説明

酵素水生成装置

【課題】筐体の内面に結露水が発生して筐体の底面に溜まるといった問題が生じ難い酵素水生成装置を提供する。
【解決手段】酵素と水とを含む酵素液を収容するための活性化液槽Tと、活性化液槽T内の酵素液を保温して酵素水を生成する温度制御手段16,17と、活性化液槽T及び温度制御手段16,17を収納する閉鎖された筐体10とを備えた酵素水生成装置において、筐体10の底部に、筐体10の内側を外側と連通させる排水孔72と、筐体10の内面に付いた結露水を収集し、排水孔72に向けて案内するための水平面に対して傾斜した傾斜案内面70aとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素と水とを含む酵素液を収容するための活性化液槽と、前記活性化液槽内の酵素液を保温して酵素水を生成するための温度制御手段と、前記活性化液槽及び前記温度制御手段を収納する閉鎖された筐体とを備えた酵素水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の酵素水生成装置としては、本発明に関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。この特許文献1に記された酵素水生成装置は、活性化液槽(活性化タンク)と、活性化液槽に酵素製剤(酵素または微生物)を供給する酵素剤供給手段(製剤供給ポンプ)と、前記活性化液槽に酵素剤を希釈または溶解するための水を供給する給水手段(水供給バルブ)と、活性化液槽内に配置された温度制御手段(ヒータ)とを備えるので、適温で培養された微生物が生産した大量の酵素を含む酵素水を製造することができる。酵素剤供給手段は、活性化液槽の上方に設置された酵素製剤槽と、酵素製剤槽の底部から下方に延びた原液供給パイプとからなり、この原液供給パイプに原液点滴弁が設けられている。得られた酵素水を外食店などの厨房のグリストラップや床面などに散布すると、そこに溜まっている油脂分やタンパク質などの有機物を酵素の触媒作用を借りて効果的に分解させることができる。
【0003】
また、特許文献1に記された酵素水生成装置では、運転中に温度制御手段として設けられたヒータで活性化液槽内の溶液を加熱する操作によって、活性化液槽から酵素を含む水蒸気が発生し、仮にこの水蒸気が活性化液槽の槽本体と蓋部材との隙間などから活性化液槽外に漏れ出しても、活性化液槽及び温度制御手段が閉鎖状の筐体内に収納されているので、酵素を含む水蒸気は筐体から外に簡単には流れ出ないために、酵素の特有な匂いが厨房内に漂うという問題が少なくとも或る程度まで抑制されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−242673号公報(段落番号0021、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記された酵素水生成装置では、酵素を含む水蒸気が筐体外に流れ出る問題が抑制される代わりに、筐体内に水蒸気が充満し易いために、筐体の内面に結露水が発生して筐体の底面に溜まり、黴が発生する原因などになる虞があった。
【0006】
本発明の目的は、上に例示した従来技術による酵素水生成装置の持つ前述した欠点に鑑み、筐体の内面に結露水が発生して筐体の底面に溜まるといった問題が生じ難い酵素水生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴構成は、酵素と水とを含む酵素液を収容するための活性化液槽と、前記活性化液槽内の酵素液を保温して酵素水を生成するための温度制御手段と、前記活性化液槽及び温度制御手段を収納する閉鎖された筐体とを備えた酵素水生成装置であって、
前記筐体の底部に、前記筐体の内側を外側と連通させる排水孔と、前記筐体の内面に付いた結露水を収集し、前記排水孔に向けて案内するための、水平面に対して傾斜した傾斜案内面とが設けられている点にある。
【0008】
したがって、本発明の第1の特徴構成によれば、温度制御手段として設けられたヒータで活性化液槽内の溶液を加熱する操作によって、酵素を含む水蒸気が発生し、仮にこれが活性化液槽の槽本体と蓋部材との隙間などから漏れ出し、筐体内に充満し、筐体の内面に結露水が発生しても、これらの結露水は全て筐体の内壁面を下向きに伝い降りた後、傾斜案内面上を排水孔に向かって流れ、排水孔から筐体外に流れ出るので、結露水が筐体の底面に溜まることがなく、黴の発生原因にもなり難いという効果が得られた。
【0009】
本発明の他の特徴構成は、前記筐体の正面に保全用の開閉自在な扉が備えられており、前記傾斜案内面は、前記正面から前記筐体の背面に向かって次第に低くなるように傾斜している点にある。
【0010】
本構成であれば、傾斜案内面上を流れる結露水の全ては筐体内の背面側に集中することになるので、扉を開放した時に使用者などから見え易い筐体内の正面位置付近が、背面付近よりも一層水気の少ない状態に保たれ、黴などが発生に難くなる。また、排水孔が酵素水生成装置の正面から見え難い位置に配置されることになるので、装置の美観が損なわれないという効果が得られた。
【0011】
本発明の他の特徴構成は、前記傾斜案内面は、前記筐体の一方の側面から他方の側面に向かって次第に低くなるように傾斜している点にある。
【0012】
本構成であれば、傾斜案内面上を流れる結露水は筐体内の背面側に流れつつ、筐体の一方の側面から他方の側面に向かって流れ、最終的に全て排水孔から筐体外に流れ出るので、結露水が筐体内の背面側に溜まることもない。
【0013】
本発明の他の特徴構成は、前記扉の内面から前記傾斜案内面に向かって延設された補助案内部材が設けられている点にある。
【0014】
本構成であれば、筐体の本体に対して開閉自在に設けられた扉の内面に付いた結露水もまた補助案内部材を介して傾斜案内面上に落ちて行くので、扉の内面の下端付近に多量の水が溜まることが防止される。
【0015】
本発明の他の特徴構成は、前記筐体内に前記活性化液槽と前記筐体とを隔てる空気層が設けられている点にある。
【0016】
本構成であれば、酵素水生成装置の運転中における活性化液槽の温度上昇に伴って、活性化液槽と接触状態となっている筐体の内側が加熱され、その裏面側に相当する筐体の外面に厨房の湿気によって結露水が生じるなどの現象を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明による最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、酵素製剤Xを水道水で所定濃度に希釈して調製した酵素液を所定の温度に昇温−保温することで酵素水Wxを生成する酵素水生成装置Aと、この酵素水生成装置Aから排出された酵素水Wxを貯留するストックタンクBとで構成された酵素水供給システムを示す。尚、ここで酵素水を生成するとは、油脂分やタンパク質などの分解を助ける酵素を微生物によって大量に生産させる操作、或いは、酵素を活性化させる操作を指す。
この酵素水供給システムは、レストランなどの厨房において調理の廃物として発生する油脂分やタンパク質を分解処理するために用いられる。より具体的な使用形態としては、予め酵素水生成装置Aによって数回に分けて生成し、ストックタンクBに貯留しておいた酵素水Wxを、例えば厨房の業務が終了する時間帯に、柄杓(ひしゃく)などで油脂のこぼれた床面Fに散布する。床面Fに散布された酵素水Wxは排水溝1からグリストラップ2に流れ込む。床面Fやグリストラップ2に存在する油脂分やタンパク質は、酵素水Wxに含まれる酵素の触媒的作用によって分解され易くなることで、その後の処理が容易となる。
【0018】
(酵素水生成装置)
ここでは酵素水生成装置Aは厨房内のテーブル3に設置されている。壁面4から突設された水道管5と酵素水生成装置Aとの間は金属製のフレキシブルホースからなる第1給水管路6で接続されており、水道管5と第1給水管路6との間には、酵素水生成装置Aへの水道水の供給路をハンドルによって手動で開閉可能な給水栓5Aが介装されている。酵素水生成装置Aで生成された酵素水はゴムホース等の排出管7を介して送り出され、ストックタンクBに貯留される。
【0019】
図2に示すように、酵素水生成装置Aは、金属製のケース10(筐体の一例)の内部に配置された活性化液槽T、活性化液槽Tに水道水を供給する給水手段J、樹脂製のボトル8に収容された液状の酵素製剤Xを活性化液槽Tに滴下する酵素剤供給手段K、及び、活性化液槽Tで生成された酵素水WxをストックタンクBに送り出す排出機構Lを備えている。また、活性化液槽Tの内部には液面のレベルを検知する水位センサ15と、活性化液槽T内の希釈された酵素液を加熱するヒータ16(温度制御手段の一例)と、酵素液の温度を計測する温度センサ17(温度制御手段の一例)とを備えている。ケース10の側部位置には酵素水生成装置Aによる酵素水Wxの生成プロセスを制御するための制御ユニット18が備えられている。また、金属製のケース10の外側には酵素水生成装置Aを操作するための操作パネル11が備えられている。
【0020】
酵素製剤Xは、脂肪分解酵素としてのリパーゼ、タンパク質分解酵素としてのプロテアーゼ、澱粉分解酵素としてのアミラーゼという少なくとも三種類の酵素と、これらの酵素を生成する微生物とが含まれた液状物質である。尚、酵素製剤に用いる微生物としては、種々の発酵食品の製造、カビ駆除などに一般的に用いられている、バシラス・サプティリス、バシラス・コアギュランス、アスペルジルス・フラバス・オリザー、サッカロマイセス・セレヴィシェなどを適用可能である。この微生物は、酵素製剤X内において特に低温状態では休眠状態にあり、大量の水と共に40℃付近に保温されることにより活性化して酵素を生成する性質を有する。
【0021】
(酵素水生成装置の内部構成)
図2及び図3に示すように、活性化液槽Tは、透明樹脂を逆L字状に成形した容器である。給水手段Jは、前述した第1給水管路6から活性化液槽Tに水を供給する第2給水管路21と、この第2給水管路21の中間位置に配置した電磁弁22とを備えている。
酵素剤供給手段Kは、ボトル8に貯留された液状の酵素製剤Xを、ボトル8に挿入した吸引チューブ25で吸い上げ、定容量ポンプKPで供給チューブ26に送り、微細な先端開口部を備えたノズル27から活性化液槽内に滴下する形態で供給する。このようにノズル27から活性化液槽内に供給した酵素製剤Xの量と、活性化液槽Tに貯留した水の量との体積比を混合率とする。
【0022】
尚、活性化液槽Tは透明な樹脂製で上方が開放された容器状の液槽本体Taと、液槽本体Taの上方開放部を密閉状に閉じる金属製の液槽カバーTbとからなる。液槽カバーTbには複数の貫通孔が形成されており、水位センサ15、ヒータ16、温度センサ17等はこれらの専用の貫通孔にOリングなどのシール手段を介して挿通支持されている。
【0023】
定容量ポンプKPはシリンダポンプであり、縦向き姿勢のシリンダ30と、シリンダ30の内部に摺動自在に内嵌されたピストン31と、ピストン31を上下方向に往復移動させるアクチュエータ32とからなる。シリンダ30の上端には、吸引側のチェック弁33aと吐出側のチェック弁33bとが分岐管を介して接続されており、吸引側のチェック弁33aには吸引チューブ25の排出側の端部が接続され、吐出側のチェック弁33bには供給チューブ26の一端が接続されている。アクチュエータ32は、電動モータ34と、電動モータ34の水平な出力軸34Aに対して偏芯した位置に固定された操作軸35と、操作軸35とピストン31の下端部31aとを連結する連結プレート36とからなる。連結プレート36は、連結軸35の公転運動をピストン31の上下方向の往復運動に変換する。また、プレート36の上下位置に基づいてピストン31が上死点にある状態を検出する作動センサ37が備えられている。
【0024】
排出機構Lは、活性化液槽Tの底部付近に接続された排出管38と、この排出管38の中間に配置した排出用電磁弁39とからなる。
水位センサ15は、液槽カバーTbから下方に突設したロッド15Aに対して上下移動自在に外嵌したリング状のフロート15Bと、このフロート15Bに備えたマグネットの磁気によってON/OFF操作されるべくロッド15Aに固定されたリードスイッチ(図示せず)とを備えたフロート式センサからなる。
【0025】
ヒータ16は、通電に基づいてジュール熱を発する発熱体とこれを被覆または収納するU字状の金属チューブとからなる構造を有し、液槽カバーTbに懸架されている。温度センサ17はサーミスタ等を収容したロッド状の構造を有し、やはり液槽カバーTbに懸架されている。
ストックタンクBは、上方に開放された単純な容器構造を有した樹脂成形物である。
【0026】
図6に示すように、酵素水生成装置Aのケース10は、ケース10の左右の各側方を閉じる一対の側壁部材10SL,10SR、ケース10の背面を閉じる後壁部材10A、天板部材10T、底板部材10Bを備え、ケース10の内部は、金属製の縦壁10Cによって、酵素水生成装置Aの正面に立つ作業者から見て左側の第1室V1と右側の第2室V2とに仕切られている。
左側の第1室V1には、活性化液槽T、ボトル8と定容量ポンプKPと吸引チューブ25とからなる酵素剤供給手段K、給水手段J、排出機構Lなどが配置されており、右側の第2室V2には前述した制御ユニット18が配置されている。
左側の第1室V1の前面は、開閉自在な扉部材10Dによって閉鎖することができる。扉部材10Dは、ケース10の前面左端の上下に設けられた一対のヒンジを介して揺動操作によって開閉される。他方、右側の第2室V2は開放可能となっておらず、ここには前述した操作パネル11が配置されている(図2を参照)。
【0027】
ケース10の底板部材10Bは略水平に延びた板状部材であるが、この底板部材10Bの上方には、図2、図5及び図6に示すように、水平面に対して傾斜した金属製の傾斜案内板70が取り付けられている。傾斜案内板70の傾斜した上面は、運転中にケース10の内面に付く結露水を収集し、ケース10の底部の一箇所に向けて案内するための傾斜案内面70aを構成している。傾斜案内面70aは、ケース10の前面側からケース10の背面側に向かって次第に低くなり、同時に、ケース10の右側面から左側面に向かって次第に低くなるように傾斜した平面である。ケース10の左側の側壁部材10SLの背面側の最下部付近には、ケース10の内側を外側と連通させる貫通孔72(排水孔の一例)が形成されており、傾斜案内面70aの最もレベルの低い部位は、この貫通孔72の位置と一致している。また、側壁部材10SLの外面からは、貫通孔72と連通した排水パイプ73が突出しており、この排水パイプ73の先端には貫通孔72からケース10外に排出された排水を適当な容器などに導くためのチューブなどを外嵌接続できる。
【0028】
扉部材10Dの内面下部には、運転中に扉部材10Dの内面に付く結露水を収集し、傾斜案内面70aの一部まで案内するための補助案内板71(補助案内部材の一例)が設けられている。ここでは、補助案内板71は扉部材10Dに熔接された基端部から、扉部材10Dを閉鎖した時に傾斜案内面70aの上面と重なり合う先端部に向かって湾曲状に延設された板状部材からなる。
活性化液槽Tと定容量ポンプKPとは、後壁部材10A、側壁部材10SL,10SR、扉部材10Dの全てと空気層によって隔てられた状態で、且つ、傾斜案内板70と直接接触しないように脚部材を介して傾斜案内板70上に支持されている。図5には、活性化液槽Tの背面部が空気層V3によって後壁部材10Aと隔てられた状態が示されている。
【0029】
酵素水生成装置Aを駆動させるための電源スイッチSWは、厨房の作業者による不用意なON/OFF操作を回避するために、扉部材10Dを開放した時に始めてアクセス可能なケース10内部の位置に設置されている。特に、この実施形態では、運転開始時に先ず扉部材10Dを開け、ボトル8内の酵素製剤Xの残量を眼で確認し、次に電源をONするという一連の操作工程の流れを阻害し難い電源スイッチSWの位置として、縦壁10Cの下端付近が選択されている。
尚、扉部材10Dは左開きとなっているので、使用者は酵素製剤Xのボトル8を取り替える作業を、一般的な利き手である右手で行う際に、扉部材10Dが邪魔にならずスムースに行うことができる。
また、運転中に水蒸気が充満される第1室V1には電気部品どうしを接続するためのコネクタ類は一切設けられていない。
【0030】
(酵素水生成装置の制御構成)
図2に示すように、操作パネル11には、スタートボタン51、ストップボタン52、電源ランプ53、複数のモニタランプ54、警報ランプ55、液晶ディスプレイ56、及び、複数の設定ボタン57が備えられている。
【0031】
酵素水生成装置Aによる酵素水の生成を行う際には、先ず、電源が投入されていることを電源ランプ53の点灯で確認した状態で、操作パネル11の複数の設定ボタン57を操作して生成スケジュールを設定する操作を行う。この操作の際には、液晶ディスプレイ56で設定内容を確認しながら設定し、スタートボタン51を操作することで制御が開始され、ストップボタン52を操作することで制御が停止する。尚、エラーが発生した場合には警報ランプ55が点灯して制御が中断または停止される。
【0032】
図4に示すように、制御ユニット18は、操作パネル11との間に信号のアクセス系が形成され、給水用の電磁弁22、酵素製剤供給用の電動モータ34、酵素水排出用の電磁弁39を駆動する信号系が形成され、水位センサ15、温度センサ17、および作動センサ37からの各検出信号が入力される信号系、ヒータ16に電力を供給する電力系が形成されている。
【0033】
制御ユニット18はマイクロプロセッサ(図示せず)を備え、酵素水Wxを生成する処理はソフトウエアによって実現される。
つまり、先ず、操作パネル11を介して取得した操作情報に基づいてスケジュールテーブル61に設定情報が保存される。スケジュールテーブル61には、酵素水生成装置Aで必要量の酵素水Wxを複数回に亘って生成して、ストックタンクBを目標貯留量に貯留し終える生成完了予定日時と、ストックタンクBに貯留される酵素水Wxの目標混合率と、ストックタンクBに貯留すべき酵素水Wxの目標貯留量が保存される。
【0034】
また、スケジュールテーブル61に保存された設定情報を参照して酵素水Wxの生成処理を管理するスケジュール管理部62が備えられている。スケジュール管理部62にはカレンダー部64から現在の日時情報が与えられる。
このスケジュール管理部62は、スケジュールテーブル61から与えられる情報に基づいて、酵素水Wxの生成を開始する生成開始日時と、活性化液槽Tにおいて生成する酵素水Wxの酵素製剤Xの生成混合率と、活性化液槽Tでの生成回数とをセットする。
【0035】
具体的に説明すると、前記生成開始日時は、実質的に空のストックタンクBを目標貯留量にするのに必要な量の酵素水Wxを生成するために、活性化液槽Tで酵素水Wxを繰り返して生成する生成回数を求め、この回数の生成を行うために必要な時間を算出し、このように算出した時間をスケジュールテーブル61に保存された生成完了日時から逆算して求めた情報である。本実施形態では、酵素水生成装置Aによる酵素水の1回当たりの標準生成量が約4L(リットル)で、ストックタンクBの満杯時容量が約40L(リットル)なので、目標貯留量をこの満杯状態に設定した場合、生成回数は40L/4L=10回となる。
【0036】
スケジュール管理部62でセットされた生成混合率は、活性化液槽Tに供給される酵素製剤Xの量と対応するものであり、本実施形態では、常にストックタンクBが空の状態から生成を開始する使用形態を前提とするので、ストックタンクBに貯留させようとする酵素水Wxの目標混合率を生成混合率として設定して酵素水Wxを生成することになる。
スケジュール管理部62は、酵素水Wxの生成を実行する生成処理実行部65に情報を与える。この生成処理実行部65は、活性化液槽Tに水を供給する水供給制御手段、混合制御手段、温度制御手段、及び排出制御手段を備えている。これら、水供給制御手段と混合制御手段と温度制御手段と排出制御手段とはソフトウエアで構成されているが、ハードウエアで構成することも可能であり、ソフトウエアとハードウエアとを組み合わせて構成しても良い。
また、この生成処理実行部65は、電磁弁22と電動モータ34とヒータ16と排出用電磁弁39とを駆動する信号を出力すると共に、水位センサ15と作動センサ37と温度センサ17とからの信号がフィードバックされる。
【0037】
〔別実施形態〕
上記実施形態とは逆に、傾斜案内面が背面側から扉側に向かって低くなり、且つ、筐体の一方の側面から他方の側面に向かって次第に低くなる傾斜とし、扉付近の下部に設けた排水孔から筐体外に排水させる構成としても良い。この場合、傾斜案内面によって扉付近に収集されたものの、重量の作用だけでは排水しきれない少量の結露水を布などで拭き取る等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】酵素水供給システムの斜視図
【図2】酵素水生成装置の縦断正面図
【図3】酵素水供給システムの制御系の概要を示す図
【図4】処理形態の概要を模式的に示す図
【図5】酵素水生成装置の縦断側面図
【図6】酵素水生成装置のケースと傾斜案内面を示す斜視図
【符号の説明】
【0039】
A 酵素水生成装置
B ストックタンク
X 酵素製剤
Wx 酵素水
T 活性化液槽
J 給水手段
F 床面
K 酵素製剤供給手段
L 排出機構
KP 定容量ポンプ
SW 電源スイッチ
1 排水溝
2 グリストラップ
5 水道管
5A 給水栓
6 第1給水管路
8 ボトル(交換容器)
10 ケース(筐体)
11 操作パネル
15 水位センサ
16 ヒータ(温度制御手段)
17 温度センサ(温度制御手段)
18 制御ユニット
21 第2給水管路
22 電磁弁(切換弁)
25 吸引チューブ
26 供給チューブ
27 ノズル
34 電動モータ
51 スタートボタン
52 ストップボタン
53 電源ランプ
70 傾斜案内板
70a 傾斜案内面
71 補助案内板(補助案内部材)
72 貫通孔(排水孔)
73 排水パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素と水とを含む酵素液を収容するための活性化液槽と、前記活性化液槽内の酵素液を保温して酵素水を生成するための温度制御手段と、前記活性化液槽及び前記温度制御手段を収納する閉鎖された筐体とを備えた酵素水生成装置であって、
前記筐体の底部に、前記筐体の内側を外側と連通させる排水孔と、前記筐体の内面に付いた結露水を収集し、前記排水孔に向けて案内するための、水平面に対して傾斜した傾斜案内面とが設けられている酵素水生成装置。
【請求項2】
前記筐体の正面に保全用の開閉自在な扉が備えられており、前記傾斜案内面は、前記正面から前記筐体の背面に向かって次第に低くなるように傾斜している請求項1に記載の酵素水生成装置。
【請求項3】
前記傾斜案内面は、前記筐体の一方の側面から他方の側面に向かって次第に低くなるように傾斜している請求項2に記載の酵素水生成装置。
【請求項4】
前記扉の内面から前記傾斜案内面に向かって延設された補助案内部材が設けられている請求項2または3に記載の酵素水生成装置。
【請求項5】
前記筐体内に前記活性化液槽と前記筐体とを隔てる空気層が設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の酵素水生成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−252299(P2007−252299A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82464(P2006−82464)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】