説明

酸化物混合物

本発明の目的は、Al及びTiOの固溶体少なくとも1種を含有する触媒活性酸化物混合物並びにその製造法及び触媒及び/又は触媒担体としての又はクロマトグラフィカラム中の充填物質としてのその使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、触媒活性酸化物混合物並びにその製造法及びその使用である。
【0002】
殊に本発明は、互いにまじったAl及びTiOの固溶体少なくとも1種を含有している、多孔質の酸性触媒及び触媒担体に関する。ここで触媒及び触媒担体は、特に、好ましくは2〜40nmの平均直径d50を有する均一な細孔寸法、有利には1〜2nmの平均直径d50を有する均一な細孔寸法を有する細孔を有する。
【0003】
2〜50nmの直径の細孔寸法を有する細孔はメソ孔とも称され、2nmを下回る細孔はマイクロ孔とも称される。均一な細孔寸法とは、対数直径分布が最大0.50の幅σを有することを意味する。
【0004】
本発明における細孔容積には、殊にメソ−及びマイクロ孔が寄与していると理解される。触媒成形体で、金属−及びセラミック担体上のウオッシュ−コート−層(wash-coat-Schichten)の代わりに必要となるようなマクロ孔は、予め製造されたマイクロ−及びメソ孔出発物質を技術水準による種々の仕上げ法、例えば造粒又は押出成形によって後に造出することができる。
【0005】
酸化物混合物の酸性度は、固体表面のブレンステッド酸性度ともルイス酸性度とも理解される。この際、Al−ドーピングされたTiO−白色顔料での実験(U. Gesenhues,Chem.Eng.Technol.24(2001) 685-694)に基づき、中に溶けているAlを有するTiOの表面(ここで、固体中の金属の場の上のTiがAlで部分的に置換されている)は、例えば約400℃までの乾燥ガス雰囲気中で加水分解された状態の純粋TiOのように、ブレンステッド−酸であると仮定される。例えば乾燥ガス雰囲気中、高温度で加水分解されていない場合には、それはルイス−酸である。
【0006】
狭義の混合物とは、2種以上の空間的に分離されて存在する化学成分の混合物であると理解できる。広義の混合物とは、2種以上の互にまじった成分の溶液であるとも理解できる。
【0007】
固溶体では、成分が原子−/分子分散性に相互に混合されている。固溶体は、結晶でも非晶質でもあることができ、一様に互にまじって溶かされた物質でもこれら物質の含分は異なることができる。
【0008】
本発明において、概念「酸化物混合物」とは、狭義の混合物と理解できるが、これは1種以上の固溶体を含有することができる。
【0009】
ドーピングとは、第2成分の特性の合目的変更のために、第2成分(即ち、マトリックス又はホスト格子とも称される)の容積中への少量の1成分を原子−/分子分散性に、かつ構造定義的に取り込むことであると理解でき、微細粉末の場合には、表面層中への取り込み又はその上への沈殿であるとも理解できる。
【0010】
成分の混合割合は、固溶体及びドーピングの場合には、「質量%(wt.%)」の代わりに、「モル%」で記載するのが化学的に有意義である。従って、互にまじったAl及びTiOの溶液を生じる本発明による実験バッチ及びAlとTiOとからの本発明による触媒活性酸化物混合物の組成は、Alモル−%で記載される。この場合に、100モル%に対する差がTiOの割合に相当する。イオン性金属酸化物は、大抵、酸素アニオンの緊密なパッキング(Packung)から成っている(その間隙中に金属イオンが内位添加されており、そこで屡々代理する)ので、実験バッチの組成は簡略化のために、Al−イオンの物質量割合に相当するAlモル−%で記載することもできる。この場合に、2物質混合物Al/TiO中で、100モル%に対する差は、Ti又はTi−イオンの物質分に相当する(ここでそれぞれは、金属イオンの合計量に対する)。通常、混合物中の金属の50モル%を上回って現れる酸化物はホスト格子を成し、他の金属の酸化物はドーピングを成す。
【0011】
これらの考察は、例えばAlとTiOとからの触媒活性酸化物混合物に他の金属酸化物がドーピングされる場合には、2物質系から多物質系まで広げることができる。
【0012】
水性媒体中で、金属に応じて、その酸化物又はその水和された前形成物が、定義の化学量論の化合物として沈殿することができる。例えばAlの場合には、Al(OH)とAlOOHが沈殿する。他方Tiの場合には、古典的な観念によれば、酸化チタン水和物又はメタチタン酸TiO(OH)が沈殿し、これらが実際に、もっぱら残分としての非晶質TiOを有するナノ結晶アナタースから成っている新しい結果を示している。更にAlの場合に、金属酸化物及び水和された前形成物は仮晶的に相互に移行することができる(B.C.Lippens und J.H.de Boer, Acta Cryst. 17(1964) 1312)。従って、以後の明細書中で、酸化物と水和された前形成物とは、必ずしも区別されない。
【0013】
酸性度及び均一の細孔寸法は、触媒開陳の2つの根本的なコンセプトである。例えば以前には石油加工処理における特定の反応、例えば分解のために、触媒表面は酸性であるべきであると認識されていた(W.H.Meijs,Diss. Univ.Delft. 1962; P.A.Lawrance, GB 1010834, 1965)。しかしながら、石油工業の流動接触分解(fluid-catalytic-cracking =FCC)での使用のためには、例えば純粋なAl−触媒はルイス酸性であり過ぎ、これは不所望な水素化物引抜き(Hydridabstraktion)及びコークス化をもたらす(US−A2003136707、2003)。従って実際に以前には、AlとTiOとの微細粒子混合物の製造によってこの酸性度を最適化することが試みられた。即ち、純粋なTiOにおいては、この金属原子が高い温度で、その表面にも、純粋Alの場合よりも高度にO−原子と配位結合して残る。更に、TiOはAlよりも水を強く吸着し、これら双方が、理想的な固体表面で、低過ぎるルイス酸性度及び所望の高いブレンステッド酸性度をもたらすはずである。更に、TiOは、触媒を用いる石油加工処理時に生じるHO及び例えば石油中に存在する硫黄化合物との反応に対してAlよりも熱的に安定である。反応生成物、金属酸化物水和物又は金属硫酸塩は、双方とも触媒的にもはや活性でないので、このことは重要である。しかしながら、Al中にTiOが又はTiO中にAlが溶けている場合(この場合には、ホスト酸化物の金属は固体中の場の上で部分的にドーピング酸化物の金属で置換されている)には、固体の理想表面上でのこのドーピング金属の場は、タナベ−計算モデル(K.Tanabe,T. Sumiyoshi,K.Shibata, T. Kiyoura und J.Kitagawa,Bull.Chem. Soc. Japan 47(1974) 1064-1066)によれば、新たなブレンステッド−及びルイス酸中心を形成する。いずれにせよこの時点まではなお、例えば吸着されたピリジンの温度プログラムされたNH−脱着及びIR−分光分析を介しての酸性度の独立した定量測定法は提供されていなかった。更に、双方の酸化物の混合の達成度は、なお実験により、例えば電子顕微鏡、ESCA又はX−線回折測定法(XRD)によって、原子又は分子の次元まで測定することはできなかった。一貫して、沈殿反応(これにより酸化物混合物又はドーピングされた酸化物の前形成物が得られる)の経過の詳細が、生成物の構造及び特性に決定的に影響することができることも認識できなかった。従って、技術水準の製造法の記述は屡々不完全に開示されているだけである。
【0014】
主成分としてのAl及び副成分としてのTiOを有する物質−大抵は完全触媒系の成分として−は、技術水準から公知である。例えばUS−A3016346は、TiO最大5.0質量%を有する混合物を開示している。GB943238は、最大25質量%のSiO及びTiOを有する混合物を開示している。GB1010834は、TiO1〜25質量%を有する混合物を開示している。US−A3758600は、TiO 60質量%までを有する混合物を開示している。US−A−4465790は、TiO 6〜8質量%を有する混合物を開示している。WO−A−2004029179は、Al/Meのモル比>5で、Al−マトリックスとその中に一様に"分散された"他の金属酸化物MeOx(金属=Me)とからの完全なX−線非晶質の酸化物混合物を開示している。US−A5229347及びUS−A−5558766は、TiO30質量%を有する混合物を開示しており、ここでは、Ti/Alのモル比=1/9の場合に最適な触媒酸性度が存在する。ここで初めて、酸化物マトリックス中のTiによるAlの置換も努力目標となっている。いずれにせよ実際には、Al中のTiOの固溶体は下回るパーセント範囲で、かつ1200℃を越える温度でのみ熱力学的に安定である。他方、DE−A−10352816は、TiOを有する微細混合物中のAlが、酸化チタン水和物及びAl(OH)のコントロールされた沈殿又はAl上への酸化チタン水和物の沈殿及び引き続くか焼(Gluehung)又は熱水(Hydrothermal)処理(ヒドロサーマル=HT)によって製造され、例えば工場−及び自動車排ガス触媒作用での高温度の場合の特別活性とみなされるTiOの比表面積及びアナタース変態(Anatas-modifikation)を安定化することができることを示している。
【0015】
前記のAl−豊富なTiO−Al−混合物とは対照的に、TiO−豊富なTiO−Al−混合物に関する技術水準の範囲は狭い。
【0016】
DE−A−10352816は、TiO87モル%までを有するTiO−Al−混合物からの触媒及び触媒担体を開示しているが、この混合物は、Al上のTiOの沈殿物及び/又は沈降物であり、この際に、Al又はAl−前形成物が既に微細分散された粒子の形で存在している。従って、この沈殿生成物は、全体的にも部分的にも、互いにまじったAl及びTiOの固溶体の形では存在しない。
【0017】
EP−A−0517136は、TiO30〜70質量%を有する触媒担体及びその製造を開示しており、この際、Al及びTiは、約5μmの大きさのドメイン(Domaen)上に不規則に分配されている。
【0018】
EP−A−0798362は、TiOの熱安定性及び比表面積を高めるためのAl又は他の金属酸化物50質量%以上を有するTiOの触媒粒子を開示している。この場合には、TiO及び他の酸化物、例えばAlの混合物を製造するための、例えば共沈、相互に継続する沈殿、含浸及び配合による種々異なる公知の水性法は等価であると考えられている。FCC−法のための使用時には、これらは発明者の実験によっても違いを示していない。生成物の比表面積、細孔容積及び他の特性に関しては何の記載もない。第2の酸化物は、触媒材料の熱安定性を高める作用をし、ここでこれは、TiO上にバリア層を形成し;TiO−結晶格子中への入り込みは、これを不安定にする(DE-A-10352816;U.Gesenhues,Chem. Eng. Technol. 24(2001) 685-694)。従って、この第2の酸化物は、TiO−結晶中に溶けて存在することはできない。従って、EP−A−0798362中に開示されている酸化物混合物の製造法は、互いにまじったAl及びTiOの固溶体をもたらさない。
【0019】
US−A−5922294は、金属アルコレートからか焼下に製造された、見かけ上その中に最大60質量%の割合で溶けたAlを有するTiOを触媒担体として開示している。この場合に、見かけ上その中に溶かされたAlを有するアナタース変態のTiOは、Ti−及びAl−アルコレートの共通のアルコール溶液の水の添加による加水分解及び沈殿生成物のか焼による後処理によって製造されている。この製造法は、容易に推考しうる。それというのも双方の金属は既に出発溶液中に原子分散性に混じって存在しているからである。こうして、見かけ上、39質量%までのAlがアナタース結晶格子中に溶けて存在することができる。しかしながら、このようなアナタース中のAlの固溶体は、ルチル及びα−Alへの壊変に対して熱力学的に準安定であり、この際、ルチル変態中では、Al0.6〜2.0質量%のみが安定に可溶である(O.Yamaguchi und Y. Mukaida ,J.Am.Ceram.Soc. 72(1989) 330-333)。US−A−5922294中に開示された生成物は、多孔度測定でBETに関してのみ特徴付けられている。同じ合成原理を用いて、最大0.33cm/gの全細孔容積に達する生成物を製造できることも明らかであった。TiOのアナタース変態は、約850℃まで安定であり;AlのXRD−反射は、この温度までは認められず、この温度の上でルチル及びコランダムが生じる(J.Kim,K.C.Song,S.Foncillas,S.E. Pratsinis,J.Eur.Ceram. Soc.21(2001) 2863-2872; J.Kim.O.Wilhelm und S.E.Pratsinis ,J.Am.Ceram.Soc. 84 (2001) 2802-2808)。同様に、この合成原理は有機錯形成剤の添加によって改良でき;Al 50モル%、残りTiを有する生成物が得られ、これは非か焼ではX線非晶質であり、か焼されているとX線回折写真でアナタース反射のみを示す。生成物及びその誘導体は、有利に、BETによる測定によれば最低74%がマイクロ孔性であり、全細孔容積は0.31cm/gを越えない(E.Y.Kaneko,S.H.Pulcinelli ,V.Teixeira da Silva, C.V.Santilli,Appl. Catal. A: General 235(2002) 71-78)。技術水準によれば、Alがアナタース中に溶けている証拠として、一般に注意深く撮影されたX線回折写真での種々のAl−変態の反射の欠如又は電子顕微鏡撮影でのAl及びTiの一様な分布で認められる。
【0020】
酸性TiO−ベースの触媒、その構造及びその使用に関する概要は、例えばS. Matsuda und A.KatoによりAppl. Catal. 8(1983) 149-165中に示されている。
【0021】
見かけ上その中に溶けているAlを有するTiOからの触媒担体の製造は、多く開示されている。しかしながら、有機添加物なしでの水性Ti−及びAl−含有溶液からのTiO−Al−混合物の製造の特別な場合は、技術水準には滅多に開示されていない。
【0022】
例えばUS−A−5229347及びUS−A−5558766は、硫酸アルミニウム及びTiOCl又はTiOSOの共通の溶液に、中和のために必要な量のアルミン酸ナトリウム溶液を、他の酸又は塩基なしに加える方法での製造法を開示している。これにより、Al(OH)及びメタチタン酸は多かれ少なかれ微細に混合されて沈殿する。沈殿生成物は乾燥され、か焼される。この方法の場合の欠点は、TiOCl−溶液の高い酸性度に基づき、TiOを有するAl−豊富な混合物のみが製造でき、かつNaAlOを用いる中和の際に、沈殿生成物からNa−イオンは、一般に劣悪に洗浄除去可能であることである。か焼生成物のX線回折写真は証言力が低く、これは結晶TiOを示さず、γ−又はη−Alのみを示している。
【0023】
金属硫酸塩−又は−硝酸塩溶液から、NH−水溶液を用いる中和及びHNOを用いる解膠(Peptisierung)により、別々にTiO−及びAl−ゾルを製造し、次いで混合し、NH−水溶液を用いてゲル化し、かつ乾燥させ、並びに場合によってはなお400〜1000℃でか焼する方法も公知であり;一方で、5nmの純粋アナタースとベーマイト、390〜535m/gのBET表面積を有する結晶AlOOH−変態からの混合物が開示され、他方で、アナタース変態でのTiO及びなお不詳な形のAlを有し、並びに最大160〜260m/のBET表面積を有するTiO−Al−混合物が開示され;この細孔容積は最大0.34cm/gであることがありうる(S. Sivakumar, C.P.Sibu,P.Mukundan,P.Krisha Pillai und K.G.K.Warrier,Mater, Lett. 58(2004) 2664-2669)。このTiO−Al−混合物は、Al 10〜57モル%を含有し、これは非か焼で、4〜5nmの大きさのアナタース微結晶及びベーマイトを含有し、か焼されていれば、TiO−微結晶のみを、800℃までではアナタース変態のみを含有する。このこと並びにか焼混合物のAl−含有のアナタース格子定数の変化は、アナタース結晶中のAlの固溶体の情報として評価され;いずれにせよ格子定数の測定の信頼性は、5回測定下での注釈なしの逸脱(第1表中のTi−Al(0.70))並びに説明の完全欠落によって問題である。更に、混合物のAl−含分上昇に伴って認められるアナタースのルチルへの転換の妨害の増加(図1及び2、並びにテキスト)が、むしろ純粋なアナタース微結晶のAlでの表面被覆を証明している。生成物のBETによる表面積は、非か焼では390〜535m/gであり、この際、改めてTi−Alにおける逸脱(0.70)を認めることができ、か焼により、混合物のAl−含分の上昇に伴い定常的に徐々に低下する。いずれにせよ細孔容積に関する結果の信頼性は大抵は負であるが、注釈はなく、むしろ第2表中のマイクロ孔に関する4つの小数位で記載の値で問題がある。メソ孔直径の分布は単峰性(unimodal)であり、常に2〜17nmの範囲をカバーしている。
【0024】
当該分子の大きさによる反応の付加的コントロールのための触媒の均一な細孔寸法の効用は、70年代のゼオライトの概論で明らかにされた。ゼオライトは、種々の結晶アルミノ珪酸塩の1クラスであり、更に、その細孔は結晶格子の部分であり、従って均一な大きさである同型(isotypen)アルミノ燐酸塩である。Al/Si−もしくはAl/P−比は、結晶構造を特徴付けるが、最大1.2nmである細孔幅は同時に酸性度を決定する。従来ゼオライトは、貴金属、遷移金属並びにアルカリ金属の触媒又は触媒担体として、FCC−法を包含するナフサ及び重油の分解のため、ナフサ及び重油の脱硫のため、燃料のオクタン価を高めるための低沸点炭化水素の複分解/異性化のため並びに有機原料化学の出発物質の取得のために使用されていた。更にこのような触媒は、フィッシャートロプシュ−合成のため及び有機ファインケミカルの製造のために利用することができる。
【0025】
前記の反応のために、殊に均一な細孔寸法のメソ孔及び/又はマイクロ孔触媒及び/又は触媒担体が有利であることが確認され、ここで酸化物混合物の孔次元を所望生成物の分子寸法に合わせて調節することにより、触媒作用反応の生成物スペクトルに影響することができる。
【0026】
均一な細孔寸法を有する触媒の製造、構造及び使用に関する概要は、F.Schueth,Ber. Bunsenges.Phys.Chem.99(1995)1306-1315;A.Sayari,Chem.Mater.8(1996) 1840-1852; E.Hoeft et al.,J.prakt.Chem.338(1996) 1-15; J.Y.Ying,C.P.Mehnert,M.S.Wong,Angew. Chem.Int.Ed.38(1999)56-77中に見出すことができる。
【0027】
更に、均一な細孔寸法を有するメソ孔及び/又はマイクロ孔金属酸化物が更に、物質混合物を分離するためのクロマトグラフィカラム中の充填物質として使用できることが確認された。このことは、既に、例えば医薬品、除草剤、殺虫剤並びに有機異性体用のSachtleben Chemie GmbHからSACHTOPOREなる商品名で提供されているような純粋TiOで示されていた。
【0028】
このような物質は、所望の生成物を触媒的に製造することができるだけでなく、不所望の副産物から分離することもできるので、1製造法で、反応器及び分離装置を一緒にできることが有利であり、例えば反応性蒸留でのそれと同様にこのコンセプトは、既に経済的に利用されている(K.Sundmacher u.M.Ivanova,Chemie in unserer Zeit 37(2003)268)。
【0029】
US−A−5334368は、均一な細孔寸法のこのメソ孔触媒の製造のための工業的に慣用の方法を開示している。この場合には、例えば水性及び有機性の混和しない2種の液体からエマルジヨンが得られ、そのミセル形及び−寸法は、構造方向付け添加剤として添加される界面活性剤又は両親媒剤の連鎖長及び他の特性によってコントロールされる。第1又は第2の液相中に溶かされた金属−及び半金属化合物、例えば水ガラス、硝酸アルミニウム、しかしながら大抵は金属又は半金属のアルコレートが加水分解され、この際、水中に溶かされた金属−及び半金属化合物の場合には、pH−値が変えられるか又は水と混和しうる溶剤を加えられるか又は有機金属−及び半金属化合物の場合には水が加えられる。その場合に、ミセル界面の所に金属水酸化物、アルミニウム珪酸塩、アルミニウム燐酸塩又は相応する化合物が沈殿する。この沈殿の後に、有機溶剤を乾燥によって、界面活性剤又は有機添加剤を抽出又はか焼によって除去することができる。水和により生じた沈殿生成物を脱水して触媒反応での使用のために安定な形に変えるために、大抵は、か焼も必要である。この場合には、物質の細孔構造が崩壊することがある。沈殿生成物からの有機化合物の除去は必ずしも常に成功するとはかぎらないので、か焼時に重縮合された芳香族化合物又はグラファイト層の形で表面上に残っている炭素はこの物質の触媒活性を変える。TiO−表面上で、これは有機障害物質分子の光触媒作用分解を促進する(C. Lettmann,K.Hildenbrand,H.Kisch,W. Macyk,W.F.Maier,Appl.Catal. B 32(2001)215-227)が、石油分解での使用の際に、物質の表面でのこのような炭素被覆は、不所望なコーキングの種としての作用をする。界面活性剤又は有機添加剤を容易に除去するために、乾燥後のか焼の代わりに熱水処理を実施し、次いで抽出し、かつ改めて乾燥させることができる。いずれにせよ、これらの付加的な方法工程は生成物を高価にする。金属−及び半金属アルコレートを介する均一な細孔寸法を有するメソ孔物質を製造する利点は、この生成物がアルカリイオンを含有しないことである。このことは、触媒の酸性度及び熱安定性のためには不利である。しかしながら、有機金属試薬及び有機試薬は高価であり、水性化学品よりも危険である欠点を有する。この方法で製造されたいくつかの生成物で、X線回折写真の小角領域での付加的反射が認められような規則的な細孔配列が確認された。製造のための類似の方法が、US−A−5718878、JP−A−2003119024及びUS−A−5140050中に開示されている。
【0030】
メソ孔酸化物及びその混合物を製造する他の方法が、化学文献中に開示されている(J.Kim,K.C.Song, S.Foncillas, S.E.Pratsinis, J.Eur.Ceram.Soc.21(2001) 2863-2872; J.Kim, O.Wilhelm, S.E.Pratsinis, J.Am.Ceram, Soc.84(2001)2802-2808)。構造方向付添加剤なしでの金属アルコレートの溶液からの共沈によるこの方法では、部分的に均一な細孔寸法を有するメソ孔酸化物も生じる。しかしながら、いかにして細孔直径がドーピング濃度に無関係に2〜20nmの間の値に調節できるのかについての明白な技術的教示は明らかにされていない。
【0031】
有機化合物使用なしに、Ti−及びAl−含有水溶液から、均一な細孔寸法を有する酸性のメソ孔TiO−豊富なTiO−Al−混合物を製造するために一般的に使用可能な方法は、従来文献に記載されていない。
【0032】
本発明の課題は、技術水準の欠点を克服することである。
【0033】
殊に、本発明の課題は、互いにまじったAl及びTiOの固溶体を含有しているTiO−豊富な触媒活性酸化物混合物を提供することである。本発明のもう一つの課題は、この酸化物混合物の酸性度を調節できることにある。本発明のもう一つの課題は、酸化物混合物が有利にメソ孔を有すべきことにある。本発明のもう一つの課題は、酸化物混合物が有利にマイクロ孔を有すべきことにある。本発明のもう一つの課題は、この酸化物混合物の細孔が有利に均一な細孔寸法を有すべきことにある。本発明のもう一つの課題は、酸化物混合物の細孔が調節可能な細孔寸法を有すべきことにある。
【0034】
この場合に、本発明による酸化物混合物の製造法は、高価かつ危険な有機又は有機金属化合物の使用を不必要とすべきである。
【0035】
本発明による酸化物混合物は、触媒及び/又は触媒担体として使用できるべきである。
【0036】
更に本発明による酸化物混合物は、物質分離の系中で、有利にクロマトグラフィカラム中で充填物質として使用できるべきである。
【0037】
更に本発明による酸化物混合物は、同じ1装置中での工業的製造法で、触媒及び/又は触媒担体としても、クロマトグラフィ固定相としても使用可能であるべきである。
【0038】
本発明によればこれらの課題は、意外にも本発明の特定請求項の特徴によって解決される。従属請求項中には、有利な実施態様が存在する。
【0039】
殊にこれらの課題は、本発明によって、互いにまじったTiO及びAlの、好ましくはTiO中のAlの固溶体を含有している、メソ孔の酸性触媒活性酸化物混合物によって解決され、この際、このメソ孔は好ましくは均一な細孔寸法を有する。
【0040】
殊にこれらの課題は、本発明によって、TiO及びAlの互いにまじった、好ましくはTiO中のAlの固溶体を含有している、マイクロ孔の酸性触媒活性酸化物混合物によって解決され、この際、このマイクロ孔は1〜2nmの直径d50を有する。
【0041】
本発明による酸化物混合物は、後に記載の本発明の方法によって得られる。意外にも、本発明による酸化物混合物は、殊にゆっくりな沈殿によって得られることが判明した。この本発明の方法は、一般に次の工程を特徴としている:
− Ti−及びAl−含有水溶液から、1溶液の前装入及び他の溶液の添加によって、TiO及びAlの水和された前形成物(Vorformen)を沈殿させる。この場合に、アルカリ又はNHの水溶液を用いてpH−値を4〜8に保持するか又は後からこの範囲に調節する。この場合に、有機又は有機金属化合物を使用しない。この場合に本発明によれば、(a)4を下回る、好ましくは7を下回るまでのpH−値の低下を阻止するためにアルカリ添加下に、Ti−水溶液を、前装入されたアルカリ性Al−溶液にゆっくり添加するか、又は(b)アルカリ性Al−溶液をゆっくりTi−溶液に添加する、この際には、引き続きpH−値をゆっくり最大8まで、好ましくは最大7まで上昇させる。ここで、本発明における「ゆっくり」とは、バッチ量1リットル当たり及び沈殿時間1時間当たりの生成物(TiO+Alとして計算)30〜1g、好ましくは30〜5g、特別好ましくは28〜5gの沈殿速度であることを意味する。
【0042】
沈殿時間とは、(a)ではTi−溶液の添加の時間であると理解され、(b)ではAl−溶液及び引き続くpH−値の上昇のためのアルカリの添加の時間であると理解される。バッチ量とは、沈殿の終点時の懸濁液の量であると理解される。この場合に、本発明による酸化物混合物中のTiOとAlとの量比は、添加されるTi−及びAl−含有溶液の量比を介してコントロールされる。
− 酸化物混合物を、有利に濾過によって沈殿生成物として分離し、かつNa−イオン及びSO2−−イオンを排除するために有利に(NHCO−水溶液で洗浄する。それというのも、これらは触媒又は触媒担体の使用時に害となる:即ちNa−イオンは、熱負荷時に比表面積を減少させ、かつTiOの好ましいアナタース変態のルチルへの転換を促進し;SO2−−イオンは、石油化学での使用時に生成物流中に入り込み、ここで、一方では一般的に低い硫黄含分が望ましく、他方ではそれがAlと反応してAl(SOを形成させ、これにより触媒を失活させることがありうるからである。
− 精製された酸化物混合物を乾燥させ、場合によりか焼するか又はHT−処理をする。
【0043】
意外にも、本発明によるAl−水溶液へのゆっくりなTi−水溶液の又は逆の添加は、か焼又はHT−処理の後にもなお、Al及びTiOを、少なくとも部分的に互いにまじったAl及びTiOの固溶体が存在する程度に良好に互に混合して含有している酸化物混合物を生じさせる。更に意外にも、本発明により(a)Ti−水溶液をAl−水溶液に加える場合に、細孔直径の広い分布が得られ、かつ、(b)によりAl−水溶液をTi−水溶液に加える場合に、か焼又はHT−処理によって、2〜3nmから15nmまで大きくすることができる均一な細孔直径が得られることが判明した。
【0044】
意外にもこの場合に、本発明により製造された触媒活性酸化物混合物では、化学的混合度並びに細孔寸法及び細孔均一性が、相互に無関係に、かつ量比TiO/Alによってコントロールすることができる。
【0045】
これとは対照的に、微粒子状Al(OH)及び酸化チタン水和物の同じ容器中での順次の沈殿又は中性範囲のpH−値でのTi−及びAl−含有水溶液の同時の迅速な共同添加は、か焼又はHT−処理の後に生成物を生じ、これはXRD及びEDXを用いるREMによれば、AlとTiOとからの混合物である(DE−A−10352816)。
【0046】
製造の間又は製造の後に本発明による酸化物混合物に他の金属イオンを付加的にドーピングすることは、技術水準による方法を用いて、例えばTiOSO−、Al(SO−又はNaAlO−溶液中に溶かされた金属塩によって、又は沈殿及び乾燥後の金属塩溶液での含浸によって可能である(DE−A−10352816)。加えて、本発明による酸化物混合物を例えばV及び/又はMoの遷移金属酸化物で、貴金属又は他のVIIIB−金属又はそれらの硫化物で被覆することが、技術水準により可能である。
【0047】
本発明による酸化物混合物は、技術水準による沈殿の後、乾燥の後、か焼の後又はHT−処理の後に直ちに、慣用の予備処理の後に顆粒又は成形体に加工することができる(DE−A−19913839)。
【0048】
本発明による触媒活性酸化物混合物は、例えば石油化学、有機基礎化学及びオレフィン重合において触媒又は触媒担体として使用される。
【0049】
本発明の対象は、詳細には次のものである:
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− Al 0.5〜45モル%、好ましくは1〜40モル%、特別好ましくはAl 2〜40モル%を含有する、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− 互いにまじったAl及びTiOの固溶体を含有する、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− 2〜50nm、好ましくは2〜40nm、特別好ましくは2〜20nmの平均細孔直径d50のメソ孔を有する、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− 1〜2nmの平均細孔直径d50を有するマイクロ孔を有する、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その際の固溶体の粒度d50が0.5〜10、好ましくは1〜5、特別好ましくは1.2〜3.5、全く特別好ましくは1.5〜2.5μmである、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その際の固溶体の微細分中の粒度d50が0.5〜10、好ましくは1〜5、特別好ましくは1.2〜3.5、全く特別好ましくは1.5〜2.5μmである、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その際の細孔、有利にメソ孔の対数直径分布が0.01〜0.50、好ましくは0.02〜0.40、特別好ましくは0.05〜0.40の幅σを有する、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− そのBETによる比表面積が5〜800m/g、好ましくは30〜600m/g、特別好ましくは50〜450m/gである、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その細孔容積が0.02〜2cm/g、好ましくは0.05〜1cm/g、特別好ましくは0.05〜0.7cm/gである、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その細孔容積の30〜99%、好ましくは50〜99%、特別好ましくは70〜99%がメソ孔から構成されている、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その細孔容積が−測定精度の範囲内で確認可能な限り−完全にメソ孔によって構成されている、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その際のメソ孔の細孔寸法は調節可能である、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その中に溶けているAlを有する非晶質TiOからの熱力学的一相系を含有する、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− その中に溶けているAlを有するアナタース結晶からの熱力学的一相系を含有する、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− そこでのアナタース結晶が、互いにまじったAl及びTiOの非晶質固溶体を有して成長している熱力学的二相系を有する、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物;
− 有機又は有機金属化合物を使用せずに、Ti−及びAl−含有水溶液からTiO及びAlの水和された前形成物の沈殿による、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物を製造する方法であって、この際、
− 塩基、好ましくは塩基性水溶液、特別好ましくはLiOH、NaOH、KOH又はNHの水溶液の添加の下に、前装入されたアルカリ性Al−溶液にTi−水溶液をゆっくり添加する、この際、4〜8、好ましくは6〜7のpH−値を保持するか、又は
− アルカリ性Al−溶液をTi−溶液にゆっくり加える、この際、引き続きpH−値を、塩基、好ましくは塩基性水溶液、特に好ましくはLiOH、NaOH、KOH又はNHの水溶液の添加によってゆっくり4〜8、好ましくは6〜7まで高める;
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の製造法、この際、Ti−水溶液は、チタン50〜400g/l、好ましくは60〜300g/l、特別好ましくは60〜250g/lを含有している、塩化チタニル−、硝酸チタニル−又は硫酸チタニル水溶液である;
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の製造法、この際、Al−水溶液は、アルミニウム50〜350g/l、好ましくは60〜300g/l、特別好ましくは70〜250g/lを含有している、アルミン酸アルカリ水溶液である;
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の製造法、この際、酸化物混合物を、有利に濾過によって沈殿生成物として分離させる;
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の製造法、この際、この酸化物混合物を、有利に(NHCO−水溶液で洗浄する;
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の製造法、この際、精製された酸化物混合物を乾燥させる;
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の製造法、この際、精製され、かつ乾燥された酸化物混合物を、350〜900℃、好ましくは400〜850℃の温度で1〜20時間、好ましくは2〜10時間、特別好ましくは2〜6時間か焼する;
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の製造法、この際、未精製の又は精製された酸化物混合物を、100〜250℃の温度で1〜20時間、好ましく2〜16時間、特別好ましくは2〜6時間HT−処理する;
− Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物を、好ましくは化学的触媒反応プロセスで、石油化学工業及び/又は有機原料合成で、特別好ましくはナフサ及び重油の水素添加分解及び/又は脱硫時に、全く特別好ましくは高硫黄含有原料の流動接触分解(FCC)及び深度接触分解(DCC)−法で、並びにHDS(ヒドロ脱硫)法で、及び芳香族化合物成分の水素化の場合に、低沸点炭化水素の異性化及び/又は脱水素の場合に、全く特別好ましくはオレフィン収率の増加のための石油後処理で、並びにブタン−及びブテン異性化で、フィッシャートロプシュ合成で、全く特別好ましくは石炭液化のために及び/又は飽和及び不飽和炭化水素部分的酸化により全く特別好ましく酢酸、アクリル酸、マレイン酸、フタル酸及びテレフタル酸にする場合に、長鎖オレフィン、テルペン及びシクロヘキサンのエポキシド化で、並びに多核芳香族化合物の加水分解で、触媒又は触媒担体としての用いる使用;
− 物質分離のための系中での、有利にはクロマトグラフィカラム中の充填物質としての、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の使用;
− 有利に石油からの燃料製造の際の吸着による選択的芳香族化合物分離のための圧力変動−吸着法による工業的製造法における、同じ1装置中での、Al及びTiOを含有している触媒活性酸化物混合物の触媒及び/又は触媒担体としての及びクロマトグラフィ固定相としての使用。
【0050】
下記の実施例1〜6並びに比較例1及び2につき本発明を詳述するが、本発明はそれらのみに限定されるものではない。
【0051】
実施例中では、沈殿後の本発明による酸化物混合物並びにか焼又はHT−処理後の本発明による酸化物混合物の精製され、かつ乾燥されたフィルターケーキで、次の調査を行った;
− Ti、Al、NH、Na及びSOに関する化学的分析;
− N−吸着を用いる多孔度測定;
− 存在する微結晶化合物のX線回折測定、試料のTiO−分中のアナタース及びルチルの割合及びシェレル(Scherrer)によるTiOの微結晶寸法;
− 試料の100〜200nm長さの縦線に沿った及び試料の5〜10nmの表面での、EDXを介するTi及びAlの分布の調査による、走査−及び透過電子顕微鏡検査;
− ピリジンの吸着及びIR−分光法;
− フラウンホーファー回折を用いる1〜1000μmの粒度分布(TGV)。
【0052】
多孔度測定法は、IUPACで標準化されており(Pure & Appl.Chem.57(1985) 603-619);下記の実施例では、マイクロ孔多孔度をt−法で評価し、メソ孔多孔度をBJH−法(E.P.Barrett,L.G.Joyner und P.P Halenda,J.Amer.Chem.Soc.73(1951)373ff)で評価した。更に、BJH−評価は、200〜300nmまでの細孔直径の情報を提供している。ここで、BJHによるメソ孔直径分布の平均幅σは、細孔直径の対数に対する累積細孔容積の製図(分布の累積頻度曲線)から測定され、ここで、細孔容積が最終値の16、50及び84%に達する所の細孔直径dを読みとった、この際、
σ=In(d50/d16);σ+=In(d84/d50);σ=(σ+σ)/2
が当て嵌まる。
【0053】
X線回折線図を、ブラッグ−反射法によるCu−Kα−線を用いて記録し、結晶化合物に対する反射の割り付け(Zuoerdnung)のために、インターネットのPowder Diffraction Fileを用いた。Center for Diffraction Data ,1999及びAl−酸化物では、R.S.Zhou und R.L.Snyderの結果を利用した(Acta Cryst. B47(1991)617-630)。ここで、転移(Ubergangs)−Alとは、α及びθ以外の全てのAl−変態であると理解される。
【0054】
ピリジンの吸着及びIR−分光法のために、得られた本発明の酸化物混合物の粉末を圧縮して圧縮体にし、CaF−窓を有するIR−セル中に移した。そこで、ガス通過により試料を乾燥させ、ピリジンを吸着させ、次いで400℃までの加熱により再び脱着させ、この際、50℃毎にIR−スペクトルを記録した。1400〜1700cm−1のバンドは、試料表面上の吸着されたピリジン分子、ブレンステッド酸−、ルイス酸中心並びにルイス中心の強さを示している(G.Busca,Phys. Chem.Cem. Phys. 1(1999)923-736)。
【0055】
粒度分布の測定のために、試料を、Fa.IKAの実験用粉砕ミル中で30秒間均質化し、粉砕し、次いで、約64%のP−含有率を有する、平均連鎖長のインスタント化(instantisierten)ポリ燐酸ナトリウム(例えばFa.BK LadenburgのCalgon N neu)の0.1〜0.3%溶液中で、5分間磁気撹拌する(略字:5’MR)か、又は付加的に10分間超音波浴中で分散させ(略字:5’MR+10’US)、引き続き、Fa.Sympatec,ClausthalのHELOS−装置中で、633nm−レーザー線を用いて測定した。
【0056】
例1:NaAlO−溶液の前装入、TiOSO−溶液の添加
Al−含分132g/l(Al250g/lの含分に相当)を有するNaAlO−水溶液117mlの撹拌前装入物に、一様に、TiOSO−溶液1250ml(これは、TiO110g/lに相当するTi66g/lを含有し、HSO225g/lで安定化されている)を、1分当たり10mlの速度で添加する。この量比は、Al 25モル%、残りはTiの本発明による酸化物混合物の組成に相当している。前装入物中のpH−値が7に達すると同時に、このpH−値が保持されるように10%苛性ソーダをポンプ導入した。添加終了時にこの量は4.3リットルである。この記載値に相応して沈殿速度は、1リットル及び1時間当たり18.6gである。次いで、1時間後撹拌し、吸引濾過し、バッチ中でTiOとAlとの合計1kg当たり(NHCO−溶液24リットルで洗浄する、この際、この溶液は10g/lの濃度を有する。本発明によるこの酸化物混合物を乾燥させる。酸化物混合物各々10gをマッフル炉中、450、600及び800℃で4時間か焼し、引き続き検査する。
【0057】
結果は第1表中に示されている。XRD−、REM−及びEDX−分析の結果の評価は、本発明による酸化物混合物中でAl及びTiが、か焼の後に、互いにまじったTiO及びAlの固溶体が生じているはずである程度に良好に相互に混合されていることを示している。この場合に、本発明による酸化物混合物中には、結晶TiOがその中に溶けているAlを有する(熱力学的な1相系)か又は純粋結晶TiO及び互いにまじったTiO及びAlの非晶質固溶体の混合物(熱力学的な2相系)又は双方の系からの混合物が存在できる。第1表中の結果は、更に本発明による酸化物混合物は、非か焼で又は触媒的使用のためにか焼されて、充分な比表面積及び多孔度を有し、これは充分に熱安定でもあることを示している。
【0058】
同様な方法で、Al 40モル%、15モル%、7モル%及び3モル%を有し、残りがそれぞれTiである組成を有する本発明による酸化物混合物を製造し、調査した。結果は第7表中に示されている。これは、Al 25モル%を有する本発明による酸化物混合物と類似の比表面積及び細孔容積の値を示している。双方の数値は、TiO−含分の上昇に伴い、僅かに低下し、かつか焼温度上昇に伴い著しく低下するが、細孔容積は、2004年にSivakumar.Sibu,Mukundan等により記載された値よりも常に大きい。この大きい細孔容積は、触媒作用用途のために重要である。BJH−評価からの細孔直径(メソ孔及び200nmまでの細孔)は、か焼の前にもその後にも常に不均一である。不均一とは、細孔直径分布の累積曲線が2〜200nmの間で殆ど直線であること、即ち他よりも顕著に頻繁に現れる細孔直径はない。Al及びTiは、REM及びEDXによれば常に、前と同様に相互に良好に混合されており、XRDでは、か焼の前の全TiO−Al−混合物に関しても、Al−豊富な混合物に関して、低い温度でか焼の後にも、反射を示さず、従ってアナタース反射のみを示している。TiO−豊富な混合物の場合にのみ、最大か焼温度でもなお、ルチル反射が観測される。
【0059】
か焼された試料の粒度分布(略字:TGV)は、常に二峰性(bimodal)であり、5’MR後では最大粒子寸法は約200μmであり、5’MR+10’US後では約50μmであった。第1表及び第7表中には、微細分の量、100%に対する差に相当する粗大分の量が記載されている。更に、微細分及び粗大分のd50−値が記載されている。結果は、沈殿からの一次粒子が、Al−分、か焼温度及び分散強度とは無関係に、か焼の後に差し当たり、常に約2μmまで集合され、更に25〜55μm(5’MRの後)又は10〜20μm(5’MR+10’USの後)まで凝集されていることを示している。微細分は、細孔のAl−含分の上昇に伴い増加するが、か焼温度の上昇に伴って低下せず、このことは有利である。
【0060】
例2:TiOSO−溶液の前装入、NaAlO−溶液の添加、苛性ソーダでの中和、か焼
TiOSO−溶液1250mlの撹拌前装入物に、NaAlO−溶液117mlを、1分当たり5mlの速度でポンプ導入する;双方の溶液は、例1中のそれらに相当する。量比は、Al 25モル%、残りTiの本発明による酸化物混合物の組成に相当する。その後pH−値は2を下回っている。引き続き10%苛性ソーダを、2.5のpH−値に達するまで1分当たり20mlで、かつ7のpH−値に達するまで1分当たり10mlでポンプ導入する。合計2930mlが必要である。従って、バッチの量は4.3リットルである;沈殿速度は1リットル及び1時間当たり10.5gである。本発明による酸化物混合物を、例1におけると同様に後撹拌し、濾過し、洗浄し、乾燥させ、か焼し、かつ検査する。
【0061】
結果は第1表中に記載されている。XRD、REM及びEDXによれば、か焼の後のAl及びTiは、互いにまじったTiO及びAlの固溶体が生じているはずである程度に良好に相互に混じっている。これは、高い温度で分解して純粋酸化物になる。第1表中の結果は、更にこの物質が非か焼で、及び弱くか焼されて、触媒用途のために充分な比表面積及び多孔度を有することを示している。限られた熱安定性は、高いNa−含有率に帰因している。高いSO−含有率も触媒反応での使用のためには不利である。BJHによる細孔直径分布は、2〜200nmの範囲で単峰性であり、メソ孔範囲内に存在し、この物質におけるメソ孔直径は均一であり、かつか焼温度に伴い成長する。生成物が単峰性(monomodal)のメソ孔を有するということは、殊に生成物中に50〜200nmの直径の細孔が存在しないことを示している。
【0062】
例3:TiOSO−溶液の前装入、NaAlO−溶液の添加、NH−溶液を用いる中和、か焼
例2におけると同様な実験を行うが、苛性ソーダの代わりに15%NH−水溶液を1分当たり5mlで、7のpH−値に達するまで添加する。更に、濾過の前に2回の沈殿物洗浄を行い、この際、バッチに、完全脱塩水を60リットルまで充填し、4時間放置し、その後、澄明上澄み40リットルをサイホン除去する。NH−溶液の添加の終点で、このバッチは2.3リットルの量を有し、この例での沈殿速度は、1リットル及び1時間当たり21.4gである。結果は第1表中に示されている。BJHによる細孔直径分布は、前記例のそれに相当し、本発明による酸化物混合物の沈殿生成物及びか焼生成物のメソ孔直径の分布もまさに狭く、分布幅σは、第2表中のAl 25モル%、残りTiに関する欄中に示されている程度である。結果は、共にREM及びEDXを用いて示されている:
− 生成物中のNa−含有率は、例2による試料中のそれより低い;従って比表面積は、高い温度で、以前の試料におけるよりもより安定に残っている;
− Al及びTiは、か焼の後に良好に相互にまじっている;TiO及びAlの固溶体が生じており、これは高い温度でももはや分解して純粋酸化物にならない;
− 細孔容積はメソ孔に由来し、か焼によって減少する;
− メソ孔直径は、各々のか焼温度で均一であり、温度によって2〜15nmの間に調節することができる。
【0063】
同様な方法で、Al 40モル%、15モル%、7モル%及び3モル%、残りはTiから成る組成を有する本発明による酸化物混合物を製造し、検査する。結果は、第2表中に存在する。本発明によるどの酸化物混合物でも、最大か焼温度の場合にも、XRDでTiOのルチル相及びAl−変態は検出可能ではない。互いにまじったTiO及びAlの微細分散性の分布は、試料上の100〜200nmの縦線に沿った及び試料の5〜10nmの大きさの表面積でのAl及びTiに関するEDXを用いるTEMによれば、Al 40モル%を有する本発明による酸化物混合物中でも、か焼の後に確保されている、即ち、か焼された本発明による酸化物混合物は、完全に中に溶けたAlを有するアナタースから成っている(熱力学的1相)か又はアナタース及び互いにまじったAl及びTiOの非晶質溶液から成っている(熱力学的2相)。均一なメソ孔寸法は、沈殿生成物中に既に存在し(第2表)、か焼時に残存し、酸化物混合物のAl/Ti−比とは殆ど無関係に調節することができる(第2表)。前記の例中におけると同様にこれら全ての生成物は、50〜200nmの直径を有する細孔を含有していない。
【0064】
第2表による本発明の酸化物混合物を、付加的にそのブレンステッド−及びルイス酸性度につき、ピリジン−吸着及びIR−分光法を用いて検査する。600℃でか焼された試料は、予想通りに殆どルイス酸性度のみを示す。全ルイス酸性中心の表面濃度は、スペクトロメータ中での100℃までの加熱の後の1445cm−1のバンドの強度から測定することができ、これは、試料のAl−含有率上昇に伴い低下する。この低下は、弱酸性中心の消失に帰因し、強酸性中心の濃度は、スペクトロメータ中で400℃までの加熱の後の1445cm−1のバンドの強度及び加熱時の1600cm−1の周りの3本のシングルバンドの発生が示すように、同じまま残っている。従って、表面中心の平均酸性度は、試料のAl−含有率と共に上昇する。
【0065】
粒子寸法分布は、5’MR+10’USの後には約100μmの最大粒度を有する二峰性である。例1におけるとは異なり、(5’MR+10’USの後の)微細分は少ないが、これは生成物のTiO−含有率上昇に伴い同様に低下する。
【0066】
例4:か焼の代わりのHT−処理
実験を例3と同様に実施するが、本発明による酸化物混合物のフィルターケーキを脱イオン水で固体8〜11%になるまで懸濁させ、この懸濁液を、鋼オートクレーブ中、120〜180℃で、2〜16時間熱水処理する。本発明による酸化物混合物を濾別し、乾燥させ、かつ検査する。
【0067】
結果は第3〜5表中に示されている:
− か焼の代わりにHT−処理を用いても、均一な寸法のメソ孔を得ることができるとはいえ、この際のメソ孔の直径分布は、か焼された試料における程度に狭くはない;
− メソ孔直径は、HT−処理を用いて2〜15nmの所望範囲内に調節することもできる;
− メソ孔直径の調節のために、同等の温度及び時間をHT−処理に使用することができる;
− 前記例中におけると同様に、50〜200nmの直径範囲内の細孔は存在しない;
− 沈殿時に得られた、互いにまじったAl及びTiOの固溶体は、高いAl−含有率の場合には、HT−処理に対してはか焼に対する程安定ではない;
− Ht−処理は、か焼によるよりも大きい細孔容積を生じさせ;これは、Al−含有率に依るのではなく、熱的に安定である;このことは、熱負荷下での使用の場合の触媒又は触媒担体としての本発明による酸化物混合物の使用のために、かつ特別に、低いAl−含有率を有する触媒又は触媒担体の製造のために有利である;
− 粒度分布は、例3におけるように二峰性(bimodal)であり、最大粒径は約50μmである;しかしながら(5’MR+10’USの後の)微細分のそれはより高く、Al−含有率低下に伴い微細分が増加し、平均微細粒子直径は低下する;
例5:沈殿のための濃TiOSO−溶液の使用
実験を、例3におけると同様に実施するが、TiO110g/l及びHSO225g/lを有するTiOSO−溶液1250mlの代わりに、TiO280g/l及びHSO575g/lを有するTiOSO−溶液490mlを前装入する。更に、NH−溶液を1分当たり3mlのみでポンプ導入する。従って、バッチの量は1.5リットルである。沈殿速度は1リットル及び1時間当たり20gである。
【0068】
乾燥及びか焼の後の酸化物混合物の特性は、第6表中に示されている。この結果は、第2表中のAl 25モル%、残りTiを有するTiO/Alの結果と比較可能である。
【0069】
これによれば、TiOSO−溶液の高濃度を用いる沈殿は、酸化物混合物の品質を僅かに害するだけである。高濃度溶液を用いる沈殿は、高い空時収率を可能とし、従って経済的に好ましい。
【0070】
例6:濃NaAlO−溶液の付加的使用
実験を例5におけると同様に実施するが、Al250g/lを有するNaAlO−溶液117mlの代わりに、Al330g/lを有するNaAlO−溶液89mlをポンプ導入する。沈殿速度は1リットル及び1時間当たり21gである。
【0071】
乾燥及びか焼の後の酸化物混合物の特性が第6表中に示されている。これらの結果は、第2表中のAl 25モル%及び残りTiを有するTiO/Alのそれと比較可能である。それによれば、高濃度のNaAlO−溶液を用いる沈殿は、酸化物混合物の品質を僅かに害するだけである。
【0072】
比較例1:予め形成された微細分散性Al−粒子上へのTiO−前形成物の沈殿
KPG−攪拌機、還流冷却器、接触サーモメータ及びマッシュルーム形加熱装置(Heizpilz)を備えた6リットル−丸底フラスコ中に、HO 1.5リットル及び104m/gの比表面積を有する市販の酸化アルミニウム(パイロジェン、一次粒径約15nm、凝集していない、X−線回折線図によれば、製造者記載によるδ−変態、Zhou und Snyderによるγ−又はη−であるがなおθ−変態ではない)40gを、撹拌下に前装入する。90℃で、180分かかって一様に、TiOSO−溶液1710ml(これは、TiO110g/lに相当するTi66g/lを含有し、HSO 225g/lで安定化されている)を加える。この量比は、Al 25モル%、残りTiの酸化物混合物の組成に相当している。次いで30分間煮沸し、引き続き濾過し、HOで洗浄し、かつ乾燥させる。生成物各々10gを、マッフル炉中で450、600及び800℃でか焼し、かつ検査する。
【0073】
か焼生成物のXRDで、2θ=46°での酸化アルミニウムの反射及び2θ=48°でのアナタースの反射の強度比は、常に、±4%の正確さで、酸化アルミニウム出発物質及び硫酸塩法によるAl 25モル%、残りTiを有する化学的に純粋な表面変性されていないアナタース−白色顔料から機械的に製造された混合物と同じである。更なる結果は第1表中に示されている。これらは、互いにまじったAl及びTiOの溶液が形成されていないことを示している。アナタースのルチルへの転換は観察されない。
【0074】
この例は、分子分散性前混合なしでは、1成分が薄い平坦な層で他の成分の粒子上に沈殿されている場合であっても、か焼時に、TiO及びAlの混合物のみが生じることを証明している。
【0075】
更に、この比較例からの生成物は、第1表によれば、例えば触媒製造時のウオッシュ−コート−法ではその加工性が困難である程度の微細粒子(圧倒的に<1μm)である。
【0076】
比較例2:予め製造されたTiO−前形成物の粒子上へのAl−前形成物の沈殿
KPG−攪拌機、還流冷却器、接触サーモメータ及びマッシュルーム形加熱装置を備えた6リットル−丸底フラスコ中に、換算TiO365g/lを含有するTiO−顔料を得るための、硫酸塩法からの洗浄されたがなお漂白されていないメタチタン酸の懸濁液2.00リットルを前装入し、換算Al304g/lを含有するアルミン酸ナトリウム溶液498mlを45分かかって添加する。この量比は、Al 25モル%、残りTiから成る酸化物混合物の組成に相応している。添加の終りにpH−値は10.7である。次いで2時間乾燥させる。引き続き20%硫酸を用いて30分かかって中性にし、濾過し、HOで洗浄し、かつ乾燥させる。生成物各々10gをマッフル炉中で、450、600及び800℃でか焼し、かつ検査する。
【0077】
REM及びEDXによれば、メタチタン酸のサブミクロン寸法の一次粒子の凝集体と共に、か焼されていない生成物では、数マイクロメーターの長さのプリズムを認めることができ、か焼された生成物では、約1.5μmの大きさの殆ど平滑な表面を有する角ばった小粒(kantige Koernchen)が認められる。プリズム及び角ばった小粒は、Alのみを含有するが、Tiを含有しない。第1表中のXRD−結果及びREM−検査は、Al−及びTi−出発成分が既に沈殿の前に分子分散性に混合されているはずであり、従って互いにまじったAl及びTiOの固溶体が生じていることを示している。更なる結果が第1表中に示されている。
【0078】
この生成物の粒度分布(第1表)は、殆ど単峰性であり、その平均粒径は、予め粉砕することなしに、ウオッシュ−コート−法で触媒成形体上に適用することができる程度である。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【0083】
【表5】

【0084】
【表6】

【0085】
【表7】

【0086】
【表8】

【0087】
【表9】

【0088】
【表10】

【0089】
【表11】

【0090】
【表12】

【0091】
【表13】

【0092】
【表14】

【0093】
【表15】

【0094】
【表16】

【0095】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al及びTiOの固溶体少なくとも1種を含有していることを特徴とする、Al及びTiOを含有している酸化物混合物。
【請求項2】
細孔を有していることを特徴とする、請求項1に記載の酸化物混合物。
【請求項3】
i Al 0.5〜45モル%、好ましくは1〜40モル%、特別好ましくは2〜40モル% 及び
ii 互いにまじったAl及びTiOの固溶体少なくとも1種を含有しており
及び
iii 2〜50nm、好ましくは2〜40nm、特別好ましくは2〜20nmの細孔直径d50を有する細孔
を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の酸化物混合物。
【請求項4】
細孔の対数直径分布は、最大0.50、好ましくは最大0.40、特別好ましくは0.05〜0.40の幅σを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項5】
酸化物混合物のBETによる比表面積は、5〜800m/g、好ましくは30〜600m/g、特別好ましくは50〜450m/gであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項6】
酸化物混合物の細孔容積は、0.02〜2cm/g、好ましくは0.05〜1cm/g、特別好ましくは0.05〜0.7cm/gであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項7】
酸化物混合物の細孔容積の30〜99%、好ましくは50〜99%、特別好ましくは70〜99%はメソ孔で構成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項8】
酸化物混合物の細孔容積の100%はメソ孔で構成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項9】
細孔寸法は調節可能であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項10】
中に溶けているAlを有する非晶質TiOを含有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項11】
中に溶けているAlを有するアナタース結晶を含有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項12】
互いにまじったAl及びTiOからの非晶質固溶体を有して成長したアナタース結晶を含有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項13】
1〜2nmの細孔直径d50を有する細孔を有していることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項14】
固溶体の粒度d50は、0.5〜10、好ましくは1〜5、特別好ましくは1.2〜3.5、全く特別好ましくは1.5〜2.5μmであることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の酸化物混合物。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の酸化物混合物を製造する方法において、有機又は有機金属化合物を使用することなしに、Ti−及びAl−含有水溶液からTiO及びAlの水和された前形成物を沈殿させ、この際,Ti−水溶液を、塩基、好ましくは塩基性水溶液、特別好ましくはLiOH、NaOH、KOH又はNHの水溶液の添加の下に、前装入されたアルカリ性Al−溶液にゆっくり加え、この際、pH−値を4〜8、好ましくは6〜7に調節することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の酸化物混合物を製造する方法。
【請求項16】
有機又は有機金属化合物を使用することなしに、Ti−及びAl−含有水溶液からTiO及びAlの水和された前形成物を沈殿させ、この際,アルカリ性Al−溶液をゆっくりTi−溶液に加え、引き続き、pH−値を、塩基、好ましくは塩基性水溶液、特別好ましくはLiOH、NaOH、KOH又はNHの水溶液の添加によってゆっくり4〜8、好ましくは6〜7まで高めることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の酸化物混合物を製造する方法。
【請求項17】
Ti−水溶液は、チタン50〜400g/l、好ましくは60〜300g/l、特別好ましくは60〜250g/lを含有している塩化チタニル−、硝酸チタニル−又は硫酸チタニル水溶液であることを特徴とする、請求項15又は16に記載の製造法。
【請求項18】
Al−水溶液は、アルミニウム50〜350g/l、好ましくは60〜300g/l、特別好ましくは70〜250g/lを含有しているアルカリ金属アルミン酸塩水溶液であることを特徴とする、請求項15から17までのいずれか1項に記載の製造法。
【請求項19】
酸化物混合物を、有利に濾過によって沈殿生成物として分離し、場合により有利に(NHCO−水溶液で洗浄し、及び場合により乾燥させることを特徴とする、請求項15から18までのいずれか1項に記載の製造法。
【請求項20】
精製され、乾燥された酸化物混合物を、350〜900℃、好ましくは400〜850℃の温度で、1〜20時間、好ましくは2〜10時間、特別好ましくは2〜6時間に渡りか焼することを特徴とする、請求項15から19までのいずれか1項に記載の製造法。
【請求項21】
酸化物混合物を、100〜250℃の温度で、1〜20時間、好ましくは2〜16時間、特別好ましくは2〜6時間の時間に渡りHT−処理することを特徴とする、請求項15から19までのいずれか1項に記載の製造法。
【請求項22】
請求項15から21までのいずれか1項に記載の製造法により得られる、酸化物混合物。
【請求項23】
請求項1から14まで又は請求項22のいずれか1項に記載の酸化物混合物を、好ましくは化学的触媒反応法で、石油化学工業及び/又は有機原料合成で、特別好ましくはナフサ及び重油の水素添加分解及び/又は脱硫の場合に、全く特別好ましくは高硫黄含有原料の流動接触分解(FCC)法及び深度接触分解(DCC)法で、並びにHDS(水素化脱硫)法で、及び芳香族化合物成分の水素化の場合に、低沸点炭化水素の異性化及び/又は脱水素の場合に、全く特別好ましくはオレフィン収率を高めるための石油加工で、並びにブタン−及びブテン異性化で、フィッシャートロプシュ−合成で、全く特別好ましくは石炭液化のために及び/又は飽和又は不飽和炭化水素の部分的酸化により全く特別好ましく酢酸、アクリル酸、マレイン酸、フタル酸及びテレフタル酸にする場合に、長鎖オレフィン、テルペン及びシクロヘキサンのエポキシド化で並びに多核芳香族化合物の加水分解で、触媒及び/又は触媒担体として用いる使用。
【請求項24】
物質分離のための系中での、有利にはクロマトグラフィカラム中の充填物質としての、請求項1から14までのいずれか1項又は請求項22に記載の酸化物混合物の使用。
【請求項25】
工業的製造法における同じ1装置中の触媒及び/又は触媒担体としての又はクロマトグラフィ固定相としての、請求項1から14までのいずれか1項又は請求項22に記載の酸化物混合物の使用。

【公表番号】特表2009−525248(P2009−525248A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552828(P2008−552828)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051069
【国際公開番号】WO2007/088213
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(501082864)ザッハトレーベン ヒェミー ゲゼルシヤフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (16)
【氏名又は名称原語表記】Sachtleben Chemie GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Rudolf−Sachtleben−Strasse 4, 47198 Duisburg, Germany
【Fターム(参考)】