説明

酵母種および酵母種を用いた発酵方法

【課題】酵母を短時間で培養する方法および安定した発酵力を有する酵母を提供する。
【解決手段】酵母菌が付着しているレーズンなどの果実と、酵母が成長するための栄養分となる糖分である全粒粉などの小麦粉類を一緒に混ぜて発酵(培養)させ、短時間でなおかつ強い酵母を培養する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短時間で酵母を培養する技術に関するものである。
【0002】
解決しようとする問題点は、従来の酵母の種おこしでは、約10日〜15日間といった長時間を要したので、それをより短時間で培養する為の方法を発見する事である。
また、従来の酵母の培養により得られた元種は発酵力が弱い。それをより安定性のあるものにし、長期間使用するものにする事である。
【0003】
従来からの培養法である、レーズン種などの果実を使って培養する方法とサワー種といった全粒粉などの小麦粉類から培養する方法を合わせた製法にして、酵母を培養する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-195474
【特許文献2】特開2006-325562
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】プロのためのわかりやすい製パン技術 大阪あべの辻製パン技術専門カレッジ 江崎修著 P107〜115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の酵母の培養法の果実を発酵させる方法では、培地に栄養となる糖分がないため、酵母菌が発芽がするまで長時間を要した。
また、全粒粉を発酵させるサワー種と呼ばれる方法では、全粒粉そのものが糖分ではあるが、酵母菌は空気中のものを利用するため、酵母菌が発芽するまで長時間を要した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、酵母菌が付着している果実と、酵母が成長するための栄養分となる糖分である穀物粉を一緒に混ぜて発酵(培養)させる。
【発明の効果】
【0008】
酵母が発芽するまでの時間が36時間まで短縮された。また、得られる酵母は非常に安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.果実類による種起こしは果実の付着酵母を培養し増やす事が目的であるが、この果実を使った種起こしの欠点は初期段階での栄養不足が考えられる。少量のハチミツは入るものの、果実付着酵母を培養促進させるのに、水につけ込むのみであるため、栄養不足が続き、培養が進みにくく時間がかかり不安定である。
2.サワー種タイプの酵母培養法は小麦粉類と水を合わせ、空気中の酵母を付させ培養するのだが、酵母の絶対数が少ない為、時間がかかる。ただ、小麦という栄養分がある為、なんとか酵母は培養される。
3.1の場合は果実の付着酵母はあるものの栄養不足、2の場合、栄養はあるもののイースト不足。
【実施例1】
【0010】
今回の酵母培養法は初期段階から果実、穀物粉、水を混ぜ合わせ、25〜35℃の温度で管理し、24時間置く。さらに、穀物粉、水を追加し混ぜ合わせ25〜35℃の温度で管理して12時間置く。
【表1】

レーズン添加量5%の違いで、実験発酵時間に2時間の差が出た


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母の種起こしの初期段階から、酵母が付着している果実と穀物粉を混ぜ合わせるという酵母発酵方法。
【請求項2】
前記果実がレーズンであることを特徴とする請求項1記載の酵母発酵方法。
【請求項3】
前記穀物粉が小麦類であることを特徴とする請求項1または2記載の酵母発酵方法。
【請求項4】
25℃〜35℃の温度条件で36時間〜40時間で発酵させることを特徴とする請求項1または2または3記載の酵母発酵方法。
【請求項5】
20〜30時間後に穀物粉を追加することを特徴とする請求項1または2または3または4記載の酵母発酵方法。