説明

酸化反応用触媒、その製造方法およびそれを用いたp−キシリレンジアセテートの製造方法

【課題】p−キシレンと酢酸とを反応させてp−キシリレンジアセテートを十分な収率で選択率高く製造することを可能とする酸化反応用触媒の製造方法を提供すること。
【解決手段】酸化的雰囲気下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加して、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが前記担体に担持されてなる酸化反応用触媒を得ることを特徴とする酸化反応用触媒の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化反応用触媒、その製造方法、並びに、それを用いたp−キシリレンジアセテートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キシリレンジアセテートは、ポリエステル樹脂等の合成樹脂の原料として用いられており、従来から種々の方法で製造されてきた。また、このようなキシリレンジアセテートを製造する方法としては、酸化反応用触媒を利用して酸素の存在下においてキシレンと酢酸とを反応させる方法が知られている。そして、このような酸化反応用触媒としては、パラジウムが有用であり、種々のパラジウムを含む酸化反応用触媒が開示されている。
【0003】
例えば、特開昭63−174950号公報(特許文献1)においては、パラジウムとビスマスとからなる触媒が開示されている。また、特開平11−221463号公報(特許文献2)においては、キシレンを酢酸及び酸素と反応させて得られるパラジウム及び金の合金コロイドを活性炭に担持した酸化反応用触媒が開示されている。
【0004】
一方、トルエンを基質として芳香族エステル類を製造する際に好適に用いられる酸化反応用触媒として、パラジウムカルボニルアセテート錯体を原料とし、調製時に酸化的雰囲気下において、硝酸塩を用いて調製される、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターを含む酸化反応用触媒(ラングミュア(Langmuir)、2002年発行、第18巻、第1849〜1855頁(非特許文献1)参照)が知られている。
【特許文献1】特開昭63−174950号公報
【特許文献2】特開平11−221463号公報
【非特許文献1】ラングミュア(Langmuir)、2002年発行、第18巻、第1849〜1855頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜2及び非特許文献1に記載されているような酸化反応用触媒を用いた場合においては、p−キシレンと酢酸とを反応させてp−キシリレンジアセテートを製造する際のアセトキシル化反応の際に、キシレンの一方のメチル基のみがアセトキシル化される反応が生じ、生成物中にp−メチルベンジルアセテートの比率が高くなって、目的物であるp−キシリレンジアセテートを十分な収率で選択率高く製造することができなかった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、p−キシレンと酢酸とを反応させてp−キシリレンジアセテートを十分な収率で選択率高く製造することを可能とする酸化反応用触媒、その製造方法およびそれを用いたp−キシリレンジアセテートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化的雰囲気下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加することにより、p−キシレンと酢酸とを反応させる際にp−キシリレンジアセテートを十分な収率で選択率高く製造することを可能とする酸化反応用触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の酸化反応用触媒の製造方法は、酸化的雰囲気下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加して、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが前記担体に担持されてなる酸化反応用触媒を得ることを特徴とする方法である。
【0009】
上記本発明の酸化反応用触媒の製造方法においては、パラジウムカルボニルアセテート錯体にフェナントロリンを反応させて前記パラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を得る工程を更に含むことが好ましい。
【0010】
また、上記本発明にかかる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤がより好ましく、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸、炭素数8〜20のアリールスルホン酸、炭素数8〜20のアルキルカルボン酸、炭素数8〜20のアリールカルボン酸、並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、又は、炭素数8〜26のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、炭素数8〜26のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数11〜26の2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、炭素数12〜26のアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数9〜26のアルキルジメチルアミノ(2−ヒドロキシ)プロピルスルホベタインからなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤が更に好ましい。
【0011】
また、本発明の酸化反応用触媒は、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが酸化チタンからなる担体に担持されてなる酸化反応用触媒であって、酸化的雰囲気下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加して得られるものであることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明のp−キシリレンジアセテートの製造方法は、上記本発明の酸化反応用触媒に、酸素の存在下において、p−キシレンと酢酸とを接触せしめて酸化反応させ、p−キシリレンジアセテートを得ることを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、p−キシレンと酢酸とを反応させてp−キシリレンジアセテートを十分な収率で選択率高く製造することを可能とする酸化反応用触媒、その製造方法およびそれを用いたp−キシリレンジアセテートの製造方法を提供することが可能となる。そして、本発明の酸化反応用触媒によれば、p−キシリレンジアセテートを効率よく製造することができ、従来の酸化反応用触媒と比べて選択率を十分に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0015】
先ず、本発明の酸化反応用触媒及びその製造方法について説明する。すなわち、本発明の酸化反応用触媒の製造方法は、酸化的雰囲気下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加して、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが前記担体に担持されてなる酸化反応用触媒を得ることを特徴とする方法である。
【0016】
本発明にかかるパラジウムカルボニルアセテート錯体としては特に制限されず、公知の方法で製造されたパラジウムカルボニルアセテート錯体を適宜用いることができ、例えば、酢酸パラジウムと一酸化炭素とを反応させて得られるパラジウムカルボニルアセテート錯体を用いることができる。このようなパラジウムカルボニルアセテート錯体の好適な製造方法としては、例えば、酢酸パラジウムの酢酸溶液に、30〜80℃(好ましくは50℃程度)の温度条件下において気相部分に一酸化炭素を流通させて還元する方法が挙げられる。
【0017】
また、本発明にかかるパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体としては特に制限されないが、前記パラジウムカルボニルアセテート錯体にフェナントロリンを反応させて得られるパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を好適に用いることができる。このようなフェナントロリンとしては、化学式C12で表される縮合芳香族化合物であり、いくつかの異性体が存在するが、安定した錯体形成性の観点から1,10−フェナントロリンを用いることが好ましい。
【0018】
また、このようなパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、10〜40℃(好ましくは室温(25℃程度))の温度条件下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体とフェナントロリンとを酢酸中に溶解し、撹拌して製造する方法を挙げることができる。なお、このようなパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を製造する際における雰囲気は特に制限されず、例えば、空気雰囲気であってもよい。
【0019】
さらに、本発明にかかるパラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に用いられる溶媒としては、錯体の溶解性の観点から、酢酸が好ましい。
【0020】
また、前記溶液中のパラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体の含有量としては、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが好ましい。前記溶液中のパラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体の含有量が前記下限未満であるか又は前記上限を超える場合には、安定して錯体が形成され難くなる傾向にある。
【0021】
また、本発明の酸化反応用触媒の製造方法においては、パラジウムカルボニルアセテート錯体にフェナントロリンを反応させて前記パラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を得る工程を更に含んでいてもよい。すなわち、前記溶液としてパラジウムカルボニルアセテート錯体を含む溶液を用いる場合において、金属硝酸塩等を添加する前に、前記溶液にフェナントロリンを添加し、パラジウムカルボニルアセテート錯体とフェナントロリンとを反応させて、その溶液をパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液としてもよい。
【0022】
また、本発明にかかる金属硝酸塩としては特に制限されず、種々の金属の硝酸塩を適宜用いることができ、例えば、硝酸銅、硝酸ニッケル、硝酸コバルト、硝酸鉄又は硝酸マンガンを用いることができる。また、このような金属硝酸塩の中でも、p−キシリレンジアセテートを製造する際の収率及び選択率をより向上させるという観点から、硝酸銅、硝酸コバルト及び硝酸マンガンがより好ましく、硝酸マンガンが特に好ましい。また、このような金属硝酸塩は1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いてもよい。例えば、金属硝酸塩として好適な硝酸銅を主成分として少量の他の金属の硝酸塩を組み合わせて、これを金属硝酸塩として用いてもよい。
【0023】
また、本発明にかかる界面活性剤としては特に制限されず、公知の界面活性剤を適宜用いることができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のいずれであってもよい。このような界面活性剤としては、得られる本発明の酸化反応用触媒の反応生成物選択性の観点から、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤が好ましい。
【0024】
このようなアニオン性界面活性剤としては、炭素数が8以上(より好ましくは8〜20)のアルキルスルホン酸およびその塩、炭素数が8以上(より好ましくは8〜20)のアリールスルホン酸およびその塩、炭素数が8以上(より好ましくは8〜20)のアルキルカルボン酸およびその塩、並びに、炭素数が8以上(より好ましくは8〜20)のアリールカルボン酸およびその塩が好ましい。このようなアニオン性界面活性剤の前記炭素数が前記下限未満であるか又は前記上限を超える場合には、得られる本発明の酸化反応用触媒の反応生成物選択性が低下する傾向にある。また、このようなアニオン性界面活性剤に用いられるアルキルスルホン酸やアリールスルホン酸等の塩としては、界面活性能の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
【0025】
さらに、このようなアニオン性界面活性剤としては、具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム等が挙げられる。
【0026】
また、両性界面活性剤としては、炭素数8以上(より好ましくは炭素数8〜26)のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、炭素数8以上(より好ましくは炭素数8〜26)のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数11以上(より好ましくは炭素数11〜26)の2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、炭素数12以上(より好ましくは炭素数12〜26)のアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数9以上(より好ましくは炭素数9〜26)のアルキルジメチルアミノ(2−ヒドロキシ)プロピルスルホベタインが好ましい。
【0027】
さらに、このような両性界面活性剤としては、具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ステアリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ(2−ヒドロキシ)プロピルスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ(2−ヒドロキシ)プロピルスルホベタイン等が挙げられる。
【0028】
また、本発明にかかる担体は、酸化チタンからなるものである。このような担体としては、例えば、酸化チタンを含んでなるか、或いは、酸化チタン以外の無機物の表面に酸化チタンが担持されている担体を挙げることができる。また、このような担体に含有される酸化チタンの結晶構造は特に限定されないが、非晶質又はアナターゼ型であることが好ましい。また、酸化チタンの形状は特に制限されず、粉体であってもよく、また粒状、球状、板状、ペレット状等の各種成型体であってもよい。
【0029】
さらに、前記担体の比表面積は、特に限定されるものではないが、10m/g以上であることがより好ましい。比表面積が10m/g未満であると、担体に担持されて固定化されるパラジウムクラスターの量が少なくなる傾向にあり、触媒の活性が低下する傾向にある。
【0030】
また、本発明においては、酸化的雰囲気下において、前記パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、前記酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加する。ここで、「酸化的雰囲気」とは、酸化性を有するガスの存在する雰囲気をいい、典型的には酸素ガス(分子状酸素)が存在するガス雰囲気が挙げられる。また、このような酸化的雰囲気としては、酸素ガスが窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガス等の不活性ガスによって希釈されているガス雰囲気であってもよく、中でも、酸素ガスの含有率が20〜100容量%程度のガス雰囲気が好ましい。なお、このような酸化的雰囲気としては、空気雰囲気であってもよい。また、酸化性を有するガスの反応系への供給方法は特に限定されず、公知の方法を適宜採用できる。
【0031】
また、溶液中への金属硝酸塩の添加量としては特に制限されるものではないが、前記パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体に対する金属硝酸塩のモル比(前記金属硝酸塩/前記パラジウム錯体)が、2.5〜100モル%の範囲となるようにすることが好ましく、5〜50モル%の範囲となるようにすることがより好ましい。このような金属硝酸塩の添加量が前記下限未満であるか又は前記上限を超える場合には、得られる酸化反応用触媒の活性が十分に高くならない傾向にある。
【0032】
また、前記溶液中への界面活性剤の添加量としては、担体に担持させるパラジウムクラスターの量や用いる担体の形状等に応じて適宜決定されるものであり、特に制限されるものではないが、前記パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体に対する界面活性剤のモル比(前記界面活性剤/前記パラジウム錯体)が、0.1〜300モル%の範囲となるようにすることが好ましく、10〜200モル%の範囲となるようにすることがより好ましく、50〜150モル%の範囲となるようにすることが特に好ましい。このような界面活性剤に関する前記モル比が0.1モル%未満の場合又は300モル%を超えた場合には、パラジウムクラスターが適切な分散状態とならず、酸化反応用触媒としての所望の活性、選択性が得られなくなる傾向にある。
【0033】
さらに、前記溶液中への酸化チタンからなる担体の添加量としては、担体に担持させるパラジウムクラスターの量や用いる担体の形状等に応じて適宜決定されるものであり、特に制限されるものではないが、前記パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体中のパラジウム金属の質量に対する担体の質量の比(担体/パラジウム金属)が、8〜1000の範囲とすることが好ましく、20〜200モル%の範囲とすることが好ましい。このような担体の添加量に関する前記比率が前記下限未満の場合には、担持されるパラジウムクラスターの量が多くなりすぎて得られる触媒の性能に対するコストが高くなり経済性が低下する傾向にある。他方、前記上限を超えると、担持されるパラジウムクラスターの量が少なくなりすぎて、触媒単位量当りの活性が不十分となる傾向にある。
【0034】
また、前記各成分を前記溶液に添加する際の温度条件は特に制限されないが、50〜100℃程度(好ましくは90℃程度)とすることが好ましい。このような温度条件が前記下限未満であるか又は前記上限を超える場合には、目的とするパラジウムクラスターが安定して形成されない傾向にある。
【0035】
さらに、前記各成分を前記溶液に添加する際の圧力条件としては特に制限されず、常圧(大気圧)の条件下であっても、あるいは減圧又は加圧の条件下とすることができ、0〜2MPa(ゲージ圧)の範囲とすることが好ましい。このような圧力条件が前記下限未満では、目的とするパラジウムクラスターの生成速度が著しく遅くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒製造装置が高価なものとなる傾向にある。
【0036】
また、前記各成分を溶液中で反応させる時間の条件としては特に制限されないが、20〜40分程度とすることが好ましい。このような時間の条件が前記下限未満では、反応時間が短すぎて目的とするパラジウムクラスターの生成が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、必要な反応が終了してそれ以上時間をかけることが不要となる傾向にある。
【0037】
このようにして、酸化的雰囲気下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加して、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが前記担体に担持されてなる酸化反応用触媒を得ることができる。そして、このようにして得られる本発明の酸化反応用触媒においては、その理由は必ずしも定かではないが、これをp−キシレンと酢酸とを反応させる際に用いることで、p−キシリレンジアセテートを十分な収率で選択性高く製造することが可能となる。
【0038】
また、このような酸化反応用触媒においては、担体に担持されるパラジウムクラスターの量は、触媒の用途等によって適宜変更できるものではあり、特に制限されないが、担体を含む触媒の総量中にパラジウムクラスターが金属換算で0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがより好ましい。パラジウムクラスターの担持量が前記下限未満では、十分な触媒活性が得られず、これを用いた際にp−キシリレンジアセテートを十分な収率で製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒性能に対する触媒費(コスト)が高くなり経済性が低下する傾向にある。
【0039】
また、本発明の酸化反応用触媒は、その形状が粉体状のものであってもよく、また粒状、球状、板状、ペレット状等の各種成型体であってもよい。また、このような酸化反応用触媒を各種成型体とする方法としては、例えば、前記各種成型体に予め成型された担体を前記溶液に添加してパラジウムクラスターを担持させる方法、あるいは、粉体状の担体を前記溶液に添加して一旦粉体状の酸化反応用触媒を得た後、これを成型する方法が挙げられる。
【0040】
また、本発明の酸化反応用触媒が前記成型体である場合において、その成型方法としては特に制限されず、押出し成型、スプレードライ、打錠成型、転動造粒、油中造粒等の公知の方法を適宜選択することができる。また、成型時においては、成型性をより向上させるという観点から、有機化合物からなる滑剤を使用してもよい。また、このようにして得られる成型体の大きさは特に制限されず、目的とする酸化反応用触媒の設計に応じて適宜変更することができる。
【0041】
また、本発明の酸化反応用触媒においては、担体の他に結合材(バインダー)が含有されていてもよい。このような結合材は、触媒の機械的性質(強度、耐摩耗性)や成型性を向上させるために用いられるものであり、公知の材料を適宜用いることができる。また、このような結合材としては、例えば、アルミナ、アルミナボリア、シリカ、シリカアルミナ等の無機酸化物が挙げられる。更に、このような結合材は特に制限されないが、担体に担持された形態の酸化反応用触媒中に占める結合材の含有割合が50質量%(より好ましくは30質量%)以下となるようにして前記溶液に添加することが好ましい。
【0042】
さらに、本発明の酸化反応用触媒としては、その目的を逸脱しない範囲において、前記担体及び/又は前記結合材上に、補助成分として種々の金属成分を担持させてもよい。また、このような補助成分としての金属成分を担持させる方法としては、予め担体あるいは結合材に担持させておく方法を採用することが好ましい。
【0043】
なお、本発明の酸化反応用触媒の製造方法の好適な一例としては、パラジウムカルボニルアセテート錯体を酢酸からなる溶媒中に含有させ、次いで、得られた溶液中にフェナントロリンを添加して室温(25℃程度)で攪拌してパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を得た後、その溶液中に、担体である酸化チタンと、界面活性剤と、硝酸塩とを添加し、酸素雰囲気下において90℃程度の温度条件下において撹拌して、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが前記担体に担持されてなる酸化反応用触媒を得る方法が挙げられる。
【0044】
以上、本発明の酸化反応用触媒及びその製造方法について説明したが、次に、本発明のp−キシリレンジアセテートの製造方法について説明する。
【0045】
本発明のp−キシリレンジアセテートの製造方法は、上記本発明の酸化反応用触媒に、酸素の存在下において、p−キシレンと酢酸とを接触せしめて酸化反応させ、p−キシリレンジアセテートを得ることを特徴とする方法である。
【0046】
このようなp−キシレン及び酢酸は特に制限されず、公知の方法を採用して製造されたものを適宜用いてもよく、また、市販のものを用いてもよい。従って、このようなp−キシレンとしては、例えば、石油留分から分離されて得られるものや、石油留分を分解して得られる分解油から分離されて得られるもの、又は、不均化反応により得られるもの等のような公知の方法で得られるp−キシレンを適宜使用することができる。また、このような酢酸としては、アセトアルデヒドの酸化によって得られるものや、炭化水素の酸化によって得られるもの、又は、メタノールと一酸化炭素から合成されて得られるもの等のような公知の方法で得られる酢酸を適宜使用することができる。
【0047】
また、p−キシレンと酢酸の含有比率としては特に制限されないが、p−キシレン中のメチル基(p−キシレン1モルに対して2モル存在)に対する酢酸のモル比が、化学量論比より大きくなるようにすることが好ましく、等倍モル〜20の範囲となることがより好ましい。前記モル比が前記下限未満では、酢酸が不足してp−キシリレンジアセテートを効率的に製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を越えると、コストが増大する傾向にある。
【0048】
また、本発明にいう「酸素の存在下」とは、酸素(分子状酸素)が存在する状態をいい、酸素が気相及び/又は液相に存在する状態であればよい。このような雰囲気を達成させるために反応系に供給されるガスは、酸素ガスのみからなるガスであっても、酸素ガスが窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスに希釈されているガスであってもよく、中でも、酸素ガスの含有率が20〜100容量%程度のガスを用いることが好ましい。なお、このような反応系に供給されるガスとしては空気を利用してもよい。
【0049】
また、酸素の存在下において、上記本発明の酸化反応用触媒にキシレンと酢酸とを接触せしめて起こさせる酸化反応は、液相又は気相のいずれで行わせてもよいが、副反応の抑制の観点から、液相で行うことがより好ましい。
【0050】
また、前記酸化反応の形態は特に限定されず、いわゆる回分式、半回分式、連続式の何れの形態を採用してもよい。また、上記本発明の酸化反応用触媒は、固定床、流動床、懸濁床の何れの形態で使用してもよい。従って、このような反応形態として回分式を採用する場合には、反応装置にp−キシレンと酢酸と共に上記本発明の酸化反応用触媒を一括して仕込む方法を採用してもよい。また、反応形態として連続式を採用する場合には、反応装置に上記本発明の酸化反応用触媒を予め充填しておくか、或いは、反応装置にp−キシレンと酢酸と共に上記本発明の酸化反応用触媒を連続的に仕込む方法を採用してもよい。なお、このような反応装置としては特に制限されず、公知の装置を適宜使用することができ、例えば、撹拌装置を有する槽型反応装置、固定床を有する塔型流通反応装置等が挙げられる。
【0051】
また、本発明に用いられる上記本発明の酸化反応用触媒の量としては特に制限されず、酸化反応用触媒の設計や酸化反応の形態によってその好適な量が異なるため一律には規定できないが、例えば、懸濁床の場合には、キシレンと酢酸の合計量に対する前記触媒の濃度が0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜15質量%)の範囲となるような量とすることが好ましい。懸濁床の場合の前記触媒の濃度が前記下限未満である場合には、反応速度が遅くなり、効率的にp−キシリレンジアセテートを得ることが困難となる傾向にある。他方、懸濁床の場合の前記触媒の濃度が前記上限を超えた場合には、経済性が低下する傾向にある。
【0052】
また、本発明において、前記酸化反応の際の温度条件、圧力、時間等の条件は特に限定されるものではなく、酸化反応用触媒の形態、酸化反応の形態等に応じて適宜設定することができる。このような酸化反応の際の温度の条件としては、60〜200℃の範囲とすることが好ましく、80〜140℃の範囲とすることがより好ましい。前記温度条件が前記下限未満では、反応速度が十分なものとならず、効率よくp−キシリレンジアセテートを得ることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、副反応の進行が増加する傾向にある。
【0053】
このような酸化反応の際の圧力の条件としては、0.01〜110MPaの範囲とすることが好ましく、0.1〜5MPaの範囲とすることがより好ましい。このような圧力の条件が前記下限未満では、酸化反応を効率よく進行させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合においては製造設備コストが高くなる傾向にある。
【0054】
また、このような酸化反応の時間としては、温度、圧力、触媒量等の設定の仕方や酸化反応の形態等によって、その好適な範囲が変わるため一概には言えないが、例えば、懸濁床での回分式、半回分式においては0.5時間以上が必要であり、1〜48時間とすることが好ましい。また、懸濁床による連続式反応あるいは固定床流通式反応においては、滞留時間は0.1〜10時間とすることが好ましい。このような酸化反応において、反応時間を必要以上に長くしても目的とする生成物の収率はそれ程向上せず、副反応が増加し、原料のキシレン及び/又は酢酸が無駄に消費される傾向にある。そのため、このような副反応をより十分に防止するために、反応時間を前記範囲とし、反応生成物を分離、回収した後に、未反応物(キシレン及び/又は酢酸)を再び反応系に戻してもよい。
【0055】
さらに、このような酸化反応においては、キシレンと酢酸とが液体状である場合には、特に溶媒を用いることなく進行させることができるが、反応に対して不活性な溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては特に制限されないが、ヘキサン、オクタン、ベンゼン等の炭化水素類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類等を用いることができる。また、このようにして得られるp−キシリレンジアセテートを分離・精製する方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例で得られた酸化反応用触媒のパラジウムクラスターの酸化状態は以下のようにして評価した。
【0057】
〈パラジウムクラスター表面のパラジウムの酸化状態の分析方法〉
製造された酸化反応用触媒のクラスター表面のパラジウムの酸化状態を、前記非特許文献1(ラングミュア(Langmuir)、2002年発行、第18巻、第1849〜1855頁)のExperimental Section,Characterizationの欄に記載されている方法(一酸化炭素の吸着により酸化状態を評価する方法)と同様の方法を採用してパラジウムの酸化状態を分析した。なお、かかる方法においては、使用する装置、操作方法、解析方法の全てを前記非特許文献3に記載のものと同一のものとした。
【0058】
(実施例1)
〈酸化反応用触媒の製造〉
先ず、反応器として容量100mlのガラス製三ツ口フラスコを用い、酢酸パラジウム0.4gを酢酸40mlに溶解させた後、50℃に加熱し、反応器の気相部分に一酸化炭素を流通させて2時間攪拌した。次いで、一酸化炭素を気相部分に流通させながら冷却し、室温まで冷却させた後、気相部分をアルゴンで置換し、得られた黄色沈殿物をアルゴン雰囲気でろ過しパラジウムカルボニルアセテート錯体を0.24g得た。
【0059】
次に、上述のようにして得られたパラジウムカルボニルアセテート錯体の全量を酢酸5mlに溶解して溶液を調製した。その後、反応器中において、得られた溶液に、1,10−フェナントロリン水和物0.122gを添加して溶解し、空気雰囲気下において室温で30分間攪拌して、パラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液を得た。
【0060】
次いで、前記溶液中に硝酸銅0.0074gと、酸化チタン(触媒学会参照触媒JRC−TIO−2)2.02gと、ラウリン酸ナトリウム0.04gとを加え、反応器の気相部分を酸素ガスで置換し、90℃に加熱して25分間攪拌した後、固形分を遠心分離により分離し、減圧乾燥することで、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが前記担体に担持されてなる酸化反応用触媒2.15gが得られた。
【0061】
前記方法により得られた酸化反応用触媒のクラスター表面のパラジウムの酸化状態の分析を行った。その結果、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存することが確認された。
【0062】
〈p−キシリレンジアセテートの製造〉
上述のようにして得られた酸化反応用触媒を用いて、p−キシレンと酢酸との酸化反応を行い、p−キシリレンジアセテートを製造した。すなわち、先ず、反応器として容量20mlのガラス製ナス型フラスコを用い、常圧下、酸素ガスのみからなる酸化的雰囲気下において、得られた酸化チタン担持パラジウムクラスター触媒2.00gと酢酸4mlとp−キシレン0.53gとを90℃の温度条件で48時間加熱し攪拌して酸化反応を行わせた。そして、反応終了後に反応器から内容物を取り出し、酸化反応用触媒を除去してp−キシリレンジアセテートを含む反応液を得た。
【0063】
次に、このようにして得られた反応液の組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。このような分析の結果、前記反応液中においては、p−メチルベンジルアセテートが0.11g、p−キシリレンジアセテートが0.13g含まれていた。そのため、p−キシリレンジアセテートの収率は12モル%であり、選択率は47モル%であることが確認された。
【0064】
(実施例2)
〈酸化反応用触媒の製造〉
ラウリン酸ナトリウムの代わりに、ラウリン酸ナトリウムと等モルのラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインを用いた以外は、実施例1と同様にして酸化反応用触媒を製造した。
【0065】
前記方法により得られた酸化反応用触媒のクラスター表面のパラジウムの酸化状態の分析を行った。その結果、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存することが確認された。
【0066】
〈キシリレンエステルの製造〉
このようにして得られた酸化反応用触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてキシリレンエステルを製造し、反応液を得た。
【0067】
そして、このようにして得られた反応液の組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。このような分析の結果、前記反応液中においては、p−メチルベンジルアセテートが0.18g、p−キシリレンジアセテートが0.14g含まれていた。そのため、p−キシリレンジアセテートの収率は12モル%であり、選択率は37モル%であることが確認された。
【0068】
(比較例1)
〈酸化反応用触媒の製造〉
ラウリン酸ナトリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様にして酸化反応用触媒を製造した。
【0069】
〈キシリレンエステルの製造〉
このようにして得られた酸化反応用触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてキシリレンエステルを製造し、反応液を得た。
【0070】
そして、このようにして得られた反応液の組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。このような分析の結果、前記反応液中においては、p−メチルベンジルアセテートが0.33g、p−キシリレンジアセテートが0.16g含まれていた。そのため、p−キシリレンジアセテートの収率は14モル%であり、選択率は26モル%であることが確認された。
【0071】
上述のような結果から、実施例1〜2で得られた本発明の酸化反応用触媒を用いてキシレンと酢酸とを酸化反応させた場合においては、従来の酸化反応用触媒(比較例1)と比較して、選択率が十分に向上していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、p−キシレンと酢酸とを反応させてp−キシリレンジアセテートを十分な収率で選択率高く製造することを可能とする酸化反応用触媒、その製造方法およびそれを用いたp−キシリレンジアセテートの製造方法を提供することが可能となる。
【0073】
したがって、本発明の酸化反応用触媒は、p−キシリレンジアセテートの製造の際の選択率が高いため、ポリエステル樹脂等の合成樹脂の原料として用いるp−キシリレンジアセテートを製造する際に用いる触媒として特に有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化的雰囲気下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加して、クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが前記担体に担持されてなる酸化反応用触媒を得ることを特徴とする酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項2】
パラジウムカルボニルアセテート錯体にフェナントロリンを反応させて前記パラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を得る工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項3】
前記界面活性剤がアニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項4】
前記界面活性剤が、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸、炭素数8〜20のアリールスルホン酸、炭素数8〜20のアルキルカルボン酸、炭素数8〜20のアリールカルボン酸、並びに、これらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項5】
前記界面活性剤が、炭素数8〜26のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、炭素数8〜26のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数11〜26の2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、炭素数12〜26のアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数9〜26のアルキルジメチルアミノ(2−ヒドロキシ)プロピルスルホベタインからなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項6】
クラスター表面において酸化状態が0価、1価及び2価のパラジウムが共存するパラジウムクラスターが酸化チタンからなる担体に担持されてなる酸化反応用触媒であって、酸化的雰囲気下において、パラジウムカルボニルアセテート錯体及び/又はパラジウムカルボニルアセテートフェナントロリン錯体を含む溶液に、酸化チタンからなる担体と、界面活性剤と、金属硝酸塩とを添加して得られるものであることを特徴とする酸化反応用触媒。
【請求項7】
請求項6に記載の酸化反応用触媒に、酸素の存在下において、p−キシレンと酢酸とを接触せしめて酸化反応させ、p−キシリレンジアセテートを得ることを特徴とするp−キシリレンジアセテートの製造方法。

【公開番号】特開2008−36602(P2008−36602A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218291(P2006−218291)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】