説明

酵素混合物を含む、動物向けの耐熱性配合物

本発明は、顆粒粉末状の動物向け耐熱性配合物に関する。a)少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合液、b)コムギ粉、デンプン、石こう、マルトデキストリン、コーンコブから選択される支持材、c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体から選択されるコーティング剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素混合物を含む、粉末状の配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素は、さまざまな工業用途、とりわけ動物の栄養摂取のために長年使用されてきた。この場合、酵素は、植物原料の消化性を向上させるため、飼育動物がより効率的に食物を消化するのを助ける。
【0003】
酵素は実に様々な生物によって生産される。それは、植物や動物、そしてとりわけ微生物、すなわち細菌や酵母、菌類から特に選択される単細胞生物ないし多細胞生物である。
【0004】
特許文献1には、動物用飼料を目的として、液体状ないし粉末状で作られた、Penicillium funiculosumから得られる酵素混合物が、特に記載されている。
【0005】
この酵素は、液体状で噴霧によって飼料に添加されるか、あるいは、ミキサーの中で飼料と混合される。その後、その飼料はペレットミルを用いて顆粒状にされる。動物用飼料の大半は、衛生のため(微生物学的に品質が高い)、または、動物の摂取容易性のため(砕いた状態あるいは顆粒状で与える)、熱処理を受ける。これらの熱処理は、たいていの場合高温の蒸気を使用することを基本としており、付随的に造粒工程(ペレットミル)を伴う。
【0006】
しかしながら、酵素はタンパク質であり、性質上、熱に対しては弱いという事実が分かっている。高温にされると酵素活性の損失がおこる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願 EP1007743号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、酵素混合物を含む、粉末状の耐熱性配合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、動物向けの、顆粒粉末状の耐熱性配合物に関し、以下のa)〜c)を含む。
【0010】
a)少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物
b)全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される支持材
c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られたゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤
【0011】
本発明の一つの実施形態では、少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物は、1種類の微生物による発酵から得られる。他の実施形態に従うと、少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物は、異なった2種類の微生物による発酵から得られる。さらには、少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物は、少なくとも1種類の微生物から得られた発酵液を濾過し、濃縮したものであることが好ましい。
【0012】
本発明の他の実施形態では、この配合物は以下のa)〜c)を含む。
【0013】
a)重量比15%から50%までの、少なくとも2種類の酵素を含む前記混合物
b)重量比25%から60%までの、前記支持材
c)重量比25%から60%までの、前記コーティング剤
【0014】
本発明の一つの実施形態では、前記少なくとも2種類の酵素は、キシラナーゼ(xylanase)、β−グルカナーゼ(β-glucanase)、セルラーゼ(cellulase)、ペクチナーゼ(pectinase)、フィターゼ(phytase)、プロテアーゼ(protease)からなるグループから選択される。さらには、前記少なくとも2種類の酵素は、フィターゼ、エンド−1,4−β−キシラナーゼ(endo-1,4-β-xylanase)、α−アラビノフラノシダーゼ(α-arabinofuranosidase)、β−キシロシダーゼ(β-xylosidase)、フェルロイルエステラーゼ(feruloyl esterase)、エンド−1,5−α−アラビナナーゼ(endo-1,5-α-arabinanase)、エンド−1,3(4)−β−グルカナーゼ(endo-1,3(4)-β-glucanase)、ラミナリナーゼ(laminarinase)、エンド−1,4−β−グルカナーゼ(endo-1,4-β-glucanase)、セロビオヒドロラーゼ(cellobiohydrolase)、β−グルコシダーゼ(β-glucosidase)、ポリガラクツロナーゼ(polygalacturonase)、ペクチンエステラーゼ(pectin esterase)、ラムノガラクツロナーゼ(rhamnogalacturonase)、アスパラギン酸プロテアーゼ(aspartic protease)、メタロプロテアーゼ(metalloprotease)、エンド−1,4−β−マンナナーゼ(endo-1,4-β-mannanase)、β−マンノシダーゼ(β-mannosidase)、α−ガラクトシダーゼ(α-galactosidase)からなるグループから選択されることが好ましい。
【0015】
本発明の一つの実施形態では、微生物はPenicillium funiculosumであり、国際菌類学研究所(IMI)(Bakeham Lane, Englefield Green, Egham, Surrey, TW20 9TY, UK)へ、1998年3月24日に、IMI378536として寄託されている。
【0016】
本発明の一つの実施形態では、コーティング剤は、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)、あるいは、エチルセルロース(ethylcellulose)である。
【0017】
本発明の一つの実施形態では、本配合物は以下のa)〜d)の工程を含む処理によって得ることができる。
【0018】
a)全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される支持材と、少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物と、を共乾燥させることで、中間ベースを得て、
b)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を前記中間ベースに含浸させることで造粒し、
c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を用いて、前記含浸された中間ベースをコーティングし、
d)乾燥させる。
【0019】
また、本発明は、a)少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物と、b)全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される支持材と、c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られたゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤と、を含む、動物向けの、粉末状の栄養添加物に関する。
【0020】
また、本発明は、栄養塩及び請求項10に記載された栄養添加物を含むことを特徴とする動物用飼料に関するものである。
【0021】
さらに、本発明は、1種類の微生物による発酵から得られた少なくとも2種類の酵素の混合物を含む、動物用の栄養添加物を調製するために、セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られたゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を使用する方法に関する。コーティング剤としてはカルボキシメチルセルロースが好ましい。
【0022】
<配合物>
本発明は、動物向けの、顆粒粉末状の耐熱性配合物に関する。
【0023】
「耐熱性配合物」とは、熱に対して耐性のある配合物を意味するものと解釈される。本発明に係る配合物の重要な特徴の一つは、熱に対して耐性を有することである。これは、一方では微生物学的な品質の高さを生み出すことを意図し、また他方では飼育者がより使いやすく、動物がより消化しやすい配合物にすることを意図して、本発明に係る配合物が熱処理を受けるからである。
【0024】
「造粒工程」という用語が用いられる。造粒とは、細粒状の飼料を凝集させることである。この細粒は、造粒されたものとは異なり砕けにくい。造粒後に、ペレットが得られる。このペレットは、直径が1.5mmから6mm、長さが1.5cmから4cmの顆粒である。例えばペレットミルを使用した造粒には、たいていの場合、高温の蒸気の使用を基本とする工程が用いられる。本発明に係るこの配合物は、例えば、80℃、85℃、あるいは90℃以上の温度にも耐え得る。「顆粒粉末」とは、ある一定の粒子サイズを示す粉末を意味すると解釈される。
【0025】
本発明によって得られる配合物の粒子サイズの必要条件を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
この製品の粒子の平均径は、150μmから400μmが有利である。「平均径」という用語は、全サンプルの50%がこの値よりも小さいサイズとなり、且つ、全サンプルの50%がこの値よりも大きいサイズとなる、生産物の粒子サイズを意味するものと解釈される。
【0028】
本発明に係る配合物は、動物向けとして意図されたものである。換言すれば、本発明に係るこの配合物は、動物の栄養摂取に対する使用に適している。
【0029】
「動物」とは、より詳しくは、飼育動物を意味し、とりわけ、草食動物(なかでも、肉用、乳用、チーズ用、革用として育てられるウシ、肉用、ウール用、チーズ用として育てられるヒツジ、ヤギ、ブタ)や、ウサギ、家禽類(ニワトリ、雌鳥、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、その他)、水産動物(例えば、魚、エビ、カキ、イガイ)、レジャー用動物及びペット(特に、ウマ、イヌ、ネコ)を意味するものと解釈される。ウシやウシ亜科(ウシ科のサブファミリーに属するもの)は、複数の胃を有する反芻動物であり、それらは、飼育動物(乳用種、肉用種、その雑種)の中のいくつか重要な種を含んでいる。
【0030】
「動物の栄養摂取に対する使用に適した配合物」とは、動物の栄養摂取に適しているような特徴を有する配合物を意味するものと解釈される。動物の栄養摂取に関して使用するために極めて重要な特徴は、特に、酵素混合物を含む配合物が活性化するpHと温度である。動物の消化機構内のpHは酸性であり、従って酵素活性を維持するためには、このようなpH条件においても酵素が活性を有することが必要不可欠である。
【0031】
本発明の一つの実施形態では、配合物はpHが酸性であるとき、例えば、pH7未満のとき、好ましくはpH5未満のときに、期待される酵素活性を維持する。
【0032】
本発明は、動物用の、顆粒粉末状の耐熱性配合物に関し、以下のa)〜c)を含む。
【0033】
a)少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物
b)全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される支持材
c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られたゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤
【0034】
酵素は、実に多種の生物(植物、動物、とりわけ微生物)から生産される。「微生物」とは、特に細菌、酵母、菌類から選択されるどんな単細胞生物あるいは多細胞生物をも意味するものと解釈される。例えば、酵母は、Pichia pastoris、Saccharomyces cerevisae、Yarrowia lipolytica、Schwanniomyces occidentalisから選択されることが好ましい。菌類は、例えば、Aspergillus種、Trichoderma種、Penicillium種から選択され、さらには、Penicillium funiculosum、Trichoderma reesei、Aspergillus niger、Aspergillus awamori、Aspergillus kawachii、Trichoderma koningiiから選択されることが好ましい。
【0035】
本発明の一つの実施形態では、少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物は、ただ1種類の微生物の発酵から得られる。この少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物は、ただ1種類の微生物から得られた発酵液を濾過し、濃縮したものであることが有利である。
【0036】
本発明の他の実施形態では、使用する微生物は、少なくとも2種類の酵素活性を有する単離状態の、遺伝子組換え株の微生物に由来する。また代替的に、使用する微生物は、ポリヌクレオチド、発現カセット、及び(又は)ベクターを用いて形質転換された宿主生物でもよい。
【0037】
本発明の一つの実施形態では、前記微生物は、1種類の酵素を発現、あるいは過剰発現するPenicillium funiculosum株である。他の実施形態では、前記宿主生物は、1種類の酵素を発現、あるいは過剰発現するDebaryomyces castellii株である。さらに、他の実施形態では、前記宿主生物は、1種類の酵素を発現、あるいは過剰発現するRuminococcus gnavus株である。
【0038】
本発明の一つの実施形態では、微生物はPenicillium funiculosumであり、国際菌類学研究所(IMI)(Bakeham Lane, Englefield Green, Egham, Surrey, TW20 9TY, UK)へ、1998年3月24日に、IMI378536として寄託されている。
【0039】
他の実施形態では、本発明に係るこの配合物は、前記少なくとも2種類の酵素を含む混合物を重量比15%から50%含んでおり、さらには、重量比20%から40%含むことが好ましい。
【0040】
本発明の他の実施形態では、動物用の、顆粒粉末状の耐熱性配合物は、少なくとも3種類、あるいは4種類、8種類、10種類の酵素の液体状混合物を含む。
【0041】
一つの実施形態では、前記少なくとも2種類の酵素は、キシラナーゼ、β−グルカナーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、フィターゼ、プロテアーゼからなるグループから選択される。さらには、前記少なくとも2種類の酵素は、フィターゼ、エンド−1,4−β−キシラナーゼ、α−アラビノフラノシダーゼ、β−キシロシダーゼ、フェルロイルエステラーゼ、エンド−1,5−α−アラビナナーゼ、エンド−1,3(4)−β−グルカナーゼ、ラミナリナーゼ、エンド−1,4−β−グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンエステラーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、エンド−1,4−β−マンナナーゼ、β−マンノシダーゼ、α−ガラクトシダーゼからなるグループから選択されることが好ましい。
【0042】
また、本配合物は支持材を含む。この支持材は、全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される。この支持材は、顆粒粉末状の耐熱性配合物の重量に対して25%から60%の割合で、前記配合物中に存在する。
【0043】
さらに、本配合物はコーティング剤を含む。このコーティング剤は、セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られたゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択される。植物性ゴムとは、乾燥させ固めた植物滲出液である。本発明で使用され得るゴムについて言及するならば、それは、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、グァーガム、キサンタンガムである。
【0044】
「デンプン及びその誘導体」とは、アミロースとアミロペクチンの2つのポリマーが結合して形成された多糖体を意味するものと解釈される。本発明では、前記デンプンは、粉末状あるいはペースト状で生じることができる。示唆するならば、前記デンプンは、天然のコムギデンプン、あるいは、天然のトウモロコシデンプン、天然のコメデンプン、ポテトミールでもよい。また、例えば、糊化といった物理的処理を施された同様のデンプンもこれに含まれる。
【0045】
本発明の一つの実施形態では、コーティング剤は、カルボキシメチルセルロース、あるいは、エチルセルロースである。
【0046】
コーティング剤は、顆粒粉末状の耐熱性配合物の重量に対して25%から60%の割合で、前記配合物中に存在し、さらには、重量比30%から58%の割合で存在していることが好ましい。
【0047】
本発明の他の実施形態では、配合物は次のa〜dの工程を含む処理によって得ることができる。
【0048】
a)全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される支持材と、少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物と、を共乾燥させることで、中間ベースを得る工程
b)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を前記中間ベースに含浸させることで造粒する工程
c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を用いて、前記含浸された中間ベースをコーティングする工程
d)乾燥させる工程
【0049】
同一の、あるいは異なったコーティング剤が、前記工程の2つの連続する工程において使用される。これによって、コーティング剤が顆粒粉末の内側及び外側の両方に存在するという、新規の特徴を示す粉末を得る。
【0050】
粉末状の配合物は高い流動性を見せる。この粉末の流動性を評価する測定プロトコールの一例として、安息角を決定する方法がある。この方法は、完全に平坦で水平なプレートの上方の決められた高さに特別な漏斗を設け、その漏斗からサンプルを落下させ、落下物が形成した円錐の母線の角度を測定することを基本とする。
【0051】
この方法には、以下の装置が必要となる。それは、実験用ガラス器具及び装置と、下部の口径(d)が6mm未満であるステンレス製漏斗(この漏斗は支持体に取り付けられている。)と、4本の直線が刻まれたステンレス製プレート(この直線は、互いに45°の角度をなし、漏斗の中心軸に対して垂直である。)と、前記プレートを取り付けるステンレス製支持体である。
【0052】
この方法は、プレートから漏斗下部までの高さ(H)を40mmに調節すること、刻まれた直線の交点に対して漏斗の中心軸が垂直であることを確かめること、漏斗の中にその粉末を注入すること、形成された円錐の頂点が漏斗下部と触れた時に粉末の落下を停止すること、形成されたシリカの円錐の底面の位置を刻まれた各直線に印すこと、そのシリカを除去して各直線上に印された2つの印の距離を測定することからなる。落下物の安息角は度で表され、以下の式によって与えられる。
【0053】
【数1】

【0054】
この中で、Hは、円錐形の高さ(mm)である(H=40)。dは、漏斗の底辺の内径(mm)である(d=6)。Dは、4回の測定から得られる計算上の数値(mm)である。αは、安息角(度)である。
【0055】
本発明では、粉末状の配合物は、安息角20°から50°を示し、さらには、20°から45°を示すことが好ましい。
【0056】
この粉末の流動性を評価する測定プロトコールの他の例としては、圧縮度を測定する方法があり、この方法は以下の式に従う。
【0057】
【数2】

【0058】
本発明では、粉末状の配合物は、圧縮度数0%から40%を示し、さらには、0%から20%を示すことが好ましい。
【0059】
本発明に係る粉末状の配合物は、前記酵素混合物に加えて、1種類あるいは複数の有効成分を含んでいてもよい。
【0060】
「有効成分」とは、動物体内で実証された生理活性を有する物質を意味するものと解釈される。特に、補助食品が本発明に係る有効成分の範疇に入る。動物用の補助食品は、ある化合物の毎日の寄与の不足を克服する目的で、毎日の食事を補助するため摂取するよう意図された製品である。例えば、飼育動物の畜産効率を向上させるために、有効成分を用いて飼育動物の食品摂取を補助することが一般的に知られている。それらは、特に、ビタミン、ミネラル塩、アミノ酸、微量元素、ホルモンや抗生物質である。
【0061】
<顆粒粉末状の配合物の調製工程>
上述した配合物の調製処理は、以下の工程を含む。
【0062】
a)中間ベースを得るために、全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される支持材と、ただ1種類の微生物から得られた少なくとも1種類の酵素を含む液体状混合物と、を共乾燥させる工程
b)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を前記中間ベースに含浸させることで造粒する工程
c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を用いて、前記含浸された中間ベースをコーティングする工程
d)乾燥させる工程
【0063】
この処理の第一工程は、液体状の酵素混合物を本発明に係る支持材と共に共乾燥することからなる。この工程は、噴霧処理に続いて乾燥塔で行うことができる。共乾燥は、酵素が分解しない温度で行われる。粉末の温度は、45℃未満に保たれるべきである。この工程では、液体状の酵素混合物のほとんどが支持材に残っている。50μmから250μmのサイズに微細粒化された粉末が得られる。この粉末の含水率は20%未満である。
【0064】
この処理の第二工程は、セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を前記中間ベースに含浸させることで造粒することからなる。それは湿式造粒法の一種であり、湿式造粒法とは、グラニュレーターとしても知られる、液体添加システム搭載のミキサーの中で、粒子に粘着力を与えて造粒し、粒子の緻密化を行うことである。この工程は、連続的に、あるいは一括して実行され得る。
【0065】
この処理の第三工程は、セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤の十分な被膜を設けることからなる。このコーティング剤は、造粒工程で使用したものと同じものでも、違うものでもよい。この工程は、例えば流動層乾燥機を用いて連続的に、あるいは一括して実行され得る。コーティング剤の量は、生成物として望まれる最終粒子サイズに依存する。
【0066】
この処理の第四工程は、最終生成物を乾燥させることからなる。この乾燥は流動層を用いて連続的に、あるいは、一括してに行うことができる。乾燥された結果、前記生成物の含水率は10%未満となり、好ましくは8%未満となる。
【0067】
第二工程と第三工程の間に、中間工程を加えることができる。この工程は、連続的に、あるいは一括して、造粒された粉末を乾燥させることからなる。
【0068】
第二工程と第三工程の間、あるいは、造粒された粉末を乾燥させる付加的な工程の後に、篩にかける工程を加えることができる。
【0069】
<造粒工程>
本発明によると、造粒工程は以下のa)〜e)の段階を含む。
【0070】
a)顆粒粉末状の耐熱性配合物及び栄養塩がフィーダーにセットされ、
b)前記の混合物を60℃から100℃の温度(70℃から90℃の温度が好ましい。)で熱し、
c)前記配合物を造粒圧縮機を用いて造粒し、
d)得られたペレットを、目的とする長さに切り分け、
e)d)で得られたペレットを乾燥させ、冷やす。
【0071】
<動物用栄養添加物>
本発明は、また、粉末状の栄養添加物に関し、以下のa)〜c)を含む。
【0072】
a)少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物
b)全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される支持材
c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤
【0073】
<動物用飼料>
本発明は、また、動物用の栄養塩及び上記で定義された栄養添加物を含むことを特徴とする、動物用飼料に関する。
【0074】
栄養塩とは、例えば、コムギや、ダイズかす、押しダイズ、パーム油、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、塩、メチオニンを含むプレミクスなどである。
【0075】
<使用>
本発明の主題は、また、ただ1種類の微生物の発酵から得られた少なくとも2種類の酵素の混合物を含む、動物用栄養添加物を調製するために、カルボキシメチルセルロースを使用する方法に関する。
【0076】
本発明の他の主題は、例えば飼料転換効率の向上といった、動物の成長効率の向上を意図する動物用栄養添加物を調製するために、カルボキシメチルセルロースを使用する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】先行技術に係る粉末の粒子サイズと、本発明に係る粉末の粒子サイズとを示す図である。横軸は直径(μm)を、縦軸は製品中の割合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0078】
[実施例1]
本発明に係る配合物は、本発明の工程に従って調製される。それは、粉末状で与えられ、55%のカルボキシメチルセルロースと、25%の全粒粉コムギと、20%の、Penicillium funiculosum(IMI378536)の発酵から得られた、19種類の酵素活性を有する濃縮濾過発酵液とを含む。
【0079】
{1.共乾燥}
28.7%(乾物)の酵素溶液475kg/hが165barで噴霧され、続いて、コムギ上で113kg/hのペースで低温下において共乾燥される。乾燥濃縮物中の配分は、純粋な酵素が55%、支持材(この場合は全粒粉コムギ)が45%である。
・146℃:入口気温
・49℃ :出口気温
・40℃ :静止層の気温
・35℃ :振動流動層の気温(第一区画)
・27℃ :振動流動層の気温(第二区画)
【0080】
この工程で得られた微細粒化された粉末は、63μm未満の細粒は含まないという粉末の特徴を見せる。その特徴が、その生成物を第二相で扱い得るようにする。平均粒子サイズD(v,0.5)は117ミクロンであり、含水率は7.5%である。この第一工程の最終で得られる生成物は中間ベースとして知られている。
【0081】
{2.含浸による造粒}
これは、以下の方法によって、ミキサー内において行われる。
・30秒間、材料すなわち中間ベース(乾物)1kgあたり0.77kgのCMC(乾物)を予混合し、
・120秒間、中間ベース(乾物)1kgあたり0.18kgの割合の水をかき回しながら加え、
・120秒間、最終的に混合する。
【0082】
この工程の目的は、酵素活性を損なわないように45℃未満で生成物を維持する間、含水率14%の、平均150μmから200μmほどの粒子を得ることである。
【0083】
{3.流動層内での中間乾燥}
生成物が、酵素活性を損なわないように入口気温55℃、出口気温25℃の流動層乾燥機で乾燥される。コーティングする前の中間ベースは、含水率7%あるいは8%である。
【0084】
{4.コーティング}
噴霧する前に60℃から70℃に再加熱された低粘性の7%から7.5%CMC溶液が噴霧される。付加された溶液量は、コーティングされた生成物1kg(乾燥)あたり、CMCが0.25kg(乾燥)である。この工程で得られる粉末は、平均粒子径が300μmから400μmで、含水率が10%から11%である。
【0085】
最終生成物は、それから、流動層を用いて連続的に、あるいは、一括して乾燥される。この場合の目的は、生成物の含水率を10%未満、好ましくは8%未満まで戻すことである。得られた最終生成物の含水率は7.6%であり、密度は450g/Lである。
【0086】
{5.粒子サイズ測定}
粒子サイズは、それぞれ以下の配合物に関して測定された。
【0087】
第一の配合物は、粉末状で提供されるRovabioTM Excel AP製品である。
【0088】
第二の配合物は、上記の工程に従って調製されたものである。それは、55%のカルボキシメチルセルロース、25%の全粒コムギ、20%の、Penicillium funiclosum (IMI378536)の発酵から得られた濃縮濾過発酵液を含む、本発明に係る配合物である。配合物の粒子サイズは表2に記載されている。
【0089】
【表2】

【0090】
第二の配合物の粒子サイズが、RovabioTM Excel AP製品(先行技術の顆粒粉末状の配合物)よりも小粒子が少ないという利点を見せることが分かる。小粒子が少ないということは、生成物のロス、生成するシステムと生成物自体との間の交差汚染、濾過や換気システムの使用、健康への悪影響といった問題を防ぐ。図1を参照のこと。
【0091】
{6.他の測定}
RovabioTM Excel AP製品の圧縮度は22.1%であり、一方、第二の配合物の圧縮度は3.4%である。
【0092】
[実施例2]
・目的
この目的は、「成長中」家禽用の飼料ベースに加えられた顆粒状の4種類の酵素調製物を試験することである。
【0093】
コンディショナー出口の3処理温度(80℃、85℃、90℃)がそれぞれの酵素調製物に対して適用された。
【0094】
・材料と方法
{1.飼料と酵素}
200kgの成長中家禽用飼料が、これらの試験を行うために使用される。粉末状の4種類の配合物を試験する。本発明に係る配合物の基準に対応、ないし非対応の各配合物が供試物とされる。
【0095】
第一の配合物はRovabioTM Excel AP製品であり、これは粉末状で、19種類の酵素活性を有する。この製品には、全粒粉コムギが20%、Penicillium funiclosum(IMI378536)の発酵から得られた、19種類の酵素活性を有する濃縮濾過酵素液が80%含まれる。
【0096】
第二の配合物は、例1に記載された工程に従って調製される。それは、前記の粒子サイズを有する粉末状であり、カルボキシメチルセルロースが55%、全粒粉コムギが25%、Penicillium funiclosum(IMI378536)の発酵から得られた、19種類の酵素活性を有する濃縮濾過発酵液が20%含まれる。
【0097】
第三の配合物は、例1に記載された工程に従って調製される。それは、前記の粒子サイズを有する粉末状であり、カルボキシメチルセルロースが35%、全粒粉コムギが45%、Penicillium funiclosum(IMI378536)の発酵から得られた、19種類の酵素活性を有する濃縮濾過発酵液が20%含まれる。
【0098】
第四の配合物は、例1に記載された工程に従って調製される。それは、前記の粒子サイズを有する粉末状であり、カルボキシメチルセルロースが35%、全粒粉コムギが45%、Penicillium funiclosum(IMI378536)の発酵から得られた、19種類の酵素活性を有する濃縮濾過発酵液が20%含まれる。
【0099】
{2.混合物}
60kgの成長中家禽用飼料の2種混合物を、パドルミキサーを水平軸回転(60回転/分)させて調製する。各混合の時間は2分間である。各混合バッチを、詰める前に長方形のタンクに入れる。その長方形のタンクの中を4等分して20サンプルを取り、それらを合わせて各混合物を代表する各々約1kgのサンプルとする。以下の混合物の表を参照のこと。
【0100】
【表3】

【0101】
{3.造粒}
造粒試験は、フラットダイ(Kahl社 14−175 ペレットミル3kW)を備えた実験用ペレットミルを用いて行われた。成長中のブロイラー用コムギ飼料に対して、試験用に選ばれたペレットミルダイは、直径4mm、厚さ24mmの溝を有する(圧縮度:6)。
【0102】
{4.乾燥冷却}
各造粒試験に対して、実験用乾燥冷却機が、ダイ出口で集められた熱顆粒サンプルを乾燥させ、冷やすために用いられた。乾燥冷却時間は、冷却機あたり約3.5kgの熱顆粒を1回分として、少なくとも5分間である。各製造作業を代表する約500gのサンプルを採取する。
【0103】
{5.顆粒をモニターするための測定及びサンプリング}
この測定及びサンプリングは、ペレットミルの運転が安定している(一定した原料処理量及び、安定した消費電力、安定した温度)ときに行われる。含水量及びダイの滞留時間の測定は、各試験の安定相中に採取したサンプルから行われる。造粒を行う行う際の特徴及びパラメーターを試験中に書きとめ、記録する。
【0104】
{6.分析方法}
6.1)DNS法によるβ−グルカナーゼ
このアッセイは、オオムギβ−グルカンの加水分解酵素である、β−1,3(4)−グルカンを基にする。反応生成物は、還元基の増加を3,5−ジニトロサリチル酸(3,5-dinitrosalicylic:DNS)を用いて測定する比色定量法によって決定される。酵素加水分解反応の後に得られる還元糖の濃縮は、グルコース標準曲線(540nmで測定されたグルコースの吸光度)を用いて決定される。計算された酵素活性は、その後グルコース当量として表される。
【0105】
1mlの1%(w/v)β−グルカン溶液(0.1M酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)中)と、適切に希釈した酵素溶液1mlとを、50℃で10分間インキュベーションする。酵素反応は、2mlのDNS溶液(蒸留水中、1%(w/v)の3,5−ジニトロサリチル酸と、1.6%(w/v)の水酸化ナトリウムと、30%(w/v)の(+)−酒石酸カリウムナトリウム)を添加することによって停止される。この溶液をホモジェナイズし、最低でも95℃の還流ウォーターバスの中に置き、続いて室温の水槽の中で5分間以上冷却する。10mlの超純水をその溶液に添加して、光路長1cmのガラスセル中、540nmでの吸光度を測定する。吸光度は、酵素反応前にDNS溶液を加えた対照溶液について得られた吸光度によって補正される。
【0106】
この結果を、DNS溶液で同じように処理した0.00%から0.04%(w/v)のグルコース標準溶液の値と比較することで、μモル単位の還元糖に換算する。
【0107】
エンド−1,3(4)−β−グルカナーゼ活性の1ユニットとは、このアッセイ条件下(pH5.0、50℃)で、1分間あたり、生成物1グラムあたりの1μmol当量のグルコースを生産する酵素量であると定義されている。
【0108】
6.2)DNS法によるキシラナーゼ
このアッセイは、β−D−1,4結合を含むキシロースポリマーである、カバノキのキシランによる酵素加水分解反応に基づく。この反応産物は、比色定量法によって決定された。還元基の増加を3,5−ジニトロサリチル酸を用いて測定した。酵素加水分解反応の後に得られる還元糖の濃縮はキシロース標準曲線を用いて決定された。キシロースの吸光度は540nmで計測された。計算された酵素活性は、続いてキシロース当量で表される。
【0109】
1mlの1%(w/v)カバノキキシラン溶液(0.1M酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)中)と、適切に希釈した酵素溶液1mlとを、50℃で10分間インキュベーションする。酵素反応は、2mlのDNS溶液(蒸留水中、1%(w/v)の3,5−ジニトロサリチル酸と、1.6%(w/v)の水酸化ナトリウムと、30%(w/v)の(+)−酒石酸カリウムナトリウム)を添加することによって停止される。この溶液をホモジェナイズし、最低でも95℃の還流ウォーターバスの中に置き、続いて室温の水槽の中で5分間以上冷却する。10mlの超純水をその溶液に添加して、光路長1cmのガラスセル中、540nmでの吸光度を測定する。吸光度は、酵素反応前にDNS溶液を加えた対照溶液について得られた吸光度によって補正される。
【0110】
6.3)粘度測定法によるキシラナーゼ
この方法は、飼料中のエンド−1,4−β−キシラナーゼ活性の決定に特異的である。エンド−1,4−β−キシラナーゼは、キシランのキシロシド結合を加水分解する。このアッセイは、β−1,4−キシラン多糖体がアラビノースで置換された、コムギアラビノース溶液のキシロース結合の酵素加水分解反応に基づく。酵素活性は、定量的に決定された酵素の存在下でコムギアラビノキシラン溶液の粘度に比例する。エンド−1,4−β−キシラナーゼ活性は、分析条件下(pH5.5、30℃)1分間あたりに、基質を加水分解して溶液の粘度を減少させ、相対的流動性を1無次元単位だけ変化させる酵素量として定義される。
【0111】
・試験結果
{1.調節のための設定値}
ペレットミルを調節するための設定値は以下の通りである。
【0112】
処理量:約41kg/h
コンディショナー出口における処理温度:80℃、85℃、90℃
ダイ出口で観察された温度
蒸気圧力:1.6bar
ナイフが切る高さの調節:10mm
{2.酵素活性のバランス}
【0113】
【表4】

【0114】
様々な配合において、最初の酵素濃縮量の主な酵素活性基準を維持することができると分かる。
【0115】
{3.異なる温度でペレットミルを通過した後の飼料に対する、粘度測定法によるキシラナーゼ活性の回復度合}
【0116】
【表5】

【0117】
標準製品(A)のキシラナーゼ活性は、造粒条件温度の上昇によって影響を受けることが分かる(90℃で46%の損失)。試験されたさまざまな配合では、活性損失を20%未満に抑えることができる。
【0118】
[実施例3]
・目的
12日齢から22日齢のニワトリに対するコムギベース飼料中、RovabioTM Excel AP及び本発明に係る配合物の、AME(窒素補正した見かけの代謝エネルギー)値に対する栄養効果の研究。
【0119】
・材料と方法
{1.実験スキーム}
使用した動物は、オスのニワトリ(Ross PM3種)である。1ケージあたり1匹のヒヨコとし、飼料は7種類、反復回数は12回とした。すなわち、全部で84ケージである。この試験は無作為化対照試験である。この試験のアイテムは、ニワトリのコムギベース及びコーンベース飼料の消化性を向上させることができる酵素活性を含む。
【0120】
【表6】

【0121】
{2.飼料計画}
飼料計画は、本試験を通し、以下のように行われた。
【0122】
【表7】

【0123】
{3.実験の進行}
主な工程の時系列を次表に示す。
【0124】
【表8】

【0125】
・結果
{1.飼料}
【0126】
【表9】

【0127】
キシラナーゼ粘度、すなわち酵素活性値は、エサ2を除いて、飼料に対する推奨値である1100U/kg飼料よりも高かった。
【0128】
{2.エネルギー消費}
【0129】
【表10】

【0130】
試験された全てのアイテムは、試験された飼料のエネルギー消費を向上させたが、効果はさまざまであった。AMEの向上は穏やかなレベルであるが、本発明に係る配合物2に関しては+約105kcal/kg(乾燥)に及ぶ。
【0131】
両タイプの配合物が、測定されたAMEに対して同様の効果を与えた。第二の分析は次ぎのようにして製品ごとに行われた。
【0132】
【表11】

【0133】
この第二の分析は、全体として見たもので、本発明に係るT−フレックスアイテムは、試験された飼料のエネルギー消費を向上させた。他方、Excel APアイテムで得られた改良は強い傾向にもかかわらず(P=0.06)、大きな影響を与えない。
【0134】
{3.成長成績}
【0135】
【表12】

【0136】
エネルギー消費で観察されたこととは反対に、全ての試験期間を通して(12日齢から22日齢)、試験されたアイテムは事実上すべて大きな影響を成長成績(飼料転換効率)に与えた。本発明に係る配合物(本発明1、本発明2、本発明3)及びRovabioTM Excel AP配合物(AP1,AP2,AP3)は、転換効率において、事実上同様の効果を与えた。
【0137】
{5.結論}
コムギベース飼料に対して試験された全てのアイテムは、試験された飼料のAMEに対して効果があった。得られた向上は穏やかなものである。全体として見ると、本発明に係る製品は有意に、試験された飼料のAMEを向上させた。成長成績と、特に飼料転換効率に関する成績は全ての期間(12日齢〜22日齢)を通して、大きくそして有意に、全ての製品について向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性配合物であって、
a)全粒粉コムギ、デンプン、ジプサム、マルトデキストリン、コーンコブからなるグループから選択される支持材と、少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物と、を共乾燥させることにより、中間ベースを得る工程、
b)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を前記中間ベースに含浸させることで造粒する工程、
c)セルロース及びその誘導体、キチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、植物性ゴム、発酵によって得られるゴム、デンプン及びその誘導体からなるグループから選択されるコーティング剤を用いて、前記含浸された中間ベースをコーティングする工程、
d)乾燥する工程、
を含む処理によって得られる耐熱性配合物。
【請求項2】
請求項1に記載された耐熱性配合物において、
前記少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物が、1種類の微生物の発酵によって得られることを特徴とする、耐熱性配合物。
【請求項3】
請求項1に記載された耐熱性配合物において、
前記少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物が、2種類の異なる微生物の発酵によって得られることを特徴とする、耐熱性配合物。
【請求項4】
請求項1に記載された耐熱性配合物において、
a)重量比で15〜50%の前記少なくとも2種類の酵素を含む混合物と、
b)重量比で25〜60%の前記支持材と、
c)重量比で25〜60%の前記コーティング剤と、
を含む、耐熱性配合物。
【請求項5】
請求項1に記載された耐熱性配合物において、
前記コーティング剤がカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする、耐熱性配合物。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載された耐熱性配合物において、
前記少なくとも2種類の酵素を含む液体状混合物が、少なくとも1種類の微生物の発酵によって得られた濃縮濾過発酵液であることを特徴とする、耐熱性配合物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載された耐熱性配合物において、
前記少なくとも2種類の酵素が、キシラナーゼ、β−グルカナーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、フィターゼ及びプロテアーゼからなるグループから選択されることを特徴とする、耐熱性配合物。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載された耐熱性配合物において、
前記少なくとも2種類の酵素が、フィターゼ、エンド−1,4−β−キシラナーゼ、α−アラビノフラノシダーゼ、β−キシロシダーゼ、フェルロイルエステラーゼ、エンド−1,5−α−アラビナーゼ、エンド−1,3(4)−β−グルカナーゼ、ラミナリナーゼ、エンド−1,4−β−グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンエステラーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、エンド−1,4−β−マンナナーゼ、β−マンノシダーゼ、α−ガラクトシダーゼからなるグループから選択されることを特徴とする、耐熱性配合物。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載された耐熱性配合物において、
前記微生物が、IMI378536として、1998年3月24日にIMIへ寄託されたPenicillium funiculosumであることを特徴とする、耐熱性配合物。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載された耐熱性配合物において、
前記コーティング剤が、カルボキシメチルセルロース又はエチルセルロースであることを特徴とする、耐熱性配合物。
【請求項11】
動物用飼料であって、
動物用の栄養塩と、
請求項1〜請求項10のいずれかに記載された耐熱性配合物と、
を備えることを特徴とする、動物用飼料。
【請求項12】
動物用の顆粒粉末状の栄養添加物を調製するために、請求項1〜請求項10のいずれかに記載された耐熱性配合物を使用する方法。
【請求項13】
動物用の栄養塩及び栄養添加物を含むことを特徴とする動物用飼料を調製するために、請求項1〜請求項10のいずれかに記載された耐熱性配合物を使用する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−534067(P2010−534067A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517431(P2010−517431)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000872
【国際公開番号】WO2009/019335
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(507200961)アディッソ・フランス・エス.エー.エス. (12)
【氏名又は名称原語表記】ADISSEO FRANCE S.A.S.
【Fターム(参考)】