわち、選択手段15は、タイマ手段16からのタイマ出力に基づいて、スイッチング素子14−1〜14−6のオンオフを制御し、図13に示すように、第1のチャンネルCH1に対応する第1の測温抵抗体11−1から第9のチャンネルCH9に対応する第9の測温抵抗体11−9まで順番に定電流を流して両端の電圧をセンサ入力回路12に順番に取り込む。これを一定の周期Tsで繰り返す。
【0089】
センサ入力回路12に順番に取り込まれた各測温抵抗体11−1〜11−9からの入力は、タイマ手段16からのタイマ出力に基づいて、選択手段15の選択に同期して、切換手段17によって、各チャンネルCH1〜CH9の検出温度PV1〜PV9として、対応するチャンネルのPID制御部18−1〜18−9に順番に与えられる。
【0090】
すなわち、選択手段15によって、第1のチャンネルCH1に対応する第1の測温抵抗体11−1を選択したときには、切換手段17は、センサ入力回路12からの入力を、第1のチャンネルCH1に対応するPID制御部18−1に与え、選択手段15によって、第2のチャンネルCH2に対応する第2の測温抵抗体11−2を選択したときには、切換手段17は、センサ入力回路12からの入力を、第2のチャンネルCH2に対応するPID制御部18−2に与え、以下、順番に各チャンネルのPID制御部に与える。
【0091】
選択手段15、切換手段17およびPID制御部18−1〜18−9等は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0092】
従来では、4線式の測温抵抗体は、センサ入力回路に接続するための信号線が2本、定電流源に接続するための配線が2本の計4本必要であり、9個の測温抵抗体を用いる場合には、センサ入力回路に接続するための信号線の合計が18本、定電流源に接続するための配線の合計が18本必要であったのに対して、この実施形態のように、第1〜第9の測温抵抗体11−1〜11−9を、行方向の3本の第1の信号線S1−1〜S1〜3と、列方向の3本の第2の信号線S2−1〜S2−3との間、および、行方向の3本の第1の配線M1−1〜M1〜3と、列方向の3本の第2の配線M2−1〜M2−3との間に、マトリックス接続し、各測温抵抗体を選択して温度を計測することにより、センサ入力回路12に接続するための信号線の合計本数を6本、定電流源13に接続するための配線の合計本数を6本にそれぞれ減らすことができる。
【0093】
なお、この実施形態の温度計測を、上述の図1の実施形態の温度計測に適用してもよい。
【0094】
かかる測温抵抗体からなるセンサの場合にも、上述のヒータと同様に電流の回り込みが発生する。
【0095】
例えば、図14に示すように、接続用端子X2’,Y2’に対応するスイッチング素子14−2,14−5をオンして、熱板10の中央の第5の測温抵抗体11−5を選択して定電流源13から電流を流すと、第5の測温抵抗体11−5には、矢符P1で示されるように電流が流れるとともに、周囲の測温抵抗体にも電流の回り込みによる複数のループが生じ、例えば、第6,第9,第8の測温抵抗体11−6,11−9,11−8には、矢符P2で示されるように電流の回り込みが生じる。
【0096】
かかる電流の回り込みは、図15に示すように、測温抵抗体の並列と直列の接続となる。全体の抵抗値Rxは、選択した測温抵抗体の抵抗値R1と、他の測温抵抗体の抵抗値R2とが等しいすると、後述のように約44%小さくなるので、44%分、電流値を高く設定することにより、従来と同様に温度を計測することができる。
【0097】
次に、回り込みループが形成されることによって、抵抗値が約44%小さくなる理由について説明する。
【0098】
今、図16(a)に示すように、9個の抵抗体A〜Iをマトリックス接続し、端子X2と端子Y2との間に電圧をかけて中央の抵抗体Iに電流を流した場合を想定する。
【0099】
この場合、抵抗体A〜Iの接続を図16(b)に示すように、左右の抵抗体A,Bの2並列と、4隅の抵抗体C,D,E,Fの4並列と、上下の抵抗体G,Hの2並列との3層の状態に表現する。各抵抗体A〜Hの抵抗値が同じであるとすると、各層を接続しても電圧変化がないので仮に接続する。
2並列(抵抗値がR2/2)と、4並列(抵抗値がR2/4)と、2並列(抵抗値がR2/2)との直列として計算すると、合成抵抗Rxは、
Rx={R1・(5/4)・R2}/{R1+(5/4)・R2}
=R1−{4R21/(4R1+5R2)}
=R1{1−(4/9)}
となり、抵抗値は、約44%小さくなる。
【0100】
したがって、上述のように、44%分、電流値を高く設定することにより、従来と同様に温度を計測することができる。
【0101】
上記の各実施形態では、抵抗体からなるヒータおよびセンサを用いているが、かかる抵抗体が好ましい理由について説明する。
【0102】
抵抗体以外の熱電変換を原理とする熱電変換素子は、マトリックス構造にすると、局部の加熱や計測ができなくなる。
【0103】
例えば、抵抗体ヒータに変えて、ペルチェ素子を用いた場合を、図17に基づいて説明する。熱板1には、9個の第1〜第9のペルチェ素子19−1〜19−9がマトリックス接続されている。接続用端子X2,Y2を電源に接続して、中央の第5のペルチェ素子19−5を駆動すると、回り込みのために、図18(a)に示すように、熱起電力が略等しいので、3層の並直列接続とみなすことができる。
【0104】
その内、4並列のペルチェ素子と2並列のペルチェ素子との起電圧の打ち消し、すなわち、一方が、起電力(電)から温度差(熱)を発生するのに対して、他方が、温度差(熱)から起電力(電)を発生して、互いに打ち消し合うことになり、結果的に、図18(b)に示すように、中央の第5のペルチェ素子19−5に、並列に2個のペルチェ素子が接続されたと略等しくなり、1のペルチェ素子を発熱させるつもりが、周囲のペルチェ素子を含めて全体を発熱させることになり、制御するのが困難である。
【0105】
ここで、3層の並直列接続について説明する。
【0106】
熱板全体の温度が室温に比べて相対的に近い場合、例えば、図19(a)に示すように、S21とS23との熱電変換素子の電圧は略等しく、S12とS32の熱電変換素子の電圧も略等しいので、図19(b)に示すように接続しているとしてもよく、その結果、図19(c)に示すように、回り込みによる回路ループは、電池を並列に3直列したものと等価である。すなわち、3層の並直列接続に置き換えることができる。
【0107】
次に、測温抵抗体に変えて、熱電対を用いた場合を、図20に基づいて説明する。熱板10には、温度センサとして、9個の第1〜第9の熱電対20−1〜20−9がマトリックス接続されている。中央の第5の熱電対20−5を選択して測定する場合には、回り込みのために、X2とY2との間の回路ループは、熱起電力がほぼ等しいので、図21(a)に示すように、3層の並直列接続とみなすことができる。この並直列接続では、4並列の熱電対と2並列の熱伝対の起電圧の打ち消しために、図21(b)に示すように、3個の熱電対の並列接続となって平均的な温度を検出することになる。
【0108】
したがって、どの組み合わせの端子を計測しても、ほとんど同じ計測値となり、局部的な温度計測できない。
【0109】
このようにマトリックス接続では、ペルチェ素子や熱電対などの電気と温度差を双方向で変換する熱電変換素子を用いるのは困難である。
【0110】
(実施形態3)
図22は、本発明の他の実施形態の温度制御システムの概略構成図であり、上述の図1に対応する図である。
【0111】
上述のように、9個のヒータ6−1,6−9のいずれかのヒータを選択して駆動した際には、選択したヒータのみではなく、周囲のヒータにも漏れ電流の回り込みが発生し、発熱することになる。
【0112】
このように選択したヒータ以外の周囲のヒータからの漏れ電流による発熱を、干渉として捉え、この漏れ電流による発熱を打ち消すように、非干渉化を図るものである。
【0113】
すなわち、この実施形態では、温度調節器2−1は、熱板1に配設された図示しない9個の温度センサからの検出温度(PV)と設定温度との偏差に基づいて、9チャンネル分の操作量を演算するPID制御部21を備えるとともに、更に、PID制御部21からの9チャンネル分の操作量MVaを、漏れ電流による干渉を打ち消すように変換する非干渉化器22とを備えており、非干渉化した操作量MVbを出力機器5に与えるようにしている。その他の構成は、上述の実施形態1と同様である。
【0114】
非干渉化器22を設計するためには、予め漏れ電流による発熱の程度を見積もる必要がある。図23(a)は、9個のヒータA〜Iをマトリックス接続し、接続用端子X2と接続用端子Y2との間に電圧をかけて中央のヒータIを駆動した場合を示している。
【0115】
この場合、計算を簡単化するために、ヒータA〜Iの接続を図23(b)に示すように、左右のヒータA,Bの2並列と、4隅のヒータC,D,E,Fの4並列と、上下のヒータG,Hの2並列との3層の状態に表現する。各ヒータA〜Iの抵抗値が同じであるとすると、各層を接続しても電圧変化がないので仮に接続する。
【0116】
2並列と4並列と2並列の直列として計算すると、
選択したヒータIによる発熱量Pは、
P=E2/R
2並列のヒータA,B,G,Hによる発熱量PA,PB,PG,PHは、
PA=PB=PG=PH=4E2/25R
4並列のヒータC,D,E,Fによる発熱量PC,PD,PE,PFは、
PC=PD=PE=PF=E2/25R
となる。
【0117】
このようにして、各チャンネル間の漏れ電流による干渉を全てのチャンネルについて計算し、下記の干渉の度合いを示す干渉の行列(1)を求める。
【0118】
【数1】
【0119】
この干渉を打ち消すための非干渉化の行列(2)を、上記の干渉の行列(1)の逆行列として、下記のように求める。
【0120】
【数2】
【0121】
温度調節器2−1の非干渉化器22では、PID制御部21からの操作量MVa(MVa1〜MVa9)と、上記逆行列(2)とを用いて、下記のようにして、非干渉化した操作量MVb(MVb1〜MVb9)に変換する。
【0122】
【数3】
【0123】
なお、非干渉化器は、温度調節器ではなく、出力機器側に設けてもよい。
【0124】
(その他の実施形態)
上述の実施形態1では、駆動するヒータを選択する選択手段を、出力機器5に内蔵させたけれども、本発明の他の実施形態として、図24に示すように、選択手段を温度調節器2−2に内蔵し、この温度調節器2−2からの駆動信号によって、スイッチング素子を内蔵する出力機器5−1,5−2を制御してもよい。
【0125】
上述の各実施形態では、熱板のヒータをマトリックス接続したけれども、複数のヒータを1列あるいは1行とし接続してもよく、例えば、図25に示すように、3個のヒータ6−1〜6−3を、一列に接続し、各ヒータ6−1〜6−3の各一端の共通の電力線の接続用端子X1,X2X3を、図26に示すように、スイッチング素子3−1〜3−3をそれぞれ介して電源4の一端に接続する一方、各ヒータ6−1〜6−3の各他端を共通に接続した接続用端子Yを、電源4の他端に接続してもよい。
【0126】
上述の実施形態1では、各ヒータ6−1〜6−9は、全てマトリックス接続されたけれども、本発明の他の実施形態として、図27に示すように、少なくとも一部のヒータ、例えば、放熱しにくく、過熱され易い中央のヒータ6−5は、マトリックス接続することなく、個別に駆動するようにして制御性能を高めてよい。
【0127】
更に、図28に示すように、例えば、16個のヒータ6−1〜6−16の場合には、例えば、中央の4個のヒータ6−6,6−7,6−10,6−11については、行方向の第1の電源線および列方向の第2の電源線を別に設けるようにし、複数のヒータがマトリックス接続される組を、複数備えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、多チャンネルの制御に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、本発明の実施形態の温度制御システムの概略構成図である。
【図2】図1の熱板に配設された9個のヒータの配線構造を示す図である。
【図3】熱板の加熱を開始して設定温度に達するまでの各状態のヒータの駆動を説明するための図である。
【図4】ヒータを駆動するための駆動信号を示す図である。
【図5】熱板の温度と9チャンネルの合計操作量の変化を示す図である。
【図6】合計操作量に応じたヒータの駆動を説明するための図である。
【図7】4個のヒータのグループを駆動する例を示す図である。
【図8】図7の駆動信号を示す図である。
【図9】電流の回り込みを説明するための図である。
【図10】電流の回り込みの影響を示す図である。
【図11】熱板の温度を計測して操作量を出力する温度調節器の構成を示す図である。
【図12】図11の熱板に配設された測温抵抗体の配線構造を示す図である。
【図13】選択手段による各チャンネルのセンサの入力の取り込みタイミングを示す図である。
【図14】測温抵抗体からなるセンサの場合の電流の回り込みを説明するための図である。
【図15】電流の回り込みの影響を示す図である。
【図16】電流の回り込みによる抵抗値の低下を説明するための図である。
【図17】ペルチェ素子を用いた場合の電流の回り込みを説明するための図である。
【図18】電流の回り込みによる影響を示す図である。
【図19】電流の回り込みを並直列接続と等価と見なせる理由を説明するための図である。
【図20】熱電対を用いた場合の電流の回り込みを説明するための図である。
【図21】電流の回り込みによる影響を示す図である。
【図22】本発明の他の実施形態の温度制御システムの概略構成図である。
【図23】漏れ電流による発熱の程度を示す図である。
【図24】本発明の他の実施形態の温度制御システムの概略構成図である。
【図25】ヒータの配線構造の他の例を示す図である。
【図26】図25の配線構造に対応する温度制御システムの概略構成図である。
【図27】ヒータの配線構造の他の例を示す図である。
【図28】ヒータの配線構造の更に他の例を示す図である。
【図29】従来例の温度制御システムの概略構成図である。
【図30】従来例のヒータの配線構造を示す図である。
【符号の説明】
【0130】
1,10 熱板
2,2−1,2−2 温度調節器
3−1〜3−6,14−1〜14−6 スイッチング素子
4 交流電源
5,5−1,5−2 出力機器
6−1〜6−16 ヒータ
11−1〜11−9 測温抵抗体
12 センサ入力回路
15 選択手段
18−1〜18−9 PID制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヒータを、電源に接続する配線構造であって、
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数のヒータがマトリックス接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、
前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して、前記電源に接続するヒータを選択することを特徴とする配線構造。
【請求項2】
前記ヒータが抵抗体からなる請求項1に記載の配線構造。
【請求項3】
複数のセンサを、センサ入力回路に接続する配線構造であって、
複数の第1の信号線と複数の第2の信号線との間に、複数のセンサがマトリックス接続され、前記複数の第1の信号線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続される一方、前記複数の第2の信号線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続され、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して、前記センサ入力回路に接続するセンサを選択することを特徴とする配線構造。
【請求項4】
前記センサが抵抗体からなる請求項3に記載の配線構造。
【請求項5】
前記請求項1または2に記載の配線構造を備えるヒータ駆動装置であって、
前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して前記電源に接続するヒータを選択する選択手段を備えることを特徴とするヒータ駆動装置。
【請求項6】
前記請求項3または4に記載の配線構造を備える計測装置であって、
前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して前記センサ入力回路に接続するセンサを選択する選択手段を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項7】
前記請求項5に記載のヒータ駆動装置を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項8】
前記請求項6に記載の計測装置を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項9】
複数のヒータが配設された制御対象の温度を制御する制御システムであって、
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数のヒータがマトリックス接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、
前記制御対象の温度を検出する複数の温度センサからの検出温度と設定温度とに基づいて、操作量を出力する温度制御手段と、
前記温度制御手段からの操作量に基づいて、前記第1の開閉手段および第2の開閉手段の開閉を制御して、駆動するヒータを選択する選択手段とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項10】
前記ヒータが抵抗体からなる請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記選択手段で選択したヒータ以外のヒータに流れる電流による発熱を打ち消すように、前記温度制御手段からの操作量を変換して前記選択手段に与える非干渉化手段を備える請求項9または10に記載の制御システム。
【請求項12】
複数の温度センサが配設される制御対象の温度を制御する制御システムであって、
複数の第1の信号線と複数の第2の信号線との間に、複数の温度センサがマトリックス接続され、前記複数の第1の信号線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介してセンサ入力回路に接続される一方、前記複数の第2の信号線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続され、
前記第1の開閉手段および第2の開閉手段の開閉を制御して、前記センサ入力回路に接続する温度センサを選択する選択手段と、
前記センサ入力回路を介して与えられる温度センサからの入力を、各温度センサに対応する複数の温度制御手段に切換えて与える切換手段と、
前記切換手段からの温度センサの入力と設定温度とに基づいて、操作量を出力する前記複数の温度制御手段とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項13】
前記温度センサが抵抗体からなる請求項12に記載の制御システム。
【請求項1】
複数のヒータを、電源に接続する配線構造であって、
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数のヒータがマトリックス接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、
前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して、前記電源に接続するヒータを選択することを特徴とする配線構造。
【請求項2】
前記ヒータが抵抗体からなる請求項1に記載の配線構造。
【請求項3】
複数のセンサを、センサ入力回路に接続する配線構造であって、
複数の第1の信号線と複数の第2の信号線との間に、複数のセンサがマトリックス接続され、前記複数の第1の信号線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続される一方、前記複数の第2の信号線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続され、前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して、前記センサ入力回路に接続するセンサを選択することを特徴とする配線構造。
【請求項4】
前記センサが抵抗体からなる請求項3に記載の配線構造。
【請求項5】
前記請求項1または2に記載の配線構造を備えるヒータ駆動装置であって、
前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して前記電源に接続するヒータを選択する選択手段を備えることを特徴とするヒータ駆動装置。
【請求項6】
前記請求項3または4に記載の配線構造を備える計測装置であって、
前記第1の開閉手段および前記第2の開閉手段の開閉を制御して前記センサ入力回路に接続するセンサを選択する選択手段を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項7】
前記請求項5に記載のヒータ駆動装置を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項8】
前記請求項6に記載の計測装置を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項9】
複数のヒータが配設された制御対象の温度を制御する制御システムであって、
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数のヒータがマトリックス接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、
前記制御対象の温度を検出する複数の温度センサからの検出温度と設定温度とに基づいて、操作量を出力する温度制御手段と、
前記温度制御手段からの操作量に基づいて、前記第1の開閉手段および第2の開閉手段の開閉を制御して、駆動するヒータを選択する選択手段とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項10】
前記ヒータが抵抗体からなる請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記選択手段で選択したヒータ以外のヒータに流れる電流による発熱を打ち消すように、前記温度制御手段からの操作量を変換して前記選択手段に与える非干渉化手段を備える請求項9または10に記載の制御システム。
【請求項12】
複数の温度センサが配設される制御対象の温度を制御する制御システムであって、
複数の第1の信号線と複数の第2の信号線との間に、複数の温度センサがマトリックス接続され、前記複数の第1の信号線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介してセンサ入力回路に接続される一方、前記複数の第2の信号線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記センサ入力回路に接続され、
前記第1の開閉手段および第2の開閉手段の開閉を制御して、前記センサ入力回路に接続する温度センサを選択する選択手段と、
前記センサ入力回路を介して与えられる温度センサからの入力を、各温度センサに対応する複数の温度制御手段に切換えて与える切換手段と、
前記切換手段からの温度センサの入力と設定温度とに基づいて、操作量を出力する前記複数の温度制御手段とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項13】
前記温度センサが抵抗体からなる請求項12に記載の制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
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【図16】
【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−153730(P2010−153730A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332717(P2008−332717)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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