説明

酸化ストレスを予防し、または治療するためのプレバイオティクスの使用

本発明は、特に果糖の消費に関連した酸化ストレスを予防し、または治療するための食品用製剤、機能性食品または薬学的組成物の調製のためにプレバイオティクスを使用することに関するものである。本発明はまた、単純炭水化物、特に果糖とプレバイオティクスとを共に含む食品用製剤に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ストレスを予防し、または治療するための、食品用製剤、機能性食品または薬学的組成物の調製のためにプレバイオティクスを使用することを対象とするものである。
【背景技術】
【0002】
酸化ストレスは、生体内部での、抗酸化種よりは酸化促進種に有利な不均衡から生じるものである。
【0003】
酸化促進種は一般的にはフリーラジカルであり、とりわけ、活性酸素である。対になっていない電子が存在すると、そのような化合物は、生体の生体高分子に対して極端に反応性の高いものになってしまうため、脂質、炭水化物、蛋白質及び核酸は、そのような種の恰好の標的である。これらの高分子が酸化されて劣化すると細胞に数多くの機能不全が生じる。
【0004】
そのようなフリーラジカルの根本的な発生源は、酸素の代謝である。酸化ストレスの大部分は、エネルギー代謝に由来するものである。そういうわけで、食品を酸化する最終段階、つまりミトコンドリア呼吸鎖が原因となって、活性酸素が形成される。更に、炎症反応の進行中に、食細胞の刺激作用にも伴って、フリーラジカルが形成される。
【0005】
生体の抗酸化防御反応を助けるのには、スーパーオキシドジスムターゼのような蛋白質系だけでなく、ビタミンCおよびビタミンE、もしくはカロテノイド、ポリフェノールまたはフラボノイドのような他の栄養素のように、食品から取り入れた抗酸化化合物も役立つ。
【非特許文献1】Busserolles J., Rock E., Gueux E., Mazur A., Grolier P. et Rayssiguier Y., 2002a. Short term consumption of a high sucrose diet has a pro−oydant effect in rats. Brit. J. Nutr., 87(4): 337−342.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食物摂取の偏りは、酸化ストレスの原因となり得る。特に本発明者らが以前証明したように、糖、特に蔗糖(Busserolles et al., 2002a)及び果糖(Busserolles et al., 2002b)過多の食物摂取を行うと、深刻な酸化ストレスを生じさせることがある。そのような酸化促進効果は、抗酸化物質に乏しい食物摂取を行うと、なおのこと増大することになる。
【0007】
果糖は単糖類であり、そのままの形で、または蔗糖にした上での消費が相当に増えている。安く手に入ることから、トウモロコシ由来の果糖に富むシロップが加糖飲料に好んで用いられている。果糖は、蜂蜜や果実の中に、数多くの保護的な微量栄養素と共に、天然に存在するのだが、精製された形のこの炭水化物を無制限に増大させることが健康に与える影響については不安がある。事実、果糖には、他の糖類とは区別される数多くの特性があり、この炭水化物の供給の増大は、代謝において望ましくない影響を及ぼす原因ともなりかねない。
【0008】
酸化ストレスの対策法としては、カロチン、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)、ポリフェノール(米国特許第6207702号明細書)などの、フリーラジカルに直接効果のある抗フリーラジカルの栄養素を用いるのが一般的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プレバイオティクス、とりわけフラクトオリゴ糖(FOS)により、食物摂取における果糖の過多から生じる酸化ストレスに対抗することができるという事実を、本発明者らが明らかにしたことが基になっている。
【0010】
プレバイオティクスは、腸内細菌叢の微生物によって分解された消化不能の複合炭水化物であり、そのような分解こそが、宿主の健康に有益な効果をもたらす。これらの微生物は、一般的には細菌、とりわけビフィズス菌であって、主に結腸内に生息するものである。前記微生物がもたらす有益な効果は、特定の種の微生物、とりわけビフィズス菌の増殖を選択的に促進すること、及び/またはそのような微生物がプレバイオティクスを変換することから生じる代謝産物が放出されることが原因になっている可能性がある。
【0011】
現状では、明確にプレバイオティクスとして定義されているのは、重合度が2と12の間に含まれ、複合炭水化物として分類される糖の重合体、すなわちオリゴ糖のみである。例えば、効果についての文献が最も多いフラクトオリゴ糖の他にも、フルクタン、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖またはイソマルトオリゴ糖も挙げることができる。
【0012】
フラクトオリゴ糖(FOS)は、イヌリンの加水分解、酵素合成、糖前躯体からのフルクトシル基転移によって得られる。このようなフラクトオリゴ糖は、一般式グルコシル−(フルクトシル)n−フルクトースまたは(フルクトシル)m−フルクトースに相当するものであり、ここにnは1〜8までの整数であり、かつmは1〜8までの整数である。ほとんどの場合、FOS製剤は均質のものではない。これらの製剤は、さまざまな大きさの鎖の混合物である。また、酵素合成によりFOSを調製する場合には、その重合体は、グルコシル−(フルクトシル)n−フルクトース(1≦n≦8)という式に相当するものであるが、加水分解により調製するFOSは、グルコシル−(フルクトシル)n−フルクトース及び/または(フルクトシル)m−フルクトース(1≦n≦8かつ1≦m≦8)という二つの式に相当するものである。FOSは特に、フルクトシル基転移により合成された、重合度が6未満の短鎖フラクトオリゴ糖、そしてとりわけ、1−ケストース、ニストースおよびフルクトシル−ニストースのような、2、3または4単位のフルクトースの短鎖FOSを含む。
【0013】
フルクタンは、フルクトシル−フルクトース型の結合が大半を占める重合体である。
【0014】
ガラクトオリゴ糖は、2〜6単位のヘキソースからなり、基礎となる単位として主にガラクトースを含んでいる。ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼを作用させて合成する。
【0015】
キシロオリゴ糖は、キシランを加水分解して得られるもので、キシロースから成る。
【0016】
大豆オリゴ糖は大豆の抽出物であり、主に1〜4単位のグリコシドを含むオリゴ糖の混合物であり、主な成分はラフィノースとスタキオースである。
【0017】
ゲンチオオリゴ糖は澱粉を消化して得られる重合体であり、結合部の大部分はβ−グルコピラノシル−(1→6)−グルコピラノース型である。
【0018】
イソマルトオリゴ糖もまた澱粉の加水分解から得られるグルコースの重合体であり、イソマルトース、パノース、イソマルトトリオースならびに4または5単位のグルコースを含むその他の分岐重合体の混合物である。
【0019】
本発明者らは、日々の食餌にプレバイオティクス、好適にはFOSを添加することにより、糖、とりわけ果糖の多い食習慣に特に起因する酸化ストレスを軽減することができることを明らかにした。
【0020】
本発明は、酸化ストレスを予防し、または治療する新規な手段を提供することを目的とする。
【0021】
本発明は、酸化ストレスを予防し、または治療するための、食品用製剤、機能性食品または薬学的組成物の調製のためにプレバイオティクスを使用することを対象とする。
【0022】
本発明は、更に詳細には、以下のもののうちの少なくとも一つのオリゴ糖を上述のように用いることを対象とするものである。
・フルクタン
・フラクトオリゴ糖(FOS)
・ガラクトオリゴ糖
・キシロオリゴ糖
・大豆オリゴ糖
・ゲンチオオリゴ糖
・イソマルトオリゴ糖
【0023】
本発明は、更に詳細には、1−ケストース、ニストースまたはフルクトシル−ニストースなどの短鎖のFOSのような、一般式がグルコシル−(フルクトシル)n−フルクトースまたは(フルクトシル)m−フルクトースのフラクトオリゴ糖(FOS)を上述のように使用することに関するものであり、ここにnは1〜8まで、とりわけ1〜5までの整数であり、かつmは1〜8まで、とりわけ1〜5までの整数である。
【0024】
本発明はまた、糖の消費に関連した酸化ストレスの予防または治療の一環としてプレバイオティクスを用いることも対象とするものである。
【0025】
本発明は、更に詳細には、果糖の消費に関連した酸化ストレスの予防または治療の一環としてプレバイオティクスを用いることに関するものである。
【0026】
本発明はとりわけ、一日平均約50gを超えて食品中の果糖を消費することに起因する酸化ストレスの予防または治療の一環として、プレバイオティクスを用いることに関するものである。
【0027】
本発明はまた、一日の用量を約1g〜約20g、特に約2g〜約17g、特に約5g〜約15gにして前記プレバイオティクスを投与することを特徴とする、プレバイオティクスの使用に関するものでもある。
【0028】
本発明はまた、酸化ストレスの予防または治療の一環として、プレバイオティクスを抗フリーラジカル効果のある化合物として用いることも対象としている。
【0029】
本発明はまた、プレバイオティクスを、フリーラジカルの作用に対抗して生体の細胞を保護する効果と関連した老化防止効果のある化合物として用いることも対象としている。
【0030】
本発明はまた、単純炭水化物とプレバイオティクスとを共に含む一切の食品用製剤に関するものでもある。
【0031】
本発明は、更に詳細には、
・果糖または蔗糖のような単純炭水化物を少なくとも一つと、上記に説明したような、
・フルクタン
・フラクトオリゴ糖(FOS)
・ガラクトオリゴ糖
・キシロオリゴ糖
・大豆オリゴ糖
・ゲンチオオリゴ糖
・イソマルトオリゴ糖
のいずれかの一つまたは複数とを共に含む食品用製剤に関するものである。
【0032】
有利には、本発明の食品用製剤は、プレバイオティクスの割合が、重量で、前記製剤中に存在する単純炭水化物の量の少なくとも5%を占めるような製剤である。
【0033】
本発明はとりわけ、前記製剤中に存在する果糖の量に対するフラクトオリゴ糖(FOS)の重量での割合が、10%と100%の間で変化し、とりわけ約15%〜約35%であり、さらにとりわけ約20%であるような食品用製剤に関するものである。
【0034】
本発明はとりわけ、平均重合度が4.8の、64%のグルコシル−(フルクトシル)n−フルクトースと36%の(フルクトシル)m−フルクトースとを含んでいる、上記に説明したようなフラクトオリゴ糖(FOS)の混合物を含む食品用製剤に関するものである。
【0035】
本発明は、より詳細には、平均重合度が4.8の、64%のグルコシル−(フルクトシル)n−フルクトースと36%の(フルクトシル)m−フルクトースとを含んでいる、上記に説明したようなフラクトオリゴ糖(FOS)の混合物を含む食品用製剤に関するものであって、前記製剤中に存在する前記FOSの重量での割合が、前記製剤中に存在する果糖の量に対して、10%と100%の間で変化し、さらにとりわけ約15%〜約35%であり、好適には約20%であることが望ましい。
【0036】
一つの望ましい実施態様によると、使用するFOS混合物は、ベルギーのティエネン所在のORAFTI社製のRaftilose(登録商標) P95製剤に相当する。
【0037】
本発明はまた、上記に説明した食品用製剤を含む食品も対象とするものであり、前記食品は、ケーキ類、砂糖菓子、デザート、飲み物、シリアル・バー、チョコレート・バー、砂糖を加えたバー、朝食用のシリアル、乳製品ならびに補助食品のうちのいずれかから選ばれる。
【0038】
本発明者らは、動物モデルで、日々の食餌にフラクトオリゴ糖(FOS)を添加することにより果糖に富む食習慣に起因する酸化ストレスを軽減することができることを明らかにした。
【0039】
生後6週間で体重は約150gの、Wistar−Hanタイプの離乳した雄のラット40頭(フランスのラルブレール所在のIFFA−CREDO社産)を用いた。これらのラットを、昼/夜の周期が12時間毎で温度管理(22℃)をした部屋の中で格子が密なケージの中に入れた。これらのラットの取扱いについては、INRAの倫理委員会の勧告、規定第87−848号に従った。
【0040】
ラットを、まず、澱粉を主成分とする半精製飼料で7日間給餌した。つぎにラットを無作為に一群当たり10頭の4群に分けたのだが、それらはそれぞれ、澱粉の群(A)、果糖の群(F)、澱粉+FOSの群(A/FOS)ならびに果糖+FOSの群(F/FOS)である。このようにしてラットは、それぞれに割り当てられた食餌メニューを4週間にわたって続けた。
【0041】
餌と蒸留水は自由摂取とした。日々の食餌の成分(g/kgによる)は以下の通りである。
【0042】
【表1】

【0043】
混合物AIN−76およびAIN−76Aは、フランスのオルセー所在のICN Biomedicals社のものである。
【0044】
FOS(Raftilose(登録商標) P95)は、ベルギーのティエネン所在のORAFTI社から入手した。この化合物を大量に余りにも早いペースで投与すると、下痢を引き起こすことがあるので、それを避けるために、これらは徐々に餌の中に混入するようにした。Raftilose(登録商標) P95は、平均重合度が4.8の、グルコシル−(フルクトシル)n−フルクトース(64%)と(フルクトシル)m−フルクトース(36%)との混合物である。
【0045】
屠殺する前の4日間は、ラットはステンレス・スチール製のケージの中に一頭ずつ、水と餌を随意に摂取できる状態に保った。尿サンプルを屠殺の24時間前に目盛りつきの50mlの試験管の中に回収し、容積の計測を厳密に行い、つづいてそれらのサンプルを遠心分離器にかけて、分析まで−80℃に保った。屠殺の際には、ラットの体重を計り、つぎにペントバルビタールナトリウムを用いて(40mg/kgの腹腔内注射による)麻酔して殺した。血液は腹部大動脈から採取してヘパリンを入れた試験管の中に回収した。低速(2000g、15分)で遠心分離して得られた血漿を、生化学分析のために−80℃に保った。心臓は素早く採取して冷却した食塩水(NaCl 9g/l)の中で洗い、液体窒素の中に入れて−80℃に保った。
【0046】
つづいて、チオバルビツール酸反応物質(TBARS)の測定と血漿中のビタミンEおよびトリグリセリドの濃度の測定という、当業者によく知られている二種類の測定を行って、それにより、それぞれの食餌メニューに応じたラットの酸化ストレスの強度を決定した。
【0047】
結果の統計的分析に用いたのは、Statviewプログラム(Abacus Concenpts Inc.、カリフォルニア州バークレー所在)である。データは、各食餌群の10頭について得られた結果の平均±標準偏差で表した。分散分析(ANOVA; P<0.05)は、(糖及びFOSの)主な影響とそれらの相互作用を決定するために用いた。差は、p<0.05の場合に有意であると認めた。
【0048】
これらの結果から、果糖の多いメニューを続けたラットは(澱粉主体のメニューを与えられた)対照群のラットよりも有意に強度の酸化ストレスにさらされており、FOSを添加することにより果糖の消費に関連した酸化ストレスを有意に軽減することができることがわかる。
【実施例1】
【0049】
チオバルビツール酸反応物質(TBARS)の測定
【0050】
TBARSを測定することにより、酸化ストレスを受けたサンプルの脂質の過酸化のレベルを評価することができる。TBARSの値が大きいほど、酸化ストレスのレベルも高いことになる。
【0051】
血漿中のTBARSのレベルの測定は、LS 5号器(米国コネチカット州ノーウォーク所在のPerkin Elmer社製)で蛍光分光測定で行った。Okhawa et al.(1979)の方法を適合させて用いたことは既に説明されているとおりである(Rayssiguier et al., 1993)。尿中のTBARSのレベルの測定はLee et al.(1992)で説明されているように行い、その計算は24時間の尿の量に基づいて行った。最後に、心臓のTBARSのレベルの測定をOhkawa et al.(1979)を基礎として行い、これらにより、心臓の脂質がどれほど過酸化されやすいかを評価することができる。心臓の組織の均質化は、Polytronホモジナイザーを用いて150mmol/lのKClが9mlに対して生組織が1gという比率で氷上で行い、つぎに、30分間無酸素下の37℃の浴の中で、FeSO4(2μmol/l)−アスコルビン酸塩(50μmol/l)混合物によりこのホモジェネートの脂質の過酸化を生じさせ、対照に1,1,3,3−テトラエトキシプロパンを用いた。そこでTBARSの測定を分光測光で行った(Uvikon 941 plus series、フランスのサン・カンタン・アン・イヴリンヌ所在のKontron Instruments社製)。
【0052】
そうして得られた結果を以下の表に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
これらの結果により、果糖の群は、澱粉の群よりも、血漿中、尿中ならびに心臓のTBARSが有意に高濃度であることがわかる。それゆえ、果糖の消費は、澱粉の消費に起因する酸化ストレスよりもさらに深刻な酸化ストレスの原因となる。
【0055】
また、果糖+FOSの群のTBARSは、果糖の群のそれよりも有意に少なく、澱粉+FOSの群とでは有意の差がない。それゆえ、FOSにより、果糖の消費に起因する酸化ストレスを制限することができる。
【実施例2】
【0056】
ビタミンEとトリグリセリドの血漿中の比率の測定
【0057】
血漿中のビタミンE/トリグリセリドの比率は、生体が受けた酸化ストレスの反映である。この比率の値が小さいほど、酸化ストレスが大きいことになる。
【0058】
血漿中のトリグリセリドの濃度の測定は、提供者(フランスのパリ所在のBiotrol社)の推奨に従った酵素法を用いて行った。対照の多価血清(Biotrol−33−plus)をサンプルと並行して処理することにより、血漿分析の結果の精度を確認した。
【0059】
血漿中のビタミンEの濃度の測定は、ヘキサン抽出物を用いて、Kontronシリーズ400の装置(フランスのサン・カンタン・アン・イヴリンヌ所在のKontron社製)での逆相高速液体クロマトグラフィーによって行った。酢酸α−トコフェロール(Sigma社製)を、内部標準としてサンプルに添加した。エタノールで蛋白質を沈殿させた後、サンプルをヘキサンで二回抽出した。その抽出物を窒素の下で乾燥させ、エタノール−ジクロロメタン混合物(65:35、v/v)に溶かし、カラムC18(nucleosil;長さ250mm、内径46mm、粒の大きさ5μm)に注入する。純粋メタノールにより、毎分2mlの流量で、α−トコフェロールを5分で、そして酢酸トコフェロールを6.3分で溶出させることができた。これらの化合物の検出を紫外線(292nm)で行い、つぎに対照の溶液を用いて内部と外部の検定を行うことで定量化した。
【0060】
そうして得られた結果を以下の表に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
澱粉主体のメニューとは逆に、果糖の多いメニューはビタミンE/TGの比率が低く、そのことは酸化ストレスの存在を示す証拠となる。
【0063】
FOSを補うことで、この比率の減少を未然に防ぐことができ、言い換えれば、果糖の多いメニューを消費することから生じる酸化ストレスを減少させる。
【0064】
参考文献
Busserolles J., Rock E., Gueux E., Mazur A., Grolier P. et Rayssiguier Y., 2002a. Short term consumption of a high sucrose diet has a pro−oydant effect in rats. Brit. J. Nutr., 87(4): 337−342.
Busserolles J., Gueux E., Rock E., Mazur A. et Rayssiguier Y., 2002b. Substituting honey for refined carbohydrates protects against the pro−oxydant effect of a high fructose diet. J. Nutr., 132(11): 3379−82.
Lee H.S., Shoeman D.W. et Csallany A.S., 1992. Urinary response to in vivo lipid peroxydation induced by vitamin E deficiency. Lipids, 27: 124−128
Okhawa H., Ohishi N. et Yagi K., 1979. Assay for lipid peroxides in animal tissues by thiobarbituric acid reaction. Anal. Biochem. 95: 351−358.
Rayssiguier Y., Gueux E., Bussiere L., et Mazur A., 1993. Copper deficiency increases the suceptibility of lipoproteins and tissues to peroxidation in rats. J. Nutr. 123: 1343−1348.


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ストレスを予防し、または治療するための、食品用製剤、機能性食品または薬学的組成物を調製するためのプレバイオティクスの使用。
【請求項2】
・フルクタン
・フラクトオリゴ糖(FOS)
・ガラクトオリゴ糖
・キシロオリゴ糖
・大豆オリゴ糖
・ゲンチオオリゴ糖
・イソマルトオリゴ糖
のうちの少なくとも一つのオリゴ糖を用いることを特徴とする、請求項1に記載のプレバイオティクスの使用。
【請求項3】
1−ケストース、ニストースまたはフルクトシル−ニストースなどの短鎖のFOSのような、一般式がグルコシル−(フルクトシル)n−フルクトースまたは(フルクトシル)m−フルクトースであって、ここにnは1〜8まで、とりわけ1〜5までの整数であり、かつmは1〜8まで、とりわけ1〜5までの整数である、フラクトオリゴ糖(FOS)を用いることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のプレバイオティクスの使用。
【請求項4】
糖の消費に関連した酸化ストレスの予防または治療の一環としてプレバイオティクスを用いることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載のプレバイオティクスの使用。
【請求項5】
果糖の消費に関連した酸化ストレスの予防または治療の一環としてプレバイオティクスを用いることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載のプレバイオティクスの使用。
【請求項6】
一日平均約50gを超えて食品中の果糖を消費することに起因する酸化ストレスの予防または治療の一環としてプレバイオティクスを用いることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載のプレバイオティクスの使用。
【請求項7】
一日の用量を約1g〜約20g、特に約2g〜約17g、特に約5g〜約15gにして前記プレバイオティクスを投与することを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載のプレバイオティクスの使用。
【請求項8】
酸化ストレスの予防または治療の一環として、プレバイオティクスを抗フリーラジカル効果のある化合物として用いることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載のプレバイオティクスの使用。
【請求項9】
プレバイオティクスを、フリーラジカルの作用に対抗して生体の細胞を保護する効果に関連した老化防止効果のある化合物として用いることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載のプレバイオティクスの使用。
【請求項10】
平均重合度が4.8の、64%のグルコシル−(フルクトシル)n−フルクトースと36%の(フルクトシル)m−フルクトースとを含んでいる、請求項3に記載のフラクトオリゴ糖(FOS)の混合物を含む食品用製剤であって、前記製剤中に存在する前記FOSの重量での割合が、前記製剤中に存在する果糖の量に対して、10%と100%の間で変化し、さらにとりわけ約15%〜約35%であり、好適には約20%であることが望ましいことを特徴とする、フラクトオリゴ糖(FOS)の混合物を含む食品用製剤。


【公表番号】特表2006−510703(P2006−510703A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561561(P2004−561561)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003770
【国際公開番号】WO2004/056210
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505129079)アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ アグロノミック (15)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA RECHERCHE AGRONOMIQUE
【Fターム(参考)】