説明

酸化保護された金属箔および方法

種々の材料をピンチシールすることにより形成されるハーメチックシールを通して電気的伝導路を提供するための金属箔を有する電気ランプのような装置のための電気リードアセンブリである。金属箔は、シリカ(二酸化珪素)の酸化抑止コーティングを含んでいる。本発明の他の局面においては、シリカを伴う金属箔のコーティングの方法が、開示されている。本発明のさらに他の局面においては、ランプのための電気リードアセンブリが、提供され、金属箔は、ランプのための外側電気リードを形成すべく拡げられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2002年11月7日に出願された米国仮特許出願60/424,338号の出願日の利益を請求し、且つ前記出願をここにそっくりそのまま組み込んでいる。
【0002】
本発明は、概して、電気ランプのような装置において、溶融シリカまたは硬質ガラスのようなガラス質の材料に形成されるハーメチックなプレスまたはピンチシールを通る電気路を提供するための電気リードアセンブリに関する。より詳細には、本発明は、金属箔の少なくとも一部分に酸化保護コーティングを伴う金属ホイルを有するそのようなアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
ある装置において、ガラス質の材料に形成されたピンチまたはプレスシールを通して電気伝導路提供することがしばしば必要である。例えば、電気ランプ、例えばハロゲン白熱フィラメント電球および高輝度放電アーク管、のような装置において、光放出チェンバが、チェンバをハーメチックにシールする1つ以上のピンチシールを有して、ガラス質材料から形成される。そのようなランプにおいて、チェンバの内部から、チェンバの外部への1つ以上の電気伝導路が、典型的には、管の1つ以上の部分に電気的アッセンブリを配置し、且つ当該アッセンブリの一部分のまわりにおいてハーメチックシールを形成すべく「ピンチング」することによって形成される。電気リードアセンブリは、典型的には、金属箔に機械的に固定された電気伝導リードを有し、且つそれの両端から延びる金属箔を含んでいる。アッセンブリは、金属箔が、ハーメチックシールを形成すべく一緒にプレスされているガラス質材料の一部分を通して電気伝導パッチを形成するように配置される。
【0004】
どんな適切な材料が使用されても良いけれども、典型的には、そのような電気リードアセンブリにおける金属箔は、高温におけるその安定性、比較的低い熱膨張係数、良好な延性、および充分な電気伝導度のために、モリブデンから形成される。しかしながら、モリブデンは、約350℃より高い温度にて酸素に曝露されるとき、速やかに酸化する。電気ランプにおける電気リードアセンブリにおける金属箔は、しばしば350℃よりも高い温度に曝露されるので、金属箔は、非常に酸化され易く、結果的に電気路またはハーメチックシールの気密の完全性の破壊を生じ、結果的にランプの故障を生ずることがある。典型的には、反応性の雰囲気に曝露されたモリブデン金属箔は約350℃よりも下では目に見えるほど酸化されることはないであろう。350℃よりも高い温度において、周囲の雰囲気中における酸素とモリブデン金属箔の間の反応の速度は、著しく増大して、結果として金属箔の腐食およびランプの使用寿命の実質的な低下を生ずる。特にそのような酸化を受け易いエリアは、外側リードを金属箔に接続するスポット溶接および外側リードに隣接する金属箔上のエリアを含んでいる。
【0005】
図1aは、高輝度放電ランプのための従来のアーク管の概略的な描画である。図1aを参照すると、アーク管100は、石英のような光透過性材料から形成される。アーク管100は、端部115,120をピンチシールすることによって形成されるチェンバ110を規定している。電極アッセンブリ122,124は、各端部115,120を通してチェンバ110の内部からチェンバの外部への電気伝導路を提供すべく各端部115,120内においてシールされる。高輝度放電アーク管100のための各電極アッセンブリ122,124は、典型的には、放電電極125,130、電極リード140,135、金属箔145,150、および外側リード155,160を含んでいる。電極リード135,140および外側リード155,160は、典型的には金属箔145,150にスポット溶接によって接続されている。
【0006】
図1bは、電気リードアセンブリ122,124における典型的な金属箔145,150の断面の図解である。図1bに示されるように、典型的な金属箔145,150は、断面において、金属箔の厚みが、その横方向中央において最大となり、そして縦方向縁部の各々への外方に向かって減小するように形成されている。この形状は、高温ピンチプロセスおよびその後に冷却される間に金属箔のまわりに圧縮されるガラス質材料における残留歪みを低減することが見出されている。電気ランプのための典型的な電気リードアセンブリにおいて、金属箔は、約20から50μmの中心線厚みおよび約3から7μmの縁部厚みと共に約2から5.5mmの幅を有することがある。例えば、約2.5mmの幅を有する金属箔は、典型的には、約24〜25μmの中心線厚みおよび約3μmの縁部厚みを有するであろう。
【0007】
アッセンブリ122,124は、金属箔145,150がハーメチックピンチシールを形成する端部115,120の圧縮部分の間でつぶされるように端部115,120に配置される。アッセンブリ122,124は、ハーメチックにシールされたピンチ領域を通る電流路を提供する比較的薄い金属箔145,150を用いて各端部145,150を通る電気伝導路を提供する。
【0008】
電極リードアセンブリは、高い温度において酸素のような腐食性の作用物質に曝露されたときに、金属箔の腐食、例えば酸化、に起因してそのようなランプにおける故障点を提供する。アッセンブリ122,124は、ランプの動作中に酸素または他の腐食性作用物質への金属箔のこの部分の曝露に起因して外側リード155,160に隣接する金属箔145,150の外側部分において、特に酸化され易い。酸化は、ピンチシール上での応力の有意量を配置する内方へ進行することもある。応力は、リードがモリブデン金属箔に溶接される点にあらわれるニュートン環または通路からはっきりとわかるかもしれない。結局、電気路は破損されまたはピンチシールがわれてランプを故障させるかもしれない。
【0009】
この故障の1つの理由は、石英のようなガラス質材料によるピンチシールまたは真空シールの形成の間に、石英の比較的高粘度に少なくとも部分的に起因して、石英が、比較的厚い外側および内側リードワイアに対して完全にシールしないことである。微視的な通路も、典型的にはタングステンまたはモリブデンである溶解しにくい金属外側リードワイアのそれと比較しての石英の熱膨張係数における実質的な差異に起因して、外側リード155,160に沿って、そしてランプの横軸に対して直角な葉状部分の外側縁部にも沿って形成されるかもしれない。高温における酸素に曝露されるかもしれない電気アッセンブリにおけるモリブデン金属箔の酸化を防止するために、過去において努力がなされてきた。
【0010】
金属箔、そして特にモリブデン金属箔の酸化を抑止するために種々の技術が提案されている。例えば、燐化物、アルミナイド、酸化鉛類、窒化珪素、アルカリ金属珪酸塩およびクロムのような酸化保護材料でモリブデン金属箔をコーティングすることによって酸化を低減することが提案されている。しかしながら、これらの先行技術のコーティングは、コーティングが比較的厚く且つガラスに対して良く固着しないので、望ましくなかった。それゆえ、先行技術のコーティングは、ピンチまたは収縮シーリングプロセスが、完了した後に、金属箔の曝露部分に施されなければならなかった。また、当該コーティングが、高い動作温度に曝露されることもできないので、先行技術の有用性も、限定される。ガラス質材料におけるピンチシールを通り且つ高い動作温度に曝露され得る電気伝導路を提供するための電気リードアセンブリに使用するための酸化保護金属箔のための必要性が残っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的とするところは、先行技術の欠点を未然に防止する電気リードアセンブリを提供することにある。
本発明の他の目的とするところは、高い温度において腐食性の作用物質に曝露されるときに、腐食から保護される金属箔を提供することにある。
本発明のその他の目的とするところは、増長された有用性寿命を有する高輝度放電ランプおよび/またはハロゲンランプを提供することにある。
本発明のまた他の目的とするところは、高い温度における反応性雰囲気中における金属箔の酸化を抑止すべく金属箔をコーティングするためのプロセスを提供することにある。
本発明のまたその他の目的とするところは、酸化保護された高輝度放電ランプおよびハロゲンランプにおける使用のための金属箔を提供することにある。
本発明のさらなる目的とするところは、腐食から金属箔を保護するための種々の構成を有する電気リードアセンブリの金属箔をコーティングすることによって装置の寿命を増長させることにある。
本発明のまたさらなる目的とするところは、金属箔をのばすことによって形成される外側リードを有する電気リードアセンブリを提供することにある。
本発明のやはりさらなる目的とするところは、溶接のない金属箔への外側リードの機械的取り付けを有する電気リードアセンブリを提供することにある。
本発明のまたさらなる目的とするところは、製造コストおよびアッセンブリ部品の数を低減しつつ、高輝度放電ランプの寿命を著しく増長させることにある。
本発明は、これらのおよびその他の目的と共に説明されているが、本発明の原理は、それに限定されることなく、そしてここに述べられている原理の全ての応用を含むであろうことに注意されるであろう。
これらのそしてその他の目的は、同様の部分は同様に符号が付された以下の非網羅的な説明的実施の形態を同時に参照することによって、実現され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの実施の形態において、本発明は、腐食を抑止すべくコーティングされた金属箔およびそのようなコーティングを施すための方法を含んでいる。他の実施の形態においては、本発明は、高い温度において腐食性作用物質に曝露されたときに、腐食から実質的に保護される金属箔に向けられている。そのような金属箔は、アーク管の端部を越えて金属箔を延ばすことによって、金属箔がアッセンブリにおける外側リードを形成して良く、それゆえ比較的一層厚いワイア外側リードを排除するので、特に電気リードアセンブリにおいて特に有利である。比較的一層厚いワイア外側リードを排除することによって、金属箔は、高い温度における腐食性作用物質への曝露から保護される。
【0013】
本発明の他の実施の形態においては、電気リードアセンブリにおける金属箔を腐食から保護するための方法が、金属箔をシリカ薄膜でコーティングすることによって、提供される。コーティングは、高い温度における酸素およびその他の腐食性作用物質に対して金属箔のためのバリアを提供し、従って金属箔の腐食を低減し且つ電気ランプにおける早期の故障の重要な原因を除去する。
【0014】
本発明のさらに他の実施の形態において、コロイドシリカの溶液に金属箔の少なくとも一部分を浸漬し、シリカコロイドが金属箔に付着するように制御された速度で溶液から金属箔を引き出し、そしてシリカ粒子の融解がもたらされるのに充分な温度にシリカコロイドを曝露し、それによって金属箔上にシリカの薄い薄膜を形成することによって金属箔をコーティングするための方法が提供される。薄膜の厚さを決定するのに、溶液の粘度、溶液の表面張力、溶液の温度、および溶液の濡れ性を含むいくつかの要素が考慮されても良い。金属箔が溶液から引き出されるスピードも、制御される。例えば、金属箔は、約1mm/secから約100mm/secの速度で溶液から引き出され得る。一つの実施の形態において、金属箔は、約25mm/secの速度で溶液から引き出される。引き出しのスピードは、薄膜の所望の厚みを提供するために変化するかもしれない。
【0015】
一旦、金属箔が、溶液から引き出されると、シリカ粒子が連続薄膜を形成すべく融合するように、金属箔に付着しているシリカコロイドを高い温度に曝露することによって、コーティングプロセスが、完了する。シリカ融合温度は、所望の粒子融合をもたらすために適するいかなる温度であっても良い。例示的な実施の形態においては、コーティングされる金属箔は、約1600℃から1700℃の間のシリカ融合温度に曝露される。他の例示的な実施の形態においては、約1秒半の時間の間、シリカ融合温度は、約1650℃に維持される。アルカリ金属珪酸塩または硼酸塩を添加することによって、シリカ融合温度が、低下され得ることも発見されている。例えば、シリカに対して重量で約1〜2パーセントの硼酸ナトリウムの添加は、シリカを融合させるのに必要とされる温度を約1500℃に低下させることが見出されている。
【0016】
金属箔にコーティングを施す他の方法が用いられても良い。例えば、コーティングは、静電塗装、浸漬、刷毛塗り、および霧吹きによって施されるようにしても良い。コーティングを施すための他の技術は、細かいシリカ粉末をアルゴンプラズマトーチのプルームに添加し、それによって液体シリカのスプレイを生成することを含んでいる。
【0017】
本発明の望ましい実施の形態においては、溶液は、コロイドのシリカの合成物を含んでいても良い。コロイド懸濁液におけるシリカは、いかなる一般的形態をも有し得る。例えば、Nissan Chemical Industries(ニッサンケミカルインダストリー)は、本質的にメタノール中に20%のSiO2を含むMA−ST−UPの物質タイプとしてコロイドシリカを供給している。コーティング合成物は、シリカ融合温度を低下させ、金属箔の表面に対するコーティングの付着力を向上させ、またはより速い融合速度を提供すべく設計される種々のポリマーまたは他の添加物をも含み得る。そのような添加物は、コーティング付着性を向上させるためのバインダ、表面張力を改善するための表面活性剤、および流動学的特性を改善するための他の合成物を含んでいる。全ての添加物は、望ましくは温度的に不安定であり、円滑に分解し、そして化学的に重要な残留物を残さない。
【0018】
有機溶剤ベースのコロイドを使用するための適切なバインダの例は、硝酸セルロースである。水ベースのコロイドのシリカのために、適切なバインダは、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、およびポリビニルピロリドン(「PVP」)を含んでいても良い。PVPのシリカコロイドとの相互作用は、強くpH依存している。水性コロイドST−UPは、中性pHにおけるPVPの添加によって凝固またはゲル化する。アンモニアを添加することによってpHが上げられるとしたら、混合物は、流体で、且つ吹き付け塗装に適するままとなる。上昇されたpHにおいて且つ空気に曝露すると、アンモニアが蒸発し且つコーティングは速やかにゲル化する。
コーティングプロセスの間、金属箔に低い正電圧を印加することが、金属箔の薄い縁部へのコーティングのカバレッジを向上させることも発見されている。約1ボルトから10ボルトのオーダにおける電圧が、この目的のために有用であることが見出されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図2は、本発明の一つの実施の形態に従ったピンチされた管の概念的表現である。図2において、アッセンブリにおける外側リードは、金属箔の長さを延ばすことによって排除されている。金属箔113,145,150を延長することによって、外側リードは、アッセンブリから排除され得る。この実施の形態は、金属箔に対する外側リードを付着させること(スポット溶接、機械的取り付け、その他)の必要性を排除するという付加的な利点を有している。このことは、ピンチシールにおける毛管形成または他のそのような空間の発生を防止することによってランプの寿命を増大させるであろう。
【0020】
図3は、他の従来の高輝度アーク管を概略的に表現している。図3を参照すると、アーク管300は、チェンバ110およびピンチングによりシールされている端部115,120を含んでいる。リードアセンブリは、電極リード125,130、金属箔145,150、および外側リード155,160を含んでいる。図4は、本発明の他の実施の形態の概略的な表現である。図4を参照すると、各金属箔145,150は、アーク管400の両端部115,120をそれぞれ越えて延び、それによってアッセンブリから外側リードを排除している。
【0021】
図5(a)は、本発明の他の実施の形態の概略的な表現である。図5(a)を参照すると、アッセンブリにおける金属箔と外側リードの間のスポット溶接接続は、エレメント間のかしめ接触を提供することによって排除されても良い。金属箔510は、放電リード515と電気的に且つ機械的に接触しており、機械的な接触の安全性は、金属箔510とオーバラップするリード515の一部分のまわりをかしめることによって維持される。かしめは、所望されるならば、図5(b)に示されたスポット溶接接続560が排除されても良いように、金属箔とリードとの間に確実な機械的結合を提供する。
【0022】
図6は、アーク管についての機械的支持および金属箔に対する巻き付けられ/かしめられた電気的接続を示す本発明の他の実施の形態に従った高輝度放電ランプの概略的な表現である。高輝度放電ランプ600は、ランプ600の外側ランプ管球容器608によって支持されたアーク管605を含んでいる。アーク管605は、環状の両端部612,614の中間の球根状チェンバ610を含んでいる。アーク管605は、それらの両端部612,614においてアーク管を支持することによって管球容器内に機械的に固定される。アーク管の電気アッセンブリは、アーク管のための電気的接続を提供すべく端部612,614を越えて延びる金属箔615,625を含んでいる。ランプベースを金属箔に接続する電気的リードは、コイル接続627,628によって金属箔に機械的に且つ電気的に固定されている。金属箔615,625は、従来のリードアセンブリにおける外側リードのように機械的に剛体ではないけれども、端部612,614からアーク管605を支持することによって、金属箔の機械的変形は最小化される。
【0023】
さらに他の実施の形態においては、本発明は、(i)巻回されたタンタルワイアのような伝導体を提供することと;(ii)伝導体にきわめて近い近傍における温度が所定の温度となるようにそこを通る電流の通過によって伝導体を加熱することと;(iii)所定の時間にわたって所定の温度にリボンの露出をもたらす速度にて伝導体にきわめて近接して金属ストリップを通過させることとによって、金属箔、リボン、ワイア、またはチューブのような金属ストリップを所定の時間だけ所定の温度に曝露する方法に向けられている。金属ストリップは、コロイド状シリカの層によってコーティングされていても良い。コーティングされたストリップを所定の温度に曝露することによって、シリカ粒子が、ストリップ上に連続的なシリカコーティングを形成すべく融合され得る。融合プロセスを最適化するために異なる温度および期間が、使用され得るけれども、約1400℃から約1700℃の範囲の温度が、一般的に充分である。融合プロセスのための望ましい温度は、約1600℃〜1700℃の間であり、そして曝露の期間は約1秒半である。加えて、曝露は、腐食を防止するためにアルゴンのような不活性雰囲気のもとで行なわれ得る。
代わりに、金属ストリップが、誘導加熱、イメージ炉、不活性ガスプラズマ、またはレーザのような何らかの適切な熱源を用いて加熱されても良い。
【0024】
金属ストリップにシリカコーティングを施す代替的な方法は、アルゴンプラズマトーチにおけるプルームに細かいシリカ粉末を添加すること、およびプルームを通してストリップを通過させることを含んでいる。この方法は、比較的均一な厚みを有してストリップ上にコーティングされ得る液体シリカの吹きつけを効果的に生成する。
種々のコーティング方法が、電極リードアセンブリをコーティングするために用いられても良い。
【0025】
(実施例1)
モリブデン金属箔片は、種々のコーティング方法を用いて石英ガラスによりコーティングされる。一つの応用において、リボンは、Nissan Chemical Co.(ニッサンケミカル社)(製品番号MA−ST−UP)によって供給されるコロイド状シリカの溶液(メタノール中に20%のSiO2;300nmおよび5〜20nmの長連鎖)中に浸漬され、そして毎秒数ミリメータの速度で空気中に引き出された。リボンは、そのとき1秒の期間にわたって1600〜1650℃に加熱された。このことは、小さなシリカ粒子が、実質的に酸化を受けないガラスの連続薄膜に融合されるようにさせる。金属箔は冷却されるので、金属部分は、シリカコーティングよりも収縮され、それによって横方向の圧縮のもとでガラス質の薄膜を配置する。薄膜の横方向圧縮は、ひび割れおよびその他の表面損傷に対する薄膜の耐性を増大させる。
同様の実験が、加熱期間が4秒に延長されて行われ、延長された加熱は金属箔に脆性を生じさせ得ることがわかった。加熱期間は、コーティング組成物の関数であり得て、そして組成物に依存して、最適なコーティング層を提供すべく加熱期間が調整されなければならないこともある。
【0026】
(実施例2)
シリカの薄膜が、酸化保護膜を形成すべくモリブデン金属箔に施された。金属箔は、金属箔を溶液中に浸漬し、且つそれを溶液から1インチ/secの速度で引き出されることによってディップコーティングされた。
溶液は:
ST−OUP(Nissal Chemical Corp.製) 3.0 gm
蒸留水 2.0 gm
濃縮されたアンモニア水 3滴(約0.15mL)
PVP (1% 水溶液) 3.0 gm
を含んでいた。
構成要素は、静かな渦巻きのもとで上に列挙された順序で付加された。金属箔は、それから溶液でコーティングされ、空気乾燥され、そしてアルゴン雰囲気中で約1秒にわたり約1600℃に加熱された。
【0027】
(実施例3)
次の手順が、シリカの薄膜でモリブデン金属箔をコーティングすべく行われた。モリブデン金属箔は、金属箔を溶液に浸漬し且つ溶液から金属箔を約1インチ/secの速度で引き出すことによってディップコーティングされた。
溶液は:
ST−OUP(Nissal Chemical Co.製) 3.0 gm
蒸留水 2.0 gm
濃縮されたアンモニア水 3滴(約0.15mL)
PVP (1% 水溶液) 3.0 gm
を含んでいた。
【0028】
構成要素は、静かな渦巻きのもとで、上述の順序で付加された。浸漬および溶液からの金属箔の引き出しの間、正電位が金属箔に印加された(例えば、溶液中に浸漬されたプラチナワイアに対して、3ボルト)。このプロセスは、結果として金属箔の薄い縁部におけるコーティングむらの数の低減を生じた。金属箔がコーティングされた後、それは、空気乾燥され、そしてアルゴン雰囲気中で約1秒にわたり約1600℃に加熱された。金属箔は、シリカの均一層によって覆われたことが見出された。
【0029】
本発明の望ましい実施の形態が、説明されてきたが、説明された実施の形態は、単なる実例であり、そして本発明の範囲は、この文書を精査することによって、当業者において当然のこととして生起する均等物、多くの変形および改良の全範囲が与えられたときに、添付された特許請求の範囲のみによって、規定されるべきであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1a】高輝度放電ランプのための従来のアーク管の概略的な表現である。
【図1b】断面における先行技術の金属箔の図解である。
【図2】本発明の1つの実施の形態に従ったアーク管の概略的な表現である。
【図3】高輝度放電管のための形成されたボディのアークランプの概略的表現である。
【図4】本発明に従って形成されたボディの高輝度放電ランプの他の実施の形態の概略的表現である。
【図5a】本発明の1つの局面に従ったランプのためのリードアセンブリの概略的表現である。
【図5b】放電リードに対するモリブデン金属箔のスポット溶接接触点の概略的表現である。
【図6】アーク管の機械的支持体および金属箔への巻き付けられ/縮められた電気接続を示す本発明の実施の形態に従った高輝度放電ランプの概略的表現である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔がピンチシールを通しての電気的接続を提供するガラスボディに形成された1つ以上のハーメチックにシールされたチェンバを形成するガラスボディを有する装置において、シリカを含む薄膜で金属箔の少なくとも一部分をコーティングすることによって、金属箔の少なくとも一部分を腐食から保護する方法。
【請求項2】
金属箔は、モリブデンである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
装置は、電気ランプである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ランプは、高輝度放電ランプまたはハロゲンランプである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
金属箔は、モリブデンである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電気リードアセンブリにおけるモリブデン金属箔が、ランプの動作の間において酸化から金属箔の少なくとも一部分を保護すべく、コーティングされているランプにおいて、コーティングがシリカを含んでいる改良。
【請求項7】
金属ストリップの少なくとも一部分の酸化を防止する方法であって、シリカを含む薄膜で、ストリップの該当する一部分をコーティングするステップを含む方法。
【請求項8】
ストリップは、電気リードアセンブリにおけるモリブデン金属箔である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
金属箔を含む電気リードアセンブリを作る方法において、金属箔の少なくとも一部分は、シリカを含む薄膜でコーティングされている改良。
【請求項10】
金属箔は、モリブデンである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
電気リードは、金属箔の一端に取り付けられている請求項9に記載の方法。
【請求項12】
外側リードが、金属箔の他端に取り付けられている請求項11に記載の方法。
【請求項13】
腐食保護薄膜を備える金属箔をコーティングする方法であって、次の
(a)金属箔の少なくとも一部分にシリカコロイドを付着させるステップと;
(b)金属箔に付着しているシリカコロイドを、それによって金属箔上にシリカ薄膜を形成するためにシリカ粒子の融合をもたらすべく融解温度に曝露するステップと;
の各ステップを有する方法。
【請求項14】
金属箔の少なくとも一部分は、コロイド状のシリカを含む、溶液に浸漬され且つシリカコロイドがその少なくとも一部分に付着するように引き出される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
金属箔は、溶液から約1mm/secから約100mm/secの速度で引き出される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
金属箔は、溶液から約25mm/secの速度で引き出される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
溶液は、ニッサンケミカル(Nissan Chemical)のMA−ST−UPタイプを含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
溶液における金属箔の少なくとも一部分の浸漬および引き出しと同時に金属箔に電圧を印加するステップをさらに有する請求項14に記載の方法。
【請求項19】
コロイド状のシリカの溶液は、硝酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、およびポリビニルピロリドンからなるグループから選択されたバインダをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項20】
コロイド状のシリカの溶液は、表面活性剤をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項21】
金属箔は、モリブデンを含む請求項14に記載の方法。
【請求項22】
金属箔に付着しているシリカコロイドは、約1400℃から約1700℃の融解温度に曝露される請求項13に記載の方法。
【請求項23】
金属箔に付着しているシリカコロイドは、約1600℃から約1700℃の融解温度に曝露される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
融解温度は約1650℃である。請求項23に記載の方法。
【請求項25】
金属箔に付着しているシリカコロイドは、約1秒半の間、融解温度に曝露される請求項13に記載の方法。
【請求項26】
金属箔は、モリブデンを含む請求項13に記載の方法。
【請求項27】
シリカコロイドは、静電塗装、ローリング、刷毛塗り、または霧吹きによって金属箔の少なくとも一部分に付着させられる請求項13に記載の方法。
【請求項28】
金属箔に付着しているシリカコロイドを融解温度に曝露するステップは、コロイドを、加熱されたワイアコイル、誘導コイル、イメージ炉、不活性ガスプラズマ、またはレーザに曝露することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項29】
アルゴンプラズマトーチのプルームにシリカ粉末を導入するステップと、プルームを通して金属箔を通過させるステップとの各ステップを有する金属箔にシリカコーティングを施す方法。
【請求項30】
電気リードアセンブリを作る方法であって、
(a)モリブデン金属箔を供給するステップと;
(b)金属箔の少なくとも一部分にシリカコロイドを付着させるステップと;
(c)それによってシリカ薄膜を形成させるためにシリカ粒子の融解をもたらすべくシリカコロイドを熱に曝露するステップと;
(d)電気リードを金属箔の一端に取り付けるステップと;
の各ステップを含む方法。
【請求項31】
第2の電気リードが金属箔の他端に取り付けられる請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第2のリードは、リードの一部分のまわりの金属箔の一部分をかしめることにより、金属箔に取り付けられる請求項31に記載の方法。
【請求項33】
電気リードは、高輝度放電ランプのための電極を形成する請求項30に記載の方法。
【請求項34】
電気リードは、ハロゲンランプのためのフィラメントを形成する請求項30に記載の方法。
【請求項35】
金属ストリップを、所定時間の間、所定温度に曝露する方法であって、
(a)熱源を供給するステップと;
(b)熱源にきわめて近い近傍における温度が所定の温度となるように熱源の温度を上昇させるステップと;
(c)所定の時間の間、所定の温度にリボンへの曝露をもたらすべき速度で熱源にきわめて近接して金属ストリップを通過させるステップと;
の各ステップを含む方法。
【請求項36】
シリカコロイドは、金属ストリップの少なくとも一部分に付着し、且つ所定温度へのストリップの曝露は、それによってシリカ薄膜を形成すべくシリカ粒子の融解をもたらす請求項35に記載の方法。
【請求項37】
所定の温度は、約1400℃と約1700℃の間であり、そして所定の時間は、約1秒半である請求項35に記載の方法。
【請求項38】
所定の温度は、約1600℃と約1700℃の間であり、そして所定の時間は、約1秒半である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
曝露は、不活性雰囲気中で行われる請求項35に記載の方法。
【請求項40】
熱源は、伝導体、誘導コイル、イメージ炉、不活性ガスプラズマ、およびレーザからなるグループから選択される請求項35に記載の方法。
【請求項41】
熱源は、そこを通る電流の通過によって加熱される巻回されたタンタルワイアを含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ランプであって:
前記ランプの光放出チェンバを形成するガラスボディと;
前記ガラスボディにおけるピンチシールと;
ピンチシールを通る電気的接続を提供する電気リードアセンブリであって、前記アッセンブリは、それの少なくとも一部分にシリカコーティングを有する金属箔を備える電気リードアセンブリと;
を含むランプ。
【請求項43】
高い温度で空気に曝露されたときに、それによって当該部分を酸化から保護するためにそれの少なくとも一部分にシリカ薄膜を有する電気ランプにおけるピンチシールを通る電気的伝導路を提供するのに適するモリブデン金属箔。
【請求項44】
少なくとも1つのピンチシールによってハーメチックにシールされたチェンバ、およびピンチシールを通る電気伝導路を提供するための電気リードアセンブリを有する装置において、アッセンブリは、ピンチシール内に配置される金属箔を備え、金属箔は、それによって装置のための外側電気リードを形成すべくピンチシールから外側に延びる改良を備える装置。
【請求項45】
金属箔はモリブデンであり、且つ酸化保護薄膜でコーティングされている請求項44に記載の装置。
【請求項46】
薄膜はシリカである請求項45に記載の装置。
【請求項47】
チェンバは、電気ランプの光放出チェンバを形成する請求項46に記載の装置。
【請求項48】
モリブデン金属箔の少なくとも一部分をシリカ薄膜でコーティングする方法であって、次の:
コロイド状シリカと、硝酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、およびポリビニルピロリドンからなるグループから選択されたバインダとを含む溶液を供給するステップと;
金属箔の少なくとも一部分を溶液に浸漬するステップと;
金属箔の浸漬された部分を、金属箔の少なくとも一部分にシリカコロイドが付着するように、約1mm/秒から約100mm/秒の間の速度で、溶液から引き出すステップと;
金属箔に付着しているシリカコロイドを、コロイドにおけるシリカ粒子の融解をもたらすべく、約1秒の間、約1400℃から約1700℃の間の温度に加熱するステップと;
の各ステップを含む方法。
【請求項49】
溶液は、メタノール中にシリカを含む請求項48に記載の方法。
【請求項50】
溶液は、水およびアンモニアを含み且つバインダは、ポリビニルピロリドンである請求項48に記載の方法。
【請求項51】
浸漬および溶液からの金属箔の引き出しの間約1ボルトを約10ボルトの間の電圧が金属箔に印加される請求項48に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−507629(P2006−507629A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551906(P2004−551906)
【出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/035615
【国際公開番号】WO2004/045026
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(502345061)アドバンスド ライティング テクノロジイズ,インコーポレイティド (11)
【Fターム(参考)】