説明

酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物

【課題】酸化染毛剤施術後のカップやブラシなどの酸化染毛剤用染毛用具を効率的に洗浄する効果を有する酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】カタラーゼと界面活性剤を含有することを特徴とする、カップ、ブラシおよびくしから選択される酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カタラーゼは過酸化水素を分解し、酸素を発生する酵素として知られている。この性質を利用し、酸化染毛剤施術後の毛髪に、カタラーゼを配合したリンス剤を塗布することで、毛髪や頭皮に付着した余分な染料を除去できるだけでなく、毛髪の風合いを滑らかに保つことができ、しかも、毛髪中に残留している過酸化水素を速やかに分解除去する(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、酸化染毛剤施術後のカップやブラシなどの酸化染毛剤用染毛用具に付着したクリームを前記染毛用具から除去することについては記載されておらず、酸化染毛剤施術後のカップやブラシなどの酸化染毛剤用染毛用具に付着したクリームを前記染毛用具から除去するのには非常に時間がかかっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2006−176477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、酸化染毛剤施術後のカップ、ブラシまたはくしなどの酸化染毛剤用染毛用具を効率的に洗浄する効果を有する酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物にカタラーゼと界面活性剤を配合することにより顕著な洗浄効果を有することを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1] カタラーゼと界面活性剤を含有することを特徴とする、カップ、ブラシおよびくしから選択される酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物、
[2] カタラーゼの含有量が1重量%〜30重量%である前記[1]に記載の洗浄剤組成物、
[3] 界面活性剤の含有量が0.1〜10重量%である前記[1]または[2]に記載の洗浄剤組成物、
[4] 界面活性剤が両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の洗浄剤組成物、
[5] 剤型が液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤またはエアゾール剤である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の洗浄剤組成物、および
[6] 界面活性剤が両性界面活性剤であり、剤型が液剤である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の洗浄剤組成物
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物を使用することにより、効率的に酸化染毛剤用染毛用具を洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の適用されるカップ、ブラシおよびくしから選択される酸化染毛剤用染毛用具の材質としては、特に制限されないが、プラスチック、陶器、金属などが挙げられる。
【0010】
本発明に用いるカタラーゼは、公知のカタラーゼを使用でき、カタラーゼの起源は特に限定されない。本発明に用いるカタラーゼとしては、例えば、アスペルギルス(Aspergillu)属に属する微生物(例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger))、ミクロコッカス(Micrococcus)属に属する微生物(例えば、ミクロコッカス・リソデイクチクス(Micrococcus lysodeikticus))などに由来するカタラーゼ、またはウシ肝臓由来のカタラーゼが挙げられる。また、市販品(例えば、レオネットS(商品名、力価50,000U/g、ナガセケムテックス社製))でも良く、本発明に用いるカタラーゼは遺伝子組み換え技術を用いて製造されたものでも良い。遺伝子組み換えは公知の多くの実験書(例えばSambrook、J.、Russel、D.W.、Molecular Cloning A Laboratory Manual、3rd Edition、CSHL Press、2001等)に従って行うことができる。なお、1 Unitは、1分間に1μmolの過酸化水素を酸素へ変換する酵素量を意味する。
【0011】
例えば、ミクロコッカス・リソデイクチクスに由来するカタラーゼは、ミクロコッカス・リソデイクチクスを常法に従って、炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養物質等を含有する天然培地または合成培地中で好気的に培養した後、培養液から公知の技術により、精製、ろ過して得ることができる。
【0012】
本発明に用いる界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれでもよい。これらの界面活性剤が配合されることにより、本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物は酸化染毛剤施術後のカップ、ブラシまたはくしについたクリームに浸透しやすくなる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等のアルキロールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどがあげられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸エステルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸等のリン酸エステル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等のアミドエーテルサルフェ−ト、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン等のアシルアミノ酸型アニオン性界面活性剤、脂肪酸ナトリウム等の石鹸型アニオン性界面活性剤などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アルキルベタイン(例えばヤシ油脂肪酸プロピルベタイン)、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のアルキルスルホベタインなどが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等のアルキルアミンなどが挙げられる。
【0013】
本発明に用いるカタラーゼは、力価が1,000U/g〜100,000U/gのものを用いる好ましい。本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物へのカタラーゼの配合量は、通常0.001重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜40重量%、さらに好ましくは1重量%〜30重量%である。本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物への界面活性剤の配合量は、通常0.1〜10重量%である。
【0014】
本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物の剤型は、その使用目的に応じて、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤またはエアゾール剤のいずれの形態でもよく、好ましくは液剤である。本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物の製法は、特に限定されるものではなく、カタラーゼおよび界面活性剤と必要により他の添加剤を混合する製法など一般的な洗浄剤の製法が適用される。例えば、液剤として製剤化するには、カタラーゼおよび界面活性剤と必要により他の添加剤を適宜溶剤に溶解または分散すればよい。本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物のpHは、通常約2〜10、好ましくは約4〜8、さらに好ましくは約5〜7である。
【0015】
溶剤としては、例えば水、または、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上併用してもよく、とりわけ水と、浸透剤として働くグリコール系溶媒の併用が好ましい。添加剤としては、ゲル化剤、防腐剤、等張化剤、酸化防止剤、色移り防止剤などが挙げられる。
ゲル化剤としては、カラギーナン、寒天、コラーゲン、ゼラチン、油金属石鹸、ジベンジリデンソルビト−ルなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えば硼砂、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラベン類、フェノキシエタノールなどのフェノール類、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、サリチル酸フェニル、PHENONIP(登録商標:フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、イソブチルパラベン混合成分:Clariant社製)などが挙げられる。
等張化剤としては、等張化剤としては、例えばブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
色移り防止剤としては、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0016】
本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物の使用量は、酸化染毛剤の種類にもよっても異なるが、水1Lに対して、通常約0.1〜100g、好ましくは約1〜10gである。
なお、本発明における酸化染毛剤とは、例えば、酸化染料を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とからなる染毛剤を意味する。
【実施例】
【0017】
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
[実施例]
下記表1に記載の配合量にて酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物を製造した。
【表1】

【0019】
[比較例]
カタラーゼ剤(レオネットS)を配合しない以外は実施例と同様にして洗浄剤組成物を製造した。
【0020】
[試験例]
バケツに水を5L入れ、実施例1の洗浄剤組成物を50g加えて、よくかき混ぜた。そこに酸化染毛剤施術後のカップとブラシを投入し、15分放置した。その後、バケツからカップとブラシを取り出し、水道水で洗浄し、クリームが落ちるまでの時間と水の使用量を測定した。なお、本実験はカップとブラシをそれぞれ計40個用い、洗浄時間と水の使用量の合計で評価した。結果を図1(洗浄時間)および図2(水の使用量)に示す。
【0021】
図1および図2から明らかなように、本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物を使用すれば、酸化染毛剤用染毛用具の洗浄時間が短縮され、水の使用量も減少することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物を使用することにより、酸化染毛剤施術後のカップ、ブラシまたはくしなどの酸化染毛剤用染毛用具を効率的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、酸化染毛剤用染毛用具の洗浄時間(分)を示す。
【図2】図2は、洗浄時の水の使用量(L)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カタラーゼと界面活性剤を含有することを特徴とする、カップ、ブラシおよびくしから選択される酸化染毛剤用染毛用具の洗浄剤組成物。
【請求項2】
カタラーゼの含有量が1〜30重量%である請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
界面活性剤の含有量が0.1〜10重量%である請求項1または2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
界面活性剤が両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤である請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
剤型が液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤またはエアゾール剤である請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
界面活性剤が両性界面活性剤であり、剤型が液剤である請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−114263(P2009−114263A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286523(P2007−286523)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(399065682)イリヤ化学株式会社 (4)
【Fターム(参考)】