説明

酸と第四級アンモニウムとの塩を調製するための新規な方法

【課題】本発明は、フィブリン酸と第四級アンモニウムとの塩を調製するための方法に関する。
【解決手段】上記方法は、下記反応スキーム(I、II、III、IV)で表され、請求項で定義される、化学式(I)のフェノール、化学式(II)のα−ハロゲン化エステル、及び、化学式(III)の水酸化第四級アンモニウムから出発して、単一操作で行われる。具体的には、上記方法は、人体に投与する薬剤の活性物質として直接使用することができる、高純度のフェノフィブリン酸のコリン塩を経済的に調製することを可能にする。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機酸と塩基との塩、特に、フィブラート系の酸と第四級アンモニウム型塩基との塩、さらに具体的には、フェノフィブリン酸とコリンとの塩の合成のための新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノフィブラート:
【0003】
【化1】

【0004】
は、高トリグリセリド血症、及び、高コレステロール血症を治療するための公知の活性物質である。この化合物はイソプロピルエステルであるが、生体媒質において、上記エステルは急速に加水分解され、フェノフィブラートの活性代謝産物であるフェノフィブリン酸を生成する。
【0005】
活性物質としてフェノフィブリン酸自体を含有するガレヌス製剤を使用した上記疾患の治療、特に好ましくは、フェノフィブリン酸と有機塩基(特にコリン)との塩を使用した上記疾患の治療が、近年提案されている(特許文献1)。コリン塩の調製は、上記特許文献1の実施例17A及び17Bに記載されており、出発化合物としてフェノフィブリン酸を使用し、上記フェノフィブリン酸と水酸化コリン(メタノールに溶解し、溶液として使用する)との塩を合成することより構成されている。
【0006】
現在、フェノフィブリン酸を最も経済的に調製する方法は、フェノフィブラートの加水分解であって、上記フェノフィブラートは市販されており、例えば、4−クロロ−4´−ヒドロキシベンゾフェノンを2−ブロモ−2−メチルプロパン酸イソプロピルと反応させて製造できる(特許文献2)。
【0007】
コリン塩の調製についても文献に記載されている。例えば、特許文献3に、コリン塩基をジアルキル酢酸と化合させて、ジアルキル酢酸との塩を調製することが、記載されている。同様に、特許文献4に、ケトプロフェンとコリンとの塩の調製が記載され、特許文献5に、ジクロフェナクとコリンとの塩の調製が記載されており、これらの文献においても、出発物質として上記フェノフィブリン酸を用いた方法を推奨している。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0148594号明細書
【特許文献2】欧州特許第0245156号明細書
【特許文献3】米国特許第3897485号明細書
【特許文献4】国際公開第96/16016号パンフレット
【特許文献5】欧州特許出願公開第521393号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記化学式(IV)の、フィブリン酸の第四級アンモニウム塩を調製するための新規、且つ、経済的な方法に関する。上記方法により、医学的治療学における使用に適合した高純度の生成物を単一操作で生産することができる。
【0009】
上記方法は、本質的に、2−メチルプロパン酸(II)のα―ハロゲン化エステルを置換フェノール(I)と反応させ、次いで、中間生成物を単離することなく、第四級アンモニウム型塩基(III)と反応させる方法であり、下記反応スキ−ム:
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、
は、塩素原子、2−(4−クロロベンゾイルアミノ)エチル基、4−クロロベンゾイル基、又は、2,2−ジクロロシクロプロピル基であり、OH基に対してパラ位にあることが好ましく、
Xは、ハロゲンであり、臭素原子であることが好ましく、
は、直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基であり、
は、直鎖状若しくは分岐状のC−Cアルキル基、又は、直鎖状若しくは分岐状のC−Cヒドロキシアルキル基であり、且つ、
Rは、直鎖状のC−Cアルキル基である)
で表すことができる。
【0012】
このように、本発明に係る方法の独創性は、単一操作で(すなわち、中間生成物を単離することなく)、フィブリン酸前駆体を水酸化第四級アンモニウムと反応させることにある。フィブリン酸の第四級アンモニウム塩を、99.5%を超える非常に高純度で上述のように直接得られ、さらに精製することなく人体に投与する薬剤の活性物質として使用できることは、全く予想外のことである。
【0013】
上記方法は、フェノフィブリン酸の第四級アンモニウム塩、特に、フェノフィブリン酸とコリンとの塩の調製に極めて有用である。
【0014】
実際、この場合、現在公知の調製方法と比較すると、フェノフィブラートの加水分解で発生するフェノフィブリン酸を出発物質として用いる必要がない。結果として、本発明の方法は、より容易に行うことができるようになり、かつ、より経済的になる。
【0015】
概して、本発明に係る方法は、特に、下記化学式のフィブリン酸:
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、
Arは、以下の原子又は基でパラ位が置換されたフェニル基である;塩素原子(この場合、上記化学式はクロフィブリン酸)、4−クロロベンゾイル基(この場合、上記化学式はフェノフィブリン酸)、2−(4−クロロベンゾイルアミノ)エチル基(この場合、上記化学式はベザフィブラート)、又は、2,2−ジクロロシクロプロピル基(この場合、上記化学式はシプロフィブラート))の第四級アンモニウム塩の調製を可能にする。
【0018】
本願の構成において、直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基とは、炭素原子を1〜6個含む、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素鎖(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、及びヘキシル基から選択される)を意味するものとして理解されたい。
【0019】
−Cヒドロキシアルキル基とは、上記で定義したように炭素原子を1〜4個含み、任意の一炭素原子に直接結合したOH基を少なくとも1個有するアルキル鎖を意味するものとして理解されたい。
【0020】
概して、本発明に係る方法の実施に伴う化学反応は、溶媒の存在下、又は、溶媒の不在下のいずれでも行ってよいが、二次反応のために溶媒の存在下で行うことが好ましい。実際、本方法の最終工程で、高純度の化合物を得るためには、溶媒の存在下、好ましくはアルコールの存在下で行うのが有利なはずである。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態では、最終反応、及び、生成した塩の精製に、単一溶媒が用いられることとなる。この溶媒は、具体的には、直鎖状又は分岐状のプロパノールである。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で酸含量を、電位差測定で第四級アンモニウム含量を測定すると、これらの条件下で得られた塩の純度は、99.5%よりも高い。
【0022】
具体的な一特徴によれば、本発明に係る方法は、
・化学式(I)のフェノールを化学式(II)のα―ハロゲン化エステル(化学量論的条件に対して過剰に使用することが有利である)と、塩基の存在下、80〜160℃の温度で、1〜8時間反応させ、次いで、
・化学式(III)の水酸化第四級アンモニウムを、得られる反応媒体と、溶媒の存在下、好ましくは不溶性無機化合物を除去した後、80〜120℃の温度で、1〜5時間反応させ、及び、
・生成した化学式(IV)の塩を分離する
方法である。
【0023】
上記溶媒としては、直鎖状又は分岐状のプロパノール(n−プロパノール又はイソプロパノール)が有利である。
【0024】
本発明に係る方法により、特に、化学式(I)(式中、Rはヒドロキシル基に対して4位の4−クロロベンゾイル基である)の化合物、化学式(II)(式中、Rは直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基である)の化合物、及び、化学式(III)(式中、Rはメチル基であり、Rは2−ヒドロキシエチル基である)の化合物を用いて、フェノフィブリン酸の第四級アンモニウム塩を調製することが可能となる。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態は、4−クロロ−4´−ヒドロキシベンゾフェノンを2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチル、又は、2−ブロモ−2−メチルプロパン酸(イソ)プロピルと反応させ、次いで、水酸化コリンを添加することで、直接、すなわち、中間生成物を単離することなく、ワンポット操作でフェノフィブリン酸のコリン塩を得ることである。
【0026】
本発明に係る方法の概括的な一実施形態において、第一工程は、上記で定義したように、化学式Iのフェノールと、化学量論的に少なくとも同量の化学式II(式中、Xはハロゲン(臭素原子であることが好ましい)であり、Rは直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基である)のエステルとの混合物を調製する工程である。化学式IIのエステルは、室温では液体であるので、上記方法のこの段階で溶媒を使用する必要は概してない。しかしながら、使用する反応器では十分な撹拌ができない場合、アルコール又はケトン等(これら二例により限定されるものではない)の溶媒の存在下で反応させることも全くもって可能である。とはいえ、この場合、大気圧下の沸点が少なくとも80℃である溶媒を用いるのが好ましい。
【0027】
次いで、出発反応物の混合物を80〜160℃の温度まで加熱し、無機塩基を徐々に添加する。上記無機塩基は、化学式Iの化合物に対して実質的に等モル量であることが好ましい。この塩基の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、又は、炭酸カルシウムが挙げられる。この塩基は、粉末状、又は、ペレット状で添加されてもよく、上記のものは一般的に固体であるが、高濃度溶液、又は、水との懸濁液として添加されてもよい。添加速度は、従来非常に速く、反応で生成する二酸化炭素の発生によってのみ制限される。
【0028】
反応時間は1時間〜8時間である。この間、反応において添加した、又は、反応によって生じた水は蒸留により除去されるのが好ましい。
【0029】
具体的な一特徴として、次いで、媒体中に含まれる有機化合物を溶解する溶媒を添加し、不溶性無機化合物を除去するために熱ろ過を行うことが有利である。上記溶媒の例としては、アルコールが挙げられ、直鎖状又は分岐状のプロパノールであることが好ましい。
【0030】
次いで、同じ温度に保たれた溶液を、化学式III(式中、Rは直鎖状若しくは分岐状のC−Cアルキル基、又は、直鎖状若しくは分岐状のC−Cヒドロキシアルキル基であり、Rは直鎖状のC−Cアルキル基である)の化合物と接触させる。この化合物は、そのまま、又は、適当な溶媒(水又はアルコールが好ましい)に溶解させ溶液として添加してもよい。
【0031】
反応混合物を80〜120℃の温度で1〜5時間撹拌する。
【0032】
化学式IIIの化合物を水溶液の形態で添加する場合、共沸蒸留により水を除去する。
【0033】
次いで、溶液の形態の最終混合物を熱ろ過し、それから、所望の塩が結晶化される条件下で冷却する。その後、結晶をフィルター、又は、アスピレーターでろ過分離し、乾燥させる。
【0034】
本発明に係る方法に従えば、所望の塩が、通常、治療学における直接使用に適合した純度で、すなわち、少なくとも99.5%の純度で得られる。
【0035】
本発明は更に、本発明の方法によって得られる、99.5%を超える純度の塩、及び、治療学においての、人間用医薬品の薬剤の製造における該塩の使用に関する。上記薬剤は、経口吸収用の形態で、例えば、カプセル又は錠剤状で処方されるのが好ましい。上記乾燥状態のガレヌス製剤は、トローチ剤、素錠若しくはフィルムコーティング錠、又は、カプセルの形態で、当業者に公知の方法により調製される。例えば、塩を賦形剤と混合することで、例えば、打錠可能な、又は、カプセルに内包可能な顆粒にすることにより、上記ガレヌス製剤は調製される。本発明の好ましい一実施形態において、純粋な塩とは、投薬単位あたり40〜180mg含まれるフェノフィブリン酸の第四級アンモニウム塩である。フェノフィブリン酸と塩を形成する第四級アンモニウム化合物は、コリンであることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下の実施形態の説明により、本発明はさらに明確に理解されるであろう。なお、ここに示す実施形態は、本発明を説明するものであって、限定するものではない。
【0037】
実施例1
2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチルプロパン酸コリン塩
1108g(5.28モル)の2−ブロモ−2−メチルプロパン酸イソプロピル、及び、650g(2.79モル)の(4−クロロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタノンの混合物を、還流下又は蒸留下で操作が可能な5Lの反応器で、十分に撹拌しながら、窒素雰囲気下、145℃で加熱する。次いで、448g(3.24モル)の炭酸カリウムを添加し、反応媒体の温度を155℃まで上昇させる。上記温度で4時間、反応混合物を撹拌する。この間、生成した水溶液相を蒸留液として回収する。反応媒体の温度を145℃まで下げ、また、反応器の内圧を徐々に下げて、過剰な臭素化反応物を蒸留によって除去する。上記条件を約2時間維持し、この間、蒸留液をすべて受器に回収する。次いで、混合物の温度を120℃まで下げ、反応器の内圧を大気圧とあわせ、1.95Lのプロパノールを添加する。このとき、混合物の温度は約80〜90℃であり、窒素にて加圧ろ過する。固体残渣を約0.75Lの高温のプロパノールを用いて、フィルター上で洗浄する。同じ温度に保たれたろ液を5Lの反応器中で合わせて、790g(2.93モル)の45%水酸化コリン水溶液を徐々に添加し、続いて、0.80Lのプロパノールを添加する。次いで、反応混合物を大気圧下で沸騰させ、プロパノール/水/イソプロパノール混合物が約1.60L得られるまで、生成する蒸留液を回収する。混合物を浄化フィルターでろ過し、ろ液を撹拌しながら、約10℃まで徐々に冷却し、塩を結晶化させる。結晶状の塩を分離し、アスピレーターで吸引しながら0.65Lの低温のプロパノールで洗浄し、次いで、減圧下のオーブンで乾燥する。
【0038】
このようにして、824gの所望の塩が白色結晶の形態で得られる(収率=70%)。
【0039】
得られた塩の純度をHPLCにより測定する。上記測定は、ヨーロッパ薬局方、又は、米国薬局方に記載されたフェノフィブラートに関する方法により行う。フェノフィブリン酸は、クロマトグラフィーにより標準試料と比較することで分析可能である。電位差測定で、塩に存在するコリンを分析する。
【0040】
上記化合物の分析によれば、純度は99.5%を超え、含まれる不純物の割合は0.1%未満である。
融点(M.p.)=213℃
【0041】
実施例2
2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチルプロパン酸コリン塩
100g(0.43モル)の(4−クロロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、及び、148g(0.82モル)の2−ブロモ−2−メチルプロパン酸メチルの混合物を窒素雰囲気に維持された1Lの反応器中に調製する。混合物を、十分に撹拌しながら、145℃まで加熱し、69g(0.5モル)の炭酸カリウムを添加する。反応媒体を、十分に撹拌しながら、145℃で3時間維持する。この間、反応によって生成する水を蒸留して回収する。次いで、反応器の内圧を徐々に下げ、過剰な臭素化反応物を蒸留によって除去する。次いで、混合物を約100℃まで冷却し、300mLのn−プロパノールを添加する。得られた混合物を10分間、90℃で撹拌し、次いで、この温度でろ過して、不溶性無機塩を除去する。固体残渣を100mLの高温のn−プロパノールで洗浄し、先のろ液と合わせる。得られる溶液を、窒素雰囲気の1Lの反応器に入れ、121.5g(0.45モル)の45%水酸化コリン水溶液を添加する。反応混合物を、溶媒をゆっくり還流させながら、3時間撹拌し、次いで、130mLのn−プロパノールを反応器に添加し、約240mLの溶媒を蒸留する。次いで、反応器の内容物を浄化フィルターでろ過し、約15℃までゆっくりと冷却する。得られた懸濁液をアスピレーター上でろ過し、単離した固体を100mLの低温のn−プロパノールで洗浄し、次いで、真空オーブンで乾燥する。
【0042】
このようにして、122gの所望の塩が白色結晶固体の形態で得られる(収率=67.5%)。
【0043】
得られる塩の純度は99.5%を超える。
【0044】
実施例3
2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチルプロパン酸コリン塩
159gの2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチルを用いる以外は、実施例2で説明した反応と同様の反応を行う。
【0045】
このようにして、127gの所望の塩が白色結晶粉末の形態で得られ、収率は70%である。塩の純度は99.8%を超える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(IV):
【化1】

(式中、
は、塩素原子、2−(4−クロロベンゾイルアミノ)エチル基、4−クロロベンゾイル基、又は、2,2−ジクロロシクロプロピル基であり、酸素に対してパラ位にあることが好ましく、
は、直鎖状若しくは分岐状のC−Cアルキル基、又は、直鎖状若しくは分岐状のC−Cヒドロキシアルキル基であり、且つ、
Rは、直鎖状のC−Cアルキル基である)
の、フィブリン酸の第四級アンモニウム塩を調製する方法であって、
前記方法は、下記反応スキーム:
【化2】

で表され、且つ、
化学式(I)(式中、Rは前記に定義する通りである)のフェノール、化学式(II)(式中、Xはハロゲンであり、Rは直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基である)のα−ハロゲン化エステル、及び、化学式(III)(式中、R及びRは前記で定義する通りである)の水酸化第四級アンモニウムから出発して、単一操作で行われる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記化学式(I)の化合物において、Rは、酸素に対してパラ位にある4−クロロベンゾイル基であること
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化学式(III)の化合物において、Rはメチル基であり、Rは2−ヒドロキシエチル基であること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学式(II)の化合物において、Xは臭素原子であること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
・化学式(I)のフェノールを化学式(II)のα―ハロゲン化エステルと、塩基の存在下、80〜160℃の温度で、1〜8時間反応させることであって、前記α―ハロゲン化エステルを化学量論的条件に対して過剰に使用することが有利であり、次いで、
・化学式(III)の水酸化第四級アンモニウムを、得られる反応媒体と、溶媒の存在下、好ましくは不溶性無機化合物を除去した後、80〜120℃の温度で、1〜5時間反応させること、及び、
・生成された化学式(IV)の塩を分離すること
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
・化学式(I)のフェノールを、化学量論的に少なくとも同量の化学式(II)のエステルと、80〜160℃の温度で、無機塩基の存在下、1〜8時間反応させ、
・溶媒、例えば、アルコール、を前記反応媒体に添加し、
・不溶性無機化合物を除去するために、熱ろ過を行い、
・得られる溶液を、化学式(III)の水酸化第四級アンモニウムと、80〜120℃の温度で、1〜5時間反応させ、及び、
・高温の混合物をろ過し、次いで、所望の塩を結晶化させる条件下で前記混合物を冷却し、その後、結晶をろ過で分離し、乾燥して、少なくとも99.5%の純度の前記所望の塩を得る
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒は、直鎖状又は分岐状のプロパノールであること
を特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記無機塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び、炭酸カルシウムから選択されるものであること
を特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−513613(P2009−513613A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537165(P2008−537165)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/FR2006/051118
【国際公開番号】WO2007/048986
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(505199382)フルニエ ラボラトリーズ アイルランド リミテッド (8)
【Fターム(参考)】